JP2018157771A - 菓子用生地 - Google Patents

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Abstract

【課題】 加熱調理した後の食感に弾力がなく、通常の加熱調理した菓子と同等のソフトでしっとりした食感を有し、且つ長期保存後においてもその食感を維持できる加熱調理した菓子を提供すること。【解決手段】 前記生地中には、前記生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して油脂を32〜198重量部、水を40〜280重量部、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を0.4〜6.5重量部含有し、さらに耐糖性α−アミラーゼを前記生地中の穀粉由来の澱粉100gに対して0.4〜50単位(U)含有する菓子用生地を加熱調理して、菓子を作製すること。【選択図】なし

Description

本発明は、菓子用生地およびこれを加熱調理した菓子に関する。
近年、国が推進する食品ロス削減の取り組みもあって、焼き菓子に代表されるケーキを大量製造するメーカーやケーキを販売する大規模小売店では、在庫時間や流通時間に係る商品寿命による食品ロスを減らすために、ケーキの賞味期限が長く、さらに製造直後のソフトでしっとりした食感を長時間維持できるケーキへの要望が強い。
そこで先行文献1には、耐糖性α−アミラーゼとモノグリセリン脂肪酸エステルを含有する水中油型乳化油脂組成物を使用した、全体が軟らかく且つその食感を維持できるスポンジケーキが開示されている(実施例1)。該ケーキにおいて、薄力粉由来の澱粉100重量部に対する油脂含量は3.6重量部、生地比重は0.45g/mlであり、しっとり感の乏しいケーキである。
特開2014−76005号公報
本発明において我々は、乳化剤を含まず、耐糖性α−アミラーゼを含む製菓用油脂組成物を含有する加熱調理した菓子は、加熱調理後1〜2週間は食感に弾力が出て、耐糖性α−アミラーゼを使用していない通常の加熱調理した菓子とは異なる食感になり、加熱調理後2週間を超えると弾力は無くなるものの、老化が始まって食感を悪くすることを見出した。
そこで本発明の目的は、加熱調理した後の食感に弾力がなく、通常の加熱調理した菓子と同等のソフトでしっとりした食感を有し、且つ長期保存後においてもその食感を維持できる加熱調理した菓子を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、菓子用生地中の穀粉由来の澱粉に対して、油脂、水、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)及び耐糖性α−アミラーゼをそれぞれ特定量含有した菓子用生地を加熱調理して得られる菓子は、加熱調理した後の食感に弾力がなく、通常の加熱調理した菓子と同等のソフトでしっとりした食感を有し、且つ長期保存後においてもその食感を維持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の第一は、加熱調理して作製する菓子に用いる生地であって、前記生地中には、前記生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して油脂を32〜198重量部、水を40〜280重量部、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を0.4〜6.5重量部含有し、さらに耐糖性α−アミラーゼを前記生地中の穀粉由来の澱粉100gに対して0.4〜50単位(U)含有する菓子用生地に関する。好ましい実施態様は、生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(B)、乳化剤(C)及び乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.04〜7重量部含有する、前記記載の菓子用生地(乳化剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステル、乳化剤(C):天然レシチン及び/又は天然レシチンの酵素処理物、乳化剤(D):グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル)に関する。より好ましくは、生地に含まれる油脂全体中、30℃で液状の油脂を10重量%以上含有する前記記載の菓子用生地、更に好ましくは、生地の比重が0.75〜1.2g/mlである前記記載の菓子用生地、特に好ましくは、生地中の水中糖濃度が20〜60%且つ水分活性が0.75〜0.98である前記記載の菓子用生地、極めて好ましくは、油脂組成物全体中、油脂を70〜99.39重量%、水を0.1〜29.49重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステル(A)を0.5〜3重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを1〜20単位(U)含有する油中水型乳化油脂組成物を、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して40〜200重量部含有する前記記載の菓子用生地、最も好ましくは、油脂組成物全体中、水相を含まず、油脂を60〜94.77重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステル(A)を5〜18重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを12〜200単位(U)含有する油脂組成物を、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して4〜20重量部含有する前記記載の菓子用生地、に関する。本発明の第二は、油脂組成物全体中、油脂を70〜99.39重量%、水を0.1〜29.49重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステル(A)を0.5〜3重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを1〜20単位(U)含有する油中水型乳化油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、更に油脂組成物全体中、下記乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.1〜3重量%含有する前記記載の油中水型乳化油脂組成物(乳化剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステル、乳化剤(C):天然レシチン及び/又は天然レシチンの酵素処理物、乳化剤(D):グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル)に関する。本発明の第三は、油脂組成物全体中、油脂を60〜94.77重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステル(A)を5〜18重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを12〜200単位(U)含有する水相を含まない油脂組成物に関する。好ましい実施態様は、油脂組成物全体中、下記乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.4〜18重量%含有する前記記載の水相を含まない油脂組成物に関する。本発明の第四は、前記記載の菓子用生地を加熱調理した菓子に関する。
本発明に従えば、加熱調理した後の食感に弾力がなく、通常の加熱調理した菓子と同等のソフトでしっとりした食感を有し、且つ長期保存後においてもその食感を維持できる加熱調理した菓子を提供することができる。
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明の菓子用生地とは、該生地中の穀粉由来の澱粉に対して、油脂、水、特定のグリセリンモノ脂肪酸エステル及び耐糖性α−アミラーゼをそれぞれ特定量含有することが特徴で、該生地を加熱調理することで菓子を得ることができる。
前記穀粉由来の澱粉は、食用の穀粉由来の澱粉であれば特に限定はないが、例えば、小麦粉、米粉、大麦粉、ライ麦粉、燕麦粉、タピオカ粉・馬鈴薯粉・甘藷粉などの芋粉、大豆粉・アーモンド粉・グリーンピース粉・小豆粉・そら豆粉・インゲン豆粉・エンドウ豆粉などの豆類の粉、蕎麦粉、とうもろこし粉、レンコン粉、ユリ根粉、カボチャ粉などを例示でき、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
前記油脂は、食用油脂であれば特に限定はないが、従来からマーガリンやショートニングに用いられている油脂が好ましい。例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、椰子油、ゴマ油、パーム核油、カカオ脂、シア脂、等の植物油や、魚油、牛脂、豚脂、乳脂等の動物油から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、また、これらの油脂をエステル交換して得られた油脂や、硬化及び/又は分別して得られた油脂等を用いることができる。前記生地中に含まれる油脂の量は、前記穀粉由来の澱粉100重量部に対して、32〜198重量部が好ましく、39〜198重量部がより好ましく、65〜198重量部が更に好ましく、78〜158重量部が特に好ましい。含有量が32重量部より少ないと、しっとりした食感が得られない場合がある。また198重量部より多いと、生地がまとまりにくくなる場合がある。
