JP2018147983A - ダイ供給装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】前回ダイを吸着してからの経過時間が長引いた場合でも、間違ったダイの吸着を未然に防止できるダイ供給装置を提供する。
【解決手段】ダイ供給装置は、複数のダイを保持したダイシングフィルムを伸張させて支持するフィルム支持部と、ダイシングフィルムに保持されたダイの吸着動作を実施する吸着ノズルを有するダイ吸着部と、ダイ吸着部が第1ダイの吸着動作、または吸着動作に先行する関連動作を開始または終了してからの経過時間を計測する時間計測部と、ダイシングフィルムの伸張状態が変化し得る所定時間を予め記憶し、経過時間が所定時間に達した遅延状態を判定すると、ダイ吸着部による第2ダイの吸着動作を中断し、または開始させない遅延判定部と、を備える。
【選択図】図6

Description

本明細書は、主に部品装着機に搭載され、半導体ウエハをダイシングして生産した電子部品(以下、ダイと称する)を供給するダイ供給装置に関する。
プリント配線が施された基板に電子部品を実装するための諸作業(以下、対基板作業と称する)を施して、回路基板を量産する技術が普及している。対基板作業を実施する対基板作業機として、はんだ印刷機、部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの対基板作業機を連結して部品実装ラインを構成することが一般的になっている。このうち、部品装着機は、基板搬送装置、部品供給装置、および部品移載装置を備える。部品供給装置の一種に、ダイ供給装置がある。一般的に、ダイ供給装置は、複数のダイを保持したダイシングフィルムを伸張させて支持することにより、ダイの供給を可能とする。この種のダイ供給装置に関する技術例が特許文献1に開示されている。
特許文献1のダイ供給装置は、ダイシングフィルム上のダイの吸着順序を決定する手段と、ダイを撮像した画像を処理して次に吸着するダイの位置を推定する手段と、ダイの突き上げ動作および吸着動作を実行する制御手段と、を備える。制御手段は、今回吸着したダイと次に吸着するダイとの距離が正しい場合に、推定した位置を用い、前記距離が正しくない場合に、リファレンスダイの位置に基づいて次に吸着するダイの位置を推定し直す。これによれば、ダイシングフィルムが不均一に伸張して、ダイの配列がずれた状態になっていても、良品ダイを正しい吸着順序で吸着できる、とされている。
国際公開第2014/097463号
ところで、ダイシングフィルムの伸張状態は、時間的に変化するものである。例えば、ダイシングフィルムを伸張させてフィルム支持部にセットした直後であると、ダイシングフィルムは、フィルム支持部に馴染んでおらず、伸張状態が変化しながら徐々に馴染んでゆく。また、ダイシングフィルムを突き上げてダイを供給する動作を繰り返していると、ダイシングフィルムのダイの無くなった部分が伸長して、残っているダイの位置が変化する。このため、部品装着機が一時的に停止したり、基板の搬入に遅れが生じたりすると、ダイを吸着する時間間隔が長引いて、ダイの位置が大きく変化し易い。
この問題点に対して、特許文献1の技術例は、リファレンスダイの位置に基づいて次に吸着するダイの位置を推定し直すことができるので好ましい。しかしながら、時間間隔が長引くと、当初ダイの正しい位置を推定していても、その後の時間の推移によって、ダイ1個相当分を越える位置変化が生じて、ダイの配置がずれてしまう(以下、配置ずれと称す)。このような場合に、特許文献1の技術例では、時間の推移に起因する配置ずれを認識できず、隣の間違ったダイを吸着してしまう誤吸着のおそれが生じる。してみると、前回ダイを吸着してからの経過時間が長引いた場合に、何らかの対策を講じることが必要となる。
本明細書では、前回ダイを吸着してからの経過時間が長引いた場合でも、間違ったダイの吸着を未然に防止できるダイ供給装置を提供することを解決すべき課題とする。
本明細書は、複数のダイを保持したダイシングフィルムを伸張させて支持するフィルム支持部と、前記ダイシングフィルムに保持された前記ダイの吸着動作を実施する吸着ノズルを有するダイ吸着部と、前記ダイ吸着部が第1ダイの前記吸着動作、または前記吸着動作に先行する関連動作を開始または終了してからの経過時間を計測する時間計測部と、前記ダイシングフィルムの伸張状態が変化し得る所定時間を予め記憶し、前記経過時間が前記所定時間に達した遅延状態を判定すると、前記ダイ吸着部による第2ダイの前記吸着動作を中断し、または開始させない遅延判定部と、を備えるダイ供給装置を開示する。
本明細書で開示するダイ供給装置において、ダイ吸着部が第1ダイの吸着動作または関連動作を開始または終了してからの経過時間が長引いて所定時間に達した遅延状態になると、ダイシングフィルムの伸張状態が変化して間違った第2ダイを吸着してしまうおそれが生じる。このとき、遅延判定部は、ダイ吸着部による第2ダイの吸着動作を止めるので、間違った第2ダイの吸着が未然に防止される。
第1実施形態のダイ供給装置を搭載した部品装着機の全体構成を模式的に示す斜視図である。 ダイ供給装置の突き上げポットがダイシングフィルムを突き上げ、さらに、突き上げピンがダイを突き上げた状態を示す側面図である。 ダイ供給装置の制御の構成を示すブロック図である。 ダイシングフィルムの伸張状態の変化前および変化後を左右に並べて模式的に示した平面図である。 図4に示されたダイの配置に対応するウエハマップの概念図である。 主にダイ供給制御部からの制御で動作するダイ供給装置の動作フローを示す図である。 配置検出動作の際に取得した配置検出用画像データの一例を示す図である。 第2実施形態のダイ供給装置の制御の構成を示すブロック図である。 第2実施形態のダイ供給装置の動作フローを示す図である。 第3実施形態のダイ供給装置の動作フローを示す図である。
