JP6674261B2 - フィーダ型治具、ずれ量検出方法、及び、パラメータ設定方法 - Google Patents

フィーダ型治具、ずれ量検出方法、及び、パラメータ設定方法 Download PDF

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Description

本明細書で開示される技術は、フィーダ型治具、ずれ量検出方法、及び、パラメータ設定方法に関する。
従来、基板に部品を実装する表面実装機において、部品が保持された部品供給テープを部品供給位置へと送出するフィーダを備え、フィーダによって供給される部品を吸着ノズルなどの部品保持部によって保持し、その部品保持部を移動させて基板に搭載するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、一般に表面実装機ではメンテナンスや交換のために部品保持部が取り外される。その場合に、部品保持部を取り付けたときに部品保持部の位置がずれてしまい、それにより本来の搭載位置と実際の搭載位置とがずれてしまうことがある。あるいは、部品保持部を基板の板面に平行な方向に移動させる移動機構の摩耗によって部品保持部の移動距離に誤差が生じ、それにより本来の搭載位置と実際の搭載位置とがずれてしまうこともある。
上述した特許文献1に記載の部品実装装置は、治具部品を搭載可能な搭載面を有する模擬実装用テーブルが基台に常設されており、部品実装装置によって模擬実装用テーブル上に模擬搭載された治具部品を撮像手段によって撮像することにより、本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量を検出している。
特開2010−135534号公報
しかしながら、特許文献1に記載の部品実装装置によると、模擬実装用テーブルが基台に常設されているので、部品実装装置の体格が大きくなってしまうという問題がある。
これに対し、模擬実装用テーブルを常設するのではなく、基板型の治具を表面実装機の基板搬送装置(例えばコンベア)にセットし、そのセットされた基板型の治具に治具部品を模擬搭載してずれ量を検出することも考えられる。このようにすると、表面実装機の体格が大きくなってしまうことを抑制しつつずれ量を検出することができる。しかしながら、その場合は基板型の治具の位置に誤差がないよう基板搬送装置に基板型の治具を精度よくセットしたり、コンベア幅を基板型の治具の幅に合わせたりすることが求められるので、熟練した作業者でなければずれ量の検出を精度よく行わせることが難しいという問題がある。
本明細書では、熟練した作業者でなくても部品の本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量の検出を精度よく行わせることができる技術を開示する。
本明細書で開示するフィーダ型治具は、位置検出用の治具部品が搭載される搭載面を有するフィーダ型の治具本体と、前記治具本体をフィーダ取付部に着脱可能に取り付けるための治具取付部と、を備える。
フィーダはフィーダ取付部に対して決まった位置に取り付けられるので、フィーダに替えてフィーダ型治具をフィーダ取付部に取り付けるようにすると、熟練した作業者でなくてもフィーダ型治具をほぼ位置ずれすることなく取り付けることができる。よって上記のフィーダ型治具によると、熟練した作業者でなくても部品の本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量の検出を精度よく行わせることができる。
また、本明細書で開示するずれ量検出方法は、部品を保持する部品保持部によって位置検出用の治具部品を保持し、請求項1に記載のフィーダ型治具の前記搭載面に搭載する搭載工程と、前記搭載面に搭載されている前記治具部品を第1の撮像部によって撮像し、前記治具部品を表す画像を生成する第1の撮像工程と、前記画像を解析して前記治具部品の搭載位置を検出し、検出した搭載位置と本来の搭載位置とのずれ量を算出する算出工程と、を含む。
上記のずれ量検出方法によると、熟練した作業者でなくても部品の本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量の検出を精度よく行わせることができる。
また、前記フィーダ型治具の前記搭載面に前記治具部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量と、基板に部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量との差を記憶部から読み出す読み出し工程と、前記算出工程で算出したずれ量を前記差に基づいて補正する補正工程と、前記補正工程で補正したずれ量に基づいて、基板に部品を搭載する際の搭載位置のずれを補正するための補正値を設定する補正値設定工程と、を更に含んでもよい。
上記のずれ量検出方法によると、フィーダ型治具の搭載面に治具部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量をそのまま補正値として設定する場合に比べ、基板に部品を搭載する際の搭載位置のずれをより精度よく補正できる。
また、本明細書で開示するパラメータ設定方法は、請求項1に記載のフィーダ型治具に載置されている位置検出用の治具部品を、部品を保持する部品保持部によって保持する保持工程と、前記部品保持部に保持されている前記治具部品を第2の撮像部によって撮像し、前記治具部品を表す画像を生成する第2の撮像工程と、前記画像を解析して前記部品保持部及び前記第2の撮像部の少なくとも一方の位置を検出し、検出した位置に基づいて制御用のパラメータを設定するパラメータ設定工程と、を含む。
上記のパラメータ設定方法によると、熟練した作業者でなくてもパラメータの設定を精度よく行わせることができる。
また、本明細書で開示するフィーダ型治具は、部品を吸着する吸着ノズルを保管する吸着ノズル保管穴と、先端に被撮像面を有する治具ノズルを保管する治具ノズル保管穴とが形成されているフィーダ型の治具本体と、前記治具本体をフィーダ取付部に着脱可能に取り付けるための治具取付部と、前記吸着ノズル保管穴に挿入された前記吸着ノズル及び前記治具ノズル保管穴に挿入された前記治具ノズルの少なくとも一方を表面実装機から取り外すノズル取り外し機構と、を備える。
上記のフィーダ型治具によると、熟練した作業者でなくてもパラメータの設定を精度よく行わせることができる。また、上記のフィーダ型治具によると、吸着ノズルが小さいことによって治具部品を吸着できない場合であっても、治具ノズルを用いることによってパラメータを設定することが可能になる。
また、本明細書で開示するパラメータ設定方法は、表面実装機に取り付けられている吸着ノズルを請求項5に記載のフィーダ型治具の前記吸着ノズル保管穴に挿入し、前記ノズル取り外し機構によって前記吸着ノズルを取り外す吸着ノズル取り外し工程と、前記治具ノズル保管穴に保管されている前記治具ノズルを前記表面実装機に取り付ける治具ノズル取り付け工程と、前記表面実装機に取り付けられている前記治具ノズルの前記被撮像面を第2の撮像部によって撮像し、前記被撮像面を表す画像を生成する第3の撮像工程と、前記画像を解析して前記治具ノズル及び前記第2の撮像部の少なくとも一方の位置を検出し、検出した位置に基づいて制御用のパラメータを設定するパラメータ設定工程と、前記表面実装機に取り付けられている前記治具ノズルを前記治具ノズル保管穴に挿入し、前記ノズル取り外し機構によって前記治具ノズルを取り外す治具ノズル取り外し工程と、前記吸着ノズル保管穴に保管されている前記吸着ノズルを前記表面実装機に取り付ける吸着ノズル取り付け工程と、を含む。
