JP2020049622A - 保持パッド及びその搬送又は保管方法 - Google Patents

保持パッド及びその搬送又は保管方法 Download PDF

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Abstract

【課題】捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に傷が生じることを十分に抑制することが可能な保持パッドを提供する。【解決手段】被研磨物を保持するための保持面Pを有する樹脂シート112と、樹脂シートの保持面とは反対側に少なくとも一部の露出面を有する離型シート118とを備える保持パッドであり、JIS K7171:2016に準拠して測定される保持パッドの曲げ弾性率(MPa)と、JIS K7125:1999に準拠して測定される樹脂シートが有する保持面に対する離型シートが有する露出面の静摩擦係数とが特定の条件を満たす、保持パッド。【選択図】図1

Description

本発明は、保持パッド及びその搬送又は保管方法に関する。
従来、半導体デバイス、電子部品等の材料、特に、Si基板(シリコンウェハ)、GaAs(ガリウム砒素)基板、ガラスやLCD(液晶ディスプレイ)用基板等の薄型基板(被研磨物)の表面(加工面)では、平坦性が求められるため、研磨パッドをスラリーと共に用いる化学機械研磨加工が行われている。このような研磨加工、中でも片面研磨加工においては、被研磨物を保持するための保持パッドが使用されることがある。
ここで、大型の被研磨物に対応した大型の保持パッドは、搬送又は保管時に、作業性の向上や梱包サイズの縮小を目的として、積層又は捲回されることが多い。大型の保持パッドとしては、例えば、特許文献1には、大型のガラス基板等の大型の被研磨物の研磨を精度良く行うことができ且つ取り扱い性に優れた大型の研磨材固定用両面粘着テープ及びその製造方法を提供することを目的として、基材フィルムの両面に粘着剤層が積層一体化されてなる研磨材固定用両面粘着テープであって、上記基材フィルムは単一フィルムからなると共に、上記粘着剤層は、2以上の小幅粘着剤層部が上記基材フィルム上に並列することによって構成され、上記小幅粘着剤層部における対向する端面間の継ぎ目による隙間が形成されており、上記基材フィルムの一面に積層一体化されている上記粘着剤層の小幅粘着剤層部間に形成された隙間と、上記基材フィルムの他面に積層一体化されている上記粘着剤層の小幅粘着剤層部間に形成された隙間とが上記基材フィルムの厚み方向に重複していないことを特徴とする研磨材固定用両面粘着テープが開示されている。
特許第5640076号公報
ここで、被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートは、一般に軟質性の樹脂からなるため、外力を受けたときやその自重によって変形が生じやすい。特に、保持パッドを保管したり搬送したりする際に保持パッドをその保持面を内側にして捲回又は積層する場合には、保持パッド同士が押し付け合うこと等により、樹脂シートに圧力がかかり変形しやすくなる。そこで、例えば保持パッドを捲回する場合には、保持パッド同士が押し付けあうことを抑制するため、保持パッドを数多く捲回せず、一回又は数回だけのように緩く捲回することがある。ところがこのような場合、樹脂シートの保持面が離型シートの表面と接触して擦れ合うことによる保持面の傷や保持パッドの端部が樹脂シートの保持面に対して接触することによる保持面上における端部跡の傷が発生したり、保持パッドの捲回の状態が崩れたりしてしまう場合がある。このような傷を有する保持パッドで被研磨物を保持して研磨すると、被研磨物の平坦化が不十分となる等の悪影響を及ぼすおそれがある。
そこで、本発明は、捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に傷が生じることを十分に抑制することが可能な保持パッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートと該樹脂シートの該保持面とは反対側に少なくとも一部の露出面を有する離型シートとを備える保持パッドであり、該保持パッドの曲げ弾性率と当該樹脂シートが有する当該保持面に対する当該離型シートが有する当該露出面の静摩擦係数とが所定の関係にある保持パッドを用いることで、捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に傷が生じることを十分に抑制することが可能なことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートと、前記樹脂シートの前記保持面とは反対側に少なくとも一部の露出面を有する離型シートと、を備える保持パッドであり、
JIS K7171:2016に準拠して測定される前記保持パッドの曲げ弾性率(MPa)と、JIS K7125:1999に準拠して測定される前記樹脂シートが有する前記保持面に対する前記離型シートが有する前記露出面の静摩擦係数とが下記式(1)で表される条件を満たす、
保持パッド。
10 ≦ σ×μ ≦ 100 ・・・(1)
(式中、σは前記曲げ弾性率(MPa)を示し、μは前記静摩擦係数を示す。)
[2]
前記樹脂シートと前記離型シートとの間に、基材を更に備える、
[1]に記載の保持パッド。
[3]
前記基材の厚さが、50〜250μmである、
[2]に記載の保持パッド。
[4]
前記樹脂シートが撥水剤を含む、
[1]〜[3]のいずれかに記載の保持パッド。
[5]
前記保持パッドが帯状である場合に、その幅が2000mm超であり、
前記保持パッドが矩形である場合に、少なくともその1辺が2000mm超であり、
前記保持パッドが円形又は略円形である場合に、その直径が2000mm超である、
[1]〜[4]のいずれかに記載の保持パッド。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の保持パッドを捲回して搬送又は保管する工程を含み、