前記油脂全体中には、30℃で液状の油脂を10重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上が更に好ましく、35重量%以上が特に好ましい。なお、30℃で液状の油脂は、100重量%含んでも良い。30℃で液状の油脂の含有量は、10重量%より少ないと、しっとりした食感が劣る場合がある。前記30℃で液状の油脂としては、30℃で液状であれば特に限定はなく、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落花生油、米油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、魚油のほか、パーム油、牛脂、豚脂、乳脂などの常温で固体状もしくは半固体状油脂の分別低融点部等が挙げられ、それらの群より選ばれる少なくとも1種を用いることができる。それらの中では、コストや風味の面から、菜種油、コーン油が好ましい。
前記菓子用生地中の水の含有量は、穀粉由来の澱粉100重量部に対して、40〜280重量部が好ましく、65〜250重量部がより好ましく、105〜210重量部が更に好ましく、130〜184重量部が特に好ましい。含有量が40重量部より少ないと、しっとりした食感が得られない場合がある。また280重量部より多いと、生地がまとまりにくかったり、生地がべたつく場合がある。なお、前記水は添加水の他に、原材料に由来する水も含む。
本発明の菓子用生地には、グリセリンモノ脂肪酸エステル、即ちグリセリンの持つ3つの水酸基の内の1つに飽和脂肪酸がエステル結合したモノグリセリドで、残り2つの水酸基はそのままである乳化剤(A)を含む。前記飽和脂肪酸としては、炭素数8〜22の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14〜20の飽和脂肪酸がより好ましく、16〜18の飽和脂肪酸が更に好ましい。炭素数が8未満や22を超えるものは一般には販売されておらず、入手が困難である。このような炭素数8〜22の飽和脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられ、パルミチン酸、ステアリン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
前記乳化剤(A)は、α結晶型であることが好ましく、α結晶型の乳化剤(A)を得るためには、油脂中で融解したり、乳化剤(A)の融点以上の温水中で融解したものを使用すればよい。
前記乳化剤(A)の生地中の含有量は、前記穀粉由来の澱粉100重量部に対して、0.4〜6.5重量部が好ましく、0.5〜5.5重量部がより好ましく、0.6〜4重量部が更に好ましく、0.7〜2.5重量部が特に好ましい。含有量が0.4重量部より少ないと、加熱調理後の弾力ある食感を抑制する効果が発揮されない場合がある。また6.5重量部を超えると乳化剤の異味が感じられる場合がある。
また本発明の菓子用生地中には、乳化剤(B)、乳化剤(C)及び乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1つの乳化剤を含有することが好ましく、2つ以上を使用することがより好ましく、3つ使用することが特に好ましい。そして3つを使用する場合は、重量比で(B)/(C)/(D)=(10〜40)/(1〜5)/1が好ましく、(15〜35)/(1〜3)/1がより好ましく、(20〜30)/(1〜2)/1が更に好ましい。
前記乳化剤(B)は、ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステルである。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンを重合したポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物で、グリセリンの重合度がnであれば、グリセリンの持つ(n+2)個の水酸基の内のz個(z:1〜(n+2)の整数)の脂肪酸がエステル結合したグリセリドをいい、残りの(n+2−z)個の水酸基はそのままである。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのグリセリン重合度nは、2〜4が好ましく、2〜3がより好ましい。重合度が4を超えると、加熱調理後の弾力ある食感を抑制する効果が発揮されない場合がある。また、主要構成脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。該ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンモノパルミチン酸エステル、テトラグリセリンペンタステアリン酸エステル、テトラグリセリントリステアリン酸エステル等が挙げられ、これらの中でも、特にジグリセリンモノステアリン酸エステルが、加熱調理後の弾力ある食感を抑制する効果が顕著であり好ましい。
前記ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLBは、0〜10が好ましく、2〜8がより好ましい。HLBが0未満のポリグリセリン脂肪酸エステルは一般には販売されておらず、入手が困難であり、HLBが10を超えると、加熱調理後の弾力ある食感を抑制する効果が増強されない場合がある。なお、HLBの算出方法としては、次式で表されるグリフィン法に従えば良い。
HLB値=20×A/B
A:乳化剤の親水基部分の分子量、B:乳化剤の分子量
前記プロピレングリコール脂肪酸エステルは、プロピレングリコールと脂肪酸がエステル結合した乳化剤のことである。該脂肪酸の種類としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸などが挙げられ、このうちパルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。
前記乳化剤(C)は、構造中にリン酸エステル部位をもつ乳化性を有する物質であり、例えば、大豆レシチン、ひまわりレシチン、卵黄レシチン等の天然レシチンやその酵素処理物を挙げることができる。
前記乳化剤(D)は、グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル、即ちグリセリンの持つ3つの水酸基の内の1つに不飽和脂肪酸がエステル結合したモノグリセリドであり、残り2つの水酸基はそのままである。不飽和脂肪酸としては、オレイン酸、リノール酸が好ましく、オレイン酸がより好ましい。
前記乳化剤(B)、乳化剤(C)及び乳化剤(D)の生地中の合計含有量は、前記穀粉由来の澱粉100重量部に対して、0.04〜7重量部が好ましく、0.1〜6重量部がより好ましく、0.5〜5重量部が更に好ましい。含有量が0.04重量部より少ないと、加熱調理後の弾力ある食感を抑制する効果が増強されない場合がある。また7重量部を超えると乳化剤の異味が感じられる場合がある。
前記耐糖性α−アミラーゼは、糖濃度10重量%の水溶液中において、糖濃度0重量%の水溶液中の活性に対して、20%以上の相対活性を有し、澱粉中の糖鎖を主にマルトース単位で切断するα−アミラーゼを意味する。具体例としてはNovozymes A/S社製「OPTICAKE FRESH 50BG」などが挙げられる。
前記生地中に含まれる耐糖性α−アミラーゼの量は、前記穀粉由来の澱粉100gに対して、0.4〜50単位(U)が好ましく、0.65〜35単位(U)がより好ましく、1.3〜25単位(U)が更に好ましく、1.5〜10単位(U)が特に好ましい。含有量が0.4単位(U)より少ないと、ソフトでしっとりした食感を維持できない場合がある。また50単位(U)を超えると噛むとパラパラと砕けるような食感になる場合がある。
前記耐糖性α−アミラーゼの相対活性は、例えば以下のように測定できる。まず、耐糖性α−アミラーゼに対し、希釈液(100mM酢酸バッファー(pH5.0)、5mM塩化カルシウム)を加え、100倍希釈の酵素液を調製する。この酵素液1mlを試験管に入れ、40℃で5分間加温した後、タブレット(Meazyme社製「AMYLAZYME」)を1錠入れて、40℃で正確に10分間反応させる。次に、酵素反応停止液(1重量%リン酸ナトリウム水溶液)を10ml加えて撹拌し、5分間室温で静置する。その後、ろ過を行い、ろ液の吸光度を波長590nmで測定する。得られた値は、既知活性の酵素より作成した検量線を用いて酵素活性値(U)に換算し、「ショ糖を含まない酵素液の酵素活性値」とする。また、ショ糖10重量%を含有する酵素液を調製し、前記と同様にして酵素活性値を算出し、「ショ糖を10重量%含有する酵素液の酵素活性値」とする。ショ糖を10重量%含有する酵素液の酵素活性値の相対活性は、ショ糖を10重量%含有する酵素液の酵素活性値/ショ糖を含まない酵素液の酵素活性値×100(%)、から算出される。
前記菓子用生地の比重は、0.75〜1.2g/mlが好ましく、0.75〜1.1g/mlがより好ましく、0.8〜1.1g/mlが更に好ましく、0.85〜1.1g/mlが特に好ましい。比重が0.75g/mlより小さいとしっとりした食感が得られない場合がある。また1.2g/mlを超えるとソフトな食感が得られない場合がある。比重は、作製した加熱調理前の菓子用生地を計量カップ(100ml)に入れて、重量(g)を測定し、容量(ml)で除して得られる値(g/ml)である。
前記菓子用生地中の水中糖濃度は、20〜60%が好ましく、35〜55%がより好ましく、38〜40%が更に好ましい。水中糖濃度が20%より低いとソフトでしっとりした食感を維持できない場合がある。また60%より高いと耐糖性α−アミラーゼの活性が低下して、ソフトでしっとりした食感が得られない場合がある。前記菓子用生地中の水中糖濃度は、次式で求めることができる。
生地中の水中糖濃度(%)=生地中の糖類含量/(生地中の糖類含量+生地中の全水分量)×100
なお、前記糖類としては、例えばぶどう糖、果糖などの単糖類、砂糖、乳糖、麦芽糖などの二糖類、三糖以上のオリゴ糖、還元麦芽糖水飴、エリスリトール、キシリトール、マルチトールなどの糖アルコール等が挙げられる。
前記菓子用生地の水分活性は、0.75〜0.98が好ましく、0.8〜0.95がより好ましく、0.85〜0.92が更に好ましい。水分活性が0.75より低いとソフトでしっとりした食感が得られない場合がある。また0.98より高いと、ソフトでしっとりした食感を維持できない場合がある。なお水分活性は、露点法(Fleischwirtschaft, vol.52, pp.1461-1462, 1972)に準拠して、水分活性測定装置(デカゴン社製「AQUA LAB CX-2」)を用いて測定することができる。
