JPH06220406A - 粘着フイルム - Google Patents

粘着フイルム

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JPH06220406A
JPH06220406A JP5026167A JP2616793A JPH06220406A JP H06220406 A JPH06220406 A JP H06220406A JP 5026167 A JP5026167 A JP 5026167A JP 2616793 A JP2616793 A JP 2616793A JP H06220406 A JPH06220406 A JP H06220406A
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将弘 木村
Naotake Kashiwakura
尚武 柏倉
Kenji Tsunashima
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヤング率が10〜250kg/mm2 の2軸
配向ポリエステルフイルムの少なくとも片面に粘着剤層
を積層したことを特徴とする粘着フイルム。 【効果】 粘着テープ、シートに必要な柔軟性を確保し
つつ、耐薬品性、耐熱性に優れたフイルムとすることが
でき、また可塑剤の使用もないので、使用上、使用後の
問題が生じることもない。したがって、柔軟性、薬品
性、耐熱性、さらには手切れ性を兼備した粘着テープ、
粘着シートに用いて最適なフイルムが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粘着フイルムに関し、
とくに、柔軟性に優れた柔軟性粘着ポリエステルフイル
ムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルフイルムの代表例であるポ
リエチレンテレフタレート(PET)2軸延伸フイルム
は、良好な機械強度、熱的特性、湿度特性、その他の多
くの優れた特性から、工業材料、磁気記録材料、包装材
料など広い分野において使用されている。
【0003】しかしながら、粘着テープの用途では、貼
り付け面に良好に追従できるだけの柔軟性、適度な締ま
り具合が得られるだけの巻き締まり性が要求され、軟質
塩化ビニルフイルム、ポリプロピレンフイルムが多く使
用されており、通常のPETフイルムはその強靭さの裏
返しである硬さ故に主な構成材として使用されることが
少ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、軟質塩化ビニル
フイルム、ポリプロピレンフイルムにも特性上の問題が
あり、特に軟質塩化ビニルフイルムにおいては使用する
可塑剤による諸特性の悪化、耐熱性、耐薬品性などの不
足、使用後の焼却時の有毒ガスの発生等が挙げられる。
また、ポリプロピレンフイルムにおいては耐熱性、コス
トなどの面で問題がある。一方、ポリエステルは比較的
安価であり、耐熱性、耐薬品性、さらには加工性にも優
れており、柔軟性、粘着性を付与すれば粘着フイルムと
して好適に使用することが可能である。
【0005】本発明は、前述したPETフイルムにな
い、軟質塩化ビニルフイルム、ポリプロピレンフイルム
のような柔軟性を有するとともに、十分な粘着性と易カ
ット性を兼備した粘着ポリエステルフイルムを提供する
ことを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
粘着フイルムは、ヤング率が10〜250kg/mm2
の2軸配向ポリエステルフイルムの少なくとも片面に粘
着剤層を積層したものからなる。
【0007】本発明の粘着フイルムで使用されるポリエ
ステルフイルムは、ヤング率が10〜250kg/mm
2 であるが、フイルムのハンドリング、柔軟性のバラン
ス、及び巻姿の面では好ましくは40〜230kg/m
2 、より好ましくは50〜200kg/mm2 であ
る。さらに、本発明では、ヤング率の経時変化、使用温
度範囲、生産性、及び易カット性の点で2軸配向されて
いることが必要である。また、長手方向、幅方向、厚み
方向の屈折率(Nx,Ny,Nz)から得られる面配向
係数fn=(Nx+Ny)/2−Nzの値が0.005
以上、好ましくは0.01以上であると易カット性が良
