以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
(特徴1)本明細書に開示する部品実装機では、背景部材が配置位置に配置され、かつ、基板が実装位置に停止させられた状態では、背景部の一部が基板の下方に配置されると共に、背景部の他の部分が基板の側方に位置していてもよい。このような構成によると、背景部の一部を基板の縁部の下方に配置することによって、基板の縁部と背景部との境界を容易に検出することができる。
(特徴2)本明細書に開示する部品実装機は、基板が実装位置に位置決めされたときに、基板の裏面に当接して基板を支持するバックアップピンをさらに備えていてもよい。背景部材移動装置は、バックアップピンが基板を支持する支持位置と、バックアップピンが基板の裏面から退避した退避位置とに、バックアップピンを移動させることができてもよい。このような構成によると、バックアップピンの移動と背景部材の移動を、同一の装置で行うことができる。
(特徴3)本明細書に開示する部品実装機では、背景部材移動装置は、背景部材を把持可能な把持部を備えていてもよい。このような構成によると、背景部材移動装置が把持部を備えていることによって、把持部で背景部材を把持して移動させることができる。
(特徴4)本明細書に開示する部品実装機では、背景部材は、把持部と対応した形状の被把持部を備えていてもよい。このような構成によると、背景部材が被把持部を備えていることによって、背景部材移動装置は背景部材を容易に把持することができる。
(特徴5)本明細書に開示する部品実装機では、被把持部の形状は、ピン状であってもよい。このような構成によると、被把持部の形状がピン状であることによって、把持部は被把持部をより把持し易くなる。
以下、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。回路基板2は、部品実装ライン100の一端から他端に向かって送られる。回路基板2には、各部品実装機10において、予め定められた電子部品4が実装される。部品実装ライン100の他端まで送られた回路基板2は、最終製品として出荷、又は半製品として後工程に送られる。
図1、図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、装着ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、把持装置26と、撮像装置30と、基板コンベア20と、ピン収容部32と、基板支持装置34と、制御装置22と、タッチパネル24を備える。部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成されたPC8が配置されている。各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、装着ヘッド16へ電子部品4を供給する。部品フィーダ12の具体的な構成は特に限定されない。各々の部品フィーダ12は、例えば、巻テープ上に複数の電子部品4を収容するテープ式フィーダ、トレイ上に複数の電子部品4を収容するトレイ式フィーダ、又は、容器内に複数の電子部品4をランダムに収容するバルク式フィーダのいずれであってもよい。
フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10に固定されたものであってもよいし、部品実装機10に対して着脱可能なものであってもよい。
装着ヘッド16は、電子部品4を吸着する吸着ノズル6を有する。吸着ノズル6は、装着ヘッド16に着脱可能に取り付けられている。装着ヘッド16は、吸着ノズル6をZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2に対して、吸着ノズル6を接近及び離反させる。装着ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4を吸着ノズル6によって吸着すると共に、吸着ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に装着することができる。なお、装着ヘッド16は、単一の吸着ノズル6を有するものに限られず、複数の吸着ノズル6を有するものであってもよい。
ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12とピン収容部32との間で、装着ヘッド16、把持装置26及び撮像装置30を移動させる。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対して装着ヘッド16が固定されている。また、移動ベース18aには、把持装置26及び撮像装置30が固定されており、装着ヘッド16、把持装置26及び撮像装置30は移動ベース18aの移動と共に一体的に移動する。なお、装着ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
把持装置26は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。把持装置26は、把持部28を備えている。把持部28は、爪部28a、28bによって構成されている。爪部28a,28bは図示しないアクチュエータによって駆動され、爪部28a、28bの間が近接離間可能となっている。爪部28a、28bが駆動されることによって、バックアップピン38又は背景部材44を爪部28a、28bで把持することができる。把持装置26は、移動ベース18aが移動することによって、ピン収容部32と基板支持装置34との間を移動する。また、把持装置26は、Z方向(鉛直方向)に移動可能であり、ピン収容部32や基板支持装置34に対して把持部28を接近及び離反させる。把持装置26は、ピン収容部32に収容されるバックアップピン38又は背景部材44を把持すると共に、把持装置26に把持されたバックアップピン38又は背景部材44を所定の配置位置に配置する。また、把持装置26は、所定の配置位置に配置されるバックアップピン38又は背景部材44を把持すると共に、把持装置26に把持されたバックアップピン38又は背景部材44をピン収容部32に移動させる。なお、把持装置26は、「背景部材移動装置」の一例である。
撮像装置30は、移動ベース18aに固定されており、移動ベース18aと一体的に移動する。撮像装置30は、カメラと、照明用光源(図示省略)と、プリズム(図示省略)を備える。カメラは、下方に向かって配置されており、回路基板2の上面を撮像する。カメラには、例えばCCDカメラが用いられる。照明用光源は、LEDにより構成されており、回路基板2の撮像面(本実施例ではXY平面)を照らす。プリズムは、カメラの光軸を撮像対象に合わせる。照明用光源により回路基板2の上面が照らされ、その反射光がプリズムで反射してカメラに導かれることで、カメラは回路基板2の上面を撮像する。撮像装置30によって撮像された画像の画像データは、メモリ60(図5参照)に記憶される。
基板コンベア20は、回路基板2をX方向へ搬送する。基板コンベア20は、Y方向に間隔を空けて配置され、X方向に平行に伸びる一対のコンベアで構成される。基板コンベア20は、一方側に隣接する部品実装機(又は、はんだ印刷機等の他の基板作業機)から回路基板2を受け取り、予め設定された部品実装位置まで搬送する。回路基板2に対する電子部品4の実装が完了すると、基板コンベア20は、他方側に隣接する部品実装機(又は、基板検査機等の他の基板作業機)へ回路基板2を送り出す。本実施例の基板コンベア20は、コンベアベルトをモータによって駆動するベルトコンベア(図示省略)であるが、基板コンベア20の具体的な構成については、特に限定されない。例えば、基板コンベア20はローラコンベアであってもよい。また、一対の基板コンベア20は、アクチュエータ(図示省略)の駆動によって近接離間が可能となっている。なお、基板コンベア20は、「搬送装置」の一例である。
ピン収容部32は、一対の基板コンベア20のうち、フィーダ保持部14から離れた位置に配置される基板コンベア20の外側(すなわち、+Y方向側に配置される基板コンベア20のさらに+Y方向側)に固定されている。ピン収容部32には、バックアップピン38及び背景部材44が収容可能とされており、具体的な構成については特に限定されない。ピン収容部32に収容されたバックアップピン38及び背景部材44は、把持装置26によって把持され、基板支持装置34上に配置可能となっている。また、基板支持装置34上に配置されたバックアップピン38及び背景部材44は、把持装置26によって把持され、ピン収容部32に収容可能となっている。
