JP2018181929A - 加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成膜された板状の被加工物を分割する場合に、切削ブレードに目詰まりを発生させることなく、かつ、レーザ加工装置を利用せずとも被加工物を加工できるようにする。【解決手段】板状物W1の裏面W1bに膜W2が成膜されるとともに交差する複数の分断予定ラインSが表面W1aに設定された被加工物Wを分断予定ラインSに沿って分断して複数のチップを形成する加工方法であって、被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝を形成するステップと、溝形成ステップを実施する前または後に被加工物Wの裏面W1bにエキスパンドシートT1を貼着するステップと、溝が形成された被加工物WのエキスパンドシートT1を拡張して溝に沿って膜W2に外力を付与するステップと、拡張ステップを実施した後、エキスパンドシートT1からチップをピックアップするステップと、を備えた加工方法である。【選択図】図8

Description

本発明は、板状物の裏面に膜が成膜されるとともに交差する複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法に関する。
金属膜や樹脂膜等、特に延性を有する膜を備える板状物を切削ブレードで切削すると、切削ブレードに膜による目詰まりが生じる。そこで、切削加工を施す前に、予め上記膜をレーザビームで除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−42526号公報
しかし、レーザビームで膜を除去するとデブリが発生する上、一般的に高価なレーザ加工装置を利用して加工することになるため製造コストも嵩むという問題がある。
よって、成膜された板状の被加工物を分割する場合には、切削ブレードに目詰まりを発生させることなく、かつ、レーザ加工装置を利用せずとも被加工物を加工できるようにするという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、板状物の裏面に膜が成膜されるとともに交差する複数の分断予定ラインが表面に設定された被加工物を該分断予定ラインに沿って分断して複数のチップを形成する加工方法であって、被加工物の表面から該分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、該溝形成ステップを実施する前または後に被加工物の裏面にエキスパンドシートを貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、該溝が形成された被加工物の該エキスパンドシートを拡張して該溝に沿って該膜に外力を付与する拡張ステップと、該拡張ステップを実施した後、該エキスパンドシートからチップをピックアップするピックアップステップと、を備えた加工方法である。
前記拡張ステップでは前記膜を前記溝に沿って分断してもよい。
または、前記拡張ステップでは前記膜に対して前記溝に沿った分断起点を形成し、前記ピックアップステップで該膜を該溝に沿って分断するものとしてもよい。
本発明に係る加工方法は、被加工物の表面から分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、溝形成ステップを実施する前または後に被加工物の裏面にエキスパンドシートを貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、溝が形成された被加工物のエキスパンドシートを拡張して溝に沿って膜に外力を付与する拡張ステップと、拡張ステップを実施した後、エキスパンドシートからチップをピックアップするピックアップステップと、を備えているため、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレードに膜による目詰まりを発生させることもなく、膜を分断して被加工物からチップを作製することができる。
