JP6814671B2 - 加工方法 - Google Patents

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本発明は、板状物の裏面に膜が成膜され、複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法に関する。
金属膜や樹脂膜等、特に延性を有する膜を備える板状物を切削ブレードで切削すると、切削ブレードに膜による目詰まりが生じる。そこで、切削加工を施す前に、予め上記膜をレーザビームで除去する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2016−42526号公報
しかし、レーザビームで膜を除去するとデブリが発生する上、一般的に高価なレーザ加工装置を利用して加工することになるため製造コストも嵩むという問題がある。
よって、成膜された板状の被加工物を加工する場合には、切削ブレードに目詰まりを発生させることなく、かつ、レーザ加工装置を利用せずとも被加工物を加工できるようにするという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、板状物の裏面に膜が成膜され、複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法であって、被加工物の表面から該分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、該溝形成ステップを実施した後、被加工物の表面側を保持して被加工物の裏面側の該膜を露出させる保持ステップと、該保持ステップを実施した後、被加工物の該裏面側に超音波流水を噴射して少なくとも該膜に該溝に沿った破断起点を形成する超音波流水噴射ステップと、超音波流水が噴射された被加工物の該裏面側に噴射物を噴射して該溝に対応する該膜を除去する噴射物噴射ステップと、を備えた加工方法である。
本発明に係る加工方法は、被加工物の表面から分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、溝形成ステップを実施した後、被加工物の表面側を保持して被加工物の裏面側の膜を露出させる保持ステップと、保持ステップを実施した後、被加工物の裏面側に超音波流水を噴射して少なくとも膜に溝に沿った破断起点を形成する超音波流水噴射ステップと、超音波流水が噴射された被加工物の裏面側に噴射物を噴射して溝に対応する該膜を除去する噴射物噴射ステップと、を備えているため、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレードに膜による目詰まりを発生させることもなく、超音波流水で少なくとも膜に溝に沿った破断起点を形成し、かつ膜のうち溝に対応する部分(チップからはみ出る部分)を噴射物で除去して、被加工物からチップを作製することができる。
被加工物の一例を示す断面図である。 切削装置を用いて被加工物に溝を形成している状態を示す断面図である。 被加工物に形成された溝の一例を拡大して示す断面図である。 被加工物に溝を形成するためのプラズマエッチング装置の一例を示す断面図である。 保護テープが表面側に貼着された状態の被加工物の一部を示す断面図である。 被加工物に超音波流水及び噴射物を噴射することができる噴射装置の一例を示す断面図である。 超音波流水噴射ノズルから超音波流水を溝に沿って被加工物の裏面側に噴射して、膜に溝に沿った破断起点を形成している状態を示す断面図である。 超音波流水が噴射された被加工物の裏面側に噴射物を溝に沿って噴射して溝に対応する膜を除去している状態を示す断面図である。 超音波流水及び噴射物が噴射された後の被加工物の一部を拡大して示す断面図である。 旋回する超音波流水噴射ノズルから超音波流水を膜に噴射して、膜に溝に沿った破断起点を形成している状態を示す断面図である。 旋回する噴射ノズルから、超音波流水が噴射された被加工物の裏面側に噴射物を噴射して溝に対応する膜を除去している状態を示す断面図である。
図1に示す被加工物Wは、例えば、シリコンからなる板状物W1を備える円形状の半導体ウエーハであり、板状物W1の表面、すなわち、被加工物Wの表面W1aには複数の分断予定ラインSがそれぞれ直交するように設定されている。そして、分断予定ラインSによって区画された格子状の領域には、デバイスDがそれぞれ形成されている。図1において−Z方向側に向いている板状物W1の裏面W1bには、銅及びニッケル等の金属からなり電極として働く一様な厚さ(例えば、0.5μm〜10μm)の膜W2が形成されている。膜W2の露出面は、被加工物Wの裏面W2bとなる。被加工物Wの外周縁には、結晶方位を識別するための図示しないノッチが、被加工物Wの中心に向けて径方向内側に窪んだ状態で形成されている。なお、被加工物Wの構成は、本実施形態に示す例に限定されるものではない。例えば、板状物W1はシリコン以外にサファイア、ガリウム又はシリコンカーバイド等で構成されていてもよく、また、膜W2は、金属膜ではなく、例えばDAF(Die Attach Film)やDBF(Die Backside Film)等の厚さ5μm〜30μm程度の樹脂膜であってもよい。
(実施形態1)
