JP6816455B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真式の画像形成装置に関し、特に感光体に対する光書込部の位置決め構造に関する。
「光書込装置」(「プリントヘッド(PH)」ともいう。)とは、プリンター、コピー機等、電子写真式の画像形成装置が含む印刷エンジンにおいて、感光体表面の露光を行う処理部をいう。「露光」は、画像データで変調した光を感光体表面の一様な帯電領域に照射してその領域に、照射光量の変調パターンに対応する帯電量分布、すなわち静電潜像を形成する処理である。感光体は、画像形成装置の中に回転可能に支持されたドラムまたはベルト等の回転体の外周面を覆っている。光書込装置は、感光体表面のうち回転体の回転軸の方向(以下、「主走査方向」という。)に伸びる直線状領域(以下、「1ライン」という。)を露光する。光書込装置は更にこの露光動作を、感光体の回転に同期して繰り返す。これにより、感光体表面には回転方向(以下、「副走査方向」という。)に露光済みのラインが連なるので、露光領域が2次元的に拡がる。
光書込装置には光走査方式と発光素子配列方式との2種類がある。「光走査方式」は、レーザー光をポリゴンミラー等の偏向器で周期的に偏向し、各周期の間にそのレーザー光で感光体表面の1ラインを走査する。「発光素子配列方式」は、主走査方向に配列された複数の発光ダイオード(LED)、半導体レーザー等の発光素子と複数の屈折率分布(grandient index:GRIN)レンズとを利用して、感光体表面の1ライン全体を同時に露光する。
近年の光書込装置の開発では発光素子配列方式が主流である。発光素子配列方式は光走査方式とは異なり、偏向器が不要であるので騒音が比較的低く、複数の発光素子とGRINレンズとで1ラインの各部を個別に照らすので発光素子から感光体までの光路長が比較的短い。その結果、発光素子配列方式は光走査方式と比べて静音化と小型化との点で有利である。したがって、レーザープリンター等の画像形成装置を特にオフィスと家庭とへ更に普及させるには、発光素子配列方式の利用が効果的であると期待されている。
発光素子配列方式の利用において重要な技術の1つが光書込装置の位置決め構造である(たとえば、特許文献1参照)。GRINレンズは光走査方式の光学系と比べて焦点深度が狭いので、感光体表面を正確に露光するには、GRINレンズによる発光素子の像面を感光体表面に確実に整合させる構造が必要である。具体的にはたとえば、特許文献1に開示された構造では、感光体の軸受と光源との間にスペーサーが挟まれている。これにより感光体の回転軸から光源の表面までの距離が所定値に制限される。このスペーサーは更に光源表面との接触部に偏心カムを含む。このカムの傾きを変えることで、感光体の回転軸から光源の表面までの距離が製品ごとに調整可能である。したがって、部品の成形誤差または組み立て誤差に起因する製品間でのその距離のばらつきが除去可能である。
特開2011−245775号公報
発光素子配列方式の光書込装置の需要を更に伸ばすには、その高性能化が重要である。高性能化を目的とする工夫としては、たとえば有機発光ダイオード(OLED)を光源として利用することが考えられている。OLEDはLEDと比べて、黒レベルが低く、色表現力が高く、消費電力が低く、小型/薄型/軽量化が容易である点で有利である。その反面、OLEDはLEDよりも発光量が弱い。したがって、OLEDの利用にはGRINレンズのF値の増大が必要である。F値の増大は焦点深度を狭めるので、感光体表面に対する光書込装置の位置決めを更に高精度化しなければならない。たとえば、焦点深度が100μm程度に抑えられる場合、感光体の回転に伴う感光体表面と回転軸との振動に対する余裕を除くと、位置決めには±15μm程度の誤差しか許されない。位置決めに利用可能な部品の成形精度がたとえば±25μm程度である場合、部品の加工を高精度化するだけでは必要な位置決め精度を達成することができない。それ故、特許文献1に開示された偏心カムのように、感光体表面に対する光書込装置の位置を製品の組み立て時において調整可能にする機能を位置決め部材に持たせる工夫が不可欠である。
しかし、この工夫では位置決め部材の熱膨張への対策が難しい。実際、光書込装置の含む光源は、発光素子の発熱量が大きいだけでなく、その駆動回路の発熱量も大きい。これに伴い、位置決め部材は熱膨張量が位置決め精度に対して無視できない。さらに、この熱膨張量は位置決め部材の調整機能に大きく影響される。たとえば特許文献1に開示された偏心カムのように、感光体の軸受と光源との間に挟まれる部材の長さを変えることにより感光体の回転軸から光源表面までの距離を調整する場合、調整後の距離が長いほど、その部材の温度上昇に伴う熱膨張量が大きい。したがって、調整後の距離にかかわらず熱膨張に起因する位置決め誤差を許容範囲内に留めるには、調整可能な距離の上限を抑えなければならない。この上限が過小であれば、製品によっては調整が不十分となる結果、必要な位置決め精度が得られない危険性が生じる。
本発明の目的は上記の課題を解決することであり、特に光書込部の位置決め構造において、部材の熱膨張に起因する位置決め誤差を許容範囲内に留めたまま、感光体から光書込部までの距離の調整可能範囲を十分に大きく確保することが可能な画像形成装置を提供することにある。