上記のパラメータ設定方法によると、フィーダ型治具を用いてパラメータを設定するので、熟練した作業者でなくてもパラメータの設定を精度よく行わせることができる。また、上記のパラメータ設定方法によると、吸着ノズルが小さいことによって治具部品を吸着できない場合であっても、治具ノズルを用いることによってパラメータを設定することができる。
本明細書で開示される技術によれば、熟練した作業者でなくても部品の本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量の検出を精度よく行わせることができる。
実施形態1に係る表面実装機の上面図 ヘッドユニットの側面図 フィーダ型供給装置の斜視図 フィーダの側面図 フィーダ型治具の斜視図 フィーダ型治具の側面図 治具部品が搭載されたフィーダ型治具の上面図 治具部品の上面図 表面実装機の電気的構成を示すブロック図 XYR補正値の更新処理のフローチャート 選択した搭載角度のずれ量平均処理のフローチャート ずれ量検出処理のフローチャート X軸方向、Y軸方向、及び、R軸方向のずれ量を示す模式図 実施形態2に係る基板に部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量を示す模式図 フィーダ型治具の搭載面に治具部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量と、基板に部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量との差を示す模式図 選択した搭載角度のずれ量平均処理のフローチャート 補正したずれ量を示す模式図 実施形態3に係る部品認識カメラの位置調整のフローチャート 実装ヘッドのXY位置調整のフローチャート 実装ヘッドのR軸角度調整のフローチャート 実施形態4に係るフィーダ型治具の上面図 治具ノズルの下面図 部品認識カメラの位置調整のフローチャート 検出した治具ノズルの位置を示す模式図 実装ヘッドのXY位置調整のフローチャート 実装ヘッドのR軸角度調整
<実施形態1>
図1から図13を参照して実施形態1を説明する。以降の説明において前後方向及び左右方向とは図1に示す前後方向及び左右方向を基準とし、上下方向とは図1において紙面垂直方向を基準とする。また、以降の説明では左右方向をX軸方向、前後方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向という。
(1−1)表面実装機の全体構成
図1に示すように、本実施形態に係る表面実装機1は基台10、プリント基板P1(基板の一例)を搬送する搬送コンベア20、プリント基板P1上に電子部品E1(部品の一例)を実装する部品実装装置30、部品実装装置30に電子部品E1を供給するフィーダ型供給装置40等を備えている。
基台10は平面視長方形状をなすとともに上面が平坦とされる。また、基台10における搬送コンベア20の下方にはプリント基板P1に電子部品E1を実装する際にプリント基板P1をバックアップする図示しない複数のバックアップピンが設けられている。
搬送コンベア20はY軸方向における基台10の略中央位置に配置されており、プリント基板P1を搬送方向(X軸方向)に沿って搬送する。搬送コンベア20は搬送方向に循環駆動する一対のコンベアベルト22を備えている。プリント基板P1は搬送コンベア20によって搬送方向の一方側(図1で示す右側)から基台10上の作業位置に搬入され、作業位置で停止して電子部品E1が実装された後、他方側(図1で示す左側)に搬出される。
部品実装装置30は、基台10及び後述するフィーダ型供給装置40等の上方に設けられる一対の支持フレーム31と、ヘッドユニット32と、ヘッドユニット32を搬送するヘッドユニット搬送機構とから構成される。
各支持フレーム31はそれぞれX軸方向における基台10の両側に位置しており、Y軸方向に延びている。支持フレーム31にはヘッドユニット搬送機構を構成するX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構が設けられている。ヘッドユニット32はX軸サーボ機構及びY軸サーボ機構によって一定の可動領域内でX軸方向及びY軸方向に移動可能とされている。
Y軸サーボ機構は、Y軸ガイドレール33Yと、図示しないボールナットが螺合されたY軸ボールねじ34Yと、Y軸サーボモータ35Yとを有している。各Y軸ガイドレール33Yには、ボールナットに固定されたヘッド支持体36が取り付けられている。Y軸サーボモータ35Yが通電制御されるとY軸ボールねじ34Yに沿ってボールナットが進退し、ボールナットに固定されたヘッド支持体36、及び、ヘッドユニット32がY軸ガイドレール33Yに沿ってY軸方向に移動する。
X軸サーボ機構は、図示しないX軸ガイドレールと、図示しないボールナットが螺合されたX軸ボールねじ34Xと、X軸サーボモータ35Xとを有している。X軸ガイドレールにはその軸方向に沿ってヘッドユニット32が移動自在に取り付けられている。X軸サーボモータ35Xが通電制御されるとX軸ボールねじ34Xに沿ってボールナットが進退し、ボールナットに固定されたヘッドユニット32がX軸ガイドレールに沿ってX軸方向に移動する。
図2に示すように、ヘッドユニット32は、フレーム120、フレーム120に対して上下移動可能に取り付けられた複数本(ここでは10本)の実装ヘッド37、10台のZ軸サーボモータ35Z、2台のR軸サーボモータ35R、2台の基板認識カメラC1(第1の撮像部の一例)などを備えている。
各実装ヘッド37はフレーム120に対してX軸方向に一列状に配列されている。本実施形態では図2において左端の実装ヘッド37から順に1番〜10番のヘッド番号が付与されている。以降の説明において実装ヘッド37(N)と表記するときはヘッド番号Nの実装ヘッド37のことをいうものとする。
各実装ヘッド37は上下方向に長い中空の軸状であり、下部に吸着ノズル121(部品保持部の一例)が着脱可能に取り付けられている。各実装ヘッド37には図外の負圧手段から負圧が供給される構成になっており、各実装ヘッド37の先端に取り付けられている吸着ノズル121に負圧による吸引力が生じるようになっている。
10台のZ軸サーボモータ35Zは各実装ヘッド37の上部側に取り付けられており、各実装ヘッド37を個別に昇降させる。
2台のR軸サーボモータ35Rはフレーム120の下部に取り付けられている。R軸サーボモータ35Rのモータ軸と実装ヘッド37のプーリとの間にはベルト122が掛けられており、R軸サーボモータ35Rを駆動するとモータの動力がベルト122を介して実装ヘッド37に伝達され、実装ヘッド37が軸回りに回転する。本実施形態では1本のベルト122を5本の実装ヘッド37に掛け渡しており、左側のR軸サーボモータ35Rを駆動すると左側5本の実装ヘッド37が同時回転し、右側のR軸サーボモータ35Rを駆動すると右側5本の実装ヘッド37が同時回転する。
