JP2017196694A - エンドミル - Google Patents

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Norikazu Suzuki
教和 鈴木
石黒 力也
Rikiya Ishiguro
力也 石黒
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Masayasu HOSOKAWA
真靖 細川
光太郎 坂口
Kotaro Sakaguchi
光太郎 坂口
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    • B23C5/00Milling-cutters
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Abstract

【課題】切り込み量等に係わらず、びびり振動を顕著に抑制することができるエンドミルを提供すること。【解決手段】エンドミル本体の周方向に互いに間隔をあけて並ぶ4つの外周刃1、2には、第1の外周刃1と、該第1の外周刃1とはねじれ角が異なる第2の外周刃2と、が2つずつ含まれており、第1の外周刃1と、第2の外周刃2とは、周方向に交互に配置され、外周刃1、2の刃長ap領域のうち所定位置におけるエンドミル横断面視において、周方向に並ぶ4つのピッチ角A、Bには、第1のピッチ角Aと、該第1のピッチ角Aとは角度が異なる第2のピッチ角Bと、が2つずつ含まれており、2つの第1のピッチ角A、A同士は、周方向に隣接配置され、2つの第2のピッチ角B、B同士は、周方向に隣接配置される。【選択図】図5

Description

本発明は、刃長領域の全域にわたってびびり振動を効果的に抑制できるエンドミルに関するものである。
従来、例えば下記特許文献1に示されるようなエンドミルが知られている。
エンドミルは、軸状をなすエンドミル本体と、エンドミル本体の外周に形成され、エンドミル本体の軸線方向の先端から基端側へ向かうに従い軸線回りの周方向のうち工具回転方向とは反対側へ向けて延びる切屑排出溝と、切屑排出溝における工具回転方向を向く壁面とエンドミル本体の外周面との交差稜線に形成された外周刃と、切屑排出溝における工具回転方向を向く壁面とエンドミル本体の先端面との交差稜線に形成された底刃(先端刃)と、を備えている。
特許文献1のエンドミルは、外周刃同士のねじれ角が互いに異なっており、いわゆる不等リードのエンドミルとされている。このような不等リードのエンドミルは、切削加工時に生じる自励振動を抑えて、びびり振動を抑制する効果を得ることができる。
特開2009−220188号公報
しかしながら、従来のエンドミルにおいては、外周刃の刃長領域(全刃長)のどの部位で切削加工を行っても(つまり軸線方向の切り込み量に係わらず)、びびり振動を抑制できるようにすることに、改善の余地があった。さらには、びびり振動の周波数を事前に知ることができず、所定の周波数帯域の範囲内において任意の周波数でびびり振動が発生し得る状態であっても、びびり振動を抑制できるようにすることに、改善の余地があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、切り込み量等に係わらず、びびり振動を顕著に抑制することができるエンドミルを提供することを目的としている。
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。
すなわち、本発明は、軸状をなすエンドミル本体と、前記エンドミル本体の外周に形成され、前記エンドミル本体の軸線方向の先端から基端側へ向かうに従い前記軸線回りの周方向へ向けて延びる切屑排出溝と、前記切屑排出溝における前記周方向のうち工具回転方向を向く壁面と、前記エンドミル本体の外周面との交差稜線に形成された外周刃と、を備えたエンドミルであって、前記切屑排出溝は、前記周方向に互いに間隔をあけて4条形成され、前記周方向に互いに間隔をあけて並ぶ4つの外周刃には、第1の外周刃と、前記第1の外周刃とはねじれ角が異なる第2の外周刃と、が2つずつ含まれており、前記第1の外周刃と、前記第2の外周刃とは、前記周方向に交互に配置され、前記外周刃の刃長領域のうち所定位置における前記軸線に垂直なエンドミル横断面視において、前記周方向に隣り合う一対の前記外周刃と、前記軸線と、を繋ぐ一対の仮想直線間に形成される中心角をピッチ角として、前記周方向に並ぶ4つの前記ピッチ角には、第1のピッチ角と、前記第1のピッチ角とは角度が異なる第2のピッチ角と、が2つずつ含まれており、2つの前記第1のピッチ角同士は、前記周方向に隣接配置され、2つの前記第2のピッチ角同士は、前記周方向に隣接配置されることを特徴とする。
本発明のエンドミルは、エンドミル本体の外周に、周方向に互いに間隔をあけて並ぶ4つの外周刃を備えている。これら4つの外周刃には、互いにねじれ角の大きさが異なる第1の外周刃と、第2の外周刃とが、2つずつ含まれており、また、第1の外周刃と第2の外周刃とは、周方向に交互に配列している。つまり、本発明のエンドミルは、外周刃のねじれ角がすべて同一とされた等リードのエンドミルではなく、複数種類のねじれ角を有する不等リードのエンドミルである。
また、外周刃の刃長領域のうち所定位置におけるエンドミル本体の横断面視において、エンドミル本体の軸線回りに並ぶ4つのピッチ角(エンドミル横断面視において、隣り合う一対の外周刃と、軸線と、を繋ぐ一対の仮想直線間に形成される中心角)は、互いに角度の大きさが異なる第1のピッチ角と、第2のピッチ角とを、2つずつ含んでいる。そして、2つの第1のピッチ角同士は周方向に隣接配置され、2つの第2のピッチ角同士も周方向に隣接配置されている。つまり、本発明のエンドミルは、外周刃のピッチ角がすべて同一とされた等ピッチのエンドミルではなく、複数種類のピッチ角を有する不等ピッチのエンドミルでもある。
このため、本発明のエンドミルは、4つの外周刃が、従来にない特別な技術的特徴を有して配列されることになる。本発明の外周刃の配列及びその効果について、図5及び図6を参照しつつ下記に説明する。
本発明の外周刃の配列を模式的に示す図5において、外周刃1、2の刃長ap領域のうち、所定位置におけるエンドミル本体の横断面(図示の例では刃長apの中央(1/2の位置))で、図5のエンドミル周方向(横軸方向)に沿う外周刃1、2同士の間の距離に相当するピッチ角A、Bは、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第2のピッチ角B、の順で配列する。
そして、外周刃は、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1、第2の外周刃2、第1の外周刃1、第2の外周刃2、の順で交互に配列し、これに伴い外周刃のねじれ角も、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、の順で交互に並ぶ。
従って、図5に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分(B−Aの絶対値であり、以下の説明では単に|B−A|と表すことがある)が一定とされている。
