JP2018145124A - アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物、該アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物のエチニル基を重合させたポリアセチレン化合物およびその熱硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)下記式(I)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示し、
R2は、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示す。]。
(2)前記式(I)において、R1が水素である、(1)に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
(3)前記式(I)において、R2がフェニル基である、(1)または(2)に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
(4)(1)〜(3)のいずれかに記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物のエチニル基を重合させてなるポリアセチレン化合物。
(5)(4)に記載のポリアセチレン化合物を含む組成物の熱硬化物。
<アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物>
本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、下記式(I)で示されるものである。
なお、式(Ia)および(Ib)中のR1およびR2の定義は上記と同様である。
R1が示すアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基である。
R1が示す、置換されているアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、アセトアミドメチル基、アセトキシメチル基等が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基である。
R1が示すアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
R1が示す、置換されているアリール基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセトキシフェニル基等が挙げられ、好ましくは、トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基である。
R2が示すアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、好ましくは、メチル基、エチル基である。
R2が示す、置換されているアルキル基の具体例としては、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、アセトアミドメチル基、アセトキシメチル基等が挙げられ、好ましくは、ベンジル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、フェノキシメチル基である。
R2が示すアリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくは、フェニル基である。
R2が示す、置換されているアリール基の具体例としては、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、ジメチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトアミドフェニル基、アセトキシフェニル基等が挙げられ、好ましくは、トリル基、キシリル基、メチルナフチル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基である。
次に、本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物の製造方法について説明する。
アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物は、ベンゾオキサジン環合成反応によって得ることができる。具体的には、アセチレン含有フェノール誘導体と、アミン化合物と、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体とを反応させることにより、本発明によるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物を製造することができる。ベンゾオキサジン環合成反応に使用するアセチレン含有フェノール誘導体としては、下記化合物Cを用いることができる。本発明による製造方法において使用する典型的なアセチレン含有フェノール誘導体として、4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]ベンゼンを例示することができる。また、アミン化合物としては、R2−NH2を用いる。本発明による製造方法において使用する典型的なアミン化合物として、アニリンを例示することができる。さらに、ベンゾオキサジン環合成反応に使用するホルムアルデヒドは典型的にはホルマリンであり、ホルムアルデヒド誘導体としては、1,3,5−トリオキサン、パラホルムアルデヒド等の多量体や重合体等を例示できる。
まず、ハロゲン化フェノール(以下、化合物Aともいう)とアセチレンの片側が保護基Yで置換された化合物(以下、化合物Bともいう)との反応により、化合物Cを合成する。以後の各スキーム中において、Xは塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子を示し、Yは保護基を示す。