このような構成とすることで、X軸サーボモータ35X、Y軸サーボモータ35Y、Z軸サーボモータ35Zを駆動することにより、ヘッドユニット32に搭載された各吸着ノズル121を基台10上において3軸方向(X軸、Y軸、Z軸方向)に移動させることができる。これにより、フィーダ型供給装置40によって供給される電子部品E1を吸着ノズル121により吸着し、プリント基板P1上に搭載することができる。また、R軸サーボモータ35Rを駆動することにより、実装ヘッド37を回転させ、吸着ノズル121に吸着されている電子部品E1のR軸方向の位置(回転角度)を調整することができる。
前述したヘッドユニット搬送機構、Z軸サーボモータ35Z、及び、R軸サーボモータ35Rは移動機構の一例である。すなわち、本実施形態に係る移動機構は吸着ノズル121(部品保持部)をX軸、Y軸、Z軸、及び、R軸方向に移動させるものである。
2台の基板認識カメラC1は作業位置上にあるプリント基板P1を画像認識するためのものであり、ヘッドユニット32の左右両側に取り付けられている。基板認識カメラC1はヘッドユニット32に対して撮像面を下に向けた状態で固定されており、ヘッドユニット32と一体に移動する。また、本実施形態では、基板認識カメラC1は後述するフィーダ型治具60(図5参照)に搭載された電子部品E1の画像認識にも用いられる。
また、図1に示すように、基台10上の作業位置(図1の二点鎖線で囲まれる位置)の近傍には2台の部品認識カメラC2(第2の撮像部の一例)が固定されている。部品認識カメラC2は吸着ノズル121に吸着されている電子部品E1の画像認識に用いられるものである。
(1−2)フィーダ型供給装置
次に、図1、図3及び図4を参照して、フィーダ型供給装置40の構成について説明する。図1に示すように、フィーダ型供給装置40は搬送コンベア20の両側(図1の前後両側)においてX軸方向に並んで2箇所ずつ、計4箇所に配されている。
図3に示すように、フィーダ型供給装置40は、下面に車輪41が取り付けられている略箱状の本体部42、複数のリール43(図3では一つのみを図示)、フィーダ取付部44、複数のフィーダ50(図3では一つのみを図示)などを備えている。
リール43は電子部品E1が保持されている部品供給テープが巻き回されているものであり、本体部42に回転可能に支持されている。
フィーダ取付部44は複数のフィーダ50を保持するものであり、本体部42の上側に設けられている。フィーダ取付部44にはフィーダ50を着脱可能に取り付けるための左右方向に延びる取付部45が設けられている。
図1に示すように、各フィーダ50はフィーダ取付部44に横並び状に整列して取り付けられている。図4に示すように、各フィーダ50にはコイルばね51を有するクリップ部52が設けられており、クリップ部52によって取付部45を上下から挟み込むことによってフィーダ取付部44に着脱可能に取り付けられている。各フィーダ50は前後方向(Y軸方向)に長い形状をなしており、内側に部品供給テープを送出する送出機構が設けられている。
(1−3)フィーダ型治具
次に、図5、図6及び図7を参照して、フィーダ型治具60について説明する。フィーダ型治具60はプリント基板P1に電子部品E1を搭載するときの本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量の検出に用いられるものであって、フィーダ50の替りに取付部45に取り付けられて用いられるものである。
図6に示すように、フィーダ型治具60はフィーダ型の治具本体61、及び、ボルトによって治具本体61に固定されているクリップ部62(治具取付部の一例)を備えている。ここでフィーダ型とは、フィーダ50に替えてフィーダ型供給装置40のフィーダ取付部44に取り付け可能な形状であることをいう。
フィーダ型の治具本体61は大まかには左右方向(図6において紙面垂直方向)から見て内側がくり貫かれた長方形状をなしており、上側を向く平坦面61Aを有している。平坦面61の高さ(上下方向の位置)はフィーダ50の部品供給位置の高さと略一対している。
図5に示すように、平坦面61Aには供給面63、及び、搭載面64が設けられている。供給面63はずれ量を検出するときに後述する治具部品70(図8参照)が最初に載置される領域である。供給面63に載置されている治具部品70は表面実装機1によって吸着され、図7に示すように搭載面64に搭載される。そして、搭載された治具部品70が基板認識カメラC1によって画像認識されることによってずれ量が検出される。
また、図5に示すように、治具本体61には、一端が搭載面64に開口する2つの空気流路65が形成されている。2つの空気流路65は搭載面64に搭載された治具部品70の位置が変化してしまわないように治具部品70を吸い付けておくためのものである。
また、治具本体61は左下の角部が一部切り欠かれている。2つの空気流路65は下に向かって伸びており、他端側がその切り欠かれた空間の上方に開口している。そして、空気流路65内の空気を吸引する吸引装置に接続されているホースを取り付けるためのホース取付部66がその切り欠かれた空間に収容されるようにして取り付けられており、ホースを介して空気流路65内の空気が吸引されることによって治具部品70がフィーダ型治具60に吸い付けられる。
図6に示すように、クリップ部62ははさみ状に形成されており、把手部62A、レバー62B、コイルばね62C、及び、ツメ部62Dを備えている。把手部62Aはボルトによって治具本体61の右下に固定されている。レバー62Bは把手部62Aに回動可能に軸支されており、前端部に後側に向かって上側に傾斜するテーパ面62Eが形成されている。
コイルばね62Cは把手部62Aとレバー62Bとの回動軸より後側に設けられており、レバー62Bを把手部62Aから離間する方向に付勢している。ツメ部62Dはレバー62Bの前端部と共働してフィーダ型供給装置40の取付部45を挟み込むためのものであり、治具本体61に取り付けられている。
作業者がフィーダ型治具60を取付部45に向けて押し込むとレバー62Bのテーパ面62Eが取付部45に押されてレバー62Bとツメ部62Dとの間隔が広がり、レバー62Bとツメ部62Dとによって取付部45が挟み込まれる。フィーダ型治具60を取り外すときはレバー62Bを握って後側に引き抜くことによって取り外すことができる。
(1−4)治具部品
次に、図8を参照して、治具部品70について説明する。本実施形態に係る治具部品70は角が面取りされた正方形の透明なガラス板であり、位置を検出するための黒色の点71が裏面の4隅の近傍に印刷されている。4つの点71は一点鎖線で示す仮想の正方形72の角に位置している。
なお、本実施形態に係る治具部品70には電子部品を模した図形73が印刷されているが、図形73は本実施形態では用いられない。
(1−5)表面実装機の電気的構成
次に、図9を参照して、表面実装機1の電気的構成について説明する。制御部110は表面実装機1の全体を制御統括するものであり、CPU等により構成される演算制御部111を備えている。演算制御部111には、モータ制御部112、記憶部113、画像処理部114、外部入出力部115、フィーダ通信部116、表示部117、及び、入力部118が接続されている。