基板支持装置34は、基板コンベア20上の回路基板2を下方から支持する装置である。基板支持装置34は、バックアッププレート36上に配置された複数のバックアップピン38を備え、それらのバックアップピン38を上昇させることによって、回路基板2を下方から支持する。複数のバックアップピン38の配置位置は、実装処理を行う回路基板2の回路パターンに応じて変更可能となっている。
図3に示すように、バックアップピン38は、円柱状の基台40と、基台40の上面から突出するピン42を備えている。バックアップピン38は、把持装置26によってピン42が把持されることによって、バックアッププレート36上の支持位置とピン収容部32内の退避位置との間を移動する。なお、本実施例では、バックアップピン38の基台40は円柱状であるが、基台40の形状は特に限定されない。
図4に示すように、背景部材44は、基台46と、基台46の上面から突出するピン48を備えている。基台46の上面は背景部50を備えており、背景部50はピン48とは異なる位置に設けられている。基台46は、上面視すると楕円形であるが、基台46の形状は特に限定されない。背景部50は、回路基板2との間に濃淡差を生じさせる色となっている。例えば、実装処理が行われる回路基板2が明度の高い色(例えば、白色や黄色等)である場合には、背景部50は明度の低い色(例えば、黒色や青色等)とすることができる。一方、実装処理が行われる回路基板2が明度の低い色である場合には、背景部50は明度の高い色とすることができる。なお、背景部50の色は、回路基板2と背景部50の間で濃淡差が生じる色であればよく、特に限定されない。背景部50が回路基板2と濃淡差が生じる色で構成されることによって、背景部50の一部が回路基板2の下方に位置する状態で回路基板2と背景部50を同時に撮像した場合に、回路基板2と背景部50との境界(以下、回路基板2のエッジともいう)が検出し易くなる。なお、ピン48は、「被把持部」の一例である。
図5に示すように、制御装置22は、メモリ60とCPU70を含むコンピュータを用いて構成されている。メモリ60には基板情報記憶部62及び撮像範囲記憶部64が設けられている。
基板情報記憶部62は、実装処理を行う回路基板2に関する種々の情報を記憶している。基板情報記憶部62は、回路基板2に関する情報をPC8から取得する。回路基板2に関する情報としては、例えば、回路基板2のX方向の寸法やY方向の寸法、回路基板2に設けられるランドの配置やはんだ印刷機によって印刷されたはんだのパターン、回路基板2を支持するために配置されるバックアップピン38の配置位置、背景部材44の配置位置、実装処理に用いる吸着ノズル6の種類や部品フィーダ12の種類等が挙げられる。
撮像範囲記憶部64は、撮像装置30によって撮像する撮像位置及び撮像範囲を記憶している。撮像範囲記憶部64は、第1撮像処理を実行する際に撮像する撮像範囲である第1撮像範囲と、第2撮像処理を実行する際に撮像する撮像範囲である第2撮像範囲を記憶している。第1撮像範囲は、回路基板2が実装位置に位置する際に、回路基板2上に設けられる位置認識用マークを撮像可能な撮像範囲である。第1撮像範囲の中心は、回路基板2が実装位置に位置する際の位置認識用マークの座標と一致する。第2撮像範囲は、背景部材44を所定の位置に配置した際に、背景部50を撮像する撮像範囲である。背景部材44は、回路基板2が実装位置に位置する際に、背景部50の略半分が回路基板2の下方に位置し、残りの略半分が回路基板2の側方に位置する位置に配置される。すなわち、第2撮像範囲は、回路基板2が実装位置に位置する際に、撮像画像のうち略半分が回路基板2によって占められ、残りの略半分が背景部50によって占められるように設定されている。
メモリ60には演算プログラムが記憶されており、CPU70が当該演算プログラムを実行することで、CPU70は第1撮像処理部72、第2撮像処理部74及び第3撮像処理部76として機能する。
第1撮像処理部72は、第1撮像範囲を撮像する。回路基板2が実装位置に正確に搬送されるか、又は実装位置からのずれが小さい場合には、位置認識用マークが第1撮像範囲内に位置し、第1撮像処理部72によって撮像される撮像画像から位置認識用マークが検出される。一方、回路基板2の停止位置が実装位置から大きくずれると、位置認識用マークが第1撮像範囲内に位置せず、第1撮像処理部72によって撮像される撮像画像から位置認識用マークが検出されない。