好となり望ましい。
【0008】本発明におけるポリエステルとは、酸成分
として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフ
タレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェ
ニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカル
ボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸およびそれらのエ
ステル形成性誘導体などの芳香族ジカルボン酸成分、シ
ュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン
酸、ウンデカジオン酸、ドデカジオン酸、ブラシル酸、
テトラデカジオン酸、ペンタデカジオン酸、ヘキサデカ
ジオン酸、ヘプタデカジオン酸、オクタデカジオン酸、
ノナデカジオン酸、エイコサンジオン酸、ヘネイコサン
ジオン酸、ドコサンジオン酸、トリコサンジオン酸、テ
トラコサンジオン酸、ペンタコサンジオン酸、ヘキサコ
サンジオン酸、ヘプタコサンジオン酸、オクタコサンジ
オン酸、ノナコサンジオン酸、トリアコンタンジオン酸
およびそれらのエステル形成性誘導体、炭素数10〜2
5の不飽和脂肪酸を二量化して得られるダイマー酸およ
びその水添体、およびそのエステル形成性誘導体などの
脂肪族ジカルボン酸成分、脂環族ジカルボン酸、多官能
酸等を挙げることができる。グリコール成分としては、
特に限定されないが、炭素数10以下の脂肪族、脂環
族、芳香族ジオールの中から選ばれる1種以上のグリコ
ール成分が好ましく使用できる。さらに、ポリエチレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコールのようなポ
リエーテル、ポリアミド、ポリカプロラクトンなどを共
重合してもよい。
【0009】本発明では、延伸性、耐熱性、耐薬品性、
低コスト性の面でエチレンテレフタレートを主体とした
ポリエステル(以下柔軟性ポリエステルAと呼ぶ)が好
ましい。さらに好ましくは酸成分、ジオール成分の各5
0モル%以上がテレフタル酸成分、エチレングリコール
成分であることが望ましい。
【0010】さらに、柔軟性を付与する点では、柔軟性
ポリエステルAのガラス転移温度が60℃以下、好まし
くは55℃以下、特に好ましくは50℃以下であること
が望ましい。
【0011】さらに、フイルムに柔軟性を付与するため
には、たとえばPETを主体とするポリエステルに脂肪
族ジカルボン酸、ポリエーテル、脂肪族ポリエステルな
どを共重合することが効果的であるが、炭素数8以上、
好ましくは20以上のアルキレン基を有する長鎖脂肪族
ジカルボン酸を共重合することが、耐候性、品質安定性
の点で好ましい。長鎖脂肪族ジカルボン酸としてはドデ
カンジオン酸、エイコ酸、ダイマー酸およびそれらの誘
導体などがあるが、特に本発明ではこれらの中でも分岐
状構造を有している分岐脂肪族ジカルボン酸であること
が、耐衝撃性を向上させる面で好ましく、その中でもダ
イマー酸を用いることが耐熱性、透明性を良好にする上
で好ましい。
【0012】ここでダイマー酸とはオレイン酸メチル等
の不飽和脂肪族ジカルボン酸を2量化・水素添加反応に
よって得られる鎖状分岐構造体と環状分岐構造体との混
合物の総称であり、メチレン鎖の炭素数が20〜80、
好ましくは30〜60のものである。また、通常不飽和
結合が残留しているが、ASTM−D−1159で測定
した臭素価を0.05〜10(g/100g)、好まし
くは0.1〜5(g/100g)としたものが耐熱性、
柔軟性に優れるため好ましい。ダイマー酸の共重合量は
酸成分について1〜40モル%、好ましくは5〜20モ
ル%である。
【0013】本発明の柔軟性ポリエステルフイルムを主
として構成する柔軟性ポリエステルAが、例えばPET
を主成分とし柔軟性を付与するための脂肪族ジカルボン
酸等との共重合ポリエステルである場合、融点、ガラス
転移点、結晶性が低下し、2軸延伸フイルム製造プロセ
スにおいて、押出キャスト時の冷却ドラムへの粘着、延
伸ロールへの粘着、テンター内のクリップへの粘着が生
じ易くなり生産性が低下することになる場合がある。さ
