JP2010097000A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなるものであって、前記結着樹脂が、少なくとも(A)成分:スチレン−アクリル系の多分岐樹脂と、(B)成分:スチレンと、(メタ)アクリル酸および炭素数8〜18の長鎖アルコールによるエステルとを含む単量体組成物による共重合体樹脂と、(C)成分:スチレンおよびブチルアクリレートを含む単量体組成物による共重合体樹脂とを含有する結着樹脂組成物よりなることを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
然るに、オフセット印刷用紙は版に浸し水を使用することから水と親和するよう設計されているので、光沢を得るために高温で定着する場合に、加熱定着後の水蒸気蒸発により当該用紙の表裏の張力バランスが崩れてカールが発生してしまう、という問題がある。
一方、低温で定着を行った場合は、連続して両面プリントを行った際に接触されるトナー画像間で当該トナー画像の一部が付着し合うドキュメントオフセット現象が発生する、という問題もある。
さらに、商業印刷の業界においては、形成される印画物は商品として位置づけられるために、当該印画物中の定着トナー画像が擦りや折りに対する堅牢性を有することも求められている。
前記結着樹脂が、少なくとも
(A)成分:スチレン−アクリル系の多分岐樹脂と、
(B)成分:スチレンと、(メタ)アクリル酸および炭素数8〜18の長鎖アルコールによるエステルとを含む単量体組成物による共重合体樹脂と、
(C)成分:スチレンおよびブチルアクリレートを含む単量体組成物による共重合体樹脂と
を含有する結着樹脂組成物よりなることを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなり、結着樹脂が、少なくとも(A)成分:スチレン−アクリル系の多分岐樹脂(以下、「多分岐樹脂(A)」ともいう。)と、(B)成分:スチレンと、(メタ)アクリル酸および炭素数8〜18の長鎖アルコールによるエステルとを含む単量体組成物による共重合体樹脂(以下、「長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)」ともいう。)と、(C)成分:スチレンおよびブチルアクリレートを含む単量体組成物による共重合体樹脂(以下、「ブチルアクリレート含有共重合体樹脂(C)」ともいう。)とを含有する結着樹脂組成物よりなるものとされている。
本発明のトナーを構成する結着樹脂組成物に含有される多分岐樹脂(A)は、スチレン−アクリル系の単量体を含む単量体組成物を重合してなる多分岐樹脂である。なお、多分岐樹脂とは、デンドリマーとも呼称され、例えば図1に示されるような、コアと呼ばれる中心部分12と、デンドロンと呼ばれる側鎖部分15,16,17から構成される構成単位10を、放射状・樹木状に組み立てた規則的な多重分岐構造を有する多分岐高分子の組成物である。
質量平均分岐量(nw)が0.1未満である場合は、当該多分岐樹脂が強度および流動性に劣るものとなって、結着樹脂組成物中の他の成分の分子鎖との絡み合いが不十分となり、従って、ドキュメントオフセット現象の発生の抑制が難しく、また、形成される定着トナー画像に十分な光沢度および高い堅牢性を得ることができないおそれがある。一方、質量平均分岐量(nw)が10を超える場合は、当該多分岐樹脂がゲル状となり易く、トナーの製造工程において形状制御性が低いために得られるトナーを所望の形状のものとすることができず、その結果、得られるトナーが転写性の低いものとなって、形成される画像の画質が低くなるおそれがあり、さらに、十分な光沢度および光沢均一性が得られないおそれがある。
数式(1):(1/nw)×ln(1+nw)=(MwL/MwB)×1.138
結着樹脂組成物中の多分岐樹脂(A)の含有量が過少である場合は、当該結着樹脂組成物中の他の成分の分子鎖との絡み合いが不十分となり、従って、ドキュメントオフセット現象の発生の抑制が難しく、また、形成される定着トナー画像に十分な光沢度および高い堅牢性を得ることができない。一方、結着樹脂組成物中の多分岐樹脂(A)の含有量が過多である場合は、トナー像の加熱定着後に結着樹脂が過剰に硬化して常温での可撓性の低いものとなるために、得られる印画物における定着トナー画像の折りに対する十分な堅牢性が得られず、その結果、画像支持体からの部分的な剥離が発生するおそれがある。
このような多分岐樹脂(A)は、下記(1)〜(3)の方法などにより得ることができる。
(1)スチレン−アクリル系のラジカル重合性モノマー(以下、「スチレン−アクリル系モノマー」ともいう。)に、2個以上のビニル基を有する多官能ビニル化合物を加えて重合させる方法。
(2)スチレン−アクリル系モノマーに、多官能連鎖移動剤を加えて重合させる方法。
(3)スチレン−アクリル系モノマーに、多官能重合開始剤を加えて重合させる方法。
例えば、多官能ビニル化合物を用いる上記(1)の方法を用いる場合は、予め多官能ビニル化合物およびスチレン−アクリル系モノマーを均一に混合させて重合原料溶液を調製し、これを重合温度140〜200℃において重合転化率が60質量%以上、好ましくは70質量%以上となるまで重合させ、得られた重合混合物を200〜280℃、好ましくは220〜270℃の予熱器に導き、続いて200〜280℃、好ましくは220〜270℃で真空脱気槽を通して未反応のモノマーを除去、回収することにより、目的の多分岐樹脂(A)の組成物を得ることができる。上記(2)および(3)の方法を用いる場合にも、上記と同様にして多分岐樹脂(A)の組成物を得ることができる。
重合開始剤を添加する場合は、スチレン−アクリル系モノマーの任意の重合過程において重合系(重合原料溶液または重合途中の溶液)に添加することができる。一般には重合原料溶液に添加するが、重合途中の溶液に必要に応じて複数回に分割して添加してもよい。
上記(1)の方法に用いられる2個以上のビニル基を有する多官能ビニル化合物としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能ビニル化合物;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能ビニル化合物;および下記一般式(1)で表される繰り返し単位を含有する分岐鎖を有する多分岐状マクロモノマーなどが挙げられる。
