JP2018140508A - フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】
加熱時にも膨張が抑制されることで加熱工程においてもフィルムの平面性を維持することができ、同時にダイシング用粘着フィルムなどとして使用する上で十分な柔軟性を具備する、半導体製造工程用基材として好適なフィルムを提供する。
【解決手段】
ガラス転移温度が−100℃以上0℃以下である層をA層、ガラス転移温度が0℃を超え100℃以下である層をB層としたときに、A層及びB層を有し、かつ少なくとも片面の面配向係数が0.0080以上0.0800以下であることを特徴とする、フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、フィルム、及びフィルムの製造方法に関するものである。
従来、室温でも低荷重で伸張可能な柔軟性の高いフィルム部材は、粘着テープなどの基材や成形用の転写基材、またプレス時のクッション材等、様々な製品として応用されており、用途としても回路や半導体の製造工程用や加飾用など幅広い分野に向け活用されている。
例えば、半導体を製造する工程には、半導体ウェハのパターン表面に半導体ウェハ加工用粘着テープを貼り付ける工程、半導体ウェハの裏面を研磨して厚みを薄くするバックグラインド工程、該工程で厚みを薄くした半導体ウェハをダイシングテープへマウントする工程、半導体ウェハから前記の半導体ウェハ加工用粘着テープを剥離する工程、及びダイシングにより半導体ウェハを分割する工程等、様々な工程が存在する。
近年では、電子機器の小型化に伴い半導体ウェハの薄型化が進んでおり、その強度が低下しているため、これらの製造工程中で破損しやすく歩留まりの低下が課題となっている。例えば、ダイシング工程後、ダイシング用粘着フィルムを放射状にエキスパンドして個々のチップをピックアップする工程において生じる、半導体ウェハへの負荷を緩和する柔軟性に優れた粘着フィルムが求められている。そして、粘着フィルムの柔軟性を高める方法としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂やオレフィン系エラストマー、及びスチレン系エラストマー等の柔軟性に優れた樹脂を主成分とするフィルムを、粘着フィルムの基材フィルムとして用いる方法が知られている(特許文献1)。
また、バックグラインド工程にて研磨された半導体ウェハ面にダイシング用粘着フィルムを貼り合わせ、熱剥離によりバックグラインドシートを剥離する工程が用いられることがある。その際同時に加熱されるダイシング用粘着フィルムの寸法安定性が不足すると、フィルムが変形し、しわや弛みが生じる課題があった。このような課題に対し、例えばダイシングテープ用粘着フィルムの基材として、熱収縮を制御したフィルムが提案されている(特許文献2)。
特開2011−119548号公報 特開2014−157964号公報
しかしながら、特許文献1や特許文献2に記載の粘着テープに用いられる基材は、押出法により得られる無延伸フィルムであるため、張力付与下では膨張してしまいフィルムの平面性を喪失する課題がある。また、従来、ダイシング用粘着フィルムなどの基材フィルムとして用いられる無延伸フィルムは、低荷重下では加熱時にフィルムが膨張するため半導体製造工程用途への適用は困難である。一方、二軸延伸フィルムなどの寸法安定性の高いフィルムは、加熱時の変形を軽減できるものの柔軟性が不足するため、同様に該用途への適用は困難である。このように、従来公知のフィルムでは半導体製造工程用基材に求められる耐熱性と柔軟性を両立することができず、改善が望まれていた。
本発明は、上記した従来技術の問題点を解消し、加熱工程において平面性を維持することができる程度の耐熱性、及びダイシング用粘着フィルム等として使用するのに十分な柔軟性を具備する、半導体製造工程用基材として好適なフィルムを提供することをその課題とする。
かかる課題を解決するために本発明は、以下の構成からなる。
(1) ガラス転移温度が−100℃以上0℃以下である層をA層、ガラス転移温度が0℃を超え100℃以下である層をB層としたときに、A層及びB層を有し、かつ少なくとも片面の面配向係数が0.0080以上0.0800以下であることを特徴とする、フィルム。
(2) 25℃における5%伸張時応力が、最大で1MPa以上20MPa以下であることを特徴とする、(1)に記載のフィルム。
(3) 25℃から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際の90℃における寸法変化率を90℃寸法変化率、90℃寸法変化率が最大となる方向をX方向、X方向の90℃寸法変化率をTx(%)としたときに、Txが−10%以上1%以下であることを特徴とする、(1)又は(2)に記載のフィルム。
(4) 前記X方向とフィルム面内で直交する方向をY方向、Y方向の90℃寸法変化率をTy(%)としたときに、前記Tx及びTyが下記式1を満たすことを特徴とする、(3)に記載のフィルム。
式1: 0.1≦|Tx−Ty|≦3.0
(5) 前記B層、前記A層、及び前記B層がこの順に位置することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載のフィルム。
(6) 少なくとも一方の最表面に前記B層が位置することを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のフィルム。
(7) フィルムの異なる面同士を重ね合わせて測定した静摩擦係数が0.1以上0.8以下であることを特徴とする、(1)〜(6)のいずれかに記載のフィルム。