詳しくは、図5において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ3とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ3−θ1|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、一方の第1のピッチ角Aと、一方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、図5に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図5において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ4とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ4−θ2|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、他方の第1のピッチ角Aと、他方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、一方の第1のピッチ角Aと一方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|と、他方の第1のピッチ角Aと他方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|とが、互いに等しくされている。さらにこの関係は、刃長ap領域の全域にわたって維持される。具体的に、例えば刃長ap領域の先端位置(ap0)において、角度の差分|θ3−θ1|と、角度の差分|θ4−θ2|とが、それぞれ所定位置の角度の差分|B−A|と同一とされているとともに、互いに等しくされている。
また、本発明に含まれる別の外周刃の配列を模式的に示す図6において、外周刃1、2の刃長ap領域のうち、所定位置におけるエンドミル本体の横断面(図示の例ではap1/2の位置)で、図6のエンドミル周方向(横軸方向)に沿う外周刃1、2同士の間の距離に相当するピッチ角A、Bは、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第2のピッチ角B、第1のピッチ角A、の順で配列する。
そして、外周刃は、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1、第2の外周刃2、第1の外周刃1、第2の外周刃2、の順で交互に配列し、これに伴い外周刃のねじれ角も、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、の順で交互に並ぶ。
従って、図6に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図6において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ3とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ3−θ1|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、一方の第1のピッチ角Aと、他方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、図6に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図6において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ4とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ4−θ2|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、他方の第1のピッチ角Aと、一方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、一方の第1のピッチ角Aと他方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|と、他方の第1のピッチ角Aと一方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|とが、互いに等しくされている。さらにこの関係は、刃長ap領域の全域にわたって維持される。具体的に、例えば刃長ap領域の先端位置(ap0)において、角度の差分|θ3−θ1|と、角度の差分|θ4−θ2|とが、それぞれ所定位置の角度の差分|B−A|と同一とされているとともに、互いに等しくされている。
そして、本発明の発明者は、エンドミルについて鋭意研究を重ねた結果、切削加工時においてびびり振動を発生させる特定の周波数を抑制するには、該周波数に対応する上記角度の差分となるような各ピッチ角とされた外周刃の配列とすることが有効である、という知見を得るに至った。つまり、4つの外周刃同士において、上記角度の差分を設定することにより、再生振動の位相差をこれら外周刃同士でずらすことができ、共振周波数付近で生じる自励振動の発生を抑制することができ、その結果、びびり振動を抑えることができる。
なお、上記「特定の周波数に対応する角度の差分」については、振動計算理論に基づいて求めたり、実験値(経験値)から求めたりすることができる。また「特定の周波数」とは、具体的には所定範囲の周波数帯を示しており、例えば300〜900Hzの範囲である。
上述の知見に基づいて、本発明では、刃長ap領域の全域にわたって、特定の周波数を打ち消すことができる上記角度の差分を維持する構成を採用した。具体的には、図5及び図6を用いて説明したように、角度の差分|B−A|を刃長ap領域の全域にわたって一定とする特別な構成を用いたことにより、切削加工時の切り込み量に係わらず、打ち消したい特定の周波数を安定して抑えることが可能になった。
さらには、びびり振動の周波数を事前に知ることができず、従来であれば、所定の周波数帯域の範囲内において任意の周波数でびびり振動が発生し得る状態であっても、本発明のエンドミルによれば、所定の周波数帯域の全域でびびり振動を安定的に抑制することができる。
ここで、本発明の理解をより深めるために、図7に示される比較例(従来のエンドミル)について説明する。図7では、刃長ap領域の所定位置において、4つのピッチ角A、Bが、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、の順で交互に並んでいる。
そして、2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第2のピッチ角Bとが、刃長ap領域のうち所定位置(ap1/2)においてのみ、特定の周波数を抑制できる角度の差分|B−A|とされている。
詳しくは、図7において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。
この場合、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ2−θ1|とは、互いに異なってしまう。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は異なり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は異なることになる。