〔上記一般式(1)中、Q1 は−CN、−NO2 、−CONH2 、−CON(R1 )2 、−SO2 CH3 および−P(=○)(OR2 )2 (ここで、R1 およびR2 はアルキル基またはアリール基である。)からなる群から選ばれる電子吸引基であり、Q2 はアリーレン基、−O−CO−または−NH−CO−であり、Q2 がアリーレン基である場合、Zは−(CH2 )n O−、−(CH2 CH2 O)n −、−(CH2 CH2 CH2 O)n −(ここで、nは自然数である。)からなる群から選ばれる基であり、Q2 が−O−CO−または−NH−CO−である場合、Zは−(CH2 )n −、−(CH2 )n Ar−、−(CH2 )n O−Ar−、−(CH2 CH2 O)n −Ar−、または−(CH2 CH2 CH2 O)n −Ar−(ここで、Arはアリール基である。)である。〕
基Q2 がフェニレン基である場合は、Zの結合位置は特に制限されず、o−位、m−位またはp−位のいずれであってもよいが、p−位であることが好ましい。
また、基Zに係る繰り返し数nは、特に制限されるものではないが、スチレンヘの溶解性の観点から1〜12であることが好ましく、より好ましくは2〜10である。
(I)1分子中に活性メチレン基と、活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB2型モノマーを求核置換反応させて得られる多分岐状の自己縮合型重縮合体を前駆体として、
(II)当該自己縮合型重縮合体中に残存する未反応の活性メチレン基またはメチン基を、1分子中に芳香環に直接結合した二重結合と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する化合物と求核置換反応させることによって、得られる。
活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とは、いずれも飽和炭素原子に結合したハロゲン、−OS(=O)2 R3 (ここで、R3 はアルキル基またはアリール基である。)などであり、具体的には、臭素、塩素、メチルスルホニルオキシ基、トシルオキシ基などが挙げられる。
塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの強アルカリを用いることが好ましく、反応に際しては水溶液として使用する。
1分子中に活性メチレン基と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有するAB2型モノマーとしては、例えばブロモエトキシ−フェニルアセトニトリル、クロロメチルベンジルオキシ−フェニルアセトニトリルなどのハロゲン化アルコキシ−フェニルアセトニトリル類、トシルオキシ−(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリル、トシルオキシ−ジ(エチレンオキシ)−フェニルアセトニトリルなどのトシルオキシ基を有するフェニルアセトニトリル類などが挙げられる。
1分子中に芳香環に直接結合した二重結合と活性メチレン基の求核置換反応における脱離基とを有する化合物としては、例えば、クロロメチルスチレン、ブロモメチルスチレンなどが挙げられる。
上記(I)の多分岐状の自己縮合型重縮合体を得る反応と、上記(II)の多分岐状マクロモノマーを合成する反応とは、それぞれの反応を逐次的に行ってもよく、同一の反応系において並行して行ってもよい。多分岐状マクロモノマーの分子量は、AB2型モノマーと塩基性化合物との配合比を変えることによって制御することができる。
本発明においては、これらの多官能ビニル化合物のうち3官能ビニル化合物、4官能ビニル化合物および多分岐マクロモノマーが好ましく用いられる。
上記(2)の方法に用いられる多官能連鎖移動剤としては、チオール基を分子内に複数有する下記一般式(2)で示される多官能メルカプタン化合物が挙げられる。
一般式(2):R4 −〔(A)j −SH〕k
〔上記一般式(1)中、R4 は炭素数1〜17の脂肪族または芳香族炭化水素基、もしくはヘテロ原子を含む有機基であり、Aは有機基であり、jは0〜1の整数、kは2〜4の整数である。〕
また、基R4 で表されるヘテロ原子を含む有機基としては、環状有機基、特にヘテロ原子が環を構成しているピロール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、トリアジン環など窒素原子を含む5〜8員複素環;フランなどの酸素原子を含む5〜8員複素環;チオピランなどのイオウ原子を含む5〜8員複素環;オキサゾリジン、オキサゾロン、オキサジン、オキサジアゾール、オキサトリアゾールのような酸素原子および窒素原子から選択された少なくとも二つの原子を有する5〜8員複素環;チアザン、チアジン、チアゾリン、チアゾリジン、チアゾール、チアジアジン、チアジアゾリン、チアジアゾールのような窒素原子およびイオウ原子とを有する5〜8員複素環;オキサチアジンのように窒素原子、酸素原子、およびイオウ原子を有する5〜8員複素環などが挙げられる。
基R4 としては、ネオペンチル基、ネオヘキシル基などの炭素数4〜8のアルキル基;1,3,5−トリアジンなどのトリアジン類も挙げられる。
上記(3)の方法に用いられる多官能重合開始剤としては、種々の公知のものを使用することができ、例えば、過酸化物、アゾ化合物などが例示される。
また、3官能の過酸化物としては、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、トリス(t−アミルパーオキシ)トリアジン、トリス(ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)トリアジン、トリス(ジクミルパーオキシシクロヘキシル)トリアジンなどが例示できる。
4官能の過酸化物としては、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ヘキシルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンなどが例示できる。
また、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−アミルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−クミルパーオキシカーボニル)ベンゾフェノンなども例示できる。
