JP6083280B2 - 静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像用トナーの製造方法 - Google Patents

静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像用トナーの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像用トナーの製造方法に関する。
近年、電子写真方式の画像形成方法において、画像形成装置の省エネルギー化および高速化の要請に応えるために、例えば、比較的低温で定着することができるいわゆる低温定着トナーの開発が行われている。
低温定着トナーとしては、例えば低融点の可塑剤を添加して熱定着時の結着樹脂のシャープメルト性が高められたトナー(特許文献1)などが提案されている。
しかしながら、特許文献1のトナーにおいては、可塑剤としてフタル酸ジブチルが添加されており、当該フタル酸ジブチルが大きな可塑力を有しているために、大きな低温定着性を得ることができる一方で、トナーの保管中に可塑剤のブリードアウトが生じることによって流動性が低くなり、形成される画像の画質が低くなってしまうという問題がある。
特開平10−161344号公報
本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、低温定着性が得られながら、高い流動性が得られて形成される画像の品質の低下が抑制される静電荷像現像用トナーおよび静電荷像現像用トナーの製造方法を提供することにある。
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなり、
前記トナー粒子は、可塑剤として、アクリナトリン、イミプロトリン、シクロプロトリン、シフルトリンI、シフルトリンII、シフルトリンIII 、シフルトリンIV、シペルメトリン、テトラメトリン、デルタメトリンおよびビフェントリンから選ばれる少なくとも1種からなるピレスロイド系化合物を含有することを特徴とする。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記トナー粒子に含有されるピレスロイド系化合物が、シクロプロトリン、シフルトリンI、シフルトリンIII 、シペルメトリン、テトラメトリンまたはビフェントリンであることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーにおいては、前記トナー粒子中における前記ピレスロイド系化合物の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましい。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法は、上記の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
ミニエマルション重合により前記ピレスロイド系化合物を含有する結着樹脂微粒子を得る工程、および、当該結着樹脂微粒子を凝集させる工程を有することを特徴とする。

本発明の静電荷像現像用トナーによれば、トナー粒子中に特定のピレスロイド系化合物が含有されているので、低温定着性が得られながら、高い流動性が得られて形成される画像の品質の低下が抑制される。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)は、少なくとも結着樹脂、および、アクリナトリン、イミプロトリン、シクロプロトリン、シフルトリンI、シフルトリンII、シフルトリンIII 、シフルトリンIV、シペルメトリン、テトラメトリン、デルタメトリンおよびビフェントリンから選ばれる少なくとも1種からなるピレスロイド系化合物(以下、「特定のピレスロイド系化合物」ともいう。)を含有するトナー粒子よりなるものである。
以下に、特定のピレスロイド系化合物の構造式を示す。アクリナトリンは下記式(a)、イミプロトリンは下記式(b)、シクロプロトリンは下記式(c)、シフルトリンI〜シフルトリンIVは下記式(d)、シペルメトリンは下記式(e)、テトラメトリンは下記式(f)、デルタメトリンは下記式(g)、ビフェントリンは下記式(h)によって、それぞれ示される。
Figure 0006083280
特定のピレスロイド系化合物としては、シクロプロトリン、シフルトリンI、シフルトリンIII 、シペルメトリン、テトラメトリンまたはビフェントリンを用いることが好ましい。
本発明においては、トナー粒子中に特定のピレスロイド系化合物が含有されていることによって、低温定着性が得られながら、高い流動性が得られて形成される画像の品質の低下が抑制される。
これは、まず、特定のピレスロイド系化合物が可塑剤として作用する、具体的にはジメチルシクロプロパン部分と結着樹脂との相互作用により当該結着樹脂が可塑化されるために、低温定着性が得られる。そして、当該特定のピレスロイド系化合物の可塑化の作用は、穏やかに発現するものであるために、ブリードアウトの発生が抑制されて高い流動性が得られるものと考えられる。
トナー粒子中における特定のピレスロイド系化合物の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
トナー粒子中における特定のピレスロイド系化合物の含有割合が上記の範囲にあることにより、確実に十分な低温定着性がおよび高い流動性が得られる。一方、トナー粒子中における特定のピレスロイド系化合物の含有割合が過少である場合は、十分な低温定着性が得られないおそれがある。トナー粒子中における特定のピレスロイド系化合物の含有割合が過多である場合は、結着樹脂全体の可塑化が発生してトナーの保管時にトナー粒子同士が融着してしまうおそれがある。
トナー粒子中における特定のピレスロイド系化合物の含有割合は、ガスクロマトグラフ質量分析(GC/MS)によって測定されるものである。
具体的には、「5973N GC/MSD」(Agilent Technologies社製)を用い、カラムは「DB−5ms」(Agilent Technologies社製)を使用した。カラムは初期温度100℃で1分間保持し、その後、20℃/分の昇温速度で200℃まで昇温した。さらに10℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、5分間保持した。注入高温度は250℃、トランスファーライン温度は300℃、イオン源温度は230℃とし、キャリアガスとしてHeを1.0mL/分の定流量で用いた。試料注入量は1μLとし、注入はスプリットレスで行った。イオン化法として電子衝撃イオン化法(イオン化電圧70eV)を用い、m/z50〜500のフルスキャンモードで測定した。