つまり、一方の第1のピッチ角Aと、一方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。
また、図7に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第2のピッチ角Bとが、刃長ap領域のうち所定位置(ap1/2)においてのみ、特定の周波数を抑制できる角度の差分|B−A|とされている。
詳しくは、図7において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。
この場合、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ2−θ1|とは、互いに異なってしまう。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は異なり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は異なることになる。
つまり、他方の第1のピッチ角Aと、他方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。
また図7において、一方(左側)の第1のピッチ角Aと、他方(右側)の第2のピッチ角Bとについても、上述と同様に、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。また、他方(右側)の第1のピッチ角Aと、一方(左側)の第2のピッチ角Bとについても、上述と同様に、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。
このような従来のエンドミルでは、刃長ap領域のうち所定位置以外の部位(所定位置に対応する切り込み量以外の切り込み量)で切削加工を行うと、特定の周波数を抑制することができず、びびり振動の発生を抑えることができない。
一方、本発明では、従来のエンドミルでは得られなかった下記の格別顕著な作用効果を奏する。すなわち、刃長ap領域のうち所定位置(図5及び図6ではap1/2)において、自励振動の発生を抑制したい特定の周波数に効果的なピッチ角A、Bを設定し、第1のピッチ角A、A同士、第2のピッチ角B、B同士をそれぞれ周方向に隣接配置するとともに、ねじれ角が互いに異なる外周刃1、2同士を周方向に交互に配列する、という簡単な構成でエンドミルを製作することにより、このエンドミルは、刃長ap領域の所定位置のみならず、刃長ap領域の全域にわたって、前記特定の周波数に対して自励振動の発生を効果的に抑制することができるのである。つまり、エンドミルの軸線方向への切り込み量に係わらず、びびり振動を安定して抑制することができ、かつ、エンドミルの製造を複雑にしてしまうこともない。
また、本発明では下記の作用効果も得ることができる。
図5及び図6に示される本発明においては、第1のピッチ角A、A同士の角度の差分|A−A|、第2のピッチ角B、B同士の角度の差分|B−B|は、刃長ap領域のうち所定位置(図示の例ではap1/2)以外の位置では、|A−A|≠0、|B−B|≠0(つまり不等分割)となっている。つまり、第1のピッチ角A、A同士の組合せ、及び、第2のピッチ角B、B同士の組合せに着目した場合も、刃長ap領域の(所定位置以外の)殆どの位置において、再生効果を得ることができるようになっている。このため本発明は、従来の一般的な不等リードよりも、ロバストな効果を奏する(再生効果の抑制に効果が得られる領域の拡張が行える)。
これに対し、図7に示される比較例では、第1のピッチ角A、A同士の角度の差分|A−A|、第2のピッチ角B、B同士の角度の差分|B−B|は、刃長ap領域の全域にわたって、|A−A|=0、|B−B|=0(つまり等分割)となっている。このため、再生効果の抑制に効果を発揮しない。
さらに、本発明のエンドミルは、外周刃が不等リードとされていることにより、上記特定の周波数のみならず、周波数が変化した場合の自励振動の発生についても抑えやすくされている。つまり、特定の周波数を抑える効果が得られるのは勿論のこと、特定の周波数以外の周波数に対しても抑制効果を奏するのである。従って、びびり振動を抑える効果がより格別顕著なものとなる。
また、本発明のエンドミルにおいて、前記刃長領域のうち所定位置が、前記刃長領域における先端部以外の部位であることが好ましい。
この場合、刃長領域の先端部においては、例えば図5及び図6に示されるように、ピッチ角θ1〜θ4同士の角度を互いにすべて異ならせることができる。つまり、外周刃の刃長領域のうち先端部は、被削材に切り込み始める位置であるとともに、切削加工に多用される箇所であり、この先端部においてピッチ角がすべて異なっていると、本発明の上述したびびり振動を抑制する効果がさらに格別顕著なものとなりやすいため、好ましい。
また、本発明のエンドミルにおいて、前記刃長領域のうち所定位置が、前記刃長領域における中央部であることが好ましい。
この場合、図5及び図6に示されるように、2つの第1のピッチ角A、Aと、2つの第2のピッチ角B、Bと、が含まれる外周刃の刃長ap領域の所定位置が、該刃長ap領域の中央部(ap1/2)であるので、外周刃の刃長ap領域の先端部や基端部において、外周刃に隣接する切屑排出溝の溝幅が小さくなり過ぎるようなことが抑制される。
従って、上記構成によれば、びびり振動の発生を抑制しつつ、切屑排出性を良好に維持することができる。
本発明のエンドミルによれば、切り込み量等に係わらず、びびり振動を顕著に抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るエンドミルを示す斜視図である。 図1のエンドミルを径方向から見た側面図である。 図1のエンドミルを先端から基端側へ向けて見た正面図である。 図2のIV−IV断面を示す図(エンドミルの横断面図)である。 図1のエンドミルの外周刃の配列を模式的に示す図である。 図1のエンドミルの変形例の、外周刃の配列を模式的に示す図である。 比較例のエンドミルの外周刃の配列を模式的に示す図である。 (a)図1のエンドミルを用いた切削加工時における、軸線方向の切り込み量(縦軸)、周波数(横軸)、及び再生数(再生振動)の関係を表すグラフ、(b)比較例のエンドミルを用いた切削加工時における、軸線方向の切り込み量(縦軸)、周波数(横軸)、及び再生数(再生振動)の関係を表すグラフである。
以下、本発明の一実施形態に係るエンドミルの一例であるスクエアエンドミル20について、図面を参照して説明する。
なお、本発明は、スクエアエンドミル20に限定されるものではなく、それ以外の例えばラジアスエンドミル、ボールエンドミル(テーパボールエンドミル、ロングネックエンドミル、テーパネックエンドミル等を含む)などの各種エンドミルに対して適用可能である。
〔スクエアエンドミルの概略構成、及びエンドミル本体〕
図1〜図4に示されるように、本実施形態のスクエアエンドミル20は、軸状をなし、例えば超硬合金や高速度工具鋼等からなるエンドミル本体3を有している。
エンドミル本体3は概略円柱状をなしており、該エンドミル本体3の軸線O方向に沿う少なくとも先端部に刃部3aが形成され、該刃部3a以外の部位がシャンク部3bとされている。