(8) 前記A層の主成分である樹脂の融点+20℃の温度におけるメルトフローレートMFRa(g/10分)が5以上20以下であり、前記B層の主成分である樹脂の融点+20℃の温度におけるメルトフローレートMFRb(g/10分)が10以上25以下であり、かつMFRa及びMFRbが下記式2を満たすことを特徴とする、(1)〜(7)のいずれかに記載のフィルム。
式2: 0≦|MFRb−MFRa|≦5
(9) 1.04倍以上1.50倍以下の倍率で少なくとも一方向に延伸する工程を有することを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
本発明により、柔軟性と耐熱性を兼ね備えたフィルム及びその製造方法を提供することができ、本発明のフィルムは半導体製造工程用基材として好適に用いることができる。
本発明のフィルムは、ガラス転移温度が−100℃以上0℃以下である層をA層、ガラス転移温度が0℃を超え100℃以下である層をB層としたときに、A層及びB層を有し、かつ少なくとも片面の面配向係数が0.0080以上0.0800以下であることを特徴とする。
本発明のフィルムは、ガラス転移温度が−100℃以上0℃以下である層をA層、ガラス転移温度が0℃を超え100℃以下である層をB層としたときに、A層及びB層を有することが重要である。ガラス転移温度が−100℃以上0℃以下のA層を有することで、フィルムは室温下においても十分な柔軟性を有するものとなる。また、ガラス転移温度が0℃を超え100℃以下であるB層を有することで、後述する微延伸工程との組み合わせにより、本発明の目的とする柔軟性と耐熱性を実現する適切な範囲に分子の配向状態を制御することができる。ここでガラス転移温度とは、JIS K7121:2012に準拠し、示差走査熱量測定(DSC)による熱量変化の測定(DSC法)に基づき求められる温度を意味する。
柔軟性と耐熱性を両立する観点から、A層のガラス転移温度は、−90℃以上−20℃以下であることが好ましく、より好ましくは−85℃以上−40℃以下である。また、同様の観点から、B層のガラス転移温度は、20℃以上90℃以下であることが好ましく、より好ましくは30℃以上85℃以下である。
A層及びB層に用いる樹脂は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、フッ素樹脂、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリウレタン及び環状オレフィン系樹脂等を単独で又は複数組み合わせて使用することができる。中でも、フィルムの取り扱い性や寸法安定性、製造時の経済性の観点から、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステルが好ましく用いられる。
本発明においてポリエステルとは、主鎖中の主要な結合をエステル結合とする高分子の総称である。通常、ポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリコール成分を重縮合反応させることによって得ることができる。
ポリエステルを得るためのジカルボン酸成分は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、マレイン酸、フマル酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、パラオキシ安息香酸などのオキシカルボン酸等の各成分を用いることができる。また、ジカルボン酸成分はジカルボン酸エステル誘導体成分であってもよく、上記ジカルボン酸化合物のエステル化物、例えばテレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、テレフタル酸2−ヒドロキシエチルメチルエステル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、ダイマー酸ジメチルなどの各成分を用いることもできる。
また、ポリエステルを得るためのグリコール成分は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールなどの脂肪族ジヒドロキシ化合物、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコールなどの脂環族ジヒドロキシ化合物、ビスフェノールA、ビスフェノールSなどの芳香族ジヒドロキシ化合物など各成分を用いることができる。中でも、柔軟性と耐熱性の両立、及び取り扱い性の点で、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及びポリテトラメチレングリコールの各成分を用いることが好ましい。
これらのジカルボン酸成分、グリコール成分は、本発明の効果を損なわない限り2種以上を併用してもよい。
A層のガラス転移温度を、−100℃以上0℃以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されないが、A層を構成する樹脂としてガラス転移温度が−100℃以上0℃以下又は上記の好ましい範囲にあるものを使用する方法が挙げられる。A層のガラス転移温度は、A層を構成する樹脂をガラス転移温度の高いものとすることや、A層を構成する樹脂全体に占めるガラス転移温度の高い樹脂の比率を挙げることにより、高くすることができる。B層のガラス転移温度を、0℃を超え100℃以下又は上記の好ましい範囲とする方法についても同様である。具体的には、A層を、ガラス転移温度が−90℃以上−20℃以下の樹脂を主成分とする層とし、B層を、ガラス転移温度が20℃以上90℃以下の樹脂を主成分とする層とする方法を好ましく用いることができる。ここでいう主成分とは、層を構成する樹脂成分の全体を100質量%としたときに、50質量%以上を占める成分を意味する。以下、主成分について同様に解釈することができる。