1.部品装着機1の全体構成
第1実施形態のダイ供給装置3について、図1〜図7を参考にして説明する。図1は、第1実施形態のダイ供給装置3を搭載した部品装着機1の全体構成を模式的に示す斜視図である。部品装着機1は、基板搬送装置2、ダイ供給装置3、部品移載装置4、部品カメラ5、および制御装置95(図3参照)などで構成されている。基板搬送装置2、部品移載装置4、および部品カメラ5は、機台91の上側に装備され、制御装置95は、機台91の内部に装備される。一方、ダイ供給装置3は、機台91の長手方向の前部(図1の左前側)に着脱可能に搭載される。図1のX軸方向は基板Kを搬入出する方向であり、Y軸方向は水平面内でX軸方向に直交する方向である。
基板搬送装置2は、機台91の上面をX軸方向に横断して装備されている。基板搬送装置2は、搬送部21、位置決め部22、および図略の搬送制御部などで構成されている。搬送部21は、基板Kを搬入し、搬出する。搬送部21は、X軸方向に平行に並設された一対のガイドレール、および基板Kを載置して輪転する一対のコンベアベルトなどからなる。位置決め部22は、搬送部21が搬入した基板Kを押し上げて、所定の装着実施位置に位置決めする。搬送制御部は、制御装置95からの指令にしたがい、搬送部21および位置決め部22の動作を制御する。
部品移載装置4は、X軸方向およびY軸方向に移動可能なXY移動ロボットタイプの装置である。部品移載装置4は、基板搬送装置2の上方(図1の右奥側)からダイ供給装置3の上方にかけて配設される。部品移載装置4は、ダイ供給装置3から供給されたダイDを基板Kに移載する。部品移載装置4は、ヘッド駆動機構41、装着ヘッド42、吸着ノズル43、基板カメラ44、および図略の移載制御部などで構成されている。ヘッド駆動機構41は、装着ヘッド42をX軸方向およびY軸方向に駆動する。ヘッド駆動機構41は、公知の各種技術を適宜採用して構成される。
装着ヘッド42は、ノズルホルダ421およびカメラホルダ422を有する。ノズルホルダ421の下側に、吸着ノズル43が配設されている。吸着ノズル43は、下端に部品吸着孔432を有する(図2参照)。吸着ノズル43は、ヘッド駆動機構41に駆動されて、ダイDの上方に移動する。吸着ノズル43は、次に、図略のZ軸駆動機構に駆動されて下降し、負圧を利用して部品吸着孔432にダイDを吸着し、上昇する。さらに、吸着ノズル43は、ヘッド駆動機構41に駆動されて基板Kの上方まで移動し、下降してダイDを基板Kに装着する。
装着ヘッド42は、複数の吸着ノズル43が配設されたロータリ式ノズルホルダを交換可能に有することができる。装着ヘッド42がダイ供給装置3と基板Kとの間を往復する1回の吸着装着サイクルで、ロータリ式ノズルホルダは、複数のダイDを基板Kに装着することができる。装着ヘッド42および吸着ノズル43は、ダイ供給装置3のダイ吸着部38として動作する。
カメラホルダ422の下側に、基板カメラ44が下向きに設けられる。基板カメラ44は、基板Kに付設されたフィデューシャルマークを撮像して、画像データを取得する。移載制御部は、制御装置95からの指令にしたがい、ヘッド駆動機構41の動作、および吸着ノズル43の動作を制御する。移載制御部は、さらに、基板カメラ44の撮像動作を制御するとともに、画像データを画像処理して、基板Kの正確な位置を認識する。
部品カメラ5は、機台91の上面の基板搬送装置2とダイ供給装置3との間に、上向きに設けられている。部品カメラ5は、装着ヘッド42がダイ供給装置3から基板Kに移動する途中で、吸着ノズル43に吸着されているダイDを撮像して、画像データを取得する。図略のカメラ制御部は、制御装置95からの指令にしたがい、部品カメラ5の撮像動作を制御するとともに、画像データを画像処理して、ダイDを確認する。カメラ制御部がダイDの吸着位置の誤差や回転角のずれなどを検出すると、制御装置95は、必要に応じて装着動作を微調整する。
制御装置95は、ソフトウェアで動作するコンピュータ装置を用いて構成される。制御装置95は、一般的な演算部、記憶部、入力部、および表示部などのハードウェアを有する。制御装置95は、搬送制御部、移載制御部、カメラ制御部、およびダイ供給制御部6(図3参照)を制御して、部品装着機1の動作の全般を制御する。
2.第1実施形態のダイ供給装置3の構成
第1実施形態のダイ供給装置3の説明に移る。ダイ供給装置3は、複数のウエハパレット32を用いて、部品移載装置4に複数種のダイDを供給することができる。ダイ供給装置3は、複数のウエハパレット32、収納マガジン31、パレット搬送機構33、突き上げポット34、突き上げピン35、ダイ撮像カメラ36、およびダイ供給制御部6などで構成されている。図2は、ダイ供給装置3の突き上げポット34がダイシングフィルムFを突き上げ、さらに、突き上げピン35がダイDを突き上げた状態を示す側面図である。また、図3は、ダイ供給装置3の制御の構成を示すブロック図である。
