JP2018134839A - 光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents

光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光源パネルと台部材との間が熱伝導材で接続される際、熱伝導材から受ける押圧力に起因する光源パネルのたわみを抑制することが可能な光書込装置を提供する。【解決手段】光書込装置(202)では、台部材(404)の表面(311)のうち熱伝導材(320)で覆われた部分が放熱部(314)を含む。放熱部は、台部材の表面の法線方向(Z軸方向)における駆動回路チップ(303)の表面との間隔が光源パネル(221)の長手方向(X軸方向)において発光領域(301)から遠い側(GFR)よりも近い側(GNR)で狭いように、台部材の表面の平らな部分に対して変形している。または、熱伝導材(820)は、台部材の表面との接続が解除された場合、光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側(TFR)よりも近い側(TNR)で厚い。【選択図】図3

Description

本発明は電子写真式の画像形成装置に関し、特に、感光体を露光する光書込装置の放熱構造に関する。
光書込装置は、プリンター、コピー機等、電子写真式の画像形成装置において感光体表面を露光し、すなわち画像データで変調した光を感光体表面の一様な帯電領域に照射してその変調パターンに対応する帯電量分布、すなわち静電潜像を形成する。感光体は、画像形成装置の中に回転可能に支持されたドラムまたはベルト等の回転体の外周面を覆っている。光書込装置は感光体表面を、回転体の軸方向(以下、「主走査方向」という。)に伸びる直線状領域(以下、「1ライン」という。)ずつ露光する。各ラインの露光が感光体の回転に同期して繰り返されることにより、感光体表面には回転方向(以下、「副走査方向」という。)に露光済みのラインが連なり、静電潜像が2次元的に拡がる。
現行の光書込装置の多くは、ポリゴンミラー等の偏向器を利用する光走査方式である。これに対し、近年の光書込装置の開発では発光素子配列方式が主流である。「発光素子配列方式」は、主走査方向に配列された複数の発光ダイオード(LED)、半導体レーザー等の発光素子と複数の屈折率分布(grandient index:GRIN)レンズとを利用し、感光体表面の1ライン全体を同時に露光する。発光素子配列方式は光走査方式とは異なり、偏向器が不要であるので騒音が比較的低く、複数の発光素子とGRINレンズとで1ラインの各部を個別に照らすので発光素子から感光体までの光路長が比較的短い。その結果、発光素子配列方式は光走査方式よりも静音化と小型化との点で有利である。したがって、レーザープリンター等の画像形成装置を、特にオフィスと家庭とへ更に普及させるには、発光素子配列方式の利用が効果的であると期待されている。
発光素子配列方式の利用では、感光体に対する光書込装置の位置決めが重要である。GRINレンズは光走査方式の光学系と比べて焦点深度が狭いので、感光体表面が正確に露光されるには、GRINレンズによる発光素子の像面が感光体表面に確実に整合されねばならない。したがって、感光体表面に対する発光素子の位置決めに必要な精度が高い。たとえば特許文献1に開示された位置決め構造では、感光体の軸受と光源との間にスペーサーが挟まれているので、感光体の回転軸から光源の表面までの距離が所定値に制限されている。この距離は更に、スペーサーが光源表面との接触部に含む偏心カムにより、製品ごとに調整可能である。
発光素子配列方式の利用ではまた、光書込装置からの放熱も重要である。発光素子の数が多いので、それらだけでなく、それらの駆動回路も発熱量が多い。これらの過熱に起因する不良を防ぐには、これらが実装される基板(以下、「光源パネル」という。)からの放熱が効率良く行われねばならない。たとえば、特許文献2に開示された電子制御ユニットでは、パワートランジスタ素子とアルミニウム合金製のハウジングとの間に熱伝導材が挟まれている。熱伝導材(thermal interface material:TIM)は、たとえばシリコーン製のグリス、室温硬化型ゴム、またはシートであり、パワートランジスタ素子から伝搬する熱をハウジングへ効果的に逃がす。このような熱伝導材が光源パネルと適当なヒートシンク、たとえばそのパネルを支持する金属製の台部材との間に挟まれていれば、光源パネルの放熱効率が更に向上可能である。
特開2011−245775号公報 特開2016−058484号公報
発光素子配列方式には更なる高性能化が求められている。そのための工夫としては、たとえば有機発光ダイオード(OLED)を光源として利用することが考えられている。OLEDはLEDと比べて、黒レベルが低く、色表現力が高く、消費電力が低く、小型/薄型/軽量化が容易である点で有利である。その反面、OLEDはLEDよりも発光量が弱い。したがって、OLEDの利用にはGRINレンズのF値の増大が必要である。F値の増大は焦点深度を狭めるので、感光体表面に対する発光素子の位置決めが更に高精度化されなければならない。
しかし、光源パネルからの放熱に熱伝導材が利用される場合、位置決めの更なる高精度化は難しい。これは以下の理由による。台部材に対する光源パネルの位置決め工程では、たとえば熱伝導材がグリスである場合、光源パネルが台部材に固定された後に台部材と光源パネル、特に駆動回路のチップとの隙間にグリスが充填される。熱伝導材がシートである場合は台部材と光源パネル、特に駆動回路のチップとの一方の表面がシートで覆われた後、そのシート越しに他方の表面に貼り合わされる。いずれの場合でも光源パネルのうち熱伝導材と接触する部分、特に駆動回路のチップが実装された部分には熱伝導材からの押圧力が加わる。この部分は一般に、光源パネルが台部材に支持される部分から離れているので、両部分間での応力差に起因するたわみが光源パネルに生じる。このたわみに伴う発光素子の変位が過大であれば、感光体表面から発光素子までの距離が目標値から過大に外れる。この危険性が避けられないので、感光体表面に対する発光素子の位置決め精度を更に向上させることは難しい。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に光源パネルと台部材との間が熱伝導材で接続される際、熱伝導材から受ける押圧力に起因する光源パネルのたわみを抑制することが可能な光書込装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における光書込装置は、長尺形状の基板であり、その基板の長手方向に伸びる発光領域と、その基板の長手方向の一端部に実装され、発光領域に対する駆動回路が組み込まれたチップと、を含む光源パネルと、実質的に平らな表面を含み、その表面と光源パネルが所定距離を隔てて実質的に平行に対向するように光源パネルの発光領域の近傍を支持する台部材と、チップの表面と台部材の表面との間を熱伝導可能に接続する熱伝導材とを備えている。台部材の表面のうち熱伝導材で覆われた部分は、その表面の法線方向におけるチップの表面との間隔が光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で狭いように、台部材の表面の実質的に平らな部分に対して変形している放熱部を含む。
放熱部は、台部材の表面の実質的に平らな部分に対し、その表面の法線方向におけるチップの表面との間隔が光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で狭くなる向きに傾斜するように、台部材の表面から切り起された切り曲げ部分を含んでいてもよい。この切り曲げ部分は、光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側に位置する端で台部材の表面の実質的に平らな部分に繋がっていてもよい。
放熱部は、台部材の表面から絞り出された隆起部分を含んでいてもよい。この隆起部分の表面は、台部材の表面の実質的に平らな部分に対し、その表面の法線方向におけるチップの表面との間隔が光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で狭くなる向きに傾斜していてもよい。
本発明のもう1つの観点における光書込装置は、長尺形状の基板であり、その基板の長手方向に伸びる発光領域と、その基板の長手方向の一端部に実装され、発光領域に対する駆動回路が組み込まれたチップと、を含む光源パネルと、実質的に平らな表面を含み、その表面と光源パネルが所定距離を隔てて実質的に平行に対向するように光源パネルの発光領域の近傍を支持する台部材と、チップの表面と台部材の表面との間を熱伝導可能に接続する熱伝導材とを備えている。熱伝導材は、チップの表面と台部材の表面とのいずれかとの接続が解除された場合、光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で厚い。