らに共重合が多くなるとポリエステルA単体での2軸延
伸特性が悪くなり、延伸と応力の関係において両者に1
対1の対応がなくなり、いわゆるネッキング延伸となっ
て、厚み斑の悪化を招くことになる。この2軸延伸特性
の悪さは、特にポリブチレンテレフタレート(PBT)
を主成分とする柔軟性ポリエステルにおいては特に顕著
であり、例えばダイマー酸を15モル%共重合した共重
合PBTでは平滑な2軸延伸フイルムを得ることが非常
に困難である。
【0014】このような点から、柔軟性ポリエステルA
の少なくとも片面にガラス転移点が45℃以上、好まし
くは55℃以上であるようなポリエステルBを積層する
ことが、ポリエステルAの好ましい延伸温度と照らし合
わせて、ロールやクリップへの粘着を防止する上で好ま
しい。
【0015】ポリエステルBについては、PETに代表
される結晶性のポリエステルが粘着防止の点で好まし
い。また、融点およびガラス転移点がポリエステルAよ
り高ければ、フイルム全体としての熱的寸法安定性が向
上するため好ましい。さらに、2軸延伸後にポリエステ
ルAより破断強度、ヤング率が大きいポリエステルを選
択すれば、フイルムの腰(スティフネス)は柔らかく保
ったままで破断強度等を向上させることが可能となるた
め好ましい。したがって、ポリエステルBの積層は、単
に製膜性の向上以上に、柔軟性ポリエステルAの短所で
ある、熱的安定性、引っ張り方向の強度などを補う効果
を持たせることができる。
【0016】ポリエステルBを構成するジカルボン酸成
分、アルコール成分、ポリエーテルやポリアミドや脂肪
族ポリエスルなどの共重合成分はポリエステルAと同様
であるが、ガラス転移点のほかに、さらにポリエステル
Bとしては、2軸延伸性の悪い柔軟性ポリエステルAの
延伸特性を補助するために延伸特性の良好なポリエスル
であることが好ましい。具体的には、PETを主成分と
するポリエステル、1,4−シクロヘキサンジメタノー
ルとテレフタル酸からなるポリマを主成分とするポリエ
ステルなどが好ましく、PET、イソフタル酸との共重
合PET、アジピン酸、セバシン酸などの炭素数4〜8
のアルキレン基を有する脂肪族ジカルボン酸との共重合
PETなどが挙げられ、共重合体の場合、共重合成分量
は1〜40モル%、好ましくは5〜20モル%である。
【0017】ポリエステルBは柔軟性ポリエステルAの
少なくとも片面に積層されるが、その厚さ比は、ポリエ
ステルAからなる層の厚さの合計とポリエステルBから
なる層の厚さの合計の比で1:1〜50:1、好ましく
は2:1〜25:1(A層合計:B層合計)である。B
層の割合が小さくなり過ぎると2軸延伸性の改良効果が
低減されるために好ましくなく、B層の割合が大きい場
合にはフイルムの柔軟性、耐衝撃性などが損なわれるた
めに好ましくない。
【0018】ポリエステルBの積層は、好ましくは柔軟
性ポリエステルAの両面に行なわれ、この時はフイルム
製造中の粘着の問題を避けることが更に容易になり、ま
た2層フイルムの場合に起こりがちなカールの問題も避
け易い。なお、柔軟性ポリエステルAの両面に積層する
ポリエステルBが本発明の範囲内において、互いの面
で、組成等が多少異なっていてもよい。
【0019】また、積層フイルムにおいて層間の接着性
を良好にするために、例えば柔軟性ポリエステルAとし
て2種のポリマA1、A2、およびポリエステルBを用
いてB/A1/A2/A1/Bのように5層積層しても
良いし、2種のポリマA1、A2を混合してB/(A1
+A2)/Bのようにしてもよい。
【0020】本発明においてポリエステルBからなるB
層に不活性粒子を添加することは、滑り性を向上させる
上で有効である。ここで不活性粒子としては、酸化珪
素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシ
ウム、炭酸マグネシウムなどの無機化合物、あるいは架
橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼン、ベンゾグアナ
ミン、シリコーン等の不溶融性有機化合物が挙げられ
る。特にコロイダルシリカ、粉砕シリカ、架橋ポリスチ
レン、シリコーンなどが透明性の点で好ましい。粒子の
粒径、添加量については特に限定はないが、滑り性、透
明性の点で、平均粒子径は0.01〜10μm、好まし
