JP2018162408A - 4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物 - Google Patents

4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性および剛性を有しながら高い耐衝撃性を備え、さらに高い耐熱性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物を提供すること。【解決手段】 下記要件(A−a)〜(A−c )を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)50.0〜95.0質量部と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)5.0〜50.0質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)とを含む4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)。 (A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量が100〜90.0モル%、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンからなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量が0〜10.0モル%である。(A−b)極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/g。 (A−c)融点(Tm)が200〜260℃である。(B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量が20.0〜95.0モル%、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位の含有量が5.0〜80.0モル%である。(B−b)極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである。(B−c)分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である。(B−d)融点(Tm)が200℃未満の範囲にあるか、融点を示すピークが出現しない。(B−e)−30℃から50℃の温度範囲においてtanδが最大値となる温度(Tg)が14.0℃以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の物性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物に関する。
4−メチル−1−ペンテンと1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセンなどのα―オレフィンとを共重合してなる4−メチル−1−ペンテン系重合体は医療用器具、医療用包装材、実験用器材、化粧品容器等の用途に広く利用されている。4−メチル−1−ペンテン系重合体については、これまでに種々検討されている(特許文献1,2参照)。
WO2005/121192A1 特開2008−144155号公報
4−メチル−1−ペンテン系重合体から作られる成形体は耐衝撃性が十分でない場合があり、耐衝撃性を改良することが求められている。その一方で、4−メチル−1−ペンテン系重合体が利用される各種用途では、成形品に透明性および剛性が要求されることが多い。しかしながら、透明性および剛性を維持しながら高い耐衝撃性を備えた4−メチル−1−ペンテン系重合体はこれまで見出されていなかった。さらには、殺菌等の目的から高い耐熱性も求められている。
本発明は、透明性および剛性を有しながら高い耐衝撃性を備え、さらに高い耐熱性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物を提供することを課題としている。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、特定の組成を有し、かつ特定の特性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物が、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下の[1]〜[3]に関する。
[1] 下記要件(A−a)〜(A−c )を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)50.0〜95.0質量部と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)5.0〜50.0質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)とを含む、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)。
(A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100〜90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0〜10.0モル%である。
(A−b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである。
(A−c)DSCで測定した融点(Tm)が200〜260℃の範囲にある。
(B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が20.0〜95.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が5.0〜80.0モル%である。
(B−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである。
(B−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である。
(B−d)DSCで測定した融点(Tm)が200℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
(B−e) 周波数10rad/sでの−30〜240℃の温度範囲における動的粘弾性測定において、−30℃から50℃の温度範囲における、tanδが最大値となる温度(Tg)が14.0℃以下である。
[2] 下記要件(X−1)〜(X−3)を満たす[1]に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)。
(X−1)JIS K7113に準拠して測定した引張弾性率が400MPa以上である。
(X−2)ASTM D256に準拠して測定した23℃におけるIzod衝撃強度が50J/m以上である。
(X−3)ASTM D1525に準拠して測定したビカット軟化温度が100℃以上である。
[3] [1]または[2]に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)を含む成形体。
本発明によれば、透明性および剛性を有しながら高い耐衝撃性を備え、さらに高い耐熱性を有する4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物を提供することができる。
図1は、実施例および比較例において得られた組成物の引張弾性率に対してIZOD衝撃強度をプロットした図である。
以下、本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物、およびそれを含む成形体について、好適な態様も含めて詳説する。
[4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)]
本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)は、後述する要件(A−a)〜(A−c)を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)50.0〜95.0質量部と、後述する要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)5.0〜50.0質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)とを含む。
4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)における4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の含有量の比率は、(A)および(B)の合計を100質量部として、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)が好ましくは50.0〜90.0質量部、より好ましくは50.0〜80.0質量部、さらに好ましくは60.0〜80.0質量部であり、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)が好ましくは10.0〜50.0質量部、より好ましくは20.0〜50.0質量部、さらに好ましくは20.0〜40.0質量部である。4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の含有量の合計は、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)全体に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の含有量が上記範囲内であると、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)は透明性および剛性を有しながら高い耐衝撃性を備え、さらに高い耐熱性を有する点で好ましい。
さらに、本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)は、下記要件(X−1)〜(X−3)を満たすことが好ましく、さらに下記要件(X−4)を満たすことが好ましい。以下、各要件について説明する。
《要件(X−1)》
JIS K7113に準拠して測定した引張弾性率が400MPa以上である。引張弾性率は好ましくは500MPa以上である。上記下限値以上にあることで剛性が優れる。なお上限については通常1800MPa以下、好ましくは1500MPa以下である。
《要件(X−2)》
ASTM D256に準拠して測定した23℃におけるIzod衝撃性(後ノッチ入り)が50J/m以上である。Izod衝撃強度は好ましくは100J/m以上、より好ましくは200J/m以上である。
《要件(X−3)》
ASTM D1525に準拠して測定したビカット軟化温度が100℃以上である。ビカット軟化温度が100℃以上であると、耐熱性に優れる成形体を得ることができる。ビカット軟化温度は好ましくは110℃以上、より好ましくは120℃以上である。
《要件(X−4)》
内部ヘイズが20%以下である。内部ヘイズが20%以下であると、共重合体組成物(X)の透明性が良好である。内部ヘイズは好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。
[4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)]
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、下記要件(A−a)〜(A−c)を満たす。以下、各要件について説明する。
《要件(A−a)》
要件(A−a)は、本発明の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100〜90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0〜10.0モル%であることである。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、例えば、4−メチル−1−ペンテンの単独重合体(すなわち、4−メチル−1−ペンテン由来の構成単位の含有量が100モル%である重合体)、および4−メチル−1−ペンテンと他のオレフィンとの共重合体である。
ここで、透明性と耐熱性の観点から、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)に含まれる全構成単位に対する4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)は好ましくは92.0〜100モル%、より好ましくは95.0〜100モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種から導かれる構成単位の含有量(U2)は、好ましくは0〜8.0モル%、より好ましくは0〜5.0モル%である。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)が共重合体である場合、4−メチル−1−ペンテンと共重合するエチレン及び炭素原子数3〜20のα−オレフィンとして具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンなどが挙げられる。これらのうち好ましくは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンであり、これらのα−オレフィンは、1種単独でもよく、または2種以上の組み合わせでもよい。
本発明において、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)中の4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の量は、重合反応中に添加する4−メチル−1−ペンテン、ならびに、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)の量によって調整することができる。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、後述する要件を満たす限り、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン以外のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、(U1)と(U2)の合計100wt%に対して、例えば10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。
《要件(A−b)》
要件(A−b)は、135℃のデカリン中で測定した4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にあることである。極限粘度[η]は、好ましくは0.7〜5.0dl/g、より好ましくは0.7〜4.5dl/g、さらに好ましくは1.0〜4.0dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物の成形時の樹脂流動性の点で好ましい。
極限粘度[η]は、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより上記範囲内に調整でき、また、極限粘度[η]の異なる4−メチル−1−ペンテン系重合体を混合して上記範囲内に調整しても構わない。
《要件(A−c)》