第2撮像処理部74は、第2撮像範囲を撮像する。回路基板2の縁部82が第2撮像範囲内に位置するように回路基板2が搬送されると、第2撮像処理部74によって撮像される撮像画像内に回路基板2と背景部50の両方が撮像され、回路基板2のエッジが検出される。一方、回路基板2の縁部82が第2撮像範囲内に位置しないと、第2撮像処理部74によって撮像される撮像画像内に回路基板2と背景部50のいずれかが撮像されず、回路基板2のエッジが検出されない。回路基板2の縁部82が第2撮像範囲内に位置しない場合とは、例えば、回路基板2の搬送距離が長くなり、第2撮像範囲内全体に回路基板2が位置する場合と、回路基板2の搬送距離が短くなり、第2撮像範囲まで回路基板2が搬送されない場合を挙げることができる。
第3撮像処理部76は、検出された回路基板2のエッジから算出される回路基板2のずれ量に基づいて撮像位置を補正し、位置認識用マークを撮像する。第2撮像処理部74によって回路基板2のエッジが検出されると、回路基板2の停止位置の実装位置に対するずれ量を算出することができる。第3撮像処理部76は、第1撮像範囲の位置を、検出された回路基板2のエッジに基づいて算出されたずれ量分補正し、補正した位置で撮像処理を実行する。なお、検出された回路基板2のエッジに基づいて算出されたずれ量が許容範囲を超えている場合には、算出されたずれ量分停止位置が移動される。この場合には、第3撮像処理部76は、算出されたずれ量と移動量から撮像範囲を決定する。
タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付けるユーザインターフェースである。例えば、タッチパネル24は、各種の構成要素の交換指示や、制御装置22によって撮像された撮像画像を、作業者に対して表示することができる。
図6は、実装処理を行う回路基板2の種類を変更する処理の一例を示すフローチャートである。部品実装機10は、複数種類の回路基板2に電子部品4を実装することができる。すなわち、部品実装機10は、回路基板2に実装する電子部品4の実装パターンや回路基板2の寸法又は形状を変更しても、各々の回路基板2に電子部品4を実装することができる。部品実装処理を行う回路基板2の種類を変更する場合には、部品実装機10の設定を変更する必要が生じる。以下に、回路基板2の種類を変更する際の処理について説明する。
図6に示すように、まず、制御装置22は、実装処理を行う回路基板2に関する情報をPC8から取得する(S12)。PC8から取得した回路基板2に関する情報は、基板情報記憶部62に記憶される。
次に、制御装置22は、全てのバックアップピン38及び背景部材44がピン収容部32に収容されているか否かを判定する(S14)。実装処理を行う回路基板2の種類が変更されると、バックアップピン38及び背景部材44の配置位置も変更される。このため、異なる種類の回路基板(例えば、前回実装処理を行った種類の回路基板)に対応して配置されたバックアップピン38及び背景部材44がバックアッププレート36上に配置されている場合には、バックアッププレート36上のバックアップピン38及び背景部材44をピン収容部32に収容する。全てのバックアップピン38及び背景部材44がピン収容部32に収容されていない場合(ステップS14でNOの場合)には、異なる種類の回路基板に対応して配置されたバックアップピン38及び背景部材44が配置されていると判断し、ステップS16に進む。一方、全てのバックアップピン38及び背景部材44がピン収容部32に収容されている場合(ステップS14でYESの場合)には、ステップS16をスキップして、ステップS18に進む。
全てのバックアップピン38及び背景部材44がピン収容部32に収容されていない場合(ステップS14でNOの場合)、制御装置22は、バックアッププレート36上に配置されているバックアップピン38及び背景部材44をピン収容部32に移動させる(S16)。バックアップピン38及び背景部材44の移動は、以下の手順で行う。まず、制御装置22は、把持装置26がバックアッププレート36上に配置されているバックアップピン38のピン42の上方又は背景部材44のピン48の上方に位置するように、移動ベース18aを移動させる。次いで、制御装置22は、把持装置26を下方に移動させ、把持装置26によってピン42又はピン48を把持させる。次いで、制御装置22は、ピン42又はピン48を把持した状態のまま、把持装置26を上方に移動させる。次いで、制御装置22は、把持したバックアップピン38又は背景部材44がピン収容部32の上方に位置するように、移動ベース18aを移動させる。最後に、制御装置22は、把持装置26を下方に移動し、バックアップピン38又は背景部材44をピン収容部32内に収容させる。この手順で、バックアッププレート36上に配置されている全てのバックアップピン38及び背景部材44をピン収容部32に移動させる。