本発明のフィルムは、少なくとも片面の面配向係数が0.0080以上0.0800以下であることが重要である。ここでいう面配向係数(fn)とは、以下の方法により測定した面配向係数をいう。先ず、フィルム面に平行な任意の方向をα、これにフィルム面内で直交する方向をβ、α及びβと直交する方向(厚み方向)をγとし、各方向の屈折率(nα、nβ、nγ)をアッベ屈折率計で測定する。得られた各値を用いて、下記式3によりフィルム面上の2方向がα、βであるときの面配向係数(fn)を求める。
式3:fn=(nα+nβ)/2−nγ
次いで、γは固定してα、βをそれぞれフィルム面との平行性を維持しつつ右回りに5°ずつ回転させてnα5、nβ5とし、各方向の屈折率(nα5、nβ5、nγ)をアッベ屈折率計で測定し、上記式3のnαをnα5、nβをnβ5それぞれ置き換えて、フィルム面上の2方向がα5、β5であるときの面配向係数(fn)を求める。以下、同様にフィルム面上の2方向がα85、β85となるまで同様の測定を繰り返す。得られたfn〜fn85までの18回分の測定値の平均値が面配向係数(fn)となる。
面配向係数が0.0080未満、即ち無配向に近い又はそれに近い状態のフィルムの場合は、柔軟性は十分であるが、耐熱性に劣ることがある。一方、面配向係数が0.0800を超えると、耐熱性に優れる一方で、柔軟性が不十分となることがある。フィルムの柔軟性と耐熱性を両立する観点から、本発明のフィルムは、少なくとも片面の面配向係数が0.0200以上0.0600以下であることが好ましく、0.0250以上0.0400以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムの少なくとも片面の面配向係数を0.0080以上0.0800以下又は上記の好ましい範囲とする方法は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、例えば、フィルムをA層及びB層を有し、かつ少なくとも一軸方向に1.05倍以上1.50倍以下の倍率で微延伸したものとする方法が挙げられる。このような、通常用いられない低倍率にて延伸を行うことにより、B層を構成する樹脂の分子をフィルムの柔軟性を損なわない範囲にて配向せしめ、加熱時の膨張を軽減することが可能となる。また、上記延伸条件の範囲においては、A層に用いられる低いガラス転移温度の分子について、延伸時の配向形成と熱緩和の平衡が後者に偏ることから、過度な配向形成を抑制でき、フィルムの柔軟性低下を軽減することができる。上記観点から、二軸以上の方向に延伸する場合は、各方向の延伸倍率を掛け合わせた面積延伸倍率が1.08倍以上1.40倍以下であることが好ましく、1.10倍以上1.30倍以下であることがより好ましい。
本発明のフィルムは、耐熱性向上と半導体製造工程におけるチップ損傷軽減の観点から、25℃における5%伸張時応力が、最大で1MPa以上20MPa以下であることが好ましい。25℃における5%伸張時応力が1MPa未満であると、半導体ウェハの質により加熱時にフィルムが変形することがあり、20MPaより大きい場合にはチップをピックアップする際の負荷が大きくチップを損傷してしまうことがある。上記観点から、25℃における5%伸張時応力は、1.5MPa以上15MPa以下であるとより好ましく、2MPa以上10MPa以下であるとさらに好ましい。25℃における5%伸張時応力を上記範囲とする方法は特に限定されないが、例えば前記A層に対するB層の厚み比率を0.25以下とする方法などが挙げられる。
「25℃における5%伸張時応力」とは、JIS K 7127(1999、試験片タイプ2)に準じて測定した25℃における5%伸張時応力をいう。また、「25℃における5%伸張時応力が、最大で1MPa以上20MPa以下である」とは、フィルム面に平行な任意の方向を0°方向、0°の方向からフィルム面と平行に右回りに90°回転させた方向を90°方向としたときに、0°方向から90°方向までの範囲において、5°間隔でJIS K 7127(1999、試験片タイプ2)に準じて25℃における5%伸張時応力を測定し、得られた19回分の測定値の最大値が1MPa以上20MPa以下であることを意味する。
本発明のフィルムは、25℃から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際の90℃における寸法変化率を90℃寸法変化率、90℃寸法変化率が最大となる方向をX方向、X方向の90℃寸法変化率をTx(%)としたときに、Txが−10%以上1%以下であることが好ましい。Txを上記範囲とすることで、半導体ウェハを積層した状態で加熱した際の変形を軽減することが可能である。Txが−10%未満であると、フィルムの収縮によりしわが発生する場合があり、また、Txが1%より大きいと、フィルムの膨張により半導体ウェハの固定位置が変動し、後工程にて不具合が生じることがある。上記観点から、Txは−8%以上0%以下であるとより好ましく、−6%以上−1%以下であるとさらに好ましい。
「90℃寸法変化率」とは、温度25℃、相対湿度65%に24時間静置させた、15mm(測定方向)×4mm(測定方向に直交する方向)のフィルムを、25℃から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温させ、90℃時点で120g/mmの加重をかけて測定した寸法変化率をいう。90℃寸法変化率の測定に用いる装置は、本発明の効果を損なわない限り特に制限されず、例えば、TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)等を用いることができる。X方向は、フィルム面と平行な任意の方向における90℃寸法変化率を測定し、以後フィルム面と平行に右回りに5°ずつ回転させて最初に選定した方向との角度が90°に達するまで同様に90℃寸法変化率を測定したときに、最も90℃寸法変化率の値が大きい方向とする。そして、そのときの90℃寸法変化率の値をTx(%)とする。