要件(A−c)は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)のDSCで測定した融点(Tm)が200〜260℃の範囲にあることである。融点(Tm)は、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の融点(Tm)は、好ましくは200〜250℃、より好ましくは205〜250℃、さらに好ましくは210〜245℃である。融点(Tm)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。融点(Tm)が上記範囲内にある場合、得られる共重合体組成物は耐熱性に優れる。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、上記要件を満たす限り、(共)重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性(共)重合体であってもよい。
[4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の製造方法]
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の製造方法としては、例えば、国際公開第01/27124号、国際公開14/050817号等に記載の方法を採用することができる。4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の製造方法においては、従来公知の重合触媒を用いることができる。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)がグラフト変性(共)重合体である場合は、以下のグラフト変性条件により4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)を製造することができる。
《グラフト変性》
グラフト変性に用いられる極性モノマーとしては、例えば、水酸基含有エチレン性不飽和化合物、アミノ基含有エチレン性不飽和化合物、エポキシ基含有エチレン性不飽和化合物、芳香族ビニル化合物、不飽和カルボン酸またはその誘導体、ビニルエステル化合物、塩化ビニル、カルボジイミド化合物が挙げられる。特に、不飽和カルボン酸またはその誘導体が好ましい。不飽和カルボン酸またはその誘導体としては、カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物、カルボン酸基を有する化合物とアルキルアルコールとのエステル、無水カルボン酸基を1以上有する不飽和化合物が挙げられる。不飽和基としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。
極性モノマーとしては、具体的には、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸〔商標〕(エンドシス-ビシクロ[2.2.1]ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸)等の不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸の誘導体として、例えば、酸ハライド、アミド、イミド、無水物、エステルが挙げられる。かかる誘導体の具体例としては、塩化マレニル、マレイミド、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、グリシジルマレエートが挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸および/またはその誘導体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中では、不飽和ジカルボン酸またはその酸無水物が好適であり、マレイン酸、ナジック酸またはこれらの酸無水物が特に好ましい。
変性は、被変性体である(共)重合体に、極性モノマーをグラフト重合させることにより得られる。被変性体に、極性モノマーをグラフト重合させる際には、極性モノマーは、被変性体100質量部に対して、通常1〜100質量部、好ましくは5〜80質量部の量で使用される。このグラフト重合は、通常ラジカル開始剤の存在下にて行なわれる。
ラジカル開始剤としては、有機過酸化物およびアゾ化合物などを用いることができる。
ラジカル開始剤は、被変性体および極性モノマーとそのまま混合して使用することもできるが、少量の有機溶媒に溶解してから使用することもできる。有機溶媒としては、ラジカル開始剤を溶解し得る有機溶媒であれば特に限定することなく用いることができる。
被変性体に極性モノマーをグラフト重合させる際には、還元性物質を用いてもよい。還元性物質を用いると、極性モノマーのグラフト量を向上させることができる。
被変性体の極性モノマーによるグラフト変性は、従来公知の方法で行うことができ、例えば被変性体を有機溶媒に溶解し、次いで極性モノマーおよびラジカル開始剤などを溶液に加え、通常70〜200℃、好ましくは80〜190℃の温度で、通常0.5〜15時間、好ましくは1〜10時間反応させることにより行うことができる。
押出機などを用いて、被変性体と極性モノマーとを反応させて、変性体、すなわち4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)を含む共重合体組成物(X)を製造することもできる。この反応は、通常は被変性体の融点以上で行う。具体的には、熱可塑性樹脂を変性する場合には、例えば通常120〜300℃、通常0.5〜10分間行われ、好ましくは160〜300℃、より好ましくは180℃〜250℃の温度で行われる。
このようにして得られる変性体の変性量(極性モノマーのグラフト量)は、変性体を100質量%とした場合に、通常0.1〜50質量%、好ましくは0.2〜30質量%、さらに好ましくは0.2〜10質量%である。
また、共重合体組成物(X)に極性モノマーを含有させ、該共重合体組成物(X)に含まれていた4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)の変性を行い、該4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)を変性して得られる4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)を含む共重合体組成物(X)を得ることもできる。極性モノマーの含有量は、特に限定されないが、共重合体組成物(X)100質量%に対して、0.001〜50質量%が好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%、さらに好ましくは0.001〜5質量%であり、最も好ましくは0.01〜3質量%である。極性モノマーの含有量は、目的に応じて、例えば、グラフト条件を適宜に選択することにより、容易に決定できる。
また、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、被変性体を、シランカップリング剤を用いてグラフト変性することにより得られた(共)重合体(A)であってもよい。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N,N'-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
シランカップリング剤を用いて架橋する際は、乾式処理法でも、湿式(スラリー法)処理法でもよい。シランカップリング剤を用いたポリマーの水架橋である4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)は、均一な架橋状態が得られているので、この(共)重合体(A)を含む共重合体組成物(X)は、産業用電線、パイプ等の強度や耐久性が求められる用途に好適に使用される。
4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)として変性体を用いると、他の樹脂との接着性、相溶性に優れ、また得られた成形体表面の濡れ性が改良される場合がある。また、変性体を用いることにより、樹脂以外の他の材料(ガラス、金属、木材など)との相溶性または接着性を付加することができる場合もある。
また、極性モノマー(例えば、不飽和カルボン酸および/またはその誘導体)のグラフト量が上記範囲にあることにより、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)は、極性基含有樹脂(例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、PMMA、ポリカーボネート等)に対して高い接着強度を示す。
[4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)]
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)は、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす。4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)がブレンドポリマーである場合、そのブレンドポリマーが下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす。以下、各要件について説明する。
《要件(B−a)》
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)は、4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が20.0〜95.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が5.0〜80.0モル%である。
本発明において、「エチレン」および「炭素数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)」を「コモノマー」とも記載する。コモノマーから導かれる構成単位は、1種のコモノマーから導かれる構成単位であってもよく、2種以上のコモノマーから導かれる構成単位であってもよい。
(U3)および(U4)が上記範囲であると、得られる組成物が高い耐衝撃性を発現する点で好ましい。
コモノマー組成は、IRまたは13C−NMRにより測定することができる。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)中の各構成単位の含有量は、例えば、重合反応中に添加するそれぞれのオレフィン(例えば、4−メチル−1−ペンテン、エチレン、炭素数3〜20の4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィン)の量によって調整することができる。
炭素数3〜20の4−メチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセンおよび1−エイコセンが挙げられる。
これらの中でも、より好ましくは炭素原子数6〜20のメチル−1−ペンテン以外のα−オレフィンであり、例えば1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンが挙げられる。
その中でも、1−ヘキセン、1−ヘキサデセンおよび1−オクタデセンが特に好ましい。
コモノマーは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)は、後述する要件を満たす限り、エチレンおよび炭素数3〜20のα−オレフィン以外の、他のモノマーに由来する構成単位を有してもよい。他のモノマーに由来する構成単位の含有量の上限値は、(U3)と(U4)の合計100wt%に対して、例えば10wt%以下、好ましくは5wt%以下である。
《要件(B−b)》
要件(B−b)は、135℃のデカリン中で測定した4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gの範囲にあることである。極限粘度[η]は、好ましくは0.7〜5.0dl/g、より好ましくは0.7〜4.5dl/g、さらに好ましくは1.0〜4.0dl/g、特に好ましくは1.0〜3.0dl/gである。極限粘度[η]が上記範囲内であると、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物の成形性、柔軟性に優れる。
極限粘度[η]は、重合系の水素濃度および圧力等を適宜選択することにより上記範囲内に調整でき、また、極限粘度[η]の異なる4−メチル−1−ペンテン系重合体を混合して上記範囲内に調整しても構わない。
《要件(B−c)》
要件(B−c)は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量と数平均分子量との比(Mw/Mn)が、1.0〜3.5の範囲にあることである。Mw/Mnは、好ましくは1.2〜3.5、より好ましくは1.5〜3.0、さらに好ましくは1.5〜2.5である。Mw/Mnが大きいと、組成分布や低分子量成分量が増大し、共重合体組成物の機械特性、成形性、耐衝撃性を損なう可能性がある。Mw/Mnが上記範囲内であると、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物から良好な耐衝撃性を有する成形体が得られる。Mw/Mnは後述するオレフィン重合用触媒を適切に選択することで調整することができる。また、Mw/Mnが大きい重合体を得たい場合は、必要に応じて多段重合法や混合触媒重合法および分子量の異なる4−メチル−1−ペンテン系重合体を混合するなどの方法を用いて調整することができる。
《要件(B−d)》
要件(B−d)は、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)のDSCで測定した融点(Tm)が200℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しないことである。融点(Tm)は、示差走査型熱量測定(昇温速度:10℃/分)によって決定される。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)は、融点(Tm)が160℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しないことが好ましく、融点(Tm)が155℃未満であるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しないことがより好ましい。
融点(Tm)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。融点(Tm)が上記範囲内にある場合、得られる共重合体組成物は柔軟性および耐衝撃性に優れる。
《要件(B−e)》
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の周波数10rad/sでの−30〜240℃の温度範囲における動的粘弾性測定において、−30℃から50℃の温度範囲における、tanδが最大値となる温度(Tg)が14.0℃以下である。tanδが最大値となる温度(Tg)は4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)のガラス転移温度に相当する。好ましくは12.0℃以下、より好ましくは10.0℃以下である。下限については特に制限がないが、通常−30℃以上、好ましくは−10℃以上である。