モータ制御部112は演算処理部111の制御の下で部品実装装置30のX軸サーボモータ35X、及び、Y軸サーボモータ35Yを駆動させるとともに、ヘッドユニット32のZ軸サーボモータ35Z、及び、R軸サーボモータ35Rを駆動させる。また、モータ制御部112は、実装プログラム113Aに従って搬送コンベア20を駆動させる。
記憶部113は、CPUを制御するプログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)や装置の動作中に種々のデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等から構成されている。記憶部113には演算処理部111によって実行される実装プログラム113A、各種データ113Bなどが記憶されている。
各種データ113Bには実装対象となるプリント基板P1の生産枚数に関する基板情報、プリント基板P1に実装される電子部品E1の個数や種類等を含む部品情報、プリント基板P1に電子部品E1を搭載するときの搭載位置に関する搭載位置情報、フィーダ型供給装置40の各フィーダ50に保持された電子部品E1の数や種類に関するデータ、次に説明するXYR補正値等が含まれている。
XYR補正値はプリント基板P1に電子部品E1を搭載するときの搭載位置を補正するためのものである。ここで搭載位置とは、プリント基板P1上におけるX軸、Y軸、及び、R軸(すなわち回転角度)方向の位置のことをいう。制御部110は、ある実装ヘッド37を用いて電子部品E1をプリント基板P1に搭載するとき、搭載位置情報によって示される搭載位置をその実装ヘッド37に対応するXYR補正値によって補正し、補正後の搭載位置に電子部品E1を搭載する。
画像処理部114には、基板認識カメラC1及び部品認識カメラC2から出力される撮像信号がそれぞれ取り込まれるようになっている。画像処理部114では、取り込まれた各カメラC1,C2からの撮像信号に基づいて、部品画像の解析並びに基板画像の解析がそれぞれ行われるようになっている。
外部入出力部115は、いわゆるインターフェースであって、表面実装機1の本体に設けられる各種センサ類115Aから出力される検出信号が取り込まれるように構成されている。また、外部入出力部115は、演算処理部111から出力される制御信号に基づいて、各種アクチュエータ類115Bに対する動作制御を行うように構成されている。
フィーダ通信部116は、フィーダ型供給装置40に取り付けられた各フィーダ50の制御部と接続されており、各フィーダ50による部品供給テープの送出を制御する。
表示部117は表示画面を有する液晶表示装置等から構成され、表面実装機1の状態等を表示画面上に表示する。入力部118(設定部の一例)はキーボード等から構成され、手動による操作によって外部からの入力を受け付けるようになっている。
以上のような構成とされた表面実装機1では、自動運転中において、搬送コンベア20によってプリント基板P1を基台10上の作業位置に搬送する搬送状態と、作業位置に搬入されたプリント基板P1上に電子部品E1を実装する実装状態とが交互に実行される。この実装状態では、フィーダ型供給装置40によって供給される電子部品E1を10個の吸着ノズル121にそれぞれ吸着させる吸着作業と、ヘッドユニット32を搬送してそれらの電子部品E1をプリント基板P1に搭載する搭載作業とが交互に繰り返される。
(1−6)XYR補正値の更新処理
次に、制御部110によって実行されるXYR補正値の更新処理について説明する。XYR補正値の更新処理は、プリント基板P1に電子部品E1を搭載するときの本来の搭載位置と実際の搭載位置とのX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量を検出し、その検出結果に基づいて前述したXYR補正値を更新する処理である。ただし、本実施形態に係るXYR補正値の更新処理では実際にプリント基板P1に電子部品E1を搭載してずれ量を検出するのではなく、フィーダ型治具60の搭載面64に治具部品70を模擬搭載することによってずれ量を検出する。
本処理は作業者がフィーダ取付部44にフィーダ型治具60を取り付け、更に、フィーダ型治具60の供給面63に治具部品70を載置した後、入力部118を操作してXYR補正値の更新処理の実行を指示すると開始される。
制御部110は、XYR補正値の更新処理の実行が指示されると、実装ヘッド37毎に4つの搭載角度(0度、90度、180度、及び270度)についてそれぞれ複数回ずれ量を検出し、現在のXYR補正値から検出したずれ量の平均値を減算した値(=現在のXYR補正値―検出したずれ量の平均値)をその実装ヘッド37の新たなXYR補正値とする。そして、制御部は記憶部113に記憶されているXYR補正値を新たなXYR補正値で更新する。以下、具体的に説明する。
(1−6―1)XYR補正値の更新処理
図10を参照して、XYR補正値の更新処理について説明する。
S101では、制御部110はヘッド番号を表す変数であるヘッド番号Nに初期値として1を設定する。
S102では、制御部110は搭載面64に治具部品70を搭載するときの搭載角度を一つ選択する。ここでは0度、90度、180度、及び、270度の順に選択するものとする。
S103では、制御部110は選択した搭載角度のずれ量平均処理を実行する。詳しくは後述するが、選択した搭載角度のずれ量平均処理は、S102で選択した搭載角度についてX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量を複数回検出し、方向毎にずれ量の平均値を算出する処理である。
S104では、制御部110は全ての搭載角度を選択したか否かを判断し、全ての搭載角度を選択した場合はS105に進み、未だ選択していない搭載角度がある場合はS102に戻って次の搭載角度を選択する。
S105では、制御部110は4つの搭載角度毎に算出したX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量の平均値を方向毎に平均し、現在のXYR補正値からずれ量の平均値を減算した値(=現在のXYR補正値―検出したずれ量の平均値)を実装ヘッド37(N)の新たなXYR補正値としてRAMに記憶する。ただし、制御部110は新たなXYR補正値をRAMに記憶するのみであり、この時点では未だ記憶部113に記憶されているXYR補正値の更新は行わない。
S106では、制御部110は記憶部113に記憶されている実装ヘッド37(N)のXYR補正値を新たなXYR補正値で更新するか否かを判断する。
具体的には、ユーザは単に新たなXYR補正値を知りたいだけの場合と、記憶部113に記憶されているXYR補正値を新たなXYR補正値によって更新したい場合とがあり、XYR補正値の算出だけを行うのかXYR補正値の更新まで行うのかを入力部118を操作して予め設定しておくことができる。制御部110は、XYR補正値の更新まで行う設定がされている場合はS107に進み、XYR補正値の算出だけを行う設定がされている場合はS108に進む。
S107では、制御部110は記憶部113に記憶されている実装ヘッド37(N)のXYR補正値を、S105でRAMに記憶した新たなXYR補正値で更新する。S107は補正値設定工程の一例である。
S108では、制御部110はS105でRAMに記憶した新たなXYR補正値を表示部117に表示する。