本発明の菓子用生地に使用できる前記以外の原材料としては、通常菓子に使用される如何なる原材料を使用してもよく、必要に応じて、前記以外の油脂製品、卵、乳原料、ココア、食塩、フルーツ、ナッツ、香辛料、前記以外の乳化剤、香料、着色料、膨張剤、酸化剤、酸化防止剤、増粘剤、酸味料、甘味料、pH調整剤、保存料、前記以外の酵素等の食品添加物を添加してもよい。
前記菓子用生地を作製するためには、前記穀粉由来の澱粉に、前記油脂、前記水、前記乳化剤(A)、前記耐糖性α−アミラーゼなどを別添する方法と、該穀粉由来の澱粉に、前記油脂、前記乳化剤(A)や前記耐糖性α−アミラーゼを含有する油中水型乳化油脂組成物及び/又は水相を含まない油脂組成物と前記水を添加する方法がある。ただし、生地に耐糖性α−アミラーゼを均一に分散させる目的では、前記前記油脂、前記水、前記乳化剤(A)、耐糖性α−アミラーゼを含有する油中水型乳化油脂組成物及び/又は水相を含まない油脂組成物を用いる方が、本発明の効果が発揮され易くて好ましい。
また、前記油中水型乳化油脂組成物及び/又は水相を含まない油脂組成物に加えて、前記乳化剤(A)や前記耐糖性α−アミラーゼなどを生地に直接添加しても良い。その場合、前記油脂組成物から持ち込まれる乳化剤(A)/生地全体中の乳化剤(A)(重量比)は、0.5以上が好ましく、0.7以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましく、1.0が特に好ましい。0.5より小さいとしっとりした食感が劣る場合がある。
また、前記油脂組成物から持ち込まれる耐糖性α−アミラーゼ/生地全体中の耐糖性α−アミラーゼの酵素活性比は、0.7以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、0.9以上が更に好ましく、1.0が特に好ましい。0.7より小さいとソフトでしっとりした食感が劣る場合がある。
前記油中水型乳化油脂組成物は、前記油脂、前記水、前記乳化剤(A)、前記耐糖性α−アミラーゼと、必要に応じて乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を特定量含有することが特徴である。
前記油中水型乳化油脂組成物中の油脂の種類は、前記菓子用生地中の油脂と同様であり、その含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物全体中70〜99.39重量%が好ましく、70〜95重量%がより好ましく、70〜90重量%が更に好ましい。含有量が70重量%より少ないと、相対的に水分が多くなり生地がまとまりにくくて、べたつく場合がある。また99.39重量%を超えると、乳化剤(A)や耐糖性α−アミラーゼなどを添加することができない場合がある。
前記油中水型乳化油脂組成物中の油脂全体中には、30℃で液状の油脂を10重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上が更に好ましく、35重量%以上が特に好ましい。前記油中水型乳化油脂組成物中の30℃で液状の油脂の量が上記範囲にあると、菓子用生地中の30℃で液状の油脂の量を調整し易くなる。なお、上記30℃で液状の油脂は、前記菓子用生地の油脂と同様である。
前記油中水型乳化油脂組成物中の水の含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物全体中0.1〜29.49重量%が好ましく、5〜25重量%がより好ましく、8〜22重量%が更に好ましい。含有量が0.1重量%より少ないと、均一な状態の油中水型乳化油脂組成物が得られない場合がある。また29.49重量%を超えると、乳化が不安定になって、製造時に離水し安定的に生産することが困難となる場合がある。
前記油中水型乳化油脂組成物の乳化剤(A)の種類は、前記菓子用生地中の乳化剤(A)と同様であり、その含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物全体中0.5〜3重量%が好ましく、0.5〜2.5重量%がより好ましく、0.5〜1.5重量%が更に好ましい。含有量が上記範囲内にあると、菓子用生地中の乳化剤(A)の量を調整し易くなる。
前記油中水型乳化油脂組成物中の耐糖性α−アミラーゼは、前記菓子用生地の耐糖性α−アミラーゼと同様であり、その含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物100gに対して、1〜20単位(U)が好ましく、1.5〜15単位(U)がより好ましく、2〜10単位(U)が更に好ましい。含有量が上記範囲内にあると、菓子用生地中の耐糖性α−アミラーゼの量を調整し易くなる。
前記油中水型乳化油脂組成物中の乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)は、前記菓子用生地の乳化剤と同様の種類であり、これらの群より選ばれる少なくとも1つを使用することが好ましく、2つ以上を使用することがより好ましく、3つとも使用することが特に好ましい。そして3つを使用する場合は、乳化剤(B)/乳化剤(C)/乳化剤(D)(重量比)が(10〜40)/(1〜5)/1であることが好ましく、(15〜35)/(1〜3)/1がより好ましく、(20〜30)/(1〜2)/1が更に好ましい。またそれらの合計含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物全体中0.1〜3重量%が好ましく、0.3〜2.5重量%がより好ましく、0.5〜2重量%が更に好ましい。合計含有量が上記範囲内にあると、菓子用生地中の乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)の合計量を調整し易くなる。
本発明の油中水型乳化油脂組成物においては、前記記載の原材料の他に、必要に応じて、糖類、食塩、前記以外の乳化剤、増粘剤、香料、酸化剤及び前記以外の各種酵素などを添加することもできる。
前記油中水型乳化油脂組成物の含有量は、前記水相を含まない油脂組成物を併用しない場合、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して40〜200重量部が好ましく、52〜160重量部がより好ましく、65〜132重量部が更に好ましい。含有量が40重量部より少ないとしっとりした食感が得られない場合がある。また200重量部より多いと、生地がまとまりにくくなる場合がある。
前記水相を含まない油脂組成物は、前記油脂、前記乳化剤(A)、前記耐糖性α−アミラーゼと、必要に応じて乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を特定量含有することが特徴である。
前記水相を含まない乳化油脂組成物中の油脂の種類は、前記菓子用生地の油脂と同様であり、その含有量は、前記水相を含まない乳化油脂組成物全体中60〜94.77重量%が好ましく、70〜93重量%がより好ましく、70〜90重量%が更に好ましい。含有量が60重量%より少ないと、油溶性副原料が増えて可塑性が損なわれる場合がある。含有量が94.77重量%を超えると、所定量の乳化剤(A)や耐糖性α−アミラーゼなどを添加することができない場合がある。
また前記水相を含まない乳化油脂組成物中の前記油脂全体中には、30℃で液状の油脂を10重量%以上含有することが好ましく、20重量%以上がより好ましく、30重量%以上が更に好ましく、35重量%以上が特に好ましい。前記水相を含まない乳化油脂組成物中の30℃で液状の油脂の量が上記範囲にあると、菓子用生地中の30℃で液状の油脂の量を調整し易くなる。なお、上記30℃で液状の油脂は、前記菓子用生地の油脂と同様である。
前記水相を含まない乳化油脂組成物中の乳化剤(A)の種類は、前記菓子用生地中の乳化剤(A)と同様であり、その含有量は、前記水相を含まない乳化油脂組成物全体中5〜18重量%が好ましく、7〜15重量%がより好ましく、9〜12重量%が更に好ましい。含有量が上記範囲内にあると、菓子用生地中の乳化剤(A)の量を調整し易くなる。
前記水相を含まない乳化油脂組成物中の耐糖性α−アミラーゼは、前記菓子用生地の耐糖性α−アミラーゼと同様の物であり、その含有量は、前記水相を含まない乳化油脂組成物100gに対して、12〜200単位(U)が好ましく、15〜150単位(U)がより好ましく、30〜100単位(U)が更に好ましい。含有量が上記範囲内にあると、菓子用生地中の耐糖性α−アミラーゼの量を調整し易くなる。
前記水相を含まない乳化油脂組成物中の乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)は、前記菓子用生地の乳化剤と同様の種類であり、それらの群より選ばれる少なくとも1つを使用することが好ましく、2つ以上を使用することがより好ましく、3つとも使用することが特に好ましい。そして3つを使用する場合は、乳化剤(B)/乳化剤(C)/乳化剤(D)(重量比)が(10〜40)/(1〜5)/1であることが好ましく、(15〜35)/(1〜3)/1がより好ましく、(20〜30)/(1〜2)/1が更に好ましい。また、それらの合計含有量は、前記水相を含まない乳化油脂組成物全体中0.4〜18重量%が好ましく、1〜16重量%がより好ましく、2〜15重量%が更に好ましく、5〜13重量%が特に好ましい。合計含有量が上記範囲内にあると、菓子用生地中の乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)の合計量を調整し易くなる。
本発明の水相を含まない乳化油脂組成物においては、前記記載の原材料の他に、必要に応じて、糖類、食塩、前記以外の乳化剤、増粘剤、香料、酸化剤及び前記以外の各種酵素などを添加することもできる。
前記水相を含まない乳化油脂組成物の含有量は、前記油中水型乳化油脂組成物を併用しない場合、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して4〜20重量部が好ましく、6〜18重量部がより好ましく、10〜15重量部が更に好ましい。含有量が4重量部より少ないとしっとりした食感が得られない場合がある。また20重量部より多いと、生地がまとまりにくくなる場合がある。