アゾ化合物としては、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カーボニトリル)などが例示できる。
これらの多官能重合開始剤は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
多官能重合開始剤としては、多官能過酸化物が好ましい。
多分岐樹脂(A)の製造に用いられるスチレン−アクリル系モノマーとしては、下記(1)〜(4)に示すようなビニル系単量体が挙げられる。
(1)スチレンまたはスチレン誘導体
具体的には、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロステレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。
(2)メタクリル酸エステル誘導体
具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどが挙げられる。
(3)アクリル酸エステル誘導体
具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどが挙げられる。
(4)アクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体
具体的には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどが挙げられる。
これらのスチレン−アクリル系モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(5)オレフィン類
具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ヘキセンなどが挙げられる。
(6)ビニルエステル類
具体的には、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどが挙げられる。
(7)ビニルエーテル類
具体的には、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどが挙げられる。
(8)ビニルケトン類
具体的には、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどが挙げられる。
(9)N−ビニル化合物
具体的には、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
(10)ビニル化合物類
具体的には、ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
これらのビニル系モノマーは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のトナーを構成する結着樹脂組成物に含有される長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)において、スチレンと、(メタ)アクリル酸および炭素数8〜18の長鎖アルコールのエステル(以下、「(メタ)アクリル酸−長鎖アルコールエステル」ともいう。)との共重合比は、40:60〜80:20であることが好ましい。
これらのうち、十分な定着強度および定着トナー画像における高い堅牢性が得られるために、炭素数10〜15のデシルアルコール(10)、ウンデシルアルコール(11)、ドデシルアルコール(12)、トリデシルアルコール(13)、テトラデシルアルコール(14)、ペンタデシルアルコール(15)を用いることが好ましく、特にドデシルアルコール(12)を用い、長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)を得るための(メタ)アクリル酸−長鎖アルコールエステルがドデシルアクリレートまたはドデシルメタクリレートであることが好ましい。
この長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)のリニア換算質量平均分子量(MwL)は、測定試料を長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)として上記と同様の方法によって測定されるものである。
本発明のトナーを構成する結着樹脂組成物に含有されるブチルアクリレート含有共重合体樹脂(C)は、スチレンおよびブチルアクリレートを含む単量体組成物を重合させたものであれば特に限定されないが、結着樹脂組成物に含有される他の多分岐樹脂(A)および長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)との分子鎖の絡み合いを複雑化させることができ、従って、加圧されて引き伸ばされた状態からの弾性回復を抑制する観点から、炭素数8〜18のアルキレン基を有するジオール化合物より得られるジ(メタ)アクリレートからなる架橋剤により架橋されたものであることが好ましい。
長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)およびブチルアクリレート含有共重合体樹脂(C)のガラス転移点温度(Tg)は、測定試料を長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂(B)およびブチルアクリレート含有共重合体樹脂(C)の混合物として上記と同様の方法によって測定されるものである。
このコア−シェル構造のトナー粒子とは、シェル層がコア粒子を完全に被覆している形態のみならず、コア粒子の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル層を構成するシェル樹脂の一部がコア粒子中にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、シェル層は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。
シェル樹脂が共重合体よりなるものである場合は、当該共重合体を得るための重合性単量体として、スチレン、メチルメタクリレート、メタクリル酸などの、得られる共重合体のガラス転移点温度(Tg)を高いものとすることができるものが含まれることが好ましい。