S109では、制御部110はヘッド番号Nに1を加算する。
S110では、制御部110はヘッド番号Nが実装ヘッド37の総数より大きいか否かを判断し、大きい場合は処理を終了し、大きくない場合はS102に戻って処理を繰り返す。
(1−6―2)選択した搭載角度のずれ量平均処理
次に、図11を参照して、S103で実行される選択した搭載角度のずれ量平均処理について説明する。
S201では、制御部110は記憶部113に記憶されている現在のXYR補正値を、前述したS102で選択した搭載角度についての現在のXYR補正値としてRAMに記憶する。現在のXYR補正値はフィーダ型治具60の搭載面64に治具部品70を模擬搭載する際に搭載位置を補正するために用いられるものである。
S202では、制御部110は検出回数をカウントするための変数である検出回数iに初期値として0を設定する。
S203では、制御部110はずれ量検出処理を実行する。詳しくは後述するが、ずれ量検出処理は、フィーダ型治具60の搭載面64にS102で選択した搭載角度で治具部品70を模擬搭載し、X軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量を検出する処理である。前述した現在のXYR補正値はずれ量検出処理においてフィーダ型治具60に治具部品70を模擬搭載する際に用いられる。
S204では、制御部110は検出回数iに1を加算する。
S205では、制御部110は検出回数iが設定回数(例えば5回)に達したか否かを判断し、達していない場合はS203に戻って処理を繰り返し、達している場合はS206に進む。
S206では、制御部110はX軸、Y軸、及び、R軸方向のそれぞれについて各回で検出したずれ量をそれぞれ平均し、平均したずれ量を、S102で選択した搭載角度のX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量とする。
S207では、制御部110はX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量のうちいずれか一つでも規格値を超えている場合はS208に進み、全て規格値以下である場合はXYR補正値の更新処理に戻る。
S208では、制御部110は現在のXYR補正値からS206で平均したX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量を減算した値を、S102で選択した搭載角度の新たな現在のXYR補正値としてRAMに記憶する。そして、制御部110はS202に戻って処理を繰り返す。このため、次回S203を実行するときは本ステップで記憶した現在のXYR補正値が用いられる。
(1−6―3)ずれ量検出処理
次に、図12を参照して、前述したS203で実行されるずれ量検出処理について説明する。
S301では、制御部110は実装ヘッド37(N)をフィーダ型治具60の供給面63(2回目以降は搭載面64)の上方に移動させ、実装ヘッド37(N)を下降させて治具部品70を吸着する。
ここで、本実施形態では実装ヘッド37(1)によって初めて治具部品70を吸着するときは供給面63に載置されている治具部品70を吸着し、実装ヘッド37(1)による2回目以降の吸着では搭載面64から治具部品70を吸着するものとする。他の実装ヘッド37の場合は常に搭載面64から治具部品70を吸着するものとする。
S302では、制御部110は治具部品70を吸着している実装ヘッド37(N)を部品認識カメラC2の上方に移動させ、部品認識カメラC2によって下方から治具部品70を撮像する。そして、制御部110は治具部品70を撮像して生成された画像を解析して治具部品70のX軸、Y軸、R軸方向の位置を認識する。
S303では、制御部110はフィーダ型治具60の搭載面64に治具部品70を模擬搭載する。このとき制御部110は搭載位置を前述した現在のXYR補正値を用いて補正し、補正した搭載位置に治具部品70を搭載する。S303は搭載工程の一例である。
S304では、制御部110は搭載面64に搭載されている治具部品70を基板認識カメラC1によって上方から撮像する。S304は第1の撮像工程の一例である。
S305では、制御部110はS304で治具部品70を撮像して生成された画像を解析して4つの点71の座標を求める。すなわち、図13に示すように、制御部110は搭載面64に搭載されている治具部品70の搭載位置126を検出する。
S306では、制御部110は、図13に示すように、本来の搭載位置125に対する実際の搭載位置126のX軸方向のずれ量dX1、Y軸方向のずれ量dY1、及び、R軸方向のずれ量dR1を算出する。ここで、図13において点125Aは本来の搭載位置125の中心点を表しており、点126Aは実際の搭載位置126の中心点を表している。
具体的には、制御部110は4つ点71のX座標及びY座標をそれぞれ平均し、本来のX座標との差dX1、及び、本来のY座標dY1との差をX軸方向及びY軸方向のずれ量とする。R軸方向については、制御部110は左上の点71と左下の点71との中点、及び、右上の点71と右下の点71との中点を求め、それら二つの中点を通る直線の傾きからR軸方向の回転角度を求める。そして、制御部110は求めた回転角度と本来の回転角度との差dR1をR軸方向のずれ量とする。S306は算出工程の一例である。
(1−7)実施形態の効果
フィーダ50はフィーダ取付部44に対して決まった位置に取り付けられるので、フィーダ50に替えてフィーダ型治具60をフィーダ取付部44に取り付けるようにすると、熟練した作業者でなくてもフィーダ型治具60を表面実装機1にほぼ位置ずれすることなく取り付けることができる。よってフィーダ型治具60によると、熟練した作業者でなくても電子部品E1の本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量の検出を精度よく行わせることができる。
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図14ないし図17によって説明する。
前述したように実施形態1に係るXYR補正値の更新処理ではフィーダ型治具60に治具部品70を搭載してずれ量を検出する。しかしながら、フィーダ型治具60に治具部品70を搭載するときと実際にプリント基板P1に電子部品E1を実装するときとでずれ量が一致しないこともある。
そこで、実施形態2では、フィーダ型治具60を用いて検出されるずれ量と、プリント基板P1に電子部品E1を実装するときのずれ量との差dX、dY、dRを予め記憶部113に記憶させておき、フィーダ型治具60を用いて検出されるずれ量を差dX、dY、dRによって補正したずれ量からXYZ補正値を求める。ここでdXはX軸方向の差、dYはY軸方向の差、dRはR軸方向の差である。
例えば、X軸を例に説明すると、前述した図13に示すようにフィーダ型治具60に治具部品70を搭載したときの本来の搭載位置125と検出した搭載位置126とのずれ量をdX1とし、図14に示すようにプリント基板P1に電子部品E1を実装したときの本来の搭載位置135と検出した搭載位置136とのずれ量をdX2としたとき、図15に示すように差dXはdX2−dX1として取得される。この場合、プリント基板P1に電子部品E1を実装したときの実際の搭載位置は本来の搭載位置に対してdX1+dXだけずれることになる。