以下に、本発明に係る加工方法を実施して図1に示す被加工物WからデバイスDを備えるチップを作製する場合の、加工方法の各ステップについて説明していく。
(1−1)切削装置を用いる溝形成ステップ
まず、図1に示す被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝を形成する溝形成ステップを実施する。本溝形成ステップにおいては、例えば、図2に示す切削装置1を用いて溝形成を行う。
溝が形成されるにあたり、図2に示すように、被加工物Wは、その裏面W2bに被加工物Wよりも大径のダイシングテープT1が貼着され、ダイシングテープT1の粘着面の外周部は、環状フレームF1に貼着された状態になる。そして、表面W1aが上方に向かって露出した状態の被加工物Wは、ダイシングテープT1を介して環状フレームF1に支持されることで、環状フレームF1によるハンドリングが可能な状態となる。
図2に示す切削装置1は、例えば、被加工物Wを吸引保持するチャックテーブル10と、チャックテーブル10に保持された被加工物Wに対して回転する切削ブレード110で切削加工を施す切削手段11と、を少なくとも備えている。
チャックテーブル10は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなる保持面10a上で被加工物Wを吸引保持する。チャックテーブル10は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心周りに回転可能であるとともに、図示しない切削送り手段によってX軸方向に往復移動可能となっている。チャックテーブル10の外周部には、例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)の固定クランプ100が環状フレームF1を固定するために均等に配設されている。
切削手段11は、軸方向が被加工物Wの移動方向(X軸方向)に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であるスピンドル111を備えており、スピンドル111の先端には円環状の切削ブレード110が固定されている。
まず、図2に示すように、環状フレームF1によって支持されている被加工物Wが、表面W1aが上側を向いた状態でチャックテーブル10により吸引保持される。また、各固定クランプ100によって環状フレームF1が挟持固定される。次いで、図示しないアライメント手段により、切削ブレード110を切り込ませるべき分断予定ラインSのY軸方向の座標位置が検出される。分断予定ラインSが検出されるのに伴って、切削手段11がY軸方向に割り出し送りされ、切削すべき分断予定ラインSに対して切削ブレード110が位置付けられる。
図示しないモータがスピンドル111を回転駆動することに伴って、切削ブレード110が例えば−Y方向側から見て時計回り方向に高速回転する。さらに、切削手段11が−Z方向に向かって切り込み送りされ、例えば切削ブレード110の最下端が板状物W1を完全に切断しかつ膜W2に切り込まない高さ位置に切削手段11が位置付けられる。なお、切削ブレード110が板状物W1を完全に切断しない高さ位置、すなわち、切削ブレード110の最下端が板状物W1の裏面W1bよりも僅かに上方となる高さ位置に、切削手段11を位置付けるものとしてもよい。
被加工物Wを保持するチャックテーブル10が所定の切削送り速度で−X方向側(紙面奥側)に送り出されることで、回転する切削ブレード110が分断予定ラインSに沿って被加工物Wの表面W1a側から板状物W1に切り込んでいき、図2、3に示す膜W2に到らない溝M1が形成されていく。図3に示すように、例えば溝M1の溝底には、膜W2の表面W2aが露出した状態になる。なお、板状物W1の切り残し部分が溝M1の底として僅かな厚みで残存するように溝M1が形成されてもよい。
切削ブレード110が一本の分断予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りが一度停止され、切削ブレード110が被加工物Wから離間し、次いで、被加工物Wが+X方向に移動し原点位置に戻る。そして、隣り合う分断予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード110を+Y方向に割り出し送りしながら順次同様の切削を行うことにより、X軸方向の全ての分断予定ラインSに沿って膜W2に到らない深さの溝M1を被加工物Wに形成する。さらに、被加工物Wを90度回転させてから同様の切削加工を行うことで、全ての分断予定ラインSに沿って図3に示す膜W2に到らない深さの溝M1を形成することができる。
(1−2)プラズマエッチング装置を用いる溝形成ステップ
溝形成ステップは、上記のように図2に示す切削装置1を用いて実施する代わりに、図4に示すプラズマエッチング装置9を用いて実施してもよい。
図4に示すプラズマエッチング装置9は、被加工物Wを保持する静電チャック90と、ガスを噴出するガス噴出ヘッド91と、静電チャック90及びガス噴出ヘッド91を内部に収容したチャンバ92とを備えている。