本発明のフィルムは、耐熱性を向上させ、かつ半導体ウェハの重量による変形を軽減する観点から、X方向とフィルム面内で直交する方向をY方向、Y方向の90℃寸法変化率をTy(%)としたときに、Tx及びTyが下記式1を満たすことが好ましい。
式1: 0.1≦|Tx−Ty|≦3.0
|Tx−Ty|は面内における90℃寸法変化率の方向によるばらつきを意味し、これが0.1以上3.0以下であることにより、加熱時のフィルムの平面性をさらに良好とすることができる。すなわち、フィルム面内において過度でない範囲で不均一な変形とすることで、寸法変化によるフィルムの平面性維持の効果が現れやすくなる。|Tx−Ty|が3.0より大きいと、加熱時のフィルムの変形が方向により過度に不均一となることから、しわや弛みが発現しやすいことがある。また、|Tx−Ty|が0.1より小さく面内における変形がほぼ方向によらない場合には、固定サンプルの中央付近にて張力が低下する場合があり、半導体ウェハの重量により変形することがある。上記観点から、|Tx−Ty|はより好ましくは0.5以上2.5以下であり、さらに好ましくは0.8以上2.2以下である。|Tx−Ty|を上記範囲とする方法として、前記の層構成とした共押し出しフィルムを二軸延伸する方法などが挙げられる。より具体的には、二軸に延伸した際の各方向における延伸倍率の差を小さくすることにより、|Tx−Ty|の値を小さくすることができる。
本発明のフィルムは、傷等の発生を軽減する観点から、B層、A層、及びB層がこの順に位置することが好ましい(以下B/A/B構成のように表記する)。ガラス転移温度の低いA層の両面側にガラス転移温度の高いB層が位置することで、ロール搬送時や枚葉取り扱い時の傷つきや打痕を抑制することができる。B層、A層、及びB層がこの順に位置するとは、各B層の外側やA層とB層との間に別の層が存在するか否かを問わず、B層、A層、及びB層がこの順に位置している状態を意味する。このような態様の具体例としては、2つのB層と1つのA層のみからなるB/A/B構成の他、B層とA層の間にA層、B層のいずれにも該当しない層(以下、C層ということがある。)が位置するB/C/A/B構成やB/C/A/C/B構成、最外層としてC層が位置するC/B/A/B構成やC/B/A/B/C構成、複数のB層と複数のA層からなるB/A/B/A/B構成やB/A/B/A構成等が挙げられる。中でも、傷等の発生を軽減する観点から、本発明のフィルムは、少なくとも一方の最表面にB層が位置することがより好ましく、両側の最表面に位置することがさらに好ましく、B/A/B構成からなることが特に好ましい。なお、A層及び/又はB層を複数有する態様における各A層、各B層の組成は、本発明の効果を損なわない限り同一であっても異なっていてもよい。
本発明のフィルムは、製造時の取り扱いや延伸精度向上の観点から、フィルムの異なる面同士を重ね合わせて測定した静摩擦係数が0.1以上0.8以下であることが好ましい。ここで静摩擦係数とは、JIS K 7125(1999)に準じて、2枚のフィルムを逆側面同士が重なるように配置し、摩擦させて測定した静摩擦係数をいう。フィルムの異なる面同士を重ね合わせて測定した静摩擦係数を上記範囲とすることにより、製造時の取り扱いが良好になるとともに、ロールにて延伸する際の延伸精度を向上させることが可能である。本発明のフィルムの製造工程においては、前述のとおり延伸倍率を低い領域で適切に制御することが求められる。静摩擦係数が0.8を超えると、特にロールとの摩擦が過剰となる場合には延伸倍率が設計よりも高くなることや、斑が生じることがある。静摩擦係数が0.1未満であると、ロールの巻ズレが生じやすく、生産性が低下することがある。上記観点から、フィルムの異なる面同士を重ね合わせて測定した静摩擦係数が0.2以上0.7以下であることがより好ましく、0.3以上0.6以下であることがさらに好ましい。
静摩擦係数を上記好ましい範囲にする方法としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、少なくとも片側の最表層に平均粒径が1μm以上10μm以下の無機粒子及び/又は有機粒子を含有せしめる方法等が挙げられる。より具体的には、これらの粒子の含有量を増やすことにより、静摩擦係数を下げることができる。なお、ここでいう平均粒径とは、体積平均粒子径のことである。
粒子としては、例えば、湿式及び/又は乾式シリカ、コロイダルシリカ、珪酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレー、ヒドロキシアパタイト等の無機粒子、スチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、エステル、ジビニルベンゼン等を重合したものを構成成分とする有機粒子等を使用することができる。中でも、湿式及び/又は乾式シリカ、アルミナ等の無機粒子、スチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、エステル、ジビニルベンゼン等を重合したものを構成成分とする有機粒子等が好ましく使用される。粒子として、内部粒子、無機粒子、有機粒子をそれぞれ2種以上、又は、内部粒子、無機粒子、有機粒子を組み合わせて2種以上併用してもよい。