全てのバックアップピン38及び背景部材44がピン収容部32に収容された状態になると、制御装置22は、ステップS12で取得した回路基板2に関する情報に基づいて、部品実装機10の構成要素の交換に関する情報をタッチパネル24に表示する(S18)。実装処理を行う回路基板2が変更されると、実装処理に用いる吸着ノズル6の種類や部品フィーダ12の種類を変更する必要が生じることがある。制御装置22は、ステップS12で取得した回路基板2に関する情報に基づいて、実装処理に必要な各構成要素(例えば、装着される吸着ノズル6や所定の位置に配置されるノズルステーション、部品フィーダ12や部品フィーダ12に設置するリール等)に関する情報をタッチパネル24に表示し、作業者に報知する。作業者は、タッチパネル24に表示される情報に基づいて、各構成要素の設置や交換作業を行う。
次に、制御装置22は、ステップS18でタッチパネル24に表示した構成要素の交換指示通りに各構成要素が交換されたか否かを判定する(S20)。例えば、ステップS18において吸着ノズル6を交換するように表示した場合、制御装置22は、表示した種類の吸着ノズル6が装着ヘッド16に装着されているか否かを判断する。このようにして、制御装置22は、各構成要素が指示通りに交換されているか否かを判定する。なお、本実施例では、制御装置22が交換された構成要素の種類を判断しているが、このような構成に限定されない。例えば、作業者が、交換作業を終了させた後にタッチパネル24にその旨を入力してもよい。この場合には、制御装置22は、タッチパネル24に交換作業終了が入力されたか否かを判断する。全ての構成要素が交換されたと判定した場合(ステップS20でYESの場合)、構成要素交換作業が完了したと判断し、ステップS22に進む。一方、全ての構成要素が交換されていないと判定した場合(ステップS20でNOの場合)、構成要素交換作業が完了していないと判断し、構成要素交換作業が完了するまで待機する。
構成要素の交換が完了すると、制御装置22は、ステップS12で取得した回路基板2に関する情報に基づいて、基板コンベア20の幅を変更する(S22)。制御装置22は、アクチュエータを駆動して、基板コンベア20の幅(すなわち、対となる基板コンベア20間のY方向の距離)を所定の幅に調整する。
次に、制御装置22は、バックアップピン38を所定の支持位置に配置する(S24)。バックアップピン38の支持位置は、ステップS12で取得した回路基板2に関する情報に含まれており、制御装置22は、ステップS12で取得した情報に基づいて、所定の支持位置にバックアップピン38を配置する。バックアップピン38は、以下の手順で配置される。まず、制御装置22は、ピン収容部32に収容されているバックアップピン38のピン42の上方に把持装置26が配置されるように、移動ベース18aを移動させる。次いで、制御装置22は、把持装置26を下方に移動させ、把持装置26によってピン42を把持する。次いで、制御装置22は、把持装置26がピン42を把持した状態のまま、把持装置26を上方に移動させる。そして、制御装置22は、把持したバックアップピン38が所定の支持位置の上方に位置するように、移動ベース18aを移動させる。最後に、制御装置22は、把持装置26を下方に移動させ、バックアップピン38を所定の支持位置に配置する。このような手順を繰り返して、制御装置22は、全てのバックアップピン38が所定の支持位置に配置されるように、バックアップピン38を移動させる。