前記油中水型乳化油脂組成物と前記水相を含まない油脂組成物とを併用する場合、前記油中水型乳化油脂組成物の含有量は、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して20〜180重量部が好ましく、50〜150重量部がより好ましく、80〜120重量部が更に好ましい。含有量が20重量より少ないとしっとりした食感が劣る場合がある。また180重量部より多いと、生地がまとまりにくくなる場合がある。そして、前記水相を含まない油脂組成物の含有量は、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して2〜18重量部が好ましく、5〜15重量部がより好ましく、8〜12重量部が更に好ましい。含有量が2重量より少ないとしっとりした食感が劣る場合がある。また18重量部より多いと、生地がまとまりにくくなる場合がある。
本発明の油中水型乳化油脂組成物は、例えば次のように製造することができる。まず油脂に、前記乳化剤(A)、前記乳化剤(B)、前記乳化剤(C)、前記乳化剤(D)と必要に応じてその他油溶性成分を溶解させた後、20〜80℃に温調しながら耐糖性α−アミラーゼがダマにならないように分散させて油相部を調製する。次に、水や、必要に応じてその他水溶性成分を溶解させた水相部を調製する。それから前記油相部を攪拌しながら20〜80℃に温調し、そこへ前記水相部投入して油中水型の乳化液を調製し、この乳化液を常法通り冷却捏和し、必要に応じてテンパリング処理して油中水型乳化油脂組成物を得ることができる。
本発明の水相を含まない油脂組成物は、常法のショートニングの製造方法に従い製造すればよく、例えば次のように製造することができる。まず油脂に、前記乳化剤(A)、前記乳化剤(B)、前記乳化剤(C)、前記乳化剤(D)と必要に応じてその他油溶性成分を溶解させた後、20〜80℃に温調しながら耐糖性α−アミラーゼがダマにならないように分散させる。更にこの油脂組成物を冷却捏和し、必要に応じてテンパリング処理して水相を含まない油脂組成物を得ることができる。得られた水相を含まない油脂組成物の性状は固形でも液状でもよい。
本発明の菓子用生地の製造法を以下に例示する。まず、前記穀粉由来の澱粉に対して、前記油脂、前記水、前記乳化剤(A)、前記耐糖性α−アミラーゼと、必要に応じて前記乳化剤(B)、前記乳化剤(C)、前記乳化剤(D)を所定量になるように前記油脂組成物を添加し、更にはその他原材料を添加した後、オールインミックス法、後粉法、シュガーバッター法、フラワーバッター法等、公知の方法に準じて菓子用生地を得ることができる。更に、この菓子用生地を加熱調理することで本発明の菓子を得ることができる。ここで加熱調理とは、焼いたり、揚げたり、蒸したり、蒸し焼きにしたり、レンジ調理したりする加工のことを言い、加熱中の生地温度が80〜120℃で1〜90分間加熱調理することが好ましい。
また、本発明の生地を加熱調理した菓子としては、例えば、フィナンシェ、マドレーヌ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、スポンジケーキ、ブッセ、どら焼き、スコーン、クッキーなどが挙げられる。
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
<菓子の食感評価>
実施例・比較例で得られた菓子(パウンドケーキ、バウムクーヘン、スポンジケーキ、ブッセ、フィナンシェ、スコーン、どら焼き、マドレーヌ、ソフトクッキー)を、熟練した10人のパネラーに食べてもらい、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの観点で各々食感を評価し、その評価点の平均値を食感の評価値とした。その際の評価基準は以下の通りであった。
(ソフトさ)
5点:非常にソフトで軟らかい
4点:ややソフトで軟らかい
3点:普通である
2点:ややソフトさに欠け、硬い
1点:ソフトさに欠け、非常に硬い
(弾力のなさ)
5点:耐糖性α−アミラーゼを含有していない通常の加熱調理した菓子と同等のレベルで、弾力がない
4点:耐糖性α−アミラーゼを含有していない通常の加熱調理した菓子に比べると、若干弾力がある
3点:耐糖性α−アミラーゼを含有していない通常の加熱調理した菓子に比べると、少し弾力がある
2点:耐糖性α−アミラーゼを含有していない通常の加熱調理した菓子に比べると、弾力があり食感が異なる
1点:耐糖性α−アミラーゼを含有していない通常の加熱調理した菓子に比べると、弾力があり食感が明らかに異なる
(しっとりさ)
5点:非常にしっとりしている
4点:しっとりしている
3点:普通である
2点:しっとりさが少なく、やや硬い
1点:しっとりさに欠け、非常に硬い
<総合評価>
加熱調理後1日目及び7日目又は45日目の菓子のソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの各評価結果を基に、総合評価を行った。その際の評価基準は以下の通りである。
A:加熱調理後1日目及び7日目又は45日目の菓子のソフトさ、弾力のなさ、しっとりさが全て4.3点以上5.0点以下を満たすもの
B:加熱調理後1日目及び7日目又は45日目の菓子のソフトさ、弾力のなさ、しっとりさが全て4.0点以上5.0点以下であって、且つ4.0以上4.3未満が少なくとも一つあるもの
C:加熱調理後1日目及び7日目又は45日目の菓子のソフトさ、弾力のなさ、しっとりさが全て3.0点以上5.0点以下であって、且つ3.0以上4.0未満が少なくとも一つあるもの
D:加熱調理後1日目及び7日目又は45日目の菓子のソフトさ、弾力のなさ、しっとりさが全て2.0点以上5.0点以下であって、且つ2.0以上3.0未満が少なくとも一つあるもの
E:加熱調理後1日目及び7日目又は45日目の菓子のソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価において、2.0未満が少なくとも一つあるもの
<生地の水分活性の測定>
水分活性の測定は、25℃に温調した加熱調理前の菓子用生地をプラスチック製容器(直径4cm×高さ1cm)に充填した後、水分活性測定装置(デカゴン社製「AQUA LAB CX-2」)を用いて測定した。
<生地中の水中糖濃度の測定>
生地中の水中糖濃度は、次式に従って計算した。
生地中の水中糖濃度(%)=生地中の糖類含量/(生地中の糖類含量+生地中の全水分量)×100
<生地比重の測定>
比重の測定は、作製した加熱調理前の菓子用生地を計量カップ(100ml)に入れて、重量(g)を測定し、容量(ml)で除して得た。
<実施例及び比較例で使用した原料>
1)(株)カネカ製「菜種油」
2)理研ビタミン(株)製「ポエムV−100」
3)Novozymes A/S製「OPTICAKE FRESH 50BG:51.6単位(U)」
4)FLAVEX Naturextrakte mbH製「Rosemary Antioxidant extract 25% Diterpene Phenols, Type no.027.020」
5)太陽化学(株)製「サンソフトQ−18D」
6)ADM社製「Yelkin TS」
7)理研ビタミン(株)製「エマルジーMO」
8)日清製粉(株)製「バイオレット(澱粉76%、水分14%)」由来の澱粉9)キュピータマゴ(株)製「液全卵(殺菌)(水分76%)」
10)東洋精糖(株)製「上白糖(水分1%)」
11)アイコク(株)製「赤プレミアム(水分4%)」
12)(株)明治製「明治バター(食塩不使用)(油分81%、水分15.9%)」
13)正栄食品工業(株)製「アーモンドプードル皮無(澱粉20%、水分5%)」由来の澱粉
14)キュピータマゴ(株)製「凍結卵白(製菓用)P(水分83%)」
15)日清製粉(株)製「カメリア(澱粉72%、水分14%)」由来の澱粉
16)Church&Dwiht製「Sodium BicarbonateUSP-FCC rade5(重曹) (水分0%)」
17)松谷化学工業(株)製「エリアンVC120(澱粉92%、水分8%)」由来の澱粉
18)三菱商事フードテック(株)製「アマミール(水分29.7%)」
19)公益財団法人塩事業センター製「精製塩(水分0.1%)」
(製造例1) エステル交換した油脂Aの作製
ヤシ油(カネカ社製):50重量部、極度硬化ハイエルシン菜種油(カネカ社製):50重量部を真空下、90℃で脱水を行った。そこへナトリウムメチラート(東ソー社製):0.3重量部を加え、窒素気流下、90℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止後、水洗した。次に、活性白土(水澤化学工業社製):3重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量濾過し、250℃で60分間脱臭してエステル交換油脂Aを得た。
(製造例2) エステル交換した油脂Bの作製
パーム核オレイン(カネカ社製、ヨウ素価:25):26重量部、パーム油(カネカ社製、ヨウ素価:52):69重量部、パームステアリン(カネカ社製、ヨウ素価:32.5):5重量部を真空下、90℃で脱水を行った。そこへナトリウムメチラート(東ソー社製):0.3重量部を加え、窒素気流下、90℃で30分間ランダムエステル交換反応を行い、水を加えて反応停止後、水洗した。次に、活性白土(水澤化学工業社製):3重量部を加え、減圧下で攪拌して20分後に全量濾過し、250℃で60分間脱臭してエステル交換油脂Bを得た。
(製造例3) 液状ショートニングの作製
菜種油(カネカ社製「菜種油」):99.8重量部を70℃に加熱後、レシチン(ADM社製「Yelkin TS」):0.2重量部を溶解し、常法通り掻き取り式チューブラー冷却捏和装置にて冷却捏和して、液状ショートニングを得た。
(製造例4) 起泡性乳化油脂の作製