また、粒子の含有量は、フィルムの最表層を構成する樹脂組成物全体に対して、0.01〜5質量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは0.03〜3質量%である。0.01質量%未満の場合、フィルム巻き取りが難しくなる可能性があり、5質量%を超えると粗大突起による光沢度の低下、透明性及び製膜性の悪化などを引き起こす可能性が生じる。
本発明のフィルムは、フローマーク発生の軽減及び層間密着性向上の観点から、A層の主成分である樹脂の融点+20℃の温度におけるメルトフローレートMFRa(g/10分)が5以上20以下であり、B層の主成分である樹脂の融点+20℃の温度におけるメルトフローレートMFRb(g/10分)が10以上20以下であり、かつMFR及びMFRbが下記式2を満たすことが好ましい。
式2: 0≦|MFRb−MFRa|≦5
樹脂のメルトフローレートは、ASTM D 1238(1998)に従って、融点+20℃、5.0kgfの条件下で測定することができる。
本発明のフィルムは諸特性の大幅に異なるA層及びB層を有するため、共押し出し法等により両層を積層する際に、フローマークや積層剥離などの不具合が生じることがある。この観点から、両層に用いる樹脂はその粘度特性を十分に考慮した上で選択する必要がある。本発明者らが鋭意検討した結果、両層の主成分となる樹脂のメルトフローレート(MFRa、MFRb)を上記特定の範囲とし、かつ|MFRb−MFRa|を0以上5以下とすることにより、フローマーク発生が軽減され、層間密着性が向上することを見出した。上記観点から、MFRaはより好ましくは7以上18以下であり、さらに好ましくは9以上15以下である。MFRbはより好ましくは12以上18以下であり、さらに好ましくは13以上16以下である。また、|MFRb−MFRa|は0以上3以下であるとより好ましく、0以上1以下であるとさらに好ましい。
次に、本発明のフィルムの製造方法について説明する。本発明のフィルムの製造方法は、1.04倍以上1.50倍以下の倍率で少なくとも一方向に延伸する工程を有することを特徴とする。このような態様とすることにより、加熱時の寸法安定性が向上する。上記観点から、1.08倍以上1.40倍以下の倍率で少なくとも一方向に延伸する工程を有することが好ましく、1.10倍以上1.30倍以下の倍率で少なくとも一方向に延伸する工程を有することがより好ましい。また、本発明のフィルムの製造方法においては、本発明の効果を損なわない限り、フィルムを二軸延伸してもよい。
以下、本発明のフィルムの製造方法について、具体的な例について記載するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
A層に用いるポリエステルAと、B層に用いるポリエステルBをそれぞれ別々のベント式二軸押出機に供給し溶融押出する。この際、押出機内を流通窒素雰囲気下で、酸素濃度を0.7体積%以下とし、樹脂温度は樹脂の融点よりも+20〜30℃に制御することが好ましい。各層に複数の異なる樹脂を添加せしめる場合、最も融点の高い樹脂の値を基準とし樹脂温度を制御することが好ましい。次いで、フィルターやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧をかけた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移温度〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、キャスティングフィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加法が好ましく使用される。
本発明のフィルムの製造方法においては、加熱時の寸法安定性を付与する目的から、1.05倍以上1.50倍以下の倍率で少なくとも一軸方向に延伸する。一軸方向に延伸する場合の延伸倍率は、好ましくは、1.08倍以上1.40倍以下であり、より好ましくは1.10倍以上1.30倍以下である。また、フィルムを二軸方向に延伸する場合は、面積倍率を上記範囲とすることが好ましい態様である。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。延伸は室温以上の任意の温度にて行うことが可能であるが、20℃以上130℃以下が好ましく、延伸前に1秒以上予熱することが好ましい。また、延伸は、キャスティングフィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法、又は、フィルムの長手方向及び幅方向にほぼ同時に延伸する同時二軸延伸法、および長手方向又は幅方向にのみ延伸を行う一軸延伸法などにより行うことができる。ここで、長手方向とはフィルムの走行方向をいい、幅方向とはフィルム面に平行かつ長手方向に直交する方向をいう。
さらに、延伸の後にフィルムの熱処理を行ってもよい。熱処理はオーブン中、加熱したロール上など従来公知の任意の方法により行うことができる。この熱処理は90℃以上B層のポリエステルの融点以下の温度で行うことが好ましく、より好ましくは120℃以上B層のポリエステルの融点−30℃以下である。ここで好ましい熱処理温度とは、延伸後に行う熱処理温度の中で、最も高温となる温度を示す。また、熱処理時間は特性を悪化させない範囲において任意とすることができ、好ましくは5秒以上60秒以下、より好ましくは10秒以上40秒以下、さらに好ましくは15秒以上30秒以下である。