例えば、アルミナ等のセラミック又は酸化チタン等の誘電体で形成される静電チャック90は、支持部材900によって下方から支持されている。静電チャック90の内部には、電圧が印加されることにより電荷を発生する電極(金属板)901が静電チャック90の保持面90aと平行に配設されており、この電極901は、整合器94a及びバイアス高周波電源95aに接続されている。なお、例えば、静電チャック90は、本実施形態のような単極型の静電チャックに限定されるものではなく、いわゆる双極型の静電チャックであってもよい。
チャンバ92の上部に軸受け919を介して昇降自在に配設されたガス噴出ヘッド91の内部には、ガス拡散空間910が設けられており、ガス拡散空間910の上部にはガス導入口911が連通し、ガス拡散空間910の下部にはガス吐出口912が複数連通している。各ガス吐出口912の下端は、静電チャック90の保持面90aに向かって開口している。
ガス導入口911には、ガス供給部93が接続されている。ガス供給部93は、例えばSF、CF、C、C等のフッ素系ガスをエッチングガスとして蓄えている。
ガス噴出ヘッド91には、整合器94を介して高周波電源95が接続されている。高周波電源95から整合器94を介してガス噴出ヘッド91に高周波電力を供給することにより、ガス吐出口912から吐出されたエッチングガスをプラズマ化することができる。プラズマエッチング装置9は、図示しない制御部を備えており、制御部による制御の下で、ガスの吐出量や時間、高周波電力等の条件がコントロールされる。
チャンバ92の底には排気口96が形成されており、この排気口96には排気装置97が接続されている。この排気装置97を作動させることにより、チャンバ92の内部を所定の真空度まで減圧することができる。
チャンバ92の側部には、被加工物Wの搬入出を行うための搬入出口920と、この搬入出口920を開閉するゲートバルブ921とが設けられている。
被加工物Wはプラズマエッチングが施されて溝が形成されるにあたり、各デバイスD(図4においては不図示)がレジスト膜Rによって保護された状態になる。すなわち、例えば、ポジ型レジスト液が被加工物Wの表面W1aに塗布され一様な厚さのレジスト膜が表面W1a上に形成された後、分断予定ラインSにのみ紫外光が照射され、露光後の被加工物Wが現像されることで、分断予定ラインSが露出しかつデバイスDがレジスト膜Rにより保護された状態となる。
また、被加工物Wの裏面W2bにはテープ又はハードプレートが保護部材T2として貼着され、裏面W2bは保護部材T2によって保護された状態になる。
溝の形成においては、まず、ゲートバルブ921を開け、搬入出口920から被加工物Wをチャンバ92内に搬入し、表面W1a側を上に向けて被加工物Wを静電チャック90の保持面90a上に載置する。ゲートバルブ921を閉じ、排気装置97によってチャンバ92内を排気し、チャンバ92内を所定の圧力の密閉空間とする。
ガス噴出ヘッド91を所定の高さ位置まで下降させ、その状態でガス供給部93から例えばSFを主体とするエッチングガスをガス拡散空間910に供給し、ガス吐出口912から下方に噴出させる。また、高周波電源95からガス噴出ヘッド91に高周波電力を印加して、ガス噴出ヘッド91と静電チャック90との間に高周波電界を生じさせ、エッチングガスをプラズマ化させる。これに並行して、電極901にバイアス高周波電源95aから電圧を印加することで、静電チャック90の保持面90aと被加工物Wとの間に誘電分極現象を発生させ、電荷の分極による静電吸着力によって被加工物Wを保持面90a上に吸着保持する。
プラズマ化したエッチングガスは、レジスト膜Rで被覆されている各デバイスDはエッチングせずに、分断予定ラインS上を−Z方向に向かって異方性エッチングしていく。そのため、図3に示す分断予定ラインSに沿った格子状の溝M1が板状物W1に形成されていく。
プラズマ化したエッチングガスは、金属からなる膜W2をエッチングしない。そのため、図3に示すように、溝M1の底が膜W2内に到らず、かつ、溝M1の底に膜W2の表面W2aが露出するまでプラズマエッチングを行った後、プラズマエッチングを終了させる。すなわち、図4に示すチャンバ92内へのエッチングガス等の導入及びガス噴出ヘッド91への高周波電力の供給を停止し、また、チャンバ92内のエッチングガスを排気口96から排気装置97に排気し、チャンバ92内部にエッチングガスが存在しない状態とする。
なお、図3に示す溝M1の底に板状物W1がエッチング残し部分として僅かな厚みで残存した状態となるまでプラズマエッチングを行ってもよい。
なお、溝形成ステップは、上記のようなSF6ガス単体によるプラズマエッチングで行われる形態に限定されず、SF6ガスによるプラズマエッチングとC4F8による溝側壁等に対する保護膜堆積(デポジション)とを交互に繰り返すボッシュ法により行われるものとしてもよい。
次いで、図4に示す被加工物Wの表面W1a上からレジスト膜Rを除去する。レジスト膜Rの除去は、例えば、所定薬剤を用いたウェット処理、又はプラズマエッチング装置9によるレジスト膜Rのアッシング(灰化)によって行う。
(2)保持ステップ
上記のように(1−1)切削装置1を用いる溝形成ステップ、又は(1−2)プラズマエッチング装置9を用いる溝形成ステップのいずれかを実施した後、被加工物Wの表面W1a側を保持して被加工物Wの裏面W2b側の膜W2を露出させる保持ステップを行う。