収納マガジン31は、縦長の直方体形状のハウジング311によって形成される。ハウジング311の上部にパレット搬入部312が設けられ、ハウジング311の下部にパレット排出部313が設けられる。ハウジング311の概ね中間高さの後側に、パレット搬送口が開口している。ハウジング311の内部に、パレットストッカ315が収容されている。パレットストッカ315は、複数段の収納棚を有する概ね箱状の部材である。各収納棚は、それぞれウエハパレット32を後側に引き出し可能に収納する。パレットストッカ315は、図略の昇降機構に駆動されてハウジング311内を昇降する。
ウエハパレット32は、パレット枠321およびフィルム支持部322からなる。パレット枠321は、周囲が矩形で、中央に大きな円形穴を有する。フィルム支持部322は、円環形であって、パレット枠321の上側の円形穴の周りに配設される。フィルム支持部322は、上面に複数のダイDを保持したダイシングフィルムFの周囲を支持して、ダイシングフィルムFの伸張状態を維持する。
複数のダイDは、図略の上流側のダイシング装置が半導体ウエハをダイシングすることによって生産される。ダイシングフィルムFは、図略の上流側のエキスパンド装置を用いて、予めフィルム支持部322にセットされる。ダイシングフィルムFが伸張することにより、ダイDの相互間に離間距離が確保される。これにより、ダイDの吸着動作が容易となり、また、ダイDの相互間の摩擦や衝突による損傷のリスクが低減される。使用前のウエハパレット32は、パレット搬入部312から搬入されて、パレットストッカ315の収納棚に収納される。使用済みのウエハパレット32は、パレットストッカ315からパレット排出部313を経由して排出される。
パレット搬送機構33は、収納マガジン31の後側に設けられている。パレット搬送機構33は、直方体形状の本体部331、一対のガイドレール332、333、およびボールねじ送り機構334などで構成される。本体部331は、機台91との位置関係を規定する位置決め部によって、機台91の前側上部に着脱可能に位置決めされる。
一対のガイドレール332、333は、収納マガジン31のパレット搬送口付近から本体部331の上面の前後方向に延在し、相互に離隔して平行配置されている。ボールねじ送り機構334は、ガイドレール332、333に沿って、ウエハパレット32を、収納マガジン31から後側寄りのダイ供給箇所まで引き出す。また、ボールねじ送り機構334は、使い終わったウエハパレット32を収納マガジン31に返却する。図1は、ウエハパレット32のひとつをダイ供給箇所まで引き出した状態を示している。
ダイ撮像カメラ36は、本体部331の上面のウエハパレット32よりも高い位置に配設される。ダイ撮像カメラ36は、カメラ駆動機構37によって、X軸方向およびY軸方向に駆動される。ダイ撮像カメラ36は、ダイDを上方から撮像して、画像データを取得する。また、ダイ撮像カメラ36は、ダイDおよび後述するリファレンスダイRを一緒に上方から撮像して、配置検出用画像データを取得する。
図2に示されるように、突き上げポット34は、ダイ供給箇所のウエハパレット32の下側、換言すると本体部331の内部に配設されている。突き上げポット34は、ウエハパレット32がダイ供給箇所まで引き出された後に、ポット駆動部341によって上昇駆動される。ポット駆動部341として、例えば、上昇量を高精度に調整可能なステッピングモータを用いることができる。上昇する突き上げポット34は、上面342でダイシングフィルムFの広い範囲を突き上げる。
突き上げピン35は、突き上げポット34の内部に設けられて、上方に突出可能とされている。突き上げピン35は、ピン駆動部351によって突出駆動され、突き上げポット34の上面342からさらに上方に突出する。また、突き上げピン35は、ピン駆動部351によって突出位置のX軸座標値およびY軸座標値が調整される。これにより、突き上げピン35の上部352は、ダイシングフィルムFを介して、次に吸着するダイDを突き上げる。ピン駆動部351として、例えば、突出寸法および突出位置を高精度に調整可能なステッピングモータを用いることができ、これに限定されない。
ダイ供給制御部6は、一般的なコンピュータ装置を用いて構成される。図3に示されるように、ダイ供給制御部6は、入力部61および表示部62を有する。ダイ供給制御部6は、通信接続された制御装置95から指令を受け取り、応答信号や状態信号などを返信する。ダイ供給制御部6は、収納マガジン31、パレット搬送機構33、ポット駆動部341、およびピン駆動部351を制御する。さらに、ダイ供給制御部6は、時間計測部63、遅延判定部64、遅延通報部65、およびカメラ制御部66の機能を有する。
カメラ制御部66は、ダイ撮像カメラ36の撮像動作、およびカメラ駆動機構37の駆動動作を制御する。カメラ制御部66、ダイ撮像カメラ36、およびカメラ駆動機構37は、撮像位置検出部67を構成する。撮像位置検出部67は、取得した画像データを画像処理してダイDの位置を検出するという位置検出動作を実施する。また、撮像位置検出部67は、取得した配置検出用画像データを画像処理してダイDの配置を検出するという配置検出動作を実施する。時間計測部63、遅延判定部64、遅延通報部65、および撮像位置検出部67の詳細な機能については、後で動作および作用と併せて説明する。
3.ダイシングフィルムFの伸張状態の変化、およびウエハマップWM
次に、ダイシングフィルムFの伸張状態の変化、およびウエハマップWMについて説明する。図4は、ダイシングフィルムFの伸張状態の変化前および変化後を左右に並べて模式的に示した平面図である。図4において、ダイDが実線で示され、リファレンスダイRがハッチングを付して示され、吸着されて無くなったダイDの痕跡が破線で示されている。また、図5は、図4に示されたダイDの配置に対応するウエハマップWMの概念図である。