このような重合性単量体の共重合体比は、シェル樹脂を形成すべき重合性単量体全体の8〜80質量%であり、9〜20質量%であることが好ましい。
これらの重合性単量体としては、上記に挙げた具体例の他に、酸無水物、あるいはビニルカルボン酸金属塩の形態を有するものであってもよい。
すなわち、コア粒子を構成する結着樹脂組成物がTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるリニア換算質量平均分子量(MwL)が3,000〜4万の範囲に、かつ、シェル層を構成するシェル樹脂がTHF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるリニア換算質量平均分子量(MwL)が3,000〜4万の範囲にそれぞれピーク分子量があることが好ましい。
また、コア粒子を構成する結着樹脂組成物のガラス転移点温度(Tg)は10〜50℃、好ましくは25〜48℃であることが好ましく、シェル層を構成するシェル樹脂のガラス転移点温度(Tg)は38〜64℃、好ましくは40〜54℃であることが好ましい。
結着樹脂組成物およびシェル樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、測定試料をそれぞれ結着樹脂組成物およびシェル樹脂として上記と同様の方法によって測定されるものである。
本発明のトナーを製造する方法としては、例えば、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などの公知の方法を挙げることができるが、トナーを製造する方法としては、画像の高画質化を達成するために小粒径化されたトナーを得る必要があることを考慮して、製造コストおよび製造安定性の観点から、乳化重合凝集法を用いることが好ましい。
乳化重合凝集法は、乳化重合法によって製造された結着樹脂組成物よりなる微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」という。)の分散液を、他の着色剤微粒子、離型剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液と混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径および粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
本発明のトナーに含有される着色剤としては、一般に知られている染料および顔料を用いることができる。
各色のトナーを得るための着色剤は、各色について、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
結着樹脂組成物と着色剤とが分子レベルで混在された微粒子は、当該結着樹脂組成物を形成すべき結着樹脂微粒子用モノマー溶液に予め着色剤を溶解させておき、着色剤を含有した結着樹脂微粒子用モノマー溶液を重合反応させることにより、作製することができる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、結着樹脂および着色剤の他に、必要に応じて、オフセット現象の抑止に寄与する離型剤が含有されていてもよい。ここに、離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、パラフィン、長鎖アルキスエステルなどを挙げることができる。
離型剤をトナー粒子中に導入する方法としては、着色剤をトナー粒子中に導入する方法と同様の方法が挙げられる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、結着樹脂および着色剤の他に、必要に応じて荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、公知の種々の化合物を用いることができる。
荷電制御剤をトナー粒子中に導入する方法としては、着色剤をトナー粒子中に導入する方法と同様の方法が挙げられる。
本発明のトナーを構成するトナー粒子の粒径は、例えば体積基準のメジアン径で4〜10μmであることが好ましく、さらに好ましくは6〜9μmとされる。この粒径は、使用する凝集剤(塩析剤)の濃度や凝集停止剤の添加のタイミング、凝集時の温度、重合体の組成によって制御することができる。
体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドットなどの画質が向上する。
本発明のトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、下記式(T)で示される平均円形度が0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
式(T):平均円形度=円相当径から求めた円の周囲長/粒子投影像の周囲長
上記のトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
本発明のトナーは、特に、トナー像が形成された画像支持体を、接触加熱方式の定着装置において定着させる画像形成方法に好適に使用することができる。
ここに、接触加熱方式とは、画像支持体上のトナー像と定着装置における定着部材の表面とが接触し、かつ、加圧および加熱されることにより定着される方式をいう。
本発明のトナーに係る画像形成方法における定着温度は、例えば110〜180℃と比較的低温にすることができる。
また、定着圧力は、例えば150〜300kPaとすることができる。このように比較的低い荷重によっても、トナーを構成する結着樹脂組成物の多分岐樹脂(A)による各成分の分子鎖の絡み合いによって、得られる定着トナー画像に十分な光沢度を得ることができる。
本発明のトナーを用いた画像形成方法に使用される画像支持体としては、オフセット印刷用紙、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