特定のピレスロイド系化合物としては、耐熱保管性を得る観点から、融点が50〜100℃のものを用いることが好ましい。
具体的には、アクリナトリンの融点が81℃、イミプロトリンの融点が94℃、シクロプロトリンの融点が78℃、シフルトリンIの融点が64℃、シフルトリンIIの融点が81℃、シフルトリンIII の融点が65℃、シフルトリンIVの融点が106℃、シペルメトリンの融点が70℃、テトラメトリンの融点が71℃、デルタメトリンの融点が99℃、ビフェントリンの融点が69℃である。
〔結着樹脂〕
本発明に係るトナー粒子を構成する結着樹脂としては、特に限定されない。
このような結着樹脂の具体例として、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂などのビニル系重合体、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、アミド樹脂およびエポキシ樹脂などが挙げられ、特に、透明性や重ね合わせ画像の色再現性を向上させるために、透明性が高く、溶融特性が低粘度で高いシャープメルト性を有する、スチレン−アクリル系共重合樹脂が好適に挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
トナー粒子中における結着樹脂の含有割合は、例えば50〜98質量%とされる。
本発明のトナーを構成する結着樹脂の分子量は、THF可溶分のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による重量平均分子量(Mw)が10,000〜50,000であることが好ましく、より好ましくは25,000〜35,000である。
結着樹脂の重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあることにより、低温定着性および定着分離性が確実に得られる。一方、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)が過大である場合は、低温定着性が十分に得られないおそれがある。また、結着樹脂の重量平均分子量(Mw)が過小である場合は、定着分離性が十分に得られないおそれがある。
GPCによる分子量測定は、以下のように行った。すなわち、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2ml/minで流し、測定試料を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mlになるようにテトラヒドロフランに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、測定試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出する。検量線測定用の標準ポリスチレン試料としては、Pressure Chemical社製の分子量が6×102 、2.1×103 、4×103 、1.75×104 、5.1×104 、1.1×105 、3.9×105 、8.6×105 、2×106 、4.48×106 のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を測定し、検量線を作成した。また、検出器には屈折率検出器を用いた。
〔着色剤〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、着色剤が含有されていてもよい。着色剤としては、カーボンブラック、磁性体、染料、顔料などを任意に使用することができる。
カーボンブラックとしてはチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどを用いることができる。
磁性体としては鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これらの金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属酸化物などを用いることができる。
また、顔料としてはC.I.ピグメントレッド2、同3、同5、同7、同15、同16、同48:1、同48:3、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同123、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同208、同209、同222、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントイエロー3、同9、同14、同17、同35、同36、同65、同74、同83、同93、同94、同98、同110、同111、同138、同139、同153、同155、同180、同181、同185、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントブルー15:3、同15:4、同60、中心金属が亜鉛、チタン、マグネシウムなどであるフタロシアニン顔料などを用いることができ、これらの混合物も用いることができる。染料としてはC.I.ソルベントレッド1、同3、同14、同17、同18、同22、同23、同49、同51、同52、同58、同63、同87、同111、同122、同127、同128、同131、同145、同146、同149、同150、同151、同152、同153、同154、同155、同156、同157、同158、同176、同179、ピラゾロトリアゾールアゾ染料、ピラゾロトリアゾールアゾメチン染料、ピラゾロンアゾ染料、ピラゾロンアゾメチン染料、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95などを用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