なお、ここでは差dX、dY、dRは製品出荷時に予め記憶部113に記憶されているものとするが、出荷後の任意のタイミングで差dX、dY、dRを取得できる構成であってもよい。
(2−1)選択した搭載角度のずれ量平均処理
図16を参照して、実施形態2に係る選択した搭載角度のずれ量平均処理について説明する。ここでは実施形態1と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S401では、制御部110は記憶部113に記憶されている差dX、dY、dRを読み出し、図17に示すように、平均したずれ量dX1、dY1、dR1に差dX、dY、dRを加算することによってずれ量を補正する。S401は読み出し工程、及び、補正工程の一例である。
S402では、制御部110は現在のXYR補正値からS401で補正したX軸方向のずれ量dX3、Y軸方向のずれ量dY3、及び、R軸方向のずれ量dR3を減算した値を、S102で選択した搭載角度の新たな現在のXYR補正値としてRAMに記憶する。
(2−2)実施形態の効果
以上説明した実施形態2に係るフィーダ型治具60によると、フィーダ型治具60の搭載面64に治具部品70を模擬搭載したときの本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれ量をそのまま用いてXYR補正値を設定する場合に比べ、プリント基板P1に電子部品E1を搭載したときの本来の搭載位置と実際の搭載位置とのずれをより精度よく補正できる。
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図18ないし図20によって説明する。
実施形態3に係る表面実装機1の構成は実施形態1に係る表面実装機1と実質的に同一であるが、実施形態3に係る表面実装機1は前述したXYR補正値の更新の他に、フィーダ型治具60を用いて部品認識カメラC2の位置調整、実装ヘッド37のXY位置調整、及び、実装ヘッド37のR軸角度調整なども行う。以下、具体的に説明する。
実施形態3に係る表面実装機1には、ヘッド番号1の実装ヘッド37である実装ヘッド37(1)の位置を基準とする部品認識カメラC2の位置、実装ヘッド37(1)の位置を基準とする他の実装ヘッド37の位置、各実装ヘッド37のR軸角度などがパラメータとして記憶されており、制御部110はそれらのパラメータを各種の制御に用いる。
部品認識カメラC2の位置は、部品認識カメラC2によって実装ヘッド37(1)を撮像して生成された画像において実装ヘッド37(1)の回転中心を表す座標(以下、「カメラ位置座標」という)として記憶されている。
他の実装ヘッド37のXY位置は、実装ヘッド37(1)の回転中心を表す座標(すなわちカメラ位置座標)に対する他の実装ヘッド37の回転中心の相対的な座標として記憶されている。
各実装ヘッド37のR軸角度は、実装ヘッド37をR軸周りに任意の角度回転させたときの当該任意の角度と実装ヘッド37の実際の回転角度との差として記憶されている。
ところで、これらのパラメータは実装ヘッド37の交換や表面実装機1の経時変化などによって実際の値からずれてしまうことがある。例えば、部品認識カメラC2自体は固定されているので部品認識カメラC2の物理的な位置がずれることはないが、本実施形態では実装ヘッド37(1)を基準にして部品認識カメラC2の位置が記憶されるので、実装ヘッド37(1)の交換や表面実装機1の経時変化などによって実装ヘッド37(1)の位置が変化すると、部品認識カメラC2の位置は実際の実装ヘッド37(1)の回転中心を表さないものとなってしまう。
また、他の実装ヘッド37の位置は、交換や経時変化によって実装ヘッド37(1)の位置が変化したり、あるいは他の実装ヘッド37自体の位置が変化したりすることにより、実装ヘッド37(1)に対してずれてしまうことがある。
また、実装ヘッド37のR軸角度も、実装ヘッド37の交換や経時変化によってずれてしまうことがある。
これらがずれてしまうと制御部110は前述した各種の制御を精度よく行うことができなくなってしまう。そこで、実施形態3に係る表面実装機1は、フィーダ型治具60を用いて、部品認識カメラC2の位置調整、実装ヘッド37のXY位置調整、及び、実装ヘッド37のR軸角度調整を行う。
これらの調整は、作業者がフィーダ取付部44にフィーダ型治具60を取り付け、更に、フィーダ型治具60の供給面63に治具部品70を載置した後、入力部118を操作してこれらの調整を指示すると開始される。なお、これらの調整はそれぞれ独立して行うこともできるし、まとめて行うこともできる。ここでは独立して行う場合を例に説明する。
(3−1)部品認識カメラの位置調整
先ず、図18を参照して、部品認識カメラC2の位置調整について説明する。
S501では、制御部110は実装ヘッド37(1)をフィーダ型治具60の供給面63の上方に移動させ、実装ヘッド37(1)を下降させて治具部品70を吸着する。S501は保持工程の一例である。
S502では、制御部110は実装ヘッド37(1)を部品認識カメラC2の上方に移動させ、部品認識カメラC2によって治具部品70を撮像する。S502は第2の撮像工程の一例である。
具体的には、制御部110は実装ヘッド37(1)を90度ずつ回転させて合計4つの角度(0度、90度、180度、270度)で撮像する。
S503では、制御部110は4つの角度毎に撮像して生成された画像から実装ヘッド37(1)の回転中心を表す座標を算出する。
具体的には例えば、制御部110は画像毎に4つの点71の座標を求めることによって合計で16の座標を求め、それら16の座標のX座標及びY座標をそれぞれ平均することによって実装ヘッド37の回転中心の座標を算出する。
S504では、制御部110はS503で算出した回転中心の座標を部品認識カメラC2の新たな位置とし、記憶部113に記憶されている部品認識カメラC2の位置を新たな位置で更新する。S504はパラメータ設定工程の一例である。
(3−2)実装ヘッドのXY位置調整
次に、図19を参照して、実装ヘッド37のXY位置調整について説明する。ここでは前述した部品認識カメラC2の位置調整と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S601では、制御部110はヘッド番号Nに初期値として1を設定する。
S602では、制御部110は実装ヘッド37(N)をフィーダ型治具60の供給面63の上方に移動させ、実装ヘッド37(N)を下降させて治具部品70を吸着する。S601は保持工程の一例である。
S603では、制御部110はS503で算出した回転中心の座標を実装ヘッド37(N)の回転中心とし、部品認識カメラC2の位置(すなわち実装ヘッド37(1)の回転中心の座標)に対する実装ヘッド37(N)の回転中心の相対的な座標を求める。具体的には、部品認識カメラC2の位置を原点(0,0)としたときの実装ヘッド37(N)の回転中心の座標を求める。
S604では、制御部110はS603で求めた座標を実装ヘッド37(1)に対する実装ヘッド37(N)の新たな位置とし、記憶部113に記憶されている実装ヘッド37(N)の位置を新たな位置で更新する。S604はパラメータ設定工程の一例である。