台部材は、表面から突出して先端で光源パネルのうち発光領域の近傍に接触することにより、光源パネルの位置を規制する少なくとも1つの位置決め部材を更に含んでいてもよい。これら少なくとも1つの位置決め部材のうち光源パネルの長手方向においてチップに最も近いもののいずれかが光源パネルと接触する点は、光源パネルの長手方向に対しては垂直で、かつ台部材の表面に対しては平行な方向においてチップの中心と同じ位置であってもよい。少なくとも1つの位置決め部材のうち光源パネルの長手方向においてチップに最も近いものが光源パネルと接触する点の全体はチップと、光源パネルの長手方向に対しては垂直で、かつ台部材の表面に対しては平行な方向における中心の位置が等しくてもよい。光源パネルの長手方向に対しては垂直で、かつ台部材の表面に対しては平行な方向において、チップは発光領域とは中心の位置が異なり、少なくとも1つの位置決め部材のうち光源パネルの長手方向においてチップに最も近いものは、発光領域に対し、チップよりも外側に位置するものとチップとは反対側に位置するものとを含んでいてもよい。光源パネルは、発光領域を囲んで外部から気密に隔離する封止部材を更に含んでいてもよい。少なくとも1つの位置決め部材は、先端で封止部材に接触することにより、光源パネルの位置を規制してもよい。
上記の光書込装置は、発光領域から照射された光を透過させるレンズアレイと、このレンズアレイを保持する保持部材とを更に備えていてもよい。発光領域は、長手方向に配列された複数の発光素子を含んでいてもよい。これらの発光素子は有機発光ダイオードを含んでいてもよい。
本発明の1つの観点における画像形成装置は電子写真式の画像形成装置であり、感光体と、その感光体の表面を露光して静電潜像を形成する上記の光書込装置と、その静電潜像をトナーで現像する現像部と、現像部が現像したトナー像を感光体からシートへ転写する転写部とを備えている。
本発明による光書込装置では上記のとおり、台部材の表面のうち熱伝導材で覆われた部分が放熱部を含む。放熱部は、台部材の表面の法線方向におけるチップの表面との間隔が光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で狭いように、台部材の表面の実質的に平らな部分に対して変形している。または、熱伝導材は、台部材の表面との接続が解除された場合、光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で厚い。いずれの場合でも、光源パネルと台部材との間が熱伝導材で接続される際、光源パネルのうちチップの実装部分が熱伝導材から受ける押圧力は、光源パネルの長手方向において発光領域から遠い側よりも近い側で強い。その結果、この光書込装置は、熱伝導材からの押圧力に起因する光源パネルのたわみを抑制することができる。
(a)は本発明の実施形態1による画像形成装置の外観を示す斜視図である。(b)は、(a)の示す直線b−bに沿ったプリンターの模式的な断面図である。(c)は、(b)の示す感光体ユニットの1つの拡大図である。 (a)は、図1の(b)、(c)が示す光書込部の斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った光書込部の横断面図である。(c)は、(b)の示す光源パネルのブロック図である。(d)は、(a)、(b)の示すレンズアレイが含むGRINレンズの1つにおける光路を示す模式図である。 (a)は、図2の(a)の示す直線IIIa−IIIaに沿った光書込部の縦断面図である。(b)は、(a)の示す放熱部の近傍の外観を示す台部材の部分斜視図である。(c)は、その放熱部の近傍を示す台部材の部分上面図である。 (a)は、図1の(b)、(c)の示す感光体ユニットの1つが含む感光体ドラムの支持構造の外観を示す斜視図である。(b)は、(a)が示す支持構造からフレームを除去したときの外観を示す斜視図であり、(c)は、同じ状態における感光体ドラムの端面近傍を別の視点から示す部分斜視図である。 (a)は、図3の示す台部材の基準面が放熱部を含まず、その全体が平らなままである場合において、熱伝導材からの押圧力に起因する光源パネルのたわみを示す模式的な縦断面図である。(b)は、その台部材の基準面が放熱部を含む場合において、熱伝導材からの押圧力に起因する光源パネルのたわみを示す模式的な縦断面図である。(c)は、光源パネルのたわみの形状を表すグラフであり、(d)は、(c)の示すたわみのうち発光領域の部分を拡大したグラフである。 (a)は、光書込部の変形例の縦断面図である。(b)は、(a)の示す放熱部の近傍の外観を示す台部材の部分斜視図である。(c)は、その近傍を示す台部材の部分上面図である。 (a)は、位置決め部材を3本以上含む台部材の一例における放熱部の近傍を示す部分上面図である。(b)は、台部材の別例における放熱部の近傍を示す部分上面図である。(c)は、台部材の更に別の例における放熱部の近傍を示す部分上面図である。 (a)は、本発明の実施形態2による光書込部の縦断面図であり、(b)は、(a)の示す光書込部において、光源パネルとホルダーとを台部材から切り離した状態を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
《実施形態1》
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態1による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100はプリンターである。その筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が埋め込まれている。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられている。
[画像形成装置の内部構造]
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b−bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は電子写真式のカラープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
給送部10は、まずピックアップローラー12を用いて、給紙カセット11に収容されたシートの束からシートSH1を1枚ずつ分離する。給送部10は次にタイミングローラー13を用いて、分離したシートを作像部20へ、その動作にタイミングを合わせて送出する。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種はたとえば、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズはたとえば、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
作像部20はたとえば中間体転写方式であり、タンデム配置の感光体ユニット20Y、20M、20C、20K、中間転写ベルト21、1次転写ローラー22Y、22M、22C、22K、および2次転写ローラー23を含む。中間転写ベルト21は従動プーリー21Lと駆動プーリー21Rとの間に回転可能に掛け渡されている。これらのプーリー21L、21Rの間の空間には4つの感光体ユニット20Y、…、20Kと4本の1次転写ローラー22Y、…、22Kとが1つずつ対を成すように配置され、中間転写ベルト21を間に挟んで対向している。2次転写ローラー23は中間転写ベルト21を間に挟んで駆動プーリー21Rとニップを形成している。このニップには、タイミングローラー13から送出されたシートSH2が通紙される。
各感光体ユニット20Y、…、20Kでは感光体ドラム24Y、24M、24C、24Kが、対向する1次転写ローラー22Y、…、22Kに、中間転写ベルト21を間に挟んだ状態で接触してニップを形成している。各感光体ユニット20Y、…、20Kは、中間転写ベルト21が(図1の(b)では反時計方向に)回転する間、その同じ表面部分が1次転写ローラー22Y、…、22Kと感光体ドラム24Y、…、24Kとの間のニップを通過する際にその表面部分に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のうち異なる1色のトナー像を形成する。その表面部分にはこれら4色のトナー像が重ねられて1つのカラートナー像が形成される。このカラートナー像が駆動プーリー21Rと2次転写ローラー23との間のニップを通過するタイミングに合わせて、そのニップへシートSH2がタイミングローラー13から通紙される。これによりそのニップではカラートナー像が中間転写ベルト21からシートSH2へ転写される。
