JPWO2019181730A1 - 粘着テープおよび半導体装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 いわゆる先ダイシング法において、ドライポリッシュを行った場合であってもチップを安定して保持できる粘着テープを提供すること。【解決手段】 基材と、その片面に設けられた粘着剤層とを含む粘着テープであって、前記基材の60℃TMA値の絶対値が30μm以下である粘着テープ。【選択図】 なし

Description

本発明は粘着テープに関し、さらに詳しくはいわゆる先ダイシング法により半導体装置を製造する際に、半導体ウエハやチップを一時的に固定するために好ましく使用される粘着テープ、及びその粘着テープを用いた半導体装置の製造方法に関する。
各種電子機器の小型化、多機能化が進む中、それらに搭載される半導体チップも同様に、小型化、薄型化が求められている。チップの薄型化のために、半導体ウエハの裏面を研削して厚さ調整を行うことが一般的である。また、ウエハの表面側から所定深さの溝を形成した後、ウエハ裏面側から研削を行い、研削により溝の底部を除去してウエハを個片化し、チップを得る先ダイシング法と呼ばれる工法を利用することもある。先ダイシング法では、ウエハの裏面研削と、ウエハの個片化を同時に行うことができるので、薄型チップを効率よく製造できる。
従来、半導体ウエハの裏面研削時や、先ダイシング法によるチップの製造時には、ウエハ表面の回路を保護し、また、半導体ウエハ及び半導体チップを固定しておくために、ウエハ表面にバックグラインドシートと呼ばれる粘着テープを貼付するのが一般的である。
先ダイシング法において使用するバックグラインドシートとしては、基材と、基材の一方の面に設けた粘着剤層とを備える粘着テープが使用されている。このような粘着テープの一例として、特開2008−251934号公報(特許文献1)には、基材フィルム上に放射線硬化性粘着剤層を設けた半導体ウエハ加工用粘着テープが提案されている。
上記のような先ダイシング法によるウエハの個片化時には、裏面研削を行う際に、研削時に発生する熱や研削屑を除去するため、研削面に水を供給しながら裏面研削を行う。しかし、このような従来の裏面研削では、チップ裏面に研削痕が残り、またチップの端部には微小な欠け(チッピング)が発生するため、チップの抗折強度を損なう要因となることが判明した。特にチップの薄型化の結果、チップは破損しやすくなり、抗折強度の低下は問題視されている。
特開2008−251934号公報
上記のような研削痕やチップの微小な欠け(以下、これらを総称して「ダメージ部」と呼ぶことがある)を除去するため、水を用いた裏面研削後に、さらに最終的に水を用いないドライポリッシュによりダメージ部を除去し、チップの抗折強度を向上させることが検討されている。しかし、ドライポリッシュ時には水は使用されないため、チップは熱を帯びる。チップの熱は粘着テープに伝搬する。この結果、ドライポリッシュ時には、粘着テープの基材温度が60℃以上になる場合がある。
粘着テープの基材は、樹脂フィルムから形成されているため、熱により変形しやすい。裏面研削時には、粘着テープの基材面側から吸引を行い、粘着テープを固定しているが、粘着テープの端部においては吸引力が不足することがある。この際に粘着テープの基材が熱により僅かでも変形すると、端部において粘着テープの固定が不十分になり、粘着テープ端部がカールすることがある。この結果、粘着テープ上のチップが剥離する。チップの剥離は歩留りの低下を招くだけではなく、剥離したチップが、他のチップに接触して他のチップを破損し、また研削装置に損傷を与えたり、次工程への搬送不良原因となる。
したがって、本発明は、半導体ウエハ等の加工時にウエハやチップ等を安定して保持できる粘着テープを提供することを目的としている。特に、いわゆる先ダイシング法において、ドライポリッシュを行った場合であってもチップを安定して保持できる粘着テープを提供することを目的としている。
このような課題の解決を目的とした本発明の要旨は以下の通りである。
(1)基材と、その片面に設けられた粘着剤層とを含む粘着テープであって、
前記基材の60℃TMA値の絶対値が30μm以下である粘着テープ。
(2)前記基材を60℃で3分保持した後の寸法変化率の絶対値が0.8%以下である
(1)に記載の粘着テープ。
(3)前記基材の23℃における引張弾性率(E23)と60℃における引張弾性率(
60)とから求められる弾性率変化率E(23−60)が30%以下である(1)または(2)に記載の粘着テープ。
(4)半導体ウエハ表面に溝が形成された半導体ウエハの裏面を研削して、その研削に
より半導体ウエハを半導体チップに個片化する工程において、半導体ウエハの表面に貼付されて使用される、(1)〜(3)の何れかに記載の粘着テープ。
(5)前記半導体ウエハを半導体チップに個片化した後、ドライポリッシュを行う工程を含む、(4)に記載の粘着テープ。
(6)半導体ウエハの表面側から溝を形成する工程と、
上記(1)〜(4)の何れか1項に記載の粘着テープを、前記半導体ウエハの表面に貼付する工程と、
前記粘着テープが表面に貼付され、かつ前記溝が形成された半導体ウエハを、裏面側から研削して、前記溝の底部を除去して複数のチップに個片化させる工程と、
前記複数のチップから粘着テープを剥離する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
(7)前記半導体ウエハを半導体チップに個片化した後、ドライポリッシュを行う工程を含む、(6)に記載の半導体装置の製造方法。
本発明に係る粘着テープは、熱による基材の変形を極めて低いレベルに抑えることで、ドライポリッシュ時のカールを防止できる。このため、ドライポリッシュ工程を含む先ダイシング法でも高い歩留りで半導体チップを製造することができる。
また、本発明の粘着テープは、熱変形が極めて低いレベルに抑制されているため、通常の裏面研削工程においても使用することができる。
以下、本発明に係る粘着テープについて、具体的に説明する。まず、本明細書で使用する主な用語を説明する。
本明細書において、例えば「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の双方を示す語として用いており、他の類似用語についても同様である。
粘着テープとは、基材と、その片面に設けられた粘着剤層とを含む積層体を意味し、これら以外の他の構成層を含むことを妨げない。たとえば、粘着剤層側の基材表面には基材表面と粘着剤層界面での密着性向上や低分子量成分の移行防止等を目的としプライマー層が形成されていてもよく、粘着剤層の表面には、使用時まで粘着剤層を保護するための剥離シートが積層されていてもよい。また、基材は単層であってもよく、多層であってもよい。粘着剤層も同様である。
半導体ウエハの「表面」とは回路が形成された面を指し、「裏面」は回路が形成されていない面を指す。
半導体ウエハの個片化とは、半導体ウエハを回路毎に分割し、半導体チップを得ることを言う。
ドライポリッシュとは、水や砥粒のスラリーを用いずに研磨パフにより研磨する工程を意味する。研磨パフとしては各種汎用の研磨パフが用いられ、市販品としては、ディスコ社の研磨ホイール「Gettering DP」や、「DP08 SERIES」が用いられるが、これらに限定されない。ドライポリッシュによりチップのダメージ部、すなわち研削痕やチップの微小な欠け(チッピング)を除去する。
先ダイシング法とは、ウエハの表面側から所定深さの溝を形成した後、ウエハ裏面側から研削を行い、研削によりウエハを個片化する方法を言う。
次に、本発明の粘着テープの各部材の構成をさらに詳細に説明する。
[基材]
(基材物性)
粘着テープの基材としては、60℃TMA値の絶対値が30μm以下であるフィルムまたはシートが用いられる。
60℃TMA値の絶対値は、基材を構成するフィルムまたはシートと同一の材質からなる15mm(幅)×10mm(長さ)の測定用フィルムを用い、BRUKER社製4000SAにより、荷重2g、昇温速度5℃/分で測定用フィルムの伸びまたは縮みを測定し(TMA値)、60℃における値の絶対値をいう。上記以外の測定条件については、測定装置の操作マニュアルに準じて設定する。測定用フィルムが伸びた場合には、TMA値はプラスであり、縮んだ場合にはマイナスになる。本明細書では10個以上のサンプルについて測定し、得られたTMA値を平均し、絶対値により評価する。
60℃TMA値の絶対値は、60℃における基材の変形性の指標の1つであり、値が低いほど変形が抑制されていることを意味する。したがって60℃TMA値の絶対値が30μm以下の基材は、60℃における熱変形が極めて少ない。粘着テープの基材として汎用されているポリ塩化ビニルでは40μm程度であり、エチレン/メタクリル酸共重合体では220μm程度である。
60℃TMA値の絶対値が30μm以下であると、ドライポリッシュ時に粘着テープが60℃前後に加熱されても変形が抑制され、粘着テープの端部におけるチップの剥離が低減される。何ら理論的に拘束されるものではないが、かかる効果の発現のメカニズムは以下のように推定される。半導体ウエハは直径が6インチあるいは8インチ、さらには12インチと大口径化しつつある。そして、ウエハの外周部には回路が形成されていない余剰領域が形成されている。裏面研削時あるいは先ダイシング時にウエハの回路面に貼付される粘着テープは、半導体ウエハと略同サイズである。60℃TMA値の絶対値が上記範囲にあり、粘着テープが比較的大面積であれば、基材の熱変形による影響は全体としては軽微であるため、粘着テープの端部が僅かにカールしても、その影響は余剰領域に留められ、製品チップの剥離、脱落を引き起こすことはない。また、余剰領域における粘着テープの変形も少なく、余剰領域の廃棄チップの脱落も低減される。一方、60℃TMA値の絶対値が30μmを超えると、基材の熱変形による粘着テープのカールが、回路形成領域にも及ぶため、製品チップや余剰領域のチップが多数剥離、脱落し、歩留りの低下を招くだけではなく、剥離したチップが、他のチップに接触して他のチップを破損したり、また研削装置に損傷を与えたり、次工程への搬送不良原因となる。
