JP2018146624A - 透過型回折素子および反射防止構造 - Google Patents

透過型回折素子および反射防止構造 Download PDF

Info

Publication number
JP2018146624A
JP2018146624A JP2017038373A JP2017038373A JP2018146624A JP 2018146624 A JP2018146624 A JP 2018146624A JP 2017038373 A JP2017038373 A JP 2017038373A JP 2017038373 A JP2017038373 A JP 2017038373A JP 2018146624 A JP2018146624 A JP 2018146624A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refractive index
light
transparent substrate
incident
wavelength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2017038373A
Other languages
English (en)
Inventor
大井 好晴
Yoshiharu Oi
好晴 大井
村川 真弘
Shinko Murakawa
真弘 村川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Glass Co Ltd filed Critical Asahi Glass Co Ltd
Priority to JP2017038373A priority Critical patent/JP2018146624A/ja
Publication of JP2018146624A publication Critical patent/JP2018146624A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

【課題】分光素子等において、斜入射光に対して入射偏光にかかわらず高い反射防止性能を示しつつ、広い入射光波長帯域および入射角帯域に対して反射防止性能の変動を小さくする。【解決手段】本発明の透過型回折素子は、透明基板11と、透明基板11の第1面側に設けられる回折格子12と、透明基板11の第1面に対向する第2面側に設けられる反射防止構造13とを備え、回折格子13は、第1面内の第1方向に格子周期Pgを持つ回折格子であり、反射防止構造13は、凸部131と凹部132が透明基板11の第2面内の少なくとも第1方向と直交する第2方向に交互に配される周期構造が設けられた周期構造層を有し、反射防止構造13の周期構造層における凸部131の第2方向の周期をPARyとしたとき、PARy≦1.3Pgを満足する。【選択図】図1