スチレン−アクリル系モノマーとしてスチレン100質量部を用い、これに、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドをスチレンに対して2,000質量ppmの割合で添加すると共に、多官能ビニル化合物として1,6−ヘキシレングリコールジメタクリレートをスチレンに対して125質量ppmの割合で添加して重合原料溶液を調製し、この重合原料溶液を毎時4,000質量パーセントの供給速度で温度108℃を維持した第一の反応槽に連続供給して重合を行い、次いで、この第一の反応槽中の液を第二の反応槽、第三の反応槽に送液し、110〜180℃の温度で重合を行い、その後、ベンド付押出機で揮発成分を除去することにより、多分岐樹脂組成物〔A1〕を作製した。
多分岐樹脂組成物の作製例1において、スチレン100質量部用いたところをスチレン67質量部およびブチルアクリレート33質量部のモノマー混合物としたことの他は同様にして、多分岐樹脂組成物〔A2〕を作製した。
多分岐樹脂組成物の作製例1において、重合原料溶液を、ベンゾイルパーオキサイドの代わりに多官能重合開始剤として2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンをスチレンに対して2,000質量ppmの割合で添加すると共に、多官能ビニル化合物として1,6−ヘキシレングリコールジメタクリレートの代わりにトリメチロールプロパントリメタクリレートをスチレンに対して92質量ppmの割合で添加して調製したものとしたことの他は同様にして、多分岐樹脂組成物〔A3〕を作製した。
多分岐樹脂組成物の作製例3において、スチレンをスチレン67質量部およびブチルアクリレート33質量部のモノマー混合物としたことの他は同様にして、多分岐樹脂組成物〔A4〕を作製した。
多分岐樹脂組成物の作製例4において、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドをモノマー混合物に対して250質量ppmの割合で添加すると共に、多官能重合開始剤として2,2−ビス(4,4−ジ−tert−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパンの代わりにトリス(t−ブチルパーオキシド)トリアジンをモノマー混合物に対して250質量ppmの割合で添加し、さらに多官能連鎖移動剤としてトリメチロールプロパントリスチオプロピオネートをモノマー混合物に対して200質量ppmの割合で添加したことの他は同様にして、多分岐樹脂組成物〔A5〕を作製した。
オクタデシルメタクリレート100質量部、スチレン200質量部、トルエン150質量部およびイソプロパノール50質量部の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。次いで、2,2’−アゾビス(シアノ吉草酸)(A.C.V)5.0質量部を加え、8時間重合反応させた。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈し、白色粉末を濾集後乾燥させることにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)26,000の粉末状の長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B1〕を得た。
長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂の製造例1において、重合に用いる混合溶液をドデシルメタクリレート100質量部、スチレン200質量部、トルエン150質量部およびイソプロパノール50質量部の混合溶液としたことの他は同様にして、重合反応を行った。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)27,000の無色透明の粘稠物よりなる長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B2〕83質量部を得た。
オクタデシルメタクリレート100質量部、スチレン200質量部およびトルエン300質量部の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。次いで、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)6質量部を加え、8時間重合反応させた。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)28,000の白色粉末よりなる長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B3〕86質量部を得た。
ドデシルメタクリレート70質量部、ブチルメタクリレート30質量部、スチレン200質量部、トルエン150質量部およびイソプロパノール50質量部の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。次いで、A.C.V.6質量部を加え、8時間重合反応させることにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)23,000の長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B4〕を得た。
トリデシルメタクリレート98.5質量部、チオグリコール酸1.5質量部、スチレン200質量部およびトルエン200質量部の混合溶液を、温度65℃に加温した。次いで、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(A.I.B.N.)1.0質量部を加え、5時間撹拌した後、さらにA.I.B.N.を0.3質量部加え、4時間撹拌して重合反応させることにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)24,000の長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B5〕を得た。
オクタデシルメタクリレート98.0質量部、2−メルカプトエタンスルホン酸2.0質量部、スチレン200質量部、トルエン200質量部およびメタノール100質量部の混合溶液を、窒素気流下に温度65℃に加温した。次いで、A.I.B.N.0.8質量部を加え、5時間重合反応させた後、さらにA.I.B.N.0.3質量部を加え、2.5時間重合反応させた。この反応溶液をアセトニトリル2,000質量部に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)25,000の白色粉末よりなる長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B6〕88質量部を得た。