JIS K7171:2016に準拠して測定される前記保持パッドの曲げ弾性率(MPa)と、捲回された前記保持パッドの捲回形状における最小内径(mm)とが下記式(2)で表される条件を満たす、
搬送又は保管方法。
0.1 ≦ σ/R ≦ 0.5 ・・・(2)
(式中、σは前記曲げ弾性率(MPa)を示し、Rは前記最小内径(mm)を示す。)
本発明に係る保持パッドは、捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に傷が生じることを十分に抑制することが可能である。
本実施形態に係る保持パッドの一例の一部を模式的に示す部分断面図である。 本実施形態に係る保持パッドを搬送又は保管するための運搬用具を模式的に示す断面図である。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明は下記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
本実施形態の保持パッドは、被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートと、該樹脂シートの該保持面とは反対側に少なくとも一部の露出面を有する離型シートとを備える。このような保持パッドは、例えば、粘着層と離型シートとを備える両面テープ(例えば、ノンサポート型の両面テープ)を樹脂シートの保持面とは反対側に貼り付けることにより作製することができる。
本実施形態の保持パッドは、JIS K7171:2016に準拠して測定される当該保持パッドの曲げ弾性率(MPa)(以下、単に「保持パッドの曲げ弾性率」ともいう。)と、JIS K7125:1999に準拠して測定される上記樹脂シートが有する保持面に対する上記離型シートが有する露出面の静摩擦係数(以下、単に「樹脂シートと離型シートの静摩擦係数」ともいう。)とが下記式(1)で表される条件を満たす。
10 ≦ σ×μ ≦ 100 ・・・(1)
(式中、σは曲げ弾性率(MPa)を示し、μは静摩擦係数を示す。)
上記値(σ×μ)は、好ましくは13〜87であり、より好ましくは16〜84である。上記値(σ×μ)が上記範囲内にある保持パッドを得るためには、後述する基材の厚さや材質によって保持パッドの曲げ弾性率(MPa)を調整したり、樹脂シートに撥水剤を含ませることや離型シートの表面処理によって静摩擦係数を調整すればよい。
本実施形態の保持パッドが、捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に傷が生じることを十分に抑制することが可能な要因は次のように考えている。ただし、要因はこれに限定されない。従来の保持パッドは、被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートと、該樹脂シートの該保持面とは反対側に少なくとも一部の露出面を有する離型シートとを備え、捲回又は積層して搬送又は保管される場合に、樹脂シートの保持面に傷が生じたり、保持パッドの捲回又は積層の状態が崩れてしまう場合がある。一方、本実施形態の保持パッドは、上記値(σ×μ)が10以上であることにより、捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に対して離型シートの露出面が滑りにくく、樹脂シートの保持面と離型シートの露出面との摺動負荷が軽減されて、樹脂シートの保持面と離型シートの露出面が適度に密着し、運搬時の振動による保持面と離型シートとの擦れに由来する傷が生じることを十分に抑制することが可能である。また、本実施形態の保持パッドは、上記値(σ×μ)が100以下であることにより、捲回又は積層される場合においても、樹脂シートの保持面に対する保持パッドの圧力が軽減されて、保持パッドの端部が樹脂シートの保持面に対して強く接触することによる保持面の傷が生じることを十分に抑制することが可能であり、また、保持パッドの捲回又は積層の状態を維持することが可能である。
保持パッドの曲げ弾性率(MPa)は、上記式(1)で表される条件を満たすものであれば特に限定されないが、好ましくは10〜100MPaであり、より好ましくは15〜80MPaであり、さらに好ましくは20〜60MPaである。曲げ弾性率(MPa)が上記範囲内にある保持パッドを得るためには、後述する基材の厚さや材質によって調整すればよい。保持パッドの曲げ弾性率(MPa)が10MPa以上であることにより、樹脂シートの保持面と離型シートの露出面が適度に密着し、運搬時の振動による保持面と離型シートとの擦れに由来する傷が生じることをより抑制することが可能な傾向にある。また、保持パッドの曲げ弾性率(MPa)が100MPa以下であることにより、保持パッドの端部が樹脂シートの保持面に対して強く接触することによる保持面への傷が生じることを十分に抑制することが可能であり、また、保持パッドの捲回又は積層の状態を維持することが可能である傾向にある。
図1は、本実施形態に係る保持パッドの一例の一部を模式的に示す部分断面図である。保持パッド110は、ポリウレタン製樹脂シート112(以下、単に「樹脂シート112」という。)と粘着層114aと基材116と粘着層114b(以下、粘着層114a、114bをまとめて「粘着層114」ともいう。)と離型シート118とをこの順に積層して含む。樹脂シート112は研磨時に被研磨物を保持する保持面Pを有し、離型シート118は保持パッド110の表面に露出した露出面Qを有する。樹脂シート112と基材116とは、粘着層114aを介して互いに接合されており、基材116と離型シート118とは、粘着層114bを介して互いに接合されている。ただし、離型シート118は、主として搬送又は保管の際に保持パッド110の品質を維持するために備えられているものであり、被研磨物を保持するために保持パッド110を使用する際には、離型シート118を粘着層114bから剥離することにより、離型シート118は容易に除去され得る。