次いで、上記のようにして得られた化合物Cと、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体と、アミン化合物との反応により、化合物Dを合成する。以後の各スキーム中において、R2は式(I)に示した通りであり、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体は(CH2O)nと示す。
続いて、上記のようにして得られた化合物Dの保護基を脱保護して、化合物Eを得る。
まず、ハロゲン化フェノール(化合物A)とアセチレンの片側がR1で置換された化合物(以下、化合物Fともいう)との反応により、化合物Gを合成する。なお、以後の各スキーム中において、R1およびXは上述の通りである。
次いで、上記のようにして得られた化合物Gと、ホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体と、アミン化合物との反応により、化合物Hを合成する。以後の各スキーム中において、R2および(CH2O)nは上述の通りである。
本発明の別の実施態様によれば、式(I)で表されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物のエチニル基を重合した、下記式(II)で表されるポリアセチレン化合物も提供される。
本発明の別の実施態様によれば、ポリアセチレン化合物を含む組成物の熱硬化物も提供される。本発明においては、上記した式(I)で表されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物のエチニル基を重合して得られたポリアセチレン化合物において、ベンゾオキサジン環を開環重合することによって、耐熱性に優れる熱硬化物を得ることができる。すなわち、上記したポリアセチレン化合物を含む組成物を熱硬化性組成物として使用することができる。なお、開環重合の有無に関しては、IR測定による特定の特徴的吸収ピークの有無により確認することができる。
・IR;FT/IR-4100 FT-IR Spectrometer (日本分光株式会社製)
試料2mgを乳鉢を用いてKBr(IR吸収測定用)20mgと馴染ませ、その混合粉末をプレス機にかけ膜を作製した後、測定を行なった。
・1HNMR、13CNMR;JNM-ECS Series FT NMR装置 (株式会社JEOL RESONANCE、日本電子株式会社製)
・マススペクトル;DART質量分析装置(イオン化装置DART−SVP(エーエムアール株式会社製)およびマルチ質量分析システムLC-IT-TOF(島津製作所社製))
測定サンプルは、試料2mgをメタノール 1mLに溶解させた後、10倍希釈した溶液を測定した。
・ラマンスペクトル;3D顕微レーザーラマン分光装置 Nanofiber30 (東京インスツルメンツ製)
測定は、レーザー波長 748nm、レーザー強度50mWにて測定した。
モノマー(3,4−ジヒドロ−6−エチニル−2H−3−フェニル−1,3−ベンゾオキサジン(3,4-Dihydro-6-Ethynyl-2H-3-phenyl-1,3-benzoxazine))の合成
(1)4−[2−(トリメチルシリル)エチニル]ベンゼン(4-[2-(trimethylsilyl)ethynyl]benzene)(化合物1)の合成
下記に示したスキームIのようにして化合物1を得た。即ち、p−ヨードフェニル(9.90g、45.0mmol)、ヨウ化銅(I)(CuI(I))(0.358g、1.8mmol)、ビス(トリフェニルホスフェン)パラジウム(II)ジクロリド(PdCl2(PPh3)2)(0.640g、0.90mmol)を入れたフラスコを脱気アルゴン(Ar)置換した後、テトラヒドロフラン(THF)(112.5mL)、トリエチルアミン(Et3N)(7.5mL)を加え20分間攪拌した。その後、トリメチルシリルアセチレン(TMSA)(6.35mL、45.0mmol)を加え遮光下で21時間攪拌(還流)した。
反応終了後、溶媒を留去し、残渣にジエチルエーテルを加え、得られた有機層を純水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無水硫酸マグネシウムをろ過して除いた後、溶媒を留去し、褐色粘性の残渣を得た。
得られた残渣をベンゼン(20mL)に溶解させ60℃まで加熱しエチレンジアミン(4mL)を加え20分間攪拌した。沈殿物を瀘別し、取り出した濾液を0.5M 塩酸水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無水硫酸マグネシウムを瀘別した後、溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:エチルアセトン/ヘキサン=1/4)にて精製し、褐色固体として化合物1(3.47g、収率:40.5%)を得た。化合物1の同定は、1H−NMRスペクトルにて行った。なお、1H−NMRスペクトルは、テトラメチルシラン(TMS)を含まない重クロロホルムに化合物1を溶解した後に測定した。
NMRの測定の結果を図1に示す。
下記に示したスキームIIのようにして化合物2を得た。即ち、100mLナスフラスコに、上記のようにして得られた化合物1(1.90g、10mmol)、1,3,5−トリオキサン(0.595g、6.6mmol)、アニリン(0.91mL、10mmol)、トルエン(30mL)を仕込み、90℃で5時間攪拌した。
反応終了後、溶媒を留去し、残渣にジエチルエーテルを加え、得られた有機層を1.5×10−3M水酸化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無水硫酸マグネシウムを瀘別した後、溶媒を留去して褐色固体として化合物2(2.17g、収率:70%)を得た。