熱固定がなされたフィルムはオーブンの外に排出され、冷却された後に、中間製品ロールとして巻き取られる。さらに、中間製品ロールよりフィルムを巻き出し、所望の幅となるように長手方向と平行に切断して巻き取り最終製品ロールを得ることができる。なお、一本の中間製品ロールから得る最終製品ロールは、一本であっても複数本であってもよい。
本発明のフィルムは、特定のガラス転移温度を有する層からなり、かつフィルムを構成する分子の配向状態を制御されている。そのため、本発明のフィルムは柔軟性と耐熱性を兼ね備えたものとなり、半導体製造工程用基材等として好適に用いることができる。
(1)各層のガラス転移温度
示差熱量分析(DSC)を用い、JIS−K−7121(2012)に従って、窒素雰囲気下、−120℃で5分間保持後、250℃まで20℃/分の速度で測定サンプルを昇温させ、その測定結果から下記式4により算出した。
式4: ガラス転移温度=(補外ガラス転移開始温度+補外ガラス転移終了温度)/2
装置:セイコー電子工業(株)製”ロボットDSC−RDC220”
データ解析システム:”ディスクセッションSSC/5200”
サンプル質量:5mg
なお、各層において複数のガラス転移温度が確認された場合には、次の方法にて得られた値をその層のガラス転移温度として採用した。先ず、フィルムのガラス転移温度を上記方法にて測定し、得られた測定値を温度の低い順にTg1、Tg2・・・Tgnとした。次いで、JIS−K7244(1999)に従って、セイコーインスツルメンツ社製の動的粘弾性測定装置“DMS6100”を用いてフィルムの温度ごとのtanδを求め、極大値を与える温度を低い順にTg1、Tg2・・・Tgnに対応させた。Tg1、Tg2・・・Tgnのうち、各層に対応する値を分離した際に、最もtanδの値が大きい温度をその層のガラス転移温度として採用した。また、動的粘弾性測定の測定条件は、引張モード、駆動周波数は1Hz、チャック間距離は5mm、昇温速度は2℃/minとした。
(2)面配向係数
偏光子を備えたアタゴ(株)製アッベ屈折率計4Tを用いてフィルム各方向の屈折率を測定し、次式で面配向係数を求めた。光源はハロゲンランプ、上部プリズムは屈折率1.740のもの、浸液はヨウ化メチレン(屈折率1.740)を用いた。また、測定は23℃、65RH%環境下で24時間、調温調湿したサンプルを用いて、該環境下にてフィルム両面に対して実施した。測定は、先ず、フィルム面に平行な任意の方向をα、これにフィルム面内で直交する方向をβ、α及びβと直交する方向(厚み方向)をγとし、各方向の屈折率(nα、nβ、nγ)をアッベ屈折率計で測定した。得られた各値を用いて、下記式3によりフィルム面上の2方向がα、βであるときの面配向係数(fn)を求めた。
式3:fn=(nα+nβ)/2−nγ
次いで、γは固定してα、βをそれぞれフィルム面との平行性を維持しつつ右回りに5°ずつ回転させてnα5、nβ5とし、各方向の屈折率(nα5、nβ5、nγ)をアッベ屈折率計で測定し、上記式3のnαをnα5、nβをnβ5それぞれ置き換えて、フィルム面上の2方向がα5、β5であるときの面配向係数(fn)を求めた。以下、同様にフィルム面上の2方向がα85、β85となるまで同様の測定を繰り返した。得られたfn〜fn85までの18回分の測定値の平均値を面配向係数(fn)とした。
(3)25℃における5%伸長時応力
JIS K 7127(1999、試験片タイプ2)に準じて、(株)オリエンテック社製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RHにて測定した。先ず、任意の方向に対して長さ150mm、幅:10mmのサイズに切り出したサンプルを、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、5%伸張時応力(単位:MPa)を求めた。なお、サンプル一つにつき同様の測定を5回行い、平均値を算出した。さらに、方向を右回りに5°ずつ変えて同様に測定し、0°から85°までの各方向における値の最大値を、25℃における5%伸長時応力とした。
(4)寸法変化率Tx,Ty
温度25℃、相対湿度65%に24時間静置させた、15mm(測定方向)×4mm(測定方向に直交する方向)のフィルムを、TMA/SS6000(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、昇温速度10℃/分で25℃から160℃まで昇温させ、90℃における寸法変化率を求めた。測定時の加重は120g/mmとした。
なお、測定方向は任意に選定し、選定した測定方向について5回の測定を行い、得られた測定値の平均値を該方向における寸法変化率(%)とした。さらに測定方向を右回りに5°回転させ、同様に回転角度が90°に達するまでの各方向における寸法変化率(%)の値を求めた。得られた値の最大値をTx(%)、Tx(%)が得られた方向をX方向と定義した。さらに、X方向に面内で直交する方向をY方向と定義し、Y方向における寸法変化率も同様に測定し、得られた値をTy(%)とした。
(5)層構成の特定
(1)にて測定したフィルム各層のガラス転移温度より、A層、B層、及びそれ以外の層を特定した。
(6)静摩擦係数
東レ式スリップテスター200G−15C(MAKINO SEISAKUSHO製)を用いて、JIS K 7125(1999)に準じて、2枚のフィルムを、一方の面とその反対側の面が接触するように配置し、摩擦させたときの値を3回測定し、その平均値を静摩擦係数とした。
(7)メルトフローレート(MFR)
先ず、示差走査熱量計(セイコー電子工業製、RDC220)を用いて、5mgの樹脂チップ試料を20℃/分で25℃から300℃まで昇温させ、吸熱ピーク温度を測定した。得られた値を該樹脂の融点とした。次いで、融点を測定した樹脂チップについて、ASTM D 1238(1998)に従って、融点+20℃、5.0kgfの条件下でメルトフローレート測定した(単位:g/10分)。
