JP2018108713A - 光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導材を利用することなく、光源パネルからの放熱を効率良く実現可能な光書込装置を提供する。
【解決手段】光書込装置(202)では、台部材(404)が表面(311)を光源パネル(221)と平行に対向させ、その表面が光源パネルから受けた輻射熱(Hrd)を外部へ逃がす放熱部材として機能する。台部材は特に排熱路(315)を含む。この排熱路は、光源パネルのうち駆動回路(303)からその駆動回路と発光領域(301)との中間部分(601)までの範囲に面し、台部材の表面の他の領域から熱的に独立して光源パネルからの輻射熱を外部(SPC)へ逃がす。
【選択図】図3
【解決手段】光書込装置(202)では、台部材(404)が表面(311)を光源パネル(221)と平行に対向させ、その表面が光源パネルから受けた輻射熱(Hrd)を外部へ逃がす放熱部材として機能する。台部材は特に排熱路(315)を含む。この排熱路は、光源パネルのうち駆動回路(303)からその駆動回路と発光領域(301)との中間部分(601)までの範囲に面し、台部材の表面の他の領域から熱的に独立して光源パネルからの輻射熱を外部(SPC)へ逃がす。
【選択図】図3
Description
本発明は電子写真式の画像形成装置に関し、特に、感光体を露光する光書込装置の放熱構造に関する。
光書込装置は「プリントヘッド(PH)」とも呼ばれ、プリンター、コピー機等、電子写真式の画像形成装置において感光体表面を露光し、すなわち画像データで変調した光を感光体表面の一様な帯電領域に照射してその変調パターンに対応する帯電量分布、すなわち静電潜像を形成する。感光体は、画像形成装置の中に回転可能に支持されたドラムまたはベルト等の回転体の外周面を覆っている。光書込装置は感光体表面を、回転体の軸方向(以下、「主走査方向」という。)に伸びる直線状領域(以下、「1ライン」という。)ずつ露光する。各ラインの露光が感光体の回転に同期して繰り返されることにより、感光体表面には回転方向(以下、「副走査方向」という。)に露光済みのラインが連なり、静電潜像が2次元的に拡がる。
光書込装置には光走査方式と発光素子配列方式との2種類がある。「光走査方式」は、レーザー光をポリゴンミラー等の偏向器で周期的に偏向し、各周期の間にそのレーザー光で感光体表面の1ラインを走査する。「発光素子配列方式」は、主走査方向に配列された複数の発光ダイオード(LED)、半導体レーザー等の発光素子と複数の屈折率分布(grandient index:GRIN)レンズとを利用して、感光体表面の1ライン全体を同時に露光する。光走査方式とは異なり発光素子配列方式は、偏向器が不要であるので騒音が比較的低く、複数の発光素子とGRINレンズとで1ラインの各部を個別に照らすので発光素子から感光体までの光路長が比較的短い。その結果、光走査方式よりも発光素子配列方式は静音化と小型化との点で有利である。したがって、レーザープリンター等の画像形成装置を、特にオフィスと家庭とへ更に普及させるには、発光素子配列方式の利用が効果的であると期待されている。
発光素子配列方式の利用では、感光体に対する光書込装置の位置決めが重要である。GRINレンズは光走査方式の光学系と比べて焦点深度が狭いので、感光体表面が正確に露光されるには、GRINレンズによる発光素子の像面が感光体表面に確実に整合されねばならない。したがって、感光体表面に対する発光素子の位置決めに必要な精度が高い。たとえば特許文献1に開示された位置決め構造では、感光体の軸受と光源との間にスペーサーが挟まれ、感光体の回転軸から光源の表面までの距離が所定値に制限されている。
発光素子配列方式の利用ではまた、光書込装置からの放熱も重要である。発光素子の数が多いので、それらだけでなく、それらの駆動回路も発熱量が多い。これらの過熱に起因する不良を防ぐには、これらが実装される基板(以下、「光源パネル」という。)からの放熱が効率良く行われねばならない。
発光素子とその駆動回路とに対する従来の放熱構造としては、たとえば、特許文献2、3に開示されたものが知られている。特許文献2に開示された液晶表示装置(LCD)では、バックライトの光源を囲む反射板の一部がフレームの穴から露出している。光源から反射板へ伝搬した熱の一部は、この穴を通してフレームの外へ輻射によって放出される。その結果、反射板から液晶パネルへの輻射熱が減少するので、液晶パネルの過熱に起因する不具合が回避される。特許文献3に開示された有機発光(EL)パネルでは、駆動回路チップと金属製の放熱板との間に熱伝導材が挟まれている。熱伝導材(thermal interface material:TIM)は、たとえばシリコーン製のグリス、室温硬化型ゴム、またはシートであり、駆動回路チップから伝搬する熱を放熱板へ効果的に逃がす。
発光素子とその駆動回路とに対する従来の放熱構造としては、たとえば、特許文献2、3に開示されたものが知られている。特許文献2に開示された液晶表示装置(LCD)では、バックライトの光源を囲む反射板の一部がフレームの穴から露出している。光源から反射板へ伝搬した熱の一部は、この穴を通してフレームの外へ輻射によって放出される。その結果、反射板から液晶パネルへの輻射熱が減少するので、液晶パネルの過熱に起因する不具合が回避される。特許文献3に開示された有機発光(EL)パネルでは、駆動回路チップと金属製の放熱板との間に熱伝導材が挟まれている。熱伝導材(thermal interface material:TIM)は、たとえばシリコーン製のグリス、室温硬化型ゴム、またはシートであり、駆動回路チップから伝搬する熱を放熱板へ効果的に逃がす。
発光素子配列方式には更なる高性能化が求められている。そのための工夫としては、たとえば有機発光ダイオード(OLED)を光源として利用することが考えられている。OLEDはLEDと比べて、黒レベルが低く、色表現力が高く、消費電力が低く、小型/薄型/軽量化が容易である点で有利である。その反面、OLEDはLEDよりも発光量が弱い。したがって、OLEDの利用にはGRINレンズのF値の増大が必要である。F値の増大は焦点深度を狭めるので、感光体表面に対する発光素子の位置決めが更に高精度化されなければならない。
しかし、光源パネルからの放熱に熱伝導材が利用される場合、位置決めの更なる高精度化は難しい。これは以下の理由による。光源パネルの位置決め工程では、たとえば熱伝導材がグリスである場合、光源パネルが台に固定された後に光源パネル、特に駆動回路のチップと板金等の放熱部材との隙間にグリスが充填される。熱伝導材がシートである場合は光源パネル、特に駆動回路のチップと放熱部材との一方の表面が、そのシートで覆われた後にそのシート越しに他方の表面と貼り合わされる。いずれの場合でも光源パネルのうち熱伝導材と接触する部分、特に駆動回路のチップが実装された部分には熱伝導材からの押圧力が加わる。この部分は一般に、光源パネルが台によって支持される部分から離れているので、両部分間での応力差に起因するたわみが光源パネルに生じる。このたわみに伴う発光素子の変位が過大であれば、感光体表面から発光素子までの距離が目標値から過大に外れる。この危険性が避けられないので、感光体表面に対する発光素子の位置決め精度を更に向上させることは難しい。
この困難を避けるには光源パネルからの放熱に、熱伝導材を通した熱伝導に代えて、対流または輻射が利用されればよい。しかし、光源パネルの周囲には、台を始め、光源パネルとGRINレンズとに対する支持部材が配置されている。光源パネル、GRINレンズに対して必要な位置決め精度は高いので、これらの支持部材に対しては、形状、剛性、熱膨張率等、環境変動に伴う変形の大きさを左右する属性について、様々な条件が課せられている。これらの条件を満たしたまま、これらの支持部材の中に、対流または輻射による放熱構造を組み込むことは、当業者にとっても決して自明ではない。たとえば、光源パネルの周囲から高温の雰囲気を除去し、または光源パネルからの輻射熱を外部へ逃がすための排熱路を、光源パネル、GRINレンズに対する支持部材の中に、それらの位置決め精度に支障なく設計することは、当業者にとっても決して容易ではない。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に熱伝導材を利用することなく、光源パネルからの放熱を効率良く実現可能な光書込装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における光書込装置は、長尺形状の基板であり、その基板の長手方向に伸びる発光領域と、その基板の長手方向の一端部に実装された発光領域に対する駆動回路と、を含む光源パネルと、実質的に平らな表面を光源パネルと実質的に平行に対向させ、その表面が光源パネルから受けた輻射熱を外部へ逃がす放熱部材とを備えている。この放熱部材は、光源パネルのうち駆動回路から駆動回路と発光領域との中間部分までの範囲に面した表面の領域に位置し、他の領域から熱的に独立して光源パネルからの輻射熱を外部へ逃がす排熱路を含む。