図4に示される例で、ダイDは、二次元格子配置の横方向に6個配置され、縦方向に4個配置される。ただし四隅には、リファレンスダイRが配置される。リファレンスダイRは、複数のダイDに並べて配置されており、各ダイDの配置の基準となる。リファレンスダイRは、ダイDと同じ程度の大きさである。リファレンスダイRは、容易にダイDと区別されるように、背面色がダイDと異なる。リファレンスダイRは、吸着されず、最後までダイシングフィルムF上に残る。
ダイDおよびリファレンスダイRの配置は、図中の左下側から数えたX軸方向の番地xおよびY軸方向の番地yが括弧で括られて、例えば、ダイD(x,y)と表記される。この表記方法によれば、リファレンスダイRは、R(1,1)、R(6,1)、R(1,4)、およびR(6,4)の4個となる。これに対して、ダイDの位置は、配置とは異なる概念であり、ダイDの中心が位置するX軸座標値およびY軸座標値で表される。
ダイDの吸着順序は、予め規定されている。例えば、本実施形態において、図4の下側となる1行目の左端のダイD(2,1)から右端のダイD(5,1)へと順番に吸着され、次に、2行目の右端のダイD(6,2)から左端のダイD(1,2)へと順番に吸着されてゆく。さらに、3行目の左端のダイD(1,3)から右端のダイD(6,3)へと順番に吸着され、次に、4行目の右端のダイD(5,4)から左端のダイD(2,4)へと順番に吸着されてゆく。
図4の左側の変化前に示されるように下側の2行のダイDが吸着された後、長い時間が経過すると、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化し得る。例えば、図4の右側の変化後に示されるように、ダイシングフィルムFのダイDの痕跡に相当する部分が顕著に伸長して、ダイDおよびリファレンスダイRの位置が変化する。Y軸方向に関して、リファレンスダイR(1,1)およびリファレンスダイR(6,1)の位置は、変化量ΔY1だけ図4の下方に変化している。また、リファレンスダイR(1,4)およびリファレンスダイR(6,4)の位置は、変化量ΔY2だけ図4の上方に変化している。
ダイDの実際の大きさは、数mm角〜1mm角以下と小さな場合が多い。したがって、半導体ウエハ1枚当たりのダイDの総個数は、図4に模式的に示された個数よりも桁違いに多い。このため、経過時間に依存して、変化量ΔY1や変化量ΔY2がダイDの大きさに匹敵する場合が起こり得る。これにより、ダイDの位置が1個分相当以上変化する配置ずれが発生し、ダイDの配置を正しく検出できなくなって、隣の間違ったダイDを吸着してしまうおそれが生じる。なお、リファレンスダイRの個数は、4個に限定されず、さらに多数使用される場合が多い。
図5に示されるウエハマップWMは、複数のダイDおよびリファレンスダイRの配置を表す。ウエハマップWMは、例えば、上流側装置であるダイ検査装置によって作成され、ダイ供給制御部6に転送される。ウエハマップWMには、ダイDの配置を表す記号が並んでいる。1の記号は良品のダイDを表し、Bの記号は不良品のダイDを表す。図5の例で、ダイD(4,3)が不良品と表されている。Bの記号は、吸着せずにダイシングフィルムF上に残すことを意味する。また、Rの記号は、リファレンスダイRを表す。
3.第1実施形態のダイ供給装置3の動作および作用
次に、第1実施形態のダイ供給装置3の動作および作用について説明する。図6は、主にダイ供給制御部6からの制御で動作するダイ供給装置3の動作フローを示す図である。ここでは、装着ヘッド42が1本の吸着ノズル43を有し、吸着するダイDが1種類の場合について説明する。図6のステップS1で、ダイ供給制御部6は、パレット搬送機構33を制御して、吸着するダイDの種類に対応したウエハパレット32を収納マガジン31からダイ供給箇所まで引き出す。さらに、ダイ供給制御部6は、ポット駆動部341を制御して、突き上げポット34にダイシングフィルムFを突き上げさせる。
次のステップS2で、撮像位置検出部67は、配置検出動作を実施する。詳述すると、撮像位置検出部67は、ダイDおよびリファレンスダイRを一緒に撮像して、配置検出用画像データを取得する。さらに、撮像位置検出部67は、配置検出用画像データを画像処理して複数のダイDの配置を検出し、ウエハマップWMと照合して、一致していることを確認する。撮像位置検出部67は、ダイシングフィルムFの全領域を複数回に分けて配置検出動作を実施することができる。なお、撮像位置検出部67は、必ずしもダイシングフィルムFの全領域を対象としなくてもよいが、少なくとも最初に吸着するダイDおよび最寄りのリファレンスダイRを含む領域を対象とする。これにより、撮像位置検出部67は、複数のダイDの配置の確認に加えて、最初に吸着するダイDの概略位置を求めることができる。
次のステップS3で、ダイ供給制御部6は、最初に吸着するダイDに着目して、動作フローの実行をステップS4に進める。ステップS4で、遅延判定部64は、経過時間が所定時間に達したか否か判定する。所定時間は、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化し得る長い時間である。つまり、所定時間は、ダイDの位置が変化して誤吸着のリスクが発生する時間を意味する。所定時間は、予め設定されて、遅延判定部64に保持される。所定時間は、例えば、材質、大きさ、および厚さが等しいダイシングフィルムFの使用実績等に基づいて、数10分〜数時間程度が設定される。