定着部30は、作像部20から送出されたシートSH3にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながらそれらの間のニップにシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH3の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH3の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH3の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH3を排紙部40へ送り出す。
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3を排紙口42から排紙トレイ41へ排紙する。具体的には、排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を用いて、定着部30の上部から排紙口42へ移動してきたシートSH3を排紙口42の外へ送出して排紙トレイ41に載せる。
[感光体ユニットの構造とそれによる画像形成処理]
図1の(c)は、図1の(b)の示す感光体ユニットの1つ20Kの拡大図である。この感光体ユニット20Kは感光体ドラム24Kに加え、帯電部201、光書込部202、現像部203、クリーニングブレード204、およびイレーサー205を含む。これらは感光体ドラム22の周囲に配置され、その外周面に対して電子写真方式による画像形成処理のうち定着以外、すなわち、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電を行う。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の構造を含む。
感光体ドラム24Kは、外周面241が感光体で覆われたアルミニウム等の導電体製の円筒部材であり、その中心軸(図1の(c)では、感光体ドラム24Kの円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)242のまわりを回転可能に支持されている。感光体は、露光量に依存して帯電量が変化する素材であり、アモルファスセレン、セレン合金、アモルファスシリコン等の無機材料、または複数の有機材料の積層構造(OPC)を含む。図1の(c)は示していないが、感光体ドラム24Kの中心軸242は、ギア、ベルト等、回転力の伝達機構を通して駆動モーターに接続されている。その駆動モーターからの回転力で感光体ドラム24Kが(図1の(c)では時計方向に)1回転すると、感光体の各表面部分が周囲の処理部201、202、203、204、205に順番に面してそれらの処理を受ける。
帯電部201は、感光体ドラム24Kの外周面241から間隔をおいてその軸方向に伸びるワイヤーまたは薄板形状の電極211を含む。帯電部201はこの電極211に対してたとえば負の高電圧を印加することにより、この電極211と感光体ドラム24Kの外周面241との間にコロナ放電を生じさせる。この放電が、帯電部201に面した感光体の表面部分を負に帯電させる。
光書込部202は、本発明の実施形態1による光書込装置であり、感光体ドラム24Kの帯電部分のうち軸方向(主走査方向)に伸びる直線状領域、すなわち1ラインを露光する。このとき、光書込部202は感光体ドラム24Kへの照射光量を、画像データが表す階調値に基づいて変調する。感光体ドラム24K上の1ラインでは照射光量が高いほど帯電量が減少するので、画像データが表す階調値分布に対応する帯電量分布、すなわち静電潜像が形成される。1ラインに対するこの露光動作を光書込部202は、感光体ドラム24Kの回転に同期して繰り返す。これにより感光体ドラム24Kの外周面にはその回転方向(副走査方向)に露光済みのラインが連なり、静電潜像が2次元的に拡がる。
現像部203は感光体ドラム24K上の静電潜像をK色のトナーで現像する。具体的には、現像部203はまず2本のオーガスクリュー231、232で2成分現像剤DVLを撹拌し、そのときの摩擦で現像剤DVLの含むトナーを負に帯電させる。現像部203は次に現像ローラー233を用いて、現像剤DVLを感光体ドラム24Kとの間のニップへ搬送する。これと並行して現像部203は、現像ローラー233に対して負の高電圧を印加する。これにより、静電潜像のうち帯電量の比較的少ない領域は現像ローラー233よりも電位が上がるので、現像ローラー233の搬送する現像剤から、帯電量の減少分に応じた量のトナーが分離して付着する。こうして静電潜像がトナー像として顕在化する。
このトナー像は感光体ドラム24Kの回転に伴い、それと1次転写ローラー22Kとの間のニップへ移動する。1次転写ローラー22Kに対しては正の高電圧が印加されているので、負に帯電したトナー像が感光体ドラム24Kの外周面から中間転写ベルト21へ転写される。
クリーニングブレード204は、たとえばポリウレタンゴム等の熱硬化性樹脂から形成された薄い矩形板状の部材であり、その長さが感光体ドラム24Kの外周面241のうち感光体で覆われた部分とほぼ等しい。ブレード204の板面のうち感光体ドラム24Kの外周面241に面した方は、その長辺の1つ(エッジ)が感光体ドラム24Kの軸方向に対して平行な状態でその外周面241に接触し、その外周面241からトナー像の転写跡に残るトナーを掻き取る。こうして、その外周面が清掃される。
イレーサー205は、たとえば感光体ドラム24Kの軸方向に配列されたLEDから感光体ドラム24Kの外周面241に光を照射する。その外周面241のうち照射光を受けた部分からは残存する電荷が消失する。こうして、その外周面241が除電される。
[光書込部の構造]
図2の(a)は光書込部202の斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った光書込部202の横断面図であり、図3の(a)は、図2の(a)の示す直線IIIa−IIIaに沿った光書込部202の縦断面図である。光書込部202は発光素子配列方式であり、光源パネル221、レンズアレイ222、およびホルダー223を含む。
光源パネル221は長尺形状の透明なガラス基板または樹脂基板であり、発光領域301、封止部材302、および集積回路(IC)チップ303を含む。発光領域301は、光源パネル221の長手方向(図2の(b)、図3の(a)ではX軸方向)にそのほぼ全体にわたって伸びている領域であり、片側の板面(図2の(b)、図3の(a)では下面)304に直に、LED、OLED等の固体発光素子が複数形成されている。これらの素子が発光すると、これらの光は基板221を透過して反対側の板面(図2の(b)、図3の(a)では上面)305からその法線方向(図2の(b)、図3の(a)ではZ軸の正方向)へ出射する。封止部材302は、たとえば金属酸化物または窒化物とポリマーとが交互に積層された多層構造体であり、発光領域301の発光素子側の板面304の上で発光領域301を囲んで外部から気密に隔離する。これにより、外気中の水分、酸素から発光素子が保護される。チップ303は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)に細長い矩形状であり、光源パネル221の長手方向の一端部において発光素子側の板面304に実装されている。チップ303には発光素子に対する駆動回路が組み込まれている。
レンズアレイ222は透明なガラス製または樹脂製の光学部材であり、光源パネル221の長手方向(X軸方向)に長尺の矩形板状である。レンズアレイ222の2枚の板面の間にはGRINレンズの配列が封止されている。各GRINレンズは、レンズアレイ222の板面の短辺に対して平行に(図2の(a)、(b)、図3の(a)ではZ軸方向に)伸びる円柱形状であり、一方の端面(図2の(b)、図3の(a)では下面)225を光源パネル221の光出射面305に対向させ、他方の端面(図2の(b)、図3の(a)では上面)226を感光体ドラム24Kの外周面に向けている。各GRINレンズは、光源パネル221から一方の端面225へ入射する光を他方の端面226から出射し、感光体ドラム24Kの外周面に結像させる。
ホルダー223は光源パネル221の長手方向(X軸方向)に長尺の板状部材であり、たとえば樹脂から成る。ホルダー223は、片側の板面(図2の(b)、図3の(a)では下面)には凹部227を含み、反対側の板面(図2の(b)、図3の(a)では上面)にはスリット228を含む。凹部227とスリット228とは互いに内側の空間を連通させている。ホルダー223は、凹部227の内側には光源パネル221を収容し、スリット228の間にはレンズアレイ222を挟んで保持している。
−光源パネル−