排熱路は、放熱部材を貫通する穴を含んでいてもよい。放熱部材を貫通するこの穴は、光源パネルの長手方向に対して垂直な方向において駆動回路よりも大きくてもよい。この穴は、台部材の表面のうち発光領域に面した部分の一端を囲んでいてもよい。
放熱部材は、少なくとも排熱路の周囲に、基層よりも輻射率の高い表層を更に含んでいてもよい。放熱部材は、光源パネルの発光領域の近傍を支持する部材を更に含んでいてもよい。
放熱部材は、少なくとも排熱路の周囲に、基層よりも輻射率の高い表層を更に含んでいてもよい。放熱部材は、光源パネルの発光領域の近傍を支持する部材を更に含んでいてもよい。
光源パネルは、発光領域を囲んで外部から気密に隔離する封止部材を更に含んでいてもよい。光源パネルの発光領域の近傍を支持する部材は、台部材の表面から突出して先端で封止部材に接触することにより、光源パネルの位置を規制する位置決め部材を更に含んでいてもよい。
この光書込装置は、発光領域から照射された光を透過させるレンズアレイと、このレンズアレイを保持する保持部材とを更に備えていてもよい。発光領域は、長手方向に配列された複数の発光素子を含んでいてもよい。これら複数の発光素子は有機発光ダイオードを含んでいてもよい。
この光書込装置は、発光領域から照射された光を透過させるレンズアレイと、このレンズアレイを保持する保持部材とを更に備えていてもよい。発光領域は、長手方向に配列された複数の発光素子を含んでいてもよい。これら複数の発光素子は有機発光ダイオードを含んでいてもよい。
本発明の1つの観点における画像形成装置は電子写真式の画像形成装置であり、感光体と、その感光体の表面を露光して静電潜像を形成する上記の光書込装置と、その静電潜像をトナーで現像する現像部と、現像部が現像したトナー像を感光体からシートへ転写する転写部とを備えている。
本発明による光書込装置では上記のとおり、放熱部材が、光源パネルと実質的に平行に対向した表面で光源パネルから輻射熱を受けて外部へ逃がす。この放熱部材は特に排熱路を含む。この排熱路は、光源パネルのうち駆動回路からその駆動回路と発光領域との中間部分までの範囲に面し、放熱部材の表面の他の領域から熱的に独立して光源パネルからの輻射熱を外部へ逃がす。こうしてこの光書込装置は、熱伝導材を利用することなく、光源パネルからの放熱を効率良く実現することができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100はプリンターである。その筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が埋め込まれている。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられている。
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100はプリンターである。その筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が埋め込まれている。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられている。
[画像形成装置の内部構造]
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b−bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は電子写真式のカラープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
給送部10は、まずピックアップローラー12を用いて、給紙カセット11に収容されたシートの束からシートSH1を1枚ずつ分離する。給送部10は次にタイミングローラー13を用いて、分離したシートを作像部20へ、その動作にタイミングを合わせて送出する。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種はたとえば、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズはたとえば、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b−bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は電子写真式のカラープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
給送部10は、まずピックアップローラー12を用いて、給紙カセット11に収容されたシートの束からシートSH1を1枚ずつ分離する。給送部10は次にタイミングローラー13を用いて、分離したシートを作像部20へ、その動作にタイミングを合わせて送出する。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種はたとえば、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズはたとえば、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
作像部20はたとえば中間体転写方式であり、タンデム配置の感光体ユニット20Y、20M、20C、20K、中間転写ベルト21、1次転写ローラー22Y、22M、22C、22K、および2次転写ローラー23を含む。中間転写ベルト21は従動プーリー21Lと駆動プーリー21Rとの間に回転可能に掛け渡されている。これらのプーリー21L、21Rの間の空間には4つの感光体ユニット20Y、…、20Kと4本の1次転写ローラー22Y、…、22Kとが1つずつ対を成すように配置され、中間転写ベルト21を間に挟んで対向している。2次転写ローラー23は中間転写ベルト21を間に挟んで駆動プーリー21Rとニップを形成している。このニップには、タイミングローラー13から送出されたシートSH2が通紙される。
各感光体ユニット20Y、…、20Kでは感光体ドラム24Y、24M、24C、24Kが、対向する1次転写ローラー22Y、…、22Kに、中間転写ベルト21を間に挟んだ状態で接触してニップを形成している。各感光体ユニット20Y、…、20Kは、中間転写ベルト21が(図1の(b)では反時計方向に)回転する間、その同じ表面部分が1次転写ローラー22Y、…、22Kと感光体ドラム24Y、…、24Kとの間のニップを通過する際にその表面部分に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のうち異なる1色のトナー像を形成する。その表面部分にはこれら4色のトナー像が重ねられて1つのカラートナー像が形成される。このカラートナー像が駆動プーリー21Rと2次転写ローラー23との間のニップを通過するタイミングに合わせて、そのニップへシートSH2がタイミングローラー13から通紙される。これによりそのニップではカラートナー像が中間転写ベルト21からシートSH2へ転写される。
定着部30は、作像部20から送出されたシートSH3にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながらそれらの間のニップにシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH3の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH3の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH3の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH3を排紙部40へ送り出す。
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3を排紙口42から排紙トレイ41へ排紙する。具体的には、排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を用いて、定着部30の上部から排紙口42へ移動してきたシートSH3を排紙口42の外へ送出して排紙トレイ41に載せる。
[感光体ユニットの構造とそれによる画像形成処理]