くは0.1〜5μm、添加量は0.001〜10重量
%、好ましくは0.05〜1重量%である。さらに、ポ
リエステルAについても特性を損なわない範囲で粒子を
含有していてもよい。さらに、積層フイルムにおいて原
料回収性の点でポリエステルAとポリエステルBを混合
して積層フイルムを製造してもよい。
【0021】本発明の柔軟性ポリエステルフイルムの厚
さは特に限定はないが、1〜1000μm、好ましくは
5〜500μmで有効に使用される。
【0022】本発明の粘着フイルムは、上記の如き柔軟
性を有することにより、貼り付け面への追従性が良く、
通常のPETフイルムでは得られない適度な締まり具合
があり巻き締まり性が改良される。また、ポリエステル
フイルムであるから、耐薬品性、耐熱性に優れ、可塑剤
の使用もない。さらに、本発明の粘着フイルムを構成す
る柔軟性ポリエステルフイルムは、強度が適度に小さい
ので、手切れ性が良く、染色性も良い。
【0023】とくに手切れ性を良くし、同時に柔軟性を
確保するには、2軸配向ポリエステルフイルムの破断強
度が20kg/mm2 以下が好ましい。
【0024】本発明の粘着フイルムは、上記のような柔
軟性ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、粘着剤
層を積層したものである。
【0025】この粘着剤層には、公知の各種のものを適
用でき、たとえば、合成ゴムを主剤とするものや、アク
リル系ポリマを主剤とするもの、クロロプレン系、ニト
リルゴム系、ポリエステル系を主剤とするものが適用で
きる。これらの粘着剤には、各種の粘着付与剤や充填
剤、安定剤などが添加される。
【0026】粘着フイルムの接着性は柔軟性ポリエステ
ルを使用することから接着力が向上することが特徴であ
る。さらに接着力を要する用途においてはアンカーコー
ト剤を塗布し、粘着層を設けてもよい。
【0027】本発明の柔軟性ポリエステルフイルムに
は、帯電防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、結晶核剤、耐
候剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などの添加剤を本発明
の目的を損なわない程度において用いることができる。
また、エンボス加工、サンドマット加工などの表面凹凸
加工、あるいはコロナ放電処理、プラズマ処理、アルカ
リ処理などの表面処理を必要に応じて施してもよい。さ
らに、本発明の柔軟性ポリエステルフイルムに易接着処
理剤、帯電防止剤、水蒸気・ガスバリア剤(ポリ塩化ビ
ニリデンなど)、離型剤、粘着剤、接着剤、難燃剤、紫
外線吸収剤、マット化剤、顔料、染料などのコーティン
グや印刷を行なってもよく、アルミニウム、酸化アルミ
ニウム、酸化珪素、パラジウムなどの金属やその化合物
を遮光、水蒸気・ガスバリア、表面導電性、赤外線反射
などの目的で真空蒸着してもよく、その目的、方法につ
いては上記に限定されない。
【0028】次に本発明の薄膜積層柔軟性ポリエステル
フイルムの製造方法について述べるがこれに限定される
ものではない。ポリエステルAとポリエステルBを別々
の押出機によって溶融押出し、フィードブロックあるい
はマニホールド複合口金を用いて2種のポリマをシート
状に複合押出し、急冷キャストする。得られたキャスト
シートは縦延伸、横延伸、更に熱処理を行なう通常の逐
次2軸延伸製膜プロセスによって製造される。なお、こ
の他に同時2軸延伸プロセス、チューブラープロセスな
どを採用することもできる。
【0029】上記の逐次2軸延伸プロセス、同時2軸延
伸プロセスなどにおいて、本発明の柔軟性ポリエステル
フイルムの物性値を達成するには、延伸倍率としては5
〜25倍、好ましくは6〜20倍、熱処理温度としては
120〜240℃、好ましくは130〜230℃である
ことが望ましい。
【0030】上記のようにして得られた2軸配向柔軟性
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、粘着剤層が
積層される。粘着剤層の積層方法としてはとくに限定さ
れず、粘着剤を溶解した溶剤を塗布後に乾燥などの公知
の方法が採用できる。
【0031】本発明の粘着フイルムは、従来柔軟性を有
する軟質塩化ビニルフイルム、ポリプロピレンフイルム