最後に、制御装置22は、背景部材44を所定の位置に配置する(S26)。背景部材44の配置位置は、ステップS12で取得した回路基板2に関する情報に含まれる。制御装置22は、ステップS12で取得した情報に基づいて、所定の配置位置に背景部材44を配置する。なお、背景部材44の配置位置は、以下のように設定される。図7に示すように、背景部材44は、回路基板2が正確な実装位置に搬送された際に(図7において二点鎖線で表される位置に回路基板2が搬送された際に)、背景部50の略半分が回路基板2の下方に位置し、残りの略半分が回路基板2の側方に位置するように配置される。また、背景部材44は、ピン48が背景部50より回路基板2から遠い位置に位置するように(例えば、図7においてピン48が背景部50の右側に位置するように)配置される。背景部材44のY方向の配置位置は特に限定されないが、バックアップピン38の支持位置とその近傍に位置しないように背景部材44の配置位置を設定することができる。また、背景部材44の配置位置は、回路基板2の搬送方向に対して上流側であってもよいし、下流側であってもよい。例えば、図7において、回路基板2が正確な実装位置に搬送された際に、背景部50が回路基板2の下方と左側方に位置するように、背景部材44を配置してもよい。また、本実施例では、背景部材44が備えるピン48は、回路基板2が正確な実装位置に搬送された際に回路基板2の側方に位置するように配置するが、このような構成に限定されない。例えば、ピン48が、回路基板2が正確な実装位置に搬送された際に回路基板2の下方に位置するように(例えば、図7においてピン48が背景部50の左側に位置するように)背景部材44を配置してもよい。このように配置すると、背景部材44が備えるピン48によって回路基板2を支持することができる。すなわち、背景部材44を、回路基板2のエッジ検出に用いると共に、バックアップピンとして用いることができる。なお、背景部材44を移動する手順は、ステップS24のバックアップピン38を移動する手順を同様であるため、詳細な説明は省略する。
本実施例の部品実装機10では、背景部材44がバックアップピン38のピン42と同様のピン48を備えることによって、把持装置26の把持部28でピン48を把持することができる。これによって、同一の把持装置26を用いて、バックアップピン38を所定の位置に移動させることができると共に、背景部材44を所定の位置に移動させることができる。また、把持装置26は、背景部材44をピン収容部32と所定の配置位置との間で移動させることができる。このため、作業者が背景部材44を配置する作業を不要にすることができる。
なお、本実施例では、背景部材44がピン48を備えており、把持装置26がピン48を把持することによって背景部材44を移動させるが、このような構成に限定されない。把持装置が背景部材を把持できるように構成されていればよく、例えば、背景部材がプレート状であり、かつ、把持装置がプレート状の部材を把持できるように構成されていてもよい。
また、本実施例では、実装処理を行う回路基板2の種類を変更する際に、バックアッププレート36上に配置されている全てのバックアップピン38及び背景部材44をピン収容部32に収容した後に、バックアップピン38及び背景部材44を所定の位置に配置しているが、このような構成に限定されない。例えば、バックアッププレート36上に配置されているバックアップピン38及び背景部材44を、実装処理を行う回路基板2に関する情報に基づいて決まる所定の位置に直接移動させてもよい。すなわち、バックアップピン38及び背景部材44を、ピン収容部32に収容することなく、バックアッププレート36上で移動させてもよい。
また、本実施例では、バックアップピン38を配置した後に背景部材44を配置しているが、このような構成に限定されない。例えば、バックアップピン38を配置する前に背景部材44を配置してもよいし、複数のバックアップピン38を配置する途中で背景部材44を配置してもよい。また、バックアップピン38及び背景部材44は、各構成要素を交換する前に配置してもよい。
図8は、回路基板2を部品実装機10内に搬送する処理の一例を示すフローチャートである。実装処理を行う回路基板2に合わせて図6に示す処理が行われた後、回路基板2は部品実装機10内の実装位置に搬送される。以下に、回路基板2を部品実装機10内の実装位置に搬送する処理について説明する。
図8に示すように、まず、制御装置22は、回路基板2を部品実装機10内に搬送する(S32)。制御装置22は、基板コンベア20を駆動することによって回路基板2を搬送する。しかしながら、所定の駆動量で回路基板2を搬送しても、回路基板2の重量や形状によっては、回路基板2が所定の実装位置に正確に搬送されないことがある。本実施例では、所定の駆動量で搬送したことによって回路基板2が搬送された位置を停止位置と称する。