基材の60℃TMA値の絶対値は、好ましくは5〜25μmである。さらに好ましくは10〜20μmである。
60℃TMA値の絶対値は低いほど好ましいが、低すぎる基材は、柔軟性に欠けることが多く、上記の範囲とすることが好ましい。基材が過度に硬い場合には、貼付性に劣り、また裏面研削時に回路面に圧力がかかり、チップの微小な欠け(チッピング)が発生したり回路やバンプ電極を傷つけることがある。ただし、フィルムが十分に柔軟な場合には、60℃TMA値の絶対値は5μm以下であってもよく、7μm以下であってもよい。
また、基材を60℃で3分保持した後の寸法変化率の絶対値は好ましくは0.8%以下である。寸法変化率の測定は、JIS C2151、ASTM D1204に準拠するが、測定温度は60℃、保持時間は3分とする。
寸法変化率は、基材を構成するフィルムまたはシートと同一の材質からなる10cm×10cmの測定用フィルムを用いて測定する。測定用フィルムの寸法は23℃での測定値である。測定用サンプルを熱風循環式恒温槽中に、所定温度で所定時間静置する。その後、室温(23℃)まで冷却した後、加熱前の23℃における一辺の長さ(10cm:L)と、加熱後の23℃における同じ辺の長さ(L)とから以下の式により寸法変化率を求める。本明細書では10個以上のサンプルについて測定し、得られた寸法変化率を平均し、絶対値により評価する。なお、測定値はMD方向の測定値を使用する。
寸法変化率(%)=100×(L−L)/L
60℃3分での寸法変化率の絶対値は、60℃における基材の変形性の指標の1つであり、値が低いほど変形が抑制されていることを意味する。したがって60℃3分での寸法変化率の絶対値が0.8%以下の基材は、60℃における熱変形が極めて少ない。粘着テープの基材として汎用されているポリ塩化ビニルでは0.9%程度であり、エチレン/メタクリル酸共重合体では1%程度である。
60℃3分での寸法変化率の絶対値が0.8%以下であると、ドライポリッシュ時に粘着テープが60℃前後に加熱されても変形が抑制され、粘着テープの端部におけるチップの剥離が低減される。何ら理論的に拘束されるものではないが、かかる効果の発現のメカニズムは上記のTMA値と同様に、基材の熱変形による影響は全体としては軽微であるため、粘着テープの端部が僅かにカールしても、その影響は余剰領域に留められ、製品チップの剥離、脱落を引き起こすことはないためと考えられる。また、余剰領域における粘着テープの変形も少なく、余剰領域のチップの脱落も低減される。一方、60℃3分での寸法変化率の絶対値が0.8%を超えると、基材の熱変形による粘着テープのカールが、回路形成領域にも及ぶため、製品チップや余剰領域のチップが多数剥離、脱落し、歩留りの低下を招くだけではなく、剥離したチップが、他のチップに接触して他のチップを破損したり、また研削装置に損傷を与えたり、次工程への搬送不良原因となることがある。
60℃3分での寸法変化率の絶対値は、低いほど良好な結果となり、さらに好ましくは0〜0.5%である。また本発明の別の態様では、0.5〜0.8%であってもよい。基材の60℃3分での寸法変化率の絶対値は、より好ましくは0〜0.2%であり、最も好ましくは0%である。
また、基材の熱変形性を、常温での引張弾性率に対する所定温度における引張弾性率の変化率によって評価することもできる。常温(23℃)における引張弾性率(E23)と所定温度(n℃)での引張弾性率(E)とから、23℃からn℃までの温度変化における弾性率変化率E(23−n)(%)は、100×(E23−E)/E23で求められる。
なお、引張弾性率は、基材を構成するフィルムまたはシートと同一の材質からなる15mm(幅)×10mm(長さ)の測定用フィルムを用いオリエンテック社製Rheovibron DDV−II−EP1により、測定周波数11Hzで測定した値をいう。本明細書では10個以上のサンプルについて測定し、得られた引張弾性率の平均値により評価する。
本発明の基材は、23℃における引張弾性率(E23)と60℃における引張弾性率(E60)とから求められる弾性率変化率E(23−60)が好ましくは30%以下である。
弾性率変化率E(23−60)は、60℃における基材の変形性の指標の1つであり、値が低いほど変形が抑制されていることを意味する。したがって弾性率変化率E(23−60)が30%以下の基材は、60℃における熱変形が極めて少ない。粘着テープの基材として汎用されているポリ塩化ビニルでは弾性率変化率E(23−60)は95%程度であり、エチレン/メタクリル酸共重合体では70%程度である。
弾性率変化率E(23−60)が30%以下であると、ドライポリッシュ時に粘着テープが60℃前後に加熱されても変形が抑制され、粘着テープの端部におけるチップの剥離が低減される。何ら理論的に拘束されるものではないが、かかる効果の発現のメカニズムは以下のように推定される。ドライポリッシュ時における基材の加熱および、研磨時にチップに加わる剪断力により基材が変形することがある。特に加熱により基材の弾性率が低下すると変形を受けやすくなり、予測できない変形を引き起こすことがある。しかし、弾性率変化率E(23−60)が30%以下であると、常温時の特性がほぼ維持されるため、温度変化による変形も抑制されると考えられる。一方、弾性率変化率E(23−60)が30%を超えると、基材の加熱により常温時の特性から大きく変化し、予想できない変形を引き起こすことがある。この結果、熱変形により粘着テープがカールし、製品チップや余剰領域のチップが多数剥離、脱落し、歩留りの低下を招くだけではなく、剥離したチップが、他のチップに接触して他のチップを破損したり、また研削装置に損傷を与えたり、次工程への搬送不良原因となることがある。
弾性率変化率E(23−60)は、低いほど良好な結果となり、さらに好ましくは25%以下であり、より好ましくは20%以下である。また、下限値は特に限定はされないが、材料の入手等の観点から、3%以上である。
さらに、基材の23℃における引張弾性率(E23)は、好ましくは200〜2000MPa、さらに好ましくは350〜1500MPaである。粘着テープの基材として汎用されているポリ塩化ビニルでは引張弾性率(E23)は450MPa程度であり、エチレン/メタクリル酸共重合体では110MPa程度である。
さらに、基材の60℃における引張弾性率(E60)は、好ましくは150〜1400MPa、さらに好ましくは300〜1200MPaである。粘着テープの基材として汎用されているポリ塩化ビニルでは引張弾性率(E60)は22MPa程度であり、エチレン/メタクリル酸共重合体では34MPa程度である。
(非限定的具体例)
本発明の基材は、上記の物性を満たす限り特に限定はされず、種々の材質の樹脂フィルムまたはシートであってもよい。このような基材は、各種の樹脂シートについてTMA測定、さらに必要に応じ寸法変化率、弾性率測定を行うことで、容易に所望の特性のシートを選択することができる。以下に本発明の基材の一例を詳述するが、これらは単に基材の入手を容易するための記載であって、何ら限定的に解釈されるべきではない。
本発明の基材は、たとえば比較的硬質の樹脂フィルムからなる第1基材と、比較的軟質の樹脂フィルムからなる第2基材との積層体であってもよい。性質の異なる樹脂フィルムの積層体とすることで、特性の制御が容易になり、所望の特性の基材を簡便に得られる。また、本発明の基材は、第1基材と第2基材との2層からなる積層体であってもよく、さらに、第1基材の両面に、同一または異なる第2基材が積層された3層構造の積層体であってもよい。
(第1基材)
第1基材は、ヤング率が1000MPa以上である剛性フィルムが好ましく、より好ましくは1800〜30000MPa、さらに好ましくは2500〜6000MPaである。
基材の構成層としてヤング率が高い剛性フィルムを使用すると、粘着テープによる半導体ウエハ又は半導体チップに対する保持性能が高まり、裏面研削時の振動等を抑制することで、半導体チップの欠けや破損を防止しやすくなる。また、ヤング率が上記範囲であることで、粘着テープを半導体チップから剥離する際の応力を小さくすることが可能になり、テープ剥離時に生じるチップ欠けや破損を防止しやすくなる。さらに、粘着テープを半導体ウエハに貼付する際の作業性も良好とすることが可能である。
ここで、ヤング率が1000MPa以上の剛性フィルムとしては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、全芳香族ポリエステル等のポリエステル、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、変性ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、二軸延伸ポリプロピレン等のフィルムが挙げられる。
これら樹脂フィルムの中でも、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルムから選ばれる1種以上を含むフィルムが好ましく、ポリエステルフィルムを含むことがより好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムを含むことがさらに好ましい。
第1基材の厚さ(D1)は、500μm以下であることが好ましく、15〜350μmであることがより好ましく、20〜160μmであることがさらに好ましい。第1基材の厚さを500μm以下とすることで、粘着テープの剥離力を上記した所定の値に調整しやすくなる。また、15μm以上とすることで、基材が粘着テープの支持体としての機能を果たしやすくなる。
