JP2018146756A - 画像形成方法及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、フィルム上に乾式電子写真方式により画像を形成する場合において、耐擦過性に優れ、曲げや折りに対する耐性にも優れる画像を形成できる画像形成方法を提供することである。【解決手段】本発明の画像形成方法は、画像支持体としてのフィルム上に、乾式電子写真方式により有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成する工程と、トナー層上に当該トナー層よりも広い面積で保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、画像形成方法及び画像形成装置に関する。本発明は、特に、フィルム上に乾式電子写真方式により画像を形成する場合において、耐擦過性に優れ、曲げや折りに対する耐性にも優れる画像を形成できる画像形成方法及び画像形成装置に関する。
近年、包装材に使用される柔軟性の高いフィルムへの印刷において、小ロット印刷やオンデマンド印刷の需要が高まっている。現在、主要となっているグラビア印刷やオフセット印刷といったアナログ印刷では、版を作製する必要があるため、この方法で上記需要に対応するとコストが高くなる。一方で、粉体の現像剤を用いた乾式電子写真方式の印刷は版が不要なデジタル印刷であり、この方法であれば上記需要に対応したとしてもコストを低減することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
フィルムへの印刷には、フィルムのウラ面(視認側の面と反対側の面)に画像を印刷し、フィルム越しに視認される印刷層を形成する「裏刷」と、フィルムのオモテ面(視認側の面)に画像を印刷し、フィルムよりも手前側で視認される印刷層を形成する「表刷」とがある。例えば画像が形成されたフィルムにより作製された軟包装材は、その用途から、文書やポスター、パンフレット等の冊子と比較して、擦られたり折られたりする頻度が高くなるため、上記「裏刷」及び「表刷」のいずれであっても印字層が剥がれるおそれがあり、耐擦過性及び折り耐性が十分でないという問題がある。
これに対しては、例えば、印字層が形成された基材の全面、又は基材上に形成された印字層の全面に、透明トナー層を形成して印字層を被覆し、これを保護する技術を適用することが考えられる(例えば、特許文献2及び3参照。)
しかしながら、当該技術にあっては、透明トナー層自体は保護されていないため、表面が擦られると透明トナー層が剥がれてしまい、結果として印字層も剥がれてしまう。また、印字層の全面に透明トナー層を形成する場合にあっては、表面が擦られると周縁部から印字層が透明トナー層と共に剥がれてしまう場合がある。さらには、印字層上に透明トナー層が形成されることで、トナーで構成される層が全体として厚くなり、曲げや折りに対する耐性が低下する。
特開2006−215494号公報 特開2002−341619号公報 特開2004−341242号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、フィルム上に乾式電子写真方式により画像を形成する場合において、耐擦過性に優れ、曲げや折りに対する耐性にも優れる画像を形成できる画像形成方法及び画像形成装置を提供することである。
本発明に係る上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討した結果、乾式電子写真方式によりフィルム上に形成されたトナー層上に当該トナー層よりも広い面積で保護層を形成することで、耐擦過性に優れ、曲げや折りに対する耐性にも優れる画像を形成できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る課題は、以下の手段により解決される。
1.画像支持体としてのフィルム上に、乾式電子写真方式により有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成する工程と、
前記トナー層上に前記トナー層よりも広い面積で保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする画像形成方法。
2.前記トナー層を形成する工程において、前記フィルムの視認側の面上に前記トナー層を形成することを特徴とする第1項に記載の画像形成方法。
3.前記保護層が、透明であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の画像形成方法。
4.前記保護層を形成する工程において、前記トナー層の温度を100℃未満として前記保護層を形成することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
5.前記フィルムが、白色であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
6.前記保護層を形成する工程において、塗布液の塗布又はシート状物の貼り付けにより前記保護層を形成することを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
7.前記トナー層が形成された前記フィルムを搬送し、搬送される前記フィルムに対し、前記保護層を形成する工程を行うことを特徴とする第1項から第6項までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
8.画像支持体としてのフィルム上に、有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成するトナー層形成部と、
前記トナー層上に前記トナー層よりも広い面積で保護層を形成する保護層形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
本発明によれば、フィルム上に乾式電子写真方式により画像を形成する場合において、耐擦過性に優れ、曲げや折りに対する耐性にも優れる画像を形成できる画像形成方法及び画像形成装置を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、以下のように推察している。
本発明の画像形成方法では、フィルム上に形成されたトナー層の上に、当該トナー層よりも広い面積で保護層を形成するので、トナー層が露出することがなくなる。よって、表面が擦られてもトナー層が剥離することがなく、耐擦過性に優れる画像を形成することができる。また、保護層の面積がトナー層よりも広いため、トナー層の側端面をも保護でき、高い耐擦過性が得られる。また、このようにして保護層によりトナー層を保護するため、トナーで構成される層全体の厚さが増大することによる曲げや折りに対する耐性の低下を抑制することができる。
トナー層の形成に用いられるトナー層形成装置の一例の概略構成図 トナー層の形成に用いられるトナー層形成装置の別の例の概略構成図 保護層の形成に用いられる保護層形成装置の一例の概略構成図 フィルム上に形成されるトナー層の形状を示す平面図
本発明の画像形成方法は、画像支持体としてのフィルム上に、乾式電子写真方式により有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成する工程と、前記トナー層上に前記トナー層よりも広い面積で保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、各請求項に共通する又は対応する技術的特徴である。
本発明においては、前記トナー層を形成する工程において、前記フィルムの視認側の面上に前記トナー層を形成することが好ましい。
また、本発明においては、前記保護層が、透明であることが好ましい。これにより、フィルムのいずれの面にトナー層を形成した場合であってもトナー層を視認することができる。
また、本発明においては、前記保護層を形成する工程において、前記トナー層の温度を100℃未満として前記保護層を形成することが好ましい。これにより、保護層形成時にトナー層の溶融等が発生することを抑制し、より優れた耐擦過性及び折り耐性を得ることができる。
また、本発明においては、前記フィルムが、白色であることが好ましい。これにより、フィルム上にトナー層とは別に、白色トナー等を用いて白色層を設けることなく、フィルムに遮蔽性を付与することができる。そしてこれにより、トナーで構成される層全体の厚さの増大を抑えることができ、曲げや折りに対する耐性を向上させることができる。
また、本発明においては、前記保護層を形成する工程において、塗布液の塗布又はシート状物の貼り付けにより前記保護層を形成することが好ましい。これにより、保護層を均一かつ容易に形成することができる。
また、本発明においては、生産性向上の観点から、前記トナー層が形成された前記フィルムを搬送し、搬送される前記フィルムに対し、前記保護層を形成する工程を行うことが好ましい。
また、本発明の画像形成装置は、画像支持体としてのフィルム上に、有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成するトナー層形成部と、前記トナー層上に前記トナー層よりも広い面積で保護層を形成する保護層形成部と、を備えることを特徴とする。これにより、フィルム上に、耐擦過性に優れ、曲げや折りに対する耐性にも優れる画像を形成することができる。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
《画像形成方法の概要》
本発明の画像形成方法は、画像支持体としてのフィルム上に、乾式電子写真方式により有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成する工程(トナー層形成工程)と、トナー層上にトナー層よりも広い面積で保護層を形成する工程(保護層形成工程)と、を有することを特徴とする。
《1.トナー層形成工程》
本発明に係るトナー層形成工程においては、従来公知の乾式電子写真方式により有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方(以下、特に区別する必要がない場合には単にトナーという。)を用いてトナー層を形成することで、画像支持体としてのフィルム上に画像を形成する。ここで、本発明において乾式電子写真方式とは、粉体の現像剤を用いた電子写真方式の画像形成方法をいう。
トナー層の層厚としては、例えば、1〜12μmの範囲内であることが好ましい。
《1−1.フィルム》
本発明に係る画像支持体としてのフィルムとしては、樹脂材料を膜状又はシート状に成形したものであればいずれであっても良く、樹脂材料は目的に応じて適宜選択することができる。
フィルムとしては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースエステルフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。