図1の(c)は、図1の(b)の示す感光体ユニットの1つ20Kの拡大図である。この感光体ユニット20Kは感光体ドラム24Kに加え、帯電部201、光書込部202、現像部203、クリーニングブレード204、およびイレーサー205を含む。これらは感光体ドラム24Kの周囲に配置され、その外周面に対して電子写真式による画像形成処理のうち定着以外、すなわち、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電を行う。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の構造を含む。
[感光体ユニットの構造とそれによる画像形成処理]
図1の(c)は、図1の(b)の示す感光体ユニットの1つ20Kの拡大図である。この感光体ユニット20Kは感光体ドラム24Kに加え、帯電部201、光書込部202、現像部203、クリーニングブレード204、およびイレーサー205を含む。これらは感光体ドラム24Kの周囲に配置され、その外周面に対して電子写真式による画像形成処理のうち定着以外、すなわち、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電を行う。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の構造を含む。
感光体ドラム24Kは、外周面241が感光体で覆われたアルミニウム等の導電体製の円筒部材であり、その中心軸(図1の(c)では、感光体ドラム24Kの円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)242のまわりを回転可能に支持されている。感光体は、露光量に依存して帯電量が変化する素材であり、アモルファスセレン、セレン合金、アモルファスシリコン等の無機材料、または複数の有機材料の積層構造(OPC)を含む。図1の(c)は示していないが、感光体ドラム24Kの中心軸242は、ギア、ベルト等、回転力の伝達機構を通して駆動モーターに接続されている。その駆動モーターからの回転力で感光体ドラム24Kが(図1の(c)では時計方向に)1回転すると、感光体の各表面部分が周囲の処理部201、202、203、204、205に順番に面してそれらの処理を受ける。
帯電部201は、感光体ドラム24Kの外周面241から間隔をおいてその軸方向に伸びるワイヤーまたは薄板形状の電極211を含む。帯電部201はこの電極211に対してたとえば負の高電圧を印加することにより、この電極211と感光体ドラム24Kの外周面241との間にコロナ放電を生じさせる。この放電が、帯電部201に面した感光体の表面部分を負に帯電させる。
光書込部202は本発明の実施形態による光書込装置であり、感光体ドラム24Kの帯電部分のうち軸方向(主走査方向)に伸びる直線状領域、すなわち1ラインを露光する。このとき、光書込部202は感光体ドラム24Kへの照射光量を、画像データが表す階調値に基づいて変調する。感光体ドラム24K上の1ラインでは照射光量が高いほど帯電量が減少するので、画像データが表す階調値分布に対応する帯電量分布、すなわち静電潜像が形成される。1ラインに対するこの露光動作を光書込部202は、感光体ドラム24Kの回転に同期して繰り返す。これにより感光体ドラム24Kの外周面にはその回転方向、すなわち副走査方向に露光済みのラインが連なり、静電潜像が2次元的に拡がる。
現像部203は感光体ドラム24K上の静電潜像をK色のトナーで現像する。具体的には、現像部203はまず2本のオーガスクリュー231、232で2成分現像剤DVLを撹拌し、そのときの摩擦で現像剤DVLの含むトナーを負に帯電させる。現像部203は次に現像ローラー233を用いて、現像剤DVLを感光体ドラム24Kとの間のニップへ搬送する。これと並行して現像部203は、現像ローラー233に対して負の高電圧を印加する。これにより、静電潜像のうち帯電量の比較的少ない領域は現像ローラー233よりも電位が上がるので、現像ローラー233の搬送する現像剤から、帯電量の減少分に応じた量のトナーが分離して付着する。こうして静電潜像がトナー像として顕在化する。
このトナー像は感光体ドラム24Kの回転に伴い、それと1次転写ローラー22Kとの間のニップへ移動する。1次転写ローラー22Kに対しては正の高電圧が印加されているので、負に帯電したトナー像が感光体ドラム24Kの外周面から中間転写ベルト21へ転写される。
クリーニングブレード204は、たとえばポリウレタンゴム等の熱硬化性樹脂から形成された薄い矩形板状の部材であり、その長さが感光体ドラム24Kの外周面241のうち感光体で覆われた部分とほぼ等しい。ブレード204の板面のうち感光体ドラム24Kの外周面241に面した方は、その長辺の1つ(エッジ)が感光体ドラム24Kの軸方向に対して平行な状態でその外周面241に接触し、その外周面241からトナー像の転写跡に残るトナーを掻き取る。こうして、その外周面が清掃される。
クリーニングブレード204は、たとえばポリウレタンゴム等の熱硬化性樹脂から形成された薄い矩形板状の部材であり、その長さが感光体ドラム24Kの外周面241のうち感光体で覆われた部分とほぼ等しい。ブレード204の板面のうち感光体ドラム24Kの外周面241に面した方は、その長辺の1つ(エッジ)が感光体ドラム24Kの軸方向に対して平行な状態でその外周面241に接触し、その外周面241からトナー像の転写跡に残るトナーを掻き取る。こうして、その外周面が清掃される。
イレーサー205は、たとえば感光体ドラム24Kの軸方向に配列されたLEDから感光体ドラム24Kの外周面241に光を照射する。その外周面241のうち照射光を受けた部分からは残存する電荷が消失する。こうして、その外周面241が除電される。
[光書込部の構造]
図2の(a)は光書込部202の斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った光書込部202の横断面図であり、図3の(a)は、図2の(a)の示す直線IIIa−IIIaに沿った光書込部202の縦断面図である。光書込部202は発光素子配列方式であり、光源パネル221、レンズアレイ222、およびホルダー223を含む。
[光書込部の構造]
図2の(a)は光書込部202の斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った光書込部202の横断面図であり、図3の(a)は、図2の(a)の示す直線IIIa−IIIaに沿った光書込部202の縦断面図である。光書込部202は発光素子配列方式であり、光源パネル221、レンズアレイ222、およびホルダー223を含む。
光源パネル221は長尺形状の透明なガラス基板または樹脂基板であり、発光領域301、封止部材302、および集積回路(IC)チップ303を含む。発光領域301は、光源パネル221の長手方向(図2の(b)、図3の(a)ではX軸方向)にそのほぼ全体にわたって伸びている領域であり、片側の板面(図2の(b)、図3の(a)では下面)304に直に、LED、OLED等の固体発光素子が複数形成されている。これらの素子が発光すると、これらの光は基板221を透過して反対側の板面(図2の(b)、図3の(a)では上面)305からその法線方向(図2の(b)、図3の(a)ではZ軸の正方向)へ出射する。封止部材302は、たとえばガラス、または金属酸化物もしくは窒化物とポリマーとの多層構造体であり、発光領域301の発光素子側の板面304の上で発光領域301を囲んで外部から気密に隔離する。これにより、外気中の水分、酸素から発光素子が保護される。チップ303は、光源パネル221の長手方向(X軸方向)に細長い矩形状であり、光源パネル221の長手方向の一端部において発光素子側の板面304に実装されている。チップ303には発光素子に対する駆動回路が組み込まれている。
レンズアレイ222は透明なガラス製または樹脂製の光学部材であり、光源パネル221の長手方向(X軸方向)に長尺の矩形板状である。レンズアレイ222の2枚の板面の間にはGRINレンズの配列が封止されている。各GRINレンズは、レンズアレイ222の板面の短辺に対して平行に(図2の(a)、(b)、図3の(a)ではZ軸方向に)伸びる円柱形状であり、一方の端面(図2の(b)、図3の(a)では下面)225を光源パネル221の光出射面305に対向させ、他方の端面(図2の(b)、図3の(a)では上面)226を感光体ドラム24Kの外周面に向けている。各GRINレンズは、光源パネル221から一方の端面225へ入射する光を他方の端面226から出射し、感光体ドラム24Kの外周面に結像させる。
ホルダー223は光源パネル221の長手方向(X軸方向)に長尺の板状部材であり、たとえば樹脂から成る。ホルダー223は、片側の板面(図2の(b)、図3の(a)では下面)には凹部227を含み、反対側の板面(図2の(b)、図3の(a)では上面)にはスリット228を含む。凹部227とスリット228とは互いに内側の空間を連通させている。ホルダー223は、凹部227の内側には光源パネル221を収容し、スリット228の間にはレンズアレイ222を挟んで保持している。