tanδが最大値となる温度(Tg)は、コモノマー種およびその量を適宜選択することなどにより任意に調整することができる。コモノマーとして要件(B−a)でより好ましいα−オレフィンとして挙げたα−オレフィンを用いることで上記範囲に調整しやすい。tanδが最大値となる温度(Tg)が上記範囲内にある場合、得られる共重合体組成物(X)が耐衝撃性を好適に発現する。
またtanδの最大値は好ましくは0.2より大きく、より好ましくは0.3より大きく、さらに好ましくは0.35よりも大きく、特に好ましくは0.4よりも大きい。
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)は、上記要件を満たす限り、共重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性共重合体であってもよい。4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)がグラフト変性共重合体である場合、そのグラフト変性は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)について示した上記《グラフト変性》に準じる。
[4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の製造方法]
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)は、後述するオレフィン重合用触媒の存在下、4−メチル−1−ペンテンとエチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合することで得ることができる。
[1]オレフィン重合用触媒
オレフィン重合用触媒としては、
(A)架橋メタロセン化合物と、
(B)(b-1) 有機アルミニウムオキシ化合物、
(b-2) 前記メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および
(b-3) 有機アルミニウム化合物
から選ばれる少なくとも1種以上の化合物と
を含む触媒が好ましい。
〈架橋メタロセン化合物(A)〉
架橋メタロセン化合物(A)は、一般式[A1]で表される化合物が好ましく、一般式[A2]で表される化合物がより好ましい。
Figure 2018162408
式[A1]中、Mは周期表第4族遷移金属、例えばチタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数であり、RAおよびRBは、互いに同一かまたは異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができる単核または多核炭化水素残基であり、Yは炭素原子またはケイ素原子であり、RCおよびRDは、互いに同一かまたは異なっていてもよく、水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、互いに結合して環を形成していてもよい。
Figure 2018162408
式[A2]中、R1は炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2〜R10は水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数である。
一般式[A2]で表される架橋メタロセン化合物の中でも、重合特性、入手容易性、上記要件を満たす重合体を得る観点から、一般式[A3]で表される架橋メタロセン化合物が特に好ましい。
Figure 2018162408
式[A3]中、R1bは炭化水素基、ケイ素含有基またはハロゲン含有炭化水素基であり、R2b〜R12bは水素原子、炭化水素基、ケイ素含有基、ハロゲン原子およびハロゲン含有炭化水素基から選ばれ、それぞれ同一でも異なっていてもよく、それぞれの置換基は互いに結合して環を形成してもよい。Mは周期表第4族遷移金属であり、nは1〜3の整数であり、Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子および孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれ、jは1〜4の整数である。
<R 1 からR 10 、R 1b からR 12b
1からR10およびR1bからR12bにおける炭化水素基としては、例えば、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、環状飽和炭化水素基、環状不飽和炭化水素基、飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基が挙げられる。炭化水素基の炭素数は、通常1〜20、好ましくは1〜15、より好ましくは1〜10である。
直鎖状炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デカニル基等の直鎖状アルキル基;アリル基等の直鎖状アルケニル基が挙げられる。
分岐状炭化水素基としては、例えば、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,1−ジメチルブチル基、1−メチル−1−プロピルブチル基、1,1−プロピルブチル基、1,1−ジメチル−2−メチルプロピル基、1−メチル−1−イソプロピル−2−メチルプロピル基等の分岐状アルキル基が挙げられる。
環状飽和炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ノルボルニル基、アダマンチル基、メチルアダマンチル基等の多環式基が挙げられる。
環状不飽和炭化水素基としては、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントラセニル基等のアリール基;シクロヘキセニル基等のシクロアルケニル基;5−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エニル基等の多環の不飽和脂環式基が挙げられる。
飽和炭化水素基が有する1または2以上の水素原子を環状不飽和炭化水素基に置換してなる基としては、例えば、ベンジル基、クミル基、1,1−ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基等のアルキル基が有する1または2以上の水素原子をアリール基に置換してなる基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるケイ素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、トリフェニルシリル基等の式−SiR3(式中、複数あるRはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはフェニル基である。)で表される基が挙げられる。
1からR10およびR1bからR12bにおけるハロゲン含有炭化水素基としては、例えば、トリフルオロメチル基等の、上記炭化水素基が有する1または2以上の水素原子をハロゲン原子に置換してなる基が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bにおけるハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
2からR10およびR2bからR12bまでの置換基のうち、2つの置換基(例:R2bとR3b、R3bとR4b、R5bとR6b、R6bとR7b、R8bとR9b、R9bとR10b、R10bとR11b、R11bとR12b)が互いに結合して環を形成していてもよく、前記環形成は、分子中に2箇所以上存在してもよい。
本明細書において、2つの置換基が互いに結合して形成された環(スピロ環、付加的な環)としては、例えば、脂環、芳香環が挙げられる。具体的には、シクロヘキサン環、ベンゼン環、水素化ベンゼン環、シクロペンテン環が挙げられ、好ましくはシクロヘキサン環、ベンゼン環および水素化ベンゼン環である。また、このような環構造は、環上にアルキル基等の置換基をさらに有していてもよい。
1bは、立体規則性の観点から、炭化水素基であることが好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基であることがより好ましく、アリール基ではないことがさらに好ましく、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基または環状飽和炭化水素基であることがとりわけ好ましく、遊離原子価を有する炭素(シクロペンタジエニル環に結合する炭素)が3級炭素である置換基であることが特に好ましい。
1bとしては、具体的には、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−アミル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基が例示でき、より好ましくはtert−ブチル基、tert−ペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−アダマンチル基等の遊離原子価を有する炭素が3級炭素である置換基であり、特に好ましくはtert−ブチル基、1−アダマンチル基である。
一般式[A3]において、フルオレン環部分は公知のフルオレン誘導体から得られる構造であれば特に制限されないが、R4bおよびR5bは、立体規則性、分子量の観点から、好ましくは水素原子である。
2b、R3b、R6bおよびR7bは、好ましくは水素原子または炭化水素基であり、より好ましくは炭化水素基であり、さらに好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基である。また、R2bとR3bが互いに結合して環を形成し、かつR6bとR7bが互いに結合して環を形成していてもよい。このような置換フルオレニル基としては、例えば、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、オクタヒドロジベンゾフルオレニル基、1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基、1,1,3,3,6,6,8,8-オクタメチル-2,3,6,7,8,10-ヘキサヒドロ-1H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基、1',1',3',6',8',8'-ヘキサメチル-1'H,8'H-ジシクロペンタ[b,h]フルオレニル基が挙げられ、特に好ましくは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレニル基である。
8bは水素原子であることが好ましい。
9bは炭化水素基であることがより好ましく、R9bは直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基等の炭素数2以上のアルキル基、シクロアルキル基またはシクロアルケニル基であることがさらに好ましく、R9bは炭素数2以上のアルキル基であることがとりわけ好ましい。また、合成上の観点からは、R10bおよびR11bは水素原子であることも好ましい。
あるいは、n=1である場合、R9bおよびR10bが互いに結合して環を形成していることがより好ましく、当該環がシクロヘキサン環等の6員環であることが特に好ましい。この場合、R11bは水素原子であることが好ましい。
12bは、炭化水素基であることが好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
<M、Q、nおよびjについて>
Mは第4族遷移金属であり、例えばTi、ZrまたはHfであり、好ましくはZrまたはHfであり、特に好ましくはZrである。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、炭素数10以下の中性の共役もしくは非共役ジエン、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子を示す。
Qでのハロゲン原子としては、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
Qにおける炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基が好ましい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1,1,2,2−テトラメチルプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,1,3−トリメチルブチル基、ネオペンチル基が例示され;炭素数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基が例示される。炭化水素基の炭素数は、5以下であることがより好ましい。
炭素数10以下の中性の共役または非共役ジエンとしては、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η4−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエンが例示される。
アニオン配位子としては、メトキシ、tert−ブトキシ等のアルコキシ基;フェノキシ等のアリールオキシ基;アセテート、ベンゾエート等のカルボキシレート基;メシレート、トシレート等のスルホネート基が例示される。
孤立電子対で配位可能な中性配位子としては、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチルホスフィン等の有機リン化合物;テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類が例示される。
Qの好ましい態様は、ハロゲン原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
nは1〜3の整数であり、好ましくは1または2であり、より好ましくは1である。nが上記値であることが、生成する重合体を効率的に得る観点から好ましい。
jは1〜4の整数であり、好ましくは2である。
以上、一般式[A2]または[A3]で表される架橋メタロセン化合物の構成、すなわちR1〜R10、R1b〜R12b、M、n、Qおよびjについて、好ましい態様を説明した。本発明では、それぞれの好適態様の任意の組合せも好ましい態様である。このような架橋メタロセン化合物は、上記物性を有する本発明の重合体を得るために好適に使用することができる。
一般式[A3]で表される架橋メタロセン化合物としては、(8-オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドまたは(8-(2,3,6,7-テトラメチルフルオレン)-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドが特に好ましい。ここで、上記オクタメチルフルオレンとは1,1,4,4,7,7,10,10-オクタメチル-2,3,4,7,8,9,10,12-オクタヒドロ-1H-ジベンゾ[b,h]フルオレンのことである。
〈化合物(B)〉
《有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)》
有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)としては、一般式[B1]で表される化合物および一般式[B2]で表される化合物等の従来公知のアルミノキサン、一般式[B3]で表される構造を有する修飾メチルアルミノキサン、一般式[B4]で表されるボロン含有有機アルミニウムオキシ化合物が例示される。