本実施形態に係る樹脂シート112の密度(かさ密度)は、25℃において0.15〜0.30g/cm3であると好ましい。この密度が0.15g/cm3以上であることにより、樹脂シート112の永久歪みが生じ難くなり、また、0.30g/cm3以下であることにより、樹脂シート112の全体に亘って被研磨物をより均一に保持しやすくなる。これらの結果、樹脂シート112の密度が上記範囲にあることにより、研磨加工時に被研磨物が保持パッド110に対して面内方向にずれたり、研磨加工時の研磨ムラが発生したりすることを更に抑制することができる。
樹脂シート112の厚さは特に限定されないが、例えば、0.2〜1.5mmであってもよく、0.6〜1.2mmであってもよい。なお、樹脂シート112の厚さは、JIS K6550:1994に記載された測定方法に準拠して測定される。つまり、樹脂シート112の厚み方向に初荷重として1cm2当たり100gの荷重をかけた(負荷した)ときの厚さである。
樹脂シート112の長さは特に限定されないが、例えば保持パッド110が帯状である場合に、樹脂シート112の幅が2000mm超であってもよく、2500mm以上であってもよく、3000mm以上であってもよい。また、例えば保持パッド110、210が矩形である場合に、少なくとも樹脂シート112の1辺が2000mm超であってもよく、2500mm以上であってもよく、3000mm以上であってもよい。更に例えば保持パッド110が円形又は略円形である場合に、樹脂シート112の直径が2000mm超であってもよく、2500mm以上であってもよく、3000mm以上であってもよい。また、保持パッド110の長さについても、上記樹脂シート112の長さと同様である。ここで、保持パッドが矩形、円形又は略円形である形状は、より具体的には保持パッドの平面形状を示す。ここで、保持パッド112の幅が大きければ大きい程、保持パッドをより多く捲回することが可能であり、そのことにより、搬送又は保管時に、作業性の向上や梱包サイズの縮小をより効率的に図ることが可能である。
樹脂シート112は、樹脂等のマトリックスを構成する材料(以下、「マトリックス材料」という。)中に複数の気泡(図示しない。)を有するものであり、所謂湿式成膜法により形成されたものであっても、乾式成型法あるいはその他の成型法により形成されたものであってもよい。本発明の目的をより有効かつ確実に達成する観点から、樹脂シート112は好ましくは湿式成膜法により形成されたものである。樹脂シート112が湿式成膜法により形成されたものである場合、保持面P側に図示しない緻密な微多孔が形成されたスキン層を有していてもよい。スキン層の表面はミクロな平坦性を有している。一方、スキン層のより内側(樹脂シート112の内部)には、スキン層の微多孔よりも大きな孔径で樹脂シート112の厚さ方向に沿って丸みを帯びた断面三角状の空孔(連続気泡;図示しない。)が形成されていてもよい。その空孔は、保持面P側の大きさが、保持面Pと反対の面側よりも小さく形成されていてもよい。樹脂シート112には、スキン層の微多孔よりも大きく空孔よりも小さいサイズの孔(図示しない。)が形成されていてもよい。スキン層の微多孔、空孔及び小さいサイズの孔は互いに連通孔で網目状につながっていてもよい。
樹脂シート112を構成するマトリックス材料は、例えばポリウレタン樹脂を最も多く含む組成であり、ここで、樹脂シート112は、そのマトリックス材料の全体量に対して、ポリウレタン樹脂を80〜100質量%含むものであってもよい。樹脂シート112は、その全体量に対して、ポリウレタン樹脂をより好ましくは85〜100質量%含み、更に好ましくは90〜100質量%含み、特に好ましくは90〜95質量%含む。
ポリウレタン樹脂としては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリエーテル系ポリウレタン樹脂及びポリカーボネート系ポリウレタン樹脂が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。これらの中では、本発明の目的をより有効且つ確実に奏する観点から、ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましい。
ポリウレタン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、クリスボン(DIC(株)社製商品名)、サンプレン(三洋化成工業(株)社製商品名)、レザミン(大日本精化工業(株)社製商品名)が挙げられる。ポリウレタン樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂シート112は、ポリウレタン樹脂以外に、ポリサルホン樹脂及び/又はポリイミド樹脂等の他の樹脂を含んでもよい。ポリサルホン樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、ユーデル(ソルベイアドバンストポリマーズ(株)社製商品名)が挙げられる。ポリイミド樹脂は、常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、オーラム(三井化学(株)社製商品名)が挙げられる。
樹脂シート112と離型シート118の静摩擦係数は、上記式(1)で表される条件を満たすものであれば特に限定されないが、好ましくは0.5〜3.0であり、より好ましくは0.7〜2.0である。樹脂シート112と離型シート118の静摩擦係数が上記範囲内にある離型シート118を得るためには、樹脂シート112に撥水剤を含ませることや離型シート118の表面処理によって調整すればよい。樹脂シート112と離型シート118の静摩擦係数が0.5以上であることにより、樹脂シートの保持面と離型シートとが適度に密着し、運搬時の振動による保持面と離型シートとの擦れに由来する傷が生じることをより抑制することが可能な傾向にある。また、樹脂シート112と離型シート118の静摩擦係数が3.0以下であることにより、保持パッドの端部が樹脂シートの保持面に対して強く接触することによる保持面の傷が生じることを十分に抑制することが可能であり、また、保持パッドの捲回又は積層の状態を維持することが可能である傾向にある。