Description

本発明は、光学機器に使用される反射防止構造および該反射防止構造を有する透過型回折素子に関する。
波長可変レーザ、波長選択スイッチ、光スペクトルアナライザ等の装置またはモジュールは、複数の波長を含む光を分離(分光)して、波長毎に含まれる光の強度、位相等の情報が得られる。このとき、光を分離する手段として、プリズムまたは回折素子を使用できる。とくに、回折素子は、格子周期を短くすることで単位波長刻みあたりの回折角の差を大きくでき、波長分解能を高くすることが容易なため、分光素子として多用されている。
しかし、回折素子を使用する場合、±1次、±2次、・・・といった複数の高次の回折光も発生し、光の利用効率が低くなる。これを補うため、回折素子の格子を入射光の波長以下の周期とし、回折素子の法線方向に対して斜めに光を入射させることで、1次または2次の回折光のみを発生させて光の利用効率を高める構成がとられている。
図16は、分光素子としての透過型回折素子の一例を示す模式図である。透過型回折素子90は、透明基板91の第1面側に回折格子92が設けられ、第1面と対向する第2面側に反射防止膜93が設けられている。回折格子92は、凸部921および凹部922が第1面内において、図中のY軸方向に延伸するとともに、第1面内においてそれに直交する図中のX軸方向に周期Pで交互に並ぶ周期構造である。
以下、図16の構成において、第1面側より、該第1面の法線に対し入射角θで波長λの光を入射させ、回折格子92により発生させた回折光を、第2面側より出射させる場合を考える。この場合、m次の回折光(mは整数)は、第1面の法線に対して回折角θの方向に出射し、入射角θと回折角θとは、式(1)の関係を有する。
Figure 2018146624
例えば、1次の回折光のみを高効率で発生させたい場合、2次以上の回折光を発生させない条件(2λ/P−sinθ)>1を満たすように、入射光の波長λに対し、回折格子92の格子周期Pおよび入射角θを設定すればよい。
ところで、光通信や光計測の分野では、光の利用効率に加え偏光依存性がない分光素子が求められている。とくに、光通信分野では、光通信の情報量増加の背景などから、入射光の偏光依存性が小さく、所定の次数に対してのみ高い波長分解能で高い回折効率を実現できる透過型回折素子が開示されている(例えば、特許文献1,2)。
なお、前述のとおり、回折素子で高い波長分解能を得るため、格子周期Pを短くする方法がある。例えば、式(1)を1次回折光の回折角θについて解くと、式(2)が得られる。
Figure 2018146624
式(2)より、入射光の波長λによって1次回折光の回折角θが異なるのがわかる。θの波長による違いの差、すなわち分解能波長は、式(2)をλで微分した式で表され、格子周期Pが短いほど波長分解能が大きくなる。
しかし、格子周期を短くして波長分解能を上げるこの方法は、格子周期が入射光の波長の半分以下になると原理的に回折しなくなる問題や、格子の加工困難性が生じ得る。そこで、複数の回折素子を設けたり、ミラーを設けたりして2回以上光を回折させる構成により、波長分解能を高める方法も提案されている(例えば、非特許文献1)。
ここで、回折素子の回折効率には、回折格子による回折効率から素子の入出射界面での反射損失を引いた実効の回折効率が適用される。このため、回折格子に対して、入射光の所定の波長範囲および角度範囲にわたり、偏光状態に関わらず、高い回折効率が望まれるだけでなく、対向側の反射防止膜等に対しても、入射光の所定の波長範囲および角度範囲にわたり、偏光状態に関わらず、高い反射防止性能(低い残留反射率)が望まれる。
なお、1つの回折素子に光を複数回入射させる場合、反射防止膜の残留反射率が抑えられないと、出射光に波長変動(リップル)が生じる問題もある。
例えば、図16の構成において、反射防止膜93の残留反射率が高いと、透明基板91の内部で、回折格子92の0次透過光が反射防止膜93で反射される。そして、その反射光が回折格子92に再入射した後に反射1次回折光として透明基板91を出射し、回折格子92の透過1次回折光が反射防止膜93で反射されて回折格子92に再入射した後に0次反射光として透明基板91を出射する。その結果、何れも透過型回折素子の出射光となる1次回折光と重畳して干渉するため、波長に応じた位相差干渉条件の変化に伴い出射光強度にリップルが生じる原因となる。リップル振幅は反射防止膜の反射振幅(反射率の平方根)に比例するため、リップル改善には反射率を十分に低減することが課題であった。
反射防止膜の残留反射率を低減させるには、例えば、誘電体多層膜による反射防止膜であれば、積層する誘電体膜の層数を増やす構成が考えられる。また、同効果を得る構造として、入射光の波長より充分短い周期構造からなるモスアイ構造の反射防止構造(例えば、特許文献3)や、屈折率が1.15〜1.27のナノ多孔質膜またはナノ粒子膜を4層反射防止膜の最上層に用いた反射防止膜(例えば、特許文献4)が知られている。
なお、波長オーダーの周期構造の反射率の計算方法の一例として、非特許文献2には、厳密結合波理論(RCWA)が記載されている。
特許第5077404号公報 特開2013−228688号公報 特開2008−102488号公報 特開2012−78597号公報
日本電信電話株式会社 編、「NTT技術ジャーナル−ROADMを高機能化するWSSモジュール技術」、電気通信協会、2013 Vol.25 No.11、2013年11月、p.21−24 M.G.Moharam, D.A.Pommet, E.B.Grann, and T.K.Gayload, "Stable implementation of the rigorous coupled-wave analysis for surface relief gratings:enhanced transmittance matrix approach", Journal of the Optical Society of America A, vol.12, no.5, May 1995, p.1077-1086.
このように透過型回折素子において、より広い波長範囲および角度範囲の入射光に対して、高波長分解能かつ高回折効率で、さらに低偏光依存性を実現しようとすると、格子周期を短くしたり凸部に用いる部材を調整したりするだけでは不十分であった。そこで、多段構成等によりそれらの実現性を高めようとすると、反射防止膜に対しても、回折格子と同じ入射光の条件でより高い反射防止性能が求められる。ところが、反射防止膜として誘電体多層膜の層数を増やすと、より広い波長範囲かつより広い角度範囲の入射光に対して安定した低反射率を実現するのは困難である。さらに、特許文献3,4の構成でも、広い波長範囲かつ広い角度範囲の入射光に対して、低偏光依存性かつ低反射率を実現するのは困難である。
特許文献3の反射防止構造は、入射角θ=45°、波長域3.0μm〜3.5μmの入射光に対して、TE偏光の透過率は99.8%であるが、TM偏光の透過率は99.0%〜99.2%にとどまり(図33参照)、偏光依存性が低いとは言えない。
また、特許文献4の反射防止膜は、入射角0°の可視光以外の条件について何ら考慮していない。さらに、該反射防止膜は、ナノ多孔質膜またはナノ粒子膜を成膜するために、透明樹脂または透明誘電体膜中に入射光の波長より充分小さな気泡を均一密度にかつ波長オーダーの厚さに分散させるなど煩雑な工程が必要となるなどの問題もある。
本発明は、上述したような課題を鑑みてなされたものであり、より広い波長範囲および角度範囲にわたり、入射光の偏光状態に関わらず高波長分解能かつ高光利用効率で光を分岐できる透過型回折素子の提供を目的とする。また、本発明は、より広い波長範囲および角度範囲にわたり、入射光の偏光状態に関わらず十分に低い残留反射率を実現できる反射防止構造の提供を目的とする。
さらに、本発明は、上述した特性に加えて、比較的容易に製造できる透過型回折素子および反射防止構造の提供を目的とする。
本発明による透過型回折素子は、透明基板と、透明基板の第1面側に設けられる回折格子と、透明基板の第1面に対向する第2面側に設けられる反射防止構造とを備え、回折格子は、第1面内の第1方向に格子周期Pgを持つ回折格子であり、反射防止構造は、凸部と凹部が透明基板の第2面内の少なくとも第1方向に直交する第2方向に交互に配される周期構造が設けられた周期構造層を有し、反射防止構造の周期構造層における凸部の第2方向の周期をPARyとしたとき、PARy≦1.3Pgを満足する。
また、本発明による反射防止構造は、透明基板の入射側もしくは出射側の面上に設けられる反射防止構造であって、凸部と凹部が、透明基板の面内の少なくとも所定の一方向に交互に配される周期構造が設けられた周期構造層を備え、周期構造層における凸部の方向の周期をPARy、入射光の最短波長をλとしたとき、PARy<λを満たし、透明基板の面の法線方向をZ軸方向、凸部の周期方向をY軸方向とする3次元直交座標系において、面の法線に対するXZ面内での角度を入射光の入射角θとしたとき、θ=35°〜65°の範囲に、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下を満足する入射角θが少なくとも存在する。
なお、上記の反射率は、周期構造が波長以下となる微細構造を有する基板表面の回折損失が考慮されたものとする。そのような反射率は、偏光方向である電磁界ベクトル成分を考慮してマクスウェル方程式を厳密に解く必要があり、例えば、非特許文献2に記載されたRCWAを用いてもよい。
本発明は、より広い波長範囲および角度範囲にわたり、入射光の偏光状態に関わらず高波長分解能かつ高光利用効率で光を分岐する透過型回折素子を提供できる。また、本発明は、より広い波長範囲および角度範囲にわたり、入射光の偏光状態に関わらず十分に低い残留反射率を実現する反射防止構造を提供できる。さらに、本発明は、比較的容易な製造工程により、そのような透過型回折素子および反射防止構造を提供できる。
第1の実施形態の透過型回折素子10の斜視図。 (a)透過型回折素子10のYZ断面図、(b)透過型回折素子10のXZ断面図。 反射防止構造13の例を示す構成図。 第1の実施形態の透過型回折素子10の他の例を構成図。 第2の実施形態の透過型回折素子20の例を示す構成図。 反射防止構造23の例を示す構成図。 第3の実施形態の透過型回折素子30の例を示す構成図。 第3の実施形態の透過型回折素子30の他の例を示す構成図。 第4の実施形態のビームスプリッタ40の例を示す構成図である。 第1の実施例の反射防止構造13の反射率の計算結果を示すグラフ。 第1の実施例の反射防止構造13の反射率の計算結果を示すグラフ。 第1の実施例の反射防止構造13の反射率の計算結果を示すグラフ。 第2の実施例の反射防止構造33の反射率の計算結果を示すグラフ。 第2の実施例の反射防止構造33の反射率の計算結果を示すグラフ。 第2の実施例の反射防止構造33の反射率の計算結果を示すグラフ。 第3の実施例の反射防止構造33の反射率の計算結果を示すグラフ。 第3の実施例の反射防止構造33の反射率の計算結果を示すグラフ。 第3の実施例の反射防止構造33の反射率の計算結果を示すグラフ。 第4のダイクロイックミラー42の分光透過率の計算結果を示すグラフ。 第4の実施例の反射防止構造43の反射率の計算結果を示すグラフ。 第4の実施例の反射防止構造43の反射率の計算結果を示すグラフ。 第2の比較例の反射防止膜の反射率の計算結果を示すグラフ。 分光素子としての透過型回折素子の一例を示す模式図。
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における透過型回折素子10の斜視図である。また、図2(a)および図2(b)は、それぞれ図1に示す透過型回折素子10のYZ断面図およびXZ断面図である。透過型回折素子10は、透明基板11と、透明基板11の一方の面(以下、第1面という)側に設けられた回折格子12と、透明基板11の他方の面(以下、第2面という)側に設けられた反射防止構造13とを備える。
以下、透明基板11の第1面および第2面がXY面に略平行であるとして説明する。ここで、略平行とは、基準線や基準面に対する傾斜角が0.5°以内をいう。
回折格子12は、凸部121と凹部122とが、透明基板11の第1面内における第1方向(図中のX軸方向)に、所定の周期で交互に配置される周期構造である。図2(b)に示すように、以下、凸部121の深さをdg、凸部121と凹部122の第1方向での繰り返し周期(格子周期)をPg、凸部121の幅をag、凹部122の幅をbgと記す。なお、周期Pg=ag+bgである。また、周期Pgに対する凸部幅agの比をDg=ag/Pgと記す。
反射防止構造13は、凸部131と凹部132とが、透明基板11の第2面内における第2方向(図中のY軸方向)に、所定の周期で交互に配置される周期構造である。図2(a)に示すように、以下、凸部131の深さをdm、凸部131と凹部132のY軸方向での繰り返し周期をPy、凸部131のY軸方向の幅をay、凹部132のY軸方向の幅をbyと記す。なお、周期Py=ay+byである。また、周期Pyに対する凸部幅ayの比をDy=ay/Pyと記す。なお、周期Pyを周期PARyという場合がある。
以下、回折格子12や反射防止構造13において、凸部と凹部が所定の周期で交互に配置される方向を「周期方向」ともいう。なお、図1において、X軸方向が回折格子12の周期方向である。また、Y軸方向が反射防止構造13の周期方向である。また、反射防止構造13において、凸部と凹部からなる周期構造が形成されている層を、「周期構造層」ともいう(図2(a)中の符号133参照。)。
ここで、第1方向と第2方向とは互いに直交するので、反射防止構造13は、少なくとも透明基板11の対向側の面内に設けられた回折格子12の周期方向に直交する方向に周期方向をもつ周期構造層を有すると言ってもよい。なお、3次元座標系を用いて、反射防止構造13は、透明基板11の第1面または第2の面の法線方向をZ軸とする3次元直交座標系のXY平面内において、回折格子12の周期方向に直交する方向に周期方向をもつ周期構造層を有すると言ってもよい。