(8)柔軟性
任意に切り出した300mm×300mmの正方形のフィルムに、一組の辺と平行に30mm間隔で9本の直線を引き、さらにもう一組の辺と平行に30mm間隔で9本の直線を引き、測定サンプルとした。同時二軸延伸装置を用いて、得られた測定サンプルを、一組の辺と平行な方向及びもう一組の辺と平行な方向に下記条件で延伸を行い、直線の間隔より以下の基準で評価した。なお、直線の間隔は、各方向とも両端の2本の直線を除いた7本の直線により形成される6個の間隔(2方向で合計12個の間隔)を測定し、36mmから最も離れた値を測定値として採用した。柔軟性はA以上を合格とした。
<延伸条件>
・延伸装置:BRUCKNER製 KARO IV ラボストレッチャー
・延伸温度:25℃
・延伸速度:10mm/分
・延伸倍率:1.20倍
<評価基準>
S:延伸後のフィルムにおける直線の間隔が36±1mmであった。
A:Sに該当せず、かつ延伸後のフィルムにおける直線の間隔が36±3mmであった。
B:S及びAに該当せず、延伸後のフィルムにおける直線の間隔が36±6mmであった。
(9)寸法安定性
任意に切り出した200mm×200mmの正方形のフィルムを、日東電工社製両面テープNo.500ABでステンレス製の金枠(外側:200mm×200mm、内側:180mm×180mm)に貼り付け、測定サンプルとした。次いで、90℃に加熱したホットプレート上に、金枠に貼り付けたフィルムが加熱面に接するように測定サンプルを静置し、240分間放置した際のフィルムの状態を目視により観察し、得られた結果より下記基準にて評価した。寸法安定性は、S、A1、及びA2を合格とした。
S:収縮、膨張ともに認められず平面性を維持していた。
A1:わずかに収縮が認められたが、平面性を維持していた。
A2:わずかに膨張が認められたが、平面性を維持していた。
B:収縮もしくは膨張により、平面性が失われていた。
(樹脂)
フィルムの製造に用いた樹脂は以下のとおりである。
(ポリエステルA)
テレフタル酸及びエチレングリコールから、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、固有粘度0.65のポリエステルA(MFR:15g/10分)を得た。
(ポリエステルB)
ポリエステルA中に数平均粒子径4.5μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度10質量%で含有した固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレート粒子マスター(MFR:15g/10分)。
(ポリエステルC)
東レ−デュポン社製“ハイトレル”(登録商標)3001(MFR:10g/10分)
(ポリエステルD)
東レ社製“トレコン”(登録商標)1200S(MFR:18g/10分)
(ポリエステルE)
東レ−デュポン社製“ハイトレル”(登録商標)7247(MFR:15g/10分)
(ポリエステルF)
東レ−デュポン社製“ハイトレル”(登録商標)5557(MFR:17g/10分)
(ポリオレフィンA)
日本ポリプロ社製“ノバテック”(登録商標)PP MA3U(MFR:11g/10分)
(ポリオレフィンB)
デュポンダウ社製“エンゲージ”(登録商標)EG8200(MFR:5g/10分)
(実施例1)
表1に示す組成に調整したA層を得るための原料、及びB層を得るための原料を、それぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々の単軸押出機に供給した。A層を得るための原料を供給した押出機のシリンダー温度を200℃、B層を得るための原料を供給した押出機のシリンダー温度を270℃として、各原料を溶融した後に合流させ、温度を270℃とした短管及び口金を経てTダイへ送り、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させてキャスティングフィルムを得た。次いで、同時二軸延伸装置にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で長手方向、及び幅方向ともに倍率1.1倍で延伸し、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表1に示す。
(実施例2〜6、9〜14、16、17)
フィルム構成、押出条件、及び延伸条件を表1〜3に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表1〜3に示す。なお、実施例9、10で得られたフィルムには、いずれも軽微なフローマークが確認された。
(実施例7)
実施例1と同様にしてキャスティングフィルムを得た。次いで、テンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に1.21倍延伸し、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表2に示す。
(実施例8)
延伸条件を表2に示すとおりとした以外は実施例7と同様にして、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表2に示す。
(実施例15)
実施例1と同様にしてキャスティングフィルムを得た。次いで、同時二軸延伸装置にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で長手方向、及び幅方向ともに倍率1.1倍で延伸した後、150℃に加熱したゾーンにて20秒間熱処理を行い、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表3に示す。