樹脂シート112は、樹脂に加えて撥水剤を含むことにより、樹脂シート112と離型シート118の静摩擦係数を小さくすることができる傾向にある。撥水剤としては、例えば、フッ素系撥水剤、シリコーン系撥水剤及び炭化水素系撥水剤が挙げられる。これらの中でも、耐薬品性、ポリウレタン樹脂との撹拌均一性等の観点から、フッ素系撥水剤が好ましい。撥水剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
フッ素系撥水剤としては、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤(化合物)が好ましく、下記式で表されるフッ素テロマーがより好ましい。
Rf−R−X
ここで、Rfは、パーフルオロアルキル基を表し、その炭素数は3〜8であり、好ましくは4〜8であり、より好ましくは6〜8であり、さらに好ましくは6である。また、Rは、アルキレン基を表し、その炭素数は2〜6であり、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2である。Xは、官能基を表し、その官能基として、例えば、水酸基、CH2=CHC(=O)CO−、H(OCH2CH2xO−、YSO3−〔Yは、水素原子又はNH4を表す。〕が挙げられ、好ましくは水酸基である。
また、パーフルオロアルキル基を有するフッ素系撥水剤として、樹脂をパーフルオロアルキル基で変性したフッ素系撥水剤も挙げられる。樹脂としては、樹脂シートに対する分散性及び経時安定性を向上させる観点から、研磨パッドの樹脂シートを構成し得る樹脂、例えばポリウレタン樹脂が挙げられ、変性方法としては、例えば、樹脂の末端及び/又は側鎖にパーフルオロアルキル基を導入する方法が挙げられる。パーフルオロアルキル基を有する化合物は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
上記フッ素テロマーの中でも、本発明の目的をより有効かつ確実に達成する観点から、Rfの炭素数が6であるものが好ましく、さらにRの炭素数が2であるものが好ましい。また、樹脂シートに対する分散性及び経時安定性を考慮すると、樹脂をパーフルオロアルキル基で変性したフッ素系撥水剤として、フッ素テロマーをその樹脂に導入したフッ素系撥水剤、例えば、上記式のうちのRf−R−で表される基を有する樹脂が好ましく、上記式のうちのRf−R−で表される基を有するポリウレタン樹脂がより好ましい。そのような樹脂としては、例えば、国際公開第2012/172936号に記載のポリウレタン樹脂が挙げられる。
上記フッ素テロマーは常法により合成してもよく、市販品を入手してもよい。市販品としては、例えば、クリスボンアシスター SDシリーズ(DIC株式会社製商品名)、アサヒガードEシリーズ(AGCセイミケミカル株式会社製商品名)、NKガードSシリーズ(日華化学株式会社製商品名)、ユニダインマルチシリーズ(ダイキン工業株式会社製商品名)等が挙げられる。フッ素テロマーは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
樹脂シート112における撥水剤の含有量は、樹脂シート112を構成する全固形分(100質量%)に対して、0.1質量%以上20質量%以下であると好ましく、1.0質量%以上10質量%以下であるとより好ましい。撥水剤の含有量が0.1質量%以上であることにより、保持パッドの端部が樹脂シートの保持面に対して強く接触することによる保持面の傷が生じることを十分に抑制することが可能であり、また、保持パッドの捲回又は積層の状態を維持することが可能である傾向にある。また、撥水剤の含有量が20質量%以下であることにより、樹脂シートの保持面に傷が生じることをより抑制することが可能な傾向にある。
また、撥水剤としてフッ素テロマーのようなフッ素系撥水剤を用い、そのフッ素系撥水剤が炭素数6のRfを有するフッ素系撥水剤を含む場合、樹脂シート112に含まれるフッ素系撥水剤の60モル%以上100モル%以下が、炭素数6のRfを有するフッ素系撥水剤であると好ましい。このことは、炭素数が6を超えるRfを有するフッ素テロマーのようなフッ素原子を多く含む化合物や、炭素数が6未満のRfを有するフッ素テロマーのようなフッ素原子を少なく含む化合物を制限することになる。これにより、フッ素原子を多く含む化合物の含有量を低減して吸水量の低下及び吸着不良をより有効に抑制することができ、また、フッ素原子を少なく含む化合物の含有量を低減して適度な撥水性をより有効に確保することができる。
樹脂シート112は、樹脂及び撥水剤以外にも、本発明の課題解決を阻害しない範囲で、保持パッドの樹脂シートに通常用いられる材料、例えば、カーボンブラック等の顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤の1種又は2種以上を含んでもよい。更には、樹脂シート112には、樹脂シート112の製造過程において用いられた溶媒等の各種の材料が、本発明の課題解決を阻害しない範囲で残存していてもよい。
樹脂シート112の保持面Pには微細気孔が存在していてもよい。微細気孔は、例えば、樹脂シート112の成膜時に、保持面(スキン層)に微細気孔を形成させる添加剤を添加することにより形成することができる。
図1に示す保持パッド110に備えられる基材116は、樹脂シート112を支持するためのものであり、特に限定されず、従来の保持パッドに基材として含まれるものであってもよい。基材116としては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」という。)フィルム等の樹脂フィルムが挙げられる。
基材116の厚さは特に限定されないが、例えば、10〜1000μmであってもよく、20〜500μmであってもよく、50〜250μmであってもよい。なお、基材116の厚さは、JIS K6550:1994に記載された測定方法に準拠して測定される。つまり、樹脂シート112の厚み方向に初荷重として1cm2当たり100gの荷重をかけた(負荷した)ときの厚さである。