スクエアエンドミル20は、エンドミル本体3において円柱状をなすシャンク部3bが工作機械の主軸等に把持され、軸線O回りのうち工具回転方向(エンドミル回転方向)Tに回転させられることで、金属材料等からなる被削材の切削加工(転削加工)に使用される。また上記回転とともに、軸線O方向への切り込みや軸線Oに交差する方向への送りを与えられて、刃部3aにより被削材に対して側面加工、肩削り加工、プランジ(縦送り)加工、溝加工等の各種加工を行う。
また、このスクエアエンドミル20により被削材を切削加工する際には、該スクエアエンドミル20の刃部3a及び被削材の加工面(被加工部)に向けて、クーラントが供給される。クーラントとしては、例えば、油性又は水溶性の切削液剤や圧縮エア等が用いられる。クーラントは、工作機械の主軸からエンドミル本体3の内部を通して刃部3a及び加工面に供給されたり、エンドミル本体3の外部から刃部3a及び加工面に供給される。
〔本実施形態で用いる向き(方向)の定義〕
本実施形態においては、エンドミル本体3の軸線Oに沿う方向(軸線O方向)のうち、シャンク部3bから刃部3aへ向かう方向を先端側といい、刃部3aからシャンク部3bへ向かう方向を基端側という。
また、軸線Oに直交する方向を径方向といい、径方向のうち、軸線Oに接近する向きを径方向の内側といい、軸線Oから離間する向きを径方向の外側という。
また、軸線O回りに周回する方向を周方向といい、周方向のうち、切削加工時にエンドミル本体3が回転させられる方向を工具回転方向Tといい、これとは反対へ向かう方向を工具回転方向Tとは反対側(反工具回転方向)という。
〔切屑排出溝〕
刃部3aの外周には、周方向に互いに間隔をあけて4条の切屑排出溝4が形成されている。これらの切屑排出溝4は、互いに周方向に不等間隔をあけて配置されている。
詳しくは、4条の切屑排出溝4のうち、2条の切屑排出溝4が、互いに周方向に等間隔をあけて配置されており、残りの2条の切屑排出溝4が、前記等間隔の間隔とは異なる間隔で、互いに周方向に等間隔をあけて配置されていて、エンドミル全体としては切屑排出溝4が不等間隔の配置とされている。
切屑排出溝4は、エンドミル本体3の軸線O方向に沿う先端から基端側へ向かうに従い軸線O回りに沿う周方向へ向けて、ねじれて延びている。本実施形態の切屑排出溝4は、エンドミル本体3の先端面に開口しており、該先端面から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。切屑排出溝4は、刃部3aの基端側の端部において、エンドミル本体3の外周に切り上がっている。
各切屑排出溝4は、工具回転方向Tを向く壁面を有しており、この壁面のうち、切れ刃に隣接する部分がすくい面とされている。具体的には、切れ刃のすくい面のうち、該切れ刃の後述する外周刃1、2、及び底刃9に隣接する部分がそれぞれ、外周刃1、2のすくい面4a、及び底刃9のすくい面4bとされている。
切屑排出溝4の先端部には、該先端部を径方向へ向けて溝状に切り欠くようにして、ギャッシュ7が形成されている。具体的に、本実施形態のギャッシュ7は、切屑排出溝4の先端部において径方向に沿うように延びる溝状に形成されており、その径方向内側の端部は、軸線Oに近い位置に配置されている。
本実施形態では、4条の切屑排出溝4に対応して4条のギャッシュ7が形成されており、図3に示されるように、これらのギャッシュ7のうち、周方向に隣り合う一対のギャッシュ7同士、つまりギャッシュ7の組が、各ギャッシュ7における径方向内側の端部で互いに連通している。またこれにより、4つの底刃9のうち、ギャッシュ7(の組)により切り欠かれる2つの底刃9(短刃)の刃長が、ギャッシュ7により切り欠かれない2つの底刃9(長刃)の刃長よりも、短くなっている。
〔切れ刃〕
図1〜図4に示されるように、刃部3aは、周方向に互いに間隔をあけて4つの切れ刃を有している。切れ刃はそれぞれ、外周刃1又は2、及び底刃9を有しており、これらが接続して略L字状をなす1つの切れ刃を形成している。つまり、本実施形態のスクエアエンドミル20は、4枚刃の刃部3aを有している。なお、切れ刃の数(4つ)は、切屑排出溝4の数(4条)に対応している。
〔外周刃〕
切屑排出溝4における工具回転方向Tを向く壁面と、エンドミル本体3の外周面との交差稜線には、外周刃1、2が形成されている。外周刃1、2は、切屑排出溝4の前記壁面の外周端縁に沿って、つる巻き線状(螺旋状)に延びている。外周刃1、2には、第1の外周刃1と、該第1の外周刃1とはねじれ角が異なる第2の外周刃2と、が含まれる。これら第1の外周刃1及び第2の外周刃2については、別途後述する。
外周刃1、2は、切屑排出溝4の工具回転方向Tを向く壁面のうち、径方向外側の端部に位置するすくい面4aと、刃部3aの外周面のうち、該切屑排出溝4の工具回転方向Tとは反対側に隣接する外周逃げ面5と、の交差稜線に形成されている。
刃部3aの外周面には、周方向に隣り合う切屑排出溝4同士の間に、外周逃げ面5がそれぞれ形成されている。外周逃げ面5の幅(外周刃1、2に直交する向きの長さ)は、例えば外周刃1、2の延在方向に沿って略一定とされている。
刃部3aには、切屑排出溝4の数(4条)に対応する数(4つ)の外周刃1、2が、互いに周方向に間隔をあけて並んでいる。各外周刃1、2は、その工具回転方向Tに隣接する切屑排出溝4と等しいリードで、エンドミル本体3の先端から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。
外周刃1、2が軸線O回りに回転して形成される回転軌跡は、軸線Oを中心とする1つの円筒面となる。
そして、図2に示されるスクエアエンドミル20の側面図、及び、図5に示される外周刃1、2の配列を模式的に表す図(エンドミル外周を平面状に展開して表す図)において、エンドミル本体3の刃部3aに形成される4つの外周刃1、2には、互いにねじれ角が異なる第1の外周刃1と第2の外周刃2とが、2つずつ含まれている。また、第1の外周刃1と、第2の外周刃2とは、周方向に交互に配置されている。
図2及び図5においては、符号γ1が、第1の外周刃1のねじれ角を表しており、符号γ2が、第2の外周刃2のねじれ角を表している。図示の例では、第1の外周刃1のねじれ角γ1に比べて、第2の外周刃2のねじれ角γ2が大きくされている。ただしこれに限定されるものではなく、ねじれ角γ1に比べて、ねじれ角γ2が小さくされていてもよい。
なお、第1の外周刃1のねじれ角γ1と、第2の外周刃2のねじれ角γ2との角度の差分(γ2−γ1の絶対値であり、以下の説明では単に|γ2−γ1|と表すことがある)は、例えば0°<|γ2−γ1|≦20°であり、好ましくは、2°≦|γ2−γ1|≦15°である。角度の差分|γ2−γ1|が20°以下とされていることにより、切屑排出溝4の先端部及び基端部のいずれかにおいて、溝幅が小さくなり過ぎるようなことを抑制できる。
また、本実施形態では、第1の外周刃1のねじれ角γ1は、該外周刃1の刃長ap領域の全域にわたって一定とされており、第2の外周刃2のねじれ角γ2は、該外周刃2の刃長ap領域の全域にわたって一定とされている。
ここで、本実施形態でいう「ねじれ角」とは、図2に示されるエンドミル本体3の側面視において(エンドミル本体3を径方向から見て)、軸線Oと、外周刃1、2(ねじれのつる巻き線)との間に形成される鋭角及び鈍角のうち、鋭角の角度を指している。
なお、本実施形態の例では、外周刃1、2が、軸線O方向に沿って先端から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けて延びていることから、外周刃1、2のねじれ角は、正角(ポジティブ角)とされている。