保持ステップにおいては、まず、図5に示すように、被加工物Wの表面W1aに保護テープT3が貼着され、また、被加工物Wの裏面W2bから図2に示すダイシングテープT1又は図4に示す保護部材T2が剥離される。図6に示すように、例えば、被加工物Wの外径よりも大径に形成されている保護テープT3は、リングフレームF2に貼着された状態になっており、裏面W2bが上方に露出した状態の被加工物Wは、リングフレームF2によるハンドリングが可能になる。
図6に示すように、保護テープT3を介してリングフレームF2によって支持された状態の被加工物Wを噴射装置3に搬送する。噴射装置3は、例えば、被加工物Wを吸引保持する保持テーブル30と、被加工物Wに超音波流水を噴射して膜W2に溝M1に沿った破断起点を形成する超音波流水噴射手段31と、被加工物Wに例えば粉末状のドライアイス(固体の二酸化炭素粒子)を噴射物として噴射して溝M1に対応した膜W2を除去する噴射物噴射手段32と、図示しない制御手段とを少なくとも備えている。
CPU及びメモリ等の記憶素子からなる制御手段は、保持テーブル30、超音波流水噴射手段31、及び噴射物噴射手段32に電気的に接続されており、制御手段の制御の下で、超音波流水噴射手段31及び噴射物噴射手段32の移動動作、並びに保持テーブル30の回転動作等が制御される。
保持テーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、図示しない吸引源に連通する保持面30a上で被加工物Wを吸引保持する。保持テーブル30は、鉛直方向(Z軸方向)の軸心周りに回転可能であるとともに、図示しない加工送り手段によってX軸方向に往復移動可能となっている。保持テーブル30の外周部には、例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)の固定クランプ300がリングフレームF2を固定するために均等に配設されている。
リングフレームF2によって支持されている被加工物Wが、保護テープT3側を下にして保持テーブル30の保持面30a上に載置されることで、被加工物Wの裏面W2b側の膜W2が上方に向かって露出した状態となる。そして図示しない吸引源により生み出された吸引力が保持面30aに伝達されることで、保持テーブル30により被加工物Wの表面W1a側が吸引保持される。また、各固定クランプ300によってリングフレームF2が固定される。
(3)超音波流水噴射ステップ
次いで、被加工物Wの裏面W2b側に図6に示す超音波流水噴射手段31から超音波流水を噴射して少なくとも膜W2に溝M1に沿った破断起点を形成する。超音波流水噴射手段31は超音波流水噴射ノズル310を備えており、超音波流水噴射ノズル310は、保持テーブル30の上方に配設されY軸方向及びZ軸方向へ移動可能となっている。また、超音波流水噴射ノズル310は、保持テーブル30の保持面30aに向く噴射口310aを有しており、例えば、噴射口310aの口径は図示しないスライド部材によって所望の大きさに可変となっている。超音波流水噴射ノズル310は、超音波流水噴射ノズル310に対して水(例えば、純水)を供給する水供給源311に配管311aを介して連通している。また、超音波流水噴射ノズル310の内部の噴射口310aの近傍には、圧電素子からなる振動素子等を備え超音波を発振することができる超音波発振部313が配設されており、超音波発振部313には高周波電力を供給する高周波電源314が電気的に接続されている。
被加工物Wの裏面W2b側から溝M1に沿って超音波流水を噴射するにあたって、まず、超音波流水を最初に噴射する一本の溝M1が検出される。溝M1の検出は、例えば、図6に示す溝検出手段39によって実行される。
例えば溝検出手段39は、被加工物Wの直径、被加工物Wの外周縁に形成されたノッチと板状物W1の表面W1aに形成された各分断予定ラインSとの間隔、及び複数の分断予定ラインS同士の間隔等の情報を示す被加工物Wのパターン設計値を記憶している。
また、溝検出手段39は、例えば、保持テーブル30の上方に配設され被加工物Wの図示しないノッチを検出するノッチ検出部390を備えている。ノッチ検出部390は、例えば、光反射型の光学センサで構成されており、被加工物Wを保持する保持テーブル30の回転に伴って被加工物Wの外周がノッチ検出部390の検出領域を通過することで、被加工物Wの外周縁に形成されたノッチを検出することができる。なお、ノッチ検出部390をカメラ等から構成されるものとして、カメラにより形成された撮像画像をノッチ検出部390が画像処理することで被加工物Wのノッチを検出するものとしてもよい。
ノッチ検出部390による被加工物Wのノッチの検出が行われると、溝M1は分断予定ラインSに沿って形成されているため、溝検出手段39は検出したノッチと予め記憶している被加工物Wのパターン設計値とから、基準位置となるノッチの位置に対する超音波流水を噴射させる一本の溝M1の相対的な位置を検出することができる。次いで、溝検出手段39が、ノッチの位置に対する一本の溝M1の位置についての検出信号を図示しない制御手段に送出する。この検出信号を受けた制御手段は、保持テーブル30を所定角度回転させて被加工物Wのノッチを所定の座標位置に位置付けることで、超音波流水を噴射させる一本の溝M1が所望の座標位置に位置付くように調整する。具体的には、例えば、被加工物Wの中心とノッチとを通る仮想線がX軸方向に対して平行になり、かつ、ノッチが−X方向側に位置するように、被加工物Wを保持する保持テーブル30を回転する。そして、例えば、図7に示すように、最初に超音波流水を噴射させる一本の溝M1が、X軸方向に平行に延在する状態になり、かつ、この一本の溝M1のY軸座標位置が認識された状態になる。