などが使用されていた粘着テープの用途に好適に使用す
ることができる。さらに、本発明のフイルムは、耐熱
性、耐薬品性に優れると共に易カット性、巻姿にも優れ
ている。
【0032】〔物性、特性の測定、評価方法〕以下に、
本発明の説明、あるいは後述の実施例の説明に用いた各
物性、特性の測定、評価方法について説明する。 (1)融点(Tm)、ガラス転移温度(Tg) 示差走査型熱量計DSC2(パーキンエルマー社製)を
用いて測定した。サンプ10mgを窒素気流下で280
℃、5分間溶融保持し、ついで液体窒素で急冷した。得
られたサンプルを10℃/分の速度で昇温する過程でガ
ラス状態からゴム状態への転移に基づく比熱変化を読取
りこの温度をガラス転移温度(Tg)とし、結晶融解に
基づく吸熱ピーク温度を融点(Tm)とした。
【0033】(2)機械特性 引っ張りヤング率、破断強度、破断伸度、応力について
はASTM−D−882−81(A法)に準じて測定し
た。
【0034】(3)面配向係数(fn) ナトリウムD線を光源として、アッベ屈折率計を用いて
長手方向、幅方向、厚み方向の屈折率(Nx,Ny,N
z)を測定し、下記式により求めた。 fn=(Nx+Ny)/2−Nz
【0035】(4)耐薬品性 25℃の雰囲気において、薬品中にフイルムを20分間
浸漬し、浸漬前及び浸漬後(濡れた状態)の寸法を測定
し、寸法変化を求めた。薬品としてはアセトン、イソプ
ロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、36%塩
酸、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
【0036】(5)易カット性 カッターでの切り易さにより下記のように判定した。 容易に切断でき、切口がきれい。 :A級 容易に切断できるが切口がややきたない。 :B級 うまく切断できず、裂けたり、割れたりする。 :C級
【0037】(6)剥離性及び巻姿 粘着テープを直径2mmの導線にスパイラル状に巻き付
け、さらに屈曲を繰り返し、テープの剥離性、巻姿を下
記のように判定した。 テープは剥離せず、巻姿良好 :A級 テープは剥離せず、巻姿がややしわが入るが問題ない。:B級 テープが剥離し、巻姿不良。 :C級
【0038】(7)耐熱性 160℃20分におけるフイルムの寸法変化を測定し
た。
【0039】
【実施例】以下に実施例によって本発明を説明する。 実施例1 ジカルボン酸成分としてテレフタル酸85モル%と炭素
数36の水添ダイマー酸15モル%、ジオール成分とし
てエチレングリコール100モル%を用いて公知の方法
で極限粘度0.75の共重合ポリエステルA(Tm22
2℃、Tg17℃)を得た。一方、ジカルボン酸成分と
してテレフタル酸90モル%とセバシン酸10モル%、
ジオール成分としてエチレングリコール100モル%を
用い、平均粒子径2μmの酸化珪素粒子0.2重量%を
添加し公知の方法で極限粘度0.80の共重合ポリエス
テルB(Tm233℃、Tg55℃)を得た。
【0040】これら2種類の共重合ポリエステルを公知
の真空乾燥機で乾燥後、ポリエステルAは90mmφの
押出機に、ポリエステルBは40mmφの押出機に供給
し、ポリエステルAは260℃、ポリエステルBは27
0℃で溶融押出し、ポリエステルB/ポリエステルA/
ポリエステルB(積層厚み比1:10:1)となるよう
3層に積層後、口金内で巾方向に拡大、1.0mmのス
リットからシート状に吐出した。該シートを正電荷を印
加しながら25℃に保ったキャスティングドラム上に密
着冷却固化させ、ついで延伸ロールで70℃で3.3倍
の縦延伸、テンター内で80℃で3.3倍の横延伸、2
00℃で5秒間の熱処理を行ない、2軸延伸された厚さ
25μmの柔軟性ポリエステルフイルムを得た。得られ
たフイルムの各種特性を表1に示す。
【0041】得られたフイルムに粘着剤として、アクリ
ル系粘着剤(大日本インキ(株)製、商品名ボンコート
PS−300エマルジョン)を水と混合し、30%固形
分に調製したものを使用し、前記フイルムの片面に塗布
し、120℃で乾燥しながら粘着テープを得た。得られ
たテープの易カット性、剥離性、巻姿はともにA級であ
った。
【0042】実施例2〜4 実施例2では熱処理温度を240℃にしたが、面配向度
が低下するために易カット性が少し低下した。実施例3