〔外周刃のピッチ角〕
また本実施形態では、図4に示されるように、軸線Oに垂直なエンドミル横断面視において、周方向に隣り合う一対の外周刃1、2と、軸線Oと、をそれぞれ繋ぐ一対の仮想直線間に形成される中心角(符号A、Bで示される角度)を、「ピッチ角」(分割角)という。
そして、図4に示されるように、外周刃1、2の刃長ap領域のうち所定位置(図示の例ではap1/2)におけるエンドミル横断面視において、周方向に並ぶ4つのピッチ角A、Bには、第1のピッチ角Aと、第1のピッチ角Aとは角度が異なる第2のピッチ角Bと、が2つずつ含まれている。2つの第1のピッチ角A、A同士は、周方向に隣接配置され、2つの第2のピッチ角B、B同士は、周方向に隣接配置されている。
つまり、前記所定位置でのエンドミル横断面視において、4つのピッチ角A、Bは、軸線O回りに第1のピッチ角A、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第2のピッチ角B、の順で配列している。図示の例では、第1のピッチ角Aに比べて、第2のピッチ角Bが大きくされている。ただしこれに限定されるものではなく、ピッチ角Aに比べて、ピッチ角Bが小さくされていてもよい。
なお、第1のピッチ角Aと、第2のピッチ角Bとの角度の差分(B−Aの絶対値であり、以下の説明では単に|B−A|と表すことがある)は、例えば0°<|B−A|≦20°であり、好ましくは、5°≦|B−A|≦15°である。角度の差分|B−A|が20°以下とされていることにより、切屑排出溝4の先端部及び基端部のいずれかにおいて、溝幅が小さくなり過ぎるようなことを抑制できる。
図5に示されるように、ピッチ角A、A、B、Bが周方向(図5の横軸方向)に沿ってこの順に並ぶのは、外周刃1、2の刃長ap領域のうち、「所定位置」においてのみである。そして、前記所定位置は、刃長ap領域における先端部以外の部位とされており、具体的に本実施形態の例では、この所定位置が、刃長ap領域における中央部(つまりap1/2)とされている。
〔底刃(先端刃)〕
図1〜図3に示されるように、切屑排出溝4における工具回転方向Tを向く壁面と、エンドミル本体3の先端面との交差稜線には、底刃(先端刃)9が形成されている。底刃9は、切屑排出溝4の前記壁面の先端縁に沿って、直線状に延びている。
具体的に、底刃9は、切屑排出溝4(ギャッシュ7)の工具回転方向Tを向く壁面のうち、先端側の端部に位置するすくい面4bと、刃部3aの先端面のうち、該切屑排出溝4の工具回転方向Tとは反対側に隣接する先端逃げ面8と、の交差稜線に形成されている。
刃部3aの先端面には、周方向に隣り合う切屑排出溝4同士の間に、先端逃げ面8がそれぞれ形成されている。先端逃げ面8の幅(底刃9に直交する向きの長さ)は、例えば底刃9の延在方向に沿って略一定とされている。
刃部3aには、切屑排出溝4の数(4条)に対応する数(4つ)の底刃9が、互いに周方向に間隔をあけて並んでいる。
本実施形態では、図3に示されるエンドミル本体3の正面視において(エンドミル本体3の先端面を軸線O方向から正面に見て)、底刃9は、径方向に沿うように延びている。また、4つの底刃9には、一対の長刃(ギャッシュ7により切り欠かれない底刃9)と、一対の短刃(ギャッシュ7により径方向内側の端部が切り欠かれる底刃9)と、が含まれている。一対の長刃の内端(径方向内側の端縁)は、軸線Oに接近して配置されている。一対の短刃の内端と、軸線Oとの間には、ギャッシュ7が配置される。
また、図2に示されるエンドミル本体3の側面視において、底刃9は、その外端(径方向外側の端縁)から径方向内側に向かうに従い漸次僅かに基端側へ向けて延びている。従って、底刃9が軸線O回りに回転して形成される回転軌跡は、該底刃9の外端から径方向内側に向かうに従い漸次基端側へ向けて傾斜する円錐面(テーパ面)となる。
なお、底刃9は、軸線Oに垂直な平面に含まれるように延びていてもよく、この場合、底刃9の前記回転軌跡は、軸線Oに垂直な平面となる。
底刃9の径方向の外端は、外周刃1又は2の軸線O方向の先端に接続している。
〔本実施形態の変形例〕
ここで、本発明に含まれる本実施形態の変形例について、図6を参照して説明する。なお、前述した構成と同じ構成要素については詳細な説明を省略し、主として異なる点についてのみ、下記に説明する。
図6は、外周刃1、2の配列を模式的に表す図(エンドミル外周を平面状に展開して表す図)であり、上述した図5とは、外周刃1、2とピッチ角A、Bの配置(位置関係)が異なっている。
図6では、図5に示されるピッチ角θ2(及びピッチ角A)を形成する隣り合う外周刃2、1の組と、ピッチ角θ4(及びピッチ角B)を形成する隣り合う外周刃2、(1)の組とが、互いに入れ替わって配置されている。言い換えると、図5に示される4つの外周刃1、2において、第1の外周刃1の位置と、第2の外周刃2の位置とを、互いに入れ替えて配置することで、図6に示されるようなエンドミルの構成となる。
具体的に、図6においては、4つの外周刃1、2が、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1、第2の外周刃2、第1の外周刃1、第2の外周刃2、の順で並んでいる。また、外周刃1、2の刃長ap領域のうち所定位置(図示の例ではap1/2)におけるエンドミル横断面視において、4つのピッチ角A、Bが、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第2のピッチ角B、第1のピッチ角A、の順で並んでいる。
つまり、この図6においても上述した図5と同様に、第1の外周刃1と、第2の外周刃2とは、周方向に交互に配置されている。また、外周刃1、2の刃長ap領域のうち所定位置における軸線Oに垂直なエンドミル横断面視で、4つのピッチ角A、Bのうち、2つの第1のピッチ角A、A同士は、周方向に隣接配置され、2つの第2のピッチ角B、B同士は、周方向に隣接配置されている。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態のスクエアエンドミル(エンドミル)20は、エンドミル本体3の外周に、周方向に互いに間隔をあけて並ぶ4つの外周刃1、2を備えている。これら4つの外周刃1、2には、互いにねじれ角γ1、γ2の大きさが異なる第1の外周刃1と、第2の外周刃2とが、2つずつ含まれており、また、第1の外周刃1と第2の外周刃2とは、周方向に交互に配列している。つまり、本実施形態のスクエアエンドミル20は、外周刃のねじれ角がすべて同一とされた等リードのエンドミルではなく、複数種類のねじれ角γ1、γ2を有する不等リードのエンドミルである。
また、外周刃1、2の刃長ap領域のうち所定位置におけるエンドミル本体3の横断面視において、エンドミル本体3の軸線O回りに並ぶ4つのピッチ角(エンドミル横断面視において、隣り合う一対の外周刃1、2と、軸線Oと、を繋ぐ一対の仮想直線間に形成される中心角)A、Bは、互いに角度の大きさが異なる第1のピッチ角Aと、第2のピッチ角Bとを、2つずつ含んでいる。そして、2つの第1のピッチ角A、A同士は周方向に隣接配置され、2つの第2のピッチ角B、B同士も周方向に隣接配置されている。つまり、本実施形態のスクエアエンドミル20は、外周刃のピッチ角がすべて同一とされた等ピッチのエンドミルではなく、複数種類のピッチ角A、Bを有する不等ピッチのエンドミルでもある。