粘着層114は、従来知られている保持パッドに用いられている接着剤又は粘着剤を含むものであってもよい。粘着層114の材料としては、例えば、アクリル系、ニトリル系、ニトリルゴム系、ポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系等の各種粘着剤が挙げられる。
離型シート118は、保持パッド110を搬送又は保管する際に粘着層114又は114bが表面に露出することを防止するための離型性を有するものであり、特に限定されず、従来の保持パッドに離型シートとして含まれるものであってもよい。離型シート118としては、例えば、シリコーン系又は非シリコーン系の離型剤を露出面Qにコーティングした紙が挙げられる。
離型シート118の厚さは、例えば、0.01〜1.5mmであってもよく、0.1〜1.0mmであってもよい。なお、離型シート118の厚さは、JIS K6550:1994に記載された測定方法に準拠して測定される。つまり、離型シート118の厚み方向に初荷重として1cm2当たり100gの荷重をかけた(負荷した)ときの厚さである。
ここで、図1に示す保持パッド110における、粘着層114、基材116、及び離型シート118は、それらを備える両面テープ由来のものであってもよい。その両面テープは、基材116の両面に接着剤又は粘着剤を含む粘着層及び離型シートをそれぞれ有し、それぞれの粘着層が上記粘着層114a、114bに、一方の離型シートが上記離型シート118に相当する。他方の離型シートは、樹脂シート112に接着層114aを接合させる際に、剥離される。
本実施形態の搬送又は保管方法は、本実施形態の保持パッドを捲回又は積層して搬送又は保管する工程を含む。保持パッドは、例えば長さが2000mmの保持パッドの場合に4〜10回捲回して搬送又は保管される。
本実施形態の搬送又は保管方法において、保持パッドを捲回する場合には、保持パッドの曲げ弾性率(MPa)と、捲回された保持パッドの捲回形状における最小内径(mm)(以下、単に「保持パッドの最小内径(mm)」ともいう。)とが下記式(2)で表される条件を満たすことが好ましい。
0.1 ≦ σ/R ≦ 0.5 ・・・(2)
(式中、σは保持パッドの曲げ弾性率(MPa)を示し、Rは保持パッドの最小内径(mm)を示す。)
上記比率(σ/R)が上記範囲内にあるようにするためには、基材の厚さや材質によって保持パッドの曲げ弾性率(MPa)を調整したり、後述する保持パッド110の容器10の形状を調整すればよい。上記比率(σ/R)が0.1以上であることにより、樹脂シートの保持面と離型シートの露出面が適度に密着し、運搬時の振動による保持面と離型シートとの擦れに由来する傷が生じることをより抑制することが可能である。また、上記比率(σ/R)が0.5以下であることにより、保持パッドの端部が樹脂シートの保持面に対して強く接触することによる保持面の傷が生じることを十分に抑制することが可能であり、また、保持パッドの捲回又は積層の状態を維持することが可能である。
図2は、保持パッドを捲回する場合における、本実施形態に係る保持パッドを搬送又は保管するための運搬用具を模式的に示す断面図である。図2に示すように、本実施形態の運搬用具10は、捲回状の保持パッド(被運搬物)20を収容可能な直方体状の容器1を備えている。容器1は、平板状の紙材で形成されており、6個の隔壁2を有している。各隔壁2は容器1の長手方向で略等間隔に配置されている。
容器1の各隔壁2の間には、可撓性を有する1枚のシート部材としてのフィルム3が掛け渡されている。フィルム3は、隣り合う隔壁2間で弛み部分4を有している。すなわち、容器1では、5箇所に弛み部分4が形成されており、弛み部分4に保持パッド20を載置することで5個の保持パッド20を収容することができる。フィルム3は、弛み部分4に保持パッド20を載置したときに、保持パッド20の上端が隔壁2の上端より下側に位置するように掛け渡されている。換言すれば、隔壁2の高さ(容器1の深さ)は、捲回状の保持パッド20の外径より大きく形成されている。
また、フィルム3の弛み部分4は、下面が容器1の内底面から離隔している。フィルム3は、各隔壁2の上端部に位置する部分がそれぞれ図示を省略した両面テープで各隔壁2の上端部に固定されている。フィルム3には、非伸縮性の材質が用いられており、矩形状に形成されている。本例では、フィルム3としてポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する。)製フィルムが用いられており、フィルム3の厚みが0.05〜2.0mm程度に設定されている。少なくともフィルム3の保持パッド20と接触する表面は、平坦状に形成されている。
本実施形態の運搬用具10では、容器1の各隔壁2の間にフィルム3が掛け渡されており、フィルム3が隣り合う隔壁2間で弛み部分4を有している。このため、凹陥性を有する捲回状の保持パッド20を弛み部分4に載置して運搬用具10に収容することができる。運搬時には、保持パッド20が下側(容器1の底側)の外周に沿ってフィルム3で支持されるので、運搬中に揺れや振動(ローリングやピッチ)が加えられても保持パッド20の凹陥を抑制することができる。
本実施形態の運搬用具10では、フィルム3が容器1の内底面から離隔しており、保持パッド20の上端が隔壁2の上端より下側に位置するようにフィルム3が掛け渡されている。このため、弛み部分4に載置された保持パッド20は、容器1の内壁面や内底面と接触しない位置に宙づりの状態となる。
更に、本実施形態の運搬用具10では、平板状の紙材で形成された容器1の各隔壁2の間にフィルム3が掛け渡されている。このため、捲き芯を使用して捲回された被運搬物を運搬するために容器に捲き芯の固定部材等を組み込む場合と比べて、外力や自重による変形を受けやすく捲き芯を使用せずに捲回された被運搬物を運搬するための運搬用具を少ない部品数で構成することができ容器1の構造を単純化することができる。