−光源パネル−
図2の(c)は光源パネル221のブロック図である。光源パネル221に組み込まれた電子回路系統は、発光素子アレイ251、選択回路252、および駆動回路253を含む。発光素子アレイ251は、光源パネル221の発光領域301に直に形成された固体発光素子の配列である。図2の(c)が示す例では、発光素子260が3列、光源パネル221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。各列には数千個の発光素子が数十μmのピッチで並んでいる。各発光素子は外部からの輝度信号に応じて駆動電流量を変化させる。この駆動電流量が多いほど発光素子からの出射光量が高い。選択回路252は、光源パネル221上に直に形成された薄膜トランジスタ(TFT)回路であり、発光素子を順番に駆動回路253に接続する。駆動回路253は特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)で構成され、光源パネル221上に直に実装されたチップ303の中に組み込まれている(chip on grass:COG)。駆動回路253はフレキシブル印刷回路基板(FPC)254を通してプリンター100内の光源制御部255に接続されており、そこからデジタルの画像データを受信する。この画像データを駆動回路253はアナログの輝度信号に変換し、選択回路252により接続された発光素子へ送信する。
図2の(c)は光源パネル221のブロック図である。光源パネル221に組み込まれた電子回路系統は、発光素子アレイ251、選択回路252、および駆動回路253を含む。発光素子アレイ251は、光源パネル221の発光領域301に直に形成された固体発光素子の配列である。図2の(c)が示す例では、発光素子260が3列、光源パネル221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。各列には数千個の発光素子が数十μmのピッチで並んでいる。各発光素子は外部からの輝度信号に応じて駆動電流量を変化させる。この駆動電流量が多いほど発光素子からの出射光量が高い。選択回路252は、光源パネル221上に直に形成された薄膜トランジスタ(TFT)回路であり、発光素子を順番に駆動回路253に接続する。駆動回路253は特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)で構成され、光源パネル221上に直に実装されたチップ303の中に組み込まれている(chip on grass:COG)。駆動回路253はフレキシブル印刷回路基板(FPC)254を通してプリンター100内の光源制御部255に接続されており、そこからデジタルの画像データを受信する。この画像データを駆動回路253はアナログの輝度信号に変換し、選択回路252により接続された発光素子へ送信する。
−レンズアレイ−
図2の(d)は、レンズアレイ222が含むGRINレンズの1つ280における光路を示す模式図である。GRINレンズ280は、直径が数百μm〜数mmの透明なガラス製または樹脂製の円柱形状であり、屈折率が中心軸から外周面に向かって放物線状に低下するように分布している。この屈折率分布により、GRINレンズ280の一方の端面281から入射した光は、軸方向に沿って正弦波状の軌跡を描きながら伝搬し、一定の距離(たとえば数mm〜十数mm)を進むごとに結像を繰り返す。したがって、GRINレンズ280の他方の端面282から出射した光は、GRINレンズ280の軸方向の長さAXLに合わせて正立像または倒立像を結ぶ。図2の(d)では白抜きの矢印が示すように倒立像である。この像のぼけは、結像点PBFの前後、GRINレンズ280の焦点深度DOF(=数百μm)の範囲内では許容レベルに抑えられる。
図2の(d)は、レンズアレイ222が含むGRINレンズの1つ280における光路を示す模式図である。GRINレンズ280は、直径が数百μm〜数mmの透明なガラス製または樹脂製の円柱形状であり、屈折率が中心軸から外周面に向かって放物線状に低下するように分布している。この屈折率分布により、GRINレンズ280の一方の端面281から入射した光は、軸方向に沿って正弦波状の軌跡を描きながら伝搬し、一定の距離(たとえば数mm〜十数mm)を進むごとに結像を繰り返す。したがって、GRINレンズ280の他方の端面282から出射した光は、GRINレンズ280の軸方向の長さAXLに合わせて正立像または倒立像を結ぶ。図2の(d)では白抜きの矢印が示すように倒立像である。この像のぼけは、結像点PBFの前後、GRINレンズ280の焦点深度DOF(=数百μm)の範囲内では許容レベルに抑えられる。
[感光体ドラムの支持構造]
図4の(a)は、感光体ユニットの1つ20Kが含む感光体ドラム24Kの支持構造の外観を示す斜視図である。この図は、感光体ドラム24Kの中心軸242の延長線上よりも少し上方に位置する視点から描かれている。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の支持構造を含む。
図4の(a)は、感光体ユニットの1つ20Kが含む感光体ドラム24Kの支持構造の外観を示す斜視図である。この図は、感光体ドラム24Kの中心軸242の延長線上よりも少し上方に位置する視点から描かれている。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の支持構造を含む。
この支持構造はフレーム401を含む。このフレーム401は感光体ドラム24Kの各端面243の外側に配置され、その端面243に対して平行に拡がっている。フレーム401は自身の穴402に感光体ドラム24Kの中心軸242の各端部を貫通させ、それらを回転可能に支持している。フレーム401の隙間からは感光体ドラム24Kの外周面241の一部が露出している。この露出部分に中間転写ベルト21越しに1次転写ローラー22Kが接触する。
フレーム401の隙間には更に図4の(a)が示すように、光書込部202が配置されている。光書込部202は、図2の示す要素に加えて台部材404を含む。台部材404は剛性の高い素材、たとえばステンレス鋼(SUS)等の板金で構成されており、ホルダー223の底面を下から支えている。台部材404はバネ405により、感光体ドラム24Kの径方向において摺動可能に支持されている。バネ405はたとえばコイルバネであり、図は示していないが、その一端がフレーム401に固定され、他端がバネ405の弾性力によって光書込部202を台部材404越しに感光体ドラム24Kへ向かって押す。
図4の(b)は、(a)が示す支持構造からフレーム401を除去したときの外観を示す斜視図であり、(c)は、同じ状態における感光体ドラム24Kの端面243近傍を別の視点から示す部分斜視図である。感光体ドラム24Kの各端面243とフレーム401との間には位置決め部材410が設置されている。位置決め部材410は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成る細長い棒状部材または板状部材であり、全体が一体成形されている。位置決め部材410は中央部に穴411を含み、その穴411に感光体ドラム24Kの中心軸242の端部を貫通させた状態でその端部により、そのまわりに回転可能に支持されている。位置決め部材410は長手方向の一端面(図4の(b)では下端面)413を光書込部202の表面(図4の(b)では上面)に接触させ、中央部の穴411とその端面413との中間部分414をネジ(図は示していない。)で、図4の(a)の示すフレーム401のネジ穴406に固定されている。
図4の(a)が示すように、光書込部202はバネ405から感光体ドラム24Kの径方向に押圧力を受けて、上面を感光体ドラム24Kの中心軸242へ接近させる。この上面には、図2の(a)が示すように、長手方向の各端部に突起部材271が設置されている。突起部材271は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成るピンであり、ホルダー223の上面から感光体ドラム24Kの径方向(図ではZ軸の正方向)に突出している。ピン271の先端面に位置決め部材410の端面413が接触するので、感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202、特にホルダー223までの距離が位置決め部材410の中央部の穴411からその端面413までの長さに制限される。すなわちこの端面413は、感光体ドラム24Kへ接近する光書込部202の動きを直に阻むことにより、感光体ドラム24Kの外周面241からホルダー223までの距離を規制する。こうして光書込部202が感光体ドラム24Kの外周面241に対して位置決めされる。