化合物2の同定は、1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルにて行った。なお、1H−NMRスペクトル、13C−NMRスペクトルはいずれも化合物2を重クロロホルムに溶解した後に測定した。
NMRの測定の結果を図2、3に示す。
下記に示したスキームIIIのようにして化合物3を得た。即ち、上記のようにして得られた化合物2(0.40g、1.3mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(5mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)1mol/L THF溶液(15.6ml、TBAF15.6mmol)を加え室温で1時間攪拌した。
反応終了後、ジエチルエーテルを加え、純水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。無水硫酸マグネシウムを瀘別した後、エバポレーターで溶媒を留去し、黄褐色粘性液体を得た。
得られた黄褐色粘性液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:クロロホルム)により精製し、黄白色固体として化合物3(0.20g、収率:65%)を得た。
NMRの測定の結果を図4、5に、IRスペクトルの結果を図6および以下に、マススペクトルの結果を以下に示す。
[M]+・ 235、[M+H]+ 236、
[IRスペクトル]
3269、2918、2101(C≡C)、1599、1493、1232、939、758cm-1
ポリアセチレン合成
シュレンク管に[Rh(ノルボルナジエン)Cl]2([(nbd)RhCl]2)(1.68mg,0.364×10−2mmol)を入れ、脱気アルゴン置換した後、クロロホルム(CHCl3)(2.28mL)を加え5分間攪拌した。その後、Et3N(0.005mL)を加え30℃まで加熱しクロロホルム(5.00mL)に溶解させた化合物3(85.7mg、0.364mmol)溶液を加えた。1時間攪拌後、黒みがかった褐色液体を得た。
重合条件:[化合物3]0=50mM、[化合物3]0/[Rh]=100、[Et3N]/[Rh]=10。(なお、[化合物3]0は反応開始時の反応溶液中の化合物3のモル濃度を示す。また、[化合物3]0/[Rh]、[Et3N]/[Rh]は、それぞれ反応開始時の[(nbd)RhCl]2に対する化合物3のモル比、反応開始時の[(nbd)RhCl]2に対するEt3Nのモル比を示す。)
得られた重合混合物をメタノールに投入し、沈殿した固体を濾別し、褐色固体のポリアセチレン化合物(45.0mg、収率:52.5%)を得た。ポリアセチレン化合物のサイズ排除クロマトグラフィー測定(溶離液:THF、ポリスチレン換算)の結果を図7に示す。その結果、Mn = 7,900、Mw = 22,100、Mw/Mn = 2.7であることを確認した。また、ポリアセチレン化合物のラマンスペクトルの測定結果を図8に示す。その結果、ポリアセチレンに帰属される1550cm−1のピークを確認した。
得られたポリアセチレン化合物のクロロホルム溶液をガラスプレート上にスピンコートし(1040rpm、1分間)フィルムを作製した。乾燥後、窒素下にて250℃2時間加熱することで硬化反応を実施した。上記ポリアセチレン化合物の加熱前後のIRスペクトルを図9に示す。加熱前後のIRスペクトルより、シス型ポリアセチレンのピーク(740cm−1)の残存を確認した。また、加熱後の硬化物ではベンゾオキサジン環の開環重合が進行し、ベンゾオキサジンに帰属されるピーク(1220、930cm−1)の消失を確認した。また、加熱後の硬化物のラマンスペクトルの測定結果を図8に示す。その結果、ポリアセチレンに帰属される1550cm−1のピークが残存していることを確認した。
Claims (5)
- 下記式(I)で示されるアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物:
R1は、水素、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示し、
R2は、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよいアリール基を示す。]。 - 前記式(I)において、R1が水素である、請求項1に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
- 前記式(I)において、R2がフェニル基である、請求項1または2に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のアセチレン含有ベンゾオキサジン化合物のエチニル基を重合させてなるポリアセチレン化合物。
- 請求項4に記載のポリアセチレン化合物を含む組成物の熱硬化物。
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JP2017039802A JP6906983B2 (ja) | 2017-03-02 | 2017-03-02 | アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物、該アセチレン含有ベンゾオキサジン化合物のエチニル基を重合させたポリアセチレン化合物およびその熱硬化物 |
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CN115175950A (zh) * | 2019-10-31 | 2022-10-11 | 亨斯迈先进材料美国有限责任公司 | 苯并嗪和邻苯二甲腈树脂的可固化组合物 |
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