S605では、制御部110は治具部品70を供給面63に戻す。
S606では、制御部110はヘッド番号Nに1を加算する。
S607では、制御部110はヘッド番号Nが実装ヘッド37の総数より大きいか否かを判断し、大きい場合は処理を終了し、大きくない場合はS602に戻って処理を繰り返す。
(3−3)実装ヘッドのR軸角度調整
次に、図20を参照して、実装ヘッド37のR軸角度調整について説明する。ここでは前述した部品認識カメラの位置調整、及び、実装ヘッド37のXY位置調整と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S701では、制御部110は4つの角度毎に撮像して生成された画像から実装ヘッド37(N)のR軸方向の位置(回転角度)を算出する。
具体的には、制御部110は4つの角度毎に撮像して生成された画像をそれぞれ解析して画像毎に4つの点71の座標を求める。そして、制御部110は、各画像について、左上の点と左下の点との中点、及び、右上の点と右下の点との中点を求め、それら二つの中点を通る直線の傾きからR軸方向の回転角度を求める。そして、制御部110は画像毎に求めた回転角度を平均することによって実装ヘッド37(N)のR軸方向の角度(回転角度)を算出する。
S702では、制御部110はS701で算出した回転角度を実装ヘッド37(N)の新たな回転角度とし、記憶部113に記憶されている実装ヘッド37(N)の回転角度を新たな回転角度で更新する。S702はパラメータ設定工程の一例である。
(3−4)実施形態の効果
以上説明した実施形態3に係るフィーダ型治具60によると、フィーダ型治具60を用いてパラメータを設定するので、熟練した作業者でなくてもパラメータの設定を精度よく行わせることができる。
<実施形態4>
次に、本発明の実施形態4を図21ないし図26によって説明する。
前述した実施形態3ではフィーダ型治具60に治具部品70が載置されており、その治具部品70を用いて部品認識カメラC2の位置調整、実装ヘッド37のXY位置調整、及び、実装ヘッド37のR軸角度調整を行う場合を例に説明した。これに対し、実施形態4ではフィーダ型治具90(図21参照)に治具ノズル80(図22参照)が保管されており、表面実装機1は治具ノズル80を用いてこれらの調整を行う。
(4−1)治具部品、及び、治具ノズル
先ず、図22を参照して、治具ノズル80について説明する。治具ノズル80は電子部品E1を吸着することのできない疑似的なノズルであり、下端面80Aが光反射率の高い正方形の被撮像面とされている。治具ノズル80は部品認識カメラC2によって下端面80Aが撮像されて下端面80Aの4隅が画像認識されることによってX軸、Y軸、及び、R軸方向の位置が検出される。
次に、図21を参照して、実施形態4に係るフィーダ型治具90について説明する。実施形態4に係るフィーダ型治具90には上面から下に向かって伸びる2つの穴91、92が形成されている。穴91は吸着ノズル121を保管するための吸着ノズル保管穴であり、穴92は治具ノズル80を保管するための治具ノズル保管穴である。
また、フィーダ型治具90には板状のシャッタ93とシャッタ93を駆動する図示しないシャッタ駆動部とが設けられている。図21ではシャッタ93が閉じた状態を示している。例えば吸着ノズル保管穴91に吸着ノズル121が挿入された状態でシャッタ93が閉じられ、その状態で実装ヘッド37が上昇すると、吸着ノズル121はシャッタ93に係合して上昇が規制され、実装ヘッド37から取り外される。治具ノズル80についても同様である。シャッタ93及び図示しないシャッタ駆動部はノズル取り外し機構の一例である。
そして、図21において二点鎖線94はシャッタ93が開いた状態を示している。この状態では吸着ノズル121や治具ノズル80はシャッタ93に係合しないので、実装ヘッド37と共に上昇する。
(4−2)部品認識カメラの位置調整
次に、図23を参照して、部品認識カメラの位置調整について説明する。
S801では、制御部110は実装ヘッド37(1)に取り付けられている吸着ノズル121を吸着ノズル保管穴91に保管する。
具体的には、制御部110は実装ヘッド37(1)をフィーダ型治具90の吸着ノズル保管穴91の上方に移動させる。そして、制御部110はシャッタ93を開き、実装ヘッド37(1)を下降させて吸着ノズル121を吸着ノズル保管穴91に挿入する。そして、制御部110はシャッタ93を閉じ、その状態で実装ヘッド37(1)を上昇させる。実装ヘッド37(1)が上昇すると吸着ノズル121がシャッタ93に係合して実装ヘッド37(1)から取り外され、吸着ノズル保管穴91に保管される。S801は吸着ノズル取り外し工程の一例である。
S802では、制御部110は実装ヘッド37(1)に治具ノズル80を取り付ける。
具体的には、制御部110は実装ヘッド37(1)を治具ノズル保管穴92の上方に移動させる。そして、制御部110はシャッタ93を開き、実装ヘッド37(1)を下降させて実装ヘッド37(1)に治具ノズル80を取り付ける。そして、制御部110は実装ヘッド37(1)を上昇させる。S802は治具ノズル取り付け工程の一例である。
S803では、制御部110は実装ヘッド37(1)を部品認識カメラC2の上方に移動させ、部品認識カメラC2によって治具ノズル80の下端面80Aを撮像する。
具体的には、制御部110は実装ヘッド37(1)を90度ずつ回転させて合計4つの角度(0度、90度、180度、270度)で撮像する。S803は第3の撮像工程の一例である。
S804では、制御部110は、図24に示すように、4つの角度毎に撮像して生成された画像140から治具ノズル80の回転中心141を表す座標を算出する。すなわち、制御部110は治具ノズル80(言い換えると部品認識カメラC2)の位置を検出する。
S805では、制御部110はS804で算出した回転中心141の座標を部品認識カメラC2の新たな位置とし、記憶部113に記憶されている部品認識カメラC2の位置を新たな位置で更新する。
S806では、制御部110は実装ヘッド37(1)に取り付けられている治具ノズル80を治具ノズル保管穴92に保管する。
具体的には、制御部110は実装ヘッド37(1)をフィーダ型治具90の治具ノズル保管穴92の上方に移動させる。そして、制御部110はシャッタ93を開き、実装ヘッド37(1)を下降させて実装ヘッド37(1)を治具ノズル保管穴92に挿入する。そして、制御部110はシャッタ93を閉じ、その状態で実装ヘッド37(1)を上方に移動させる。実装ヘッド37(1)が上方に移動すると治具ノズル80がシャッタ93に係合して実装ヘッド37(1)から取り外され、治具ノズル保管穴92に保管される。S806は治具ノズル取り外し工程の一例である。
S807では、制御部110は吸着ノズル保管穴91に保管されている吸着ノズル121を実装ヘッド37(1)に取り付ける。
具体的には、制御部110は実装ヘッド37(1)を吸着ノズル保管穴91の上方に移動させる。そして、制御部110はシャッタ93を開き、実装ヘッド37(1)を下降させて実装ヘッド37(1)に吸着ノズル121を取り付ける。そして、制御部110は実装ヘッド37(1)を上昇させる。S807は吸着ノズル取り付け工程の一例である。
(4−3)実装ヘッドのXY位置調整