図2の(c)は光源パネル221のブロック図である。光源パネル221に組み込まれた電子回路系統は、発光素子アレイ251、選択回路252、および駆動回路253を含む。発光素子アレイ251は、光源パネル221の発光領域301に直に形成された固体発光素子の配列である。図2の(c)が示す例では、発光素子260が3列、光源パネル221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。各列には数千個の発光素子が数十μmのピッチで並んでいる。各発光素子は外部からの輝度信号に応じて駆動電流量を変化させる。この駆動電流量が多いほど発光素子からの出射光量が高い。選択回路252は、光源パネル221上に直に形成された薄膜トランジスタ(TFT)回路であり、発光素子を順番に駆動回路253に接続する。駆動回路253は特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)で構成され、光源パネル221上に直に実装されたチップ303の中に組み込まれている(chip on grass:COG)。駆動回路253はフレキシブル印刷回路基板(FPC)254を通してプリンター100内の光源制御部255に接続されており、そこからデジタルの画像データを受信する。この画像データを駆動回路253はアナログの輝度信号に変換し、選択回路252により接続された発光素子へ送信する。
−レンズアレイ−
図2の(d)は、レンズアレイ222が含むGRINレンズの1つ280における光路を示す模式図である。GRINレンズ280は、直径が数百μm〜数mmの透明なガラス製または樹脂製の円柱形状であり、屈折率が中心軸から外周面に向かって放物線状に低下するように分布している。この屈折率分布により、GRINレンズ280の一方の端面281から入射した光は、軸方向に沿って正弦波状の軌跡を描きながら伝搬し、一定の距離(たとえば数mm〜十数mm)を進むごとに結像を繰り返す。したがって、GRINレンズ280の他方の端面282から出射した光は、GRINレンズ280の軸方向の長さAXLに合わせて正立像または倒立像を結ぶ。図2の(d)では白抜きの矢印が示すように正立像である。この像のぼけは、結像点PBFの前後、GRINレンズ280の焦点深度DOF(=数百μm)の範囲内では許容レベルに抑えられる。
[感光体ドラムの支持構造]
図4の(a)は、感光体ユニットの1つ20Kが含む感光体ドラム24Kの支持構造の外観を示す斜視図である。この図は、感光体ドラム24Kの中心軸242の延長線上よりも少し上方に位置する視点から描かれている。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の支持構造を含む。
この支持構造はフレーム401を含む。このフレーム401は感光体ドラム24Kの各端面243の外側に配置され、その端面243に対して平行に拡がっている。フレーム401は自身の穴402に感光体ドラム24Kの中心軸242の各端部を貫通させ、それらを回転可能に支持している。フレーム401の隙間からは感光体ドラム24Kの外周面241の一部が露出している。この露出部分に中間転写ベルト21越しに1次転写ローラー22Kが接触する。
フレーム401の隙間には更に図4の(a)が示すように、光書込部202が配置されている。光書込部202は、図2の示す要素に加えて台部材404を含む。台部材404は剛性の高い素材、たとえばステンレス鋼(SUS)等の板金で構成されており、ホルダー223の底面を下から支えている。台部材404はバネ405により、感光体ドラム24Kの径方向において摺動可能に支持されている。バネ405はたとえばコイルバネであり、図は示していないが、その一端がフレーム401に固定され、他端がバネ405の弾性力によって光書込部202を台部材404越しに感光体ドラム24Kへ向かって押す。
図4の(b)は、(a)が示す支持構造からフレーム401を除去したときの外観を示す斜視図であり、(c)は、同じ状態における感光体ドラム24Kの端面243近傍を別の視点から示す部分斜視図である。感光体ドラム24Kの各端面243とフレーム401との間には位置決め部材410が設置されている。位置決め部材410は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成る細長い棒状部材または板状部材であり、全体が一体成形されている。位置決め部材410は中央部に穴411を含み、その穴411に感光体ドラム24Kの中心軸242の端部を貫通させた状態でその端部により、そのまわりに回転可能に支持されている。位置決め部材410は長手方向の一端面(図4の(b)では下端面)413を光書込部202の表面(図4の(b)では上面)に接触させ、中央部の穴411とその端面413との中間部分414をネジ(図は示していない。)で、図4の(a)の示すフレーム401のネジ穴406に固定されている。
図4の(a)が示すように、光書込部202はバネ405から感光体ドラム24Kの径方向に押圧力を受けて、上面を感光体ドラム24Kの中心軸242へ接近させる。この上面には、図2の(a)が示すように、長手方向の各端部に突起部材271が設置されている。突起部材271は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成るピンであり、ホルダー223の上面から感光体ドラム24Kの径方向(図ではZ軸の正方向)に突出している。ピン271の先端面に位置決め部材410の端面413が接触するので、感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202、特にホルダー223までの距離が位置決め部材410の中央部の穴411からその端面413までの長さに制限される。すなわちこの端面413は、感光体ドラム24Kへ接近する光書込部202の動きを直に阻むことにより、感光体ドラム24Kの外周面241からホルダー223までの距離を規制する。こうして光書込部202が感光体ドラム24Kの外周面241に対して位置決めされる。
[台部材による光源パネルの位置決め]
図3の(a)が示すように、台部材404は実質的に平らな(すなわち、理想的な平面からのずれが許容範囲内である)表面311を含む。この表面311を以下、「基準面」と呼ぶ。基準面311は、光源パネル221から所定距離を隔てて光源パネル221の発光素子側の板面(図では下面)304と実質的に平行に(すなわち、理想的な平行からのずれが許容範囲内である姿勢で)対向している。基準面311は長手方向(図ではX軸方向)の両端でホルダー223の両端を支持する。図3の(a)は示していないが、基準面311は、長手方向(X軸方向)に沿って伸びる両縁でもホルダー223の両縁を支持する。これにより、図4の(a)、(b)が示すバネ405の弾性力が台部材404を通してホルダー223に対して加わる。
基準面311は更に、光源パネル221の発光領域301の近傍を支持する。具体的には、台部材404は2本の位置決め部材312、313を含む。各位置決め部材312、313は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成るピンであり、基準面311を貫通して光源パネル221に向かって(図ではZ軸の正方向へ)突出し、先端で光源パネル221のうち発光領域301の近傍、特に封止部材302に接触している。一方、図3の(a)は示していないが、台部材404は基準面311の端部に付勢部材を含む。この付勢部材はたとえば、板バネ等の弾性体を利用して光源パネル221の光出射面(図では上面)305を発光素子側の板面304に向かって(図ではZ軸の負方向へ)押す。付勢部材が光源パネル221を位置決め部材312、313に押し付ける結果、基準面311から光源パネル221、特に光出射面305までの距離が、位置決め部材312、313の突出長に応じた値に規制される。一方、感光体ドラム24Kの外周面241から基準面311までの距離は、図4が示すように、感光体ドラム24Kに装着された位置決め部材410にホルダー223が接触することによって制限される。こうして、光源パネル221、特に光出射面305が感光体ドラム24Kの外周面241に対して位置決めされる。
[台部材による駆動回路からの放熱]
光源パネル221に実装された駆動回路253は発熱量が多い。一方、光源パネル221はその素材、たとえばガラスの熱伝導率が低いので、光源パネル221を通した熱伝導による放熱は効率が低い。また、光源パネル221の周囲の空間がホルダー223と台部材404とによって外部から隔離されているので、光源パネル221から周囲への輻射、換気のいずれによる放熱も効率が低い。したがって、駆動回路253が発した熱は光源パネル221からは逃げにくく、その蓄積量が過大になれば駆動回路253が熱暴走する危険性が高い。特に発光素子がOLEDである場合、過熱によって発光素子が劣化する危険性も高い。これらの危険性を回避する目的で、図3の(a)が示すように、駆動回路253が組み込まれたチップ303の表面と台部材404の基準面311との間には熱伝導材320が挟まれている。