ヘキサデシルメタクリレート90質量部、2−クロロエチルメタクリレート8質量部、チオリンゴ酸2.0質量部、スチレン200質量部、トルエン150質量部およびイソプロパノール50質量部の混合溶液を、温度75℃に加温した。次いで、重合開始剤1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)1.0質量部を加え、6時間重合反応させ、さらに1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)0.4質量部を加えて6時間重合反応させた。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)23,000の無色透明な粘稠物よりなる長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B7〕86質量部を得た。
テトラデシルメタクリレート100質量部、テトラヒドロフラン100質量部およびメタノール100質量部の混合溶液を、窒素気流下撹拌しながら温度70℃に加温した。次いで、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオアミド}5質量部を加えて8時間重合反応させた。冷却後、メタノール/水(7/3容積比)の混合溶液2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)28,000の無色の粘稠物よりなる長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B8〕80質量部を得た。
ドデシルメタクリレート95質量部、スチレン200質量部およびトルエン200質量部の混合溶液を、窒素気流下に温度70℃に加温した。次いで、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)5質量部を加えて8時間重合反応させた。さらに、この反応溶液にN,N−ジメチルアニリン1.0質量部および無水グルタコン酸10質量部を加え、温度90℃で12時間撹拌した。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)28,000の淡黄色の粘稠物よりなる長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B9〕88質量部を得た。
ヘキシルアクリレート95質量部、スチレン200質量部およびトルエン200質量部の混合溶液を、窒素気流下に温度70℃に加温した。次いで、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)5質量部を加えて8時間重合反応させた。さらに、この反応溶液にN,N−ジメチルアニリン1.0質量部および無水グルタコン酸10質量部を加え、温度90℃で12時間撹拌した。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)28,000の淡黄色の粘稠物よりなる比較用の長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B10〕88質量部を得た。
ノナデシレンメタクリレート95質量部、スチレン200質量部およびトルエン200質量部の混合溶液を、窒素気流下に温度70℃に加温した。次いで、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタノール)5質量部を加えて8時間重合反応させた。さらに、この反応溶液にN,N−ジメチルアニリン1.0質量部および無水グルタコン酸10質量部を加え、温度90℃で12時間撹拌した。冷却後、メタノール2,000質量部中に再沈することにより、リニア換算質量平均分子量(MwL)28,000の淡黄色の粘稠物よりなる比較用の長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B11〕88質量部を得た。
スチレン201質量部、ブチルアクリレート117質量部およびメタクリル酸18.3質量部を混合し、この混合液を撹拌しながら80℃に加温した後、ベヘン酸ベヘニル172質量部、多分岐樹脂組成物〔A1〕48.5質量部および長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂〔B1〕83質量部を徐々に加えて溶解させて結着樹脂微粒子用モノマー溶液を調製した。
次いで、アニオン界面活性剤「エマール E−27C」(花王社製)11.3質量部を1182.0質量部の純水に溶解させた界面活性剤水溶液を80℃に加温し、上記結着樹脂微粒子用モノマー溶液を加え、高速撹拌を行って乳化分散液を調製した。
次いで、5Lの撹拌装置、冷却管、温度センサー、窒素導入管付の重合装置に純水867.5mLを入れ、窒素気流下撹拌しながら内温を80℃とし、重合装置に上記モノマー分散液を投入し、過硫酸カリウム8.55質量部を純水162.5質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を投入した。
重合開始剤水溶液の投入後、n−オクチルメルカプタン5.2質量部を35分間かけて添加し、さらに80℃で2時間重合反応を行った。さらに過硫酸カリウム9.96質量部を純水189.3質量部に溶解させた重合開始剤水溶液を加え、スチレン366.1質量部、ブチルアクリレート179.1質量部、1,9−ノニレングリコールジメタクリレート5.5質量部およびn−オクチルメルカプタン7.2質量部を混合したモノマー溶液を1時間かけて滴下した後、2時間重合反応を継続させた後、室温まで冷却することにより、樹脂微粒子分散液〔1〕を調製した。
樹脂微粒子分散液の調製例1において、多分岐樹脂組成物および長鎖アルコールエステル含有共重合体樹脂を、表1の処方に従った種類および添加量としたことの他は同様にして、樹脂微粒子分散液〔2〕〜〔9〕,比較用の樹脂微粒子分散液〔14〕〜〔16〕を調製した。
樹脂微粒子分散液の調製例1において、1,9−ノニレングリコールジメタクリレートの代わりに1,6−ヘキシレングリコールジアクリレートを用いたことの他は同様にして、樹脂微粒子分散液〔10〕を調製した。