フィルムには、延伸処理が施されていても良い。延伸処理方法としては、押出成膜法等で樹脂を溶融押出してシート状にした後、同時二軸延伸又は逐次二軸延伸を行うことが一般的である。また、逐次二軸延伸の場合は、始めに縦延伸処理を行い、次に横延伸を行うことが一般的である。具体的には、ロール間の速度差を利用した縦延伸と、テンターを用いた横延伸とを組み合わせる方法が多く用いられる。
また、フィルム表面には必要に応じて、火炎処理やコロナ放電処理等の各種表面処理が施されていても良いし、オーバーコート層が設けられていても良い。
上記した中でも、印刷適性の観点から、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリエステルフィルム、これらに延伸処理が施されたもの等が好ましい。
フィルムの厚さは、例えば、10〜250μmの範囲内が好ましく、10〜80μmの範囲内がより好ましい。厚さを10μm以上とすることで、フィルムの剛性が向上してトナー像の形成が容易となる。一方、厚さを250μm以下とすることで、フィルムの剛性が抑えられ、折り曲げられた際に当該フィルム上に形成されるトナー層が割れにくくなる。
また、用途に応じてフィルムを白色化する場合には、フィルム上にトナー層とは別の白色トナー層を形成するよりも、白色フィルムを用いることが好ましい。本発明において白色とは、CIE表色系において、明度(L)が75以上、彩度(c={(a+(b0.5)が15以下の色である。明度と彩度は、例えば、蛍光分光濃度計を用いて、L、a、bを測定することで得ることができる。上記したようにフィルム上に白色トナー層を形成することでフィルム全体を白色化することも可能であるが、白色のフィルムを用いることで、トナーで構成される層全体の層厚の増大を抑えることができ、折り耐性を向上させることができる。
白色フィルムの製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フィルム内部に白色顔料を含有させる方法、フィルム表面に白色顔料を塗布する方法、フィルム内部にミクロボイドを形成する方法等が挙げられる。これらの方法は1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記白色顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、二酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、タルク、カオリン等が挙げられる。これらの白色顔料は1種単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。これらの中でも、二酸化チタンが好ましく、二酸化チタンとしては、アナターゼ型又はルチル型のいずれであっても良い。また、平均粒径の異なる二種類以上の二酸化チタンを用いても良い。平均粒径の異なる二酸化チタンを用いると、白色顔料の添加量が少なくても白色度を向上させることができる。
ミクロボイドを形成する方法としては、例えば、入射した可視光を全反射する気体を包含した微細な気泡を多量にフィルム中に形成する方法を挙げることができる。より具体的には、ポリプロピレン樹脂などの熱可塑性樹脂を二軸延伸することで容易に達成できる。また、当該熱可塑性樹脂には、無機充填剤と、分散剤や耐熱性向上剤等を混合することにより、白色樹脂フィルムをより容易に作製することができる。当該無機充填剤としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、シリカ、酸化チタン等が挙げられ、ミクロボイドとともにフィルムの白色度を向上させることができる。また、ミクロボイド及び無機充填剤を共に含有させることで、無機充填材の添加量を、上記白色顔料の添加量よりも減らすことができる。分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端ヒドロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。耐熱性向上剤としては、例えば、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等が挙げられる。
また、ミクロボイドの他の形成方法としては、例えば、発泡剤とともに樹脂材料を重合又は溶融混練する方法を挙げることができる。当該発泡剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾジカルボンアミド、4,4′オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジッド、パラトルエンスルフォニルヒドラジッド、パラトルエンスルホニルアセトンヒドラゾーン、ヒドラゾジカルボンアミド等が挙げられる。
本発明に係るフィルムは、複数のフィルムを貼り合わせて構成されるものであっても良い。
《1−2.トナー》
本発明においてトナーとは、トナー粒子の集合体をいう。また、トナー粒子とは、結着樹脂やワックス等を含有するトナー母体粒子に外添剤を添加したものをいう。なお、本発明においては、トナー母体粒子とトナー粒子とを区別する必要がない場合には、単にトナー粒子と称することがある。
また、本発明において、有色トナーは、トナー母体粒子に着色剤を含有するトナーをいい、無色トナー(クリアトナー、透明トナー)は、トナー母体粒子に着色剤を含有しないトナーをいう。
トナーの軟化点は、トナーの定着性の観点から、例えば、80〜140℃の範囲内であることが好ましく、より好ましくは90〜120℃の範囲内である。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3000kg/cmの力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作製する。次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出す。昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、例えば、3〜20μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは4〜15μmの範囲内である。体積基準のメジアン径は、例えば、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。体積基準のメジアン径が上記範囲内にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、「コールターカウンターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定・算出することができる。
具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の電解液「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が5〜10%の範囲になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲2〜60μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒子径(体積D50%径)を体積基準のメジアン径とする。
また、トナー粒子の平均円形度は、転写効率の向上の観点から、例えば、0.850〜1.000の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.900〜0.995の範囲内である。平均円形度が0.850〜1.000の範囲内にあることにより、画像支持体に転写されたトナー層におけるトナー粒子の充填密度が高くなって定着性が向上し、定着オフセットが発生しにくくなる。また、個々のトナー粒子が破砕しにくくなって摩擦帯電付与部材の汚染が減少し、トナーの帯電性が安定する。
トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定することができる。具体的には、トナーを界面活性剤入り水溶液にて馴染ませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)によって、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出した値である。HPF検出数が上記の範囲であれば、再現性が得られる。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
《1−2−1.結着樹脂》
トナー母体粒子に含有される結着樹脂は、熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂としては、具体的には、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン−アクリル樹脂、オレフィン系樹脂などのビニル系樹脂;ポリエステル樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリウレタン樹脂などの公知の種々のものを挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とを組み合わせて用いる場合は、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とを混合して使用しても良いし、ビニル系樹脂からなるユニットとポリエステル樹脂からなるユニットとが互いに結合し複合化されてなる樹脂を使用しても良い。両者を互いに結合させることによって、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂との相溶性を高めることができる。
ビニル系樹脂からなるユニットとポリエステル樹脂からなるユニットとを結合させる方法としては、ビニル系樹脂にポリエステル樹脂からなるユニットをグラフト重合させる方法や、ポリエステル樹脂にビニル系樹脂からなるユニットをグラフト重合させる方法などが挙げられる。これらの方法を採用することにより、両者の親和性を高めることができる。両者の親和性が高いものとされることによって、ビニル系樹脂とポリエステル樹脂とがそれぞれ局在化せずに相溶化してトナー粒子中に均一に存在することとなり、それぞれの樹脂の特性をより効果的に発現させることができる。
結着樹脂として用いられる熱可塑性樹脂は、融点を有する結晶性樹脂、及び融点を有さずにガラス転移点を有する非晶性樹脂のいずれであっても良く、その混合物であっても良い。
上記熱可塑性樹脂の中でも、結着樹脂の透明性の観点から、スチレン−アクリル樹脂を用いることが好ましく、具体的には、結着樹脂中にスチレン−アクリル樹脂が50〜95質量%の範囲内で含有されることが好ましい。また、この場合、結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量が5〜50質量%の範囲内であることが好ましく、10〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