回路基板2が部品実装機10内に搬送されると、制御装置22の第1撮像処理部72は、撮像処理を実行する(S34)。第1撮像処理部72は、撮像範囲記憶部64に記憶される第1撮像範囲を撮像する。詳細には、制御装置22は、撮像装置30の光軸が第1撮像範囲の中心座標と一致するように移動ベース18aを移動する。そして、制御装置22は、撮像装置30に第1撮像範囲を撮像させる。
次に、制御装置22は、ステップS34で撮像された撮像画像から位置認識用マークが検出できるか否かを判定する(S36)。回路基板2の停止位置が所定の実装位置と一致するか、実装位置から近い位置である場合、位置認識用マークが第1撮像範囲内に位置し、ステップS34で撮像された撮像画像に位置認識用マークが撮像される。ステップS34で撮像された撮像画像から位置認識用マークが検出された場合(ステップS36でYESの場合)には、ステップS38〜ステップS50の処理をスキップして、ステップS52に進む。一方、回路基板2の停止位置が所定の実装位置から離れた位置である場合、位置認識用マークが第1撮像範囲内に位置せず、ステップS34で撮像された撮像画像に位置認識用マークが撮像されない。ステップS34で撮像された撮像画像から位置認識用マークが検出されない場合(ステップS36でNOの場合)には、ステップS38に進む。
ステップS34で撮像された撮像画像から位置認識用マークが検出されない場合(ステップS36でNOの場合)、制御装置22の第2撮像処理部74は、第2撮像処理を実行する(S38)。第2撮像処理部74は、撮像範囲記憶部64に記憶される第2撮像範囲を撮像する。詳細には、制御装置22は、撮像装置30のカメラの光軸が第2撮像範囲の中心座標と一致するように移動ベース18aを移動する。そして、制御装置22は、撮像装置30に第2撮像範囲を撮像させる。
次に、制御装置22は、ステップS38で撮像された撮像画像から回路基板2のエッジが検出できるか否かを判定する(S40)。図9に示すように、回路基板2の縁部82が第2撮像範囲内に位置するように搬送された場合、回路基板2と背景部50の両方が第2撮像範囲内に位置する。上述したように、回路基板2の色と背景部50の色は濃淡差が大きいため、ステップS38で撮像された撮像画像から回路基板2のエッジ(すなわち、図9において縁部82を示す線)が検出可能となる。回路基板2のエッジが検出された場合(ステップS40でYESの場合)には、ステップS42に進む。一方、回路基板2の縁部82が第2撮像範囲内に位置するように搬送されなかった場合、回路基板2の縁部82と背景部50のいずれかが撮像されず、ステップS38で撮像された撮像画像から回路基板2のエッジを検出できない。回路基板2のエッジが検出できなかった場合(ステップS40でNOの場合)には、ステップS44に進む。
回路基板2のエッジが検出されなかった場合(ステップS40でNOの場合)、制御装置22は、回路基板2をステップS32とは逆向きに搬送するように基板コンベア20を駆動し、回路基板2を元に位置に戻す(S44)。その後、ステップS32に戻り、回路基板2の搬送処理を再び行う。このとき、ステップS38で撮像された撮像画像に基づいて、基板コンベア20の駆動量を調整する。例えば、撮像画像から回路基板2のエッジが検出できない場合としては、撮像画像に回路基板2のみが撮像され、背景部50が撮像されない場合がある。この場合には、回路基板2の搬送距離が所定の距離より長くなり、回路基板2の縁部82が図9に示す位置より右側であって、第2撮像範囲の外部に位置している。したがって、ステップS32をやり直す際に、制御装置22は基板コンベア20の駆動量を最初にステップS32を実行したときより小さくする。また、撮像画像から回路基板2のエッジが検出できない場合としては、撮像画像に背景部50のみが撮像され、回路基板2が撮像されない場合がある。この場合には、回路基板2の搬送距離が所定の距離より短くなり、回路基板2の縁部82が図9に示す位置より左側であって、第2撮像範囲の外部に位置している。したがって、ステップS32をやり直す際に、制御装置22は基板コンベア20の駆動量を最初にステップS32を実行したときより大きくする。このように、ステップS38で撮像された撮像画像に基づいて基板コンベア20の駆動量を調整することによって、回路基板2の停止位置の実装位置に対するずれ量を小さくすることができる。