ステアリン酸モノグリセリド(理研ビタミン社製「エマルジーMS」):3重量部、クエン酸モノグリセリド誘導体(DANISCO A/S社製「クエン酸モノグリセリド」):3重量部、プロピレングリコール脂肪酸エステル(理研ビタミン社製「リケマールPB−100」):4.2重量部、レシチン(ADM社製「Yelkin TS」):0.4重量部、ソルビタン脂肪酸エステル(理研ビタミン社製「ポエムS−65V」):0.4重量部、菜種油(カネカ社製「菜種油」):18重量部を混合してから85℃で完全に溶解させて油相部とした。また、キサンタンガム(大日本住友製薬社製「K−OB」):0.1重量部、ショ糖脂肪酸エステル(三菱化学フーズ社製「S−1170」):4.2重量部、オリゴトース(三和澱粉工業社製「オリゴトース」(水分:27.5%)):45.65重量部、エタノール(信和アルコール産業社製「シュンコールB」(水分:49%)):4重量部、クエン酸三ナトリウム(ADM社製「クエン酸三ナトリウム」):0.05重量部、水:17重量部を混合、加温し65℃で完全に溶解させて水相部とした。該水相部を撹拌しながらそこへ前記油相部を投入して水中油型エマルジョンを調製した。このエマルジョンをホモミキサー(プライミクス社製「型番:T.K.ホモミキサー」)で乳化状態を更に均質化しながら、1℃/分以下の冷却速度で50℃まで冷却した後、撹拌を停止し、乳化を終了した。その後、最大冷却速度が0.1℃/分以下の条件で50℃から20℃まで冷却し、起泡性乳化油脂(水分:31.5重量%)を得た。
(実施例1) 油中水型乳化油脂組成物の作製
表1に示す配合に従って、油中水型乳化油脂組成物を作製した。即ち、エステル交換油脂A、エステル交換油脂Bおよび菜種油を70℃に加熱後、グリセリンモノステアリン酸エステル、バターフレーバー、ローズマリー抽出物を溶解し、更に耐糖性α−アミラーゼを混合して油相部とした。前記油相部を攪拌しながらそこへ70℃に加熱した水を全体量が100重量部になるように投入し、油中水型の乳化液を調製した。この乳化液を60℃に温度を調節し、プロペラミキサーにて攪拌混合した後、常法通り掻き取り式チューブラー冷却捏和装置にて冷却捏和して、油中水型乳化油脂組成物を得た。得られた油中水型乳化油脂組成物中の油脂、水分、乳化剤(A)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表1に示した。
Figure 2018157771
(実施例2,3、比較例1) 油中水型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従い、グリセリンモノステアリン酸エステルの添加量を変更し、添加水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にして油中水型乳化油脂組成物を得た。得られた油中水型乳化油脂組成物中の油脂、水分、乳化剤(A)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表1に示した。
(実施例4,5、比較例2) 油中水型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従い、耐糖性α−アミラーゼの添加量を変更し、添加水で全体量を調整した以外は、実施例1と同様にして油中水型乳化油脂組成物を得た。得られた油中水型乳化油脂組成物中の油脂、水分、乳化剤(A)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表1に示した。
(実施例6) 油中水型乳化油脂組成物の作製
表1の配合に従い、エステル交換油脂Aとエステル交換油脂Bの比率は同じでその合計量を減らし、その分菜種油を増やして油脂の配合量を同じにした以外は、実施例1と同様にして油中水型乳化油脂組成物を得た。得られた油中水型乳化油脂組成物中の油脂、水分、乳化剤(A)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表1に示した。
(実施例7) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2に示す配合に従って、水相を含まない油脂組成物を作製した。即ち、菜種油を70℃に加熱し、グリセリンモノステアリン酸エステル(乳化剤(A))、ローズマリー抽出物、耐糖性α−アミラーゼを混合し、攪拌しながら60℃に品温を調節後、掻き取り式チューブラー冷却捏和装置にて冷却捏和して、水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
Figure 2018157771
(実施例8) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(乳化剤(B))をさらに添加し、その分菜種油の添加量を減らした以外は、実施例7と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A),(B)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(実施例9) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(乳化剤(B))及びレシチン(乳化剤(C))をさらに添加し、その分菜種油の添加量を減らした以外は、実施例7と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A)〜(C)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(実施例10) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、グリセリンモノステアリン酸エステルとジグリセリンモノステアリン酸エステルの比率は同じで、その合計添加量を変更し、その分菜種油の添加量を減らした以外は、実施例9と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A)〜(C)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(実施例11) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、ジグリセリンモノステアリン酸エステル(乳化剤(B))、レシチン(乳化剤(C))及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル(乳化剤(D))をさらに添加し、その分菜種油の添加量を減らした以外は、実施例7と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A)〜(D)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(実施例12) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、レシチン及びグリセリンモノ不飽和脂肪酸エステルの合計量は同じで、これらの配合比率を変えた以外は、実施例11と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A)〜(D)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(比較例3) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、グリセリンモノステアリン酸エステルを添加せず、その分菜種油の添加量を増やした以外は、実施例9と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(B),(C)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(比較例4,5) 水相を含まない油脂組成物の作製
表2の配合に従い、耐糖性α−アミラーゼの添加量を変更し、その分菜種油の変更した以外は、実施例9と同様にして水相を含まない油脂組成物を得た。得られた水相を含まない油脂組成物中の油脂、乳化剤(A)〜(C)、耐糖性α−アミラーゼの含有量は表2に示した。
(実施例13) パウンドケーキの作製
表3の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)、上白糖をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間混合した。次いで、低速で混合しながら液卵をそこへ流し入れ、低速で1分30秒間、中速で1分30秒間混合した。最後に、薄力粉(穀粉由来の澱粉)とベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で30秒間、中速で10秒間混合し、比重0.88g/mlのパウンドケーキ生地を得た。得られた生地370gを型に流し込み、180℃の固定窯で45分間焼成し、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表3に示した。
Figure 2018157771
(実施例14〜18、比較例6,7) パウンドケーキの作製
表3の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を他の油中水型乳化油脂組成物(実施例2〜6、比較例1,2)に変更した以外は、実施例13と同様にしてパウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表3に示した。
(実施例19) パウンドケーキの作製
表3の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)の半量を油中水型乳化油脂組成物(比較例2)と置き換え、更に耐糖性α−アミラーゼを添加した以外は、実施例13と同様にしてパウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表3に示した。