なお、溝M1の検出は、図6に示す溝検出手段39によってなされる形態に限定されない。例えば、保持テーブル30をガラス等の透明部材から構成されるものとし、保持テーブル30の下方に配設されたカメラを備えるアライメント手段を噴射装置3が備えるものとする。この場合には、保持テーブル30の下方から光を照射して保持テーブル30を透過させ、被加工物Wの表面W1aの反射光をカメラの撮像素子に結像させることで、被加工物Wの表面W1aが写った撮像画像が形成する。そして、アライメント手段が、カメラにより形成した撮像画像に基づきパターンマッチング等の画像処理を行うことで、被加工物Wの分断予定ラインSに沿って形成されている溝M1を検出することができる。
例えば溝M1に沿って膜W2が波打っている場合においては、被加工物Wの裏面W2b側からカメラによる被加工物Wの撮像を行い、アライメント手段による溝M1の検出を行ってもよい。
次いで、図7に示す被加工物Wを保持する保持テーブル30が往方向である−X方向側(図7における紙面奥側)に送り出されるとともに、超音波流水噴射ノズル310の噴射口310aの直下に座標位置が認識された溝M1の中心線が位置するように、超音波流水噴射ノズル310がY軸方向に移動する。
被加工物Wがさらに所定の加工送り速度で−X方向に送り出されるとともに、水供給源311が水を超音波流水噴射ノズル310に供給する。また、高周波電源314から所定の高周波電力を超音波発振部313に供給すると、超音波発振部313の振動素子が高周波電力を機械振動に変換することで超音波を発振する。そして、発振された超音波は、超音波流水噴射ノズル310の内部において水に対して伝播する。この超音波振動は、図7に示す超音波流水Jの噴射口310aから−Z方向における所定範囲に発生する。そのため、例えばこの超音波流水Jの所定範囲の中間領域に膜W2が位置するように、超音波流水噴射ノズル310の高さ位置が調整される。また、超音波流水Jのスポット径も、溝M1の幅等を考慮して適宜な値に調整される。
超音波流水噴射ノズル310の噴射口310aから下方に向かって噴射された超音波流水Jが溝M1に沿って膜W2に衝突することで、膜W2に少なくとも溝M1に沿った破断起点W2dが形成される。なお、膜W2に、超音波流水Jによって溝M1に沿って破られバリ状になった箇所が形成されていてもよい。
(4)噴射物噴射ステップ
超音波流水Jが噴射された被加工物Wの裏面W2b側に、図6、8に示す噴射物噴射手段32から、例えば噴射物として固体の二酸化炭素粒子を噴射して溝M1に対応する膜W2を除去する噴射ステップを実施する。
噴射物噴射手段32は噴射ノズル320を備えており、噴射ノズル320は、保持テーブル30の上方に配設されY軸方向及びZ軸方向へ移動可能となっている。また、噴射ノズル320は、保持テーブル30の保持面30aに向く噴射口320aを有しており、例えば、噴射口320aの口径は図示しないスライド部材によって所望の大きさに可変となっている。噴射ノズル320は、噴射ノズル320に対して液体の二酸化炭素を供給する二酸化炭素供給源321に配管321aを介して連通している。また、噴射ノズル320は、噴射ノズル320に対して圧縮されたエアを供給するエア供給源322に配管322aを介して連通している。
噴射物噴射ステップにおいては、図8に示すように、噴射ノズル320の噴射口320aの直下に、超音波流水噴射ノズル310(図8においては不図示)から超音波流水Jが噴射されている一本の溝M1の中心線が位置するように噴射ノズル320がY軸方向に移動する。すなわち、噴射ノズル320は超音波流水Jを噴射している超音波流水噴射ノズル310の後方に位置付けられる。
二酸化炭素供給源321から液体の二酸化炭素を噴射ノズル320に供給すると共に、エア供給源322からエアを噴射ノズル320に供給する。液体の二酸化炭素とエアとが噴射ノズル320内で高圧で混合され噴射口320aから噴射物Pとして大気中に噴射されると、断熱膨張によって液体の二酸化炭素の温度が凝固点を下回り、噴射物P中に極めて微細な粉末状のドライアイス(固体の二酸化炭素粒子)が発生する。
被加工物Wが所定の加工送り速度で−X方向側(紙面奥側)に送り出されることで、噴射ノズル320は、溝M1に沿って超音波流水を噴射している超音波流水噴射ノズル310を後方から追いかけるように+X方向側(紙面手前側)に相対的に移動する。噴射ノズル320から噴射された固体の二酸化炭素粒子を含む噴射物Pが、超音波流水Jが噴射された被加工物Wの膜W2に衝突すると、固体の二酸化炭素粒子は変形、破砕して、二酸化炭素ガスへと昇華する。固体の二酸化炭素粒子の昇華で発生する膨張のエネルギーが、破断起点W2dにより板状物W1から分離しやすくなっている溝M1に対応する膜W2に加わることで、膜W2は溝M1上から吹き飛ばされてチップCから除去される。
なお、例えば、図8に示す噴射ノズル320は、固体の二酸化炭素粒子を含む噴射物Pを噴射するのではなく、噴射物として高圧水を被加工物Wの裏面W2b側に噴射して溝M1に対応する膜W2除去できる構成となっていてもよい。この場合には、噴射ノズル320は、配管321aを介して、二酸化炭素供給源321の代わりに水(例えば、純水)を蓄えた水供給源に接続されている。