樹脂微粒子分散液の調製例1において、1,9−ノニレングリコールジメタクリレートの代わりに1,12−ドデシレングリコールジアクリレートを用いたことの他は同様にして、樹脂微粒子分散液〔11〕を調製した。
樹脂微粒子分散液の調製例1において、1,9−ノニレングリコールジメタクリレートの代わりに1,18−オクタデシレングリコールジメタクリレートを用いたことの他は同様にして、樹脂微粒子分散液〔12〕を調製した。
樹脂微粒子分散液の調製例1において、1,9−ノニレングリコールジメタクリレートを用いなかったことの他は同様にして、樹脂微粒子分散液〔13〕を調製した。
撹拌装置、冷却管、窒素導入管、温度センサーを組み込んだ5Lの重合装置に、純水2948質量部およびアニオン界面活性剤「エマール 2F」(花王社製)2.3質量部を投入して撹拌して溶解させ、窒素気流下温度80℃に加温した。次いで、スチレン520質量部、ブチルアクリレート184質量部、メタクリル酸96質量部およびn−オクチルメルカプタン22.1質量部を混合したモノマー溶液および過硫酸カリウム10.2質量部を純水218質量部に溶解させた重合開始剤水溶液をそれぞれ調製し、重合開始剤水溶液を投入した後、モノマー混合液を3時間かけて滴下し、さらに1時間重合を行い、室温まで冷却することにより、シェル用樹脂微粒子分散液〔S〕を調製した。このシェル用樹脂微粒子分散液〔S〕に分散された樹脂微粒子のリニア換算質量平均分子量(MwL)は13,200、体積基準のメジアン径は82nmであった。
n−ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部を純水160質量部に溶解させ、C.I.Pigment Blue 15:3の25質量部を徐々に添加し、次いで「クリアミックスWモーションCLM−0.8」(エム・テクニック社製)を用いて体積基準のメジアン径が153nmのシアン着色剤微粒子が分散されたシアン着色剤微粒子分散液〔C〕を調製した。
シアン着色剤微粒子分散液の調製例1において、C.I.Pigment Blue 15:3の代わりにC.I.Pigment Red 122を用いたことの他は同様にして、体積基準のメジアン径が183nmのマゼンタ着色剤微粒子が分散されたマゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕を調製した。
シアン着色剤微粒子分散液の調製例1において、C.I.Pigment Blue 15:3の代わりにC.I.Pigment Yellow 74を用いたことの他は同様にして、体積基準のメジアン径が177nmのイエロー着色剤微粒子が分散されたマゼンタ着色剤微粒子分散液〔Y〕を調製した。
シアン着色剤微粒子分散液の調製例1において、C.I.Pigment Blue 15:3の代わりにカーボンブラックを用いたことの他は同様にして、体積基準のメジアン径が167nmの黒着色剤微粒子が分散された黒着色剤微粒子分散液〔K〕を調製した。
上記の樹脂微粒子分散液〔1〕を固形分換算で350質量部、イオン交換水670質量部およびシアン着色剤微粒子分散液〔C〕130質量部を、撹拌装置、温度センサーおよび冷却管を装着した反応装置に入れ、容器内の温度を30℃に保持し、5N−水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム・六水和物5.76質量部をイオン交換水47.88質量部に溶解させた水溶液を撹拌下、10分間かけて滴下した後、75℃まで昇温し、このまま「コールターマルチサイザーIII 」(ベックマン・コールター社製)を用い、体積基準のメジアン径が6.5μmになるまで加熱撹拌を継続した。
体積基準のメジアン径が6.5μmに到達した時点で、シェル用樹脂微粒子分散液〔S〕210質量部を添加し、1時間撹拌してシェル用微粒子を表面に融着させた。さらに30分間撹拌を継続して完全にシェル層が形成された後、塩化ナトリウム62質量部をイオン交換水250質量部に溶解させた塩化ナトリウム水溶液を加え、内温を78℃に昇温して1時間撹拌を継続し、室温(25℃)まで冷却した。粒径を「コールターマルチサイザーIII 」で粒子の平均円形度を「FPIA2100」(シスメックス社製)で測定したところ、体積基準のメジアン径が6.48μm、平均円形度が0.965であった。その後、生成した粒子をイオン交換水で繰り返し洗浄した後、35℃の温風で乾燥することにより、トナー母体粒子〔1C〕を作製した。
このトナー母体粒子〔1C〕に、アルミナ粒子(ジメチルシリコーン1.25質量%で表面処理されたもので、CO2 ガス吸着個数が3.3個/nm2 、BET法により比表面積が87m2 /gのもの)を0.4質量部添加し、ヘンシェルミキサーによって回転数3000rpmで1分間撹拌することにより、トナー母体粒子〔1C〕の表面にアルミナ粒子が付着されたトナー〔1C〕を作製した。
トナーの作製例1Cにおいて、樹脂微粒子分散液1の代わりに、それぞれ樹脂微粒子分散液2〜13,比較用の樹脂微粒子分散液14〜16を用いたことの他は同様にして、トナー〔2C〕〜〔13C〕および比較用のトナー〔14C〕〜〔16C〕を作製した。
トナーの作製例1C〜13C,比較用トナーの作製例14C〜16Cにおいて、各々、シアン着色剤微粒子分散液〔C〕の代わりにマゼンタ着色剤微粒子分散液〔M〕を用いたことの他は同様にして、トナー〔1M〕〜〔13M〕,比較用のトナー〔14M〕〜〔16M〕を作製した。
トナーの作製例1C〜13C,比較用トナーの作製例14C〜16Cにおいて、各々、シアン着色剤微粒子分散液〔C〕の代わりにイエロー着色剤微粒子分散液〔Y〕を用いたことの他は同様にして、トナー〔1Y〕〜〔13Y〕,比較用のトナー〔14Y〕〜〔16Y〕を作製した。
トナーの作製例1C〜13C,比較用トナーの作製例14C〜16Cにおいて、各々、シアン着色剤微粒子分散液〔C〕の代わりに黒着色剤微粒子分散液〔K〕を用いたことの他は同様にして、トナー〔1K〕〜〔13K〕,比較用のトナー〔14K〕〜〔16K〕を作製した。