表3から明らかなように、菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、油脂含有量が105.3重量部、水分が144.1重量部、乳化剤(A)の含有量が1.8重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が3.39Uのパウンドケーキ(実施例13)は、加熱調理後1日目に弾力は殆ど感じられず、また加熱調理後45日目はソフトさ、弾力のなさ、しっとりさも良好であった。また、乳化剤(A)の含有量が0.7重量部のパウンドケーキ(実施例14)は、加熱調理後1日目において、弾力は感じられず、ソフトさとしっとりさも良好であり、加熱調理後45日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは殆ど変化していなかった。更に、乳化剤(A)の含有量が2.9重量部のパウンドケーキ(実施例15)は、実施例13のパウンドケーキに比べて加熱調理後1日目の食感はほぼ同等であったが、加熱調理後45日目の商品性は問題ないもののソフト、弾力のなさやしっとりさが劣るものであった。一方、乳化剤(A)を含有していないパウンドケーキ(比較例6)は、実施例13のパウンドケーキに比べて加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトやしっとりさも劣り、その差は加熱調理後45日目において、より顕著になった。
また、耐糖性α−アミラーゼの含有量が2.04Uのパウンドケーキ(実施例16)や14.26Uのパウンドケーキ(実施例17)は、耐糖性α−アミラーゼの含有量が3.39Uのパウンドケーキ(実施例13)に比べ、食感は劣るものの商品性はあるものであった。一方、耐糖性α−アミラーゼを含有しないパウンドケーキ(比較例7)は、弾力のなさは感じなかったものの、ソフトさが劣り、特に加熱調理後45日目においては、ソフトさとしっとりさが損なわれ商品性がないものであった。
生地中の油脂全体中に対する30℃で液状の油脂の含有量を30重量%に増やしたパウンドケーキ(実施例18)は、30℃で液状の油脂の含有量が12.5重量%のパウンドケーキ(実施例13)に比べ、ソフトさとしっとりさがより感じられ好ましいものであった。
実施例13のパウンドケーキと同じ配合組成であるが、耐糖性α−アミラーゼの半量を、油脂組成物からではなく酵素そのものを直接生地に添加したパウンドケーキ(実施例19)は、商品性はあるものの、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの全ての項目において、実施例13のパウンドケーキに劣るものであった。
(実施例20) パウンドケーキの作製
表4の配合に従い、パウンドケーキを作製した。即ち、バター、水相を含まない油脂組成物(実施例7)、上白糖をミキサーボウルに投入し、低速で2分間、中速で2分間混合した。次いで、低速で混合しながら液卵をそこへ流し入れ、低速で1分30秒間、中速で1分30秒間混合した。最後に、薄力粉(穀粉由来の澱粉)とベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で30秒間、中速で10秒間混合し、比重0.88g/mlのパウンドケーキ生地を得た。得られた生地370gを型に流し込み、180℃の固定窯で45分間焼成し、パウンドケーキを得た。得られたパウンドケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表4に示した。
Figure 2018157771
(実施例21〜25、比較例8〜10) パウンドケーキの作製
表4の配合に従い、水相を含まない油脂組成物(実施例7)を他の水相を含まない油脂組成物(実施例8〜12、比較例3〜5)に変更した以外は、実施例20と同様にしてパウンドケーキを作製した。得られたパウンドケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表4に示した。
表4から明らかなように、穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が1.3重量部で、菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が6.79Uのパウンドケーキ(実施例20)は、加熱調理後1日目において、弾力は感じられず、ソフトさとしっとりさが感じられ、加熱調理後45日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさも変化は少なかった。また、乳化剤(A)に加えて、乳化剤(B)を含有するパウンドケーキ(実施例21)は、乳化剤(A)のみのパウンドケーキ(実施例20)に比べ、ソフトさとしっとりさが良好であった。更に、乳化剤(A),(B)に加えて、乳化剤(C)を含有するパウンドケーキ(実施例22)は、乳化剤(A),(B)を含有するパウンドケーキ(実施例21)に比べ、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの全ての項目で良好であった。尚更に、乳化剤(A),(B),(C)に加えて、乳化剤(D)を含有するパウンドケーキ(実施例24)は、乳化剤(A),(B),(C)を含有するパウンドケーキ(実施例22)に比べ、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの全ての項目で良好であり、特に加熱調理後45日目においても変化は少なく、極めて良好なものであった。
また、実施例22のパウンドケーキと同様に、乳化剤(A),(B),(C)の3種類の乳化剤を含有し、それらの比率と合計の添加量を変えたパウンドケーキ(実施例23)も、良好な評価結果であった。
更に、実施例24のパウンドケーキと同様に、乳化剤(A),(B),(C),(D)の4種類の乳化剤を含有し、合計の添加量は同じでこれら乳化剤の比率を変えたパウンドケーキ(実施例25)も良好な評価結果であり、乳化剤の添加量が重量比で(B)/(C)/(D)=30/1.5/1のパウンドケーキ(実施例24)の方が、(B)/(C)/(D)=9/1.6/1のパウンドケーキ(実施例25)よりも、総じて評価が高くより良好であった。
一方、実施例22のパウンドケーキと菓子用生地中の耐糖性α−アミラーゼの含有量が同じで、乳化剤(A)を含有しないパウンドケーキ(比較例8)は、実施例22のパウンドケーキに比べて加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトやしっとりさも劣り、その差は加熱調理後45日目において、より顕著になった。
実施例22のパウンドケーキと菓子用生地中の乳化剤(A),(B),(C)の合計含有量とそれらの含有比率は同じで、耐糖性α−アミラーゼの含有量が0.34Uと少ないパウンドケーキ(比較例9)は、弾力のなさは感じなかったものの、ソフトさが劣り、特に加熱調理後45日目においては、ソフトさとしっとりさが損なわれ商品性がないものであった。また、耐糖性α−アミラーゼの含有量が54.21Uと多いパウンドケーキ(比較例10)は、噛むとパラパラと砕けるような食感で、ソフトさやしっとりさにも欠け、商品性がないものであった。
(実施例26) スポンジケーキの作製
表5の配合に従い、スポンジケーキを作製した。即ち、上白糖、起泡性乳化油脂、液卵をミキサーボウルに投入し、低速で30秒間混合した後、60℃に融解した油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を添加し、30秒間混合した。次に、薄力粉(穀粉由来の澱粉)とベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で30秒間、続いて高速で1分20秒間混合し、比重0.45g/mlのスポンジケーキ生地を作製した。得られた生地350gを型に流し込み、180℃の固定窯で40分間焼成し、スポンジケーキを得た。得られたスポンジケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表5に示した。
Figure 2018157771
(比較例11) スポンジケーキの作製
表5の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を、油中水型乳化油脂組成物油脂組成物(比較例1)に変更した以外は、実施例26と同様にしてスポンジケーキを得た。得られたスポンジケーキのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表5に示した。
表5から明らかなように、穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が0.97重量部のスポンジケーキ(実施例18)は、加熱調理後1日目において、弾力は感じられず、ソフトさとしっとりさも良好であり、加熱調理後7日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは殆ど変化していなかった。一方、乳化剤(A)の含有量が0.39重量部のスポンジケーキ(比較例11)は、実施例26のスポンジケーキに比べて加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトやしっとりさも劣り、その差は加熱調理後7日目において、より顕著であった。
(実施例27) バウムクーヘンの作製
表6の配合に従い、バウムクーヘンを作製した。即ち、上白糖、起泡性乳化油脂(製造例4)、35℃に温調した液卵をミキサーボウルに投入し、低速で1分間、中速1分間混合した。次いで、薄力粉(穀粉由来の澱粉)とベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で30秒間後、高速で1分間混合し、比重0.6g/mlに調整した。そこに、60℃に融解した油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を加えてから低速で均一に混合し、最終比重0.65g/mlのバウムクーヘン生地を作製した。得られた生地を、バウムクーヘン焼成機を使用して420〜430℃で焼成して、バウムクーヘンを得た。得られたバウムクーヘンのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表6に示した。
Figure 2018157771
(実施例28) バウムクーヘンの作製
表6の配合に従い、起泡性乳化油脂(製造例4)の配合量を変更し、最終の生地比重を0.78g/mlに調整した以外は、実施例27と同様にしてバウムクーヘンを得た。得られたバウムクーヘンのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表6に示した。
(比較例12) バウムクーヘンの作製