Figure 2018162408
式[B1]および[B2]において、Rは炭素数1〜10の炭化水素基、好ましくはメチル基であり、nは2以上、好ましくは3以上、より好ましくは10以上の整数である。式[B1]および[B2]において、Rがメチル基であるメチルアルミノキサンが好適に使用される。
Figure 2018162408
式[B3]において、Meはメチル基であり、Rは炭素数2〜10の炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ独立に2以上の整数である。複数あるRは相互に同一でも異なっていてもよい。修飾メチルアルミノキサン[B3]は、トリメチルアルミニウムとトリメチルアルミニウム以外のアルキルアルミニウムとを用いて調製することができる。このような修飾メチルアルミノキサン[B3]は、一般にMMAO(modified methyl aluminoxane)と呼ばれている。MMAOは、具体的には米国特許第4960878号および米国特許第5041584号で挙げられる方法で調製することが出来る。
また、東ソー・ファインケム社等からも、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとを用いて調製された(すなわち、一般式[B3]においてRがイソブチル基である)修飾メチルアルミノキサンが、MMAOやTMAOという商品名で商業的に生産されている。
MMAOは各種溶媒への溶解性および保存安定性が改善されたアルミノキサンである。
具体的には一般式[B1]または[B2]で表される化合物等のようなベンゼンに対して不溶性または難溶性の化合物とは異なり、MMAOは脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素および芳香族炭化水素に溶解するものである。
Figure 2018162408
式[B4]において、Rcは炭素数1〜10の炭化水素基である。複数あるRdはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜10の炭化水素基である。上記オレフィン重合用触媒を用いた製法では、後述するような高温においても重合体を製造することができる。したがって、特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物をも使用できることができる。また、特開平2−167305号公報に記載されている有機アルミニウムオキシ化合物、特開平2−24701号公報、特開平3−103407号公報に記載されている2種以上のアルキル基を有するアルミノキサンなども好適に使用できる。
なお、上記の「ベンゼン不溶性または難溶性の」有機アルミニウムオキシ化合物とは、60℃のベンゼンに溶解する当該化合物の溶解量が、Al原子換算で通常は10質量%以下、好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下である、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である有機アルミニウムオキシ化合物をいう。
上記例示の有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
《イオン性化合物(b−2)》
架橋メタロセン化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(b−2)(以下、「イオン性化合物(b−2)」ともいう。)としては、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、特開2004−51676号公報、米国特許第5321106号等に記載された、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物が例示される。さらに、ヘテロポリ化合物およびイソポリ化合物も例示される。これらの中では、イオン性化合物(b−2)としては、一般式[B5]で表される化合物が好ましい。
Figure 2018162408
式[B5]において、Re+としては、H+、オキソニウムカチオン、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが例示される。Rf、Rg、RhおよびRiはそれぞれ独立に有機基を示し、好ましくはアリール基またはハロゲン置換アリール基を示す。
上記カルベニウムカチオンとしては、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオン等の三置換カルベニウムカチオンが例示される。
アンモニウムカチオンとしては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオン等のトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオン等のN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオン等のジアルキルアンモニウムカチオンが例示される。
ホスホニウムカチオンとしては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオン等のトリアリールホスホニウムカチオンが例示される。
e+としては、上記例示の中では、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが特に好ましい。
1.R e+ がカルベニウムカチオンの場合(カルベニウム塩)
カルベニウム塩としては、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
2.R e+ がアンモニウムカチオンの場合(アンモニウム塩)
アンモニウム塩としては、トリアルキルアンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩が例示される。
トリアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムが例示される。
N,N−ジアルキルアニリニウム塩としては、具体的には、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが例示される。
ジアルキルアンモニウム塩としては、具体的には、ジイソプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートが例示される。
イオン性化合物(b−2)は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
《有機アルミニウム化合物(b−3)》
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、一般式[B6]で表される有機アルミニウム化合物、一般式[B7]で表される周期表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物が例示される。
a mAl(ORbnpq [B6]
式[B6]において、RaおよびRbはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基であり、Xはハロゲン原子であり、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。
2AlRa 4 [B7]
式[B7]において、M2はLi、NaまたはKであり、複数あるRaはそれぞれ独立に炭素数1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基である。
有機アルミニウム化合物[B6]としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム等のトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム等のトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウム等のトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウム等のトリアリールアルミニウム; ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i−C49xAly(C510z(式中、x、yおよびzは正の数であり、z≦2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウム等のアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド等のアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシド等のジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシド等のアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式Ra 2.5Al(ORb0.5(式中、RaおよびRbは式[B6]中のRaおよびRbと同義である。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジtert−ブチル−4−メチルフェノキシド)等のアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリド等のジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミド等のアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド等のアルキルアルミニウムジハライド等の部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリド等のジアルキルアルミニウムヒドリド、エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリド等のアルキルアルミニウムジヒドリド等の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミド等の部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウム;が例示される。
錯アルキル化物[B7]としては、LiAl(C254、LiAl(C7154が例示される。また、錯アルキル化物[B7]に類似する化合物も使用することができ、窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物が例示される。このような化合物としては、(C252AlN(C25)Al(C252が例示される。
有機アルミニウム化合物(b−3)としては、入手が容易な点から、トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。また、有機アルミニウム化合物(b−3)は、1種で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
〈担体(C)〉
オレフィン重合用触媒の成分として、担体(C)を用いてもよい。担体(C)は、無機化合物または有機化合物であって、顆粒状または微粒子状の固体である。
《無機化合物》
無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土鉱物、粘土(通常は該粘土鉱物を主成分として構成される。)、イオン交換性層状化合物(大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。)が例示される。多孔質酸化物としては、SiO2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、CaO、ZnO、BaO、ThO2;これらの酸化物を含む複合物または混合物が例示される。複合物または混合物としては、天然または合成ゼオライト、SiO2−MgO、SiO2−Al23、SiO2−TiO2、SiO2−V25、SiO2−Cr23、SiO2−TiO2−MgOが例示される。これらの中では、SiO2およびAl23の何れか一方または双方の成分を主成分とする多孔質酸化物が好ましい。
多孔質酸化物は、種類および製法によりその性状は異なるが、粒径が好ましくは10〜300μm、より好ましくは20〜200μmの範囲にあり;比表面積が好ましくは50〜1000m2/g、より好ましくは100〜700m2/gの範囲にあり;細孔容積が好ましくは0.3〜3.0cm3/gの範囲にある。このような多孔質酸化物は、必要に応じて100〜1000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して使用される。無機ハロゲン化物としては、MgCl2、MgBr2、MnCl2、MnBr2が例示される。無機ハロゲン化物は、そのまま用いてもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に用いてもよい。また、アルコール等の溶媒に上記無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させた成分を用いることもできる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。なお、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有されるイオンが交換可能な化合物である。
具体的には、粘土、粘土鉱物としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、合成雲母等のウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ヘクトライト、テニオライト、ハロイサイトが例示され;イオン交換性層状化合物としては、六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、CdI2型等の層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物が例示される。具体的には、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42・H2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HPO42、γ−Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属の結晶性酸性塩が例示される。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理など、何れも使用できる。化学処理としては、具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が例示される。
また、イオン交換性層状化合物は、そのイオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した層状化合物としてもよい。このような嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、通常はピラーと呼ばれる。例えば、層状化合物の層間に下記金属水酸化物イオンをインターカレーションした後に加熱脱水することにより、層間に酸化物支柱(ピラー)を形成することができる。なお、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することをインターカレーションという。