結着樹脂を構成する熱可塑性樹脂は、それ自身が透明であることが最も好ましいが、ポリエステル樹脂のように薄く黄色がかった色を有する程度であれば、問題なく使用することができる。
スチレン−アクリル樹脂としては、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーとを、ラジカル重合反応など公知の方法で重合したものを用いることができる。
スチレン系モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−ノニルスチレン、p−フェニルスチレンなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸n−ブチル、メタアクリル酸イソプロピル、メタアクリル酸イソブチル、メタアクリル酸t−ブチル、メタアクリル酸n−オクチル、メタアクリル酸2−エチルヘキシル、メタアクリル酸ステアリル、メタアクリル酸ラウリル、メタアクリル酸フェニル、メタアクリル酸ジエチルアミノエチル、メタアクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタアクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。これらはそれぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。上記モノマーのうち、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタアクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸が好ましく用いられる。
上記のスチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルモノマーとともに、必要に応じてその他の重合性モノマーを重合させることができる。その他の重合性モノマーとしては、例えば、ビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類が挙げられる。多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造のスチレン−アクリル樹脂を得ることができる。
また、結着樹脂全体の分子量としては、数平均分子量(Mn)が好ましくは3000〜6000の範囲内、より好ましくは3500〜5500の範囲内、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2.0〜6.0の範囲内、好ましくは2.5〜5.5の範囲内である。
結着樹脂の分子量は、テトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定試料をトナーとして測定されるものであり、具体的には、以下のように行われる。
すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)及びカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/minで流し、測定試料(トナー)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにテトラヒドロフランに溶解させる。次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成する。また、検出器には屈折率検出器を用いる。
《1−2−2.ワックス》
トナー母体粒子に含有されるワックスとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
これらの中でも、溶融状態から固化する結晶化に際して異方性を有さないことにより、無色トナーで形成された場合のトナー層の透明性の向上が図られることから、結晶化度が低いものを用いることが好ましい。例えば、パラフィンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス、カルナウバワックス、サゾールワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、ホホバ油ワックス、蜜蝋ワックスなどを用いることが好ましい。
トナーに含有されるワックスの融点は、後述するトナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク温度によって示され、本発明に係るトナーにおいては、定着分離性とトナーの耐熱保管性の観点から、当該融解ピーク温度が55〜95℃の範囲内であることが好ましい。
トナー粒子中のワックスの含有量は、後述するトナーのDSC測定によって取得されるワックスの吸熱ピークから得られる融解ピーク面積から求められる融解エネルギーΔHによって示される。本発明に係るトナーにおいては、当該ΔHが0.2〜3014J/gの範囲内となる含有量であることが好ましく、ΔHが0.4〜13J/gの範囲内となる含有量であることがより好ましい。
トナー粒子中のワックスの含有量が上記範囲内にあることにより、無色トナーで形成された場合のトナー層内部において、ワックスの含有部分と結着樹脂の含有部分との界面における光散乱が抑制されることから透明性が高く、品位の向上されたものとすることができる。また、定着装置の加熱加圧ローラーからの画像支持体の分離を容易にすることができる。
また、トナー粒子中のワックスの含有量について上記ΔHが3014J/g以下であることによって、両面印刷における画像支持体の第2面へのトナー層形成時に、画像支持体の第1面上に形成されたトナー層におけるワックスの溶融・再結晶化による平滑性の低下を抑制することができる。したがって、画像支持体の両面のトナー層間の光沢度の差を小さくする効果が得られる。
ワックスが結着樹脂中において、いわゆる海島構造をとる場合には、得られるトナー層の透明性が低下されてくすみ感が強く認識されるため、ワックスの含有量を少なくすることが好ましい。
トナーのDSC測定は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて、以下のように行われる。
具体的には、測定手順としては、トナー3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。測定条件としては、測定温度0〜200℃の範囲、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行う。
そして、融解エネルギーΔH(J/g)は、その2nd.Heatにおけるワックス由来の吸熱ピークから単位質量当たりの熱量を算出することによって得られる値である。
《1−2−3.着色剤》
有色トナーに含有される着色剤としては、公知の染料及び顔料を用いることができる。
黒色の有色トナーを得るための着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラックなどのカーボンブラック、マグネタイト、フェライトなどの磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料などの公知の種々のものを任意に使用することができる。
白色の有色トナーを得るための着色剤としては、例えば、無機白色顔料(例えば、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、二酸化チタン、水酸化アルミニウム、サチンホワイト、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、非晶質シリカ、コロイダルシリカ、ホワイトカーボン、カオリン、焼成カオリン、デラミネートカオリン、アルミノケイ酸塩、セリサイト、ベントナイト、スメクサイト等)、有機白色顔料(例えば、ポリスチレン樹脂粒子、尿素ホリマリン樹脂粒子等)等が挙げられる。また、中空構造を有する顔料、例えば中空樹脂粒子、中空シリカ等も挙げられる。これらは1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
黒色及び白色以外の有色トナーを得るための着色剤としては、具体的には、顔料としては例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ13、同31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76などを挙げることができる。染料としては例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95などを挙げることができる。
黒色及び白色以外の有色トナーを得るための着色剤は、各色について、1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
着色剤の数平均一次粒子径は、着色剤の種類などにより異なるが、例えば、10〜200nmの範囲内であることが好ましい。
着色剤の含有量は、例えば、有色トナー中に0.5〜20質量%の範囲内であることが好ましく、1〜10質量%の範囲内であることがより好ましく、2〜8質量%の範囲内であることが更に好ましい。着色剤の含有量が1質量%以上であると、得られる有色トナーによる着色が十分となり、着色剤の含有量が10質量%以下であると、着色剤の遊離やキャリアなどへの付着をより確実に抑制し、帯電性を良好にすることができる。
《1−2−4.外添剤》
トナー母体粒子は、そのままで本発明に係るトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良する目的で、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤が添加されていても良い。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子等よりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子等の無機ステアリン酸化合物微粒子、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛等の無機チタン酸化合物微粒子等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの無機微粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の向上の観点から、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって光沢処理が施されていることが好ましい。