熱伝導材320は、シリコーン等、熱伝導率の高い樹脂製のグリスである。熱伝導材320は、光書込部202の製造時、台部材404に対する光源パネル221の位置決め工程において光源パネル221が台部材404に固定された後、台部材404とチップ303との隙間に充填される。熱伝導材320は台部材404と共に、光源パネル221よりも熱伝導率が十分に高いので、駆動回路253が発した熱の大部分は熱伝導材320を通して台部材404へ速やかに放散される。これにより、駆動回路253と発光素子アレイ251との過熱が防止される。
[台部材の放熱部]
台部材404の基準面311のうち熱伝導材320で覆われた部分は放熱部314を含む。放熱部314は、図3の(a)が示すように、基準面311の平らな部分に対して傾斜している。これにより、基準面311の法線方向(図ではZ軸方向)における放熱部314の表面とチップ303の表面との間隔は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側(X座標が小さい側)GFRよりも近い側(X座標が大きい側)GNRで狭い:GFR>GNR。
図3の(b)は、放熱部314の近傍の外観を示す台部材404の部分斜視図である。放熱部314は、台部材404の基準面311に形成された切り曲げ部分315を含む。この切り曲げ部分315は、たとえば切り曲げ加工によって基準面311から切り起こされた光源パネル221の長手方向(図ではX軸方向)に長尺の矩形片であり、特にその長手方向において発光領域301から遠い側に位置する基端EFRで基準面311の平らな部分に繋がっている。反対側に位置する先端ENRはそのまわりに位置する基準面311の平らな部分から切り離されている。先端ENRが光源パネル221に接近する方向(図ではZ軸の正方向)に切り曲げ部分315は基端EFRで折れ曲がり、基準面311に対して傾斜している。この傾斜により先端ENRは基端EFRよりも、たとえば数十μm〜数百μmだけ光源パネル221に近い。その結果、放熱部314の表面とチップ303の表面との間隔は、図3の(a)が示すように、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301に近いほど狭い。
図3の(c)は、放熱部314の近傍を示す台部材404の部分上面図である。放熱部314は切り曲げ部分315を、光源パネル221に実装されたチップ303の直下(図3の(c)が破線で示す左側の矩形領域)に含む。チップ303は特に基準面311および切り曲げ部分315と、光源パネル221の長手方向(X軸方向)に対して垂直な方向(図ではY軸方向。以下、「横方向」という。)における中心線CRLの位置が等しい。この中心線CRLの上には更に、台部材404の含む位置決め部材のうち光源パネル221の長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近いもの312、特にそれが光源パネル221の封止部材302(図3の(a)参照。)と接触する点が位置する。この点に対して放熱部314とは反対側に位置する基準面311の領域(図3の(c)が破線で示す右側の矩形領域)の直上には、光源パネル221の発光領域301が位置する。発光領域301は基準面311と横方向(Y軸方向)における中心の位置が等しい。
−放熱部の役割−
このような放熱部314が台部材404の基準面311のうち熱伝導材320で覆われる部分に位置することにより、チップ303の表面と基準面311との隙間に熱伝導材320が充填される際、その熱伝導材320から受ける押圧力に起因する光源パネル221のたわみが抑制される。これは以下に述べる理由による。
図5の(a)は、台部材404の基準面311が放熱部314を含まず、その全体が平らなままである場合において、熱伝導材320からの押圧力に起因する光源パネル221のたわみを示す模式的な縦断面図である。図3の(a)が示すように、台部材404は2本の位置決め部材312、313で、光源パネル221のうち発光領域301の近傍、特に封止部材302を支持している。一方、チップ303が実装された光源パネル221の端部501は、熱伝導材320が充填されるまでは宙に浮いた状態である。このときの端部501の構造は、位置決め部材312、313のうちチップ303に近い方312と封止部材302との接触点PVTを支点とする片持ち梁とみなせる。台部材404に対する光源パネル221の位置決め工程では、光源パネル221が台部材404に固定された後に、その端部501が片持ち梁の状態に保たれたまま、台部材404とチップ303との隙間に熱伝導材320が充填される。このとき、その隙間に流れ込む熱伝導材320の動圧に起因する押圧力がチップ303の表面に加わる。この押圧力に起因して光源パネル221が受ける、片持ち梁の支点PVTを通る横方向の軸(Y軸)まわりの曲げモーメントは、この支点PVTからチップ303の長手方向(X軸方向)における微小部分までの距離とその微小部分に加わる押圧力との積を、チップ303の全長にわたって積分した値で得られる。基準面311の他の部分と同様、熱伝導材320で覆われる部分も平らなままである場合、押圧力の強さは長手方向(X軸方向)において実質的に一様であるとみなしてよいので、チップ303の各微小部分に加わる押圧力に起因して光源パネル221が受ける曲げモーメントは、片持ち梁の支点PVTからその微小部分までの距離に比例する。したがって、チップ303の全長にわたる曲げモーメントの積分値Mb1をチップ303に加わる押圧力全体の合力Fupの強さで割った値は、支点PVTからチップ303の長手方向(X軸方向)における中心点EF1までの距離Lf1に等しい:Mb1/Fup=Lf1。すなわち、その中心点EF1を合力Fupの作用点とみなすことができる。この曲げモーメントにより光源パネル221にはたわみが生じ、特に端部501が基準面311から遠ざかる。
図5の(c)は、光源パネル221のたわみの形状を表すグラフであり、(d)は、(c)の示すたわみのうち発光領域301の部分を拡大したグラフである。細い実線のグラフVaは、図5の(a)の示す基準面311の全体が平らなままである場合における光源パネル221のたわみを表す。グラフの縦軸は光源パネル221のたわみ量δ、すなわち光出射面305(図では上面)の法線方向(図では上下方向)における変位量を表し、横軸は光源パネル221の長手方向の座標Xを表す。たわみ量δは、基準面311から遠ざかる方向(図では上向き)を正とし、相対値の基準長は、図5の(c)では数十μm〜数百μmであり、(d)では数μm〜数十μmである。座標Xは、発光領域301に最も近いチップ303の端の位置を原点X=0とする相対値(基準長=数十μm〜数百μm)であり、発光領域301に接近する方向を正とする。グラフVaが示すとおり、たわみ量δは支点PVTでは“0”に等しく、そこを境にその正負が逆転する。すなわち、光源パネル221の端部501は基準面311から遠ざかる一方で、発光領域301は基準面311に近づく。図5の(d)が示すとおり、発光領域301では最大のたわみ量δ=δaが最大で十数μm〜数十μmに達する。
図5の(b)は、台部材404の基準面311が放熱部314を含む場合において、熱伝導材320からの押圧力に起因する光源パネル221のたわみを示す模式的な縦断面図である。放熱部314では切り曲げ部分315が基準面311に対して傾斜し、その先端ENRが基端EFRよりも、たとえば数十μm〜数百μmだけ光源パネル221に近い。したがって、放熱部314の表面とチップ303の表面との間隔は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側(X座標が小さい側)GFRよりも近い側(X座標が大きい側)GNRで狭い。この間隔の差により、台部材404とチップ303との隙間に熱伝導材320が充填される際、その隙間に流れ込む熱伝導材320の動圧に起因してチップ303の表面に加わる押圧力は、長手方向(X軸方向)において片持ち梁の支点PVTに近いほど強い。特に図3の(a)が示すように、広い間隔GFRに面した部分に加わる押圧力Fulよりも、狭い間隔GNRに面した部分に加わる押圧力Furは強い:Ful<Fur。押圧力のこの差Fur−Fulは、たとえば放熱部314の傾斜角と熱伝導材320の充填速度とによって調節可能である。このような長手方向(X軸方向)における偏りを押圧力の強さ分布が示すので、チップ303の長手方向(X軸方向)における微小部分に加わる押圧力に起因して光源パネル221が受ける曲げモーメントは、支点PVTからその微小部分までの距離の増大に伴い、線形よりも緩やかな割合でしか増加しない。その結果、チップ303の全長にわたる曲げモーメントの積分値Mb2をチップ303に加わる押圧力全体の合力Fupの強さで割った値、すなわち支点PVTから合力Fupの作用点EF2までの距離Lf2は、図5の(a)が示す放熱部314が無い場合の作用点EF1よりも発光領域301に近い:Mb2/Fup=LF2<LF1。放熱部314の有無に関わらず熱伝導材320の充填速度が一定であれば、チップ303に加わる押圧力全体の合力Fupは等しいとみなせる。それ故、光源パネル221の受ける曲げモーメントは、放熱部314が有る場合は無い場合よりも小さい:Mb2=Fup×LF2<Fup×LF1=Mb1。こうして光源パネル221のたわみが全体的に小さく抑えられる。