また、第1基材には、本発明の効果を損なわない範囲において、可塑剤、滑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、フィラー、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、触媒等を含有させてもよい。また、第1基材は、透明なものであっても、不透明なものであってもよく、所望により着色又は蒸着されていてもよい。
また、第1基材の少なくとも一方の表面には、第2基材及び粘着剤層の少なくとも一方との密着性を向上させるために、コロナ処理等の接着処理を施してもよい。また、第1基材は、上記した樹脂フィルムと、樹脂フィルムの少なくとも一方の表面に被膜された易接着層とを有しているものでもよい。
易接着層を形成する易接着層形成用組成物としては、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、アクリル系樹脂等を含む組成物が挙げられる。易接着層形成用組成物には、必要に応じて、架橋剤、光重合開始剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、顔料、染料等を含有してもよい。
易接着層の厚さとしては、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.03〜5μmである。なお、易接着層の厚さは、第1基材の厚さに対して小さく、材質も柔らかいため、ヤング率に与える影響は小さく、第1基材のヤング率は、易接着層を有する場合でも、樹脂フィルムのヤング率と実質的に同一である。
(第2基材)
第2基材は、比較的軟質の樹脂フィルムからなり、半導体ウエハの研削による振動を緩和して、半導体ウエハに割れ及び欠けが生じることを防止する。また、粘着テープを貼付した半導体ウエハは、裏面研削時に、吸着テーブル上に配置されるが、粘着テープは第2基材を設けたことで、吸着テーブルへの保持性が向上するとともに裏面研削後の吸着テーブルからの剥離性が付与される。
第2基材は、23℃における貯蔵弾性率が100〜1500MPaであることが好ましく、200〜1200MPaであることがより好ましい。また、第2基材の応力緩和率は、70〜100%が好ましく、78〜98%であることがより好ましい。
第2基材が、上記範囲内の弾性率及び応力緩和率を有することで、粘着テープと吸着テーブルとの間に挟み込んでしまった微細異物の凹凸や、裏面研削時に生じる砥石の振動や衝撃を第2基材が吸収する効果が高くなる。
第2基材の厚さ(D2)の第1基材の厚さ(D1)に対する比(D2/D1)は0.7以下であることが好ましい。厚さ比(D2/D1)が、0.7より大きいと、粘着テープにおいて、剛性の高い部分の割合が少なくなるため、半導体ウエハや半導体チップは、基材により適切に保持されにくくなり、研削時の振動が低減しにくくなる。したがって、先ダイシング法により、小型かつ薄型の半導体チップに個片化するような場合に、第2基材の材料に適切なものを選択しても、裏面研削により個片化する際に生じる半導体チップの欠けが防止されにくくなる。
チップ欠けを低減させつつ、第2基材を適切な厚さとして粘着テープの緩衝性能を良好にするために、厚さ比(D2/D1)は、0.10〜0.70であることが好ましい。
第2基材の−5〜120℃における動的粘弾性のtanδの最大値(以下、単に「tanδの最大値」ともいう)は、好ましくは0.7以上、より好ましくは0.8以上、更に好ましくは1.0以上である。なお、tanδの最大値の上限は、特に限定されないが、通常、2.0である。
第2基材のtanδの最大値が0.7以上であれば、裏面研削時に生じる砥石の振動や衝撃を第2基材が吸収する効果が高くなる。そのため、先ダイシング法において、半導体ウエハ又は個片化された半導体チップを、極薄になるまで研削しても、チップの角等において欠けが生じたりすることを防止しやすくなる。
なお、tanδは損失正接と呼ばれ、「損失弾性率/貯蔵弾性率」で定義され、動的粘弾性測定装置により対象物に与えた引張り応力やねじり応力等の応力に対する応答によって測定される値である。
第2基材の厚さ(D2)は、8〜80μmであることが好ましく、10〜60μmであることがさらに好ましい。第2基材の厚さを8μm以上とすることで、第2基材が裏面研削時の振動を適切に緩衝できるようになる。また、80μm以下であることで、厚さ比(D2/D1)を上記した値に調整しやすくなる。また基材が、第1基材の両面に、同一または異なる第2基材が積層された3層構造の積層体である場合には、第2基材の厚さ(D2)は好ましくは35μm以下であり、さらに好ましくは30μm以下とする。3層構造の積層体では、比較的軟質な第2基材の物性が支配的になることがあるが、第2基材の厚みを上記の範囲とすることで、所望の60℃TMA値、寸法変化率等に調整しやすくなる。
第2基材は、低密度ポリエチレンのような軟質フィルムから形成されていてもよいが、エネルギー線重合性化合物を含む第2基材形成用組成物から形成される層であることが好ましい。第2基材は、エネルギー線重合性化合物を含むことで、エネルギー線が照射されることで硬化することが可能になる。なお、「エネルギー線」とは、紫外線、電子線等を指し、好ましくは紫外線を使用する。
また、第2基材形成用組成物は、より具体的には、ウレタン(メタ)アクリレート(a1)、環形成原子数6〜20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2)を含むことが好ましい。第2基材形成用組成物は、これら2成分を含有することで、第2基材の弾性率、第2基材の応力緩和率、及びtanδの最大値を上記した範囲内としやすくなる。また、第2基材形成用組成物は、これら観点から、上記(a1)及び(a2)成分に加えて、官能基を有する重合性化合物(a3)を含有することがより好ましい。
また、第2基材形成用組成物は、上記(a1)及び(a2)又は(a1)〜(a3)成分に加えて、光重合開始剤を含有することがさらに好ましく、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤や樹脂成分を含有してもよい。
以下、第2基材形成用組成物中に含まれる各成分について詳細に説明する。
(ウレタン(メタ)アクリレート(a1))
ウレタン(メタ)アクリレート(a1)としては、少なくとも(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有する化合物であり、エネルギー線照射により重合硬化する性質を有するものである。ウレタン(メタ)アクリレート(a1)は、オリゴマーまたはポリマーである。
成分(a1)の質量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは2,000〜60,000、更に好ましくは3,000〜20,000である。なお、質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定されるポリスチレン換算の値であり、具体的には以下の条件で測定される。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column HXL−H」「TSK gel GMHXL(×2)」「TSK gel G2000HXL」(いずれも東ソー株式会社製)
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
また、成分(a1)中の(メタ)アクリロイル基数(以下、「官能基数」ともいう)としては、単官能、2官能、もしくは3官能以上でもよいが、単官能又は2官能であることが好ましい。
成分(a1)は、例えば、ポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートを反応させて得ることができる。なお、成分(a1)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
成分(a1)の原料となるポリオール化合物は、ヒドロキシ基を2つ以上有する化合物であれば特に限定されない。具体的なポリオール化合物としては、例えば、アルキレンジオール、ポリエーテル型ポリオール、ポリエステル型ポリオール、ポリカーボネート型ポリオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステル型ポリオールが好ましい。
なお、ポリオール化合物としては、2官能のジオール、3官能のトリオール、4官能以上のポリオールのいずれであってもよいが、2官能のジオールが好ましく、ポリエステル型ジオールがより好ましい。
多価イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族系ポリイソシアネート類;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族系ジイソシアネート類;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の芳香族系ジイソシアネート類等が挙げられる。
これらの中でも、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが好ましい。
上述のポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させてウレタン(メタ)アクリレート(a1)を得ることができる。ヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、少なくとも1分子中にヒドロキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されない。
具体的なヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルアミド;ビニルアルコール、ビニルフェノール、ビスフェノールAのジグリシジルエステルに(メタ)アクリル酸を反応させて得られる反応物等が挙げられる。