表6の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を、油中水型乳化油脂組成物油脂組成物(比較例2)に変更した以外は、実施例27と同様にしてバウムクーヘンを得た。得られたバウムクーヘンのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表6に示した。
表6から明らかなように、生地全体中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が2.46重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が2.72Uのバウムクーヘン(実施例27)は、加熱調理後1日目において、弾力は感じられず、ソフトさとしっとりさも良好であり、加熱調理後45日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの全ての項目において良好であった。また、生地比重を0.78g/mlに調整したバウムクーヘン(実施例28)は、生地比重が0.65g/mlのバウムクーヘン(実施例27)に比べて、ソフトさとしっとりさがより感じられ、加熱調理後45日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは殆ど変化がなかった。一方、耐糖性α−アミラーゼを含有しないバウムクーヘン(比較例12)は、加熱調理後1日目ではソフトさが若干劣る程度であったが、加熱調理後45日目では、ソフトさとしっとりさに欠け、商品性のないものであった。
(実施例29) ブッセの作製
表7の配合に従い、ブッセを作製した。即ち、上白糖、液卵、水相を含まない油脂組成物(実施例9)、液状ショートニング(製造例3)をミキサーボウルに投入し、低速で1分間混合した。次いで、薄力粉(穀粉由来の澱粉)とベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で30秒間、高速で1分20秒間混合し、比重0.79g/mlのブッセ生地を作製した。得られた生地20gを絞り、表面に粉糖を振りかけた後、200℃で9分間焼成して、ブッセを得た。得られたブッセのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表7に示した。
Figure 2018157771
(比較例13) ブッセの作製
表7の配合に従い、液状ショートニング(製造例3)を添加しない以外は、実施例29と同様にしてブッセを得た。得られたブッセのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表7に示した。
(比較例14) ブッセの作製
表7の配合に従い、水相を含まない油脂組成物(実施例9)を、水相を含まない油脂組成物(比較例3)に変更した以外は、実施例29と同様にしてブッセを得た。得られたブッセのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表7に示した。
表7から明らかなように、生地全体中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が1.3重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が6.79U、生地比重が0.79g/mlのブッセ(実施例29)は、しっとりさが良好であり、加熱調理後7日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは殆ど変化がなかった。一方、生地中の油脂含有量を10.1重量部に減らしたブッセ(比較例13)は、しっとりさに欠け、特に加熱調理後7日目でその差はより顕著になった。更に、菓子用生地中に乳化剤(A)を含有しないブッセ(比較例14)は、加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトやしっとりさも他の水準に比べて劣り、商品性のないものであった。
(実施例30) フィナンシェの作製
表8の配合に従い、フィナンシェを作製した。即ち、上白糖、卵白をミキサーボウルに投入し、低速で30秒間、中速で1分間混合した。次いで、薄力粉(穀粉由来の澱粉)、アーモンドプードル(穀粉由来の澱粉)及びベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で30秒間、中速で30秒間混合した。そこに、60℃に融解した油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を加えて低速で均一に混合し、最終比重1.1g/mlのフィナンシェ生地を作製した。得られた生地40gを型に流し込み、200℃の固定窯で20分間焼成し、フィナンシェを得た。得られたフィナンシェのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表8に示した。
Figure 2018157771
(比較例15) フィナンシェの作製
表8の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を、油中水型乳化油脂組成物油脂組成物(比較例1)に変更した以外は、実施例30と同様にしてフィナンシェを得た。得られたフィナンシェのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表8に示した。
表8から明らかなように、菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が2.78重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が5.12Uのフィナンシェ(実施例30)は、加熱調理後1日目において、弾力は感じられず、ソフトさとしっとりさも良好であり、加熱調理後45日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは殆ど変化していなかった。一方、乳化剤(A)を含有しないフィナンシェ(比較例15)は、実施例30のフィナンシェに比べて加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトさやしっとりさも劣り、その差は加熱調理後45日目において、より顕著になった。
(実施例31) スコーンの作製
表9の配合に従い、スコーンを作製した。即ち、上白糖、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)をミキサーボウルに投入し、低速で1分間混合した。次いで、薄力粉(穀粉由来の澱粉)、強力粉(穀粉由来の澱粉)及びベーキングパウダーを混合してから篩を通し、そこへ液卵と水を投入し、低速で30秒間、中速で2分間混合し、最終比重1.1g/mlのスコーン生地を作製した。得られた生地30gを分割して丸め、表面に塗り卵をして、200℃の固定窯で20分間焼成し、スコーンを得た。得られたスコーンのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表9に示した。
Figure 2018157771
(比較例16) スコーンの作製
表9の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を、油中水型乳化油脂組成物油脂組成物(比較例1)に変更した以外は、実施例31と同様にしてスコーンを得た。得られたスコーンのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表9に示した。
表9から明らかなように、菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が0.95重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が1.74Uのスコーン(実施例31)は、加熱調理後1日目において、弾力は感じられず、ソフトさとしっとりさも良好であり、加熱調理後7日目もソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは殆ど変化していなかった。一方、乳化剤(A)を含有しないスコーン(比較例16)は、実施例31のスコーンに比べて加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトやしっとりさも劣り、その差は加熱調理後7日目において、より顕著になった。
(実施例32) どら焼きの作製
表10の配合に従い、どら焼きを作製した。即ち、上白糖、25℃に温調した液卵をミキサーボウルに投入し、低速で1分間混合した。そこに篩を通した薄力粉(穀粉由来の澱粉)を投入し、低速で1分間、中高速で45秒間混合した。次いで、重曹を溶解した水、液状ショートニング(製造例3)、水相を含まない油脂組成物(実施例9)を添加し、低速で1分間、中速で30秒間混合した後、1時間寝かせてから漉し器を通して、最終比重1.0g/mlのどら焼き生地を作製した。得られた生地は、手動式のどら焼き機を使用し180℃で1分30秒間焼成して、どら焼きを得た。得られたどら焼きのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表10に示した。
Figure 2018157771
(比較例17) どら焼きの作製
表10の配合に従い、液状ショートニング(製造例3)を添加しない以外は、実施例32と同様にしてどら焼きを得た。得られたどら焼きのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表10に示した。
(比較例18) どら焼きの作製
表10の配合に従い、水相を含まない油脂組成物(実施例9)を水相を含まない油脂組成物(比較例3)に変更した以外は、実施例32と同様にしてどら焼きを得た。得られたどら焼きのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表10に示した。