(実施例18)
実施例1と同様にしてキャスティングフィルムを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度90℃で長手方向に1.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、テンター式横延伸機にて予熱温度80℃、延伸温度90℃で幅方向に1.1倍延伸し、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表3に示す。
(実施例19)
フィルム構成を表4に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、総厚みが180μmであり、A層/B層/A層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表4に示す。得られたフィルムの表面には、打痕やキズが散見された。
(実施例20)
フィルム構成を表4に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、総厚みが180μmであり、A層/B層の2層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表4に示す。得られたフィルムの表面には、打痕やキズが散見された。
(比較例1)
フィルム構成、押出条件を表5に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、総厚みが180μmであり、A層のみからなる単層構成のフィルムを得た。各特性の評価結果を表5に示す。
(比較例2〜6)
フィルム構成、押出条件、及び延伸条件を表5に示すとおりとした以外は実施例1と同様にして、総厚みが180μmであり、B層/A層/B層の3層構成を有するフィルムを得た。各特性の評価結果を表5に示す。なお、比較例4の延伸方式「−」とは、延伸自体を行わなかったことを意味する。
Figure 2018140508
フィルム構成における樹脂組成は、各層を構成する樹脂成分の全体を100質量%として算出した。延伸方式が同時二軸である場合の延伸倍率は面積倍率であり、幅方向及び長手方向の延伸倍率は等しい。D面とはフィルム製膜時にキャストドラムに接していた面をいい、ND面とはD面と反対側の面をいう。以上、表2〜5においても同様である。
Figure 2018140508
実施例7、8における延伸方向はいずれも幅方向である。
Figure 2018140508
延伸方式が逐次二軸である場合の延伸倍率は面積倍率であり、幅方向及び長手方向の延伸倍率は等しい。
Figure 2018140508
Figure 2018140508
本発明により、柔軟性と耐熱性を兼ね備えたフィルム及びその製造方法を提供することができ、本発明のフィルムは半導体製造工程用基材として好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. ガラス転移温度が−100℃以上0℃以下である層をA層、ガラス転移温度が0℃を超え100℃以下である層をB層としたときに、A層及びB層を有し、かつ少なくとも片面の面配向係数が0.0080以上0.0800以下であることを特徴とする、フィルム。
  2. 25℃における5%伸張時応力が、最大で1MPa以上20MPa以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフィルム。
  3. 25℃から160℃まで昇温速度10℃/分で昇温した際の90℃における寸法変化率を90℃寸法変化率、90℃寸法変化率が最大となる方向をX方向、X方向の90℃寸法変化率をTx(%)としたときに、Txが−10%以上1%以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルム。
  4. 前記X方向とフィルム面内で直交する方向をY方向、Y方向の90℃寸法変化率をTy(%)としたときに、前記Tx及びTyが下記式1を満たすことを特徴とする、請求項3に記載のフィルム。
    式1: 0.1≦|Tx−Ty|≦3.0
  5. 前記B層、前記A層、及び前記B層がこの順に位置することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
  6. 少なくとも一方の最表面に前記B層が位置することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
  7. フィルムの異なる面同士を重ね合わせて測定した静摩擦係数が0.1以上0.8以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
  8. 前記A層の主成分である樹脂の融点+20℃の温度におけるメルトフローレートMFRa(g/10分)が5以上20以下であり、前記B層の主成分である樹脂の融点+20℃の温度におけるメルトフローレートMFRb(g/10分)が10以上25以下であり、かつMFRa及びMFRbが下記式2を満たすことを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。
    式2: 0≦|MFRb−MFRa|≦5
  9. 1.04倍以上1.50倍以下の倍率で少なくとも一方向に延伸する工程を有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
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