被加工物、環状フレーム、及びエキスパンドシートの一例を示す断面図である。 切削装置を用いて被加工物に溝を形成している状態を示す断面図である。 被加工物に形成された溝の一例を拡大して示す断面図である。 被加工物に溝を形成するためのプラズマエッチング装置の一例を示す断面図である。 エキスパンド装置に、エキスパンドシートに貼着され環状フレームで支持された被加工物をセットした状態を示す断面図である。 エキスパンド装置によってエキスパンドシートを拡張することで、膜を溝に沿って分断して被加工物をチップに分割している状態を示す断面図である。 分断された膜とデバイスとを備えるチップを拡大して示す断面図である。 エキスパンドシートからチップをピックアップしている状態を示す断面図である。 エキスパンド装置によってエキスパンドシートを拡張することで、膜に対して溝に沿った分断起点を形成している状態を示す断面図である。 膜に溝に沿った分断起点が形成された被加工物の一部を示す断面図である。 膜を分断しつつエキスパンドシートからチップをピックアップしている状態を示す断面図である。
図1に示す被加工物Wは、例えば、シリコンからなる板状物W1を備える円形状の半導体ウエーハであり、板状物W1の表面、すなわち、被加工物Wの表面W1aには複数の分断予定ラインSがそれぞれ直交差するように設定されている。そして、分断予定ラインSによって区画された格子状の領域には、デバイスDがそれぞれ形成されている。図1において−Z方向側に向いている板状物W1の裏面W1bには、銅及びニッケル等の金属からなり電極として働くことになる一様な厚さ(例えば、0.5μm〜10μm)の膜W2が形成されている。膜W2の露出面は、被加工物Wの裏面W2bとなる。なお、被加工物Wの構成は本実施形態に示す例に限定されるものではない。例えば、板状物W1はシリコン以外にガリウムヒ素、サファイア、窒化ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよく、また、膜W2は、金属膜ではなく、例えばDAF(Die Attach Film)やDBF(Die Backside Film)等の厚さ5μm〜30μm程度の樹脂膜であってもよい。
以下に、本発明に係る加工方法を実施して図1に示す被加工物WをデバイスDを備えるチップへと分割する場合の、加工方法の各ステップについて説明していく。
(1)エキスパンドシート貼着ステップ
例えば、まず、図1に示す被加工物Wの裏面W2bにエキスパンドシートT1を貼着する。エキスパンドシートT1は、例えば、被加工物Wの外径よりも大きい外径を有する円盤状のシートであり、機械的外力に対する適度な伸縮性を備えている。例えば、図示しない貼り付けテーブル上に載置された被加工物Wの中心と環状フレームF1の開口の中心とが略合致するように、被加工物Wに対して環状フレームF1が位置付けられる。そして、貼り付けテーブル上でプレスローラー等により被加工物Wの裏面W2bにエキスパンドシートT1が押し付けられて貼着される。同時に、エキスパンドシートT1の粘着面T1aの外周部を環状フレームF1にも貼着することで、被加工物Wは、エキスパンドシートT1を介して環状フレームF1に支持された状態となり、環状フレームF1を介したハンドリングが可能な状態になる。なお、被加工物Wだけに先にエキスパンドシートT1をプレスローラー等で貼着した後、環状フレームF1に対して被加工物Wを適切に位置付けて、環状フレームF1にエキスパンドシートT1を貼着してもよい。
(2−1)切削装置を用いる場合の溝形成ステップ
上記エキスパンドシート貼着ステップを実施した後、例えば、図2に示す切削装置1を用いて、被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝を形成する溝形成ステップを実施する。なお、上記エキスパンドシート貼着ステップは、本溝形成ステップを実施した後に実施するものとしてもよい。
図2に示す切削装置1は、例えば、被加工物Wを吸引保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して回転する切削ブレード110で切削加工を施す切削手段11と、を少なくとも備えている。