ステップS38で撮像された撮像画像から回路基板2のエッジが検出されると(ステップS40でYESの場合)、制御装置22は、回路基板2のエッジのずれ量を算出する(S42)。基板情報記憶部62は、回路基板2の所定の実装位置を記憶している。制御装置22は、実装位置における回路基板2の縁部80と、ステップS40で検出された回路基板2のエッジの位置から、部品実装機10内に搬送された回路基板2のエッジのずれ量を算出する。例えば、図9に示すように、制御装置22は、実装位置における回路基板2の縁部80と検出された回路基板2のエッジ(すなわち、停止位置の回路基板2の縁部82)からずれ量L1を算出する。
次に、制御装置22は、ステップS42で算出された回路基板2のエッジのずれ量が許容範囲内であるか否かを判定する(S46)。ずれ量が許容範囲内ではない場合(ステップS46でNOの場合)には、制御装置22は、回路基板2の停止位置を補正する(S48)。例えば、制御装置22は、ステップS42で算出されたずれ量分(例えば、図9ではL1)回路基板2を移動し、停止位置を実装位置に近づける。ステップS40で回路基板2のエッジを検出できた場合であっても、実装位置に対するずれ量が許容範囲より大きいと、後述の第3撮像処理(S50)によって位置認識用マークを撮像できない場合がある。このため、ステップS42で算出されたずれ量が許容範囲より大きい場合には、回路基板2のエッジのずれ量が許容範囲内となるように補正する。一方、ステップS42で算出されたずれ量が許容範囲内の場合(ステップS46でYESの場合)には、制御装置22は、ステップS48をスキップして、ステップS50に進む。
回路基板2のエッジのずれ量が許容範囲内になると、制御装置22の第3撮像処理部76は、第3撮像処理を実行する(S50)。第3撮像処理部76は、回路基板2のエッジのずれ量に基づいて、撮像範囲を決定する。すなわち、ステップS42で算出されたずれ量が許容範囲内であった場合(ステップS46でYESであった場合)には、第1撮像範囲からずれ量分移動した位置を撮像する。詳細には、制御装置22は、撮像装置30のカメラの光軸が第1撮像範囲の中心座標からずれ量分移動した位置と一致するように移動ベース18aを移動する。そして、制御装置22は、撮像装置30に撮像させる。また、ステップS42で算出されたずれ量が許容範囲内でなかった場合(ステップS46でNOであった場合)には、ステップS42で算出された回路基板2のエッジのずれ量及びステップS48における停止位置の補正による移動量に基づいて、第1撮像範囲から移動した位置を撮像する。第3撮像処理部76は、回路基板2のエッジのずれ量及び停止位置の補正による移動量に基づいて撮像範囲を決定するため、ステップS50では、位置認識マークが撮像される。
次に、制御装置22は、ステップS34又はステップS50で撮像された撮像画像から位置認識用マークの座標を算出する(S52)。そして、制御装置22は、算出された位置認識用マークの座標と基板情報記憶部62に記憶される所定の座標位置のずれ量を算出し、算出されたずれ量分電子部品4の実装位置を補正する(S54)。最後に、基板支持装置34を駆動してバックアップピン38を上方に移動し、回路基板2を下方から支持する(S56)。
本実施例の部品実装機10では、第2撮像処理によって、回路基板2の縁部82と背景部50を同時に撮像する。上述したように、回路基板2の色と背景部50の色との間には濃淡差が生じているため、回路基板2と背景部50とは明確に区別することができる。このため、回路基板2のエッジを容易に検出することができる。また、回路基板2のエッジは、回路基板2上に設けられる位置認識用マークより広い範囲で検出されるため、回路基板2の停止位置が比較的大きくずれた場合であっても、撮像視野に収めやすい。このため、回路基板2のずれ量を容易に算出することができる。また、背景部材44を、背景部50の一部が回路基板2の下方に位置し、残りの部分が回路基板2の側方に位置するように配置しているため、回路基板2の縁部82と背景部50との境界を容易に検出することができる。
なお、本実施例では、第1撮像処理において位置認識用マークが検出できない場合に回路基板2のエッジを検出しているが、このような構成に限定されない。例えば、第1撮像処理によって撮像された撮像画像から位置認識用マークが検出されるか否かを判定する前に、第2撮像処理によって撮像された画像から回路基板2のエッジを検出してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。