経過時間は、後述するステップS6で、時間計測部63により計測が開始される。したがって、初回のステップS4で、経過時間は無く、遅延判定部64は、動作フローの実行を無条件でステップS5に進める。初回のステップS5で、撮像位置検出部67は、ステップS2で求めた概略位置に基づいて撮像範囲を定め、位置検出動作を実施する。詳述すると、撮像位置検出部67は、ダイDを撮像して、画像データを取得する。さらに、撮像位置検出部67は、画像データの画像処理を行ってダイDの位置を検出する。
位置検出動作は、吸着動作に先行する関連動作である。吸着動作に先行してダイDの位置を毎回検出することにより、位置のわずかなずれを補正できるので、ダイDは、確実に中央部分が吸着される。ダイDの位置を検出するときの画像データの撮像範囲や画像処理範囲は、配置検出用画像データと比較して小さくすることが可能である。次のステップS6で、時間計測部63は、経過時間の計測を開始する。
次のステップS7で、ダイ供給制御部6は、ダイDの吸着動作を制御する。詳述すると、ダイ供給制御部6は、ピン駆動部351を制御して、次に吸着するダイDの真下まで突き上げピン35を移動させ、さらに、突き上げピン35を突出させてダイDを突き上げさせる。ダイ供給制御部6は、次に、制御装置95を経由して部品移載装置4に吸着動作を指示する。同時に、ダイ供給制御部6は、ステップS5で検出したダイDの位置の情報を送信する。これにより、吸着ノズル43は、ダイDを吸着して、基板Kに装着することができる。次のステップS8で、ダイ供給制御部6は、次に吸着するダイDに着目して、動作フローの実行をステップS4に戻す。
2回目以降のステップS4において、部品装着機1が通常に稼働している間、経過時間が所定時間に達することは無い。したがって、遅延判定部64は、動作フローの実行をステップS5に進める。2回目以降のステップS5で、撮像位置検出部67は、次に吸着するダイDの撮像および画像処理を行って、ダイDの位置を検出する。ただし、撮像の際には、前回吸着したダイDの位置に基づいて撮像範囲を定める。例えば、前回吸着したダイD(2,1)のX軸座標値にダイDのX軸方向寸法および標準的な離間距離を加算して次のX軸座標値とし、Y軸座標値は同一値として、次に吸着するダイD(3,1)の推定位置を求める。そして、この推定位置を撮像範囲の中央とする。
部品装着機1が通常に稼働している間、ステップS4からステップS8までのループが繰り返して実行される。しかしながら、部品装着機1が一時的に停止したり、基板Kの搬入に遅れが生じたりすると、吸着ノズル43は吸着したダイDを基板Kに装着できず、ステップS4で動作フローが停滞する。この結果、経過時間が長引いて所定時間に達し、遅延状態となる。このとき、遅延判定部64は、動作フローの実行をステップS4からステップS21に進める。
ステップS21で、撮像位置検出部67は、配置検出動作を実施する。ステップS21で実施する配置検出動作は、次に吸着するダイDを対象とする点を除いて、ステップS2と同様の動作になる。図7は、配置検出動作の際に取得した配置検出用画像データの一例を示す図である。図7において、ダイD(2,3)までの吸着が終了した後、遅延状態となった。撮像位置検出部67は、前回吸着したダイD(2,3)の位置から推定されるダイD(3,3)の推定位置に最も近いダイDxをリファレンスダイRとともに撮像して、図7の配置検出用画像データを取得する。
次のステップS22で、遅延通報部65は、遅延状態をオペレータに通報する。通報の方法として、表示部62を用いた表示や、表示灯の点灯、オペレータの携帯端末やパソコンへの通信連絡などを適宜用いることができる。次のステップS23で、撮像位置検出部67は、図7に例示された配置検出用画像データを表示部62に表示する。そして、遅延判定部64は、オペレータによる表示の確認、および、入力部61への指示の入力を待つ。
オペレータは、配置検出用画像データの表示を確認することにより、ダイシングフィルムFの伸張状態の変化に起因するダイDの位置の変化量や、配置のずれの状況を確認できる。オペレータは、ダイDの位置や配置が著変せず、現状のままで吸着動作を再開できると判断したときに、再開指示を入力する。また、オペレータは、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化して、現状のままでは誤吸着のおそれがあり、補正が必要と判断したときに、補正指示を入力する。さらに、オペレータは、次に吸着するダイDの適正な位置(X軸座標値およびY軸座標値)、または現在設定されている位置からの補正量を入力する。また、オペレータは、吸着動作の実施が難しいと判断したときに、中断指示を入力する。
ステップS24で、遅延判定部64は、オペレータの指示内容に応じて、動作フローの分岐先を次の三通りに制御する。
1)再開指示の場合、ダイ供給制御部6は、動作フローの実行をステップS5に戻して、ダイDの吸着動作を再開する。
2)補正指示の場合、ダイ供給制御部6は、動作フローの実行をステップS25に進め、入力された位置または補正量に基づき、次に吸着するダイDの位置を補正する。この後、ダイ供給制御部6は、動作フローの実行をステップS5に戻して、ダイDの吸着動作を再開する。