以下、回折格子12の凸部121がY軸方向に直線状に延び、周期方向での(XZ面の)断面形状が基板側の底辺に比べて空気側の上辺が狭い台形形状をなす例を用いて説明するが、凸部121の断面形状は特に限定されない。また、凸部121の台形の傾斜面が第1面となす角度は、例えば、略0°〜20°で設定できる。このとき、凸部121の幅agおよび凹部122の幅bgは、それぞれ深さdg/2における値としてもよい。
また、反射防止構造13は、凹部132が空気層であり、凸部131が、X軸方向に直線状に延び、周期方向での(YZ面での)断面形状が基板側の底辺に比べて空気側の上辺が狭い台形形状をなす例を用いて説明するが、凹部132は空気層に限定されず、また凸部131の断面形状も特に限定されない。また、凸部131の台形の傾斜面が第1面となす角度は、例えば、略0°〜20°で設定できる。このとき、凸部131の幅ayおよび凹部132の幅byは、それぞれ深さdm/2における値としてもよい。
本実施形態では、透過型回折素子10の第1面の法線方向をZ軸方向とし、回折格子12の周期方向をX軸方向とする。そして、該XZ面内においてZ軸とのなす角度である入射角θで透明基板11の第1面側から入射した光が、回折格子12で回折され、反射防止構造13を有する透明基板11の第2面側から出射する場合を想定する。なお、Z軸に対して、入射角の変位面とされる入射面は厳密にXZ面内でなくてもよい。すなわち、入射角θはXZ面内の角度成分θが主だが、YZ面内の角度成分θを有する配置であっても本実施形態の透過型回折素子10、とくに反射防止構造13は有効である。
本実施形態においてYZ面内における入射角θの光は、図2(a)のように、回折格子12により回折されずに、入射角θと同じ入射角θ0yの0次透過光として反射防止構造13に入射し、反射防止構造13で回折されずに透過型回折素子10を透過する。
また、XZ平面内における入射角θの光は、図2(b)のように、回折格子12により回折角θ1xの1次回折光となって反射防止構造13に入射し、反射防止構造13で回折されずに回折角θ1xを維持して透過型回折素子10を透過する。
本実施形態では、回折格子12および反射防止構造13を、YZ平面での入射角θy=0°のときに、回折格子12の1次回折効率および反射防止構造13の反射防止性能が最大になるように設計できる。ここで、反射防止構造13の反射防止性能が最大とは、残留反射率が最小であることに相当する。なお、入射角θyは10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、3°以下がさらに好ましい。
一方、回折角θ1xは、式(1)における格子周期Pを回折格子12の周期Pgとしたときの、回折次数m=1に対応した回折角θに相当する。1次以外の回折光も同様である。このとき、透過型回折素子10への入射光の波長λをλ〜λ(λ<λ)とすると、該入射光は、回折格子12での回折により、波長の相違に応じた回折角θ(mは整数)の光となって出射される(図1参照)。図1は、模式的に入射光の波長の中心波長λcに対する1次回折角θ(m=1)と2次回折角θ(m=2)とをそれぞれ実線で示すが、2次(以上の)回折光が発生しないようにも設計できる。なお、入射光の波長は、複数の離散的波長でも連続波長でもよい。
以下、θ=θ(すなわちθy=0)として説明するが、θy=0以外の場合はθをθに読み替えればよい。
回折格子12は、入射光の波長λおよび入射角θに対し(2λ/Pg−sinθ)>1を満たすように周期Pgを設定する。その結果、m<0およびm≧2の次数mの回折光は発生せず、回折格子12の凸部121の構造(屈折率、深さdg、幅ag、周期Pg、傾斜角等)に応じた0次透過光と1次回折光のみが発生する。0次透過光と1次回折光の効率は入射光の偏光状態に依存する。ここでは、凸部121の直線状に延びた方向である第2方向(Y軸方向)の偏波面をS偏光、入射光方向とS偏光の成す平面に垂直な方向の偏波面をP偏光と呼ぶ。なお、凸部121の構造により、透過回折光以外の図示しない0次反射光と反射1次回折光が生じて、透過1次回折光の光量が低下しないように回折格子12の構造を設計する。
入射光の波長範囲および角度範囲に対して、低偏光依存性で高い1次回折効率が得られる回折格子12は、例えば、特許文献1、2の構造とする。とくに、回折格子12の凸部121を、特許文献2に例示の高屈折率材料と低屈折率材料が交互に4層積層された構造とすると、入射光の波長帯全域にわたって、高回折効率と低偏光依存性を実現できる。
また、透過型回折素子において、入射光の全波長域の波長λに対し回折格子12で1次回折光のみが発生する条件式(1)および(2)より、入射角θ=25°〜75°を想定する。このとき、回折格子12の格子周期Pgと入射光の全波長域の波長λの比Pg/λは0.51〜1.40が好ましい。さらに、入射角θ=35°〜65°では、比Pg/λは0.53〜1.27が好ましい。
さらに、高い1次回折効率が得られるリトロー配置では、入射角θが1次の回折角θに等しくなる。このため、入射角θ=25°〜75°では、比Pg/λは0.52〜1.18が好ましく、入射角θ=35°〜65°では、比Pg/λは0.55〜0.87が好ましい。なお、リトロー配置相当の入射角θと1次の回折角θとの関係|θ−θ|は、±10°以下が好ましく、±5°以下がより好ましい。
また、反射防止構造13の凸部131は、屈折率ngの透明基板11とその界面である屈折率naの空気などの雰囲気との屈折率差により生じるフレネル反射を低減する反射防止構造になるように設計することが好ましい。
なお、図1は、透過型回折素子10の第1面から入射して第2面から出射する配置を示すが、第2面から入射して第1面から出射する配置でもよく、両者は同様に機能する。
以下、反射防止構造13について図3に基づいて、より詳細に説明する。図3(a)〜図3(c)は、それぞれ、反射防止構造13のXY平面図(上面図)、XZ平面図(側面図)、YZ平面図(側面図)である。反射防止構造13は、透明材料からなる凸部131と、空気などの雰囲気からなる凹部132とが、予め定めた周期方向(Y軸方向)に一定周期で交互に並ぶ、すなわち延伸方向が該周期方向に直交するように並ぶように配置された周期構造を有する。この場合、各凸部131は、透明基板11の第2面内において周期方向に直交するX軸方向に直線状に延びた矩形の外周形状となる。
凸部131の(YZ面の)断面形状は任意であり、矩形でもよい。なお、凸部131は、透明基板11側から離れるZ方向にayが減少する構成等により、基板面から最表面に向かう高さ方向で1周期内の平均屈折率が低下する構成がより好ましい。例えば、凸部131の形状は、周期構造層の1周期に占める上面の幅の割合が底部の幅の割合以下となるのがより好ましい。具体例として、YZ断面形状が、基板側の底辺から空気側の上辺に向かって幅が狭くなる台形、三角形、釣鐘型、半球形状あるいは楕円形状などが挙げられる。このように、凸部131の断面形状が深さ方向で変化する場合、幅ayは深さ方向の平均値とすればよい。また、凸部131の深さdmはXY面内で略一定で、その分布は±10%以下が好ましく、±5%以下がさらに好ましい。
凸部131の屈折率をns、周期Pyを入射光の最短波長λより短い構造とした場合、深さdmの周期構造層133の平均屈折率naveは、式(3)で表される。なお、naは凹部132(例えば、空気)の屈折率である。
ave=ns・Dy+na・(1−Dy) ・・・(3)
反射防止構造13は、凸部131を透明基板11と略同一の屈折率の材料とする。さらに、単層による低反射条件(ns・na)1/2と略一致するように平均屈折率nave(より具体的にはDy)を調整し、さらに光学膜厚(nave・dm)が入射光の中心波長λcの略1/(4・cosΦ)となる深さdmとする。例えば、光学膜厚が中心波長λcの0.2〜0.5倍になるように調整する。なお、中心波長λcは、入射光の最短波長をλ、最長波長をλとするとき、λc=2λ・λ/(λ+λ)とする。また、入射角θで平均屈折率naveの反射防止構造13に入射した光の屈折角をΦとするとき、sinθ=nave・sinΦで関係付けられる。ここで、深さdmのばらつきは±5%以下が好ましく、±3%以下がより好ましい。
これは、凹部132と凸部131との体積比の調整により、低反射条件を満たす低屈折率の単層反射防止構造を得ることに相当する。例えば、周期Py中の凹部幅byを調整して空気の割合を増やすことで、所望の低屈折率の単層反射防止構造が得られる。
その結果、透明基板11の第2面に入射する波長λcの入射角θの光の反射率は略ゼロ(0.8%以下)となり、広い波長範囲(λ〜λ)で高い反射防止性能が得られる。なお、後述するように、本実施形態では斜入射に対応するために、所望の入射角範囲θ〜θもしくはその中心となる入射角θにおいて偏光により異なる実効屈折率を考慮して、単層反射防止構造の低反射条件を適用する。より具体的には、斜入射のP偏光に対する実効屈折率と、斜入射のS偏光に対する実効屈折率とが同程度に上記の単層反射防止構造の低反射条件に近づける調整や、両偏光の実効屈折率のいずれも、上記の単層反射防止構造の低反射条件との差を所定の閾値以内に収めるような平均屈折率nave(より具体的にはDy)の調整が挙げられる。
なお、反射防止構造13の凸部131の周期Pyは、回折格子12の格子周期Pgに対し、Py≦1.3Pgとすれば、凸部131による回折光の発生が抑制できる。反射防止性能向上のためには、Py≦1.2Pgがより好ましく、Py≦Pgがさらに好ましい。
例えば、石英ガラス基板表面に設けられる凸部131(ng=ns≒1.45)に対して上述の単層による低反射条件(nave≒1.20)を満たす反射防止構造13を考えた場合、Dy=ay/Py=0.44となる。ただし、斜入射条件では、入射偏光および入射角θで実効屈折率が変化するため、それを考慮したDyおよび深さdmを設定する。
例えば、屈折率nの部材と空気との界面で発生するフレネル反射光の反射率は入射偏光により異なる。これは、斜入射光のP偏光に対する実効屈折率ηpとS偏光に対する実効屈折率ηsが入射角θに依存して変化するためである。入射角θの光のP偏光とS偏光に対する実効屈折率ηpとηsの関係を式(4)および式(5)に示す。
ηp=n/cosθ ・・・(4)
ηs=n・cosθ ・・・(5)
本実施形態では、実効屈折率を考慮するにあたり、上記を適用するだけでなく、さらに周期構造層133の構造性複屈折による偏光依存性を考慮する。フレネル反射光を考慮した反射率は、斜入射ではP偏光に比べてS偏光が高くなるため、本実施形態では、入射面に平行な第1方向を凸部131の延伸方向として、S偏光とP偏光とで単層反射防止構造としての作用を異ならせる。とくに、S偏光に対する反射率を低減できるので、その結果、S偏光とP偏光のフレネル反射率が近づき、偏光依存性を低減できる。
例えば、ng=1.45およびna=1.0に対し、入射角θ=45°(θ=45°、θ=0°)で単層の低反射条件を満たす反射防止膜は、屈折率n=1.20となる。また、光学膜厚の条件n・d・cosθ’=λ/4より、λc=1570nmではd≒400nmと算出される。なお、角度θ’は反射防止膜内の屈折角で、sinθ=n・sinθ’のスネル屈折則による。次に、この反射防止膜を、P偏光と平行な方向に直線状に延びた凸部131と空気層とからなるPy=1000nmの周期構造層の反射防止構造13に置き換えた場合、上述の単層による低反射条件よりnave=1.20となるDy=0.44とし、深さdm≒400nmの反射防止構造13とすればよい。波長1520〜1620nmのP偏光およびS偏光に対する平均反射率の計算結果は、n=1.20の均質の単層反射防止膜では0.09%だが、構造性複屈折による偏光依存性を考慮できる反射防止構造13では0.03%となり、略1/3に低減する。
なお、最適値をより厳密に求める場合、P偏光およびS偏光に対して、非特許文献2に示されるような波動光学における偏光電磁界ベクトル成分を考慮した方法を用いて、Dyおよびdmをパラメータとして反射防止構造13の反射率を算出し、Dyおよびdmの最適値を決定すればよい。
このような調整の結果、例えば、屈折率ng≒1.45程度の基板を用い、凸部131の材料を基板と略同一の屈折率(ns≒ng)をもつ材料とする。このとき、入射角θ=35°〜65°の光に対して、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下、好ましくは0.3%以下、より好ましくは0.1%以下になるような周期構造を考えた場合、平均屈折率naveは、1.05〜1.35であればよく、1.1〜1.3が好ましく、1.10〜1.25がより好ましい。また、深さdmに関しては、(nave×dm)/λcが0.2〜0.5が好ましく、0.22〜0.35がより好ましい。
ここで、屈折率に関して略同一とは±8%以内の相違を意味する。例えば、屈折率ng=1.52の硼珪酸ガラスの透明基板11の第2面に、反射防止構造13として屈折率ns=1.45のSiOからなる凸部131を形成してもよい。
このようにして、回折格子12で高い1次回折効率を得るために、ZX面内で入射角θ(≒θ)が35°〜65°の範囲内となる斜入射配置を前提とした場合でも、透明材料を微細加工することにより石英ガラスなどの低屈折率基板に対しても、屈折率の条件がさらに低い単層反射防止構造の低反射条件を満たす反射防止構造13を作製できる。
例えば、入射光の波長λが1520nm〜1620nmの範囲で、入射角θが35°〜65°の範囲にあり、回折格子12の周期Pgが波長λの0.53〜1.27倍の範囲である透過型回折素子10を分光素子として用いた場合、偏光状態に関わらず反射率が0.8%以下の反射防止構造13を実現できる。なお、入射条件によっては、反射防止構造の残留反射率を、偏光状態に関わらず0.3%以下、0.25%以下、さらに0.1%以下にできる。