着色剤の含有割合は、例えばトナー粒子中に1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%である。トナー粒子中の着色剤の含有割合が上記の範囲であることにより、トナーによって形成された画像に十分な濃度が得られ、しかも優れた帯電性を確保することができる。
〔離型剤〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、離型剤が含有されていてもよい。離型剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
離型剤を構成するワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。離型剤を構成するワックスの融点が上記の範囲であることにより、得られるトナーに十分な耐熱保存性が得られると共に、低温で定着を行う場合でもコールドオフセット現象などを起こさずに安定して画像形成を行うことができる。
トナー粒子中における離型剤の含有割合としては、トナー粒子中に1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜20質量%である。離型剤の含有割合が過少である場合は、十分なオフセット防止効果が得られないおそれがあり、一方、離型剤の含有割合が過多である場合は、得られるトナーが透光性や色再現性の低いものとなるおそれがある。
〔荷電制御剤〕
本発明のトナーを構成するトナー粒子中には、荷電制御剤が含有されていてもよい。荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であり、かつ、無色のものであれば特に限定されず、公知の種々の正帯電性の荷電制御剤および負帯電性の荷電制御剤を用いることができる。
トナー粒子中における荷電制御剤の含有割合は、0.01〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。
〔トナー粒子の構造〕
本発明のトナーは、これを構成するトナー粒子が、例えば結着樹脂、着色剤および特定のピレスロイド系化合物を含有するコア粒子と、その外周面を被覆する実質的に特定のピレスロイド系化合物を含まない樹脂よりなるシェル層とよりなるコア−シェル構造のものであってもよい。この場合、シェル層を構成する樹脂は、コア粒子を構成する結着樹脂と異なる種類の樹脂よりなるものとされる。トナー粒子がコア−シェル構造のものとして構成されることにより、当該トナー粒子について高い製造安定性および保存安定性が得られると共に、特定のピレスロイド系化合物のトナー粒子からのブリードアウトを強く抑制することができる。
このコア−シェル構造のトナー粒子とは、シェル層がコア粒子を完全に被覆している形態のみならず、コア粒子の一部を被覆しているものであってもよい。また、シェル層を構成する樹脂の一部がコア粒子中にドメインなどを形成しているものであってもよい。さらに、シェル層は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するものであってもよい。
〔トナーの軟化点〕
本発明のトナーの軟化点は、当該トナーに低温定着性を得る観点から、80〜120℃であることが好ましく、より好ましくは90〜110℃である。
トナーの軟化点は、下記に示すフローテスターによって測定されるものである。
具体的には、まず、20℃、50%RHの環境下において、トナー1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所社製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、24℃、50%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所社製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット法温度Toffsetが、トナーの軟化点とされる。
〔トナーのガラス転移点〕
本発明のトナーは、そのガラス転移点(Tg)が10〜90℃であることが好ましく、より好ましくは20〜65℃である。
ここに、トナーのガラス転移点は、「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用いて測定されるものである。
測定手順としては、試料(トナー)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行い、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間で最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
〔トナーの粒径〕
本発明のトナーの粒径は、例えば体積基準のメジアン径で3〜10μmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μmである。体積基準のメジアン径が上記の範囲にあることにより、例えば1200dpi(dpi;1インチ(2.54cm)あたりのドット数)レベルの非常に微小なドット画像を忠実に再現することができる。
トナーの体積基準のメジアン径は「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にデータ処理用のコンピューターシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した測定装置を用いて測定・算出されるものである。具体的には、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を調製し、このトナー分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を100μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒子径が体積基準のメジアン径とされる。
〔トナーの平均円形度〕
本発明のトナーは、このトナーを構成する個々のトナー粒子について、転写効率の向上の観点から、下記式(T)で示される円形度の算術平均値が0.850〜0.990であることが好ましい。
式(T):円形度=粒子投影像と同等の投影面積を有する真円の周囲長/粒子投影像の周囲長