このため、本実施形態のスクエアエンドミル20は、4つの外周刃1、2が、従来にない特別な技術的特徴を有して配列されることになる。本実施形態の外周刃1、2の配列及びその効果について、図5及び図6を参照しつつ下記に説明する。
本実施形態の外周刃の配列を模式的に示す図5において、外周刃1、2の刃長ap領域のうち、所定位置におけるエンドミル本体3の横断面(図示の例では刃長apの中央(1/2の位置))で、図5のエンドミル周方向(横軸方向)に沿う外周刃1、2同士の間の距離に相当するピッチ角A、Bは、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第2のピッチ角B、の順で配列する。
そして、外周刃1、2は、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1、第2の外周刃2、第1の外周刃1、第2の外周刃2、の順で交互に配列し、これに伴い外周刃のねじれ角γ1、γ2も、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、の順で交互に並ぶ。
従って、図5に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図5において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ3とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ3−θ1|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、一方の第1のピッチ角Aと、一方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、図5に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図5において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ4とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ4−θ2|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、他方の第1のピッチ角Aと、他方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、一方の第1のピッチ角Aと一方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|と、他方の第1のピッチ角Aと他方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|とが、互いに等しくされている。さらにこの関係は、刃長ap領域の全域にわたって維持される。具体的に、例えば刃長ap領域の先端位置(ap0)において、角度の差分|θ3−θ1|と、角度の差分|θ4−θ2|とが、それぞれ所定位置の角度の差分|B−A|と同一とされているとともに、互いに等しくされている。
また、本実施形態の変形例である外周刃の配列を模式的に示す図6において、外周刃1、2の刃長ap領域のうち、所定位置におけるエンドミル本体3の横断面(図示の例ではap1/2の位置)で、図6のエンドミル周方向(横軸方向)に沿う外周刃1、2同士の間の距離に相当するピッチ角A、Bは、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第2のピッチ角B、第1のピッチ角A、の順で配列する。
そして、外周刃1、2は、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1、第2の外周刃2、第1の外周刃1、第2の外周刃2、の順で交互に配列し、これに伴い外周刃のねじれ角γ1、γ2も、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、第1の外周刃1のねじれ角γ1、第2の外周刃2のねじれ角γ2、の順で交互に並ぶ。
従って、図6に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図6において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ3とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ3−θ1|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、一方の第1のピッチ角Aと、他方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、図6に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第2のピッチ角Bとは、刃長ap領域の全域にわたって、互いの角度の差分|B−A|が一定とされている。
詳しくは、図6において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ4とされている。
この場合において、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ4−θ2|とが、互いに等しくされている。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は等しくなり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は等しくなる。
つまり、他方の第1のピッチ角Aと、一方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって一定である。
また、一方の第1のピッチ角Aと他方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|と、他方の第1のピッチ角Aと一方の第2のピッチ角Bとの角度の差分|B−A|とが、互いに等しくされている。さらにこの関係は、刃長ap領域の全域にわたって維持される。具体的に、例えば刃長ap領域の先端位置(ap0)において、角度の差分|θ3−θ1|と、角度の差分|θ4−θ2|とが、それぞれ所定位置の角度の差分|B−A|と同一とされているとともに、互いに等しくされている。
そして、本発明の発明者は、エンドミルについて鋭意研究を重ねた結果、切削加工時においてびびり振動を発生させる特定の周波数を抑制するには、該周波数に対応する上記角度の差分|B−A|となるような各ピッチ角A、Bとされた外周刃1、2の配列とすることが有効である、という知見を得るに至った。つまり、4つの外周刃1、2同士において、上記角度の差分|B−A|を設定することにより、再生振動の位相差をこれら外周刃1、2同士でずらすことができ、共振周波数付近で生じる自励振動の発生を抑制することができ、その結果、びびり振動を抑えることができる。
なお、上記「特定の周波数に対応する角度の差分」については、振動計算理論に基づいて求めたり、実験値(経験値)から求めたりすることができる。また「特定の周波数」とは、具体的には所定範囲の周波数帯を示しており、例えば300〜900Hzの範囲である。