上記のトナー〔1C〕〜〔13C〕,〔1M〕〜〔13M〕,〔1Y〕〜〔13Y〕,〔1K〕〜〔13K〕および比較用のトナー〔14C〕〜〔16C〕,〔14M〕〜〔16M〕,〔14Y〕〜〔16Y〕,〔14K〕〜〔16K〕の各々に、メチルメタクリレート樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合し、シアン現像剤〔1C〕〜〔13C〕、マゼンタ現像剤〔1M〕〜〔13M〕、イエロー現像剤〔1Y〕〜〔13Y〕および黒現像剤〔1K〕〜〔13K〕、並びに比較用のシアン現像剤〔14C〕〜〔16C〕、比較用のマゼンタ現像剤〔14M〕〜〔16M〕、比較用のイエロー現像剤〔14Y〕〜〔16Y〕および比較用の黒現像剤〔14K〕〜〔16K〕を調製した。
以上のシアン現像剤〔1C〕〜〔13C〕、マゼンタ現像剤〔1M〕〜〔13M〕、イエロー現像剤〔1Y〕〜〔13Y〕および黒現像剤〔1K〕〜〔13K〕、並びに比較用のシアン現像剤〔14C〕〜〔16C〕、比較用のマゼンタ現像剤〔14M〕〜〔16M〕、比較用のイエロー現像剤〔14Y〕〜〔16Y〕および比較用の黒現像剤〔14K〕〜〔16K〕を、表2に示す組み合わせで用い、以下(1)〜(4)の評価を行った。結果を表3に示す。
市販のデジタル複写機「bizhab PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジ−ズ社製)に専用フィニッシャー「FS−608」(コニカミノルタビジネステクノロジ−ズ社製)を装填し、画像支持体として坪量64g紙を用い、中綴じ印刷20部(1部5枚)の自動製本作成テストを50回繰り返した。1ページ当たりの画素率は50%に設定した。印刷物が室温になるまで自然冷却した後、全ページを片手でめくり、トナー画像間の付着の度合いを、以下の評価基準に従って評価した。なお、下記の評価基準が優良、良好であれば合格と判断される。
−評価基準−
優良:トナー画像間の付着が認められず、重ねたページをめくる際の違和感がない。
良好:重ねたページをめくる際に、軽微な摩擦感があるものの、トナー画像間の付着は認められない。
不良:重ねたページをめくる際に、トナー画像間の付着が認められる。
市販のデジタル複写機「bizhub 200」を用い、定着装置を改造し、定着用ヒートローラの表面温度(ローラの中心部で測定)を、80〜180℃の範囲で5℃刻みで変化させ、それぞれの表面温度において、黒現像剤を用いて画像濃度が0.8の黒ベタ画像を形成し、完全に冷却させる。この状態を折り曲げ前の状態とする。次に、黒ベタ画像を折り、折った部分を3回指で擦った後、黒ベタ画像を開き、「JKワイパー」(株式会社日本製紙クレシア製)で3回拭き取る。この状態を折り曲げ後の状態とする。そして、黒ベタ画像の折り曲げ前後の画像濃度から、下記式(2)で表される折り目定着率が80%以上になる最も低い定着温度を低温定着温度として評価した。
式(2):折り目定着率(%)={(折り曲げ後の画像濃度)/(折り曲げ前の画像濃度)}×100
まず、市販のデジタル複写機「bizhab PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジ−ズ社製)を用いて、画像支持体の片面にイエロー色の背景上に黒色で6.0ポイントのアルファベットを36行印字し外部定着機で150℃で定着した両面印画物を2枚出力し、トナー画像を完全に冷却させた。次いで、冷却させた2枚の印画物を、画像部と、非画像部および画像部とが重なるように向かい合わせて重ね、全面に80g/cm2 の圧力が加わるようにおもりを載せた。この状態で温度60℃、湿度50%RHの環境下に3日間放置した後、重ね合わせた定着トナー画像の画像欠損の度合いを、以下の評価基準に従ってグレード分けして評価した。なお、G3〜G5であれば実用上問題ないと判断される。
−評価基準−
G1:定着トナー画像同士が接着し、重ねた2枚の印画物を離す行為によって定着トナー画像が定着された画像支持体ごと剥がれ、画像欠損が激しく、また非画像部へ明らかなトナーの移行が見られる。
G2:定着トナー画像同士が接着し、重ねた2枚の印画物を離すことによって画像部のところどころに画像欠損の白抜けが発生する。
G3:重ねた2枚の印画物を離すときに互いの定着表面に画像のあれやグロス低下が発生し、非画像部に若干のトナーの移行が見られるが、画像欠損はほとんどなく、実用上許容できる。
G4:重ねた2枚の印画物を離すときにパリッと音がし、非画像部にわずかに画像移行が見られるが、画像欠損はなく、全く問題ない。
G5:画像部、非画像部ともに全く画像欠損や画像移行が見られない。
市販のデジタル複写機「bizhab PRO C500」(コニカミノルタビジネステクノロジ−ズ社製)を用い、定着装置の加熱ローラの表面温度が150℃の場合についてオンデマンド印刷用カラー記録紙「POD フィルムコート S 198g/m2 」(王子製紙社製)に対してシアントナー付着量が0.4g/m2 であるベタシアン画像を形成する実写テストを行い、この実写テストによるベタシアン画像の光沢度を、「Gloss Meter」(村上色彩工学研究所社製)を用い、入射角を75°に設定して測定した。光沢度は、測定画像の中央部および四隅の5点平均値とする。なお、光沢度が75以上であれば良好、75未満であっても60以上であれば、実用上問題ないと判断され、60未満である場合は不良と判断される。
12 中心部分
15,16,17 側鎖部分
Claims (2)
- 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子よりなる静電荷像現像用トナーであって、
前記結着樹脂が、少なくとも
(A)成分:スチレン−アクリル系の多分岐樹脂と、
(B)成分:スチレンと、(メタ)アクリル酸および炭素数8〜18の長鎖アルコールによるエステルとを含む単量体組成物による共重合体樹脂と、
(C)成分:スチレンおよびブチルアクリレートを含む単量体組成物による共重合体樹脂と
を含有する結着樹脂組成物よりなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記(C)成分を構成するスチレンおよびブチルアクリレートを含む単量体組成物による共重合体樹脂が、炭素数6〜18のアルキレン基を有するジオール化合物より得られるジ(メタ)アクリレートからなる架橋剤により架橋されたものであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
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