これらの中でも、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
末端イソシアネートウレタンプレポリマー及びヒドロキシ基を有する(メタ)アクリレートを反応させる条件としては、必要に応じて添加される溶剤、触媒の存在下、60〜100℃で、1〜4時間反応させる条件が好ましい。
第2基材形成用組成物中の成分(a1)の含有量は、第2基材形成用組成物の全量(100質量%)に対して、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは25〜55質量%、より更に好ましくは30〜50質量%である。
(環形成原子数6〜20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物(a2))
成分(a2)は、環形成原子数6〜20の脂環基又は複素環基を有する重合性化合物であり、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。この成分(a2)を用いることで、得られる第2基材形成用組成物の成膜性を向上させることができる。
成分(a2)が有する脂環基又は複素環基の環形成原子数は、好ましくは6〜20であるが、より好ましくは6〜18、更に好ましくは6〜16、特に好ましくは7〜12である。当該複素環基の環構造を形成する原子としては、例えば、炭素原子、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
なお、環形成原子数とは、原子が環状に結合した構造の化合物の当該環自体を構成する原子の数を表し、環を構成しない原子(例えば、環を構成する原子に結合した水素原子)や、当該環が置換基によって置換される場合の置換基に含まれる原子は環形成原子数には含まない。
具体的な成分(a2)としては、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート等の脂環基含有(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート等の複素環基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
なお、成分(a2)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、脂環基含有(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレートがより好ましい。
第2基材形成用組成物中の成分(a2)の含有量は、第2基材形成用組成物の全量(100質量%)に対して、好ましくは10〜70質量%、より好ましくは20〜60質量%、更に好ましくは25〜55質量%、特に好ましくは30〜50質量%である。
(官能基を有する重合性化合物(a3))
成分(a3)は、水酸基、エポキシ基、アミド基、アミノ基等の官能基を含有する重合性化合物であり、さらには、少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
成分(a3)は、成分(a1)との相溶性が良好であり、第2基材形成用組成物の粘度を適度な範囲に調整しやすくする。また、成分(a3)を含有すると、当該組成物から形成される第2基材の弾性率やtanδの値を上記した範囲としやすくなり、第2基材を比較的薄くしても緩衝性能が良好になる。
成分(a3)としては、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート、エポキシ基含有化合物、アミド基含有化合物、アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、フェニルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エポキシ基含有化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらの中では、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有(メタ)アクリレートが好ましい。
アミド基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
アミノ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、第1級アミノ基含有(メタ)アクリレート、第2級アミノ基含有(メタ)アクリレート、第3級アミノ基含有(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、フェニルヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の芳香環を有する水酸基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
なお、成分(a3)は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2基材形成用組成物中の成分(a3)の含有量は、第2基材の弾性率及び応力緩和率を上述の範囲としやすくし、かつ、第2基材形成用組成物の成膜性を向上させるために、第2基材形成用組成物の全量(100質量%)に対して、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは7〜35質量%、更に好ましくは10〜30質量%、特に好ましくは13〜25質量%である。
また、第2基材形成用組成物中の成分(a2)と成分(a3)との含有量比〔(a2)/(a3)〕は、好ましくは0.5〜3.0、より好ましくは1.0〜3.0、更に好ましくは1.3〜3.0、特に好ましくは1.5〜2.8である。
(成分(a1)〜(a3)以外の重合性化合物)
第2基材形成用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、上記の成分(a1)〜(a3)以外のその他の重合性化合物を含有してもよい。
その他の重合性化合物としては、例えば、炭素数1〜20のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等のビニル化合物:等が挙げられる。なお、これらのその他の重合性化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2基材形成用組成物中のその他の重合性化合物の含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、特に好ましくは0〜2質量%である。
(光重合開始剤)
第2基材形成用組成物には、第2基材を形成する際、光照射による重合時間を短縮させ、また、光照射量を低減させる観点から、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物、さらには、アミンやキノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロルニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8−クロールアンスラキノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
第2基材形成用組成物中の光重合開始剤の含有量は、エネルギー線重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.05〜15質量部、より好ましくは0.1〜10質量部、更に好ましくは0.3〜5質量部である。
(その他の添加剤)
第2基材形成用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、顔料、染料等が挙げられる。これらの添加剤を配合する場合、第2基材形成用組成物中の各添加剤の含有量は、エネルギー線重合性化合物の合計量100質量部に対して、好ましくは0.01〜6質量部、より好ましくは0.1〜3質量部である。
(樹脂成分)
第2基材形成用組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、樹脂成分を含有してもよい。樹脂成分としては、例えば、ポリエン・チオール系樹脂や、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、及びスチレン系共重合体等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
第2基材形成用組成物中のこれらの樹脂成分の含有量は、好ましくは0〜20質量%、より好ましくは0〜10質量%、更に好ましくは0〜5質量%、特に好ましくは0〜2質量%である。
(基材の調製)
本発明の粘着テープの基材の非限定的一例は、上記第1基材と第2基材との積層体である。製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、剥離シート上に第2基材形成用組成物を塗工、硬化して設けた第2基材と、第1基材とを直接貼り合わせ、剥離シートを除去することで、積層基材が得られる。
剥離シート上に第2基材を形成する方法としては、剥離シート上に第2基材形成用組成物を、公知の塗布方法にて、直接塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜にエネルギー線を照射することで、第2基材を形成することができる。また、第1基材の片面に、第2基材形成用組成物を直接塗布して、加熱乾燥あるいは塗布膜にエネルギー線を照射することで、第2基材を形成してもよい。