チャックテーブル10は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなる保持面10a上で被加工物Wを吸引保持する。チャックテーブル10は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心周りに回転可能であるとともに、図示しない切削送り手段によってX軸方向に往復移動可能となっている。チャックテーブル10の外周部には、例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)の固定クランプ100が環状フレームF1を固定するために均等に配設されている。
切削手段11は、軸方向が被加工物Wの移動方向(X軸方向)に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であるスピンドル111を備えており、スピンドル111の先端には円環状の切削ブレード110が固定されている。なお、最終的に被加工物Wから分割されたチップの外周縁から膜W2がバリとしてはみ出す量を抑えるためにも、本ステップにおいて形成する溝の幅はなるべく小さくなる方が好ましい。そのため、切削ブレード110は、例えば、その刃厚が10μm以下の細厚のブレードであると好ましい。
まず、図2に示すように、環状フレームF1によって支持されている被加工物Wが、表面W1aが上側を向いた状態でチャックテーブル10により吸引保持される。また、各固定クランプ100によって環状フレームF1が固定される。次いで、図示しないアライメント手段により、切削ブレード110を切り込ませるべき分断予定ラインSのY軸方向の座標位置が検出される。分断予定ラインSが検出されるのに伴って、切削手段11がY軸方向に割り出し送りされ、切削すべき分断予定ラインSと切削ブレード110とのY軸方向における位置合わせが行われる。
図示しないモータがスピンドル111を回転駆動することに伴って、切削ブレード110が例えば−Y方向側から見て時計回り方向に高速回転する。さらに、切削手段11が−Z方向に向かって切り込み送りされ、切削ブレード110の最下端が板状物W1を完全に切断しかつ膜W2に切り込まない高さ位置に切削手段11が位置付けられる。なお、例えば、切削ブレード110が板状物W1を完全切断しない高さ位置、すなわち、切削ブレード110の最下端が板状物W1の裏面W1bよりも僅かに上方となる高さ位置に、切削手段11を位置付けるものとしてもよい。
被加工物Wを保持するチャックテーブル10が所定の切削送り速度で−X方向側(紙面奥側)に送り出されることで、回転する切削ブレード110が分断予定ラインSに沿って被加工物Wの表面W1a側から板状物W1に切り込んでいき、図2、3に示す膜W2に到らない溝M1が形成されていく。本実施形態では、例えば、図3に示すように溝M1の底に膜W2の表面W2aが露出した状態となり、溝M1の幅は例えば約10μmとなる。なお、板状物W1の切り残し部分を溝M1の底として、僅かな厚みで残存した状態にしてもよい。
切削ブレード110が一本の分断予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りが一度停止され、切削ブレード110が被加工物Wから離間し、次いで、被加工物Wが+X方向に移動し原点位置に戻る。そして、隣り合う分断予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード110を+Y方向に割り出し送りしながら順次同様の切削を行うことにより、X軸方向の全ての分断予定ラインSに沿って膜W2に到らない深さの溝M1を被加工物Wに形成する。さらに、被加工物Wを90度回転させてから同様の切削加工を行うことで、全ての分断予定ラインSに沿って膜W2に到らない深さの溝M1を形成することができる。
(2−2)プラズマエッチング装置を用いる場合の溝形成ステップ
溝形成ステップは、図2に示す切削装置1を用いて実施するのではなく、図4に示すプラズマエッチング装置9を用いて実施してもよい。
図4に示すプラズマエッチング装置9は、被加工物Wを保持する静電チャック90と、ガスを噴出するガス噴出ヘッド91と、静電チャック90及びガス噴出ヘッド91を内部に収容したチャンバ92とを備えている。
例えば、アルミナ等のセラミック又は酸化チタン等の誘電体で形成される静電チャック90は、支持部材900によって下方から支持されている。静電チャック90の内部には、電圧が印加されることにより電荷を発生する電極(金属板)901が静電チャック90の保持面90aと平行に配設されており、この電極901は、整合器94a及びバイアス高周波電源95aに接続されている。なお、例えば、静電チャック90は、本実施形態のような単極型の静電チャックに限定されるものではなく、いわゆる双極型の静電チャックであってもよい。