[台部材による光源パネルの位置決め]
図3の(a)が示すように、台部材404は実質的に平らな(すなわち、理想的な平面からのずれが許容範囲内である)表面311を含む。この表面311を以下、「基準面」と呼ぶ。基準面311は、光源パネル221から所定距離を隔てて光源パネル221の発光素子側の板面(図では下面)304と実質的に平行に(すなわち、理想的な平行からのずれが許容範囲内である姿勢で)対向している。基準面311は長手方向(図ではX軸方向)の両端でホルダー223の両端を支持する。図3の(a)は示していないが、基準面311は、長手方向に沿って伸びる両縁でもホルダー223の両縁を支持する。これにより、図4の(a)、(b)が示すバネ405の弾性力が台部材404を通してホルダー223に対して加わる。
図3の(a)が示すように、台部材404は実質的に平らな(すなわち、理想的な平面からのずれが許容範囲内である)表面311を含む。この表面311を以下、「基準面」と呼ぶ。基準面311は、光源パネル221から所定距離を隔てて光源パネル221の発光素子側の板面(図では下面)304と実質的に平行に(すなわち、理想的な平行からのずれが許容範囲内である姿勢で)対向している。基準面311は長手方向(図ではX軸方向)の両端でホルダー223の両端を支持する。図3の(a)は示していないが、基準面311は、長手方向に沿って伸びる両縁でもホルダー223の両縁を支持する。これにより、図4の(a)、(b)が示すバネ405の弾性力が台部材404を通してホルダー223に対して加わる。
基準面311は更に、光源パネル221の発光領域301の近傍を支持する。具体的には、台部材404は2本の位置決め部材312、313を含む。各位置決め部材312、313は、金属または硬質樹脂等、剛性の高い素材から成るピンであり、基準面311を貫通して光源パネル221に向かって(図ではZ軸の正方向へ)突出し、先端で光源パネル221のうち発光領域301の近傍、特に封止部材302に接触している。一方、図3の(a)は示していないが、台部材404は基準面311の端部に付勢部材を含む。この付勢部材はたとえば、板バネ等の弾性体を利用して光源パネル221の光出射面(図では上面)305を発光素子側の板面304に向かって(図ではZ軸の負方向へ)押す。付勢部材が光源パネル221を位置決め部材312、313に押し付ける結果、基準面311から光源パネル221、特に光出射面305までの距離が、位置決め部材312、313の突出長に応じた値に規制される。一方、感光体ドラム24Kの外周面241から基準面311までの距離は、図4が示すように、感光体ドラム24Kに装着された位置決め部材410にホルダー223が接触することによって制限される。こうして、光源パネル221、特に光出射面305が感光体ドラム24Kの外周面241に対して位置決めされる。
[駆動回路に対する放熱構造]
図3の(a)が示すように、台部材404は基準面311を光源パネル221、特にその発光領域301と実質的に平行に対向させている。台部材404はSUS等の板金であって熱伝導率が高いので、光源パネル221に対する放熱部材としても機能する。すなわち、基準面311が光源パネル221から輻射により、または位置決め部材312、313を通して受けた熱を、台部材404は外部へ逃がす。基準面311は更に、チップ303に面した領域に排熱路315を含む。排熱路315は、基準面311から台部材404を貫通する穴であり、チップ303の周囲の空間を台部材404の内側の空間に連通させている。
図3の(a)が示すように、台部材404は基準面311を光源パネル221、特にその発光領域301と実質的に平行に対向させている。台部材404はSUS等の板金であって熱伝導率が高いので、光源パネル221に対する放熱部材としても機能する。すなわち、基準面311が光源パネル221から輻射により、または位置決め部材312、313を通して受けた熱を、台部材404は外部へ逃がす。基準面311は更に、チップ303に面した領域に排熱路315を含む。排熱路315は、基準面311から台部材404を貫通する穴であり、チップ303の周囲の空間を台部材404の内側の空間に連通させている。
図3の(b)は、排熱路315の近傍の外観を示す台部材404の部分斜視図であり、(c)は、その近傍を示す台部材404の部分上面図である。排熱路315は、基準面311の長手方向(図ではX軸方向)に細長い矩形状の穴であり、サイズがチップ303と等しく、またはそれよりも一回り大きい(図の破線部参照)。これにより、排熱路315はチップ303の表面全体を台部材404の内側の空間に露出させている。したがって、チップ303の表面からの輻射熱はその大部分が基準面311に妨げられることなく、排熱路315を通過して台部材404の内側の空間に散逸する。こうして排熱路315は、台部材404の他の領域から熱的に独立して光源パネル221、特にチップ303からの輻射熱を外部へ逃がす。その結果、駆動回路253の過熱が防止される。
−排熱路による放熱の効果−
光源パネル221に実装された駆動回路253は発熱量が多い。一方、光源パネル221はその素材、たとえばガラスの熱伝導率が低いので、光源パネル221を通した熱伝導による放熱は効率が低い。また、光源パネル221の周囲の空間がホルダー223と台部材404とによって外部から隔離されているので、換気による放熱も効率が低い。したがって、駆動回路253が発した熱は光源パネル221からは逃げにくく、その蓄積量が過大になれば駆動回路253が熱暴走する危険性が高い。特に発光素子がOLEDである場合、過熱によって発光素子が劣化する危険性も高い。
光源パネル221に実装された駆動回路253は発熱量が多い。一方、光源パネル221はその素材、たとえばガラスの熱伝導率が低いので、光源パネル221を通した熱伝導による放熱は効率が低い。また、光源パネル221の周囲の空間がホルダー223と台部材404とによって外部から隔離されているので、換気による放熱も効率が低い。したがって、駆動回路253が発した熱は光源パネル221からは逃げにくく、その蓄積量が過大になれば駆動回路253が熱暴走する危険性が高い。特に発光素子がOLEDである場合、過熱によって発光素子が劣化する危険性も高い。
これらの危険性を回避するには、光源パネル221、特に駆動回路253からの熱を外部へ逃がす放熱部材が光源パネル221の傍に必要である。光源パネル221の周囲に配置された部材のうち台部材404はSUS等の板金であり、熱伝導率が高い点で放熱部材に適している。しかし、駆動回路253から放熱部材への排熱路として、たとえばチップ303の表面と台部材404の基準面311との間を熱伝導材で接続するのは、放熱効率が高い反面、感光体ドラム24Kの外周面に対する発光領域301の位置決め精度を更に向上させることが難しい。その接続時に熱伝導材からチップ303への押圧力が光源パネル221をたわませて発光領域301を過大に変位させる危険性が避けられないからである。さらに、基準面311は位置決め部材312、313で封止部材302を支持しているので、チップ303から熱伝導材を通して台部材404へ逃げた熱が、基準面311から位置決め部材312、313と封止部材302とを迂回して発光領域301へも及ぶ。その結果、発光領域301の過熱の危険性は完全には除去されない。
図5の(a)は、図3の(c)の示す直線Va−Vaに沿った台部材404とその近傍との部分縦断面図である。排熱路315はチップ303の表面全体を台部材404の内側の空間SPCに露出させているので、チップ303の表面からの輻射熱Hrdの大部分は基準面311に衝突することなく排熱路315を通過し、その空間SPCに散逸する。すなわち、排熱路315は熱伝導材とは異なり、チップ303の表面からの輻射熱Hrdを台部材404ではなく、その内側の空間SPCへ逃がす。
図5の(b)は、熱伝導材と排熱路315とのいずれも含まない台部材504とその近傍との部分縦断面図である。チップ303の表面全体は台部材504の基準面511と、間に何も挟まずに対向しているので、チップ303の発した熱はその表面からの輻射によってのみ、基準面511へ伝搬する。台部材504はSUS等の板金であるので、基準面511の輻射率は一般に低い。したがって、チップ303の表面からの輻射熱Hrdのうち基準面511で吸収される部分に対し、基準面511で反射される部分の割合は高い。これら反射される部分は、チップ303に再吸収されてその温度を上昇させ、または光源パネル221に吸収されて発光領域301の温度を上昇させる。基準面511で吸収される部分も、その一部は位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301の温度を上昇させる。