第2基材形成用組成物の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。また、塗布性を向上させるために、第2基材形成用組成物に対して有機溶媒を配合し、溶液の形態として、剥離シート上に塗布してもよい。
第2基材形成用組成物がエネルギー線重合性化合物を含む場合、第2基材形成用組成物の塗布膜に対して、エネルギー線を照射することで硬化させ、第2基材を形成することが好ましい。第2基材の硬化は、一度の硬化処理で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。例えば、剥離シート上の塗布膜を完全に硬化させて第2基材を形成した後に第1基材に貼り合わせてもよく、当該塗布膜を完全に硬化させずに半硬化の状態の第2基材形成膜を形成し、当該第2基材形成膜を第1基材に貼り合わせた後、再度エネルギー線を照射して完全に硬化させて第2基材を形成してもよい。当該硬化処理で照射するエネルギー線としては、紫外線が好ましい。なお、硬化する際は、第2基材形成用組成物の塗布膜が暴露された状態でもよいが、剥離シートや第1基材で塗布膜が覆われ、塗布膜が暴露されない状態でエネルギー線を照射して硬化することが好ましい。
さらに、基材は第1基材の片面もしくは両面に第2基材をラミネートして得ることもできる。また、本発明の基材は、前記第1基材および第2基材の他に、所定の60℃TMA値を満足する限りにおいて、他の構成層を有していても良い。
基材の総厚は上記第1基材、第2基材および必要に応じ用いられてもよい他の構成層の合計厚みであり、好ましくは23〜150μm、さらに好ましくは30〜140μmである。
本発明の基材の一例である上記積層基材は、第1基材と第2基材との積層体であり、その物性は、第1基材、第2基材の材質や厚みにより制御できる。したがって、所望の特性の基材を得る上では、下記の指針に沿って、第1基材、第2基材のそれぞれの特性のバランスを図ることが重要である。
基材の60℃TMA値、寸法変化率、弾性率変化率は、基材を構成するフィルムを適宜に選択することで制御できる。たとえば構成フィルムとして、比較的高いTgを有するフィルムや、基材の製膜時にアニール処理することで、これらの値を低くすることができる。また、基材が第1基材と第2基材との積層基材の場合も同様に、第1基材あるいは第2基材、もしくはこの両者を、高Tgのフィルムやアニール処理されたフィルムで構成することで、60℃TMA値、寸法変化率、弾性率変化率を低い範囲に制御できる。さらに、積層基材の場合には、高Tgのフィルムやアニール処理されたフィルムの相対的な厚みを厚くすることで、60℃TMA値、寸法変化率、弾性率変化率を低い範囲に制御できる。また、他の構成層を用いる場合には、比較的剛性の高いフィルムを用いると、60℃TMA値、寸法変化率、弾性率変化率を低い範囲に制御できる。
[粘着剤層]
粘着剤は、常温において適度な感圧接着性を有する限り特に限定はされないが、23℃における貯蔵弾性率が0.05〜0.50MPaであるものが好ましい。半導体ウエハの表面には、回路等が形成され通常凹凸がある。粘着テープは、貯蔵弾性率が上記範囲内となることで、凹凸があるウエハ表面に貼付される際、ウエハ表面の凹凸と粘着剤層とを十分に接触させ、かつ粘着剤層の接着性を適切に発揮させることが可能になる。そのため、粘着テープの半導体ウエハへの固定を確実に行い、かつ裏面研削時にウエハ表面を適切に保護することが可能になる。これらの観点から、粘着剤の貯蔵弾性率は、0.10〜0.35MPaであることがより好ましい。なお、粘着剤の貯蔵弾性率とは、粘着剤層がエネルギー線硬化性粘着剤から形成される場合には、エネルギー線照射による硬化前の貯蔵弾性率を意味する。
粘着剤層の厚さ(D3)は、200μm未満であることが好ましく、5〜55μmがより好ましく、10〜50μmがさらに好ましい。粘着剤層をこのように薄くすると、粘着テープにおいて、剛性の低い部分の割合を少なくすることができるため、裏面研削時に生じる半導体チップの欠けを一層防止しやすくなる。
粘着剤層は、例えば、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等から形成されるが、アクリル系粘着剤が好ましい。
また、粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から形成されることが好ましい。粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤から形成されることで、エネルギー線照射による硬化前には、23℃における弾性率を上記範囲に設定しつつ、硬化後においては剥離力を1000mN/50mm以下に容易に設定することが可能になる。
以下、粘着剤の具体例について詳述するが、これらは非限定的例示であり、本発明における粘着剤層はこれらに限定的に解釈されるべきではない。
エネルギー線硬化性粘着剤としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(「粘着性樹脂I」ともいう)に加え、粘着性樹脂以外のエネルギー線硬化性化合物を含むエネルギー線硬化性粘着剤組成物(以下、「X型の粘着剤組成物」ともいう)が使用可能である。また、エネルギー線硬化性粘着剤として、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂の側鎖に不飽和基を導入したエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(以下、「粘着性樹脂II」ともいう)を主成分として含み、粘着性樹脂以外のエネルギー線硬化性化合物を含まない粘着剤組成物(以下、「Y型の粘着剤組成物」ともいう)も使用してもよい。
さらに、エネルギー線硬化性粘着剤としては、X型とY型の併用型、すなわち、エネルギー線硬化性の粘着性樹脂IIに加え、粘着性樹脂以外のエネルギー線硬化性化合物も含むエネルギー線硬化性粘着剤組成物(以下、「XY型の粘着剤組成物」ともいう)を使用してもよい。
これらの中では、XY型の粘着剤組成物を使用することが好ましい。XY型のものを使用することで、硬化前においては十分な粘着特性を有する一方で、硬化後においては、半導体ウエハに対する剥離力を十分に低くすることが可能である。
ただし、粘着剤としては、エネルギー性を照射しても硬化しない非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物から形成してもよい。非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物は、少なくとも非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂Iを含有する一方、上記したエネルギー線硬化性の粘着性樹脂II及びエネルギー線硬化性化合物を含有しないものである。
なお、以下の説明において“粘着性樹脂”は、上記した粘着性樹脂I及び粘着性樹脂IIの一方又は両方を指す用語として使用する。具体的な粘着性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられるが、アクリル系樹脂が好ましい。
以下、粘着性樹脂として、アクリル系樹脂が使用されるアクリル系粘着剤についてより詳述に説明する。
アクリル系樹脂には、アクリル系重合体(b)が使用される。アクリル系重合体(b)は、少なくともアルキル(メタ)アクリレートを含むモノマーを重合して得たものであり、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む。アルキル(メタ)アクリレートとしては、アルキル基の炭素数が1〜20のものが挙げられ、アルキル基は直鎖であってもよいし、分岐であってもよい。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)メタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、アクリル系重合体(b)は、粘着剤層の粘着力を向上させる観点から、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含むことが好ましい。該アルキル(メタ)アクリレートの炭素数としては、好ましくは4〜12、更に好ましくは4〜6である。また、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートは、アルキルアクリレートであることが好ましい。
アクリル系重合体(b)において、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクリレートは、アクリル系重合体(b)を構成するモノマー全量(以下単に“モノマー全量”ともいう)に対して、好ましくは40〜98質量%、より好ましくは45〜95質量%、更に好ましくは50〜90質量%である。
アクリル系重合体(b)は、アルキル基の炭素数が4以上であるアルキル(メタ)アクレート由来の構成単位に加えて、粘着剤層の弾性率や粘着特性を調整するために、アルキル基の炭素数が1〜3であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含む共重合体であることが好ましい。なお、該アルキル(メタ)アクリレートは、炭素数1又は2のアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートが最も好ましい。アクリル系重合体(b)において、アルキル基の炭素数が1〜3であるアルキル(メタ)アクリレートは、モノマー全量に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜26質量%、更に好ましくは6〜22質量%である。