図5の(c)、(d)が示す太い実線のグラフVbは、図5の(b)の示す基準面311が放熱部314を含む場合における光源パネル221のたわみを表す。ここで、図3の(c)が示すように、基準面311および放熱部314は光源パネル221のチップ303と光源パネル221の横方向(Y軸方向)における中心線CRLの位置が等しい。この中心線CRLは更に、台部材404の位置決め部材312と光源パネル221の封止部材302との間の接触点PVTを通る。したがって、太い実線のグラフVbの示すたわみの形状は、横方向(Y軸方向)における位置に実質的には依らない。このグラフVbでは細い実線のグラフVaと同様、たわみ量δが支点PVTでは“0”に等しく、そこを境にその正負が逆転する。特に発光領域301は基準面311に近づく。しかし、図5の(d)が示すとおり、太い実線のグラフVbが示す発光領域301におけるたわみ量δの最大値δbは、細い実線のグラフVaが示す最大値δaの60%強までに抑制される。
光源パネル221におけるこのようなたわみの抑制により、感光体ドラム24Kの外周面241に対する光源パネル221、特に光出射面305の位置決め精度が向上する。実際、GRINレンズ280は焦点深度が狭い。特に発光素子がOLEDである場合、LEDよりも発光量が弱いので、GRINレンズ280はF値が大きく設計される。これに伴い、焦点深度は典型的には100μm程度にまで制限される。この場合、感光体ドラム24Kの回転に伴う外周面241と回転軸との振動に対する余裕を除くと、光出射面305の位置決めには±15μm程度の誤差しか許されない。この誤差と比べて発光領域301のたわみ量は、基準面311の全体が平らなままでは大きい。しかし、基準面311に放熱部314が形成されていれば、そのたわみ量は光出射面305の位置決め誤差の許容範囲内に抑えられる。このように、放熱部314による発光領域301のたわみの抑制は、感光体ドラム24Kの外周面241に対する光出射面305の位置決め誤差の低減に効果的である。
[実施形態1の利点]
本発明の実施形態1によるプリンター100では上記のとおり、光書込部202の台部材404が基準面311のうち熱伝導材320で覆われた部分に放熱部314を含む。放熱部314は基準面311の平らな部分に対し、基準面311の法線方向(Z軸方向)におけるチップ303の表面との間隔が光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側GFRよりも近い側GNRで狭い向きに傾斜している。したがって、チップ303の表面と放熱部314の表面との隙間に熱伝導材320が充填される際、その隙間に流れ込む熱伝導材320の動圧に起因してチップ303に加わる押圧力は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側よりも近い側で強い。このような強さ分布の偏りにより、押圧力全体の作用点EF2は放熱部314が無い場合の作用点EF1よりも、発光領域301を支持する台部材404の位置決め部材312と光源パネル221の封止部材302との接触点PVTに近い。その結果、基準面311が放熱部314を含む場合は無い場合よりも、押圧力に起因して光源パネル221の受ける曲げモーメントが小さい。こうして、この光書込部202は、熱伝導材320からの押圧力に起因する光源パネル221のたわみを抑制することができる。
[変形例]
(A)図1の示す電子写真式の画像形成装置100は、タンデム配置の感光体ユニット20Y、…、20Kと中間転写ベルト21とを備えた中間体転写方式のカラープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、直接転写方式のカラープリンター、モノクロプリンター、ファクシミリ機、コピー機、または複合機(MFP)であってもよい。
(B)図1の(c)が示す感光体ユニット20Kの構造は一例に過ぎない。たとえば、帯電部は、電極211を利用するコロナ放電式のもの201に代えて、ローラー等を利用する近接放電式のものであってもよい。また、クリーニングブレード204よりもイレーサー205が1次転写ローラー22Kに近くてもよい。
(C)図1の(c)では、ドラム24Kの外周面241が感光体で覆われている。その他に、ドラム24Kに代えてベルトの外周面が感光体で覆われていてもよい。このベルトはドラム24Kと同様、帯電部、現像部、クリーニングブレード、およびイレーサーに囲まれるように配置される。ベルトが1回転すると、これらの処理部に順番に感光体の各表面部分が対向して、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電の各処理を受ける。この場合、図4が示す位置決め部材410はドラム24Kの中心軸242に代えて、ベルトを駆動するプーリーの回転軸に支持されてもよい。
(D)図2の(c)の示す光源パネル221では、固体発光素子260が3列、光源パネル221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。発光素子の配列はその他に列数が1、2、または4以上であってもよく、千鳥形状に代えて格子形状であってもよい。
(E)図3が示す台部材404の放熱部314は基準面311の実質的に平らな部分に対して滑らかに傾斜している。放熱部314はその他に、光源パネル221の長手方向(X軸方向)においてチップ303の表面との間隔が離散的に、たとえば階段状に変化するように、基準面311の実質的に平らな部分に対して変形していてもよい。この変形の結果、チップ303の表面との間隔が長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側GFRよりも近い側GNRで狭くなり、その表面との隙間に流れ込む熱伝導材320の動圧に起因する押圧力が発光領域301から遠い側GFRよりも近い側GNRで十分に強くなればよい。
(F)図3が示す台部材404の放熱部314は、切り曲げ加工によって基準面311から切り起こされた切り曲げ部分315を含む。切り曲げ部分315は特に、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301に近い先端ENRのまわりが、基準面311の平らな部分から切り離されている。これにより、チップ303から熱伝導材320を通して放熱部314へ逃げた熱の大部分は、先端ENRから発光領域301へではなく、基端EFRから発光領域301とは反対側へ放散する。このように切り曲げ部分315には、チップ303から一旦、放熱部314へ逃げた熱が台部材404を通して発光領域301に及ぶ危険性を低減させる副次的効果もある。
しかし、この効果がそれほど重要ではない場合、放熱部は切り曲げ部分15に代えて、絞り加工によって成形された部分を含んでもよい。
図6の(a)は、光書込部202の変形例の縦断面図である。台部材404の基準面311のうち熱伝導材320で覆われた部分は放熱部324を含む。この放熱部324は基準面311の平らな部分に対し、図3の(a)が示すもの314と同じ向きに傾斜している。これにより、基準面311の法線方向(図ではZ軸方向)における放熱部324の表面とチップ303の表面との間隔は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側(X座標が小さい側)GFRよりも近い側(X座標が大きい側)GNRで狭い:GFR>GNR。
図6の(b)は、放熱部324の近傍の外観を示す台部材404の部分斜視図である。放熱部324は、台部材404の基準面311に形成された隆起部分325を含む。この隆起部分325は、たとえば絞り加工によって基準面311から絞り出された光源パネル221の長手方向(図ではX軸方向)に細長い矩形状の突起である。これにより隆起部分325は、図3が示す切り曲げ部分315とは異なり、全周囲が基準面311の平らな部分に繋がったままである。隆起部分325の表面は基準面311の平らな部分に対し、長手方向(X軸方向)において発光領域301へ近づくほど高く、すなわち光源パネル221に接近する向きに傾斜している。特に発光領域301から近い側の端ENRは遠い側の端EFRよりも、たとえば数十μm〜数百μmだけ光源パネル221に近い。その結果、放熱部324の表面とチップ303の表面との間隔は、図6の(a)が示すように、長手方向(X軸方向)において発光領域301に近いほど狭い。