そして、水供給源から噴射ノズル320に水を供給して、板状物W1が破損したりチップCが飛散したりしない圧力(例えば、100MPa〜300MPa)で噴射口320aから被加工物Wに向かって水を噴射させ、この高圧水で溝M1に対応する膜W2を溝M1上から吹き飛ばしてチップCから除去するものとしてもよい。
例えば、超音波流水噴射ノズル310が一本の溝M1に沿って膜W2に超音波流水Jを噴射し終え、かつ、超音波流水噴射ノズル310を後方から追いかける噴射ノズル320が膜W2に一本の溝M1に沿って噴射物Pを噴射し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが−X方向に進行すると、被加工物Wの−X方向(往方向)での加工送りを一度停止させる。
次いで、超音波流水噴射ノズル310及び噴射ノズル320を+Y方向へ移動して、超音波流水J及び噴射物Pが噴射された溝M1の隣に位置する溝M1と超音波流水噴射ノズル310及び噴射ノズル320とのY軸方向における位置合わせが、被加工物Wのパターン設計値に基づいて行われる。そして、図示しない加工送り手段が、被加工物Wを+X方向(復方向)へ加工送りし、超音波流水Jの噴射が往方向と同様に溝M1に沿って膜W2に対して実施され、溝M1に沿った破断起点W2dが形成される。また、超音波流水Jが噴射された被加工物Wの裏面W2b側に、固体の二酸化炭素粒子を含む噴射物Pが同一の溝M1上を追いかけるように往方向と同様に噴射される。
順次同様にX軸方向に延びる全ての溝M1に沿って超音波流水J及び噴射物Pが被加工物Wの裏面W2b側から膜W2に噴射され、膜W2に超音波流水Jで溝M1に沿った破断起点W2dが形成された後、噴射物Pにより溝M1に対応する膜W2が除去される。さらに、保持テーブル30を90度回転させてから同様の超音波流水J及び噴射物Pの噴射を行うと、縦横全ての溝M1に沿って膜W2に超音波流水Jで破断起点W2dが形成された後、噴射物Pにより溝M1に対応する膜W2が除去される。その結果、図9に示すように、被加工物WをデバイスD及び膜W2を備えた個々のチップCに分割することができる。
本発明に係る加工方法は、被加工物Wの表面W1aから分断予定ラインSに沿って溝M1を形成する溝形成ステップと、溝形成ステップを実施した後、被加工物Wの表面W1a側を保持して被加工物Wの裏面W2b側の膜W2を露出させる保持ステップと、保持ステップを実施した後、被加工物Wの裏面W2b側に超音波流水Jを噴射して少なくとも膜W2に溝M1に沿った破断起点W2dを形成する超音波流水噴射ステップと、超音波流水Jが噴射された被加工物Wの裏面W2b側に噴射物Pを噴射して溝M1に対応する膜W2を除去する噴射物噴射ステップと、を備えているため、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレード110に膜W2による目詰まりを発生させることもなく、超音波流水Jで少なくとも膜W2に溝M1に沿った破断起点W2dを例えば1ラインずつ形成し、かつ膜W2のうち溝M1に対応する部分(膜W2のうちチップCからはみ出す部分)を噴射物Pで1ラインずつ除去して、被加工物WからチップCを作製することができる。
(実施形態2)
以下に、本発明に係る加工方法を実施して図1に示す被加工物WからデバイスDを備えるチップを作製する場合の、加工方法の各ステップについて説明していく。本発明に係る加工方法の実施形態2においては、本発明に係る加工方法の実施形態1と同様に、まず、(1−1)切削装置を用いる溝形成ステップ、又は(1−2)プラズマエッチング装置を用いる溝形成ステップのいずれかを実施して、図3に示すように、全ての分断予定ラインSに沿って膜W2に到らない深さの溝M1を被加工物Wに形成する。
(2)保持ステップ
(1−1)切削装置1を用いる溝形成ステップ、又は(1−2)プラズマエッチング装置9を用いる溝形成ステップのいずれかを実施した後に、図5に示すように、被加工物Wの表面W1aに保護テープT3が貼着され、また、被加工物Wの裏面W2bから図2に示すダイシングテープT1又は図4に示す保護部材T2が剥離される。
図10に示すように、被加工物Wの外径よりも大径に形成されている保護テープT3は、リングフレームF2に貼着されており、被加工物WはリングフレームF2によりハンドリング可能な状態になる。そして、図10に示すように、保護テープT3を介してリングフレームF2によって支持された状態の被加工物Wを噴射装置4に搬送する。噴射装置4は、例えば、被加工物Wを保持する保持テーブル40と、保持テーブル40を回転させる回転手段42と、上端側に円形の開口を備えた有底円筒状のケーシング44とを備えている。
保持テーブル40は、例えば、その外形が円形状であり、ポーラス部材等からなり吸引源に連通する保持面40aを備えている。保持テーブル40の周囲には、リングフレームF2を固定する固定クランプ401が例えば4つ(図示の例においては、2つのみ図示している)均等に配設されている。保持テーブル40は上下動可能となっており、被加工物Wが載置される際には、上昇して被加工物Wの搬入・搬出高さ位置に位置付けられ、また、吸引保持した被加工物Wに噴射物が噴射される際には、ケーシング44内における噴射高さ位置に位置付けられる。