アクリル系重合体(b)は、上記したアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位に加えて、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。官能基含有モノマーの官能基としては、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。官能基含有モノマーは、後述の架橋剤と反応し、架橋起点となったり、不飽和基含有化合物と反応して、アクリル系重合体(b)の側鎖に不飽和基を導入させたりすることが可能である。
官能基含有モノマーとしては、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール等が挙げられる。
カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸及びその無水物、2−カルボキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
官能基モノマーは、アクリル系重合体(b)を構成するモノマー全量に対して、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは3〜32質量%、更に好ましくは6〜30質量%である。
また、アクリル系重合体(b)は、上記以外にも、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等の上記のアクリル系モノマーと共重合可能なモノマー由来の構成単位を含んでもよい。
上記アクリル系重合体(b)は、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂I(アクリル系樹脂)として使用することができる。また、エネルギー線硬化性のアクリル系樹脂としては、上記アクリル系重合体(b)の官能基に、光重合性不飽和基を有する化合物(不飽和基含有化合物ともいう)を反応させたものが挙げられる。
不飽和基含有化合物は、アクリル系重合体(b)の官能基と結合可能な置換基、及び光重合性不飽和基の双方を有する化合物である。光重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等が挙げられるが、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
また、不飽和基含有化合物が有する、官能基と結合可能な置換基としては、イソシアネート基やグリシジル基等が挙げられる。したがって、不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、不飽和基含有化合物は、アクリル系重合体(b)の官能基の一部に反応することが好ましく、具体的には、アクリル系重合体(b)が有する官能基の50〜98モル%に、不飽和基含有化合物を反応させることが好ましく、55〜93モル%反応させることがより好ましい。このように、エネルギー線硬化性アクリル系樹脂において、官能基の一部が不飽和基含有化合物と反応せずに残存することで、架橋剤によって架橋されやすくなる。
なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは30万〜160万、より好ましくは40万〜140万、更に好ましくは50万〜120万である。
(エネルギー線硬化性化合物)
X型又はXY型の粘着剤組成物に含有されるエネルギー線硬化性化合物としては、分子内に不飽和基を有し、エネルギー線照射により重合硬化可能なモノマー又はオリゴマーが好ましい。
このようなエネルギー線硬化性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレートモノマー、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート,ポリエーテル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等のオリゴマーが挙げられる。
これらの中でも、比較的分子量が高く、粘着剤層の弾性率を低下させにくい観点から、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
エネルギー線硬化性化合物の分子量(オリゴマーの場合は重量平均分子量)は、好ましくは100〜12000、より好ましくは200〜10000、更に好ましくは400〜8000、特に好ましくは600〜6000である。
X型の粘着剤組成物におけるエネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは40〜200質量部、より好ましくは50〜150質量部、更に好ましくは60〜90質量部である。
一方で、XY型の粘着剤組成物におけるエネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部、更に好ましくは3〜15質量部である。XY型の粘着剤組成物では、粘着性樹脂が、エネルギー線硬化性であるため、エネルギー線硬化性化合物の含有量が少なくても、エネルギー線照射後、十分に剥離力を低下させることが可能である。
(架橋剤)
粘着剤組成物は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤は、例えば粘着性樹脂が有する官能基モノマー由来の官能基に反応して、粘着性樹脂同士を架橋するものである。架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等、及びそれらのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤;エチレングリコールグリシジルエーテル、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等のエポキシ系架橋剤;ヘキサ〔1−(2−メチル)−アジリジニル〕トリフォスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤;アルミニウムキレート等のキレート系架橋剤;等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、凝集力を高めて粘着力を向上させる観点、及び入手し易さ等の観点から、イソシアネート系架橋剤が好ましい。
架橋剤の配合量は、架橋反応を促進させる観点から、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜7質量部、更に好ましくは0.05〜4質量部である。
(光重合開始剤)
また、粘着剤組成物がエネルギー線硬化性である場合には、粘着剤組成物は、さらに光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤を含有することで、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線でも、粘着剤組成物の硬化反応を十分に進行させることができる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン化合物、アセトフェノン化合物、アシルフォスフィノキサイド化合物、チタノセン化合物、チオキサントン化合物、パーオキサイド化合物、さらには、アミンやキノン等の光増感剤等が挙げられ、より具体的には、例えば、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロルニトリル、ジベンジル、ジアセチル、8−クロールアンスラキノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤の配合量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.03〜5質量部、更に好ましくは0.05〜5質量部である。
(その他の添加剤)
粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、粘着付与剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、顔料、染料等が挙げられる。これらの添加剤を配合する場合、添加剤の配合量は、粘着性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01〜6質量部である。
また、粘着剤組成物は、基材や剥離シートへの塗布性を向上させる観点から、更に有機溶媒で希釈して、粘着剤組成物の溶液の形態としてもよい。
有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、トルエン、キシレン、n−プロパノール、イソプロパノール等が挙げられる。
なお、これらの有機溶媒は、粘着性樹脂の合成時に使用された有機溶媒をそのまま用いてもよいし、該粘着剤組成物の溶液を均一に塗布できるように、合成時に使用された有機溶媒以外の1種以上の有機溶媒を加えてもよい。
[剥離シート]
粘着テープの表面には、剥離シートが貼付されていてもよい。剥離シートは、具体的には、粘着テープの粘着剤層の表面に貼付される。剥離シートは、粘着剤層表面に貼付されることで輸送時、保管時に粘着剤層を保護する。剥離シートは、剥離可能に粘着テープに貼付されており、粘着テープが使用される前(すなわち、ウエハ裏面研削前)には、粘着テープから剥離されて取り除かれる。
剥離シートは、少なくとも一方の面が剥離処理をされた剥離シートが用いられ、具体的には、剥離シート用基材の表面上に剥離剤を塗布したもの等が挙げられる。
剥離シート用基材としては、樹脂フィルムが好ましく、当該樹脂フィルムを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂等のポリエステル樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等のポリオレフィン樹脂等が挙げられる。剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー、長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