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl4、ZrCl4等の陽イオン性無機化合物;Ti(OR)4、Zr(OR)4、PO(OR)3、B(OR)3等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など);[Al134(OH)247+、[Zr4(OH)142+、[Fe3O(OCOCH36+等の金属水酸化物イオンが例示される。これらのゲスト化合物は、単独で用いてもよく2種以上を併用して用いてもよい。
また、ゲスト化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)4、Al(OR)3、Ge(OR)4等の金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解および重縮合して得た重合物、SiO2等のコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。
無機化合物の中では、粘土鉱物および粘土が好ましく、モンモリロナイト群、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトおよび合成雲母が特に好ましい。
《有機化合物》
有機化合物としては、粒径が10〜300μmの範囲にある顆粒状または微粒子状の固体が例示される。具体的には、エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンを主成分として合成される(共)重合体;ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として合成される(共)重合体;これら(共)重合体の変成体が例示される。
〈有機化合物成分(D)〉
オレフィン重合用触媒の成分として、有機化合物成分(D)を用いてもよい。有機化合物成分(D)は、必要に応じて、α−オレフィンの重合反応における重合性能およびオレフィン重合体の物性を向上させる目的で使用される。有機化合物成分(D)としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩が例示される。
〈オレフィン重合用触媒の構成〉
オレフィン重合用触媒を用いてオレフィンの重合を行うに際して、オレフィン重合用触媒を構成しうる各成分の使用量は以下のとおりである。また、オレフィン重合用触媒において、各成分の含有量を以下のとおりに設定することができる。
(1)オレフィン重合用触媒を用いて、オレフィンの重合を行うに際して、架橋メタロセン化合物(A)は、反応容積1リットル当り、通常は10-9〜10-1モル、好ましくは10-8〜10-2モルとなるような量で用いられる。
(2)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)を用いる場合には、化合物(b−1)は、化合物(b−1)中のアルミニウム原子(Al)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔Al/M〕が、通常は0.01〜5000、好ましくは0.05〜2000となるような量で用いられる。
(3)オレフィン重合用触媒の成分としてイオン性化合物(b−2)を用いる場合には、化合物(b−2)は、化合物(b−2)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−2)/M〕が、通常は1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
(4)オレフィン重合用触媒の成分として有機アルミニウム化合物(b−3)を用いる場合には、化合物(b−3)は、化合物(b−3)と架橋メタロセン化合物(A)中の全遷移金属原子(M)とのモル比〔(b−3)/M〕が、通常は10〜5000、好ましくは20〜2000となるような量で用いられる。
(5)オレフィン重合用触媒の成分として有機化合物成分(D)を用いる場合には、化合物(B)が有機アルミニウムオキシ化合物(b−1)であるときは、有機化合物成分(D)と化合物(b−1)とのモル比〔(D)/(b−1)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)がイオン性化合物(b−2)であるときは、有機化合物成分(D)と化合物(b−2)とのモル比〔(D)/(b−2)〕が、通常は0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で;化合物(B)が有機アルミニウム化合物(b−3)であるときは、有機化合物成分(D)と化合物(b−3)とのモル比〔(D)/(b−3)〕が、通常は0.01〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。
[2]重合方法
4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)の製造において、重合は、溶液重合、懸濁重合等の液相重合法または気相重合法のいずれにおいても実施できる。液相重合法において用いられる不活性炭化水素媒体としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素が挙げられる。不活性炭化水素媒体は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。また、重合に供給されうる液化オレフィン自身を溶媒として用いる、いわゆるバルク重合法を用いることもできる。
当該製造方法において、オレフィンの重合温度は、通常−50〜+200℃、好ましくは0〜180℃であり;重合圧力は、通常常圧〜10MPaゲージ圧、好ましくは常圧〜5MPaゲージ圧である。重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。さらに重合を反応条件の異なる二段以上に分けて行うこともできる。得られる重合体の分子量は、重合系に水素等を存在させるか、重合温度を変化させるか、または成分(B)の使用量により調節することができる。
当該製造方法は、工業的製法において有利な高温条件下であっても、高い触媒活性を維持しつつ、高立体規則性・高融点および高分子量を有する重合体を製造することが可能である。このような高温条件下では、重合温度は、通常40℃以上、好ましくは40〜200℃、より好ましくは45〜150℃、特に好ましくは50〜150℃(換言すれば、特に好ましくは工業化可能な温度である。)である。
特に水素は、触媒の重合活性を向上させる効果や、重合体の分子量を増加または低下させる効果が得られることがあり、好ましい添加物であるといえる。系内に水素を添加する場合、その量はオレフィン1モルあたり0.00001〜100NL程度が適当である。系内の水素濃度は、水素の供給量を調整する以外にも、水素を生成または消費する反応を系内で行う方法や、膜を利用して水素を分離する方法、水素を含む一部のガスを系外に放出することによっても調整することができる。
当該製造方法で得られた重合体に対しては、上記方法で合成した後に、必要に応じて公知の触媒失活処理工程、触媒残渣除去工程、乾燥工程等の後処理工程を行ってよい。
[その他の成分]
4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)は、その用途に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)とは異なる他の重合体および樹脂用添加剤から選ばれる少なくとも1種を任意に含有することができる。以下、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)とは異なる他の重合体を「他の重合体(D)」ともいい、樹脂用添加剤を「添加剤(C)」ともいう。
《他の重合体(D)》
他の重合体(D)としては、本発明の4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)とは異なる熱可塑性樹脂を広く用いることができる。他の重合体(D)の含有量は、共重合体組成物(X)の総質量に対して、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としては、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)とは異なる限り特に制限されないが、
熱可塑性ポリオレフィン系樹脂:例えば、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン等のポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン等のポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、4−メチル−1−ペンテン・α−オレフィン共重合体、環状オレフィン共重合体、塩素化ポリオレフィン、およびこれらのオレフィン系樹脂を変性した変性ポリオレフィン樹脂;
熱可塑性ポリアミド系樹脂:例えば、脂肪族ポリアミド(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612);
熱可塑性ポリエステル系樹脂:例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル系エラストマー;
熱可塑性ビニル芳香族系樹脂:例えば、ポリスチレン、ABS樹脂、AS樹脂、スチレン系エラストマー(スチレン・ブタジエン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソプレン・スチレンブロックポリマー、スチレン・イソブチレン・スチレンブロックポリマー、これらの水素添加物);
熱可塑性ポリウレタン;塩化ビニル樹脂;塩化ビニリデン樹脂;アクリル樹脂;エチレン・酢酸ビニル共重合体等の酢酸ビニル共重合体;エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体;アイオノマー;エチレン・ビニルアルコール共重合体;ポリビニルアルコール;フッ素系樹脂;ポリカーボネート;ポリアセタール;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンサルファイドポリイミド;ポリアリレート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ロジン系樹脂;テルペン系樹脂および石油樹脂;
共重合体ゴム:例えば、エチレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、プロピレン・α−オレフィン・ジエン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン・ジエン共重合体、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム、ポリイソブチレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム;
等が例示される。上述した熱可塑性ポリオレフィン系樹脂のうち、例えばポリエチレン、ポリプロピレンは結晶核剤として用いることもでき、その場合の好ましい含有量は共重合体組成物(X)の総質量に対して、0.001〜5質量%である。
熱可塑性樹脂の中でも、好ましくは、低密度、中密度、高密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ3−メチル−1−ペンテン、ポリ3−メチル−1−ブテン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、スチレン系エラストマー、酢酸ビニル共重合体、エチレン・メタクリル酸アクリレート共重合体、アイオノマー、フッ素系樹脂、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂であり、より好ましくは、耐熱性向上、低温耐性向上、柔軟性の点で、ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、シンジオタクティックポリプロピレン、エチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、1−ブテン・α−オレフィン共重合体、酢酸ビニル共重合体、スチレン系エラストマー、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂および石油樹脂である。
他の重合体(D)の一部または全部は、重合体が極性モノマーによりグラフト変性されて得られたグラフト変性重合体であってもよい。グラフト変性については、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)について示した上記《グラフト変性》に準じる。
他の重合体(D)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
《添加剤(C)》
添加剤(C)としては、例えば、核剤、アンチブロッキング剤、顔料、染料、充填剤、滑剤、可塑剤、離型剤、酸化防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、界面活性剤、帯電防止剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ防止剤、発泡剤、結晶化助剤、防曇剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、衝撃改良剤、架橋剤、共架橋剤、架橋助剤、粘着剤、軟化剤、加工助剤が挙げられる。
添加剤(C)は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
添加剤(C)の含有量は、本発明の目的を損なわない範囲内で用途に応じて、特に限定されないが、共重合体組成物(X)の総質量に対して、配合される添加剤それぞれについて0.001〜30質量%であることが好ましい。
核剤としては、共重合体組成物(X)の成形性をさらに改善させる、すなわち結晶化温度を高め、結晶化速度を速めるために公知の核剤が使用可能である。具体的には、ジベンジリデンソルビトール系核剤、リン酸エステル塩系核剤、ロジン系核剤、安息香酸金属塩系核剤、フッ素化ポリエチレン、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、ピメリン酸やその塩、2,6−ナフタレン酸ジカルボン酸ジシクロヘキシルアミド、エチレンビスステアリン酸アマイド等が挙げられる。
核剤の配合量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.001〜5質量部である。核剤は、重合中、重合後、あるいは成形加工時など適宜添加が可能である。
アンチブロッキング剤としては、公知のアンチブロッキング剤が使用可能である。具体的には、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、テトラフロロエチレン樹脂、微粉末架橋樹脂、例えば架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末、アマイド系滑剤等が挙げられる。これらのうちでは、微粉末シリカおよび架橋されたアクリル、メタクリル樹脂粉末が好ましい。