次に、図25を参照して、実装ヘッドのXY位置調整について説明する。ここでは前述した部品認識カメラC2の位置調整と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S901では、制御部110はヘッド番号Nに初期値として1を設定する。
S902では、制御部110はS804で算出した回転中心の座標を実装ヘッド37(N)の回転中心の座標とし、部品認識カメラC2の位置(すなわち実装ヘッド37(1)の回転中心の座標)に対する実装ヘッド37(N)の回転中心の相対的な座標を求める。
S903では、制御部110はS902で求めた座標を実装ヘッド37(1)に対する実装ヘッド37(N)の新たな位置とし、記憶部113に記憶されている実装ヘッド37(N)の位置を新たな位置で更新する。
S904では、制御部110はヘッド番号Nに1を加算する。
S905では、制御部110はヘッド番号Nが実装ヘッド37の総数より大きいか否かを判断し、大きい場合は処理を終了し、大きくない場合はS801に戻って処理を繰り返す。
(4−4)実装ヘッドのR軸角度調整
次に、図26を参照して、実装ヘッドのR軸角度調整について説明する。ここでは前述した部品認識カメラの位置調整、及び、実装ヘッドのXY位置調整と実質的に同一の処理には同一の符号を付して説明を省略する。
S1001では、制御部110は4つの角度毎に撮像して生成された画像から実装ヘッド37(N)のR軸方向の位置(回転角度)を算出する。
S1002では、制御部110はS1001で算出した回転角度を実装ヘッド37(N)の新たな回転角度とし、記憶部113に記憶されている実装ヘッド37(N)の回転角度を新たな回転角度で更新する。
(4−5)実施形態の効果
以上説明した実施形態4に係るフィーダ型治具90によると、熟練した作業者でなくてもパラメータの設定を精度よく行わせることができる。また、フィーダ型治具90によると、吸着ノズル121が小さいことによって治具部品70を吸着できない場合であっても、治具ノズル80を用いることによってパラメータを設定することができる。
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記既述及び図面によって説明した各実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような各実施形態も技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態1では治具部品70に位置を検出するための黒色の点71が印刷されている場合を例に説明した。これに対し、点71を印刷せず、矩形に形成された治具部品の4つの角を画像認識することによって治具部品の位置を検出する構成であってもよい。
(2)上記実施形態では治具取付部としてクリップ部62を例に説明したが、治具取付部はフィーダ型治具60をフィーダ取付部44に着脱可能に取り付け可能なものであればクリップに限られない。例えば治具取付部はフィーダ型治具60をボルトによってフィーダ取付部44に取り付けるものであってもよい。
(3)上記実施形態ではX軸、Y軸、及び、R軸方向のずれ量を検出する場合を例に説明したが、表面実装機1は少なくともX軸又はY軸方向のずれ量を検出するものであればよく、R軸方向についてはずれ量を検出しないものであってもよい。
(4)上記実施形態1ではフィーダ型治具60に供給面63が設けられている場合を例に説明した。これに対し、供給面63を設けず、治具部品70を常に搭載面64から吸着する構成であってもよい。
(5)上記実施形態3ではパラメータとして部品認識カメラC2の位置、他の実装ヘッド37のXY位置、及び、各実装ヘッド37のR軸角度を例に説明した。これに対し、パラメータはこれら3つのうちのいずれか一つ、あるいは二つであってもよい。
(6)上記実施形態4では治具ノズル80の下端面80Aに位置検出用の印が付されていない場合を例に説明したが、下端面80Aに位置検出用の印が付されていてもよい。また、上記実施形態4では下端面80Aが正方形の被撮像面である場合を例に説明したが、下端面80Aは例えば円形であってもよい。下端面80Aが円形の場合はR軸方向のずれ量は検出できないが、少なくともX軸及びY軸方向のずれ量は検出可能である。
(7)上記実施形態では部品保持部として吸着ノズル121を例に説明したが、部品保持部は複数の爪によって電子部品E1を挟んで保持する所謂チャックであってもよい。
(8)上記実施形態ではヘッドユニット32として複数の実装ヘッド37が一列上に配列された所謂インラインヘッドを例に説明した。これに対し、ヘッドユニット32は複数の実装ヘッド37が円周上に配列された所謂ロータリーヘッドであってもよい。
1…表面実装機、44…フィーダ取付部、50…フィーダ、60…フィーダ型治具、61…治具本体、62…クリップ部(治具取付部)、64…搭載面、70…治具部品、71…点、80…治具ノズル、80A…下端面(被撮像面の一例)、90…フィーダ型治具、91…吸着ノズル保管穴、92…治具ノズル保管穴、93…シャッタ(ノズル取り外し機構の一例)、110…制御部、113…記憶部、121…吸着ノズル(部品保持部の一例)、C1…基板認識カメラ(第1の撮像部の一例)、C2…部品認識カメラ(第2の撮像部の一例)、E1…電子部品、P1…プリント基板(基板の一例)

Claims (2)

  1. 位置検出用の治具部品が搭載される搭載面を有するフィーダ型の治具本体と、前記治具本体をフィーダ取付部に着脱可能に取り付けるための治具取付部と、を備えるフィーダ型治具の前記搭載面に前記治具部品を搭載する搭載工程であって、部品を保持する部品保持部によって前記治具部品を保持して搭載する搭載工程と、
    前記搭載面に搭載されている前記治具部品を第1の撮像部によって撮像し、前記治具部品を表す画像を生成する第1の撮像工程と、
    前記画像を解析して前記治具部品の搭載位置を検出し、検出した搭載位置と本来の搭載位置とのずれ量を算出する算出工程と、
    前記フィーダ型治具の前記搭載面に前記治具部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量と、基板に部品を搭載したときの本来の搭載位置と検出した搭載位置とのずれ量との差を記憶部から読み出す読み出し工程と、
    前記算出工程で算出したずれ量を前記差に基づいて補正する補正工程と、
    前記補正工程で補正したずれ量に基づいて、基板に部品を搭載する際の本来の搭載位置に対する実際の搭載位置のずれを補正するための補正値を設定する補正値設定工程と、
    を含むずれ量検出方法。
  2. 請求項1に記載のフィーダ型治具に載置されている位置検出用の治具部品を、部品を保持する部品保持部によって保持する保持工程と、
    前記部品保持部に保持されている前記治具部品を第2の撮像部によって撮像し、前記治具部品を表す画像を生成する第2の撮像工程と、
    前記画像を解析して前記部品保持部及び前記第2の撮像部の少なくとも一方の位置を検出し、検出した位置に基づいて制御用のパラメータを設定するパラメータ設定工程と、
    を含むパラメータ設定方法。
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