チャンバ92の上部に軸受け919を介して昇降自在に配設されたガス噴出ヘッド91の内部には、ガス拡散空間910が設けられており、ガス拡散空間910の上部にはガス導入口911が連通し、ガス拡散空間910の下部にはガス吐出口912が複数連通している。各ガス吐出口912の下端は、静電チャック90の保持面90aに向かって開口している。
ガス導入口911には、ガス供給部93が接続されている。ガス供給部93は、例えばSF、CF、C、C等のフッ素系ガスをエッチングガスとして蓄えている。
ガス噴出ヘッド91には、整合器94を介して高周波電源95が接続されている。高周波電源95から整合器94を介してガス噴出ヘッド91に高周波電力を供給することにより、ガス吐出口912から吐出されたエッチングガスをプラズマ化することができる。プラズマエッチング装置9は、図示しない制御部を備えており、制御部による制御の下で、ガスの吐出量や時間、高周波電力等の条件がコントロールされる。
チャンバ92の底には排気口96が形成されており、この排気口96には排気装置97が接続されている。この排気装置97を作動させることにより、チャンバ92の内部を所定の真空度まで減圧することができる。
チャンバ92の側部には、被加工物Wの搬入出を行うための搬入出口920と、この搬入出口920を開閉するゲートバルブ921とが設けられている。
被加工物Wはプラズマエッチングが施され溝が形成されるにあたり、各デバイスD(図4においては不図示)がレジスト膜Rによって保護された状態になる。すなわち、例えば、ポジ型レジスト液が被加工物Wの表面W1aに塗布され一様な厚さのレジスト膜が表面W1a上に形成された後、分断予定ラインSにのみ紫外光が照射され、露光後の被加工物Wが現像されることで、分断予定ラインSが露出しかつデバイスDがレジスト膜Rにより保護された状態となる。なお、最終的に被加工物Wから分割されたチップの外周縁から膜W2がバリとしてはみ出す量を抑えるためにも、形成する溝の幅はなるべく小さくなる方が好ましい。そのため、例えば、レジスト膜Rを分断予定ラインSが10μm以下の幅で露出するように形成すると好ましく、分断予定ラインSが5μm以下の幅で露出するように形成するとさらに好ましい。
なお、プラズマエッチング装置9を用いて被加工物Wに溝の形成を行う場合においては、上記(1)エキスパンドシート貼着ステップにおいて、エキスパンドシートT1としてプラズマエッチングに対する耐性を備えているものを用いる。また、エキスパンドシート貼着ステップを、本溝形成ステップを実施した後に実施する場合には、プラズマエッチング装置9に搬送される被加工物Wは、その裏面W2bにテープ又はハードプレートが保護部材として貼着され、裏面W2bが保護部材によって保護された状態になる。
溝の形成においては、まず、ゲートバルブ921を開け、搬入出口920から被加工物Wをチャンバ92内に搬入し、表面W1a側を上に向けて被加工物Wを静電チャック90の保持面90a上に載置する。ゲートバルブ921を閉じ、排気装置97によってチャンバ92内を排気し、チャンバ92内を所定の圧力の密閉空間とする。
ガス噴出ヘッド91を所定の高さ位置まで下降させ、その状態でガス供給部93から例えばSFを主体とするエッチングガスをガス拡散空間910に供給し、ガス吐出口912から下方に噴出させる。また、高周波電源95からガス噴出ヘッド91に高周波電力を印加して、ガス噴出ヘッド91と静電チャック90との間に高周波電界を生じさせ、エッチングガスをプラズマ化させる。これに並行して、電極901にバイアス高周波電源95aから電圧を印加することで、静電チャック90の保持面90aと被加工物Wとの間に誘電分極現象を発生させ、電荷の分極による静電吸着力によって被加工物Wを保持面90a上に吸着保持する。
プラズマ化したエッチングガスは、レジスト膜Rで被覆されている各デバイスDはエッチングせずに、分断予定ラインS上を−Z方向に向かって異方性エッチングしていく。そのため、図3に示す分断予定ラインSに沿った格子状の溝M1が板状物W1に形成されていく。