外添剤の添加量は、例えば、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜3質量部の範囲内であることがより好ましい。
《1−2−5.トナーの製造方法》
本発明に係るトナーを製造する方法としては、例えば、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法等が挙げられる。
これらの中でも、高画質化、高安定性に有利となる粒子径の均一性、形状の制御性、コアシェル構造形成の容易性の観点より、乳化凝集法を採用することが好ましい。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナーの粒子径となるまで凝集させ、その後又は凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
ここで、樹脂微粒子を、任意に離型剤、荷電制御剤などの内添剤を含有したものとしても良いし、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とする、複数層で形成された複合粒子とするものとしても良い。
また、凝集時に、異種の樹脂微粒子を添加し、コアシェル構造のトナー粒子とすることもトナー構造設計の観点から好ましい。
樹脂微粒子は、例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法等により製造、又はいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。樹脂微粒子に内添剤を含有させる場合には、中でもミニエマルション重合法を用いることが好ましい。
《1−2−6.現像剤》
上記トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用しても良い。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、例えば、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウムや鉛等の金属との合金等の従来公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂等の被覆剤(被覆樹脂)で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリア等が用いられても良い。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、バインダー型キャリアを構成するバインダー樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
キャリアの体積基準のメジアン径としては、例えば、20〜100μmの範囲内であることが好ましく、更に好ましくは20〜60μmの範囲内である。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
《1−3.トナー層形成装置》
トナー層形成工程は、乾式電子写真方式のトナー層形成装置を用いて行うことができる。トナー層形成装置としては、感光体、当該感光体に静電潜像を形成する手段、当該静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する手段、形成されたトナー像を画像支持体に転写する手段、転写されたトナー像を画像支持体上に定着する手段等を有する。
図1及び図2は、本発明に係るトナー層形成工程に用いられるトナー層形成装置の構成の一例をそれぞれ示す図である。
図1に示すトナー層形成装置100は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン又は黒のトナー像を形成する画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、これらの画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにおいて形成された各色のトナー像を画像支持体P上に転写する中間転写ユニット7と、画像支持体Pに対してトナー像を定着させる定着手段24とを備えるトナー層形成装置本体Aを有する。また、当該トナー層形成装置本体Aの上部に、原稿を光学的に走査して画像情報をデジタルデータ(原稿画像データ)として読み取るための原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
画像形成ユニット10Yについて、以下に詳細に説明する。
画像形成ユニット10M、10C、10Bkは、各々、イエロートナーに代えて、マゼンタトナー、シアントナー、黒トナーによってトナー像を形成するものであり、基本的には画像形成ユニット10Yと同様の構成を有するものである。
画像形成ユニット10Yは、像形成体であるドラム状の感光体1Yの周囲に、当該感光体1Yの表面に一様な電位を与える帯電手段2Y、一様に帯電された感光体1Y上に露光用画像データ信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電潜像を形成する露光手段3Y、トナーを感光体1Y上に搬送して静電潜像を顕像化する現像手段4Y、一次転写後に感光体1Y上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段6Yが配置されてなり、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。
帯電手段2Yとしては、コロナ放電型の帯電器が用いられている。
露光手段3Yとしては、露光光源として発光ダイオードを用いた、例えば感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光ダイオードからなる発光素子が配列されたLED部と結像素子とから構成される光照射装置や、露光光源として半導体レーザーを用いた、レーザー光学系のレーザー照射装置などよりなる。図1に示すトナー層形成装置100においては、レーザー照射装置が設けられている。
露光手段3Yにおいては、発振波長が350〜850nmの半導体レーザー又は発光ダイオードを、露光光源として用いた装置からなることが望ましい。このような露光光源を、書き込みの主査方向の露光ドット径を10〜100μmに絞り込んで用い、感光体1Y上にデジタル露光を行うことにより、600dpiから2400dpi、あるいはそれ以上の高解像度の電子写真画像を得ることができる。
露光手段3Yにおける露光方法としては、半導体レーザーを用いた走査光学系であっても良く、LEDによる固体型であっても良い。光強度分布についても、ガウス分布及びローレンツ分布などがあるがそれぞれのピーク強度の1/e以上の領域を露光ドット径とすれば良い。
トナー層形成装置100においては、画像形成ユニット10Yにおける感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yが、一体化されたプロセスカートリッジとして設けられている。当該プロセスカートリッジは、レール等の案内手段を用いてトナー層形成装置本体Aに対して着脱自在に構成されていても良い。
なお、プロセスカートリッジは、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y及びクリーニング手段6Yの少なくとも一つが、感光体1Yと共に一体に支持されて構成されているものとしても良い。
中間転写ユニット7は、複数の支持ローラー71〜74により張架され、循環移動可能に支持された無端ベルト状の中間転写体70と、それぞれ画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkによって形成されたトナー像を中間転写体70に転写するための一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkと、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkによって中間転写体70上に転写されたトナー像を画像支持体P上に転写する二次転写ローラー5bと、中間転写体70上に残留した残留トナーを回収するクリーニング手段6bとを有する。
中間転写ユニット7における一次転写ローラー5Bkは、画像形成処理中の常時、感光体1Bkに当接されており、他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cは、カラー画像を形成する場合にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接される。
また、二次転写ローラー5bは、ここを画像支持体Pが通過して二次転写が行われるときにのみ、中間転写体70に当接される。
画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkにおけるプロセスカートリッジのそれぞれと、中間転写ユニット7の二次転写ローラー5b以外のものが筐体8に収納されている。当該筐体8は、トナー層形成装置本体Aから支持レール82L、82Rを介して引き出し可能に構成されている。
以上のようなトナー層形成装置100においては、感光体1Y、1M、1C、1Bkの表面が帯電手段2Y、2M、2C、2Bkより帯電される。そして、露光手段3Y、3M、3C、3Bkが、原稿画像読み取り装置SCによって得られた原稿画像データに各種の画像処理等が施されて得られた各色の露光用画像データ信号に従って動作される。具体的には、当該露光用画像データ信号に対応して変調されたレーザー光が露光光源から出力され、このレーザー光によって当該感光体1Y、1M、1C、1Bkが走査露光される。これにより、原稿画像読み取り装置SCにより読み取られた原稿に対応したイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各色に対応した静電潜像が各感光体1Y、1M、1C、1Bk上にそれぞれ形成される。
次いで、感光体1Y、1M、1C、1Bk上に形成された静電潜像が、現像手段4Y、4M、4C、4Bkにより各色のトナーで現像されることにより各色のトナー像が形成される。そして、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより各色のトナー像が中間転写体70上に逐次転写されて重ね合わされて合成され、カラートナー像が形成される。
さらに、カラートナー像の形成に同期して、給紙カセット20内に収容された画像支持体Pが、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D及びレジストローラー23を経て、二次転写ローラー5bに搬送される。そして、当該画像支持体P上に、二次転写ローラー5bによって中間転写体70上に転写されたカラートナー像が一括して転写される。
画像支持体P上に転写されたカラートナー像は、定着手段24により例えば加熱及び加圧により定着されて可視画像(トナー層)が形成される。その後、可視画像が形成された画像支持体Pが、排紙ローラー25によって排出口26から機外に排出されて排紙トレイ27上に載置される。