図6の(c)は、放熱部324の近傍を示す台部材404の部分上面図である。放熱部324は隆起部分325を、光源パネル221に実装されたチップ303の直下(図6の(c)が破線で示す左側の矩形領域)に含む。チップ303は特に基準面311と光源パネル221の横方向(Y軸方向)における中心線CRLの位置が等しい。この中心線CRLの上には更に、台部材404の含む位置決め部材のうち光源パネル221の長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近いもの312、特にそれが光源パネル221の封止部材302(図6の(a)参照。)と接触する点が位置する。この点に対して放熱部324とは反対側に位置する基準面311の領域(図6の(c)が破線で示す右側の矩形領域)の直上には、光源パネル221の発光領域301が位置する。
絞り加工によるこの放熱部324は、切り曲げ加工による放熱部314と同様に傾斜しているので、チップ303の表面との間隔が長手方向(X軸方向)において発光領域301に近いほど狭い。したがって、チップ303の表面と放熱部324の表面との隙間に熱伝導材320が充填される際、その隙間に流れ込む熱伝導材320の動圧に起因してチップ303に加わる押圧力は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側よりも近い側で強い。強さのこの偏りにより押圧力全体の作用点EF2は一様分布での作用点EF1よりも、発光領域301を支持する台部材404の位置決め部材312と光源パネル221の封止部材302との接触点PVTに近い。その結果、押圧力に起因して光源パネル221の受ける曲げモーメントが小さい。こうして、絞り加工による放熱部324は切り曲げ加工による放熱部314と同様、熱伝導材320からの押圧力に起因する光源パネル221のたわみを抑制することができる。
(G)図3の(a)が示すように、台部材404が含む位置決め部材は2本、312、313である。これらの位置決め部材312、313は、図3の(c)が示すように、光源パネル221の横方向(Y軸方向)における中心線CRLの上で光源パネル221の封止部材302と接触する。その他に、台部材は同様な位置決め部材を3本以上含んでいてもよい。
図7の(a)は、このような台部材の一例704における放熱部314の近傍を示す部分上面図である。この台部材704は、長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近い位置決め部材を2本、711、712、含む。特に、これら711、712が光源パネル221の封止部材302と接触する点PV1、PV2は、放熱部314から長手方向(X軸方向)において等距離Lfpに位置する。すなわち、これらの接触点PV1、PV2の両方を通る直線VTLは、放熱部314の長手方向(X軸方向)に対して垂直である。さらに、チップ303は基準面311と横方向(Y軸方向)における中心線CRLの位置が等しいので、この中心線CRLの上に放熱部314も中心を置く。2つの接触点PV1、PV2はこの中心線CRLに対して対称に配置される。これらの結果、光源パネル221のたわみの形状(図5の(c)、(d)の示す太い実線のグラフVb参照。)は横方向(Y軸方向)における位置に実質的には依らない。長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近い位置決め部材が4以上の偶数本である場合も同様である。
図7の(b)は、台部材の別例714における放熱部314の近傍を示す部分上面図である。この台部材714は長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近い位置決め部材を3本、721、722、723含む。特に、これら721、722、723が光源パネル221の封止部材302と接触する点PV1、PV2、PV3は放熱部314から長手方向(X軸方向)において等距離Lfpに位置する。すなわち、これらの接触点PV1、PV2、PV3のすべてを通る直線VTLは、放熱部314の長手方向(X軸方向)に対して垂直である。さらに、チップ303は基準面311と横方向(Y軸方向)における中心線CRLの位置が等しいので、この中心線CRLの上に放熱部314も横方向(Y軸方向)における中心を置く。3つの接触点PV1、PV2、PV3のうち、両端の2つPV1、PV2はこの中心線CRLに対して対称に配置され、真ん中の1つPV3はこの中心線CRLの上に配置される。これらの結果、光源パネル221のたわみの形状(図5の(c)、(d)の示す太い実線のグラフVb参照。)は横方向(Y軸方向)における位置に実質的には依らない。長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近い位置決め部材が5以上の奇数本である場合も同様である。
図7の(c)は、台部材の更に別の例724における放熱部314の近傍を示す部分上面図である。この台部材724の位置決め部材は、図7の(a)が示す例704のものと同様、光源パネル221の長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近いものを2本、731、732、含む。特に、これら731、732が光源パネル221の封止部材302と接触する点PV1、PV2は、放熱部314から長手方向(X軸方向)において等距離Lfpに位置する。すなわち、これらの接触点PV1、PV2の両方を通る直線VTLは、放熱部314の長手方向(X軸方向)に対して垂直である。しかし、横方向(Y軸方向)においてチップ303の中心線CRPは、基準面311と発光領域301との共通の中心線CRLとは位置が異なる。放熱部314はチップ303に中心を合わせるので、基準面311、発光領域301とのいずれとも中心が異なる。この場合、発光領域301に対し、2つの接触点の一方PV1は、チップ303、放熱部314よりも外側に配置され、他方PV2は、チップ303、放熱部314とは反対側に配置される。この配置では、熱伝導材320からの押圧力に起因する光源パネル221の中心線CRLまわりのねじれが抑えられるので、横方向(Y軸方向)における光源パネル221のたわみの変化は許容範囲内に留まる。長手方向(X軸方向)においてチップ303に最も近い位置決め部材が3本以上である場合も同様である。
《実施形態2》
図8の(a)は、本発明の実施形態2による光書込部802の縦断面図であり、(b)は、(a)の示す光書込部802において、光源パネル221とホルダー223とを台部材804から切り離した状態を示す縦断面図である。この光書込部802は、実施形態1による光書込部202とは、熱伝導材820と、台部材804の基準面811のうち熱伝導材820に覆われた部分との構造のみが異なる。以下では、これら異なる構造について説明する。他の同様な部分については実施形態1の説明を援用する。
図8の(a)が示すように、台部材804の基準面811はその全体が実質的に平らなである。すなわち、図3の(a)が示す基準面311とは異なり、熱伝導材820で覆われた部分が放熱部314を含まず、他の部分と同様に実質的に平らなままである。一方、熱伝導材820は、図3の(a)が示すグリス状の熱伝導材320とは異なり、シリコーン等、熱伝導率の高い樹脂製のゴムまたはシートである。熱伝導材820は、光書込部802の製造時、台部材804に対する光源パネル221の位置決め工程において、たとえば、台部材804の基準面811に光源パネル221が固定される前に、図8の(b)が示すようにチップ303の表面と対向する基準面811の部分、またはチップ303の表面に積層される。その後、光源パネル221が基準面811に押さえつけられる際、チップ303の表面と基準面811とが熱伝導材820を間に挟んで互いに貼り合わされる。熱伝導材820は光源パネル221よりも熱伝導率が十分に高いので、駆動回路253が発した熱の大部分は、熱伝導材820を通して台部材804へ速やかに放散される。これにより、駆動回路253と発光素子アレイ251との過熱が防止される。