3)中断指示の場合、ダイ供給制御部6は、ダイDの吸着動作を中断し、または開始させない。
このように、経過時間が長引いて所定時間に達したときに、ダイ供給装置3は、吸着動作の実施を保留して、ダイDの位置および配置に関するデータを表示し、オペレータの確認および指示を待つ。そして、ダイシングフィルムFの伸張状態が大きく変化せず、ダイDの位置や配置が著変していない場合に、ダイ供給装置3は、オペレータの指示にしたがって、吸着動作を再開する。また、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化している場合に、オペレータのノウハウが活用され、ダイ供給装置3は、吸着動作を再開または中断する。これにより、間違ったダイDの吸着が未然に防止される。したがって、ダイ供給装置3は、不良品のダイDを誤って供給することが無く、また、良品のダイDをダイシングフィルムFに残してしまうことも生じない。
4.第1実施形態のダイ供給装置3の態様および効果
第1実施形態のダイ供給装置3は、複数のダイDを保持したダイシングフィルムFを伸張させて支持するフィルム支持部322と、ダイシングフィルムFに保持されたダイDの吸着動作を実施する吸着ノズル43を有するダイ吸着部38と、ダイ吸着部38が第1ダイの吸着動作、または吸着動作に先行する関連動作を開始または終了してからの経過時間を計測する時間計測部63と、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化し得る所定時間を予め記憶し、経過時間が所定時間に達した遅延状態を判定すると、ダイ吸着部38による第2ダイの吸着動作を中断し、または開始させない遅延判定部64と、を備える。
ここで、ダイ吸着部38が第1ダイの吸着動作または関連動作を開始または終了してからの経過時間が長引いて所定時間に達した遅延状態になると、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化して間違った第2ダイを吸着してしまうおそれが生じる。このとき、遅延判定部64は、ダイ吸着部38による第2ダイの吸着動作を止めるので、間違った第2ダイの吸着が未然に防止される。したがって、ダイ供給装置3は、不良品のダイDを誤って供給することが無く、また、良品のダイDをダイシングフィルムFに残してしまうことも生じない。
また、ダイ吸着部38は、関連動作として次に吸着するダイDを撮像して画像データを取得し、さらに、画像データを画像処理して次に吸着するダイDの位置を検出する撮像位置検出部67を含む。これによれば、吸着動作に先行して毎回ダイDの位置を検出するので、ダイDの中央部分が確実に吸着されて、吸着動作が安定する。
さらに、ダイシングフィルムFは、ダイDに並べて配置されかつダイDの配置の基準となるリファレンスダイRを保持しており、撮像位置検出部67は、複数のダイDおよびリファレンスダイRの配置を表すウエハマップWMを保持し、ダイDおよびリファレンスダイRを一緒に撮像して配置検出用画像データを取得し、配置検出用画像データの中のダイDおよびリファレンスダイRの配置をウエハマップと照合する。これによれば、撮像位置検出部67は、例えばウエハパレット32がダイ供給箇所まで引き出されたときに配置検出動作を実施して、複数のダイDの配置がウエハマップWMに一致していることを確認できる。
さらに、撮像位置検出部67は、遅延状態が判定された場合に、次に吸着するダイDおよびリファレンスダイRを一緒に撮像して配置検出用画像データを取得する。これによれば、遅延状態になった場合にオペレータの確認および判断に提供する有効なデータ、または、吸着動作を再開してよいか否かを自動で判定するのに有効なデータを取得できる。
また、第1実施形態のダイ供給装置3は、遅延状態が判定された場合に、遅延状態をオペレータに通報する遅延通報部65をさらに備える。これによれば、オペレータの確認および指示によって、吸着動作の再開が可能となる。
5.第2実施形態のダイ供給装置3Aの構成および動作
次に、第2実施形態のダイ供給装置3Aについて、第1実施形態と異なる点を主に説明する。図8は、第2実施形態のダイ供給装置3Aの制御の構成を示すブロック図である。第2実施形態において、部品装着機1の全体構成は第1実施形態と同じであり、ダイ供給制御部6Aの機能構成が第1実施形態と異なる。すなわち、ダイ供給制御部6Aは、遅延通報部65に代えて、配置確認部68および全自動再開部69の機能を有する。図9は、第2実施形態のダイ供給装置3Aの動作フローを示す図である。
図9のステップS1〜ステップS8の動作は、第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。ステップS4で、経過時間が長引いて所定時間に達すると、遅延判定部64は、動作フローの実行をステップS31に進める。ステップS31で、撮像位置検出部67は、次に吸着するダイDの配置検出動作を行い、図7に例示される配置検出用画像データを取得する。次のステップS32で、配置確認部68は、配置検出用画像データの中で、次に吸着すると推定されたダイDxおよびリファレンスダイRの配置をウエハマップWMと照合する。
例えば、次に吸着するダイDがダイD(3,3)である場合について説明する。配置確認部68は、ウエハマップWMに基づいて、図7の矢印Mに示されるようにダイDxの右方に3個分進み、上方に1列進んだ想定箇所にリファレンスダイR(6,4)が有るか否かを調査する。想定箇所にリファレンスダイR(6,4)が有れば、ダイDxは、次に吸着するダイD(3,3)であると確認できる。仮に、想定箇所にリファレンスダイR(6,4)が無ければ、ダイDxは、実はダイD(3,3)でなく、別のダイDであると判定できる。換言すると、配置確認部68は、ダイDの配置ずれを自動で判定できる。