表10から明らかなように、生地全体中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が1.3重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が6.79Uのどら焼き(実施例32)は、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは良好であり、加熱調理後45日目においても維持された。一方、菓子用生地中の油脂含有量が10.1重量部のどら焼き(比較例17)は、しっとりさが劣り、特に加熱調理後45日目のものは商品性がないものであった。また、菓子用生地中、乳化剤(A)を含有しないどら焼き(比較例18)は、加熱調理後1日目に弾力が感じられ、ソフトやしっとりさも劣り、その差は加熱調理後45日目において、より顕著になった。
(実施例33) マドレーヌの作製
表11の配合に従い、マドレーヌを作製した。即ち、上白糖、液卵をミキサーボウルに投入し、低速で30秒間、中速で30秒感混合した。そこに、薄力粉(穀粉由来の澱粉)とベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で1分間混合した。次いで60℃に融解した油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を添加し、低速で2分間混合して、最終生地比重0.88g/mlのマドレーヌ生地を作製した。得られた生地27gを型に流し込み、180℃の固定窯で15分間焼成し、マドレーヌを得た。得られたマドレーヌのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表11に示した。
Figure 2018157771
(比較例19) マドレーヌの作製
表11の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を油中水型乳化油脂組成物(比較例2)に変更した以外は、実施例33と同様にしてマドレーヌを得た。得られたマドレーヌのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表11に示した。
表11から明らかなように、生地全体中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が1.8重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が3.39Uのマドレーヌ(実施例33)は、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは良好であり、加熱調理後45日目においても殆ど変化がなかった。一方、菓子用生地中、乳化剤(A)を含有しないマドレーヌ(比較例19)は、加熱調理後1日目に弾力が感じられ、加熱調理後45日目の食感は総じて実施例33のマドレーヌに劣り、商品性のないものであった。
(実施例34) ソフトクッキーの作製
表12の配合に従い、ソフトクッキーを作製した。即ち、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)、上白糖、液卵、食塩、重曹、水をミキサーボウルに投入し、低速で30秒間、中速で30秒間混合した。そこに、薄力粉(穀粉由来の澱粉)、加工澱粉(穀粉由来の澱粉)及びベーキングパウダーを混合して篩を通してから投入し、低速で1分間混合して、最終生地比重1.2g/mlのソフトクッキー生地を作製した。得られた生地を50gに分割し、180℃の固定窯で20分間焼成し、ソフトクッキーを得た。得られたソフトクッキーのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表12に示した。
Figure 2018157771
(実施例35) ソフトクッキーの作製
表12の配合に従い、上白糖と水の配合量を変更し、還元水あめを添加した以外は、実施例34と同様にしてソフトクッキーを得た。得られたソフトクッキーのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表12に示した。
(比較例20) ソフトクッキーの作製
表12の配合に従い、油中水型乳化油脂組成物(実施例1)を油中水型乳化油脂組成物(比較例1)に変更した以外は、実施例35と同様にしてソフトクッキーを得た。得られたソフトクッキーのソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの評価結果を表12に示した。
表12から明らかなように、生地全体中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(A)の含有量が0.69重量部、穀粉由来の澱粉100gに対する耐糖性α−アミラーゼの含有量が1.27Uのソフトクッキー(実施例34)は、ソフトさ、弾力のなさ、しっとりさは良好であり、加熱調理後45日目においても殆ど変化がなかった。また、実施例34のソフトクッキーにおいて、糖類の種類と添加量、加水量を変更して、菓子用生地中の水中糖濃度と水分活性を変えたソフトクッキー(実施例35)は、商品性はあるもののソフトさ、弾力のなさ、しっとりさの全ての項目で実施例34のソフトクッキーに劣るものであった。一方、菓子用生地中、乳化剤(A)を含有しないソフトクッキー(比較例20)は、加熱調理後1日目に弾力が感じられ、加熱調理後45日目の食感は総じて実施例35のソフトクッキーに劣り、商品性のないものであった。

Claims (12)

  1. 加熱調理して作製する菓子に用いる生地であって、前記生地中には、
    前記生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して油脂を32〜198重量部、水を40〜280重量部、
    主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を0.4〜6.5重量部含有し、
    さらに耐糖性α−アミラーゼを前記生地中の穀粉由来の澱粉100gに対して0.4〜50単位(U)含有する、菓子用生地。
  2. 生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して、乳化剤(B)、乳化剤(C)及び乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.04〜7重量部含有する、請求項1に記載の菓子用生地。
    乳化剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステル
    乳化剤(C):天然レシチン及び/又は天然レシチンの酵素処理物
    乳化剤(D):グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル
  3. 生地に含まれる油脂全体中、30℃で液状の油脂を10重量%以上含有する請求項1又は2に記載の菓子用生地。
  4. 生地の比重が0.75〜1.2g/mlである請求項1〜3の何れか1つに記載の菓子用生地。
  5. 生地中の水中糖濃度が20〜60%且つ水分活性が0.75〜0.98である請求項1〜4の何れか1つに記載の菓子用生地。
  6. 油脂組成物全体中、油脂を70〜99.39重量%、水を0.1〜29.49重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を0.5〜3重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを1〜20単位(U)含有する油中水型乳化油脂組成物を、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して40〜200重量部含有する請求項1〜5の何れか1つに記載の菓子用生地。
  7. 油脂組成物全体中、水相を含まず、油脂を60〜94.77重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を5〜18重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを12〜200単位(U)含有する油脂組成物を、前記菓子用生地中の穀粉由来の澱粉100重量部に対して4〜20重量部含有する請求項1〜6の何れか1つに記載の菓子用生地。
  8. 油脂組成物全体中、油脂を70〜99.39重量%、水を0.1〜29.49重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を0.5〜3重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを1〜20単位(U)含有する油中水型乳化油脂組成物。
  9. 更に油脂組成物全体中、下記乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.1〜3重量%含有する請求項8に記載の油中水型乳化油脂組成物。
    乳化剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステル
    乳化剤(C):天然レシチン及び/又は天然レシチンの酵素処理物
    乳化剤(D):グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル
  10. 油脂組成物全体中、油脂を60〜94.77重量%、主要構成脂肪酸が飽和脂肪酸でα結晶型のグリセリンモノ脂肪酸エステルである乳化剤(A)を5〜18重量%含有し、さらに油脂組成物100gに対して耐糖性α−アミラーゼを12〜200単位(U)含有する水相を含まない油脂組成物。
  11. 油脂組成物全体中、下記乳化剤(B)、乳化剤(C)、乳化剤(D)からなる群より選ばれる少なくとも1種の乳化剤を0.4〜18重量%含有する請求項10に記載の水相を含まない油脂組成物。
    乳化剤(B):ポリグリセリン脂肪酸エステル及び/又はプロピレングリコール脂肪酸エステル
    乳化剤(C):天然レシチン及び/又は天然レシチンの酵素処理物
    乳化剤(D):グリセリンモノ不飽和脂肪酸エステル
  12. 請求項1〜7の何れか1つに記載の菓子用生地を加熱調理した菓子。
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