図8の(b)が示すように、光源パネル221とホルダー223とが台部材804から分離された状態では、熱伝導材820は、光源パネル221の長手方向(図ではX軸方向)において発光領域301から遠い側(X座標が小さい側)TFRよりも近い側(X座標が大きい側)TNRで厚い。長手方向(X軸方向)においてこのように熱伝導材820の厚みが変化しているので、図8の(a)が示すように、光源パネル221とホルダー223とが台部材804に固定された状態では熱伝導材820の圧縮量は、長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側TFRよりも近い側TNRで大きい。その結果、熱伝導材820からチップ303の表面に加わる押圧力は、長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側TFRにおける強さFulよりも、近い側TNRにおける強さFurが大きい:Ful<Fur。押圧力のこの差Fur−Fulは、たとえば熱伝導材820の弾性率と厚み分布とによって調節可能である。このような押圧力に起因して光源パネル221が受ける曲げモーメントMb3をチップ303の表面に加わる押圧力全体の合力Fupで割った値、すなわち片持ち梁の支点PVTから合力Fupの作用点EF3までの距離Lf3は、熱伝導材の厚さが一様である場合の作用点、すなわちチップ303の長手方向(X軸方向)における中心点EF1よりも発光領域301に近い:Mb3/Fup=LF3<LF1。熱伝導材からチップ303に加わる押圧力全体の合力Fupが、熱伝導材の厚さ分布に関わらず、等しいとみなせる場合、光源パネル221の受ける曲げモーメントは、厚さが一様でない場合は一様な場合よりも小さい:Mb3=Fup×LF3<Fup×LF1。こうして光源パネル221のたわみが全体的に小さく抑えられる。
[実施形態2の利点]
本発明の実施形態2による光書込部802では上記のとおり、光源パネル221とホルダー223とが台部材804から分離された状態では、熱伝導材820が光源パネル221の長手方向において発光領域301から遠い側TFRよりも近い側TNRで厚い。したがって、光源パネル221が基準面811に押さえつけられてチップ303の表面と基準面811とが熱伝導材820を間に挟んで互いに貼り合わされる際、チップ303に熱伝導材820から加わる押圧力は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側よりも近い側で強い。このような強さ分布の偏りにより、押圧力全体の作用点EF3は、熱伝導材の厚さが一様である場合の作用点EF1よりも、発光領域301を支持する台部材804の位置決め部材312と光源パネル221の封止部材302との接触点PVTに近い。その結果、熱伝導材820の厚さが一様でない場合は一様な場合よりも、押圧力に起因して光源パネル221の受ける曲げモーメントが小さい。こうして、この光書込部802は、熱伝導材820からの押圧力に起因する光源パネル221のたわみを抑制することができる。
本発明は、電子写真式の画像形成装置が備える光書込装置の放熱構造に関し、上記のとおり、台部材の表面のうち熱伝導材で覆われた部分を平らな部分に対して変形させ、または熱伝導材の厚さを長手方向の位置に応じて変化させる。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 プリンター
20Y、20M、20C、20K 感光体ユニット
21 中間転写ベルト
21L 従動プーリー
21R 駆動プーリー
22Y、22M、22C、22K 1次転写ローラー
23 2次転写ローラー
24Y、24M、24C、24K 感光体ドラム
202 光書込部
221 光源パネル
222 レンズアレイ
223 ホルダー
225、226 レンズアレイの端面
227 ホルダーの凹部
228 ホルダーのスリット
254 FPC
260 発光素子
301 光源パネルの発光領域
302 封止部材
303 駆動回路のチップ
304 発光領域の発光素子側の板面
305 光源パネルの光出射面
311 台部材の基準面
312、313 位置決め部材
314 放熱部
315 切り曲げ部分
320 熱伝導材
404 台部材

Claims (14)

  1. 長尺形状の基板であり、当該基板の長手方向に伸びる発光領域と、当該基板の長手方向の一端部に実装され、前記発光領域に対する駆動回路が組み込まれたチップと、を含む光源パネルと、
    実質的に平らな表面を含み、当該表面と前記光源パネルが所定距離を隔てて実質的に平行に対向するように前記光源パネルの発光領域の近傍を支持する台部材と、
    前記チップの表面と前記台部材の表面との間を熱伝導可能に接続する熱伝導材と、
    を備え、
    前記台部材の表面のうち前記熱伝導材で覆われた部分は、
    当該表面の法線方向における前記チップの表面との間隔が前記光源パネルの長手方向において前記発光領域から遠い側よりも近い側で狭いように、前記台部材の表面の実質的に平らな部分に対して変形している放熱部
    を含む光書込装置。
  2. 前記放熱部は、
    前記台部材の表面の実質的に平らな部分に対し、当該表面の法線方向における前記チップの表面との間隔が前記光源パネルの長手方向において前記発光領域から遠い側よりも近い側で狭くなる向きに傾斜するように、前記台部材の表面から切り起こされた切り曲げ部分
    を含む、請求項1に記載の光書込装置。
  3. 前記切り曲げ部分は、前記光源パネルの長手方向において前記発光領域から遠い側に位置する端で前記台部材の表面の実質的に平らな部分に繋がっていることを特徴とする、請求項2に記載の光書込装置。
  4. 前記放熱部は、前記台部材の表面から絞り出された隆起部分を含む、請求項1に記載の光書込装置。
  5. 前記隆起部分の表面は、前記台部材の表面の実質的に平らな部分に対し、当該表面の法線方向における前記チップの表面との間隔が前記光源パネルの長手方向において前記発光領域から遠い側よりも近い側で狭くなる向きに傾斜していることを特徴とする、請求項4に記載の光書込装置。
  6. 長尺形状の基板であり、当該基板の長手方向に伸びる発光領域と、当該基板の長手方向の一端部に実装され、前記発光領域に対する駆動回路が組み込まれたチップと、を含む光源パネルと、
    実質的に平らな表面を含み、当該表面と前記光源パネルが所定距離を隔てて実質的に平行に対向するように前記光源パネルの発光領域の近傍を支持する台部材と、
    前記チップの表面と前記台部材の表面との間を熱伝導可能に接続する熱伝導材と、
    を備え、
    前記熱伝導材は、前記チップの表面と前記台部材の表面とのいずれかとの接続が解除された場合、前記光源パネルの長手方向において前記発光領域から遠い側よりも近い側で厚い
    ことを特徴とする光書込装置。
  7. 前記台部材は、
    表面から突出して先端で前記光源パネルのうち前記発光領域の近傍に接触することにより、前記光源パネルの位置を規制する少なくとも1つの位置決め部材
    を更に含む、
    請求項1から請求項6までのいずれかに記載の光書込装置。
  8. 前記少なくとも1つの位置決め部材のうち前記光源パネルの長手方向において前記チップに最も近いもののいずれかが前記光源パネルと接触する点は、前記光源パネルの長手方向に対しては垂直で、かつ前記台部材の表面に対しては平行な方向において前記チップの中心と同じ位置であることを特徴とする、請求項7に記載の光書込装置。
  9. 前記少なくとも1つの位置決め部材のうち前記光源パネルの長手方向において前記チップに最も近いものが前記光源パネルと接触する点の全体は前記チップと、前記光源パネルの長手方向に対しては垂直で、かつ前記台部材の表面に対しては平行な方向における中心の位置が等しいことを特徴とする、請求項7に記載の光書込装置。
  10. 前記光源パネルの長手方向に対しては垂直で、かつ前記台部材の表面に対しては平行な方向において、前記チップは前記発光領域とは中心の位置が異なり、前記少なくとも1つの位置決め部材のうち前記光源パネルの長手方向において前記チップに最も近いものは、前記発光領域に対し、前記チップよりも外側に位置するものと前記チップとは反対側に位置するものとを含む、請求項7に記載の光書込装置。
  11. 前記光源パネルは、
    前記発光領域を囲んで外部から気密に隔離する封止部材
    を更に含み、
    前記少なくとも1つの位置決め部材は、先端で前記封止部材に接触することにより、前記光源パネルの位置を規制する
    ことを特徴とする請求項7から請求項10までのいずれかに記載の光書込装置。
  12. 前記発光領域から照射された光を透過させるレンズアレイと、
    前記レンズアレイを保持する保持部材と、
    を更に備え、
    前記発光領域は、長手方向に配列された複数の発光素子を含む、
    請求項1から請求項11までのいずれかに記載の光書込装置。
  13. 前記複数の発光素子は有機発光ダイオードを含む、請求項12に記載の光書込装置。
  14. 電子写真式の画像形成装置であり、
    感光体と、
    前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する、請求項1から請求項13までのいずれかに記載の光書込装置と、
    前記静電潜像をトナーで現像する現像部と、
    前記現像部が現像したトナー像を前記感光体からシートへ転写する転写部と、
    を備えた画像形成装置。
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