なお、本実施形態では、容器1の材質に平板状の紙材を例示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、樹脂製や木材製としてもよいが、軽量さ、丈夫さ、コスト等を考慮すれば、段ボール製とすることが好ましい。また、本実施形態では、容器1を直方体状とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、複数の隔壁2が長手方向で略等間隔に配置されていればよい。
また、本実施形態では、フィルム3としてPET製フィルムを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、非伸縮性で表面が略平坦であればよい。換言すれば、弛み部分4に被運搬物を載置して運搬したときに変形しないようにある程度の強度を有する材質であればよい。このような材質としては、例えば、ナイロンやポリエステル等の樹脂を挙げることができる。また、フィルム3の厚みが0.05mmを下回ると運搬中の揺れ等でフィルム3自体が破損する可能性があり、反対に2.0mmを上回ると被運搬物を柔らかく支持することが難しくなる。このため、フィルム3の厚みを0.05〜2.0mmとすることが好ましい。
更に、本実施形態では言及していないが、運搬用具10が容器1の上部を覆う蓋材を備えるようにしてもよい。この場合、蓋材を別部材とし容器1の上側に載置するようにしてもよく、容器1と蓋材とを一体形成するようにしてもよい。このようにすれば、運搬時等に外部からの異物混入、ひいては、保持パッド20等の被運搬物に対する異物付着を抑制することができる。蓋材の形状は、容器1を覆うことができればよく、特に制限されないことはもちろんである。
また更に、本実施形態では、容器1が6個の隔壁2を有する例を示したが、本発明は隔壁2の数に限定されるものではない。例えば、図3に示すように、隔壁2を2個としてもよく、この場合には被運搬物が1個ずつ収容される。反対に、隔壁2の数を増やすことで、5個を超える被運搬物を運搬できるようにすることも可能である。また、図3に示すように、隔壁2のうち少なくとも2つの隔壁2が上面に突起7を有するようにし、容器1の底面の突起7に対応する位置に突起7と嵌合可能な嵌合穴8を形成するようにしてもよい。突起7が嵌合穴8と嵌合するように複数の運搬用具10を上下に重ねることで、運搬中の揺れ等による荷崩れや運搬用具10のずれを抑制することができる。運搬用具10を重ねた場合は、上側の容器1が下側の容器1の上部を覆うため、最上部に位置する容器1のみを蓋材で覆うようにすればよい。
更にまた、本実施形態では、被運搬物として保持パッド20を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、凹陥性を有する捲回状の被運搬物の運搬に好適に使用することができる。このような被運搬物としては、例えば、樹脂製のフィルムや不織布等を有する研磨布を挙げることができる。また、本実施形態では、保持パッド20が湿式成膜法で作製したポリウレタンシート22と両面テープ26とを有する例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、乾式法で作製された樹脂シートを有していてもよく、両面テープを有することなく樹脂シートのみでもよい。また、保持パッドや研磨布の材質や内部の発泡構造についても、特に制限されるものではない。更に、本実施形態では、保持パッド20を捲回状とするときに保持面Pを内側とする例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、保持面Pを外側としてもよい。
次に、本実施形態の保持パッドの製造方法の一例について説明する。ここでは、樹脂シート112を湿式成膜法で作製する場合を説明するが、樹脂シート112の作製方法は、これに限定されない。この製造方法では、樹脂シート112を準備する工程と、樹脂シート112に粘着層114を接合して保持パッド110を得る工程とを有する。
樹脂シート112を準備する工程は、更に、樹脂と溶媒と必要に応じて撥水剤や添加剤とを含む樹脂溶液を調製する工程(樹脂溶液調製工程)と、樹脂溶液を成膜用基材の表面に塗布する工程(塗布工程)と、樹脂溶液中の樹脂を凝固再生して、前駆体シートを形成する工程(凝固再生工程)と、前駆体シートから溶媒を除去して樹脂シート112を得る工程(溶媒除去工程)と、樹脂シート112をバフ処理又はスライス処理により研削及び/又は一部除去する工程(研削・除去工程)とを有するものである。以下、各工程について説明する。
まず、樹脂溶液調製工程では、上述のポリウレタン樹脂等の樹脂と、その樹脂を溶解可能であって、後述の凝固液に混和する溶媒と、必要に応じて樹脂シート112に撥水剤やその他の材料(例えば、顔料、親水性添加剤及び疎水性添加剤、孔形成剤、撥水剤等)とを混合し、更に必要に応じて減圧下で脱泡して樹脂溶液を調製する。溶媒としては、特に限定されないが、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、「DMF」という。)及びN,N−ジメチルアセトアミドが挙げられる。樹脂溶液の全体量に対する樹脂の含有量は、特に限定されないが、例えば10〜50質量%の範囲であってもよく、15〜35質量%の範囲であってもよい。
次に、塗布工程では、樹脂溶液を、好ましくは常温下で、ナイフコータ等の塗布装置を用いて帯状の成膜用基材の表面に塗布して塗膜を形成する。このときに塗布する樹脂溶液の厚さは、最終的に得られる樹脂シート112の厚さが所望の厚さになるように、適宜調整すればよい。成膜用基材の材質としては、例えば、PETフィルム等の樹脂フィルム、布帛及び不織布が挙げられる。これらの中では、液を浸透し難いPETフィルム等の樹脂フィルムが好ましい。