顔料としては、無機含量(酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、硫化カドミウム等)、有機顔料(アゾレーキ系、チオインジゴ系、フタロシアニン系、アントラキノン系)が挙げられる。染料としてはアゾ系、アントラキノン系、トリフェニルメタン系等が挙げられる。これら顔料および染料の添加量は、特に限定されないが、共重合体組成物(X)の総質量に対して、合計で、通常5質量%以下、好ましくは0.1〜3質量%である。
充填剤としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、シリカ繊維、金属(ステンレス、アルミニウム、チタン、銅等)繊維、カーボンブラック、シリカ、ガラスビーズ、珪酸塩(珪酸カルシウム、タルク、クレー等)、金属酸化物(酸化鉄、酸化チタン、アルミナ等)、金属の炭酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウム)および各種金属(マグネシウム、珪素、アルミニウム、チタン、銅等)粉末、マイカ、ガラスフレークが挙げられる。
滑剤としては、例えば、ワックス(カルナバロウワックス等)、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、高級アルコール(ステアリルアルコール等)、高級脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、芳香族カルボン酸エステル(フタル酸ジブチル等)、脂肪族カルボン酸エステル(メチルアセチルリシノレート等)、脂肪族ジアルボン酸エステル(アジピン酸−プロピレングリコール系ポリエステル等)、脂肪族トリカルボン酸エステル(クエン酸トリエチル等)、リン酸トリエステル(リン酸トリフェニル等)、エポキシ脂肪酸エステル(ステアリン酸エポキシブチル等)、石油樹脂が挙げられる。
離型剤としては、例えば、高級脂肪酸の低級(C1〜4)アルコールエステル(ステアリン酸ブチル等)、脂肪酸(C4〜30)の多価アルコールエステル(硬化ヒマシ油等)、脂肪酸のグリコールエステル、流動パラフィンが挙げられる。
酸化防止剤としては、公知の酸化防止剤が使用可能である。具体的には、フェノール系(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール等)、多環フェノール系(2,2'−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール等)、リン系(トリ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニレンジホスフォネート等)、イオウ系(チオジプロピオン酸ジラウリル等)、アミン系(N,N−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン等)、ラクトン系の酸化防止剤等が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、有機系難燃剤(含窒素系、含硫黄系、含珪素系、含リン系等)、無機系難燃剤(三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、赤リン等)が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸系、アクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
抗菌剤としては、例えば、4級アンモニウム塩、ピリジン系化合物、有機酸、有機酸エステル、ハロゲン化フェノール、有機ヨウ素が挙げられる。
界面活性剤としては、非イオン性、アニオン性、カチオン性または両性の界面活性剤を挙げることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビットもしくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン性界面活性剤が挙げられる。アニオン性界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、高級アルキルアミノプロピオン酸塩等のアミノ酸型両面界面活性剤、高級アルキルジメチルベタイン、高級アルキル時ヒドロキシエチルベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、上記の界面活性剤、脂肪酸エステル、高分子型帯電防止剤が挙げられる。脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸やオレイン酸のエステルが挙げられ、高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミドが挙げられる。
耐熱安定剤としては、例えば、アミン系安定剤、フェノール系安定剤および硫黄系安定剤などの従来公知の安定剤が挙げられる。具体的には、フェニルブチルアミンおよびN,N'−ジ−2−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどの芳香族2級アミン系安定剤;ジブチルヒドロキシトルエンおよびテトラキス[メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ)ヒドロシンナメート]メタン、オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系安定剤;ビス[2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル]スルフィドなどのチオエーテル系安定剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケルなどのジチオカルバミン酸塩系安定剤;2−メルカプトベンゾイルイミダゾールおよび2−メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩;ジラウリルチオジプロピオネートおよびジステアリルチオジプロピオネートなどの硫黄系安定剤などが挙げられる。これらの安定剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
架橋剤としては、例えば、有機ペルオキシドが用いられる。
有機ペルオキシドとしては、例えば、ジクミル有機ペルオキシド、ジ−tert−ブチル有機ペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイル有機ペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイル有機ペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチル有機ペルオキシド、ラウロイル有機ペルオキシド、tert−ブチルクミル有機ペルオキシドが挙げられる。
有機ペルオキシドは、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部の割合で用いられる。
有機ペルオキシドによる架橋処理に際し、架橋助剤として、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p'−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N'−m−フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
上記化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが好適に用いられる。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、重合体との相溶性が良好であり、かつ、有機ペルオキシドを可溶化する作用を有し、有機ペルオキシドの分散剤として働く。このため、均質な架橋効果が得られ、流動性と物性とのバランスのとれた動的熱処理物が得られる。
上記架橋助剤は、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)の総量100質量部に対して、好ましくは0.05〜10質量部の割合で用いられる。
軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の鉱物油系軟化剤、コールタール、コールタールピッチ等のコールタール系軟化剤、ヒマシ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、密ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類、リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸又はその金属塩、ナフテン酸又はその金属石鹸、パイン油、ロジン又はその誘導体、テルペン樹脂、石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質、ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤、ジイソドデシルカーボネート等の炭酸エステル系可塑剤、その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油などが挙げられる。これらのうちで、石油系軟化剤および炭化水素系合成潤滑油が好ましい。
軟化剤の量は、特に限定されないが、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)および他の重合体(D)のの総量100質量部に対して、1〜200質量部の量であることが好ましい。軟化剤は、共重合体組成物(X)を調製する際に加工を容易にするとともにカーボンブラック等の分散を助ける。
〔4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)の製造方法〕
4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)の製造方法は特に限定されないが、例えば、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)、4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)と、必要に応じて他の任意成分とを上述の添加割合で混合したのち、溶融混練して得られる。
溶融混練の方法は、特に制限されず、一般的に市販されている押出機などの溶融混練装置を用いて行うことが可能である。
例えば、混練機にて混練を行う部分のシリンダ温度は、通常220〜320℃、好ましくは250〜300℃である。温度が220℃よりも低いと溶融不足により混練が不十分となり、共重合体組成物の物性の向上が見られにくい。一方、温度が320℃よりも高いと、4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)等の成分の熱分解が起こる場合がある。混練時間は、通常0.1〜30分間、特に好ましくは0.5〜5分間である。混練時間が0.1分に満たないと十分に溶融混練が行われず、また、混練時間が30分を超えると4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)および4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)等の成分の熱分解が起こる場合がある。
<成形体>
4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)を成形することにより成形体が得られる。
(1)成形方法
4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)の成形方法としては、公知の各種の成形方法が適用でき、例えば射出成形や押出成形、射出延伸ブロー成形法、ブロー成形法、キャスト成形法、カレンダ一成形法、プレス成形、スタンピング成形、インフレーション成形、ロール成形等の各種成形法を挙げることができる。これらの成形方法により、目的とする成形体、例えばフィルム、シート、中空成形体、射出成形体、繊維等に加工することができる。成形条件は従来公知の4−メチル−1−ペンテン系重合体の成形条件と同様である。成形体の形状には特に制約はない。例えば、チューブ状、フィルム状、シート状、膜(メンブレン)状、テープ状、板状、棒状、繊維状、不織布状、などである。
(2)用途
本発明の成形体は、従来の4−メチル−1−ペンテン系重合体が用いられうる用途に制約なく用いることができるが、耐衝撃性、耐熱性および透明性を要求される用途にはさらに適している。より具体的な用途には、医療用器具、医療用包装材、実験用器材、化粧品容器、乳幼児用品、食品容器、電子レンジスチーム滅菌用容器および器材がある。
フィルムの用途には制約はなく、例えば、食品、食肉、加工魚、野菜、果物、発酵食品、レトルト食品、菓子、医薬、球根、種子、キノコ等の包材や、ラップフィルム、細胞培養バック、細胞検査フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、ベーキングカートン、各種離型フィルムなどが挙げられる。その他の用途としては、例えば、以下のようなものがあげられる。本発明に係る成形体の用途例を以下に挙げるが、特にこれらに限られない。
容器としては、例えば、食器、調昧料容器、台所用品、レトルト容器、冷凍保存容器、レトルトパウチ、電子レンジ耐熱容器、冷凍食品容器、冷菓カップ、カップ、哺乳瓶、飲料ボトルなどの食品容器、レトルト容器、ボトル容器などや、輸血セット、医療用ボトル、医療用容器、医療用中空瓶、医療バッグ、輸液バッグ、血液保存バック、輸液ボトル、薬品容器、洗剤容器、柔軟剤用容器、漂白剤用容器、シャンプー用容器、リンス用容器、化粧品容器、香水容器、トナー容器、粉末容器、接着剤用容器、ガソリンタンク用容器、灯油用容器、食品容器、耐熱容器、医療用容器、アニマルケージ、理化学実験器具、などが挙げられる。
包材としては、例えば、食品包材、食肉包材、加工魚包材、野菜包材、果物包材、発酵食品包材、菓子包装材、酸素吸収剤包材、レトルト食品用包材、鮮度保持フィルム、医薬包材、細胞培養バック、細胞検査フィルム、球根包材、種子包材、野菜・キノコ栽培用フィルム、耐熱真空成形容器、惣菜容器、惣菜用蓋材、業務用ラップフィルム、家庭用ラップフィルム、ベーキングカートンなどが挙げられる。