各色のトナー像を中間転写体70に転写させた後の感光体1Y、1M、1C、1Bkは、それぞれクリーニング手段6Y、6M、6C、6Bkにより当該感光体1Y、1M、1C、1Bkに残留したトナーが除去された後に、次の各色のトナー像の形成に供される。
一方、二次転写ローラー5bにより画像支持体P上にカラートナー像を転写し、画像支持体Pが曲率分離された後の中間転写体70は、クリーニング手段6bにより当該中間転写体70上に残留したトナーが除去された後に、次のトナー像の中間転写に供される。
図2に示すトナー層形成装置200は、画像支持体Pとして長尺フィルムを用いる点で、上記した図1に示すトナー層形成装置100と異なる。また、図2に示すトナー層形成装置200の画像形成のプロセスについては、図1に示すトナー層形成装置100と略同様であるため、異なる部分を主として説明する。
トナー層形成装置200は、給紙機214、作像機242、巻取機216等を備えている。給紙機214は、長尺な画像支持体Pの受け軸220、テンション及びガイド用のローラー222、224等を備えており、画像支持体Pを作像機242に供給する。巻取機216は、画像支持体Pの巻き取り軸226、テンション及びガイド用のローラー228、230等を備えており、作像機242から排出される画像支持体Pを巻き取る。
作像機242は、乾式電子写真方式で画像形成を行うものであって、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4個の作像ユニット244Y、244M、244C、244Bkを備える(以下、符号を簡略化して244で示す。)。各作像ユニット244は、感光体246Y、246M、246C、246Bk(以下、符号を簡略化して246で示す。)や、図示しない帯電手段、露光手段及び現像手段を有する。
中間転写体247は、支持ローラー248、250間に張架される。一次転写ローラー252Y、252M、252C、252Bkは、感光体246に中間転写体247を挟んで対向して配置され、感光体246の表面に形成されたトナー画像を静電的に引き付けて中間転写体247上に転写する(一次転写)。
中間転写体247上のトナー画像は、支持ローラー248及び二次転写ローラー254の間に挟まれた画像支持体Pに転写される(二次転写)。画像支持体Pに転写されたトナー画像は、定着部256により画像支持体P上に定着されて、トナー層が形成される。
《2.保護層形成工程》
本発明に係る保護層形成工程においては、フィルム上に形成されたトナー層上に、当該トナー層よりも広い面積で保護層を形成する。したがって保護層は、トナー層のフィルムと接している面とは反対側の面に接するように配置される。また、「トナー層よりも広い面積」とは、フィルム及びトナー層の面方向に対して直交する方向から見たときのトナー層の面積よりも大きい面積をいう。
本発明において保護層とは、トナー層を保護するための層であって、層内に界面が含まれる構造を有しない層である。また、ここでいう「層内に界面が含まれる構造」とは、形成された層の断面をその直交方向から観察した際に、境界線で囲まれるドメイン径4〜50μmの領域が少なくとも2つ以上隣接して観察される構造であって、当該境界線上で観測されるSi原子量が、当該境界線から当該領域の中心に向かう方向に1μm離れた位置で観測されるSi原子量よりも多いものをいう。
層内に界面が含まれる構造の有無を確認する方法としては、例えば、層の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)により観察する方法が挙げられる。境界線で囲まれる領域のドメイン径は、TEM観察で撮影した写真画像をスキャナーにより取り込み、画像処理解析装置を用いて、水平方向最大弦長(CORD H)を測定することで得ることができる。境界線上及び境界線から1μm離れた位置でのSi原子量は、エネルギー分散型X線分光器(EDS;Energy dispersive X-ray spectrometry)による元素分析を行うことで測定することができる。
なお、トナーを用いて層を形成した場合、層内に界面が含まれる構造を有するため、本発明に係る保護層を構成しない。
保護層が画像支持体としてのフィルムの視認側の面に形成される場合、保護層は透明であることが好ましい。本発明において、保護層における「透明」とは、可視光(波長:550nm)の光透過率が50%以上であることをいう。また、「視認側の面」とは、フィルムの両面のうち、トナー層及び保護層が形成されたフィルムが軟包装材等として取り扱われた際に、ユーザーにとって手前側に配置される面である。
保護層の層厚は、例えば、1〜150μmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜80μmの範囲内である。層厚を1μm以上とすることで、トナー層の層厚が厚かった場合でも保護層がトナー層の周縁部をより確実にカバーすることができる。一方、層厚を150μm以下とすることで、形成される画像の折り耐性を向上させることができる。
保護層は、フィルムの視認側の面上に形成されたトナー層上に形成されることが好ましい。保護層及びトナー層がフィルムの視認側の面に形成されることで、有色のフィルムを画像支持体として用いた場合であっても、ユーザーは当該フィルム上に形成されるトナー層をより確実に視認することができる。また、フィルムの視認側の面と反対側の面にトナー層及び保護層が形成されると、当該トナー層がフィルム越しに視認されることとなるため、当該トナー層が反転されてその鏡像が形成される必要があるが、視認側の面に形成される場合には、反転される必要がなくトナー層の形成をより容易にすることができる。
保護層形成工程において保護層を形成する具体的な方法としては、例えば、ニス等の塗布液を塗布する方法、フィルム等のシート状物を貼り付ける方法等が挙げられる。これらの方法で保護層を形成することで、保護層を均一かつ容易に形成することができる。
塗布液としては、例えば、ニス等が挙げられる。ニスとしては、例えば、水性ニス、油性ニス及び光硬化型ニス等が挙げられる。ニスの塗布には、例えば、ロールコーター、フキソソコーター、ロッドコータ、ブレード、ワイヤーバー、エアーナイフ、カーテンコータ、スライドコータ、ドクターナイフ、スクリーンコータ、グラビアコーター(例えば、オフセットグラビアコーター)、スロットコーター、押出しコーター、インクジェットコーターを含む液体フィルムコーティング装置を使用することができる。これらのような装置は、例えば、正転及び逆転ロールコーティング、オフセットグラビア、カーテンコーティング、リソグラフコーティング、スクリーンコーティング、グラビアコーティング及びインクジェットコーティングなどの周知の方式のものを使用することができる。
また、塗布液を塗布した後、塗布膜を加熱して乾燥、硬化する処理を行うものとしても良い。
シート状物としては、例えば、フィルムが挙げられる。フィルムとしては、特に限定はなく、所望の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、ポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミド(ナイロン)フィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルム等のポリオレフィンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム等が挙げられる。これらは延伸処理が施されていても良い。また、フィルム表面には必要に応じて火炎処理やコロナ放電処理などの各種表面処理が施されていても良いし、オーバーコート層が設置されていても良い。
シート状物としてフィルムを貼り付ける方法としては、例えば、シート状物としてのフィルムに接着層を設け、これをラミネーター等を用いてトナー層上に貼り付ける方法や、溶融したポリエチレンをシート状に成形したものをトナー層上に設け、圧着・冷却する方法等が挙げられる。
保護層形成工程においては、トナー層の温度を100℃未満に維持しながら行うことが好ましい。上記したように塗布液を塗布した後に乾燥処理を行ったり、シート状物をラミネーターを用いて貼り付けたりすることで、下地のトナー層が加熱される場合があるが、トナー層の温度を100℃未満に保持することで、トナー層中にわずかに残留する水分の蒸発を抑制できる。これにより、水分の蒸発によってフィルムとトナー層の間、又はトナー層と保護層の間に生じる気泡を低減し、曲げや折りに対する耐性を向上させることができる。また、トナー層の温度を100℃未満に保持することで、トナー層の軟化によってトナー中に含まれる離型剤成分等が保護層側に露出することをより確実に抑制し、トナー層と保護層との接着性を向上させることができる。
保護層形成工程におけるトナー層の温度は、薄型の温度計等で測定することができる。具体的には、例えば、貼付型温度センサーST−51(理化工業社製)を、トナー層の保護層が積層される側の面、又は画像支持体としてのフィルムとトナー層との間に貼り付けてから、保護層を形成することで測定することができる。
また、保護層形成工程を上記トナー層形成工程後に連続して行う、すなわち、トナー層が形成された画像支持体としてのフィルムを搬送し、搬送されるフィルムに対し、保護層形成工程を行うことが、生産性の観点から好ましい。具体的には、例えば、図3に示す保護層形成装置300を用いて達成することができる。図3は、保護層形成装置300の概略構成図である。
保護層形成装置300は、上記したトナー層形成装置100の排出口26近傍に接続して設けられ、トナー層が形成された画像支持体P上にニスを塗布して保護層を形成する。
保護層形成装置300は、画像支持体Pの搬送方向上流側から順に、画像支持体P上に光硬化型ニスを塗布する塗布部310、塗布後の画像支持体Pを搬送する搬送部320、搬送部320により搬送される画像支持体Pに対向して設けられる光照射部330、搬送部320により搬送された画像支持体Pを受けるトレイ340等を備えて構成されている。
塗布部310は、画像支持体Pのトナー層が形成された面に当接する塗布ローラー311と、当該塗布ローラー311に対向する搬送ローラー312とを有して構成されている。塗布部310は、トナー層形成装置100の排出口26から機外に排出される画像支持体Pをニップして下流側に搬送しながら、塗布ローラー311により画像支持体Pのトナー層上に光硬化型ニスを塗布する。塗布ローラー311は、光硬化型ニスを収容する密閉チャンバー313を有し、当該密閉チャンバー313から供給される光硬化型ニスがドクターブレード(図示略)により塗布ローラー311周面上に均一に塗布される。なお、密閉チャンバー313に収容されるニスは、光硬化型ニスでなくとも良く、水性ニスや油性ニス等であっても良い。この場合には、保護層形成装置300は光照射部330を備えていなくても良い。