上述の知見に基づいて、本実施形態では、刃長ap領域の全域にわたって、特定の周波数を打ち消すことができる上記角度の差分|B−A|を維持する構成を採用した。具体的には、図5及び図6を用いて説明したように、角度の差分|B−A|を刃長ap領域の全域にわたって一定とする特別な構成を用いたことにより、切削加工時の切り込み量に係わらず、打ち消したい特定の周波数を安定して抑えることが可能になった。
さらには、びびり振動の周波数を事前に知ることができず、従来であれば、所定の周波数帯域の範囲内において任意の周波数でびびり振動が発生し得る状態であっても、本実施形態のエンドミルによれば、所定の周波数帯域の全域でびびり振動を安定的に抑制することができる。
具体的には、図8(a)に示されるように、軸線O方向の切り込み量mm(縦軸)、周波数Hz(横軸)、及び再生数RF(濃淡により表示。詳しくは後述する)の関係を表す計算結果(解析結果)より、本実施形態のスクエアエンドミル20によれば、例えば周波数450〜800Hzの広範囲にわたって、切り込み量0〜25mmに係わらず、再生数RFがすべて0.3以下に抑えられて、びびり振動の発生が顕著に抑制されることが確認された。なお、主軸の回転数については2500rpmとした。
上記再生数RFについて説明する。
各切れ刃における再生振動の位相遅れεj,lを用いて表すことのできる複素ベクトルの総和が再生数RFであり、その絶対値|RF|が小さい場合に再生効果が小さいと考えることができる。再生数RFの定義式を下記式(1)に示す。なお、等ピッチ工具を用いる場合には、再生効果が最大となり再生数|RF|は1となる。εj,lはN枚刃の工具におけるj番目の切れ刃において、軸方向にN分割したl番目の微小切れ刃における位相遅れを意味する。位相遅れは同じ微小切れ刃におけるピッチ角△θj,lとびびり振動の周波数f及び主軸回転数nを用いて下記式(2)で表すことができる。
ここで、本実施形態の理解をより深めるために、図7に示される比較例(従来のスクエアエンドミル)について説明する。図7では、刃長ap領域の所定位置において、4つのピッチ角A、Bが、工具回転方向Tとは反対側へ向けて、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、第1のピッチ角A、第2のピッチ角B、の順で交互に並んでいる。
そして、2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tに位置する一方の第2のピッチ角Bとが、刃長ap領域のうち所定位置(ap1/2)においてのみ、特定の周波数を抑制できる角度の差分|B−A|とされている。
詳しくは、図7において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における一方(左側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。
この場合、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ2−θ1|とは、互いに異なってしまう。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は異なり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は異なることになる。
つまり、一方の第1のピッチ角Aと、一方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。
また、図7に示される2つの第1のピッチ角A、Aのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第1のピッチ角Aと、2つの第2のピッチ角B、Bのうち、工具回転方向Tとは反対側に位置する他方の第2のピッチ角Bとが、刃長ap領域のうち所定位置(ap1/2)においてのみ、特定の周波数を抑制できる角度の差分|B−A|とされている。
詳しくは、図7において、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第1のピッチ角Aが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次小さくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ1とされている。また、刃長ap領域の所定位置(ap1/2)における他方(右側)の第2のピッチ角Bが、刃長apの先端側へ向かうに従い漸次大きくされて、刃長ap領域の先端位置(ap0)においてピッチ角θ2とされている。
この場合、刃長apの所定位置における角度の差分|B−A|と、刃長apの先端位置における角度の差分|θ2−θ1|とは、互いに異なってしまう。また、刃長ap領域の基端位置(図示しないap1)においても、上述と同様に角度の差分は異なり、それ以外の刃長ap領域についても同様に、角度の差分は異なることになる。
つまり、他方の第1のピッチ角Aと、他方の第2のピッチ角Bとは、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。
また図7において、一方(左側)の第1のピッチ角Aと、他方(右側)の第2のピッチ角Bとについても、上述と同様に、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。また、他方(右側)の第1のピッチ角Aと、一方(左側)の第2のピッチ角Bとについても、上述と同様に、互いの角度の差分|B−A|が刃長ap領域の全域にわたって変化させられる。
このような従来のスクエアエンドミルでは、刃長ap領域のうち所定位置以外の部位(所定位置に対応する切り込み量以外の切り込み量)で切削加工を行うと、特定の周波数を抑制することができず、びびり振動の発生を抑えることができない。
具体的には、図8(b)に示されるように、軸線O方向の切り込み量mm(縦軸)、周波数Hz(横軸)、及び再生数RF(濃淡により表示)の関係を表す計算結果(解析結果)より、比較例のスクエアエンドミルにおいては、周波数300〜900Hzのほぼ全域にわたって、切り込み量8mm以下のときに再生数RFが0.3を超えて、びびり振動が発生することが確認された。なお、主軸の回転数は2500rpmとした。
一方、本実施形態では、従来のスクエアエンドミルでは得られなかった下記の格別顕著な作用効果を奏する。すなわち、刃長ap領域のうち所定位置(図5及び図6ではap1/2)において、自励振動の発生を抑制したい特定の周波数に効果的なピッチ角A、Bを設定し、第1のピッチ角A、A同士、第2のピッチ角B、B同士をそれぞれ周方向に隣接配置するとともに、ねじれ角γ1、γ2が互いに異なる外周刃1、2同士を周方向に交互に配列する、という簡単な構成でスクエアエンドミル20を製作することにより、このエンドミルは、刃長ap領域の所定位置のみならず、刃長ap領域の全域にわたって、前記特定の周波数に対して自励振動の発生を効果的に抑制することができるのである。つまり、スクエアエンドミル20の軸線O方向への切り込み量に係わらず、びびり振動を安定して抑制することができ、かつ、エンドミルの製造を複雑にしてしまうこともない。
また、本実施形態では下記の作用効果も得ることができる。