フィルムとしては、例えば、フレキシブルプリント基板用離型フィルム、ACM基板用離型フィルム、リジット基板用離型フィルム、リジットフレキシブル基板用離型フィルム、先端複合材料用離型フィルム、炭素繊維複合材硬化用離型フィルム、ガラス繊維複合材硬化用離型フィルム、アラミド繊維複合材硬化用離型フィルム、ナノ複合材硬化用離型フィルム、フィラー充填材硬化用離型フィルム、半導体封止用離型フィルム、偏光板用離型フィルム、拡散シート用離型フィルム、プリズムシート用離型フィルム、反射シート用離型フィルム、離型フィルム用クッションフィルム、燃料電池用離型フィルム、各種ゴムシート用離型フィルム、ウレタン硬化用離型フィルム、エポキシ硬化用離型フィルムなどの離型フィルム、太陽電池セル封止シート、太陽電池セルバックシート、太陽電池用プラスチックフィルム、バッテリーセパレーター、リチウムイオン電池用セパレーター、燃料電池用電解質膜、粘着・接着材セパレーター、導光板、光ディスク、ダイシングテープ・バックグラインドテープ・ダイボンデイングフィルム、二層FCCL、フィルムコンデンサー用フィルムなどの半導体用工程フィルムの基材・粘着材・セパレーター、粘着フィルム、応力緩和フィルム、ペリクル用フィルム、偏光板用フィルム、偏光板用保護フィルム、液品パネル用保護フィルム、光学部品用保護フィルム、レンズ用保護フィルム、電気部品・電化製品用保護フィルム、携帯電話用保護フィルム、パソコン用保護フィルム、タッチパネル用保護フィルム、窓ガラス保護フィルム、焼付塗装用フィルム、マスキングフィルム、コンデンサ-用フィルム、キャパシターフィルム、タブリードフィルム、燃料電池用キャパシターフィルム、反射フィルム、拡散フィルム、積層体(ガラスを含む)、耐放射線フィルム、耐γ線フィルム、多孔フィルムなどの保護フィルム、放熱フィルム・シート、電子部品封止体製造用型枠、LEDモールド、高周波回路用積層板、高周波ケーブル用被覆材、光導波路基板、ガラス繊維複合体、炭素繊維複合体、ガラス中間膜、合わせガラス用フィルム、建材用ウインドウフィルム、アーケードドーム、体育館窓ガラス代替、LCD基板用フィルム、防弾材、防弾ガラス用フィルム、遮熱シート、遮熱フィルム、合皮用離型紙、先端複合材料用離型紙、炭素繊維複合材硬化用離型紙、ガラス繊維複合材硬化用離型紙、アラミド繊維複合材硬化用離型紙、ナノ複合材硬化用離型紙、フィラー充填材硬化用離型紙などの離型紙、耐熱耐水印画紙、包装用フィルム、離型フィルム、通気性フィルム、反射フィルム、合成紙、ディスプレイ用フィルム、ディスプレイ導電フィルム、ディスプレイバリアフィルムなどが挙げられる。
その他の用途としては、例えば、ゴムホース製造用マンドレル、シース、ゴムホース製造用シース、ホース、チューブ、合皮用離型紙、医療用チューブ、産業用チューブ、冷却水配管、温水配管、電線被覆材、ミリ波信号ケーブル被覆材、高周波信号ケーブル被覆材、エコ電線被覆材、車載用ケーブル被覆材、信号ケーブル被覆材、高圧電線用碍子、配線ダクト、化粧品・香水スプレー用チューブ、医療用チューブ、輸液チューブ、パイフ、ワイヤーハーネス、自動車・自動二輪・鉄道車両・航空機・船舶等の内外装材、耐磨耗自動車内外装材、インストルメントパネル表皮、ドアトリム表皮、リアーパッケージトリム表皮、天井表皮、リアピラー表皮、シートバックガーニッシュ、コンソールボックス、アームレスト、エアバックケースリッド、シフトノブ、アシストグリップ、サイドステップマット、メーターカバー、バッテリーキャップ、ヒューズ、自動水洗センサ部品、イグニッション、コイルボビン、ブッシング、バンパ、カーヒーターファン、ラジエータグリル、ホイールキャップ、EV用電源コネクタ、車載用ディスプレイ偏光板、ルーバー、ひじ掛け、レール絶縁版、二輪車防風、リクライニングカバー、トランク内シート、シートベルトバックル、インナー・アウターモール、バンパーモール、サイドモール、ルーフモール、ベルトモールなどのモール材、エアスポイラー、ドアシール、ボディシールなどの自動車用シール材、グラスランチャンネル、泥よけ、キッキングプレート、ステップマット、ナンバ-プレートハウジング、自動車用ホース部材、エアダクトホース、エアダクトカバー、エアインテークパイプ、エアダムスカート、タイミングベルトカバーシール、ボンネットクッション、ドアクッション、カップホルダー、サイドブレーキグリップ、シフトノブカバー、シート調整ツマミ、ワイヤーハーネスグロメット、サスペンションカバーブーツ、ガラスガイド、インナーベルトラインシール、ルーフガイド、トランクリッドシール、モールデッドクォーターウインドガスケット、コーナーモールデイング、グラスエンキャプシユレーション、フードシール、グラスランチャンネル、セカンダリーシール、バンパ一部品、ボディパネル、サイドシールド、ドア表皮、ウェザーストリップ材、ホース、ステアリングホイール、ワイヤーハーネスカバー、シートアジャスターカバーなどの自動車内外装材、制振タイヤ、静動タイヤ、カーレースタイヤ、ラジコンタイヤなどの特殊タイヤ、パッキン、自動車ダストカバー、ランプシール、自動車用ブーツ材、ラックアンドピニオンブーツ、タイミングベルト、ワイヤーハーネス、グロメット、エンプレム、エアフィルタパッキン、自動車用コネクタ、イグニッションコイル、スイッチ、ランプリフレクタ、リレー、電気制御ユニットケース、センサーハウジング、ヘッドランプ、メーター板、ベアリングリテーナ、スラストワッシャー、ランプリフレクタ、ドアハンドル、グレージング、パノラマルーフ、ソレノイバルブ、ECUケース、ユニット接続用コネクタ、オルタネータ、HEV用端子台、電磁弁、コイル封止部品、家具・履物・衣料・袋物・建材等の表皮材、建築用シール材、防水シート、建材シート、配管継ぎ手、化粧台、浴室天井、インペラ、建材ガスケット、建材用ウインドウフィルム、鉄芯保護部材、地盤改良用シート、止水材、目地材、ガスケット、ドア、ドア枠、窓枠、廻縁、巾木、開口枠等、床材、天井材、壁紙、健康用品(例:滑り止めマット・シート、転倒防止フィルム・マット・シート、)、健康器具部材、衝撃吸収パッド、プロテクター・保護具(例:ヘルメット、ガード)、ポーツ用品(例:スポーツ用グリップ、プロテクター)、スポーツ用防具、ラケット、マウスガード、ボール、ゴルフボール、運搬用具(例:運搬用衝撃吸収グリッフ、衝撃吸収シート)、制振パレット、衝撃吸収ダンパー、インシュレーター、履物用衝撃吸収材、衝撃吸収発泡体、衝撃吸収フィルム・シートなどの衝撃吸収材、グリップ材(筆記具、工具、運動用具、乗り物のハンドル、日用品、電気器具、家具等)、カメラボディ及び部品、OA機器部品、複写機構造部品、プリンタ構造部品、航空機用部材、機内食トレー、ファクシミリ構造部品、ポンプ部品、電動工具部品、乾燥洗濯機部品、ヒーターポンプ噴出口・取り出し口、IH炊飯器、炊飯器中フタ、レンジローラーステイリング、掃除機ファンガイド、電子ジャー用ポンプ・フィルターケース、生ごみ処理機部品・処理槽・加熱乾燥部品、ミルク用メーター、フィルターボウル、エスカレータ部品、超音波モーターハウジング、アブソリュートエンコーダー、小型ポンプハウジング、テレビ部材、ヘアドライヤハウジング、照明カバー、雑貨、コーヒードリッパー、加湿器部品、アイロン部品、水道器具部品、水筒、櫛、万年筆、筆箱、鉛筆削り、スポーツレジャー用品、スキーゴーグル、空手・剣道防具、サーフィン用フィン、楽器、養魚槽、サンダル、雪かきスコップ、釣竿ケース、玩具、靴底、靴底ソール、靴のミッドソール・インナーソール、ソール、サンダル、椅子表皮、鞄、ランドセル、ジャンバー・コートなどのウェア、帯、棒、リボン、手帳カバー、ブックカバー、キーホルダー、ペンケース、財布、箸、レンゲ、電子レンジ調理なべ、名刺入れ、定期入れ、吸盤、歯ブラシ、床材、体操用マット、電動工具部材、農機具部材、放熱材、透明基板、防音材、吸音材、クッション材、電線ケーブル、形状記憶材料、コネクタ、スイッチ、プラグ、家電部品(モータ部品、ハウジング等)、医療用ガスケット、スピーカ振動板、医療用キャップ、薬栓、ガスケット、ベビーフード・酪農製品・医薬品・滅菌水等を瓶に充填後、煮沸処理、高圧蒸気滅菌等高温処理される用途のパッキング材、工業用シール材、工業用ミシンテーブル、ナンバープレートハウジング、ペットボトルキャップライナーなどのキャップライナー、プロテクトフィルム粘着層、ホットメルト粘着材などの粘着材、文房具、オフィス用品、OAプリンタ脚、FAX脚、ミシン脚、モータ支持マット、オーディオ防振材などの精密機器・OA機器支持部材、OA用耐熱パッキン、アニマルケージ、ビーカー、メスシリンダー等の理化学実験機器、医療用フィルム・シート、細胞培養用フィルム・シート、シリンジ、CD/DVD/ブルーレイ等光学メディア、光学測定用セル、衣装ケース、クリアーケース、クリアーファイル、クリアーシート、デスクマット、繊維としての用途として、例えば、モノフィラメント、マルチフィラメント、カットファイバー、中空糸、不織布、伸縮性不織布、繊維、防水布、通気性の織物や布、紙おむつ、生理用品、衛生用品、フィルター、バグフィルター、集塵用フィルター、エアクリーナー、中空糸フィルター、浄水フィルター、慮布、慮紙、ガス分離膜、人工肝臓(ケース、中空糸)、濾過機逆浸透膜、人工心肺、注射器シリンジ、三方活栓、輸液セット、外科医用器具、流量計、歯科用器具、コンタクトレンズ殺菌用器具、吸入マスク、分析用セル、搾乳機、火災報知器、消火器、ヘルメット、保護メガネ、ICキャリア、ピックアップレンズ、バーンインソケット、などが挙げられる。
また、コーティング材、コーティングによって得られるフィルム、シート、離型材、撮水材、絶縁膜、接着材、粘着材、コート紙、透明シーラント、シーラント、ホットメルト型粘接着剤、溶剤型粘接着剤、フィルム状粘接着剤、布テープ、クラフトテープ、弾性接着剤などにも好適に使用される。
また、上記4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)は、粉砕処理により微粉末に加工することもできる。得られた微粉末は、例えばインキ組成物や塗料組成物の添加剤として、冶金用粉末組成物の添加剤として、セラミック焼結用粉末組成物の添加剤として、粘着剤の添加剤として、ゴムの添加剤として、トナーの離型剤として、金型離型剤などとして用いられうる。さらには、得られた微粉末は、軸上、歯車、カム、電気部品、カメラ部品、自動車部品、家庭用品向けの部品への樹脂添加剤として、ワックス、グリース、エンジンオイル、ファインセラミックス、メッキなどの樹脂添加剤としても用いられうる。
本発明を実施例に基づき詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[遷移金属錯体の合成]
国際公開第2014/050817号の合成例4に従い、(8‐オクタメチルフルオレン-12'-イル-(2-(アダマンタン-1-イル)-8-メチル-3,3b,4,5,6,7,7a,8-オクタヒドロシクロペンタ[a]インデン))ジルコニウムジクロライドを合成した。この化合物を「メタロセン化合物(a)」とも記載する。
[製造例1]4−メチル−1−ペンテン/1−ヘキサデセン/1−オクタデセン共重合体(B1)
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら室温で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン500mLとシクロヘキサン250mL、リニアレン168(出光興産製)(1−ヘキサデセン、 1−オクタデセン 混合物)94mLおよびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素124.3mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに上記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、開始から20分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4−メチル−1−ペンテン/リニアレン168共重合体(B1)107.7gを得た。
[製造例2]4−メチル−1−ペンテン/1−ヘキセン共重合体(B2)
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら室温で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン350mLとシクロヘキサン250mL、1−ヘキセン250mLおよびトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素71.0mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに上記触媒液0.1mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.1μmol)を装入して重合を開始し、開始から30分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4−メチル−1−ペンテン/1−ヘキセン共重合体(B2)55.8gを得た。
[製造例3]4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体(B’1)
充分に乾燥し窒素置換したシュレンク管に磁気攪拌子を入れ、メタロセン化合物(a)5.0μmolを入れ、修飾メチルアルミノキサンの懸濁液300eq/cat.(n−ヘキサン溶媒、アルミニウム原子換算で1.50mmol)を攪拌しながら室温で加え、メタロセン化合物(a)の濃度が1μmol/mLとなる量のヘプタンを加えて触媒液を調製した。
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素35.5mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度70℃に昇温した。その温度でオートクレーブ内圧が0.34MPaGになるまで窒素を加えた後に、全圧が0.6MPaGになるまでエチレンで加圧した。
このオートクレーブに上記触媒液0.3mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.3μmol)を装入して重合を開始し、重合停止まで全圧0.6MPaGを保つ様にエチレンを供給し、開始から9分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、アセトンとメタノールの1:1溶液中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体(B’1)94.4gを得た。
[製造例4]4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体(B’2)
充分に乾燥し窒素置換した内容積4LのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン1950mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)をAl換算で1.95mmolを装入し、水素91mLを加えた後、450回転/分で撹拌しながら重合温度70℃に昇温した。その温度でオートクレーブ内圧が0.25MPaGになるまで窒素を加えた後に、全圧が0.6MPaGになるまでエチレンで加圧した。
このオートクレーブに上記触媒液0.5mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.5μmol)を装入して重合を開始し、20分後にメタノールを加えて重合を停止した。冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。
その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体(B’2)81.1gを得た。
[製造例5]4−メチル−1−ペンテン/プロピレン共重合体(B’3)
充分に乾燥し窒素置換した内容積1,500mlのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン750mLとトリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(Al濃度:0.5M)0.5mmolを装入し、水素35.5mLを加えた後、850回転/分で撹拌しながら重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに上記触媒液0.3mL(メタロセン化合物(a)の濃度:0.3μmol)を装入して重合を開始し、その後60分間、オートクレーブを内温30℃になるように温度調整した。重合開始60分後、オートクレーブにメタノール3mlを窒素で圧入し重合を停止し、オートクレーブを大気圧まで脱圧した。
反応溶液にアセトンを攪拌しながら注いだ。得られた溶媒を含むゴム状の重合体を130℃、減圧下で12時間乾燥して、4−メチル−1−ペンテン/エチレン共重合体(B’3)45.3gを得た。