次のステップS33で、全自動再開部69は、配置確認部68の確認結果に応じて、動作フローの分岐先を制御する。すなわち、ダイDxがダイD(3,3)で正しい場合に、全自動再開部69は、動作フローの実行をステップS5に戻して、ダイD(3,3)の吸着動作を再開する。
また、ダイDxがダイD(3,3)でなく誤っている場合に、全自動再開部69は、動作フローの実行をステップS34に進める。ステップS34で、全自動再開部69は、次に吸着するダイD(3,3)の正しい配置を求める。例えば、全自動再開部69は、リファレンスダイR(6,4)を始点とし、矢印Mを逆方向にたどることで、次に吸着するダイD(3,3)を見つけることができる。この後、全自動再開部69は、動作フローの実行をステップS5に戻して、ダイD(3,3)の吸着動作を再開する。
第2実施形態では、オペレータの確認および指示は不要であり、自動でダイD(3,3)の吸着動作が再開される。なお、全自動再開部69に代えて、半自動再開部を有する構成とすることもできる。すなわち、ステップS33で、半自動再開部は、ダイDxの配置が正しい場合に、動作フローの実行をステップS5に戻す。また、半自動再開部は、ダイDxの配置が誤っている場合に、ステップS34に代えて、オペレータに配置ずれを通報する。この後、半自動再開部は、吸着動作を中断し、または開始させない。これによれば、配置ずれが発生しない多くの場合に、自動でダイD(3,3)の吸着動作が再開され、配置ずれが発生した限られた場合にのみ、オペレータが必要とされる。
6.第2実施形態のダイ供給装置3Aの態様および効果
第2実施形態のダイ供給装置3Aは、遅延状態が判定された場合に、撮像位置検出部67が取得した配置検出用画像データおよびウエハマップWMに基づいて、次に吸着するダイD(3,3)の配置が正しいか否かを確認する配置確認部68をさらに備える。これによれば、ダイ供給装置3Aは、配置ずれが発生しているか否かを自動で検出できる。
さらに、第2実施形態のダイ供給装置3Aは、次に吸着するダイD(3,3)の配置が正しい場合に、ダイD(3,3)の吸着動作を再開し、配置が正しくない場合に、ダイD(3,3)の正しい配置を求めて吸着動作を再開する全自動再開部69をさらに備える。これによれば、第1実施形態と異なり、遅延状態になってもオペレータの確認および指示は不要であり、自動でダイD(3,3)の吸着動作が再開される。
また、第2実施形態のダイ供給装置3Aは、全自動再開部69に代えて、次に吸着するダイD(3,3)の配置が正しい場合に、ダイD(3,3)の吸着動作を再開し、正しくない場合に、オペレータに通報する半自動再開部を備える構成とすることができる。これによれば、配置ずれが発生しない多くの場合に、自動でダイD(3,3)の吸着動作が再開され、配置ずれが発生した限られた場合にのみ、オペレータが必要とされる。したがって、第1実施形態と比較して、大幅な省力化が実現される。
7.第3実施形態のダイ供給装置
次に、第3実施形態のダイ供給装置について、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第3実施形態において、部品装着機1の全体構成は第1実施形態と同じであり、ダイ吸着部38を構成する装着ヘッド42は、4本の吸着ノズル43を有する。また、以降に説明する動作例で、ダイ供給装置は、1回の吸着装着サイクルで第1ウエハパレットから4個のA型ダイを吸着し、次回の吸着装着サイクルで第2ウエハパレットから4個のB型ダイを吸着し、以下交互に繰り返す。図10は、第3実施形態のダイ供給装置の動作フローを示す図である。
図10のステップS11で、遅延判定部64は、経過時間が所定時間に達したか否か判定する。経過時間は、後述するステップS16で、時間計測部63により計測が開始される。したがって、初回のステップS11で、経過時間は無く、遅延判定部64は、動作フローの実行を無条件でステップS12に進める。ステップS12で、ダイ供給制御部6は、A型ダイに対応する第1ウエハパレットを収納マガジン31からダイ供給箇所まで引き出し、突き上げポット34にダイシングフィルムFを突き上げさせる。
次のステップS13で、撮像位置検出部67は、A型ダイおよびリファレンスダイRを一緒に撮像し、複数のA型ダイの配置がウエハマップWMと一致していることを確認する。この配置検出動作では、A型ダイの配置に加えて、最初に吸着する4個のA型ダイの概略位置が求められる。次のステップS14で、撮像位置検出部67は、吸着する4個のA型ダイに着目して、動作フローの実行をステップS15に進める。
ステップS15で、撮像位置検出部67は、ステップS13で求められた概略位置に基づいて撮像範囲を定め、4個のA型ダイを撮像して、それぞれの位置を検出する。次のステップS16で、時間計測部63は、経過時間の計測を開始する。次のステップS17で、ダイ供給制御部6は、4個のA型ダイの吸着動作を制御する。これにより、4本の吸着ノズル43は、それぞれA型ダイを吸着して、基板Kに装着することができる。次のステップS18で、ダイ供給制御部6は、第1ウエハパレットを収納マガジン31に返却して、動作フローの実行をステップS11に戻す。