搬送部320は、搬送ローラー321、322と、当該搬送ローラー321、322に張架され回転駆動される無端状の搬送ベルト323と、を有して構成されている。搬送ベルト323は搬送ローラー321、322により回転駆動されることで、塗布部310から搬送される画像支持体Pを受け取り、これを所定速度でトレイ340まで搬送する。搬送部320による搬送速度は、特に限定されるものではなく、光照射部330による紫外線照射量等に応じて適宜設定される。
光照射部330は、搬送ベルト323上に載置される画像支持体Pに対向し、当該画像支持体Pに対して紫外線を照射する。これにより、画像支持体Pのトナー層上に塗布された光硬化型ニスを硬化させ、保護層を形成する。光照射部330による紫外線照射量は、塗布された光硬化型ニスを十分に硬化させる程度であれば良く、搬送部320による搬送速度等に応じて適宜設定される。
《画像形成装置》
本発明の画像形成装置は、画像支持体としてのフィルム上に、粉体の有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成するトナー層形成部と、トナー層上にトナー層よりも広い面積で保護層を形成する保護層形成部と、を備えることを特徴とする。
具体的には、本発明の画像形成装置は、トナー層形成部として機能する上記トナー層形成装置100と、保護層形成部として機能する上記保護層形成装置300とを備えて構成されるが、これに限られるものではない。例えば、トナー層形成装置100の代わりに、トナー層形成部として上記トナー層形成装置200を備えていても良く、この場合には保護層形成装置300の搬送部320が長尺フィルムを搬送可能なように構成されていても良い。また、例えば、保護層形成部としての保護層形成装置300が、トナー層上にシート状物を貼り付けることで保護層を形成するように構成されていても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
《フィルム101の作製》
表面基材、粘着剤及び剥離紙がこの順に積層されてなるタック紙(幅280mm)において、剥離紙から、両端が35mmずつ残るようにA4サイズ(210mm×297mm)の切片をくり抜き、表面基材及び粘着剤から、190mm×277mmの切片をくり抜いたものを準備する。
厚さ25μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(透明)をA4サイズに裁断し、これを上記タック紙の剥離紙の切片がくり抜かれた開口部分にはめ込み、当該フィルムの周縁部をタック紙の粘着剤に貼り付ける。このようにして、タック紙に囲まれた画像支持体としてのフィルム101を準備した。
《フィルム102の作製》
上記フィルム101の作製において、厚さ25μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、厚さ30μmのポリプロピレンフィルム(透明)を用いた以外は同様にして、画像支持体としてのフィルム102を作製した。
《フィルム103の作製》
上記フィルム101の作製において、厚さ25μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、厚さ12μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(透明)を用いた以外は同様にして、画像支持体としてのフィルム103を作製した。
《フィルム104の作製》
上記フィルム101の作製において、厚さ25μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、厚さ70μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(透明)を用いた以外は同様にして、画像支持体としてのフィルム104を作製した。
《フィルム105の作製》
上記フィルム101の作製において、厚さ25μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、厚さ100μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(透明)を用いた以外は同様にして、画像支持体としてのフィルム105を作製した。
《フィルム106の作製》
上記フィルム101の作製において、厚さ25μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルムに代えて、二酸化チタンを10質量%含有し、厚さが30μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(白色)を用いた以外は同様にして、画像支持体としてのフィルム106を作製した。フィルム106の明度(L)は91、彩度(c)は1.6であった。
《白色トナーの調製》
(1)樹脂粒子分散液の調製
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム9質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記組成の単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液(x1)を調製した。
スチレン 480質量部
アクリル酸n−ブチル 250質量部
メタクリル酸 65質量部
次に、撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム5質量部をイオン交換水2100質量部に溶解させた溶液を仕込んだ。液温を98℃に加熱後、樹脂微粒子の分散液(x1)182質量部と、下記組成の単量体及び離型剤を90℃にて溶解させた溶液を添加した。これを、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック株式会社製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。次いで、この分散液に、過硫酸カリウム4.2質量部をイオン交換水140質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を84℃にて1時間にわたり加熱撹拌することにより重合を行い、樹脂微粒子の分散液(x2)を調製した。
スチレン 203質量部
アクリル酸n−ブチル 68質量部
メタクリル酸 12質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 1質量部
離型剤:ベヘン酸ベヘニル(融点73℃) 137質量部
さらに、樹脂微粒子の分散液(x2)にイオン交換水280質量部を添加し、良く混合した後、過硫酸カリウム8質量部をイオン交換水280質量部に溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下で、下記組成の単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合させた後、28℃まで冷却し、樹脂粒子分散液を調製した。得られた樹脂粒子分散液中の樹脂粒子の分散径は体積基準のメジアン径で218nmであり、ガラス転移温度(Tg)が52℃、重量平均分子量(Mw)が32000であった。
スチレン 245質量部
アクリル酸n−ブチル 151質量部
アクリル酸 21質量部
n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート 6質量部
(2)白色顔料分散液の調製
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に添加した。この溶液を撹拌しながら、ルチル型酸化チタン(石原産業株式会社製)700質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック株式会社製)を用いて分散処理することにより、白色顔料分散液を調製した。得られた白色顔料分散液中の白色顔料の分散径は体積基準のメジアン径で240nmであった。
(3)白色トナーの調製
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、上記調製した樹脂粒子分散液288質量部(固形分換算)とイオン交換水2000質量部を投入した後、5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を添加して、25℃におけるpHを10に調整した。
その後、上記調製した白色顔料分散液90質量部(固形分換算)を投入した。次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。その後、3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温し、80℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター株式会社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.0μmになった時点で、塩化ナトリウム190質量部をイオン交換水760質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させた。さらに、昇温を行い、90℃の状態で加熱撹拌することにより、粒子の融着を進行させ、トナーの平均円形度が0.950になった時点で3.0℃/分の冷却速度で30℃に冷却した。なお、上記平均円形度は、測定装置「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて(HPF検出数を4000個とした。)を用いて測定した。
次いで、固液分離し、脱水したトナーケーキをイオン交換水に再分散し固液分離する操作を3回繰り返して洗浄した後、40℃で24時間乾燥させることにより、白色トナー母体粒子を得た。
得られた白色トナー母体粒子100質量部に、数平均一次粒子径12nmの疎水性シリカ0.6質量部、数平均一次粒子径80nmの疎水性シリカ1.5質量部、及び数平均一次粒子径20nmの疎水性二酸化チタン0.5質量部を添加し、高速混合機で付着させた。その後、45μmの目開きの篩を用いて粗大粒子を除去した。以上の外添剤処理を施すことにより、白色トナーを調製した。
《透明トナーの調製》
結着樹脂にテレフタル酸/ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物/シクロヘキサンジメタノールから得た線状ポリエステル(モル比=5:4:1、ガラス転移温度(Tg):62℃、重量平均分子量(Mw):10000)を用い、これをジェットミルで粉砕した。その後、風力式分級機で分級することで、体積基準のメジアン径が11μmの透明トナー母体粒子を作製した。
この透明トナー母体粒子100質量部に、数平均一次粒子径50nmの疎水性シリカ0.7質量部、及び数平均一次粒子径40nmの疎水性二酸化チタン0.5質量部を添加し高速混合機で付着させた。以上の外添剤処理を施すことにより、透明トナーを調製した。