ここで、トナー粒子の平均円形度は「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される値である。
具体的には、トナー粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行い、分散した後、「FPIA−2100」を用い、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000〜10000個の適正濃度で測定を行う。この範囲であれば、再現性のある測定値が得られる。
〔トナーの製造方法〕
本発明のトナーを製造する方法としては、混練・粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法、乳化重合凝集法、ミニエマルション重合凝集法、カプセル化法、その他の公知の方法などを挙げることができるが、特に、ミニエマルション重合法により得られた、特定のピレスロイド系化合物を含有する結着樹脂微粒子を凝集させるミニエマルション重合凝集法を用いることが好ましい。ミニエマルション重合凝集法を用いることにより、特定のピレスロイド系化合物のトナー粒子からのブリードアウトを強く抑制することができる。
ミニエマルション重合凝集法は、ミニエマルション重合法によって製造された、特定のピレスロイド系化合物を含有する結着樹脂微粒子の分散液を、必要に応じて他の着色剤微粒子などのトナー粒子構成成分の分散液も共に混合し、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径および粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナー粒子を製造する方法である。
結着樹脂微粒子のミニエマルション重合法による作製は、具体的には、結着樹脂を形成すべき重合性単量体に特定のピレスロイド系化合物、および必要に応じて離型剤、荷電制御剤などのトナー粒子構成材料を溶解あるいは分散させて重合性単量体溶液を調製し、これを界面活性剤を含有させた水系媒体中に油滴として微分散させ、次いでラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該油滴中において重合反応させることにより、行なわれる。
結着樹脂微粒子としては、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造のものとすることもでき、2層構造を有するものを作製する場合、常法に従った乳化重合処理(第1段重合)により調製した核樹脂微粒子の分散液に、重合開始剤と重合性単量体とを添加し、この系を重合処理(第2段重合)する方法を採用することができる。
結着樹脂微粒子として多層構造のものを作製する場合には、トナー粒子からの特定のピレスロイド系化合物のブリードアウトをより一層強く抑制することができるという理由から、特定のピレスロイド系化合物を第1段重合によって得られる核樹脂微粒子に入れることが好ましい。
コア−シェル構造のトナー粒子を形成する場合は、まず、コア粒子を形成すべき結着樹脂および特定のピレスロイド系化合物を含有する微粒子と着色剤微粒子とを会合、凝集、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層を形成すべき樹脂の微粒子を添加し、前記コア粒子の表面にこのシェル樹脂微粒子を凝集、融着させることによりコア粒子の表面を被覆するシェル層を形成することにより、製造することができる。
本発明のトナーが着色剤を含有するものである場合において、当該トナーをミニエマルション重合凝集法によって得る場合の製造工程の一例を具体的に示すと、
(1)ミニエマルション重合法によって、結着樹脂を形成すべき重合性単量体を特定のピレスロイド系化合物の存在下に重合させる過程を経て、ピレスロイド系化合物を含有する結着樹脂微粒子を得る結着樹脂微粒子重合工程、
(2)着色剤を含有する着色剤微粒子が水系媒体中に分散されてなる着色剤微粒子の分散液を得る着色剤微粒子分散液調製工程、
(3)結着樹脂微粒子および着色剤微粒子が存在している水系媒体中に、凝集剤を添加し、凝集・融着させてトナー粒子を形成する凝集・融着工程、
(4)水系媒体からトナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過、洗浄工程、
(5)洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
(6)乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程、
から構成される。
ここに、「水系媒体」とは、水50〜100質量%と、水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランを例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
〔重合性単量体〕
結着樹脂微粒子重合工程において用いる結着樹脂を形成すべき重合性単量体は、上述したような所望の結着樹脂を形成することのできる重合性単量体であって、例えば結着樹脂としてビニル系重合体を所望する場合の重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンあるいはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルなどのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などを用いることができる。これらの重合性単量体は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、重合性単量体として、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いることもでき。これらの多官能性ビニル類を用いることにより、架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