剥離シートの厚さは、特に制限ないが、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜150μmである。
(粘着テープの製造方法)
本発明の粘着テープの製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法により製造することができる。
例えば、剥離シート上に設けた粘着剤層を、基材の片面に貼り合わせ、粘着剤層の表面に剥離シートが貼付された粘着テープを製造することができる。粘着剤層の表面に貼付される剥離シートは、粘着テープの使用前に適宜剥離して除去すればよい。
剥離シート上に粘着剤層を形成する方法としては、剥離シート上に粘着剤組成物を、公知の塗布方法にて、直接塗布して塗布膜から溶媒を揮発させるため加熱乾燥することで、粘着剤層を形成することができる。
また、基材の片面に、粘着剤(粘着剤組成物)を直接塗布して、粘着剤層を形成してもよい。粘着剤の塗布方法としては、第2基材の製造法で示した、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法等が挙げられる。
粘着剤層は、基材を構成する第1基材の表面に設けられても良く、第2基材の表面に設けられても良いが、基材が2層からなる積層体の場合は、第1基材の表面に設けることが好ましい。第1基材表面に粘着剤層を設けると、第2基材側が、裏面研削時に使用する吸着テーブル上に配置される。第2基材は比較的軟質であるため、吸着テーブルに密着しやすく、粘着テープのカールを防止できる。
[半導体装置の製造方法]
本発明の粘着テープは、先ダイシング法において、半導体ウエハの表面に貼付してウエハの裏面研削が行われる際に特に好ましく使用される。粘着テープの非限定的な使用例として、以下に半導体装置の製造方法をさらに具体的に説明する。
半導体装置の製造方法は、具体的には、以下の工程1〜工程4を少なくとも備える。
工程1:半導体ウエハの表面側から溝を形成する工程
工程2:上記の粘着テープを、半導体ウエハの表面に貼付する工程
工程3:粘着テープが表面に貼付され、かつ上記溝が形成された半導体ウエハを、裏面側から研削して、溝の底部を除去して、複数のチップに個片化させる工程
工程4:個片化された半導体ウエハ(すなわち、複数の半導体チップ)から、粘着テープを剥離する工程
以下、上記半導体装置の製造方法の各工程を詳細に説明する。
(工程1)
工程1では、半導体ウエハの表面側から溝を形成する。
本工程で形成される溝は、半導体ウエハの厚さより浅い深さの溝である。溝の形成は、従来公知のウエハダイシング装置等を用いてダイシングにより行うことが可能である。また、半導体ウエハは、後述する工程3において、溝の底部を除去することで、溝に沿って複数の半導体チップに分割される。
(工程2)
工程2では、溝が形成された半導体ウエハ表面に、本発明の粘着テープを粘着剤層を介して貼付する。
本製造方法で用いられる半導体ウエハはシリコンウエハであってもよいし、またガリウム・砒素などのウエハや、ガラスウエハ、サファイアウエハであってもよい。半導体ウエハの研削前の厚さは特に限定されないが、通常は500〜1000μm程度である。また、半導体ウエハは、通常、その表面に回路が形成されている。ウエハ表面への回路の形成は、エッチング法、リフトオフ法、ブレード法などの従来汎用されている方法を含む様々な方法により行うことができる。
粘着テープが貼付され、かつ溝を形成した半導体ウエハは、吸着テーブル上に載せられ、吸着テーブルに吸着されて保持される。この際、半導体ウエハは、表面側がテーブル側に配置されて吸着される。
(工程3)
工程1及び工程2の後、吸着テーブル上の半導体ウエハの裏面を研削して、半導体ウエハを複数の半導体チップに個片化する。
ここで、裏面研削は、半導体ウエハに溝が形成される場合には、少なくとも溝の底部に至る位置まで半導体ウエハを薄くするように行う。この裏面研削により、溝は、ウエハを貫通する切り込みとなり、半導体ウエハは切り込みにより分割されて、個々の半導体チップに個片化される。
個片化された半導体チップの形状は、方形でもよいし、矩形等の細長形状となっていてもよい。また、個片化された半導体チップの厚さは特に限定されないが、好ましくは5〜100μm程度であるが、より好ましくは10〜45μmである。また、個片化された半導体チップの大きさは、特に限定されないが、チップサイズが好ましくは50mm未満、より好ましくは30mm未満、さらに好ましくは10mm未満である。
本発明の粘着テープを使用すると、このように薄型及び/又は小型の半導体チップであっても、裏面研削時(工程3)、及び粘着テープ剥離時(工程4)に半導体チップに欠けが生じることが防止される。
裏面研削の終了後、チップのピックアップに先立ち、ドライポリッシュを行うことが好ましい。
裏面研削では、チップ裏面に研削痕が残り、またチップの端部には微小な欠け(チッピング)が発生するため、チップの抗折強度を損なう要因となっている。チップの薄型化・小型化の結果、チップは破損しやすくなり、抗折強度の低下が問題視されている。上記のような研削痕やチップの微小な欠け(ダメージ部)を除去するため、裏面研削後に、さらに最終的に水を用いないドライポリッシュによりダメージ部を除去し、チップの抗折強度を向上させることが好ましい。ドライポリッシュ時には水は使用されないため、チップは熱を帯びる。チップの熱は粘着テープに伝搬する。この結果、ドライポリッシュ時には、基材の温度が60℃以上になり、粘着テープの端部がカールし、チップが剥離することがある。しかし、本発明の粘着テープを使用することで、粘着テープの変形が抑制され、チップの剥離を低減できる。したがって、本発明の粘着テープは、ドライポリッシュ工程を含む先ダイシング法において、半導体ウエハやチップを保持するために特に好適に用いられる。
(工程4)
次に、個片化された半導体ウエハ(すなわち、複数の半導体チップ)から、半導体加工用粘着テープを剥離する。本工程は、例えば、以下の方法により行う。
まず、粘着テープの粘着剤層が、エネルギー線硬化性粘着剤から形成される場合には、エネルギー線を照射して粘着剤層を硬化する。次いで、個片化された半導体ウエハの裏面側に、ピックアップテープを貼付し、ピックアップが可能なように位置及び方向合わせを行う。この際、ウエハの外周側に配置したリングフレームもピックアープテープに貼り合わせ、ピックアップテープの外周縁部をリングフレームに固定する。ピックアップテープには、ウエハとリングフレームを同時に貼り合わせてもよいし、別々のタイミングで貼り合わせてもよい。次いで、ピックアップテープ上に固定された複数の半導体チップから粘着テープを剥離する。
その後、ピックアップテープ上にある複数の半導体チップをピックアップし基板等の上に固定化して、半導体装置を製造する。
なお、ピックアップテープは、特に限定されないが、例えば、基材と、基材の一方の面に設けられた粘着剤層を備える粘着シートによって構成される。
また、ピックアップテープの代わりに、接着テープを用いることもできる。接着テープとは、フィルム状接着剤と剥離シートとの積層体、ダイシングテープとフィルム状接着剤との積層体や、ダイシングテープとダイボンディングテープの両方の機能を有する接着剤層と剥離シートとからなるダイシング・ダイボンディングテープ等が挙げられる。また、ピックアップテープを貼付する前に、個片化された半導体ウエハの裏面側にフィルム状接着剤を貼り合わせてもよい。フィルム状接着剤を用いる場合、フィルム状接着剤はウエハと同形状としてもよい。
接着テープを用いる場合やピックアップテープを貼付する前に個片化された半導体ウエハの裏面側にフィルム状接着剤を貼り合わせる場合には、接着テープやピックアップテープ上にある複数の半導体チップは、半導体チップと同形状に分割された接着剤層と共にピックアップされる。そして、半導体チップは接着剤層を介して基板等の上に固定化され、半導体装置が製造される。接着剤層の分割は、レーザーやエキスパンドによって行われる。
以上、本発明の粘着テープについて、主に先ダイシング法により半導体ウエハを個片化する方法に使用する例について説明したが、本発明の粘着テープは、通常の裏面研削に使用することも可能であり、また、ガラス、セラミック等の加工時にも被加工物を一時的に固定するために使用することもできる。また、各種の再剥離粘着テープとしても使用できる。
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
本発明における測定方法、評価方法は以下のとおりである。
[TMA値]
基材を構成するフィルムまたはシートと同一の材質からなる15mm(幅)×10mm(長さ)の測定用フィルムを準備する。BRUKER社製4000SAにより、荷重2g、昇温速度5℃/分で測定用フィルムの伸びまたは縮みを測定し(TMA値)、60℃における値を60℃TMA値とする。上記以外の測定条件については、測定装置の操作マニュアルに準じて設定する。10個のサンプルについて測定し、得られたTMA値の平均値を算出する。
[寸法変化率]
基材を構成するフィルムまたはシートと同一の材質からなる10cm×10cmの測定用フィルムを準備する。測定用フィルムの寸法は23℃での測定値である。測定用サンプルを加熱テーブルに、60℃で3分静置する。その後、室温(23℃)まで冷却した後、加熱前の23℃における一辺の長さ(10cm:L)と、加熱後の23℃における同じ辺の長さ(L)とから以下の式により寸法変化率を求める。10個のサンプルについて測定し、得られた寸法変化率の平均値を算出する。なお、測定値はMD方向の測定値を使用する。
寸法変化率(%)=100×(L−L)/L
[引張弾性率]