また、本実施形態の反射防止構造13の周期Pyを上記の条件を満たす範囲でできるだけ大きくとれば、さらに加工が容易となる。例えば、フォトマスクを用いて、透明基板11に塗布されたフォトレジストを露光して格子形状にパターニングした後、反応性イオンエッチング等によりレジストパターンを反射防止構造層に転写することを考える。このとき、回折格子12と同じ装置を用いて加工する場合を含め、周期Pyは0.5μm以上が好ましい。また、反射防止性能ばらつきを抑えて、反射防止構造13の形状を再現性良く作製するには、周期Pyは0.7μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。
例えば、特許文献3は、反射防止構造とされる第2リッジ(27)が、回折格子の周期方向と平行な方向に周期的に設けられている。そのため、特許文献3の構造は、第2リッジで回折光が発生しないように、第2リッジの周期を光の波長よりも十分短く設定する必要がある。これに対して本実施形態の反射防止構造13は、周期Pyが格子周期Pgと略等しい値でもよい。このため、反射防止構造13は、回折格子12と同じ装置で加工でき、安定した形状精度が得られるため、形状ばらつきに起因する特性変動を低減できる。
また、例えば、特許文献4のナノ多孔質膜の場合、入射光に対して均一屈折率誘電体膜と同様の光学作用を示す。このため、垂直入射(θ=0°〜10°)では屈折率偏光依存性が無く、斜入射では入射角に応じて実効屈折率の偏光依存性が生じ、フレネル反射強度が変化する。
一方、反射防止構造13における周期構造層は、凸部と凹部がそれぞれ一方向に直線状に延びているとみなせるため、構造性複屈折を示し、垂直入射でも凸部長手方向の直線偏光とその直交方向の直線偏光に対する屈折率が異なる。そのため、例えば、反射防止構造13とナノ多孔質膜とで平均屈折率および光学膜厚が同じであっても、両者の斜入射光に対する実効屈折率の偏光依存性は異なる。すなわち、反射防止構造13では、構造性複屈折を利用した反射防止設計が可能となるため、ナノ多孔質膜などの均一な低屈折率の光学膜に比べ、斜入射光に対する低反射率および低偏光依存性を実現しやすい。
また、反射防止構造13の周期構造層は、後述するように比較的加工が容易であるため、安定した屈折率および膜厚が得やすい。一方、ナノ多孔質膜の加工は周期構造層の加工に比べると困難であり、傷が生じやすいため取り扱いが難しい。
以下、反射防止構造13の作製方法の一例を示す。本例では、反射防止構造13の凸部131を、回折格子12の加工と同じ装置で作製する場合を考える。まず、透明基板11の第2面側の表面にフォトレジストを塗布した後、硬化する。次に、第2方向の周期Pyの凸部131に対応するフォトマスクを用い、紫外光を照射して該フォトレジストを感光する。次に、感光後のフォトレジスト層の感光部または非感光部を除去して、透明基板11の上記面にフォトレジストパターンを形成する。なお、本加工では、例えば、高圧水銀放電ランプのi線発光の波長365nm紫外線を用い、1μmレベルの周期構造のフォトレジストパターンを含む基板表面層を作製するのが実用的である。次に、この基板表面層を、ドライエッチングまたはウェットエッチングにより微細加工する。
ドライエッチングとしては、例えば、反応性イオンエッチングにより、上記の基板表面層に凸部131に対応する凹部を形成することで、フォトレジストパターンに対応した凸部131を形成できる。ここで、凸部材料(A)とフォトレジスト材料(B)のエッチングレート比(A/B)が大きい程、加工が容易となるため、そのような材料およびプラズマ放電ガスを用いるのが好ましい。
ウェットエッチングとしては、例えば、凸部131の材料となる基板を化学反応により溶解するフッ化水素酸等の溶液に投入し、腐食により基板表面層に凸部131に対応する凹部を形成することで、フォトレジストパターンに対応した凸部131を形成できる。この場合も、前述の比(A/B)が大きい程、加工が容易となるため、そのような材料および腐食溶液を用いるのが好ましい。
また、透明基板11の表面をドライエッチングなどにより、凸部131形状に直接加工する場合、凸部131の深さ精度向上のため、凸部131の部材よりエッチングレートの低い膜材料を、あらかじめ透明基板11の表面に備えてもよい。より具体的には、透過型回折素子10の他の例である図4のように、反射防止構造13と透明基板11との間に、凸部131の部材よりエッチングレートの低い膜材料からなるエッチング調整層14を備えてもよい。なお、エッチング調整層14は、反射防止構造13の周期構造層133の透明基板11側の界面を構成する位置に設けられていればよい。以下、エッチング調整層の厚さをdspと記す。
凸部131の材料として、例えば、NaAlF114、NaAlF、AlF、MgF、SiOのいずれかの誘電体材料を用いた場合、エッチング調整層14として、例えば、AlやZrOなどの透明誘電体膜を使用できる。
エッチング調整層14は、例えば、上記工程において、透明基板11の第2面に、まずエッチング調整層14となる透明誘電体膜を膜厚3nm〜50nmに成膜後、凸部131となる透明誘電体膜を膜厚がdmになるよう連続して成膜すればよい。その後、フォトリソグラフィとドライエッチングなどにより凸部131形状に加工する。エッチングレートの低いエッチング調整層14の膜面でドライエッチングが止まる制御がしやすく、凸部131および凹部132の深さ精度が確保できる。
凸部131の他の作製方法としてリフトオフ法を用いてもよい。すなわち、上述のフォトレジストパターンを含む基板表面層においてフォトレジストの無い凹部領域に凸部131の材料が埋め込まれるように、凸部131の深さdmに相当する膜厚の透明誘電体膜を、該基板表面層全面に成膜する。そして、フォトレジストの現像液を用いてフォトレジストパターンを剥離する。その結果、エッチング加工をせずに、反射防止構造13を作製できる。リフトオフ法では、凸部131の深さdmは成膜時の膜厚精度に依存するため、エッチング調整層14は不要である。なお、リフトオフ法と、上述のエッチングを用いる方法とでは、フォトレジストパターンの凹凸幅の設定が異なる点に注意するとよい。
回折格子12の凸部121も、凸部131と同様の方法で作製してもよい。その場合、透明基板11の第2面を第1面に、第2方向を第1方向に、周期Pyを周期Pgに読み替えればよい。
[第2の実施形態]
本実施形態では、2次元の周期構造を有する反射防止構造を備えた透過型回折素子20について第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。図5は、本実施形態の透過型回折素子20の例を示す構成図である。なお、図5(a)、図5(b)はそれぞれ、3次元直交座標系における透過型回折素子20のYZ断面図、XZ断面図である。透過型回折素子20は、第1の実施形態の反射防止構造13に代えて、反射防止構造23を備える。
本実施形態の反射防止構造23は、透明基板11の第2面内において凸部と凹部が上記の第2方向(図中のY軸方向)および該第2方向とは異なる第3方向(図中のX軸方向)の2つの方向に交互に配される2次元の周期構造を備える。
以下、凸部231の深さをdm、凸部231と凹部232のY軸方向での繰り返し周期をPy、凸部231のY軸方向の幅をay、凹部232のY軸方向の幅をby、凸部231と凹部232のX軸方向での繰り返し周期をPx、凸部231のX軸方向の幅をax、凹部232のX軸方向の幅をbxと記す。なお、周期Py=ay+byであり、周期Px=ax+bxである。また、周期Pyに対する凸部幅ayの比をDy=ay/Py、周期Pxに対する凸部幅axの比をDx=ax/Pxと記す。
以下、反射防止構造23は、凹部232が空気層であり、凸部231が、周期方向での(YZ面およびXZ面の)断面形状が基板側の底辺に比べて空気側の上辺が狭い台形形状をなす例を用いて説明するが、凹部232は空気層に限定されず、また凸部231の断面形状も特に限定されない。なお、本例において、凸部231の台形の傾斜面が第1面となす角度は、YZ断面・XZ断面ともに、略0°〜20°である。凸部231の幅ax,ayおよび凹部232の幅bx,byはいずれも深さdm/2における値とする。
本実施形態でも、透過型回折素子20の第1面の法線方向をZ軸とし、回折格子12の周期方向である第1方向をX軸方向とした場合に、入射角θで透明基板11の第1面側から入射した光が、回折格子12で回折され、反射防止構造23が形成された透明基板11の第2面側から出射する場合を想定する。なお、入射角θはXZ面内の角度成分θが主だが、YZ面内の角度成分θを有する配置であっても本実施形態の透過型回折素子20、とくに反射防止構造23は有効である。
本実施形態は、図5(a)のように、YZ面内における入射角θの光は、回折格子12により回折されずに、入射角θと同じ回折角θ0yの0次透過光として反射防止構造23に入射する。そして、その光は、反射防止構造23で回折されずに回折角θ0yを維持して透過型回折素子20を透過する。また、図5(b)のように、θに略等しいXZ平面内における入射角θの光は、回折格子12により回折角θ1xの1次回折光となって反射防止構造23に入射する。そして、その光は、反射防止構造23で回折されずに回折角θ1xを維持して透過型回折素子20を透過する。
本実施形態でも、回折格子12および反射防止構造23を、YZ平面での入射角θy=0°のときに、回折格子12の1次回折効率および反射防止構造23の反射防止性能が最大になるように設計する。なお、入射角θyは10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、3°以下がさらに好ましい。
図6は、本実施形態の反射防止構造23の構成例である。図6(a)、図6(b)および図6(c)はそれぞれ、反射防止構造23における、XY平面図(上面図)、XZ平面図(側面図)およびYZ平面図(側面図)である。
以下、凸部231の2つの周期方向のうち、回折格子12の周期方向に直交する第2方向を第1の周期方向といい、他方を第2の周期方向という。また、第2の周期方向とされる方向を第3方向ともいう。第2方向(図中のY軸方向)と第3方向とは直交関係にあると構造複屈折を利用したX軸方向およびY軸方向の屈折率の入射角依存性を調整できる効果が得られ好ましい。なお、第3方向は、回折格子12の第1方向と異なってもよい。換言すると、第1の周期方向と第2の周期方向は直交しなくてもよい。
なお、図6には、第1の周期方向と第2の周期方向とが直交する例を示すが、この場合、凸部231の各々は、第1の周期方向であるY軸方向に平行な2辺と、第2の周期方向であるX軸方向に平行な2辺とからなる4辺に囲まれた矩形の外周形状となる。また、凸部231の各々は、第1の周期方向であるY軸方向に所定の間隔(周期Py)で直線状に延びる形状と、第2の周期方向であるX軸方向に所定の間隔(周期Px)で直線状に延びる形状とが重なる位置に配される。
凸部231のYZ断面およびXZ断面の形状は任意である。なお、第1の実施形態と同様、凸部231は、透明基板11側から離れるZ方向にayおよび/またはaxが減少する構成等により、基板面から最表面に向かう高さ方向で1周期内の平均屈折率が低下する構成がより好ましい。例えば、凸部231の形状は、2つの周期方向の各々またはいずれかにおける、周期構造層の1周期に占める上面の幅の割合が底部の幅の割合以下となるのが好ましい。凸部231の断面形状が深さ方向で変化する場合、幅ay,axは深さ方向の平均値とすればよい。
また、凸部231の屈折率をns、周期Pyおよび周期Pxを入射光の最短波長λより短い構造とした場合、深さdmの周期構造層233の平均屈折率naveは、式(6)で表される。
ave=ns・Dx・Dy+na・{1−(Dx・Dy)} ・・・(6)
本例でも、凸部131の屈折率が透明基板11と略同一であることを前提に、平均屈折率nave(より具体的にはDyおよびDx)および深さdmを、単層の低反射条件と光学膜厚を考慮して調整する。なお、本実施形態では、Y軸方向における凹部幅byに加えてX軸方向における凹部幅bxの調整により空気の割合を増加できるので、所望の低屈折率の単層反射防止構造を得やすい。
その結果、透明基板11の第2面に略垂直(第2面の法線に対するYZ面内の入射角θy=0°〜10°)に入射する波長λの光の反射率は偏光状態に関わらず0.8%以下となり、広い波長範囲(λ〜λ)で高い反射防止性能が得られる。なお、本実施形態でも斜入射に対応するために、実効屈折率を考慮してDy、Dxおよび深さdmを設定する。なお、実効屈折率を考慮するにあたり、Y軸方向の周期構造による構造性複屈折率の偏光依存性を無視してもよく、例えば、Dxに応じた平均屈折率の凸部231がX軸方向に直線状に延びているとみなしてもよい。なお、本実施形態も、より厳密には、P偏光とS偏光とに対して、非特許文献2に示される偏光方向である電磁界ベクトル成分を考慮して周期構造層233の反射率を求めながら、DyおよびDxの最適値を決定すればよい。
また、回折格子12で光損失となる回折光の発生を抑止し高い1次回折効率を得るために、ZX面内で入射角θ(≒θ)が35°〜65°の範囲内となる斜入射配置を考えた場合、第2の周期方向における周期Pxは、格子周期Pgより十分小さく設定される。具体的に、式(1)における格子周期Pに周期Pxを代入した場合に、m=0以外の回折光が発生しないように設定される。なお、Pgとの関係は、Px≦Pg/2が好ましく、Px≦Py/2がより好ましい。
[第3の実施形態]
本実施形態では、多層構造の反射防止構造を備えた透過型回折素子30について説明する。図7は、第3の実施形態の透過型回折素子30の例を示す構成図である。透過型回折素子30は、第1の実施形態の反射防止構造13に代えて、反射防止構造33を備える。反射防止構造33は、周期構造層333と透明基板11との間に、屈折率の異なる層を積層して、より広い角度範囲の入射光に対して偏光依存性を低減させる。
反射防止構造33は、具体的に、周期構造層333に加えて、透明基板11の屈折率ngよりも高い屈折率nの材料からなる高屈折率層31と、高屈折率層31の屈折率nよりも低い屈折率nの材料からなる低屈折率層32とをさらに有する。そして、それらが、透明基板11の第2面上に、高屈折率層31、低屈折率層32、周期構造層333の順番に設けられている。