排熱路315は、チップ303の表面からの輻射熱Hrdの大部分を基準面311に衝突させることなく台部材404の内側の空間SPCへ放出するので、基準面311で反射されてチップ303に再吸収される輻射熱も減少させる。その結果、排熱路315による放熱の効率は高い。具体的にはたとえば、駆動回路253の発熱量が一定値0.1Wであり、環境温度が一定値50℃であり、光源パネル221の輻射率が0.95であり、ホルダー223の輻射率が0.9である場合、図5の(b)の示す台部材504と対向するチップ303の温度は100℃であったのに対し、図5の(a)の示す排熱路315に面したチップ303の温度は85.1℃であった。このように、排熱路315があれば熱伝導材なしでも、チップ303からの効率良い放熱が実現可能であり、たとえばチップ303の動作温度を十数%低下させることができる。それ故、光源パネル221からの放熱を高効率に維持したまま、感光体ドラム24Kの外周面に対する発光領域301の位置決め精度を更に向上させることが容易である。
排熱路315は更に、チップ303からの輻射熱Hrdのうち、基準面311で反射された後に光源パネル221に吸収される部分も、基準面311で吸収され、位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301へ及ぶ部分も減少させる。こうして、発光領域301の過熱の危険性を実質上無視することができる。
[実施形態の利点]
本発明の実施形態によるプリンター100では上記のとおり、光書込部202の台部材404が、光源パネル221の発光領域301を位置決めすると共に、光源パネル221に対する放熱部材として機能する。具体的には、台部材404は光源パネル221と実質的に平行に対向した基準面311で光源パネル221から輻射熱を受けて外部へ逃がす。基準面311は排熱路315を含む。排熱路315は駆動回路235のチップ303に面し、その表面全体を台部材404の内側の空間SPCに露出させている。したがって、チップ303の表面からの輻射熱Hrdの大部分は基準面311に衝突することなく排熱路315を通過し、その空間SPCに散逸する。特に、チップ303の表面からの輻射熱Hrdのうち、基準面311で反射されてチップ303に再吸収される部分が減少する。こうして光書込装置202は、熱伝導材を利用することなく、チップ303からの放熱を効率良く実現することができる。その結果、感光体ドラム24Kの外周面に対する発光領域301の位置決め精度を更に向上させることが容易である。さらに、チップ303からの輻射熱Hrdのうち、基準面311で反射された後に光源パネル221に吸収される部分も、基準面311で吸収され、位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301へ及ぶ部分も減少する。それ故、発光領域301の過熱の危険性を実質上無視することができる。
[実施形態の利点]
本発明の実施形態によるプリンター100では上記のとおり、光書込部202の台部材404が、光源パネル221の発光領域301を位置決めすると共に、光源パネル221に対する放熱部材として機能する。具体的には、台部材404は光源パネル221と実質的に平行に対向した基準面311で光源パネル221から輻射熱を受けて外部へ逃がす。基準面311は排熱路315を含む。排熱路315は駆動回路235のチップ303に面し、その表面全体を台部材404の内側の空間SPCに露出させている。したがって、チップ303の表面からの輻射熱Hrdの大部分は基準面311に衝突することなく排熱路315を通過し、その空間SPCに散逸する。特に、チップ303の表面からの輻射熱Hrdのうち、基準面311で反射されてチップ303に再吸収される部分が減少する。こうして光書込装置202は、熱伝導材を利用することなく、チップ303からの放熱を効率良く実現することができる。その結果、感光体ドラム24Kの外周面に対する発光領域301の位置決め精度を更に向上させることが容易である。さらに、チップ303からの輻射熱Hrdのうち、基準面311で反射された後に光源パネル221に吸収される部分も、基準面311で吸収され、位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301へ及ぶ部分も減少する。それ故、発光領域301の過熱の危険性を実質上無視することができる。
[変形例]
(A)図1の示す電子写真式の画像形成装置100は、タンデム配置の感光体ユニット20Y、…、20Kと中間転写ベルト21とを備えた中間体転写方式のカラープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、直接転写方式のカラープリンター、モノクロプリンター、ファクシミリ機、コピー機、または複合機(MFP)であってもよい。
(A)図1の示す電子写真式の画像形成装置100は、タンデム配置の感光体ユニット20Y、…、20Kと中間転写ベルト21とを備えた中間体転写方式のカラープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、直接転写方式のカラープリンター、モノクロプリンター、ファクシミリ機、コピー機、または複合機(MFP)であってもよい。
(B)図1の(c)が示す感光体ユニット20Kの構造は一例に過ぎない。たとえば、帯電部は、電極211を利用するコロナ放電式のもの201に代えて、ローラー等を利用する近接放電式のものであってもよい。また、クリーニングブレード204よりもイレーサー205が1次転写ローラー22Kに近くてもよい。
(C)図1の(c)ではドラム24Kの外周面241が感光体で覆われている。その他にドラム24Kに代えてベルトの外周面が感光体で覆われていてもよい。このベルトはドラム24Kと同様、帯電部、現像部、クリーニングブレード、およびイレーサーに囲まれるように配置される。ベルトが1回転すると、これらの処理部に順番に感光体の各表面部分が対向して、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電の各処理を受ける。この場合、図4が示す位置決め部材410はドラム24Kの中心軸242に代えて、ベルトを駆動するプーリーの回転軸に支持されてもよい。
(C)図1の(c)ではドラム24Kの外周面241が感光体で覆われている。その他にドラム24Kに代えてベルトの外周面が感光体で覆われていてもよい。このベルトはドラム24Kと同様、帯電部、現像部、クリーニングブレード、およびイレーサーに囲まれるように配置される。ベルトが1回転すると、これらの処理部に順番に感光体の各表面部分が対向して、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電の各処理を受ける。この場合、図4が示す位置決め部材410はドラム24Kの中心軸242に代えて、ベルトを駆動するプーリーの回転軸に支持されてもよい。
(D)図2の(c)の示す光源パネル221では、固体発光素子260が3列、光源パネル221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。発光素子の配列はその他に、列数が1、2、または4以上であってもよく、千鳥形状に代えて格子形状であってもよい。
(E)図3が示す排熱路315は、台部材404の基準面311に開けられた単一の貫通穴であり、その周がチップ303の外周と同様な矩形状であり、それを通してチップ303の表面全体を台部材404の内側の空間SPCに露出させている。その他に、貫通穴が複数であっても、網目状の細かい穴の集合体であってもよい。また、穴の形状が円等、チップ303の周とは異なっていてもよい。さらに、台部材404とは熱的に独立した別の放熱部材が貫通穴の中、または台部材404の内側の空間SPCに設置され、台部材404の他の領域から熱的に独立してチップ303からの輻射熱を外部へ逃がす排熱路として機能してもよい。たとえば、台部材404の内側の空間SPCに台部材404とは別の放熱部材が、貫通穴315を隔ててチップ303と対向していてもよい。この放熱部材に輻射熱Hrdを吸収させることにより、チップ303からの放熱効率が向上する。
(E)図3が示す排熱路315は、台部材404の基準面311に開けられた単一の貫通穴であり、その周がチップ303の外周と同様な矩形状であり、それを通してチップ303の表面全体を台部材404の内側の空間SPCに露出させている。その他に、貫通穴が複数であっても、網目状の細かい穴の集合体であってもよい。また、穴の形状が円等、チップ303の周とは異なっていてもよい。さらに、台部材404とは熱的に独立した別の放熱部材が貫通穴の中、または台部材404の内側の空間SPCに設置され、台部材404の他の領域から熱的に独立してチップ303からの輻射熱を外部へ逃がす排熱路として機能してもよい。たとえば、台部材404の内側の空間SPCに台部材404とは別の放熱部材が、貫通穴315を隔ててチップ303と対向していてもよい。この放熱部材に輻射熱Hrdを吸収させることにより、チップ303からの放熱効率が向上する。