基材を構成するフィルムまたはシートと同一の材質からなる15mm(幅)×10mm(長さ)の測定用フィルムを準備する。動的粘弾性装置(オリエンテック社製、商品名「Rheovibron DDV−II−EP1」)により、周波数11Hzで、温度範囲−20〜150℃における、測定用フィルムの引張弾性率を10個のサンプルについて測定した。
23℃における引張弾性率の平均値をE23、60℃における引張弾性率の平均値をE60とし、23℃から60℃に至るまでの引張弾性率の変化率E(23−60)(%)を求めた。
[第1基材のヤング率]
試験速度200mm/分でJISK−7127(1999)に準拠して、第1基材のヤング率を測定した。
[第2基材の弾性率、及びtanδの最大値]
第1基材の代わりに、剥離シート(リンテック株式会社製、商品名「SP−PET381031」、厚さ:38μm)を用い、かつ、得られる第2基材の厚さを200μmとした以外は、後述する実施例、比較例の第2基材と同様の方法で、試験用第2基材を作製した。試験用第2基材上の剥離シートを除去した後、所定の大きさに切断した試験片を用いて、動的粘弾性装置(オリエンテック社製、商品名「Rheovibron DDV−II−EP1」)により、周波数11Hzで、温度範囲−20〜150℃における、損失弾性率及び貯蔵弾性率を測定した。各温度の「損失弾性率/貯蔵弾性率」の値を、その温度のtanδとして算出し、−5〜120℃の範囲におけるtanδの最大値を、「第2基材のtanδの最大値」とした。
[第2基材の応力緩和率]
上記と同様に試験用第2基材を剥離シート上に作製し、15mm×140mmにカットしてサンプルを形成した。万能引張試験機(SHIMADZU社製オートグラフAG−10kNIS)を用いて、このサンプルの両端20mmを掴み、毎分200mmの速度で引っ張り、10%伸張したときの応力A(N/m)と、テープの伸張停止から1分後の応力B(N/m)とを測定した。これらの応力A、Bの値から、(A−B)/A×100(%)を応力緩和率として算出した。
[剥離評価]
実施例、比較例で得られた剥離シート付粘着テープを、剥離シートを剥がしつつテープラミネーター(リンテック株式会社製、商品名「RAD−3510」)にセットし、先ダイシング法によりウエハ表面に溝を形成した12インチのシリコンウエハ(厚み760μm)に次の条件で貼付した。
ロール高さ:0mm ロール温度:23℃(室温)
テーブル温度:23℃(室温)
得られた粘着テープ付シリコンウエハは、裏面研削(先ダイシング法)により厚さ30μm、チップサイズ1mm角に個片化した。
裏面研削終了後、研削面をディスコ社製DPG8760により研磨した。研磨ホイールには、ディスコ社製「Gettering DP」を用いた。この研磨により、チップのダメージ部(研削痕、チッピング)を除去した。
ドライポリッシュ終了後、粘着テープの端部の変形の有無および粘着テープ端部に保持されているチップ数を確認した。粘着テープ端部の変形は、粘着テープと吸着テーブルとの間隔により評価し、粘着テープと吸着テーブルとの間に間隔がある箇所が存在する場合には、不良とした。また、粘着テープ上に保持されているチップ群を観察し、剥離したチップが確認された場合には不良とした。
なお、以下の実施例、及び比較例の質量部は全て固形分値である。
[実施例1]
(1)第1基材
第1基材としての厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(ヤング率:2500MPa)を準備した。
(2)第2基材
(ウレタンアクリレート系オリゴマーの合成)
ポリエステルジオールと、イソホロンジイソシアネートを反応させて得られた末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、2−ヒドロキシエチルアクリレートを反応させて、質量平均分子量(Mw)5000の2官能のウレタンアクリレート系オリゴマー(UA−1)を得た。
(第2基材形成用組成物の調製)
上記で合成したウレタンアクリレート系オリゴマー(UA−1)40質量部、イソボルニルアクリレート(IBXA)40質量部、及びフェニルヒドロキシプロピルアクリレート(HPPA)20質量部を配合し、さらに光重合開始剤としての1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(BASF社製、製品名「イルガキュア184」)2.0質量部、及びフタロシアニン系顔料0.2質量部を配合し、第2基材形成用組成物を調製した。
(3)積層基材
第1基材の一方の面に、上記で得た第2基材形成用組成物を塗工し、かつ照度160mW/cm、照射量500mJ/cmの条件で紫外線照射をすることで第2基材形成用組成物を硬化させて、第1基材上に厚さ30μmの第2基材を有する積層基材を得た。
(4)粘着剤組成物の調製
ブチルアクリレート(BA)65質量部、メチルメタクリレート(MMA)20質量部、及び2−ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)15質量部を共重合して得たアクリル系重合体(b)に、アクリル系重合体(b)の全水酸基のうち80モル%の水酸基に付加するように、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)を反応させて、エネルギー線硬化性のアクリル系樹脂(Mw:50万)を得た。
このエネルギー線硬化性のアクリル系樹脂100質量部に、エネルギー線硬化性化合物である多官能ウレタンアクリレート(商品名.シコウUT−4332、日本合成化学工業株式会社製)6重量部、イソシアネート系架橋剤(東ソー株式会社製、商品名:コロネートL)を固形分基準で0.375質量部、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキシドからなる光重合開始剤1重量部を添加し、溶剤で希釈することにより粘着剤組成物の塗工液を調製した。
(5)粘着テープの作製
剥離シート(リンテック株式会社製、商品名:SP−PET381031)の剥離処理面に、上記で得た粘着剤組成物の塗工液を乾燥後の厚さが20μmとなるように塗工し、加熱乾燥させて、剥離シート上に粘着剤層を形成した。この粘着剤層を、積層基材の第1基材表面に貼付して、剥離シート付き粘着テープを得た。
なお、粘着剤層の23℃における貯蔵弾性率は、0.15MPaであった。また、第2基材の23℃における貯蔵弾性率は250MPa、応力緩和率は90%、tanδの最大値は1.24であった。
[実施例2]
積層基材に代えて、低密度ポリエチレン27.5μm/ポリエチレンテレフタレート25μm/低密度ポリエチレン27.5μmの複合フィルム(厚さ80μm)を基材として用いた他は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[比較例1]
積層基材に代えて、市販のポリ塩化ビニルフィルム(厚さ80μm)を基材として用いた他は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
[比較例2]
積層基材に代えて、エチレン/メタクリル酸共重合体フィルム(厚さ80μm)である、ニュクレル(登録商標:三井・デュポンポリケミカル)を基材として用いた他は、実施例1と同様にして粘着テープを得た。
実施例および比較例で用いた基材の特性評価を行い、またそれぞれの粘着テープを使用して剥離評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 2019181730
以上の結果から、60℃TMA値の絶対値が30μm以下であれば、ドライポリッシュを行っても粘着テープの変形はなく、チップを良好に保持できることが分かる。また、実施例、比較例に詳細に記載した粘着テープの他、各種の粘着テープを用いた試験により60℃TMA値の絶対値が30μm以下であれば、良好な結果が得られることを確認した。同様に、60℃3分の寸法変化率の絶対値、弾性率変化率E(23−60)(%)についても、各種粘着テープを用いた試験により、それぞれ0.8%以下、30%以下であればより良好な結果が得られることを確認した。

Claims (7)

  1. 基材と、その片面に設けられた粘着剤層とを含む粘着テープであって、
    前記基材の60℃TMA値の絶対値が30μm以下である粘着テープ。
  2. 前記基材を60℃で3分保持した後の寸法変化率の絶対値が0.8%以下である請求項1に記載の粘着テープ。
  3. 前記基材の23℃における引張弾性率(E23)と60℃における引張弾性率(E60)とから求められる弾性率変化率E(23−60)が30%以下である請求項1または2に記載の粘着テープ。
  4. 半導体ウエハ表面に溝が形成された半導体ウエハの裏面を研削して、その研削により半導体ウエハを半導体チップに個片化する工程において、半導体ウエハの表面に貼付されて使用される、請求項1〜3の何れかに記載の粘着テープ。
  5. 前記半導体ウエハを半導体チップに個片化した後、ドライポリッシュを行う工程を含む、請求項4に記載の粘着テープ。
  6. 半導体ウエハの表面側から溝を形成する工程と、
    請求項1〜4の何れか1項に記載の粘着テープを、前記半導体ウエハの表面に貼付する工程と、
    前記粘着テープが表面に貼付され、かつ前記溝が形成された半導体ウエハを、裏面側から研削して、前記溝の底部を除去して複数のチップに個片化させる工程と、
    前記複数のチップから粘着テープを剥離する工程と、
    を備える半導体装置の製造方法。
  7. 前記半導体ウエハを半導体チップに個片化した後、ドライポリッシュを行う工程を含む、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
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