本実施形態の反射防止構造33は、n(高屈折率層31)>n(低屈折率層32)>nave(周期構造層333)の屈折率関係の3層反射防止膜に相当する。以下、高屈折率層31の厚さをd、低屈折率層32の厚さをdと記す。
ここで、周期構造層333は、各実施形態の反射防止構造が有するいずれかの周期構造層であればよい。すなわち、周期構造層333は、第1の実施形態の周期構造層133や、第2の実施形態の周期構造層233と同様の構成でよい。
高屈折率層31は、Si、TiO、Ta、Nb、HfO、CeO、ZrO、Si、Y、MgO、Alのいずれかの材料またはその混合材料を用いて得られる誘電体膜が例示できる。また、低屈折率層32は、NaAlF114、NaAlF、AlF、MgF、SiOのいずれかの材料を用いて得られる誘電体膜が例示できる。さらに、凸部331の材料は、例えば、NaAlF114、NaAlF、AlF、MgF、SiOのいずれかの材料を使用できる。
なお、屈折率nは1.6以上、屈折率nはl.5以下が好ましい。また、安定した光学特性が得られる膜密度の高い誘電体膜の成膜に有利なスパッタリング法を用いる場合、高屈折率層31および低屈折率層32には、酸化物誘電体膜を用いるとよい。
以下、反射防止構造33の作製方法の一例を示す。本例では、合成石英からなる透明基板11の第2面に、屈折率nで膜厚dの第1の誘電体膜と、屈折率nで膜厚d=d+dmの第2の誘電体膜を成膜する。ここで、第1の誘電体膜はそのまま高屈折率層31となる。
次に、第2の誘電体膜の表面を、膜厚dの低屈折率層32となる誘電体膜を残すように、フォトリソグラフィとドライエッチングを行う。これにより、低屈折率層32上に、所定の周期方向に凸部331と凹部332(空気)とが交互に並ぶ深さdm(<d)の周期構造を有する周期構造層333が形成できる。すなわち、凸部331と低屈折率層32の材料は同じであって、凸部331の屈折率nsと低屈折率層32の屈折率nLとは略同一である。その際、周期構造層333の平均屈折率naveは、凸部331の分散配置により、式(3)に示すように、第2の誘電体膜の屈折率すなわち低屈折率層32の屈折率nより小さくできる。
なお、低屈折率層32と凸部331の材料は、異なってもよい。その場合、屈折率nの第1の誘電体膜と、屈折率nの第2の誘電体膜と、凸部331となる屈折率nsの第3の誘電体膜をそれぞれ厚さd、d、dmとなるよう成膜した後で、第3の誘電体膜のみを凸部331形状に加工してもよい。
また、膜厚d=d+dの第2の誘電体膜の表面を、膜厚dの低屈折率層32となる誘電体膜を残すようにして、周期構造層333を形成する方法を用いる場合、第1の実施形態と同様のエッチング調整層を設けてもよい。具体的には、本実施形態の透過型回折素子30の他の例である図8のように、周期構造層333と低屈折率層32との間に、凸部331の部材よりエッチングレートの低い膜材料からなるエッチング調整層34を備えてもよい。なお、エッチング調整層34は、周期構造層333(具体的に凸部331)の透明基板11側の界面を構成する位置に設けられていればよい。
エッチング調整層34を設ける場合、例えば、上記工程において、低屈折率層32および凸部331となる膜厚dの第2の誘電体膜に代えて、3層の膜構成からなる誘電体膜を成膜すればよい。具体的には、低屈折率層32となる膜厚dの誘電体膜と、凸部331形状に加工される膜厚dmの誘電体膜との間に、エッチング調整層34となる誘電体膜を膜厚dsp=5nm〜30nmで形成する。その結果、凸部331の深さdmの分布が安定し、反射防止性能のばらつきを低減できる。
[第4の実施形態]
本実施形態では、本発明の反射防止構造の他の適用例であるビームスプリッタ40について図9を用いて説明する。ビームスプリッタ40は、透明基板11の第1面側に設けられる誘電体多層膜からなるダイクロイックミラー42と、透明基板11の第2面側に設けられる反射防止構造43とを備える。なお、回折格子12に代えてダイクロイックミラー42を備える点が上記の各実施形態と異なる。
本実施形態でも、透明基板11の第1面および第2面がXY面に略平行であるとして説明する。以下、透明基板11の第1面の法線(Z軸方向)とX軸とを含むXY面内に光軸を有する光が入射角θxでダイクロイックミラー42に入射することを考える。なお、入射角θは、10°以下が好ましく、5°以下がより好ましく、3°以下がさらに好ましい。
ダイクロイックミラー42は、透明な高屈折率の誘電体膜と低屈折率の誘電体膜を交互に、光学膜厚が入射光の波長程度以下に積層した構造からなる。その際、例えば、可視光を反射し、近赤外光を透過する分光特性を示す多層膜の各層の膜厚が調整される。
反射防止構造43は、上記の各実施形態の反射防止構造のいずれかであればよい。なお、図9では、ビームスプリッタ40が、第1の実施形態の反射防止構造13と同じ反射防止構造43を備える例を示したが、これに限定されない。例えば、反射防止構造43の凸部431の断面形状はほぼ矩形であってもよく、また第2の実施形態の反射防止構造23や第3の実施形態の反射防止構造33と同じであってもよい。
以下、本実施形態のビームスプリッタ40の使用例を示す。本使用例では、可視反射光と近赤外透過光の各光軸の成す角度が90°となるように、入射角θx=45°とする。なお、ビームスプリッタ40の入射光は、完全な平行光ではなく、約45°を平均として、例えば、45°±5°の角度範囲を有してもよい。
ビームスプリッタ40は、ダイクロイックミラー42側より入射する光のうち、可視光をダイクロイックミラー42で反射し、近赤外光を透過する。このとき、近赤外光は、透明基板11の第2面側に備えられた反射防止構造43から入射光と同じ角度θxで出射する。反射防止構造43を備えることにより、角度範囲45°±5°で入射する近赤外光に対し、偏光状態に関わらず低反射率を実現する反射防止効果が得られる。とくに、近赤外光として可干渉性の強いレーザ光を用いる場合、第1面(ダイクロイックミラー42)の反射光と第2面(反射防止構造43)の反射光との多重干渉に起因した近赤外分光透過率変動が低減できるため、高精度の光計測に適用できる。
なお、上述した各実施形態では、反射防止構造を、周期構造層を最表面に少なくとも含む単層〜4層の構成としたが、透明基板11に異なる屈折率の誘電体膜からなる4層以上の多層膜を成膜し、その最表面に周期構造層を形成してもよい。
また、各実施形態において、反射防止構造の周期構造層の製造方法として、単一材料を、断面が矩形または台形で直線格子形状の凸部に加工する例を示したが、屈折率の異なる複数の透明材料からなる多層構造層を凸部形状に加工してもよい。この場合においても、基板面から最表面に向かう高さ方向で1周期内の平均屈折率が低下する構成が好ましい。
また、反射防止構造の周期構造層をなす凸部を、例えば、透明樹脂材料を用いて形成してもよい。透明樹脂材料を用いる場合、成膜法としてスピンコート成膜や、インプリント用の金型を用いた樹脂転写などを用いてもよい。とくに、可視光が入射する反射防止構造の場合、周期構造の形成に、ナノインプリント用金型を用いた樹脂成型加工を用いるのが有効である。
また、反射防止構造は、波長1520nm〜1620nmの斜入射光に対して機能する仕様を例示できるが、入射光の波長範囲に対応させて反射防止構造の各層の光学膜厚(屈折率×膜厚)および周期を調整すると、上記と異なる波長範囲に対しても同様の反射防止機能が得られる。例えば、所望の反射率等の光学特性が得られる波長範囲は、任意の中心波長λcに対し、0.95λc〜1.05λcが好ましく、0.97λc〜1.03λcがより好ましい。
また、各実施形態では、透明基板の第1面に備えられた回折格子やビームスプリッタと、該透明基板の第2面に設けられた反射防止構造とを有する分光素子について説明したが、本発明の反射防止構造は、対向面に回折格子等の無い透明基板上に形成されてもよく、その場合でも、斜入射光に対する低反射の反射防止構造として有効である。
実施例1.
実施例1として、図1および図2に基づく、第1の実施形態の透過型回折素子10の例を説明する。本例では、合成石英からなる透明基板11の第1面に、凸部121と凹部122(空気)の周期構造である回折格子12を形成する。回折格子12の凸部121は、所定の膜厚になるようにTa膜とSiO膜を交互に4層成膜した後、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、第1方向(X軸)に直線状に延びた周期Pg=1040nmで断面が台形形状の格子に加工する。
次に、透明基板11の第2面に、凸部131と凹部132(空気)の周期構造からなる反射防止構造13を形成する。反射防止構造13の凸部131も、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、透明基板11の合成石英(ns≒1.45)表面を直接加工する。このとき凸部131が、第1方向(X軸)に直線状に延び、かつ第2方向(Y軸)に周期Py=1000nmで並ぶ、断面が台形形状の格子に加工して、反射防止構造13を得る。ここで、Dy=ay/Py=0.43、深さdm=455nmとし、凸部131の底辺と上辺はほぼ等しい傾斜角約2°の断面形状とする。なお、本例の反射防止構造13の周期構造層133は、平均屈折率nave=1.19である。
得られた反射防止構造13の反射率の計算結果を図10A〜図10Cに示す。図10Aは、本実施例の透過型回折素子10における反射防止構造13に、波長1520nm〜1620nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率計算結果を示すグラフである。グラフ中の注釈において、例えば「45S」は、入射角45°のS偏光を意味する。図10Aに示すように、波長1520nm〜1620nmでは、入射角θ=θ=45°〜55°の光に対し、P偏光およびS偏光ともに、反射率0.3%以下が得られる。
また、図10Bは、同じ反射防止構造13に、波長1300nm〜2000nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。図10Bに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下が得られる波長範囲は、入射角θ=θ=45°では波長1430nm〜2000nm以上、入射角θ=θ=50°では波長1300nm以下〜1940nm、入射角θ=θ=55°では波長1370nm〜1800nmとなる。したがって、本実施例の反射防止構造13は、入射角θ=θ=45°〜55°および波長略1430nm〜略1800nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造13は、入射角θ=θ=45°〜55°および波長略1520nm〜略1670nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造13は、入射角θ=θ=50°および波長略1500nm〜略1760nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
また、図10Cは、同じ反射防止構造13に、波長1520nm、1570nm、1620nmの光を、入射角θ=θ=30°〜65°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。グラフ中の注釈において、例えば「1520S」は、波長1520nmのS偏光を意味する。図10Cに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下が得られる角度範囲は、波長1520nmでは入射角θ=θ=33°〜60°、波長1570nmでは入射角θ=θ=30°以下〜60°、波長1620nmでは入射角θ=θ=30°以下〜60°となる。したがって、本実施例の反射防止構造13は、入射角θ=θ=略33°〜略60°および波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造13は、入射角θ=θ=略45°〜略55°および波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造13は、入射角θ=θ=略48°〜略53°および波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
実施例2.
次に、実施例2として、第3の実施形態の透過型回折素子30の例を説明する。実施例1の反射防止構造13は、図10Cの反射率計算結果に示されるように、θ=50°以外で反射率の偏光依存性が増加傾向にあるが、このような偏光依存性は、図7に示した屈折率の異なる誘電体膜の積層構成により低減できる。また、同構成により反射率自体をさらに低減できる。
本例は、図7に示す透過型回折素子30の構成において、合成石英からなる透明基板11の第1面に回折格子12を形成する。回折格子12の構造および作製方法は、実施例1と同じである。
次に、スパッタリング法により、透明基板11の第2面に、高屈折率層31となる第1の誘電体膜として、屈折率n=2.12のTa膜を膜厚d=35nmで成膜する。さらに、その上に、低屈折率層32および凸部331となる第2の誘電体膜として、屈折率n=1.46のSiO膜を膜厚d=d+d=1000nmで成膜する。次に、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、第2の誘電体膜をYZ断面において周期Py=1000nm、幅by=740nm、第1方向(X軸)に直線状に延びた深さdm=540nmの断面が矩形状の凹部332を有する周期構造層333となるように加工する。その結果、上記の高屈折率層31上に積層された、膜厚d=d−dm=460nmのSiO膜からなる低屈折率層32上に、周期Py=1000nmで幅ay=260nmのSiOからなる凸部331が形成される。
ここで、凸部331は底辺と上辺がほぼ等しい矩形断面形状で、Dy=ay/Py=0.26、深さdm=540nmである。したがって、周期構造層333の平均屈折率naveは1.12となる。