保持テーブル40の下側に配設された回転手段42は、保持テーブル40の底面側に上端が固定され鉛直方向の軸心周りに回転可能なスピンドル420と、モータ等で構成されスピンドル420の下端側に連結する回転駆動源421とを少なくとも備えている。回転駆動源421がスピンドル420を回転させることで、スピンドル420に固定された保持テーブル40も回転する。
保持テーブル40は、ケーシング44の内部空間に収容されている。ケーシング44は、保持テーブル40を囲繞する外側壁440と、外側壁440の下部に一体的に連接し中央にスピンドル420が挿通される開口を有する底板441と、底板441の開口の内周縁から立設する内側壁442とから構成されており、底板441に一端が固定された脚部443により支持されている。保持テーブル40の下面とケーシング44の内側壁442の上端面との間には、スピンドル420に挿嵌されスピンドル420と底板441の開口との隙間に異物を入り込ませないようにする円形状のカバー部材444が配設されている。
ケーシング44内には、保持面40aで吸引保持された被加工物Wの膜W2に超音波流水を噴射することができる超音波流水噴射ノズル45と、膜W2に噴射物として例えば粉末状のドライアイス(固体の二酸化炭素粒子)をエア圧力で噴射することができる噴射ノズル46とが配設されている。超音波流水噴射ノズル45及び噴射ノズル46は、各々ケーシング44の底板441から立設しており、外形が側面視略L字状となっている。超音波流水噴射ノズル45の先端部分に形成された噴射口450及び噴射ノズル46の先端部分に形成された噴射口460は、それぞれ保持テーブル40の保持面40aに向かって開口している。超音波流水噴射ノズル45及び噴射ノズル46は、それぞれZ軸方向の軸心周りに旋回可能となっており、保持テーブル40の上方から退避位置までそれぞれの噴射口450、噴射口460を移動することができる。
超音波流水噴射ノズル45は、超音波流水噴射ノズル45に向けて水(例えば純水)を供給する水供給源47に配管47a及び図示しないロータリージョイントを介して連通している。また、超音波流水噴射ノズル45の内部の噴射口450の近傍には、圧電素子からなる振動素子等を備え超音波を発振することができる超音波発振部451が配設されており、超音波発振部451には高周波電力を供給する高周波電源452が電気的に接続されている。
噴射ノズル46は、配管48a及び図示しないロータリージョイント等を介して、液体の二酸化炭素が蓄えられた二酸化炭素供給源48に接続されている。また、噴射ノズル46は、配管49a及び図示しないロータリージョイント等を介して、圧縮されたエア(圧縮エア)を蓄えたエア供給源49に接続されている。
リングフレームF2によって支持されている被加工物Wが、保護テープT3側を下にして保持テーブル40の保持面40a上に載置されることで、被加工物Wの裏面W2b側の膜W2が上方に向かって露出した状態となる。そして図示しない吸引源が生み出す吸引力が保持面40aに伝達されることで、保持テーブル40により被加工物Wの表面W1a側が吸引保持される。また、各固定クランプ401によりリングフレームF2が固定される。
(3)超音波流水噴射ステップ
次いで、超音波流水噴射ノズル45から被加工物Wの裏面W2b側に超音波流水を噴射して、少なくとも溝M1に沿った破断起点を形成する。まず、被加工物Wを保持した保持テーブル40がケーシング44内における作業高さ位置まで下降する。また、超音波流水噴射ノズル45が旋回移動し、その噴射口450が被加工物Wの膜W2の中央上方に位置付けられる。
高周波電源452から所定の高周波電力を超音波発振部451に供給すると、超音波発振部451が超音波を発振する。そして、水供給源47から超音波流水噴射ノズル45に水を供給することで、発振された超音波は超音波流水噴射ノズル45の内部において水に対して伝播する。この超音波振動は、図10に示す超音波流水Jの噴射口450から−Z方向における所定範囲で発生する。そのため、例えばこの超音波流水Jの所定範囲の中間領域に膜W2が位置するように、保持テーブル40の高さ位置が調整される。
溝M1に対応する膜W2は下方から板状物W1によって支えられていないため、噴射口450から下方に向かって噴射された超音波流水Jが膜W2に衝突することで、膜W2に少なくとも溝M1に沿った破断起点W2dが形成される。なお、膜W2に、超音波流水Jによって溝M1に沿って破られバリ状になっている箇所が形成されていてもよい。超音波流水を噴射する超音波流水噴射ノズル45が、被加工物Wの上方をZ軸方向の軸心周りに所定角度で往復するように旋回移動する。さらに、回転駆動源421がスピンドル420を+Z方向側から見て例えば反時計周り方向に向かって回転させることによって、保持テーブル40が同方向に回転し、被加工物Wの膜W2の全面に超音波流水噴射ノズル45から超音波流水Jが噴射される。
被加工物Wの膜W2に対する超音波流水Jの噴射を所定時間行った後、超音波流水噴射ノズル45に対する水の供給を停止し、超音波流水噴射ノズル45を旋回移動させて被加工物W上方から退避させる。
(4)噴射物噴射ステップ