プラズマ化したエッチングガスは、金属からなる膜W2をエッチングしない。そのため、図3に示すように、溝M1の底が膜W2内に到らず、かつ、溝M1の底に膜W2の表面W2aが露出するまでプラズマエッチングを行った後、プラズマエッチングを終了させる。すなわち、図4に示すチャンバ92内へのエッチングガス等の導入及びガス噴出ヘッド91への高周波電力の供給を停止し、また、チャンバ92内のエッチングガスを排気口96から排気装置97に排気し、チャンバ92内部にエッチングガスが存在しない状態とする。
なお、図3に示す溝M1の底に板状物W1がエッチング残し部分として僅かな厚みで残存した状態となるまで、プラズマエッチングを行ってもよい。また、形成された溝M1の幅は、10μm以下であると好ましく、5μm以下であるとさらに好ましい。
なお、溝形成ステップは、上記のようなSF6ガス単体によるプラズマエッチングで行われる形態に限定されず、SF6ガスによるプラズマエッチングとC4F8による溝側壁等に対する保護膜堆積(デポジション)とを交互に繰り返すボッシュ法により行われるものとしてもよい。
次いで、被加工物Wの表面W1a上から図4に示すレジスト膜Rを除去する。レジスト膜Rの除去は、例えば、所定薬剤を用いたウェット処理、又はプラズマエッチング装置9によるレジスト膜Rのアッシング(灰化)によって行う。
(3−1)拡張ステップの実施形態1
上記のように(2−1)切削装置1を用いる溝形成ステップ、又は(2−2)プラズマエッチング装置9を用いる溝形成ステップのいずれかを実施した後、溝M1が形成された被加工物WのエキスパンドシートT1を拡張して溝M1に沿って膜W2に外力を付与する拡張ステップを実施する。そして、本実施形態1の拡張ステップにおいては、膜W2を溝M1に沿って分断するものとする。
図5に示すように、エキスパンドシートT1を介して環状フレームF1によって支持された状態の被加工物Wをエキスパンド装置5に搬送する。エキスパンド装置5は、例えば、エキスパンドシートT1の外径よりも大きな外径を備える環状テーブル50を具備しており、環状テーブル50の開口50cの直径はエキスパンドシートT1の外径よりも小さく形成されている。環状テーブル50の外周部には、例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)の固定クランプ52が均等に配設されている。固定クランプ52は、図示しないバネ等によって回転軸52cを軸に回動可能となっており、環状テーブル50の保持面50aと固定クランプ52の下面との間に環状フレームF1及びエキスパンドシートT1を挟み込むことができる。
環状テーブル50の開口50c内には、円筒状の拡張ドラム53が高さ位置を固定して配設されており、環状テーブル50の中心と拡張ドラム53の中心とは略合致している。この拡張ドラム53の外径は、エキスパンドシートT1の外径より小さく、かつ、被加工物Wの外径よりも大きく形成されている。
環状テーブル50は、例えば、環状テーブル昇降手段55によって上下動可能となっている。環状テーブル昇降手段55は、例えばエアシリンダであり、内部に図示しないピストンを備える有底円筒状のシリンダチューブ550と、シリンダチューブ550に挿入され一端がピストンに取り付けられたピストンロッド551とを備える。ピストンロッド551のもう一端は、環状テーブル50の下面に固定されている。シリンダチューブ550にエアが供給(または、排出)されシリンダチューブ550の内部圧力が変化することで、ピストンロッド551がZ軸方向に移動し、環状テーブル50がZ軸方向に移動する。
まず、基準高さ位置に位置付けられた環状テーブル50の保持面50aに、エキスパンドシートT1を介して環状フレームF1が載置される。次いで、固定クランプ52を回動させ、環状フレームF1及びエキスパンドシートT1が固定クランプ52と環状テーブル50の保持面50aとの間に挟持固定された状態にする。この状態においては、環状テーブル50の保持面50aと拡張ドラム53の環状の上端面とは同一の高さ位置にあり、拡張ドラム53の上端面が、エキスパンドシートT1の環状フレームF1の内周縁と被加工物Wの外周縁との間の領域に、エキスパンドシートT1の基材面側(図5における下面側)から当接する。