このようにして、屈折率ngの透明基板11の上に、n(高屈折率層31)>n(低屈折率層32)>nave(周期構造層333)の屈折率関係の3層からなる反射防止構造33を得る。なお、反射防止構造33の入出射界面での屈折率関係は、na<nave<n<n、かつna<ng<nである。
得られた反射防止構造33の反射率の計算結果を図11A〜図11Cに示す。図11Aは、本実施例の透過型回折素子30における反射防止構造33に、波長1520nm〜1620nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率計算結果を示すグラフである。図11Aに示すように、波長1520nm〜1620nmでは、入射角θ=θ=45°〜55°の光に対し、P偏光およびS偏光ともに、反射率0.1%以下が得られる。
また、図11Bは、同じ反射防止構造33に、波長1300nm〜2000nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。図11Bに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下が得られる波長範囲は、入射角θ=θ=45°では波長1390nm〜2000nm以上、入射角θ=θ=50°では1300nm以下〜2000nm、入射角θ=θ=55°では波長1320nm〜1940nmとなる。したがって、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=45°〜55°および波長略1390nm〜略1940nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=45°〜55°および波長略1450nm〜略1830nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=45°〜55°および波長略1470nm〜略1760nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
また、図11Cは、同じ反射防止構造33に、波長1520nm、1570nm、1620nmの光を、入射角θ=θ=20°〜70°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。図11Cに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下の反射防止効果が得られる角度範囲は、波長1520nmでは入射角θ=θ=28°〜66°、波長1570nmでは入射角θ=θ=20°以下〜65°、波長1620nmでは入射角θ=θ=20°以下〜63°となる。したがって、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=28°〜63°および波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=略36°〜略61°および波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=略39°〜略60°および波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
実施例3.
次に、実施例3として、図3に示す第3の実施形態の透過型回折素子30の他の例を説明する。本例では、透過型回折素子30の構成において、合成石英からなる透明基板11の第1面に回折格子12を形成する。回折格子12の構造および作製方法は、実施例1と同じである。
次に、スパッタリング法により、透明基板11の第2面に、高屈折率層31となる第2の誘電体膜として屈折率n=1.65のAl膜を膜厚d=123nmで成膜し、その上に低屈折率層32となる第2の誘電体膜として屈折率n=1.46のSiO膜を膜厚d=400nmで成膜する。さらに、その上にエッチング調整層34となる第3の誘電体膜としてAl膜を膜厚dsp=10nmで成膜し、その上に、凸部331形状に加工される第4の誘電体膜として屈折率n=1.46のSiO膜を膜厚dm=510nmで成膜する。本例では、SiOよりドライエッチングレートの低いAlを用いて、かつ反射防止効果を奏する厚さのエッチング調整層34を備える。
次に、実施例2と同様に、フォトリソグラフィとドライエッチングにより、最表面のSiO膜である第4の誘電体膜を、周期Py=1000nm、幅by=730nm、第1方向(X軸)に直線状に延びた断面が矩形状の凹部332を有する周期構造層333となるように加工する。このとき、凹部332の深さは、第4の誘電体膜の成膜時の膜厚で規定される分布の深さdmを維持できる。このようにして、4層構造の反射防止構造33を得る。
ここで、凸部331は底辺と上辺がほぼ等しい矩形断面形状で、Dy=ay/Py=0.27、深さdm=510nmである。したがって、周期構造層333の平均屈折率naveは1.125となる。
得られた反射防止構造33の反射率の計算結果を図12A〜図12Cに示す。図12Aは、本実施例の透過型回折素子30における反射防止構造33に、波長1520nm〜1620nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率計算結果を示すグラフである。図12Aに示すように、波長1520nm〜1620nmでは、入射角θ=θ=45°〜55°の光に対し、P偏光およびS偏光ともに、反射率0.06%以下が得られる。すなわち、本実施例の反射防止構造33は、波長1520nm〜1620nmおよび入射角θ=θ=45°〜55°の光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.06%以下を実現できる。
また、図12Bは、同じ反射防止構造33に、波長1300nm〜2000nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。図12Bに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下の反射防止効果が得られる波長範囲は、入射角θ=θ=45°では1370nm〜2000nm以上、入射角θ=θ=50°では1300nm以下〜2000nm以上、入射角θ=θ=55°では1300nm以下〜1900nmとなる。したがって、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=45°〜55°、波長略1370nm〜略1900nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=45°〜55°、波長略1430nm〜略1790nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=45°〜55°、波長略1460nm〜略1760nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
また、図12Cは、同じ反射防止構造33に、波長1520nm、1570nm、1620nmの光を、入射角θ=θ=20°〜70°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。図12Cに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下の反射防止効果が得られる角度範囲は、波長1520nmでは入射角θ=θ=22°〜63°、波長1570nmでは入射角θ=θ=20°以下〜63°、波長1620nmでは入射角θ=θ=20°以下〜63°となる。したがって、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=略22°〜略63°、波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=略35°〜略61°、波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造33は、入射角θ=θ=略39°〜略60°、波長1520nm〜1620nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
実施例4.
次に、実施例4として、図9に基づき、第4の実施形態のビームスプリッタ40の例を説明する。本例では、合成石英からなる透明基板11の第1面にダイクロイックミラー42を形成し、第2面に反射防止構造43を形成する。
ダイクロイックミラー42は、TiOとSiOとを交互に80層積層した構成とする。図13は、本例のダイクロイックミラー42の分光透過率の計算結果を示すグラフである。グラフ中の注釈において、例えば「T40deg」は、入射角40°の透過率を意味する。ダイクロイックミラー42に用いた材料は、波長400nm〜1000nmで光吸収のない誘電体材料であるため、100%から図13に示す透過率を差し引いた値を反射率としている。図13に示すように、本例では、入射角45°±5°の光に対し、波長420nm〜650nmの可視光を90%以上反射し、波長730nm〜1000nmの近赤外光を95%以上透過する。
また、反射防止構造43としては、透明基板11の第2面に、基板と同じ合成石英からなる凸部431と、空気からなる凹部432とによる周期構造を形成する。このとき、凸部431が、第1方向(X軸)に直線状に延びた周期Py=655nmで並ぶ、断面形状がほぼ矩形の格子となるように加工する。ここで、Dy=ay/Py=0.43、深さdm=245nmとする。なお、周期構造層433の平均屈折率はnave=1.19である。
得られた反射防止構造43の反射率の計算結果を図14Aおよび図14Bに示す。図14Aは、本実施例の反射防止構造43に、波長900nm〜980nmの近赤外光を、入射角θ=45°±5°で入射したときの反射率計算結果を示すグラフである。なお、YZ面内の入射角成分であるθ=0°±5°に対しても同様の反射率となる。図14Aに示すように、波長900nm〜980nmでは、入射角θ=40°、45°、50°の光に対し、偏光状態に関わらず最大反射率0.3%以下が得られる。
また、図14Bは、同じ反射防止構造43に、波長850nm〜1150nmの光を、入射角θ=θ=40°、45°、50°で入射したときの反射率の計算結果を示すグラフである。図14Bに示すように、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下の反射防止効果が得られる波長範囲は、入射角θ=θ=40°では略850nm〜略1150nm以上、入射角θ=θ=45°では略850nm〜略1150nm、入射角θ=θ=50°では略850nm〜略1060nmとなる。なお、波長800nm〜850nm未満は、反射防止構造43による回折光の発生にともない透過率が低下するため対象外とした。したがって、本実施例の反射防止構造43は、入射角θ=θ=40°〜50°、波長略850nm〜略1060nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.8%以下を実現できる。また、本実施例の反射防止構造43は、入射角θ=θ=40°〜50°、波長略880nm〜略980nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.3%以下を実現できる。さらに、本実施例の反射防止構造43は、入射角θ=θ=40°〜50°、波長略910nm〜略960nmの光に対し、偏光状態に関わらず反射率0.2%以下を実現できる。
比較例1.
比較例1として、誘電体多層膜による反射防止膜を考える。本例では、波長1520nm〜1620nmおよび入射角θ=θ=45°〜55°の光に対し、反射防止効果が最大になる設計をする。Ta膜(n=2.12)とSiO膜(n=1.46)を交互に、波長以下の光学膜厚で積層した場合、上記波長範囲および角度範囲における最大反射率は、18層(総膜厚略4.7μm)で0.5%以上となり、24層(総膜厚略6.2μm)で0.4%程度となる。このように、上記波長範囲および角度範囲での利用を考えた場合に、誘電体多層膜では、上記の各実施例の反射防止構造の反射率と同じレベル(0.3%以下)の反射防止効果の実現が困難なだけでなく、膜厚も増大する。さらに、反射防止膜の膜厚化に起因する残留膜応力による基板変形を低減するために、合成石英基板の厚板化も必要となる。
比較例2.
比較例2として、ナノ多孔質膜を利用した反射防止膜を考える。本例では、実施例3の周期構造層333と同等の平均屈折率および膜厚になるように設計する。具体的には、面内均一な低屈折率1.125の中空シリカからなるナノ多孔質膜を膜厚510nmで形成する。なお、他の構成は、実施例3の反射防止構造33と同様とする。
得られた反射防止膜の反射率の計算結果を図15に示す。図15は、本例の反射防止膜に、波長1520nm〜1620nmの光を、入射角θ=θ=45°、50°、55°で入射したときの反射率計算結果を示すグラフである。図15に示すように、本例の反射防止膜は、波長1520nm〜1620nmおよび入射角θ=θ=45°〜55°の光に対し、反射率0.16%以下を実現できるが、実施例3の反射防止構造33と比べると、反射防止効果は劣る。
本発明は、斜入射光に対して高い反射防止性能を示しつつ、広い波長範囲および角度範囲に対して反射防止性能の変動を小さくできる。とくに、複数の波長の斜入射光を回折させる分光素子において、透明基板の分光作用を発現させる部位と対向する光入射面または光出射面に形成される反射防止構造として、好適である。
10、20、30、90 透過型回折素子
11、91 透明基板
12、92 回折格子
121、921 凸部
122、922 凹部
13、23、33、43 反射防止構造
131、231、331、431 凸部
132、232、332、432 凹部
133、233、333、433 周期構造層
14、34 エッチング調整層
31 高屈折率層
32 低屈折率層
40 ビームスプリッタ
42 ダイクロイックミラー
93 反射防止膜