[製造例6]4−メチル−1−ペンテン/1−ブテン共重合体(B’4)
充分に乾燥し窒素置換した内容積4LのSUS製オートクレーブに、4−メチル−1−ペンテン740mLとシクロヘキサン1210mLとトリイソブチルアルミニウムのヘキサン溶液(Al濃度:0.5M)をAl換算で1.95mmolを装入し、水素61mLを加えた後、450回転/分で撹拌しながら1−ブテン400gを加えた後に重合温度60℃に昇温した。
このオートクレーブに上記触媒液3.0mL(メタロセン化合物(a)の濃度:3.0μmol)を装入して重合を開始し、21分後にメタノールを加えて重合を停止した。
冷却/脱圧したオートクレーブから取り出した重合液を、メタノール中に投入し、ポリマーを析出させて、濾過回収した。その後回収したポリマーを80℃で12時間減圧乾燥して、4−メチル−1−ペンテン/1−ブテン共重合体(B’4)178.0gを得た。
[製造例7]4−メチル−1−ペンテン/1−ヘキセン共重合体(B’5)
特開2008-144155号公報の実施例5の通りに重合を行い、50.2gの4−メチル−1−ペンテン/1−ヘキセン共重合体(B’5)を得た。
[製造例8]4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体(A1)
国際公開第2006/054613号の比較例7において、4−メチル−1−ペンテンと1−デセンとの割合を変更することによって、4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体(A1)(以下、重合体(A1)ともいう)を得た。
[製造例9]4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体(A2)
[固体触媒成分の調製]
30℃下、充分に窒素置換した100mLの攪拌機を付けた三つ口フラスコ中に、窒素気流下で精製デカン32mL及び固体状ポリメチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製)をアルミニウム原子換算で14.65mmol装入し、懸濁液とした。その懸濁液に、先に合成した触媒(A)50mg(ジルコニウム原子換算で0.059mmol)を4.6mmol/Lのトルエン溶液とし、この溶液12.75mLを撹拌しながら加えた。1.5時間後攪拌を止め、得られた触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄し、デカンに懸濁させてスラリー液(B)50mLを得た。この触媒成分においてZr担持率は100%であった。
[予備重合触媒成分の調製]
上記で調製したスラリー液(B)に、窒素気流下、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を2.0mL、さらに3−メチル−1−ペンテンを7.5mL(5.0g)装入した。1.5時間後攪拌を止め、得られた予備重合触媒成分をデカンテーション法によりデカン50mLで3回洗浄した。この予備重合触媒成分をデカンに懸濁させて、デカンスラリー(C)50mLを得た。デカンスラリー(C)における予備重合触媒成分の濃度は20g/L、1.05mmol−Zr/Lであり、Zr回収率は90%であった。
[重合反応]
室温、窒素気流下で、内容積1Lの攪拌機を付けたSUS製重合器に、精製デカンを425mL、ジイソブチルアルミニウムハイドライドのデカン溶液(アルミニウム原子換算で2.0mmol/mL)を0.5mL(1mol)装入した。次いで、先に調製した予備重合触媒成分のデカンスラリー(C)をジルコニウム原子換算で0.0005mmol加え、水素を50NmL装入した(1回目の水素装入)。次いで、4−メチル−1−ペンテン250mLと1−デセン3.3mLとの混合溶液を2時間かけて重合器内へ連続的に一定の速度で装入した。この装入開始時点を重合開始とし、重合開始から30分かけて45℃へ昇温した後、45℃で4時間保持した。重合開始から150分後に水素を90NmL装入した(2回目の水素装入)。重合開始から4.5時間経過後、室温まで降温し、脱圧した後、ただちに白色固体を含む重合液を濾過して固体状物質を得た。この固体状物質を減圧下、80℃で8時間乾燥し、4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体(A2)を得た。
[製造例10]4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体(A3)
1−デセンの装入量を3.2mLとした以外は製造例9の通りに重合を行い、4−メチル−1−ペンテン/1−デセン共重合体(A3)を得た。
[実施例1〜6、比較例1〜10]
実施例1〜6、比較例2〜10については表2に従った比率で各種重合体を混合して、下記の方法で組成物を得て、続いてプレスシートを作製した。実施例1〜6で作製された組成物が本発明の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)である。
比較例1については重合体A1を単独で用いて、下記の方法で溶融混練しプレスシートを作製した。
なお、比較例9については、他の重合体D1として、旭化成株式会社製タフテック(商標)H1221を表2に従った比率で混合して用い、下記の方法でプレスシートを作製した。
また、比較例10については、他の重合体D2として、Kraton社製クレイトン(商標)G1645Mを表2に従った比率で混合して用い、下記の方法でプレスシートを作製した。
〔溶融混練およびプレスシートの作製〕
製造例1〜10で得た各重合体あるいはその混合物100質量部に対して、二次抗酸化剤としてのBASF製イルガフォス(商標)168を0.2質量部、耐熱安定剤としてのBASF製イルガノックス(商標)1010を0.2質量部配合した。次いで、東洋精機社製ラボプラストミル(2軸バッチ式溶融混練装置)を用い、設定温度260℃で、仕込み量40g(装置バッチ容積:60cm3)、50rpm、5分間の条件で溶融混練して、組成物を作製した。
得られた組成物を、260℃に設定した神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、余熱を3〜7分程度とし、10MPaで3〜5分間加圧した後、20℃に設定した別の神藤金属工業社製油圧式熱プレス機を用い、10MPaで5分間程度圧縮(冷却)して、0.5mm厚、1mm厚、2mm厚または3mm厚のプレスシートを作成した。熱板として5mm厚の真鍮板を用いた。上記方法により作製したプレスシートを、引張弾性率試験、Izod衝撃試験、ビカット軟化温度測定、HAZE測定に用いた。
[各種物性の測定条件]
製造例1〜10で得られた重合体ならびに実施例1〜6および比較例1〜10で得られたプレスシートの各種物性は下記方法により測定した。各重合体の測定結果を表1に、各プレスシートの測定結果を表2に示す。なお、各重合体のコモノマー組成、極限粘度[η]、分子量分布(Mw/Mn)については、溶融混練する前の各重合体をそのまま測定に用いた。DSC測定および固体粘弾性測定については溶融混練後のプレスシートを測定に用いた。表中、「−」は測定していないことを示す。図1に、実施例および比較例において得られた組成物の引張弾性率とIZOD衝撃強度との関係を示す。
〔コモノマー組成測定〕
コモノマーである4−メチル−1−ペンテン、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含量は、以下の装置および条件により、13C−NMRスペクトルより算出した。
ブルカー・バイオスピン製AVANCEIIIcryo−500型核磁気共鳴装置を用いて、溶媒はo−ジクロロベンゼン/ベンゼン−d6(4/1 v/v)混合溶媒、試料濃度は55mg/0.6mL、測定温度は120℃、観測核は13C(125MHz)、シーケンスはシングルパルスプロトンブロードバンドデカップリング、パルス幅は5.0μ秒(45°パルス)、繰返し時間は5.5秒、積算回数は64回とし、ベンゼン−d6の128ppmをケミカルシフトの基準値として測定した。主鎖メチンシグナルの積分値を用い、下記式によってコモノマーから導かれる構成単位の含量を算出した。
コモノマーから導かれる構成単位の含量(%)=[P/(P+M)]×100
ここでPはコモノマー主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示し、Mは4−メチル−1−ペンテン主鎖メチンシグナルの全ピーク面積を示す。
〔極限粘度[η]測定〕
極限粘度[η]は、デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した。具体的には、サンプル約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定した。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/Cの値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
〔分子量分布(Mw/Mn)測定〕
分子量分布は、GPCにより測定した。
装置:ゲル浸透クロマトグラフ HLC-8321 GPC/HT型 (東ソー社製)
有機溶媒:o−ジクロロベンゼン
カラム:TSKgel GMH6−HT 2本、TSKgel GMH6−HTLカラム 2本(何れも東ソー社製)
流速:1.0 ml/分
試料:0.15mg/mL o−ジクロロベンゼン溶液v
温度:140℃
分子量換算 :PS換算/汎用較正法
なお、汎用較正の計算には、Mark−Houwink粘度式の係数を用いた。PSのMark−Houwink係数はそれぞれ、文献(J.Polym.Sci.,Part A−2,8,1803(1970))に記載の値を用いた。
公知の方法によって、標準ポリスチレンサンプルを使用した検量線を用いて解析することで、Mw/Mnを算出した。
〔融点(Tm)測定〕
セイコーインスツルメンツ社製DSC測定装置(DSC220C)により、発熱・吸熱曲線を求め、昇温時の最大融解ピーク位置の温度を融点Tmとした。
測定は、以下のようにして行った。0.5mm厚のプレスシートから試料約5mgを切り出し、測定用アルミパンにつめ、10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、280℃で5分間保持した後、10℃/分の冷却速度で20℃まで降温し、20℃で5分間保持した後、再度10℃/分の加熱速度で20℃から280℃に昇温し、再度50℃/分の冷却速度で50℃まで降温した。2回目の昇温時に発現した融解ピークを、融点(Tm)とした。
〔動的粘弾性測定〕
2mm厚のプレスシートを使用して、さらに動的粘弾性測定に必要な30mm×10mm×2mmの短冊片を切り出した。ANTONPaar社製MCR301を用いて、10rad/sの周波数で−30〜240℃の範囲の動的粘弾性の温度依存性を測定し、損失正接(tanδ)が最大値となる温度およびtanδの最大値を測定した。
なお通常、tanδの最大値となる温度は、ガラス転移が生ずる温度である。
〔引張試験(YM)〕
2mm厚のプレスシートを使用して、JIS K7113に準拠して2号1/2サイズダンベル形試験片を作製し、インストロン社製の万能引張試験機3380にて、引張速度30mm/min、測定温度23℃の条件で引張試験を実施し、引張弾性率(YM)を測定した。
〔Izod衝撃試験〕
3mm厚のプレスシートを使用して、ASTM D256に準拠して株式会社東洋精機製作所のデジタル衝撃試験機 DG−IB型にて23℃でIzod衝撃試験を実施し、Izod衝撃強度を測定した。
〔ビカット軟化温度試験〕
3mm厚のプレスシートを使用して、ASTM D1525に準拠して、安田精機株式会社製の試験機を用い、シリコーン油中、昇温速度50℃毎時間、試験荷重10Nにてビカット軟化温度試験を実施し、ビカット軟化温度を測定した。
〔内部ヘイズ測定〕
ヘイズ(HAZE)測定は、1mm厚プレスシートを使用して、株式会社村上色彩研究所製 ヘイズ・透過率計 HM−150を用いて測定した。
Figure 2018162408
Figure 2018162408
Figure 2018162408
〔実施例と比較例の対比〕
表2および図1より、比較例に対して実施例は衝撃強度が大幅に優れることがわかる。また、比較例の組成物では、共重合体の含有量を増やして引張弾性率を低下させてもIZOD衝撃強度の向上は認められなかったが、実施例においては引張弾性率の低い組成物はより高いIZOD衝撃強度が得られたことが分かる。また、実施例は、耐熱性の指標であるビカット軟化点においても、透明性の指標である内部ヘイズにおいても、好ましい範囲にあることがわかる。

Claims (3)

  1. 下記要件(A−a)〜(A−c )を満たす4−メチル−1−ペンテン(共)重合体(A)50.0〜95.0質量部と、下記要件(B−a)〜(B−e)を満たす4−メチル−1−ペンテン共重合体(B)5.0〜50.0質量部(ただし、(A)および(B)の合計を100質量部とする)とを含む、4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)。
    (A−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U1)が100〜90.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)からなる群より選ばれるオレフィンから導かれる構成単位の含有量(U2)が0〜10.0モル%である。
    (A−b)135℃のデカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである。
    (A−c)DSCで測定した融点(Tm)が200〜260℃の範囲にある。
    (B−a)4−メチル−1−ペンテンから導かれる構成単位の含有量(U3)が20.0〜95.0モル%であり、エチレンおよび炭素原子数3〜20のα−オレフィン(4−メチル−1−ペンテンを除く)から導かれる構成単位の含有量(U4)が5.0〜80.0モル%である。
    (B−b)135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が0.5〜5.0dl/gである。
    (B−c)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定する重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が1.0〜3.5である。
    (B−d)DSCで測定した融点(Tm)が200℃未満の範囲にあるか、またはDSC測定において融点を示すピークが出現しない。
    (B−e) 周波数10rad/sでの−30〜240℃の温度範囲における動的粘弾性測定において、−30℃から50℃の温度範囲における、tanδが最大値となる温度(Tg)が14.0℃以下である。
  2. 下記要件(X−1)〜(X−3)を満たす請求項1に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)。
    (X−1)JIS K7113に準拠して測定した引張弾性率が400MPa以上である。
    (X−2)ASTM D256に準拠して測定した23℃におけるIzod衝撃強度が50J/m以上である。
    (X−3)ASTM D1525に準拠して測定したビカット軟化温度が100℃以上である。
  3. 請求項1または2に記載の4−メチル−1−ペンテン共重合体組成物(X)を含む成形体。
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