図6に示すように、環状テーブル昇降手段55が、固定クランプ52との間に環状フレームF1及びエキスパンドシートT1を挟み込んだ状態の環状テーブル50を−Z方向に下降させることで、環状テーブル50の保持面50aを拡張ドラム53の上端面より下方のエキスパンドシート拡張位置に位置付ける。その結果、拡張ドラム53は固定クランプ52に対して相対的に上昇し、エキスパンドシートT1は、拡張ドラム53の上端面で押し上げられて径方向外側に向かって拡張される。また、エキスパンドシートT1が貼着されている膜W2の溝M1に沿った領域に、外力(拡張力)がエキスパンドシートT1を介して集中的に付与される。本実施形態1の拡張ステップにおいては、環状テーブル50の保持面50aの拡張ドラム53の上端面に対する下降位置を制御することで、エキスパンドシートT1を介して膜W2に付与する外力の大きさを調整して、図6に示すように、膜W2を溝M1に沿って分断する。その結果、被加工物Wを図7に示すデバイスD及び分断された膜W2を備える個々のチップCに分割することができる。
(4−1)ピックアップステップの実施形態1
上記のように実施形態1の拡張ステップを実施した後、エキスパンドシートT1からチップCをピックアップするピックアップステップを実施する。例えば、エキスパンドシートT1が紫外線照射によって粘着力が低下するタイプの場合には、エキスパンドシートT1からチップCをピックアップする前に、図7に示すエキスパンドシートT1に紫外線を照射して粘着面T1aの粘着力を低下させる。次いで、エキスパンドシートT1を介して環状フレームF1に支持された状態のチップCが、例えば、図8に示すピックアップ装置8に搬送される。ピックアップ装置8は、挟持クランプ等で環状フレームF(図8においては不図示)を固定し、Z軸方向に昇降可能なニードル80で、チップCを下側からエキスパンドシートT1を介して突き上げ、チップCがエキスパンドシートT1から浮き上がったところを吸引パッド81で吸引保持してチップCをピックアップする。
(3−2)拡張ステップの実施形態2
(2−1)切削装置1を用いる溝形成ステップ、又は(2−2)プラズマエッチング装置9を用いる溝形成ステップのいずれかを実施した後に、上記(3−1)実施形態1の拡張ステップではなく、本実施形態2の拡張ステップを実施するものとしてもよい。本実施形態2の拡張ステップにおいては、膜W2に対して溝M1に沿った分断起点を形成する。
まず、図5に示すように、基準高さ位置に位置付けられた環状テーブル50の保持面50aに、エキスパンドシートT1を介して被加工物Wを支持する環状フレームF1が載置される。次いで、環状フレームF1及びエキスパンドシートT1が固定クランプ52と環状テーブル50の保持面50aとの間に挟持固定された状態になる。次いで、図9に示すように、環状テーブル昇降手段55が環状テーブル50を−Z方向に下降させることで、拡張ドラム53は固定クランプ52に対して上昇し、エキスパンドシートT1が拡張ドラム53の上端面で押し上げられて径方向外側に向かって拡張される。また、エキスパンドシートT1が貼着されている膜W2の溝M1に沿った領域に、外力がエキスパンドシートT1を介して集中的に付与される。そして、環状テーブル50の保持面50aの拡張ドラム53の上端面に対する下降位置を制御することで、エキスパンドシートT1を介して膜W2に付与する外力の大きさを調整して、図9、図10に示すように、膜W2に対して溝M1に沿った分断起点W2dを形成する。
(4−2)ピックアップステップの実施形態2
上記のように実施形態2の拡張ステップを実施した後、膜W2を溝M1に沿って分断起点W2dを起点に分断してエキスパンドシートT1からチップをピックアップする実施形態2のピックアップステップを実施する。
例えば、エキスパンドシートT1が紫外線照射によって粘着力が低下するタイプの場合には、図10に示すエキスパンドシートT1に紫外線を照射して粘着面T1aの粘着力を低下させた後、膜W2に溝M1に沿った分断起点W2dが形成された被加工物Wを、図11に示すピックアップ装置8に搬送する。ピックアップ装置8は、図示しない挟持クランプ等で環状フレームF(図11においては不図示)を固定し、Z軸方向に昇降可能なニードル80で、チップCを下側からエキスパンドシートT1を介して突き上げる。その結果、分断起点W2dに突き上げによる外力が集中的に加えられて溝M1に沿って膜W2が分断される。そして、チップCがエキスパンドシートT1から浮き上がったところを吸引パッド81で吸引保持してチップCをピックアップする。