2回目のステップS11で、部品装着機1が通常に稼働していれば、経過時間が所定時間に達することは無い。したがって、遅延判定部64は、動作フローの実行をステップS12に進める。2回目のステップS12で、ダイ供給制御部6は、B型ダイに対応する第2ウエハパレットを収納マガジン31からダイ供給箇所まで引き出し、突き上げポット34にダイシングフィルムFを突き上げさせる。以下、ステップS18までの動作フローによって、A型ダイのときと同様に、4個のB型ダイの位置検出動作および吸着動作が実施される。
部品装着機1が通常に稼働している間、ステップS11からステップS18までのループが、A型ダイおよびB型ダイに対して交互に実行される。なお、繰り返されるステップS13の配置検出動作では、A型ダイおよびB型ダイの配置の検出に加えて、第1ウエハパレットおよび第2ウエハパレットを引き出したダイ供給箇所の再現誤差が補正される。
ここで、部品装着機1が一時的に停止したり、基板Kの搬入に遅れが生じたりすると、ステップS11で動作フローが停滞して遅延状態となる。このとき、遅延判定部64は、動作フローの実行をステップS11からステップS21に進める。ステップS21〜ステップS25の動作フローは、第1実施形態と同様であるので、説明は省略する。
第1ウエハパレットおよび第2ウエハパレットの特性や構造が相違する場合、ステップS11で用いられる所定時間は、ダイシングフィルムFの伸張状態が変化しやすい側にあわせて設定される。これにより、第3実施形態のダイ供給装置でも、第1実施形態と同様の効果が生じる。
8.実施形態の応用および変形
なお、第1実施形態において、ステップS6で実施している経過時間の計測開始は、ステップS5の直前、またはステップS7の直後に実施してもよい。また、装着ヘッド42が有する吸着ノズル43の本数や、基板Kに装着するダイDの種類数、1回の吸着装着サイクルで吸着するダイDの個数などの組合せ条件に応じて、図6、図9、図10の動作フローは適宜変更できる。第1〜第3実施形態は、他にも様々な変形や応用が可能である。
1:部品装着機 2:基板搬送装置 3、3A:ダイ供給装置 32:ウエハパレット 322:フィルム支持部 34:突き上げポット 35:突き上げピン 36:ダイ撮像カメラ 38:ダイ吸着部 4:部品移載装置 42:装着ヘッド 43:吸着ノズル 6、6A:ダイ供給制御部 63:時間計測部 64:遅延判定部 65:遅延通報部 66:カメラ制御部 67:撮像位置検出部 68:配置確認部 69:全自動再開部 D:ダイ R:リファレンスダイ F:ダイシングフィルム WM:ウエハマップ

Claims (8)

  1. 複数のダイを保持したダイシングフィルムを伸張させて支持するフィルム支持部と、
    前記ダイシングフィルムに保持された前記ダイの吸着動作を実施する吸着ノズルを有するダイ吸着部と、
    前記ダイ吸着部が第1ダイの前記吸着動作、または前記吸着動作に先行する関連動作を開始または終了してからの経過時間を計測する時間計測部と、
    前記ダイシングフィルムの伸張状態が変化し得る所定時間を予め記憶し、前記経過時間が前記所定時間に達した遅延状態を判定すると、前記ダイ吸着部による第2ダイの前記吸着動作を中断し、または開始させない遅延判定部と、
    を備えるダイ供給装置。
  2. 前記ダイ吸着部は、前記関連動作として次に吸着する前記ダイを撮像して画像データを取得し、さらに、前記画像データを画像処理して次に吸着する前記ダイの位置を検出する撮像位置検出部を含む、請求項1に記載のダイ供給装置。
  3. 前記ダイシングフィルムは、前記ダイに並べて配置されかつ前記ダイの配置の基準となるリファレンスダイを保持しており、
    前記撮像位置検出部は、
    複数の前記ダイおよび前記リファレンスダイの前記配置を表すウエハマップを保持し、
    前記ダイおよび前記リファレンスダイを一緒に撮像して配置検出用画像データを取得し、
    前記配置検出用画像データの中の前記ダイおよび前記リファレンスダイの前記配置を前記ウエハマップと照合する、
    請求項2に記載のダイ供給装置。
  4. 前記撮像位置検出部は、前記遅延状態が判定された場合に、次に吸着する前記ダイおよび前記リファレンスダイを一緒に撮像して前記配置検出用画像データを取得する請求項3に記載のダイ供給装置。
  5. 前記遅延状態が判定された場合に、前記遅延状態をオペレータに通報する遅延通報部をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載のダイ供給装置。
  6. 前記遅延状態が判定された場合に、前記撮像位置検出部が取得した前記配置検出用画像データおよび前記ウエハマップに基づいて、前記第2ダイの前記配置が正しいか否かを確認する配置確認部をさらに備える、請求項4に記載のダイ供給装置。
  7. 前記第2ダイの前記配置が正しい場合に、前記第2ダイの前記吸着動作を再開し、前記第2ダイの前記配置が正しくない場合に、オペレータに通報する半自動再開部をさらに備える、請求項6に記載のダイ供給装置。
  8. 前記第2ダイの前記配置が正しい場合に、前記第2ダイの前記吸着動作を再開し、前記第2ダイの前記配置が正しくない場合に、前記第2ダイの正しい前記配置を求めて前記第2ダイの前記吸着動作を再開する全自動再開部をさらに備える、請求項6に記載のダイ供給装置。
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