次いで、凝固再生工程では、成膜用基材に塗布された樹脂溶液の塗膜を、樹脂に対する貧溶媒(例えばポリウレタン樹脂の場合は水)を主成分とする凝固液中に連続的に案内する。凝固液には、樹脂の再生速度を調整するために、樹脂溶液中の溶媒等の極性溶媒等の有機溶媒を添加してもよい。また、凝固液の温度は、樹脂を凝固できる温度であれば特に限定されず、例えば、15〜65℃であってもよい。凝固液中では、まず、樹脂溶液の塗膜と凝固液との界面に皮膜(スキン層)が形成され、皮膜の直近の樹脂中に無数の緻密な微多孔が形成される。その後、樹脂溶液に含まれる溶媒の凝固液中への拡散と、樹脂中への貧溶媒の浸入との協調現象により、好ましくは連続気泡構造を有する樹脂の再生が進行する。このとき、成膜用基材が液を浸透し難いもの(例えばPETフィルム)であると、凝固液がその基材に浸透しないため、樹脂溶液中の溶媒と貧溶媒との置換がスキン層付近で優先的に生じ、スキン層付近よりもその内側にある領域の方に、より大きな空孔が形成される傾向にある。こうして成膜用基材上に前駆体シートが形成される。
次に、溶媒除去工程では、形成された前駆体シート中に残存する溶媒を除去して樹脂シート112を得る。溶媒の除去には、従来知られている洗浄液を用いることができる。また、溶媒を除去した後の樹脂シート112を、必要に応じて乾燥してもよい。樹脂シート112の乾燥には、例えば、内部に熱源を有するシリンダを備えたシリンダ乾燥機を用いることができるが、乾燥方法はこれに限定されない。シリンダ乾燥機を用いる場合、前駆体シートがシリンダの周面に沿って通過することで乾燥する。更に、得られた樹脂シート112をロール状に巻き取ってもよい。
次いで、研削・除去工程では、樹脂シート112の好ましくはスキン層側の反対側である裏面を、バフ処理又はスライス処理で研削及び/又は一部除去する。バフ処理やスライス処理により樹脂シート112の厚さの均一化を図ることができるため、被研磨物に対する押圧力を一層均等化し、被研磨物の損傷を更に抑制すると共に被研磨物の平坦性を向上させることができる。
次に、樹脂シート112に基材116を接合して保持パッド110を得る。この工程では、例えば基材116及び粘着層114を有する両面テープを用いて、それぞれ、1枚の樹脂シート112の保持面Pとは反対側の面上に粘着層114aを介して基材116を接合する。更に、その基材116の粘着層114aとは反対側に、両面テープの他方の粘着層114bと離形シート118とが備えられている。こうして、樹脂シート112の一面に対して、粘着層114a、基材116、粘着層114b、及び離形シート118が積層されて、保持パッド110が得られる。
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。例えば、上記本実施形態では、樹脂シート112に粘着層114及び離型シート118を積層するために、基材116を用いているが、両面テープの代わりにノンサポート型粘着テープを用いて樹脂シート112に対して粘着層114及び離型シート118のみを積層してもよい。ただし、本発明の保持パッドは、保持パッドの取扱い性の観点から、基材を更に備えることが好ましい。また、保持パッドの製造方法において、研削・除去工程を省略してもよい。
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエステル系ポリウレタン樹脂(100%樹脂モジュラス6.0MPa)を、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解させた30質量%の溶液100質量部に対して、DMF47質量部、撥水剤としてパーフルオロヘキシル化合物を含むDIC社製の「クリスボンアシスター SD−38」(商品名)4質量部、顔料としてカーボンブラック30質量%を含むDMF分散液40質量部を添加し、混合して、樹脂溶液を調製した。
次に、成膜用基材として市販のPETフィルムを用意し、そこへ調製した樹脂溶液をナイフコーターを用いて塗布し、厚さ1.0mmの塗膜を得た。次いで得られた塗膜を成膜用基材と共に、凝固液である水に浸漬し、樹脂を凝固再生して樹脂シートを得た。樹脂シートを凝固浴から取り出し、成膜用基材を樹脂シートから剥離した後、樹脂シートを乾燥しつつ巻き取った。次に、樹脂シートの裏面(成膜用基材を剥離した側の面であって、成膜用基材に接触していた面)に対してバフ処理を施して、0.8mmの厚さとした。
次に、樹脂シートのバフ処理を施した面に厚さ188μmの市販のPET基材と厚さ150μmの市販の離型シートからなる両面テープを貼り合わせ、2400mm×2100mmのサイズに裁断し、保持パッドを得た。
(実施例2)
樹脂溶液を調製する際に撥水剤を添加しないこと、及び厚さ188μmの市販のPET基材を厚さ75μmの市販のPET基材に替えたこと以外は、実施例1と同様にして保持パッドを作製した。
(比較例1)
厚さ188μmの市販のPET基材を厚さ23μmの市販のPET基材に替えたこと以外は、実施例1と同様にして保持パッドを作製した。
(比較例2)
樹脂溶液を調製する際に撥水剤を添加しないこと、及び厚さ188μmの市販のPET基材を厚さ200μmの市販のPET基材に替えたこと以外は、実施例1と同様にして保持パッドを作製した。
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2で得られた各保持パッドの曲げ弾性率σ(MPa)と、各保持パッドに用いた各樹脂シートの保持面(バフ処理を施していない面)と各離型シートの一面(露出面)との静摩擦係数μとを下記の方法でそれぞれ測定した。
(曲げ弾性率)
曲げ弾性率は、日本工業規格(JIS K7171:2016)に準拠して、万能材料試験機(島津製作所社製、AG−I 100N)を用いて測定を行った。具体的には、25mm×25mmのサイズに裁断した保持パッド片を支持台と圧子による三点で曲げる方式で、圧子の速度を0.5mm/min、支点間距離を18mmとして曲げ弾性率σ(MPa)を測定した。
(静摩擦係数)
静摩擦係数は、日本工業規格(JIS K7125:1999)に準拠して、荷重変動型摩擦摩耗試験機(新東科学社製、TRIBOGEAR TYPE:HHS2000)を用いて測定を行った。具体的には、まず試料側に63mm×63mmのサイズに裁断した離型シートを、相手側に、離型シートの上記一面に保持面を対向させた、80mm×200mmのサイズに裁断した樹脂シートをそれぞれセットし、次いで試料に200gの垂直荷重をかけながら、試料を100mm/minの速度で樹脂シートの保持面に対して滑らせたときの静摩擦係数μを測定した。