Claims (17)

  1. 透明基板と、
    前記透明基板の第1面側に設けられる回折格子と、
    前記透明基板の前記第1面に対向する第2面側に設けられる反射防止構造とを備え、
    前記回折格子は、前記第1面内の第1方向に格子周期Pgを持つ回折格子であり、
    前記反射防止構造は、凸部と凹部が前記透明基板の前記第2面内の少なくとも前記第1方向と直交する第2方向に交互に配される周期構造が設けられた周期構造層を有し、
    前記周期構造層における前記凸部の前記第2方向の周期をPARyとしたとき、PARy≦1.3Pgを満足する
    ことを特徴とする透過型回折光学素子。
  2. 前記格子周期Pgは、入射光の全波長域の波長λの0.51〜1.40倍であり、
    前記周期PARyは、前記入射光の最短波長λより小さく、
    前記透明基板の前記第1面の法線方向をZ軸方向、前記第2方向をY軸方向とする3次元直交座標系において、前記第1面の法線に対するXZ面内での角度を前記第1面側から入射する光の入射角θとしたとき、θ=35°〜65°の範囲に、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下を満足する入射角θが少なくとも存在する
    請求項1に記載の透過型回折光学素子。
  3. 前記周期構造層の平均屈折率naveは、1.05〜1.35であり、前記凸部の深さdmと前記平均屈折率naveで表される光学膜厚(nave・dm)が前記入射光の中心波長λcの0.2〜0.5倍である
    請求項1または2に記載の透過型回折光学素子。
  4. 前記凸部の屈折率nsが、前記透明基板の屈折率ngと略同一である
    請求項1〜3いずれか1項に記載の透過型回折光学素子。
  5. 前記反射防止構造は、
    前記透明基板の屈折率ngよりも高い屈折率nの材料からなる高屈折率層と、
    前記高屈折率層の屈折率nよりも低い屈折率nの材料からなる低屈折率層とをさらに備え、
    前記透明基板の前記第2面上に、前記高屈折率層と、前記低屈折率層と、前記周期構造層とがこの順番で備えられている
    請求項1〜4いずれか1項に記載の透過型回折光学素子。
  6. 前記凸部の屈折率nsが、前記低屈折率層の屈折率nと略同一である
    請求項5に記載の透過型回折光学素子。
  7. 前記高屈折率層は、Si、TiO、Ta、Nb、HfO、CeO、ZrO、Si、Y、MgO、Alのいずれかの材料またはその混合材料からなる請求項5または6に記載の透過型回折素子。
  8. 前記低屈折率層は、NaAlF114、NaAlF、AlF、MgF、SiOのいずれかの材料からなる請求項5〜7いずれか1項に記載の透過型回折素子。
  9. 前記反射防止構造は、前記凸部の透明基板側界面を構成する位置に、前記凸部の材料に比べてエッチングレートが小さい材料からなるエッチング調整層をさらに備えた
    請求項1〜8いずれか1項に記載の透過型回折光学素子。
  10. 前記エッチング調整層は、3〜50nmの厚さである請求項9に記載の透過型回折素子。
  11. 前記凹部は空気からなり、
    前記凸部は、NaAlF114、NaAlF、AlF、MgF、SiOのいずれかの材料からなる請求項1〜10いずれか1項に記載の透過型回折素子。
  12. 前記反射防止構造は、前記入射光の中心波長λcに基づく波長域0.97λc〜1.03λcに対し、P偏光およびS偏光いずれも反射率が0.3%以下である請求項2〜11いずれか1項に記載の透過型回折素子。
  13. 前記反射防止構造は、前記入射光の中心波長λcに基づく波長域0.97λc〜1.03λcに対し、P偏光およびS偏光いずれも反射率が0.1%以下である請求項2〜11いずれか1項に記載の透過型回折素子。
  14. 前記3次元直交座標において、前記透明基板の前記第2面の法線に対するYZ面内での角度をθyとしたとき、前記入射光が、θy=10°以下である請求項12または13に記載の透過型回折素子。
  15. 前記周期構造層には、前記凸部と前記凹部が、前記第2方向および前記第2面内の前記第2方向とは異なる第3方向の2つの方向に交互に配される2次元の周期構造が設けられている
    請求項1〜14いずれか1項に記載の透過型回折光学素子。
  16. 前記第2方向と前記第3方向とは直交する請求項15に記載の透過型回折光学素子。
  17. 透明基板の入射側もしくは出射側の面上に設けられる反射防止構造であって、
    凸部と凹部が、前記透明基板の前記面内の少なくとも所定の一方向に交互に配される周期構造が設けられた周期構造層を備え、
    前記周期構造層における前記凸部の前記方向の周期をPARy、入射光の最短波長をλとしたとき、PARy<λを満たし、
    前記透明基板の前記面の法線方向をZ軸方向、前記方向をY軸方向とする3次元直交座標系において、前記面の法線に対するXZ面内での角度を前記入射光の入射角θとしたとき、θ=35°〜65°の範囲に、P偏光およびS偏光ともに反射率0.8%以下を満足する入射角θが少なくとも存在する
    ことを特徴とする反射防止構造。
JP2017038373A 2017-03-01 2017-03-01 透過型回折素子および反射防止構造 Withdrawn JP2018146624A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017038373A JP2018146624A (ja) 2017-03-01 2017-03-01 透過型回折素子および反射防止構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017038373A JP2018146624A (ja) 2017-03-01 2017-03-01 透過型回折素子および反射防止構造