次いで、図11に示すように、噴射ノズル46が旋回移動し、噴射口460が被加工物Wの膜W2の中央上方に位置付けられる。二酸化炭素供給源48が液体の二酸化炭素を、エア供給源49がエアをそれぞれ噴射ノズル46に供給する。液体の二酸化炭素とエアとが噴射ノズル46内で高圧で混合され噴射口460から噴射物Pとして大気中に噴射されると、噴射物P中に極微細な粉末状のドライアイス(固体の二酸化炭素粒子)が発生する。
さらに、噴射物Pを噴射する噴射ノズル46が、回転する被加工物Wの上方をZ軸方向の軸心周りに所定角度で往復するように旋回移動することで、被加工物Wの膜W2の全面に噴射ノズル46から固体の二酸化炭素粒子を含む噴射物Pが噴射される。固体の二酸化炭素粒子は、被加工物Wの膜W2に衝突すると二酸化炭素ガスへと昇華し、この気体膨張に伴って発生するエネルギーが、破断起点W2dにより板状物W1から分離しやすくなっている溝M1に対応する膜W2に加わることで、膜W2は溝M1上から吹き飛ばされてチップCから除去される。被加工物Wの膜W2に対する噴射物Pの噴射を所定時間行うことで、図9に示すように、被加工物WをデバイスD及び膜W2を備えた個々のチップCに分割することができる。
なお、例えば、図11に示す噴射ノズル46は、固体の二酸化炭素粒子を含む噴射物Pを噴射するのではなく、高圧水を被加工物Wの裏面W2b側に噴射して溝M1に対応する膜W2を除去できる構成となっていてもよい。この場合には、噴射ノズル46は、配管48aを介して、二酸化炭素供給源48の代わりに水(例えば、純水)を蓄えた水供給源に接続されている。
そして、水供給源から噴射ノズル46に水を供給して、板状物W1が破損したりチップCが飛散したりしない圧力(例えば、100MPa〜300MPa)で噴射口460から被加工物Wに向かって水を噴射させ、この高圧水で溝M1に対応する膜W2を溝M1上から吹き飛ばしてチップCから除去するものとしてもよい。
本発明に係る加工方法の実施形態2では、レーザ加工装置を利用せず、また、切削ブレード110に膜W2による目詰まりを発生させることもなく、また、例えば被加工物Wの上方を所定角度で往復するように旋回移動する超音波流水噴射ノズル45から超音波流水Jを噴射して少なくとも溝M1に沿った破断起点W2dを形成し、さらに、被加工物Wの上方を所定角度で往復するように旋回移動する噴射ノズル46から噴射物Pを噴射して膜W2のうち溝M1に対応する部分(膜W2のうちチップCからはみ出す部分)を除去して、被加工物WからチップCを作製することができる。また、膜W2の厚さ等の加工条件に応じて、超音波流水Jの噴射時間及び噴射物Pの噴射時間の好適な時間をそれぞれ決定し、超音波流水Jの噴射時間と噴射物Pの噴射時間とに長短を設けることができる。
W:被加工物 W1:板状物 W1a:被加工物の表面 S:分断予定ライン D:デバイス W1b:板状物の裏面 W2:膜 W2a:膜の表面 W2b:被加工物の裏面
T1:ダイシングテープ F1:環状フレーム M1:溝
1:切削装置 10:チャックテーブル 10a:保持面 100:固定クランプ
11:切削手段 110:切削ブレード 111:スピンドル
9:プラズマエッチング装置
90:静電チャック 90a:静電チャックの保持面 900:支持部材 901:電極
91:ガス噴出ヘッド 910:ガス拡散空間 911:ガス導入口
912:ガス吐出口
92:チャンバ 920:搬入出口 921:ゲートバルブ
93:ガス供給部 94,94a:整合器 95,95a:高周波電源,バイアス高周波電源 96:排気口 97:排気装置
R:レジスト膜 T2:保護部材
3:噴射装置 30:保持テーブル 30a:保持面 300:固定クランプ
31:超音波流水噴射手段 310:超音波流水噴射ノズル 310a:噴射口 311:水供給源 311a:配管
32:噴射物噴射手段 320:噴射ノズル 320a:噴射口 321:二酸化炭素供給源 321a:配管 322:エア供給源 322a:配管
39:溝検出手段 390:ノッチ検出部 F2:リングフレーム T3:保護テープ
4:噴射装置 40:保持テーブル 40a:保持面 401:固定クランプ
42:回転手段 420:スピンドル 421:回転駆動源
44:ケーシング 440:外側壁 441:底板 442:内側壁 443:脚部
444:カバー部材 45:超音波流水噴射ノズル 451:超音波発振部 452:高周波電源 47:水供給源 47a:配管
46:噴射ノズル 48:二酸化炭素供給源 48a:配管
49:エア供給源 49a:配管

Claims (1)

  1. 板状物の裏面に膜が成膜され、複数の分断予定ラインが設定された被加工物の加工方法であって、
    被加工物の表面から該分断予定ラインに沿って溝を形成する溝形成ステップと、
    該溝形成ステップを実施した後、被加工物の表面側を保持して被加工物の裏面側の該膜を露出させる保持ステップと、
    該保持ステップを実施した後、被加工物の該裏面側に超音波流水を噴射して少なくとも該膜に該溝に沿った破断起点を形成する超音波流水噴射ステップと、
    超音波流水が噴射された被加工物の該裏面側に噴射物を噴射して該溝に対応する該膜を除去する噴射物噴射ステップと、を備えた加工方法。
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