ではポリエステルBとしてポリエチレンテレフタレート
を用い、ポリエステルAとして水添ダイマー酸10モル
%共重合ポリエステルを使用し、積層比を1:30:1
とし、さらに粘着剤として合成ゴム粘着剤(東洋インキ
製造(株)製、BPS−4300)を用いたが良好な特
性を得た。実施例4ではポリエステルAとして水添ダイ
マー酸10モル%共重合ポリエステルを使用し単層フイ
ルムを得たが巻姿はやや劣るが良好な特性を得た。
【0043】比較例1 ポリエチレンテレフタレート(PET)フイルム(厚さ
25μm)の片面に粘着剤加工をし、実施例1と同様に
幅20mmの粘着テープを作成した。実施例1と同様に
銅線に巻き付け屈曲テストを行なったところ、フイルム
が銅線の曲率に追従できず、テープの剥離が生じた。
【0044】比較例2 平均重合度1300のポリ塩化ビニル100重量部に対
して、ジオクチルフタレート(DOP:共和発酵工業
(株)製)50重量%及びその他に安定剤としてカルシ
ウムステアレート粉末0.1重量部を添加し、表面温度
が160℃のロールで混練し、厚み70μmの粘着テー
プを得た。得られた粘着テープは耐薬品性、耐熱性に劣
っていた。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の粘着フイルムは、ヤング率が1
0〜250kg/mm2 の2軸配向ポリエステルフイル
ムの少なくとも片面に、粘着剤層を積層したので、粘着
テープ、シートに必要な柔軟性を確保しつつ、耐薬品
性、耐熱性に優れたフイルムとすることができ、また可
塑剤の使用もないので、使用上、使用後の問題が生じる
こともない。したがって、柔軟性、薬品性、耐熱性、さ
らには手切れ性を兼備した粘着テープ、シートに用いて
最適なフイルムが得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 7:00 4F 9:00 4F

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヤング率が10〜250kg/mm2
    2軸配向ポリエステルフイルムの少なくとも片面に粘着
    剤層を積層していることを特徴とする粘着フイルム。
  2. 【請求項2】 前記2軸配向ポリエステルフイルムがエ
    チレンテレフタレートを主たる構成成分とする柔軟性ポ
    リエステルAからなる請求項1の粘着フイルム。
  3. 【請求項3】 前記柔軟性ポリエステルAが炭素数8以
    上のアルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸を1
    〜40モル%含有する請求項2の粘着フイルム。
  4. 【請求項4】 前記2軸配向ポリエステルフイルムが少
    なくとも片面にガラス転移温度が45℃以上のポリエス
    テルBを積層してなる積層ポリエステルフイルムである
    請求項1ないし3のいずれかに記載の粘着フイルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06509536A (ja) * 1991-07-19 1994-10-27 ミネソタ マイニング アンド マニュファクチャリング カンパニー 伸張自在の接着テープにより包装物をユニット化する方法
JPH07227949A (ja) * 1994-02-21 1995-08-29 Toyobo Co Ltd ポリエステル複合フィルム
JPH08323944A (ja) * 1995-06-01 1996-12-10 Diafoil Co Ltd 窓貼り用柔軟積層ポリエステルフィルム
JP2001011420A (ja) * 1999-06-29 2001-01-16 Toyobo Co Ltd 半導体用接着剤フィルム、これを用いたリードフレーム及び半導体装置
JP2007177210A (ja) * 2005-12-02 2007-07-12 Nitto Denko Corp 加熱剥離型粘着シートおよびこの加熱剥離型粘着シートを用いた半導体チップの製造方法
JP2018140508A (ja) * 2017-02-27 2018-09-13 東レ株式会社 フィルム

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