本発明に係る加工方法は、被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝M1を形成する溝形成ステップと、溝形成ステップを実施する前または後に被加工物Wの裏面W2bにエキスパンドシートT1を貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、溝M1が形成された被加工物WのエキスパンドシートT1を拡張して溝M1に沿って膜W2に外力を付与する拡張ステップと、拡張ステップを実施した後、エキスパンドシートT1からチップCをピックアップするピックアップステップと、を備えているため、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレード110に膜W2による目詰まりを発生させることもなく、膜W2を分断して被加工物WからチップCを作製することができる。
例えば、被加工物Wがより多くのデバイスが形成されていることで分割により取得できるチップの個数が多くなるウエーハである場合、すなわち、作製できる各チップがより小型のチップとなるウエーハである場合や、エキスパンドシートが伸縮しにくい材料からなる場合には、エキスパンドシートを拡張しただけでは、膜W2を完全に分断できない場合がある。このような場合においても、(3−2)実施形態2の拡張ステップでは膜W2に対して溝M1に沿った分断起点W2dを形成し、(4−2)実施形態2のピックアップステップで膜W2を溝M1に沿って分断するものとすることで、確実に膜W2を分断して被加工物WからチップCを作製することができる。
W:被加工物 W1:板状物 W1a:被加工物の表面 S:分断予定ライン D:デバイス W1b:板状物の裏面 W2:膜 W2a:膜の表面 W2b:被加工物の裏面
T1:エキスパンドシート T1a:エキスパンドシートの粘着面 F1:環状フレーム M1:溝
1:切削装置 10:チャックテーブル 10a:保持面 100:固定クランプ
11:切削手段 110:切削ブレード 111:スピンドル
9:プラズマエッチング装置
90:静電チャック 90a:静電チャックの保持面 900:支持部材 901:電極
91:ガス噴出ヘッド 910:ガス拡散空間 911:ガス導入口
912:ガス吐出口
92:チャンバ 920:搬入出口 921:ゲートバルブ
93:ガス供給部 94,94a:整合器 95,95a:高周波電源,バイアス高周波電源 96:排気口 97:排気装置
R:レジスト膜
5:エキスパンド装置 50:環状テーブル 50a:環状テーブルの保持面 50c:環状テーブルの開口 52:固定クランプ 53:拡張ドラム
55:環状テーブル昇降手段 550:シリンダチューブ 551:ピストンロッド
8:ピックアップ装置 80:ニードル 81:吸引パッド

Claims (3)

  1. 板状物の裏面に膜が成膜されるとともに交差する複数の分断予定ラインが表面に設定された被加工物を該分断予定ラインに沿って分断して複数のチップを形成する加工方法であって、
    被加工物の表面から該分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、
    該溝形成ステップを実施する前または後に被加工物の裏面にエキスパンドシートを貼着するエキスパンドシート貼着ステップと、
    該溝が形成された被加工物の該エキスパンドシートを拡張して該溝に沿って該膜に外力を付与する拡張ステップと、
    該拡張ステップを実施した後、該エキスパンドシートからチップをピックアップするピックアップステップと、を備えた加工方法。
  2. 前記拡張ステップでは前記膜を前記溝に沿って分断する、請求項1に記載の加工方法。
  3. 前記拡張ステップでは前記膜に対して前記溝に沿った分断起点を形成し、
    前記ピックアップステップで該膜を該溝に沿って分断する、請求項1に記載の加工方法。
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