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018146624A true JP2018146624A (ja) 2018-09-20

Family

ID=63591213

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017038373A Withdrawn JP2018146624A (ja) 2017-03-01 2017-03-01 透過型回折素子および反射防止構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018146624A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021031693A (ja) * 2019-08-19 2021-03-01 株式会社オプトラン 光学膜厚制御装置、薄膜形成装置、光学膜厚制御方法および薄膜形成方法
CN112987156A (zh) * 2021-02-09 2021-06-18 Oppo广东移动通信有限公司 光栅、光学器件及增强现实显示装置

Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002341124A (ja) * 2001-05-18 2002-11-27 Alps Electric Co Ltd 回折格子部材
JP2003004916A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Dainippon Printing Co Ltd 表示装置の窓材、その製造方法、及び表示装置
JP2004012720A (ja) * 2002-06-05 2004-01-15 Fujitsu Ltd 光フィルタ
JP2004145064A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Dainippon Printing Co Ltd 回折光学素子の製造方法、回折光学素子、光学系、及び光ピックアップ装置
JP2008102488A (ja) * 2006-09-21 2008-05-01 Nippon Sheet Glass Co Ltd 透過型回折格子、並びに、それを用いた分光素子及び分光器
WO2008102882A1 (ja) * 2007-02-23 2008-08-28 Nippon Sheet Glass Company, Limited 反射防止構造体
US20090080075A1 (en) * 2007-09-24 2009-03-26 Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. Optical filter with moth-eye grating structure
JP5077404B2 (ja) * 2003-03-13 2012-11-21 旭硝子株式会社 回折素子及び光学装置
JP2013228688A (ja) * 2012-03-26 2013-11-07 Asahi Glass Co Ltd 透過型回折素子
JP2016048296A (ja) * 2014-08-27 2016-04-07 キヤノン株式会社 反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学機器
JP2016522452A (ja) * 2013-06-19 2016-07-28 フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウFraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V. 反射防止層の製造法

Patent Citations (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002341124A (ja) * 2001-05-18 2002-11-27 Alps Electric Co Ltd 回折格子部材
JP2003004916A (ja) * 2001-06-20 2003-01-08 Dainippon Printing Co Ltd 表示装置の窓材、その製造方法、及び表示装置
JP2004012720A (ja) * 2002-06-05 2004-01-15 Fujitsu Ltd 光フィルタ
JP2004145064A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Dainippon Printing Co Ltd 回折光学素子の製造方法、回折光学素子、光学系、及び光ピックアップ装置
JP5077404B2 (ja) * 2003-03-13 2012-11-21 旭硝子株式会社 回折素子及び光学装置
JP2008102488A (ja) * 2006-09-21 2008-05-01 Nippon Sheet Glass Co Ltd 透過型回折格子、並びに、それを用いた分光素子及び分光器
WO2008102882A1 (ja) * 2007-02-23 2008-08-28 Nippon Sheet Glass Company, Limited 反射防止構造体
US20090080075A1 (en) * 2007-09-24 2009-03-26 Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. Optical filter with moth-eye grating structure
JP2013228688A (ja) * 2012-03-26 2013-11-07 Asahi Glass Co Ltd 透過型回折素子
JP2016522452A (ja) * 2013-06-19 2016-07-28 フラウンホーファー−ゲゼルシャフト ツル フェルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシュング エー ファウFraunhofer−Gesellschaft zur Foerderung der angewandten Forschung e.V. 反射防止層の製造法
JP2016048296A (ja) * 2014-08-27 2016-04-07 キヤノン株式会社 反射防止膜およびそれを有する光学素子、光学系、光学機器

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021031693A (ja) * 2019-08-19 2021-03-01 株式会社オプトラン 光学膜厚制御装置、薄膜形成装置、光学膜厚制御方法および薄膜形成方法
JP7303701B2 (ja) 2019-08-19 2023-07-05 株式会社オプトラン 光学膜厚制御装置、薄膜形成装置、光学膜厚制御方法および薄膜形成方法
CN112987156A (zh) * 2021-02-09 2021-06-18 Oppo广东移动通信有限公司 光栅、光学器件及增强现实显示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5077404B2 (ja) 回折素子及び光学装置
US7075722B2 (en) Diffractive optical element and optical system having the same
JP5280654B2 (ja) 透過型回折格子、並びに、それを用いた分光素子及び分光器
US6927915B2 (en) Diffractive optical element, and optical system and optical apparatus provided with the same
JP6007830B2 (ja) 透過型回折素子
JP2002182003A (ja) 反射防止機能素子、光学素子、光学系および光学機器
JP2005172844A (ja) ワイヤグリッド偏光子
US20040047039A1 (en) Wide angle optical device and method for making same
JP2008233528A (ja) 反射型回折格子および分光装置
JP2011138169A (ja) 透過型回折光学素子
JP5224027B2 (ja) 回折格子作製用位相マスクを用いた回折格子作製方法
JP2023508378A (ja) 位相補正付き光学装置
JP3913765B1 (ja) 偏光位相差板
JP2018146624A (ja) 透過型回折素子および反射防止構造
JP7310809B2 (ja) 回折光学素子、投影装置および計測装置
JP2018132728A (ja) 反射型回折格子、レーザ発振器およびレーザ加工機
JP4749789B2 (ja) 透過型回折光学素子
JP2019132905A (ja) 透過型回折素子、レーザ発振器及びレーザ加工機
JP2007101926A (ja) 透過型回折格子、ならびにそれを用いた分光素子および分光器
JP2005099099A (ja) 波長板
JP4178583B2 (ja) 反射防止膜
JP2017004004A (ja) 透過型回折素子
JP4139420B2 (ja) 波長フィルタ
JP4537115B2 (ja) 偏光分離プリズム
JP6940928B2 (ja) 偏光解消素子及びその製造方法、並びにそれを用いた光学機器及び液晶表示装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190807

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200708

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200714

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20200908