(外観)
実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2で得られた各保持パッドを、捲回された保持パッドの捲回形状における最小内径が200mmとなるように、保持パッドの樹脂シートを内側に離型シートを外側に配置するよう捲回し、図2に示すハンモック梱包材へ格納した。これを工場内の平地で台車に載せて、5分間の運搬操作を人力で行うことで振動を与えることと、1時間の静置とを、12回繰り返した。その後、梱包材に格納された保持パッドの外観と、保持パッドを取り出して捲回を解いた後に、保持パッドにおける樹脂シートの保持面の外観を目視で確認した。保持パッドの捲回状態が崩れておらず、かつ保持パッドにおける樹脂シートの保持面に傷が確認できなかった場合には○、捲回物が崩れている、あるいは保持面に傷が確認された場合には×と外観を評価した。ここで、「捲回状態が崩れ」ることとは、保持パッドが捲回する方向に対して斜行又は蛇行して芯ずれを生じることをいう。
Figure 2020049622
実施例1及び2では、保持パッドの捲回状態は崩れておらず、また保持パッドにおける樹脂シートの保持面の傷も確認できなかった。一方、比較例1では保持パッドの捲回状態が崩れ、さらに保持パッドにおける樹脂シートの保持面には保持パッドの端部によって擦れた際に発生したと思われる傷が確認できた。また、比較例2では、保持パッドの捲回状態は崩れていなかったが、捲回された保持パッドが強く密着していたため、保持パッドにおける樹脂シートの保持面には保持パッドの端部が接触していたことに由来する跡が残っていた。
(実施例3)
実施例1で作製した保持パッドを、捲回された保持パッドの捲回形状における最小内径が150mmとなるように捲回し(7.5回転)、図2に示すハンモック梱包材(容器1)へ格納した。
(実施例4)
実施例2で作製した保持パッドを、捲回された保持パッドの捲回形状における最小内径が200mmとなるように捲回し(4.5回転)、ハンモック梱包材へ格納した。
(比較例3)
比較例1で作製した保持パッドを、捲回された保持パッドの捲回形状における最小内径が300mmとなるように捲回し、ハンモック梱包材へ格納した。
(比較例4)
比較例2で作製した保持パッドを、捲回された保持パッドの捲回形状における最小内径が140mmとなるように捲回し、ハンモック梱包材へ格納した。
実施例3、実施例4、比較例3、及び比較例4について、実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2と同様に、曲げ弾性率及び静摩擦係数を測定し、外観を評価した。
Figure 2020049622
実施例3及び4では、保持パッドの捲回状態は崩れておらず、また保持パッドにおける樹脂シートの保持面の傷も確認できなかった。一方、比較例3では保持パッドの捲回状態が崩れ、さらに保持パッドにおける樹脂シートの保持面には保持パッドの端部によって擦れた際に発生したと思われる傷が確認できた。また、比較例4では、捲回物は崩れていなかったが、捲回された保持パッドが強く密着していたため、保持パッドにおける樹脂シートの保持面には保持パッドの端部が接触していたことに由来する跡が残っていた。
110…保持パッド(被収容物)、112…樹脂シート、114、114a、114b…粘着層、116…基材、118…離型シート、P…保持面、Q…露出面。
1…容器(ハンモック梱包材)、2…隔壁、3…フィルム(シート部材)、4…弛み部分(収容部)、10…運搬用具、20…保持パッド、R…最小内径。
本発明は、研磨加工分野の被研磨物の保持パッドとして産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. 被研磨物を保持するための保持面を有する樹脂シートと、前記樹脂シートの前記保持面とは反対側に少なくとも一部の露出面を有する離型シートと、を備える保持パッドであり、
    JIS K7171:2016に準拠して測定される前記保持パッドの曲げ弾性率(MPa)と、JIS K7125:1999に準拠して測定される前記樹脂シートが有する前記保持面に対する前記離型シートが有する前記露出面の静摩擦係数とが下記式(1)で表される条件を満たす、
    保持パッド。
    10 ≦ σ×μ ≦ 100 ・・・(1)
    (式中、σは前記曲げ弾性率(MPa)を示し、μは前記静摩擦係数を示す。)
  2. 前記樹脂シートと前記離型シートとの間に、基材を更に備える、
    請求項1に記載の保持パッド。
  3. 前記基材の厚さが、50〜250μmである、
    請求項2に記載の保持パッド。
  4. 前記樹脂シートが撥水剤を含む、
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の保持パッド。
  5. 前記保持パッドが帯状である場合に、その幅が2000mm超であり、
    前記保持パッドが矩形である場合に、少なくともその1辺が2000mm超であり、
    前記保持パッドが円形又は略円形である場合に、その直径が2000mm超である、
    請求項1〜4のいずれか1項に記載の保持パッド。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の保持パッドを捲回して搬送又は保管する工程を含み、
    JIS K7171:2016に準拠して測定される前記保持パッドの曲げ弾性率(MPa)と、捲回された前記保持パッドの捲回形状における最小内径(mm)とが下記式(2)で表される条件を満たす、
    搬送又は保管方法。
    0.1 ≦ σ/R ≦ 0.5 ・・・(2)
    (式中、σは前記曲げ弾性率(MPa)を示し、Rは前記最小内径(mm)を示す。)
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