《白色現像剤の調製》
フェライトコア100質量部と、シクロヘキシルメタクリレート/メチルメタクリレート(共重合比5/5)の共重合体樹脂粒子5質量部とを、撹拌羽根付き高速混合機に投入し、120℃で30分間撹拌混合して機械的衝撃力の作用でフェライトコアの表面に樹脂コート層を形成し、体積基準メジアン径40μmのキャリアを得た。キャリアの体積基準メジアン径は、湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「へロス(HELOS)」(シンパティック社製)により測定した。得られたキャリアに、上記調製した白色トナーをトナー濃度が6質量%になるように添加し、ミクロ型V型混合機(筒井理化学器械株式会社)に投入し、回転速度45rpm、25℃で30分間混合し、白色現像剤を調製した。
《透明現像剤の調製》
上記白色現像剤の調製において、白色トナーに代えて上記調製した透明トナーを用いた以外は同様にして、透明現像剤を調製した。
《画像形成方法101》
(トナー層形成工程)
市販のカラー複合機「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」を、トナー付着量を自由に設定できるように改造した改造機Bを準備した。この改造機Bの現像装置に、「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」用のブラックトナーを含む黒色現像剤を装填し、次のようにしてトナー層を形成した。
上記作製したフィルム101の表面基材と反対側(視認側)の面の中央部に、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、ブラックトナーにより図4に示すチャートをトナー付着量5g/mで形成し、定着させて、トナー層(黒色層)を形成した。その後、タック紙から、トナー層を形成したフィルム101を剥がした。
(保護層形成工程)
保護層として光硬化型ニス(FLASH DRY TC OPニス、東洋インキ社製)を、ワイヤーバーを用いて、トナー層を覆うように、フィルム101の全面に厚さ6μmで塗布した。160W/cm水銀ランプを光源とするUV照射装置により、積算光量が100mJ/cmになるよう紫外線を照射し、塗布したニスを硬化し、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は33℃であった。
なお、フィルム及びトナー層上に形成された保護層の断面観察をしたところ、層内に界面が含まれる構造を有していないことが確認された。以下、本実施例において形成される保護層について全て同様であった。
《画像形成方法102》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として水性ニス(アクアパックワニス F−2、T&K TOKA社製)を、ワイヤーバーを用いて、トナー層を覆うように、フィルム101の全面に厚さ6μmに塗布した。これを設定温度50℃で2時間乾燥させ、塗布したニスを硬化し、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は50℃であった。
《画像形成方法103》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として「PG−21」(ラミーコーポレーション社製、厚さ21μm)を幅210mmに裁断したものを、ラミネーター「RS685HC」(日本オフィスラミネーター社製)を用いて、設定温度40℃、速度2m/分の設定でトナー層を覆うように、フィルム101の全面にラミネートし、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は40℃であった。
《画像形成方法104》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程において、フィルム101に代えて、フィルム102を用いた以外は同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法102の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法105》
(トナー層形成工程)
市販のカラー複合機「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」を、トナー付着量を自由に設定できるように改造した改造機Bを準備した。この改造機Bの現像装置に、「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」用のブラックトナーを含む黒色現像剤と、上記調製した白色現像剤とを装填し、次のようにしてトナー層を形成した。
上記作製したフィルム101の表面基材と反対側(視認側)の面の中央部に、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、白色トナーにより190mm×277mmの画像をトナー付着量5g/mで形成し、定着させて、白色のトナー層(白色層)を形成した。次に、当該白色トナー層上に、ブラックトナーにより図4に示すチャートをトナー付着量5g/mで形成し、定着させて、黒色のトナー層(黒色層)を形成した。その後、タック紙から、白色及び黒色のトナー層を形成したフィルム101を剥がした。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法102の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法106》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法105のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法103の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法107》
(トナー層形成工程)
市販のカラー複合機「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」を、トナー付着量を自由に設定できるように改造した改造機Bを準備した。この改造機Bの現像装置に、「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」用のブラックトナーを含む黒色現像剤を装填し、次のようにしてトナー層を形成した。
上記作製したフィルム101の表面基材側(視認側と反対側)の面の中央部に、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、ブラックトナーにより図4に示すチャートの鏡像チャートをトナー付着量5g/mで形成し、定着させて、トナー層(黒色層)を形成した。その後、タック紙から、トナー層を形成したフィルム101を剥がした。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法103の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。ただし、保護層は、フィルム101上に形成されたトナー層を覆うように、フィルム101の両面のうちトナー層が形成された面に形成されている。
《画像形成方法108》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法107のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として二酸化チタンを10質量%含有し、厚さが30μmとなるように延伸したポリエチレンテレフタレートフィルム(白色)(幅210mm)に、ヒートシール剤(AD−1790−15、東洋インキ社製)を塗布したものを、ラミネーター「RS685HC」(日本オフィスラミネーター社製)を用いて、設定温度120℃、速度2m/分の設定でトナー層を覆うように、フィルム101の全面にラミネートし、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は103℃であった。
《画像形成方法109》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として厚さ32μmのホットロールフィルム(ラミーコーポレーション社製)を、ラミネーター「RS685HC」(日本オフィスラミネーター社製)を用いて、設定温度140℃、速度2m/分の設定でトナー層を覆うように、フィルム101の全面にラミネートし、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は125℃であった。
《画像形成方法110》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程において、フィルム101に代えて、フィルム103を用いた以外は同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法103の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法111》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程において、フィルム101に代えて、フィルム104を用いた以外は同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法103の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法112》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程において、フィルム101に代えて、フィルム105を用いた以外は同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法103の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法113》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として水性ニス(アクアパックワニス F−2、T&K TOKA社製)を、スクリーン印刷機を用いて、フィルム101上のトナー層周縁部よりも保護層周縁部が外側に配置されるように、フィルム101の中央部、60mm×60mmの領域に厚さ10μmで塗布した。これを設定温度50℃で2時間乾燥させ、塗布したニスを硬化し、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は50℃であった。