上記の重合性単量体のうち、ガラス転移点や帯電性の調整を行いやすいという観点から、スチレン、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートやメタクリル酸メチルを用いることが好ましく、また、例えば結着樹脂にポリエステル樹脂を含む場合には結着樹脂微粒子の水系媒体中における分散安定性が向上されて結着樹脂微粒子による凝集粒子の大きさを制御しやすいという観点から、メタクリル酸またはアクリル酸を用いることも好ましい。
トナー粒子中に離型剤や荷電制御剤を含有させる場合には、上述のように結着樹脂微粒子を離型剤や荷電制御剤を含有するものとして構成する方法や、トナー粒子を形成する凝集・融着工程において、水系媒体中に離型剤微粒子や荷電制御剤微粒子が分散されてなる分散液を添加し、結着樹脂微粒子と着色剤微粒子と離型剤微粒子や荷電制御剤微粒子とを凝集、融着させる方法などを選択することができ、これらの方法を組み合わせてもよい。
〔重合開始剤〕
結着樹脂微粒子重合工程において使用される重合開始剤としては、公知の種々の重合開始剤を用いることができ、具体的には、油溶性の重合開始剤としては、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ系またはジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などが挙げられる。
また、水溶性の重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩;アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸およびその塩、過酸化水素などを挙げることができる。
〔連鎖移動剤〕
結着樹脂微粒子重合工程においては、結着樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばオクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル、ターピノーレン、四臭化炭素およびα−メチルスチレンダイマーなどを使用することができる。
結着樹脂微粒子重合工程において調製される分散液中の結着樹脂微粒子は、その体積基準のメジアン径が50〜300nmの範囲であることが好ましい。結着樹脂微粒子の体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定されるものである。
〔凝集剤〕
凝集・融着工程において使用される凝集剤としては、例えばアルカリ金属塩およびアルカリ土類金属塩を挙げることができる。凝集剤を構成するアルカリ金属としては、例えばリチウム、カリウム、ナトリウムなどが挙げられ、凝集剤を構成するアルカリ土類金属としては、例えばマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどが挙げられる。これらのうちでは、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。また、これらのアルカリ金属またはアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオンなどが挙げられる。
〔界面活性剤〕
結着樹脂微粒子重合工程および/または着色剤微粒子分散液調製工程においては、水系媒体中に微粒子を安定に分散させるために、当該水系媒体中に界面活性剤を添加してもよく、このような界面活性剤としては、従来公知の種々のイオン性界面活性剤を好適に用いることができる。
イオン性界面活性剤の好ましい具体例としては、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウムなど)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウムなど)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カルシウムなど)が挙げられる。
また、ノニオン性界面活性剤を用いることもでき、ノニオン性界面活性剤の具体的としては、例えばポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステルなどが挙げられる。
着色剤微粒子分散液調製工程においては、水系媒体中に着色剤を添加し、これに機械的エネルギーを作用させることによって水系媒体中に着色剤微粒子を分散させた着色剤微粒子の分散液が調製される。
機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散装置としては、特に限定されるものではなく、ボールミル、アトライターおよびビーズミルなどの一般的な分散装置を用いることができる。これらの中でも、分散速度が高く、連続的に処理を行うことができることから、本発明においてはビーズミルを用いることが好ましい。
着色剤微粒子分散液調製工程において調製される分散液中の着色剤微粒子は、その体積基準のメジアン径が20〜1,000nmの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜140nm、特に好ましくは30〜100nmである。着色剤微粒子の体積基準のメジアン径は、「UPA−150」(マイクロトラック社製)を用いて測定されるものである。
着色剤微粒子の体積基準のメジアン径を制御する方法としては、例えば上述の機械的エネルギーの大きさを調整することなどにより、制御することができる。
〔外添剤〕
上記のトナー粒子は、そのままで本発明のトナーを構成することができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる後処理剤である流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加して本発明のトナーを構成してもよい。
後処理剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などよりなる無機酸化物微粒子や、ステアリン酸アルミニウム微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子などの無機ステアリン酸化合物微粒子、あるいは、チタン酸ストロンチウム、チタン酸亜鉛などの無機チタン酸化合物微粒子などが挙げられる。これらは1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、耐熱保管性の向上、環境安定性の向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