(F)図3の(a)の示す排熱路315は、基準面311の長手方向(図ではX軸方向)における全長がチップ303よりも長い。これにより、チップ303の表面からの輻射熱はその大部分が基準面311に妨げられることなく排熱路315を通過する。その他に、たとえば発光領域301の位置決め精度に必要な基準面311の剛性から貫通穴のサイズが制限される場合には、基準面311の長手方向(X軸方向)における排熱路の全長がチップ303よりも短く設計されてもよい。この場合、排熱路は、光源パネル221のうちチップ303から、それと発光領域301との中間部分までの範囲に面した基準面311の領域に位置すればよい。その領域に対する排熱路の面積比がある程度以上であり、かつその位置と形状とが以下のように工夫されていれば、チップ303からの放熱が十分に高い効率で実現可能である。
図6の(a)は、長手方向(X軸方向)における全長がチップ303よりも短い排熱路の一例325を含む台部材404の部分縦断面図であり、(b)は、その台部材404の部分上面図である。この排熱路325は、それが面するチップ303の表面部分の中に、チップ303の中央部等、輻射熱Hrdの特に大きい部分が含まれるように配置されている。これにより排熱路325は、チップ303よりも面積が狭くても、それからの輻射熱Hrdの多くを台部材404の内側の空間へ散逸させる。これにより、チップ303からの放熱効率が十分に高く維持される。
図6の(c)は、(a)の示す排熱路325の周囲に熱吸収層602が形成された場合における台部材404の部分縦断面図であり、(d)は、その場合における台部材404の部分上面図である。熱吸収層602は、基準面311(たとえばSUS)よりも輻射率の高い表層であり、たとえば、放熱塗料(輻射率の高い樹脂とセラミックス、顔料を有機溶剤に溶かしたもの)、または放熱シート(シリカ、アルミナ等、輻射率の高い無機物製のシート)で構成されている。熱吸収層602はその他に、基準面311に梨地加工を施して表面粗さを十分に大きくした部分であってもよく、黒色等、輻射率の高い色の塗料で覆われた部分であってもよい。熱吸収層602は、チップ303からの輻射熱Hrdのうち排熱路325から逸れた部分Hriを吸収して台部材404へ拡散させる。これにより、排熱路325から逸れた輻射熱Hriが基準面311で反射された後、チップ303に再吸収され、または光源パネル221に吸収されることを防ぐ。熱吸収層602は排熱路325の周囲のうち、特に、排熱路325に対して発光領域301側に位置するチップ303の表面部分に面した領域、さらに、チップ303と発光領域301との中間に位置する光源パネルの表面部分601に面した領域を覆っている。排熱路325がチップ303よりも面積が小さいことに伴い、チップ303から中間部分601へ伝搬する熱量が増大する。しかし、この中間部分601からの輻射熱Hriを熱吸収層602が台部材404へ拡散させることにより、中間部分601を通して発光領域301まで到達しうる熱量を十分に小さく抑えることができる。
図7の(a)は、長手方向(X軸方向)における全長がチップ303よりも短い排熱路の別例335を含む台部材404の部分縦断面図であり、(b)は、その台部材404の部分上面図である。この排熱路335は、発光領域301に近い側に位置するチップ303の端部から、チップ303と発光領域301との中間部分601までの範囲内に配置され、特に中間部分601を台部材404の内側の空間に露出させている。これにより排熱路325は、中間部分601からの輻射熱Hriの大部分を台部材404の内側の空間に散逸させる。これにより、中間部分601を通して発光領域301まで到達しうる熱量は十分に小さく抑えられる。一方、チップ303の表面からの輻射熱Hrdはその大部分が基準面311のうち、排熱路335に対して発光領域301とは反対側に位置する領域701に吸収される。しかし、図7の(b)が示すように、この領域701と位置決め部材312の近傍との中間には排熱路335が位置するので、基準面311の面積が狭い。特に、長手方向(X軸方向)に対して垂直な方向(Y軸方向)において排熱路335はチップ303よりも幅が大きいので、この領域701のうちチップ303の直下に位置する部分(図の破線部参照。)から位置決め部材312までの基準面311に沿った経路が長い。その結果、この領域701と位置決め部材312との間の熱抵抗が十分に高いので、この領域701に吸収されたチップ303からの輻射熱Hrdのうち、位置決め部材312と封止部材302とを通して発光領域301にまで及ぶ部分Htrは十分に小さく抑えられる。
図7の(c)は、(a)の示す排熱路335に張出部346が追加された場合における台部材404の部分縦断面図であり、(d)は、その場合における台部材404の部分上面図である。張出部346は、排熱路335の周のうち発光領域301に近い(図ではX座標の大きい)側の部分から長手方向(X軸の正方向)に張り出した2本のスリットであり、排熱路335と共に、基準面311のうち位置決め部材312の近傍と、発光領域301に面した部分(図の破線部参照。)の一端とを囲んでいる。張出部346により、排熱路335に対して発光領域301とは反対側に位置する領域701のうちチップ303の直下に位置する部分(図の破線部参照。)から位置決め部材312までの基準面311に沿った経路は更に延長される。その結果、この領域701と位置決め部材312との間の熱抵抗が更に高いので、この領域701に吸収されたチップ303からの輻射熱Hrdのうち、位置決め部材312と封止部材302とを通して発光領域301にまで及ぶ部分Htrは更に小さい。
−排熱路の位置とその放熱効果との間の関係−
図8の(a)、(c)、(e)、(g)、(i)は、異なる位置に排熱路815、825、835、845、855を含む台部材404の部分縦断面図であり、(b)、(d)、(f)、(h)、(j)は、それらの台部材404の部分上面図である。いずれの排熱路815、…、855も同じ矩形状であり、基準面311の長手方向(X軸方向)における長さがチップ303の約1/3であり、長手方向に対して垂直な方向(Y軸方向)における幅がチップ303よりも大きい。
図8の(a)、(c)、(e)、(g)、(i)は、異なる位置に排熱路815、825、835、845、855を含む台部材404の部分縦断面図であり、(b)、(d)、(f)、(h)、(j)は、それらの台部材404の部分上面図である。いずれの排熱路815、…、855も同じ矩形状であり、基準面311の長手方向(X軸方向)における長さがチップ303の約1/3であり、長手方向に対して垂直な方向(Y軸方向)における幅がチップ303よりも大きい。
図8の(a)、(b)では、排熱路815は長手方向(X軸方向)における発光領域301からの距離がチップ303よりも遠い。この場合、チップ303の表面からの輻射熱Hrdのほとんどが、排熱路815に対して発光領域301に近い側で基準面311に衝突する。その結果、基準面311で反射された後にチップ303に再吸収される熱量も、光源パネル221に吸収されて発光領域301に到達する熱量も、基準面311で吸収された後に位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301に及ぶ熱量も、排熱路815が無い場合と実質的には変わらない。たとえば、封止部材302で覆われた光源パネル221の表面部分のうちチップ303に近い側の端部では、温度が70.6℃であった。
図8の(c)、(d)では、排熱路825はチップ303のうち、長手方向(X軸方向)において発光領域301から遠い側の端部に面している。図8の(a)、(b)の場合と比べれば、チップ303の表面からの輻射熱Hrdのうち、排熱路825を通して台部材404の内側の空間に散逸する部分の割合が高い。したがって、基準面311で反射された後にチップ303に再吸収される熱量も、光源パネル221に吸収されて発光領域301に到達する熱量も、基準面311で吸収された後に位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301に及ぶ熱量も、図8の(a)、(b)の場合での値よりは少ない。たとえば、封止部材302で覆われた光源パネル221の表面部分のうちチップ303に近い側の端部では温度が69.9℃であり、図8の(a)、(b)の場合での値70.6℃よりも0.7℃低い。