《画像形成方法114》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として厚さ80μmのホットロールフィルム(ラミーコーポレーション社製)を、ラミネーター「RS685HC」(日本オフィスラミネーター社製)を用いて、設定温度150℃、速度2m/分の設定でトナー層を覆うように、フィルム101の全面にラミネートし、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は113℃であった。
《画像形成方法115》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として厚さ100μmのホットロールフィルム(ラミーコーポレーション社製)を、ラミネーター「RS685HC」(日本オフィスラミネーター社製)を用いて、設定温度140℃、速度2m/分の設定でトナー層を覆うように、フィルム101の全面にラミネートし、保護層を形成した。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は93℃であった。
《画像形成方法116》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程において、フィルム101に代えて、フィルム106を用いた以外は同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法102の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法117》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法116のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法103の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法118》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法116のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
上記画像形成方法109の保護層形成工程と同様にして、保護層を形成した。
《画像形成方法119》
(トナー層形成工程)
市販のカラー複合機「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」を、トナー付着量を自由に設定できるように改造した改造機Bを準備した。この改造機Bの現像装置に、「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」用のブラックトナーを含む黒色現像剤を装填し、次のようにしてトナー層を形成した。
上記作製したフィルム101の表面基材と反対側(視認側)の面の中央部に、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、ブラックトナーにより図4に示すチャートをトナー付着量5g/mで形成し、定着させ、トナー層(黒色層)を形成した。
(保護層形成工程)
保護層の形成は、上記改造機Bの用紙排出部近傍に設けられた図3に示すように構成された保護層形成装置300を用いて行う。搬送部320による搬送速度を20m/minに設定し、光照射部330の光源に160w/cm水銀ランプを用いた。
保護層として光硬化型ニス(FLASH DRY TC OPニス、東洋インキ社製)を、トナー層を覆うように、フィルム101の全面に厚さ3μmに塗布した。これに紫外線を照射し、塗布したニスを硬化し、保護層を形成した。その後、タック紙から、トナー層及び保護像を形成したフィルム101を剥がした。保護層の形成中、トナー層の保護層と接触する面の最高温度は35℃であった。
《画像形成方法120》
上記画像形成方法101において、保護層を形成しない以外は同様にして、画像形成方法120を行った。
《画像形成方法121》
(トナー層形成工程)
上記画像形成方法101のトナー層形成工程と同様にして、トナー層を形成した。
(保護層形成工程)
保護層として水性ニス(アクアパックワニス F−2、T&K TOKA社製)を、スクリーン印刷機を用いて、トナー層上に重なるように図4で示すチャートを厚さ10μmで塗布した。これを設定温度50℃で2時間乾燥させ、塗布したニスを硬化し、保護層を形成した。保護層は、トナー層と同じ面積であり、トナー層上にのみ形成されている。
《画像形成方法122》
(トナー層形成工程)
市販のカラー複合機「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」を、トナー付着量を自由に設定できるように改造した改造機Bを準備した。この改造機Bの現像装置に、「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」用のブラックトナーを含む黒色現像剤と、上記調製した透明現像剤とを装填し、次のようにしてトナー層を形成した。
上記作製したフィルム101の表面基材と反対側(視認側)の面の中央部に、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、ブラックトナーにより図4に示すチャートをトナー付着量5g/mで形成し、定着させて、黒色のトナー層(黒色層)を形成した。次に、黒色層上に、透明トナーにより190mm×277mmの画像を、黒色層周縁部よりも透明のトナー層(透明層)の周縁部が外側に配置されるようにトナー付着量10g/mで形成し、定着させて、透明のトナー層(透明層)を形成した。その後、タック紙から、トナー層を形成したフィルム101を剥がした。
透明のトナー層上には保護層は形成しなかった。
《画像形成方法123》
(トナー層形成工程)
市販のカラー複合機「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」を、トナー付着量を自由に設定できるように改造した改造機Bを準備した。この改造機Bの現像装置に、「bizhub PRESS C71cf(コニカミノルタ社製)」用のブラックトナーを含む黒色現像剤と、上記調製した透明現像剤とを装填し、次のようにしてトナー層を形成した。
上記作製したフィルム101の表面基材と反対側(視認側)の面の中央部に、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)の環境下において、ブラックトナーにより図4に示すチャートをトナー付着量4g/mで形成し、定着させて、黒色のトナー層(黒色層)を形成した。次に、黒色層上に、透明トナーにより図4に示すチャートをトナー付着量18g/mで形成し、定着させて、透明のトナー層(透明層)を形成した。その後、タック紙から、トナー層を形成したフィルム101を剥がした。
透明のトナー層上には保護層は形成しなかった。
《画像形成方法124》
上記画像形成方法105において、保護層を形成しない以外は同様にして、画像形成方法124を行った。
《画像形成方法125》
上記画像形成方法107において、保護層を形成しない以外は同様にして、画像形成方法125を行った。
《画像形成方法126》
上記画像形成方法116において、保護層を形成しない以外は同様にして、画像形成方法126を行った。
《画像形成方法の評価》
上記のようにして行った各画像形成方法にて得られた画像に対し、下記の各評価を行った。評価結果を表Iに示す。
(1)耐擦過性試験
上記各画像形成方法で得られた画像に対し、トナー層が存在する領域とトナー層が存在しない領域の境界を通過するように、観測者が手の爪で10往復擦り、トナーの剥がれの有無を目視にて確認した。剥がれが生じなかった場合を○、剥がれが生じた場合を×で示す。この評価を画像の両面について行った。
(2)折り耐性試験
折り機で、上記各画像形成方法で得られた画像に荷重をかけるように山折りをした後、同じ個所で同様に谷折りをするサイクルを10回繰り返した後、折り目を光学顕微鏡VHX−600(キーエンス社製)で倍率を200倍に設定して観察した。観察結果を下記基準に従って評価した。
A:全く折れ目にひびなし(合格)
B:一部折り目に従いひび有り(合格)
C:折り目に従い全体に細い線状のひび有り(合格)
D:折り目に従い全体に太いひび有り(不合格)
E:画像に大きなひび有り(不合格)
Figure 2018146756
表Iから明らかなように、画像支持体としてのフィルム上にトナー層を形成し、トナー層よりも広い面積で保護層を形成する画像形成方法101〜119は、耐擦過性及び折り耐性共に良好な画像が形成でき、実用化可能なレベルにあることが分かった。一方、比較例である画像形成方法120〜126は、耐擦過性及び折り耐性の少なくともいずれか一方に問題のある画像が形成されてしまい、実用化可能なレベルにないことが分かった。
100 トナー層形成装置(トナー層形成部)
300 保護層形成装置(保護層形成部)

Claims (8)

  1. 画像支持体としてのフィルム上に、乾式電子写真方式により有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成する工程と、
    前記トナー層上に前記トナー層よりも広い面積で保護層を形成する工程と、を有することを特徴とする画像形成方法。
  2. 前記トナー層を形成する工程において、前記フィルムの視認側の面上に前記トナー層を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
  3. 前記保護層が、透明であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成方法。
  4. 前記保護層を形成する工程において、前記トナー層の温度を100℃未満として前記保護層を形成することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  5. 前記フィルムが、白色であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  6. 前記保護層を形成する工程において、塗布液の塗布又はシート状物の貼り付けにより前記保護層を形成することを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  7. 前記トナー層が形成された前記フィルムを搬送し、搬送される前記フィルムに対し、前記保護層を形成する工程を行うことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の画像形成方法。
  8. 画像支持体としてのフィルム上に、有色トナー及び無色トナーのうち少なくとも一方を用いてトナー層を形成するトナー層形成部と、
    前記トナー層上に前記トナー層よりも広い面積で保護層を形成する保護層形成部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
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