これらの種々の外添剤の添加量は、その合計が、トナー100質量部に対して0.05〜5質量部、好ましくは0.1〜3質量部とされる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
〔現像剤〕
本発明のトナーは、磁性または非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。本発明のトナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄などの金属、フェライト、マグネタイトなどの磁性体、これらとアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆したコートキャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなるバインダー型キャリアなど用いてもよい。
コートキャリアを構成する被覆樹脂としては、特に限定はないが、例えばオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。また、樹脂分散型キャリアを構成する樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えばスチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などを使用することができる。
キャリアの体積基準のメジアン径としては15〜100μmであることが好ましく、更に好ましくは25〜80μmとされる。キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
好ましいキャリアとしては、耐スペント性の観点から、被覆樹脂としてシリコーン系樹脂、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)またはポリエステル樹脂を用いたコートキャリアが挙げられ、特に、耐久性、耐環境安定性および耐スペント性の観点から、オルガノポリシロキサンとビニル系単量体との共重合樹脂(グラフト樹脂)に、イソシアネートを反応させて得られた樹脂で被覆したコートキャリアを好ましく挙げられる。
本発明のトナーによれば、トナー粒子中に特定のピレスロイド系化合物が含有されているので、低温定着性が得られながら、高い流動性が得られて形成される画像の品質の低下が抑制される。
以上、本発明の実施形態について具体的に説明したが、本発明の実施形態は上記の例に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:トナーの製造例1〕
(1)結着樹脂微粒子分散液の調製工程
(1−1)第1段重合
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3質量部をイオン交換水900質量部に溶解させた溶液を仕込み、内温を80℃に昇温させた後、
・スチレン 236質量部
・n−ブチルアクリレート 105質量部
・メタクリル酸 20質量部
・n−オクチルメルカプタン 6.5質量部
・離型剤(脂肪酸エステル「エレクトールWEP−3(日本油脂社製)」) 80質量部
・特定のピレスロイド化合物:アクリナトリン 5質量部
を、80℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)を用いて分散させて、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。次いで、この分散液に、過硫酸カリウム12質量部をイオン交換水235質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することによって重合(第1段重合)を行い、これにより樹脂微粒子〔a〕の分散液を作製した。
(1−2)第2段重合
上記の樹脂微粒子〔a〕の分散液に、過硫酸カリウム12質量部をイオン交換水235質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、この系に、80℃の温度条件下に、
・スチレン 459質量部
・n−ブチルアクリレート 126質量部
・n−オクチルメルカプタン 32質量部
の混合液を3時間かけて滴下した。滴下終了後、1時間にわたって加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行った。その後、28℃まで冷却し、水系媒体中に樹脂微粒子〔A〕が分散された結着樹脂微粒子分散液〔A〕を調製した。
(2)着色剤微粒子分散液の調製工程
ポリオキシエチレン−2−ドデシルエーテル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解させ、この界面活性剤溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)400質量部を徐々に添加し、次いで、撹拌装置「クレアミックス」(エムテクニック社製)を用いて分散処理を行うことにより、着色剤微粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤微粒子分散液〔1〕における着色剤微粒子の粒子径を、電気泳動光散乱計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
(3)トナー粒子の形成工程
上記の結着樹脂微粒子分散液〔A〕2105質量部、イオン交換水900質量部、上記の着色剤微粒子分散液〔1〕200質量部を、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置を取り付けた反応容器に入れて撹拌した。容器内の温度を30℃に調整した後、この溶液に5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを8〜11に調整した。次いで、塩化マグネシウム・6水和物4質量部をイオン交換水2000質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて70℃まで昇温した。