図5及び図6に示される本実施形態においては、第1のピッチ角A、A同士の角度の差分|A−A|、第2のピッチ角B、B同士の角度の差分|B−B|は、刃長ap領域のうち所定位置(図示の例ではap1/2)以外の位置では、|A−A|≠0、|B−B|≠0(つまり不等分割)となっている。つまり、第1のピッチ角A、A同士の組合せ、及び、第2のピッチ角B、B同士の組合せに着目した場合も、刃長ap領域の(所定位置以外の)殆どの位置において、再生効果を得ることができるようになっている。このため本実施形態は、従来の一般的な不等リードよりも、ロバストな効果を奏する(再生効果の抑制に効果が得られる領域の拡張が行える)。
これに対し、図7に示される比較例では、第1のピッチ角A、A同士の角度の差分|A−A|、第2のピッチ角B、B同士の角度の差分|B−B|は、刃長ap領域の全域にわたって、|A−A|=0、|B−B|=0(つまり等分割)となっている。このため、再生効果の抑制に効果を発揮しない。
さらに、本実施形態のスクエアエンドミル20は、外周刃1、2が不等リードとされていることにより、上記特定の周波数のみならず、周波数が変化した場合の自励振動の発生についても抑えやすくされている。つまり、特定の周波数を抑える効果が得られるのは勿論のこと、特定の周波数以外の周波数に対しても抑制効果を奏するのである。従って、びびり振動を抑える効果がより格別顕著なものとなる。
また本実施形態では、刃長ap領域のうち所定位置が、該刃長ap領域における先端部以外の部位とされているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、刃長ap領域の先端部においては、例えば図5及び図6に示されるように、ピッチ角θ1〜θ4同士の角度を互いにすべて異ならせることができる。つまり、外周刃1、2の刃長ap領域のうち先端部は、被削材に切り込み始める位置であるとともに、切削加工に多用される箇所であり、この先端部においてピッチ角θ1〜θ4がすべて異なっていると、本実施形態の上述したびびり振動を抑制する効果がさらに格別顕著なものとなりやすいため、好ましい。
また本実施形態では、刃長ap領域のうち所定位置が、該刃長ap領域における中央部とされているので、下記の作用効果を奏する。
すなわちこの場合、図5及び図6に示されるように、2つの第1のピッチ角A、Aと、2つの第2のピッチ角B、Bと、が含まれる外周刃1、2の刃長ap領域の所定位置が、該刃長ap領域の中央部(ap1/2)であるので、外周刃1、2の刃長ap領域の先端部や基端部において、外周刃1、2に隣接する切屑排出溝4の溝幅が小さくなり過ぎるようなことが抑制される。
従って、上記構成によれば、びびり振動の発生を抑制しつつ、切屑排出性を良好に維持することができる。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前述の実施形態では、刃長ap領域(外周刃1、2の全刃長)のうち所定位置におけるエンドミル横断面視において、第1のピッチ角Aと、第2のピッチ角Bとが、周方向に沿ってピッチ角A、A、B、Bの順に並び、この所定位置が、刃長ap領域における先端部以外の部位とされ、具体的には中央部(ap1/2)であるとした。本発明はこれに限定されるものではなく、前記所定位置は、刃長ap領域における中央部以外の部位であってもよく、例えば先端部であってもよい。
ただし、前記所定位置が、刃長ap領域における先端部以外の部位とされていたり、中央部とされていたりすることにより、前述の実施形態で説明した作用効果が得られることから、好ましい。
また、前述の実施形態では、切屑排出溝4は、エンドミル本体3の外周において軸線O方向に沿って先端から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。またこれに伴い、各外周刃1、2は、エンドミル本体3の外周において軸線O方向に沿って先端から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tとは反対側へ向けてねじれて延びている。つまり、外周刃1、2のねじれ角は、正角(ポジティブ角)とされている。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、切屑排出溝4は、エンドミル本体3の外周において軸線O方向に沿って先端から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tへ向けてねじれて延びていてもよい。またこれに伴い、各外周刃1、2は、エンドミル本体3の外周において軸線O方向に沿って先端から基端側へ向かうに従い漸次工具回転方向Tへ向けてねじれて延びていてもよい。つまり、外周刃1、2のねじれ角は、負角(ネガティブ角)とされていてもよい。
本発明によれば、外周刃1、2のねじれ角が、正角の場合であっても、負角の場合であっても、上述した優れた作用効果を奏功する。
その他、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態、変形例及びなお書き等で説明した各構成(構成要素)を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
1 第1の外周刃(外周刃)
2 第2の外周刃(外周刃)
3 エンドミル本体
4 切屑排出溝
20 スクエアエンドミル(エンドミル)
A 第1のピッチ角(ピッチ角)
ap 刃長
B 第2のピッチ角(ピッチ角)
O 軸線
T 工具回転方向
γ1 第1の外周刃のねじれ角(ねじれ角)
γ2 第2の外周刃のねじれ角(ねじれ角)

Claims (3)

  1. 軸状をなすエンドミル本体と、
    前記エンドミル本体の外周に形成され、前記エンドミル本体の軸線方向の先端から基端側へ向かうに従い前記軸線回りの周方向へ向けて延びる切屑排出溝と、
    前記切屑排出溝における前記周方向のうち工具回転方向を向く壁面と、前記エンドミル本体の外周面との交差稜線に形成された外周刃と、を備えたエンドミルであって、
    前記切屑排出溝は、前記周方向に互いに間隔をあけて4条形成され、
    前記周方向に互いに間隔をあけて並ぶ4つの外周刃には、第1の外周刃と、前記第1の外周刃とはねじれ角が異なる第2の外周刃と、が2つずつ含まれており、
    前記第1の外周刃と、前記第2の外周刃とは、前記周方向に交互に配置され、
    前記外周刃の刃長領域のうち所定位置における前記軸線に垂直なエンドミル横断面視において、
    前記周方向に隣り合う一対の前記外周刃と、前記軸線と、を繋ぐ一対の仮想直線間に形成される中心角をピッチ角として、
    前記周方向に並ぶ4つの前記ピッチ角には、第1のピッチ角と、前記第1のピッチ角とは角度が異なる第2のピッチ角と、が2つずつ含まれており、
    2つの前記第1のピッチ角同士は、前記周方向に隣接配置され、2つの前記第2のピッチ角同士は、前記周方向に隣接配置されることを特徴とするエンドミル。
  2. 請求項1に記載のエンドミルであって、
    前記刃長領域のうち所定位置が、前記刃長領域における先端部以外の部位であることを特徴とするエンドミル。
  3. 請求項1又は2に記載のエンドミルであって、
    前記刃長領域のうち所定位置が、前記刃長領域における中央部であることを特徴とするエンドミル。
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