図8の(e)、(f)では排熱路835はチップ303の中央部に面しており、図8の(g)、(h)では排熱路845はチップ303のうち、長手方向(X軸方向)において発光領域301に近い側の端部に面している。いずれの場合も図8の(c)、(d)の場合と、チップ303の表面からの輻射熱Hrdのうち、排熱路825を通して台部材404の内側の空間に散逸する部分の割合が同程度である。したがって、基準面311で反射された後にチップ303に再吸収される熱量も、光源パネル221に吸収されて発光領域301に到達する熱量も、基準面311で吸収された後に位置決め部材312、313と封止部材302とを通して発光領域301に及ぶ熱量も、図8の(c)、(d)の場合での値と実質的には変わらない。たとえば、封止部材302で覆われた光源パネル221の表面部分のうちチップ303に近い側の端部の温度は、図8の(e)、(f)では69.9℃であり、図8の(g)、(h)では69.7℃であった。
図8の(i)、(j)では、排熱路855は長手方向(X軸方向)における発光領域301からの距離がチップ303よりも近く、特にチップ303と発光領域301との中間部分601に面している。この場合、チップ303の表面からの輻射熱のほとんどが、排熱路855に対して発光領域301から遠い側で基準面311に衝突する。したがって、基準面311で反射された後にチップ303に再吸収される熱量は、図8の(c)−(h)の場合での値よりも多い。しかし、排熱路855は中間部分601を台部材404の内側の空間に露出させているので、中間部分601からの輻射熱の大部分を台部材404の内側の空間に散逸させる。これにより、中間部分601を通して発光領域301まで到達しうる熱量は、図8の(c)−(h)の場合での値よりも小さい。さらに、長手方向(X軸方向)に対して垂直な方向(Y軸方向)において排熱路855はチップ303よりも幅が大きいので、チップ303の直下に位置する部分(図の破線部参照。)から位置決め部材312までの基準面311に沿った経路が長く、かつ狭い。その結果、この経路の熱抵抗は十分に高いので、排熱路855に対して発光領域301から遠い側で基準面311に吸収されたチップ303からの輻射熱のうち、位置決め部材312と封止部材302とを通して発光領域301にまで及ぶ部分は十分に小さい。たとえば、封止部材302で覆われた光源パネル221の表面部分のうちチップ303に近い側の端部では温度が68.7℃であり、図8の(c)−(h)の場合での値よりも約1℃低い。
このように、基準面311の長手方向(X軸方向)における排熱路の全長がチップ303よりも短い場合、チップ303からの熱に起因する発光領域301の過熱を防ぐには、光源パネル221のうちチップ303から、それと発光領域301との中間部分601までの範囲に面した基準面311の領域の中に、特に中間部分601に面した部分に排熱路を配置するのが効果的である。
本発明は、電子写真式の画像形成装置が備える光書込装置の放熱構造に関し、上記のとおり、台部材の表面のうち駆動回路チップから、それと発光領域との中間部分までの範囲に面した領域に排熱路を設ける。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 プリンター
20Y、20M、20C、20K 感光体ユニット
21 中間転写ベルト
21L 従動プーリー
21R 駆動プーリー
22Y、22M、22C、22K 1次転写ローラー
23 2次転写ローラー
24Y、24M、24C、24K 感光体ドラム
202 光書込部
221 光源パネル
222 レンズアレイ
223 ホルダー
225、226 レンズアレイの端面
227 ホルダーの凹部
228 ホルダーのスリット
254 FPC
260 発光素子
271 突起部材
301 光源パネルの発光領域
302 封止部材
303 駆動回路のチップ
304 発光領域の発光素子側の板面
305 光源パネルの光出射面
311 台部材の基準面
312、313 位置決め部材
315 排熱路
404 台部材
20Y、20M、20C、20K 感光体ユニット
21 中間転写ベルト
21L 従動プーリー
21R 駆動プーリー
22Y、22M、22C、22K 1次転写ローラー
23 2次転写ローラー
24Y、24M、24C、24K 感光体ドラム
202 光書込部
221 光源パネル
222 レンズアレイ
223 ホルダー
225、226 レンズアレイの端面
227 ホルダーの凹部
228 ホルダーのスリット
254 FPC
260 発光素子
271 突起部材
301 光源パネルの発光領域
302 封止部材
303 駆動回路のチップ
304 発光領域の発光素子側の板面
305 光源パネルの光出射面
311 台部材の基準面
312、313 位置決め部材
315 排熱路
404 台部材
Claims (10)
- 長尺形状の基板であり、当該基板の長手方向に伸びる発光領域と、当該基板の長手方向の一端部に実装された前記発光領域に対する駆動回路と、を含む光源パネルと、
実質的に平らな表面を前記光源パネルと実質的に平行に対向させ、当該表面が前記光源パネルから受けた輻射熱を外部へ逃がす放熱部材と、
を備え、
前記放熱部材は、
前記光源パネルのうち前記駆動回路から前記駆動回路と前記発光領域との中間部分までの範囲に面した前記表面の領域に位置し、他の領域から熱的に独立して前記光源パネルからの輻射熱を外部へ逃がす排熱路
を含む、光書込装置。 - 前記排熱路は、前記放熱部材を貫通する穴を含む請求項1に記載の光書込装置。
- 前記放熱部材を貫通する穴は、前記光源パネルの長手方向に対して垂直な方向において前記駆動回路よりも大きいことを特徴とする請求項2に記載の光書込装置。
- 前記放熱部材を貫通する穴は、前記表面のうち前記発光領域に面した部分の一端を囲んでいることを特徴とする請求項2に記載の光書込装置。
- 前記放熱部材は、少なくとも前記排熱路の周囲に、基層よりも輻射率の高い表層を更に含む、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の光書込装置。
- 前記放熱部材は、前記光源パネルの発光領域の近傍を支持する部材を更に含む、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の光書込装置。
- 前記光源パネルは、
前記発光領域を囲んで外部から気密に隔離する封止部材
を更に含み、
前記光源パネルの発光領域の近傍を支持する部材は、
表面から突出して先端で前記封止部材に接触することにより、前記光源パネルの位置を規制する位置決め部材
を更に含む、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の光書込装置。 - 前記発光領域から照射された光を透過させるレンズアレイと、
前記レンズアレイを保持する保持部材と、
を更に備え、
前記発光領域は、長手方向に配列された複数の発光素子を含む、
請求項1から請求項7までのいずれかに記載の光書込装置。 - 前記複数の発光素子は有機発光ダイオードを含む、請求項8に記載の光書込装置。
- 電子写真式の画像形成装置であり、
感光体と、
前記感光体の表面を露光して静電潜像を形成する、請求項1から請求項9までのいずれかに記載の光書込装置と、
前記静電潜像をトナーで現像する現像部と、
前記現像部が現像したトナー像を前記感光体からシートへ転写する転写部と、
を備えた画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017000976A JP2018108713A (ja) | 2017-01-06 | 2017-01-06 | 光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017000976A JP2018108713A (ja) | 2017-01-06 | 2017-01-06 | 光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018108713A true JP2018108713A (ja) | 2018-07-12 |
Family
ID=62844927
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017000976A Pending JP2018108713A (ja) | 2017-01-06 | 2017-01-06 | 光書込装置、およびそれを備えた画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2018108713A (ja) |
-
2017
- 2017-01-06 JP JP2017000976A patent/JP2018108713A/ja active Pending
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