この状態で「マルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径(D50)が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4質量部をイオン交換水2000質量部に溶解した水溶液を添加して粒径成長を停止させた。更に、熟成処理として液温度85℃にて3時間にわたって加熱撹拌することにより融着させた。その後、6℃/minの条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整した後、撹拌を停止し、トナー粒子〔1〕の分散液を得た。
このトナー粒子〔1〕の分散液を固液分離し、イオン交換水による洗浄を4回繰り返し(イオン交換水の量を15リットルとした。)、その後、40℃の温風で乾燥した。
乾燥させたトナー粒子〔1〕に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm、疎水化度=68)1質量%および疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径=20nm、疎水化度=63)1質量%を添加し、「ヘンシェルミキサー」(三井三池化工機社製)により混合し、その後、45μmの目開きのフルイを用いて粗大粒子を除去することにより、トナー〔1〕を作製した。
トナー〔1〕において、ピレスロイド系化合物の含有量は結着樹脂100質量部に対して0.51質量部であった。
〔実施例2〜13、比較例1:トナーの製造例2〜14〕
トナーの製造例1の第1段重合工程において、用いるピレスロイド系化合物の種類を表1に従って変更し、かつ、その使用量を、トナー粒子中における含有量が表1の通りとなるよう変更したことの他は同様にして、トナー〔2〕〜〔14〕を作製した。
〔現像剤の製造例1〜14〕
このトナー〔1〕〜〔14〕にシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアを、前記トナーの濃度が6質量%になるよう混合することにより、現像剤〔1〕〜〔14〕を調製した。
〔評価1:定着オフセット性についての評価〕
現像剤〔1〕〜〔14〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙を縦送りで搬送し、搬送方向に垂直な方向に伸びる5mm幅のベタ帯画像を定着させた後、搬送方向に対して垂直方向に伸びる5mm幅のベタ帯画像および20mm幅のハーフトーン画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
低温オフセットによる画像汚れが観察された定着温度を低温オフセット発生温度として測定した。結果を表1に示す。本発明においては、低温オフセット発生温度が115℃以下である場合を合格と判断する。
〔評価2:下限定着温度についての評価〕
現像剤〔1〕〜〔14〕について、市販の複合プリンタのフルカラー複写機「bizhub PRO C6501」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、定着装置を定着用ヒートローラの表面温度を100〜210℃の範囲で変更することができるように改造したものを用い、A4(坪量80g/m2 )普通紙上に、トナー付着量11mg/10cm2 のベタ画像を定着させる定着実験を、設定される定着温度を100℃、105℃・・・と5℃刻みで増加させるよう変更しながら繰り返し行った。
各定着温度に係る定着実験において得られたプリント物を、折り機でべタ画像に荷重をかけるように折り、これに0.35MPaの圧縮空気を吹き付け、限度見本を参照して、折り目を下記の評価基準に示す5段階にランク付けし、ランク3となる定着実験における定着温度を、下限定着温度とした。結果を表1に示す。本発明においては、下限定着温度が120℃以下である場合を合格と判断する。
−評価基準−
ランク5:全く折れ目なし。
ランク4:一部折れ目に従った剥離あり。
ランク3:折れ目に従った細かい線状の剥離あり。
ランク2:折れ目に従った太い線状の剥離あり。
ランク1:大きな剥離あり。
〔評価3:流動性についての評価〕
現像剤〔1〕〜〔14〕について、「川北式かさ密度測定機 IH2000型」(セイシン企業製)により嵩密度を求めると共に、真密度測定機「VOLUMETER VM−100型」(エステック(株)製)により真密度を測定し、これらから(嵩密度)/(真密度)を算出して流動性の指標とした。
嵩密度は、すり切り嵩密度(トナー質量/容積)であり、具体的には、120メッシュの篩上に現像剤をのせ、振動強度1で30秒間落下させた後、振動を停止し30秒間静置して測定した。
(嵩密度)/(真密度)が大きいほど流動性が良好であると言える。本発明においては、(嵩密度)/(真密度)が0.33以上である場合を合格と判断する。
Figure 0006083280

Claims (4)

  1. 少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなり、
    前記トナー粒子は、可塑剤として、アクリナトリン、イミプロトリン、シクロプロトリン、シフルトリンI、シフルトリンII、シフルトリンIII 、シフルトリンIV、シペルメトリン、テトラメトリン、デルタメトリンおよびビフェントリンから選ばれる少なくとも1種からなるピレスロイド系化合物を含有することを特徴とする静電荷像現像用トナー。
  2. 前記トナー粒子に含有されるピレスロイド系化合物が、シクロプロトリン、シフルトリンI、シフルトリンIII 、シペルメトリン、テトラメトリンまたはビフェントリンであることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
  3. 前記トナー粒子中における前記ピレスロイド系化合物の含有量が、結着樹脂100質量部に対して0.01〜10質量部であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、
    ミニエマルション重合により前記ピレスロイド系化合物を含有する結着樹脂微粒子を得る工程、および、当該結着樹脂微粒子を凝集させる工程を有することを特徴とする静電荷像現像用トナーの製造方法。
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