本発明の1つの観点における画像形成装置は電子写真式の画像形成装置であって、感光体と、この感光体の表面を露光する発光素子配列方式の光書込部と、その感光体を回転可能に支持するフレームと、その感光体の回転軸のまわりにその回転軸とは独立して回転可能であるようにその回転軸によって支持され、光書込部を感光体に対して位置決めした状態で感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるようにフレームに固定された位置決め部材とを備えている。この位置決め部材は、感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭がその回転軸のまわりの角度に依存してその回転軸からの距離を変化させる曲線であり、感光体の表面へ接近する光書込部の動きを直に、または間接的に阻むことにより、感光体の表面から光書込部までの距離を規制する規制面と、位置決め部材を感光体の回転軸の方向から見て、この規制面における第1部分からその回転軸までの領域を第1領域、その規制面における第1部分よりもその回転軸からの距離が短い第2部分からその回転軸までの領域を第2領域としたとき、第1領域に設けられ、第2領域よりもその回転軸と平行な方向における厚みが大きい熱良導部とを含む。
本発明の別の観点における画像形成装置は電子写真式の画像形成装置であって、感光体と、この感光体の表面を露光する発光素子配列方式の光書込部と、その感光体を回転可能に支持するフレームと、その感光体の回転軸のまわりにその回転軸とは独立して回転可能であるようにその回転軸によって支持され、光書込部を感光体に対して位置決めした状態で感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるようにフレームに固定された位置決め部材とを備えている。この位置決め部材は、感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭がその回転軸のまわりの角度に依存してその回転軸からの距離を変化させる曲線であり、感光体の表面へ接近する光書込部の動きを直に、または間接的に阻むことにより、感光体の表面から光書込部までの距離を規制する規制面と、位置決め部材を感光体の回転軸の方向から見て、この規制面における第1部分からその回転軸までの領域を第1領域、その規制面における第1部分よりもその回転軸からの距離が短い第2部分からその回転軸までの領域を第2領域としたとき、第1領域に設けられ、第2領域よりも表面が粗い、または第2領域を構成する材質よりも熱伝導率が高い材質で構成されている熱良導部と、を含む。
本発明のさらに別の観点における画像形成装置は電子写真式の画像形成装置であって、感光体と、この感光体の表面を露光する発光素子配列方式の光書込部と、その感光体を回転可能に支持するフレームと、その感光体の回転軸のまわりにその回転軸とは独立して回転可能であるようにその回転軸によって支持され、光書込部を感光体に対して位置決めした状態で感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるようにフレームに固定された位置決め部材とを備えている。この位置決め部材は、感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭がその回転軸のまわりの角度に依存してその回転軸からの距離を変化させる曲線であり、感光体の表面へ接近する光書込部の動きを直に、または間接的に阻むことにより、感光体の表面から光書込部までの距離を規制する規制面と、位置決め部材を感光体の回転軸の方向から見て、この規制面における第1部分からその回転軸までの領域を第1領域、その規制面における第1部分よりもその回転軸からの距離が短い第2部分からその回転軸までの領域を第2領域としたとき、第1領域に設けられ、感光体の回転軸の方向から見たときに第1領域と第2領域とが並ぶ方向に第1領域に対して第2領域が位置する側とは反対側の、位置決め部材の端面の一部からこの端面の法線方向に張り出した突起を含む熱良導部と、を含む。
置決め部材は、感光体の回転軸に支持された部位と前記規制面との間に伸びる棒状または板状であってもよい。熱良導部は、表面から突出したリブを含んでいてもよい
この画像形成装置は、感光体の回転軸のまわりにその回転軸とは独立して回転可能であるようにその回転軸によって支持され、光書込部を感光体に対して位置決めした状態で感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるようにフレームに固定された補助位置決め部材
を更に備えていてもよい。光書込部は、感光体の回転軸の方向に並ぶ発光素子の配列と、感光体の回転軸の方向に並ぶ屈折率分布レンズの配列と、感光体の回転軸の方向に長尺の形状であり、発光素子の配列と屈折率分布レンズの配列とを保持する保持部材とを含んでいてもよい。位置決め部材の規制面は、保持部材の長手方向の一端と直に、または間接的に接触して、感光体の表面へ接近する光書込部の動きを阻むことにより、感光体の表面から光書込部までの距離を規制してもよい。補助位置決め部材は、感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭がその回転軸のまわりの角度に依存してその回転軸からの距離を変化させる曲線であり、保持部材の長手方向の他端と直に、または間接的に接触して、感光体の表面へ接近する光書込部の動きを阻むことにより、感光体の表面から光書込部までの距離を規制する規制面と、補助位置決め部材を感光体の回転軸の方向から見て、補助位置決め部材の規制面における第1部分からその回転軸までの領域を第3領域、その規制面における第1部分よりもその回転軸からの距離が短い第2部分からその回転軸までの領域を第4領域としたとき、第3領域に設けられ、第4領域よりもその回転軸と平行な方向における厚みが大きい熱良導部とを含んでいてもよい。補助位置決め部材の熱良導部は位置決め部材の熱良導部よりも、その回転軸と平行な方向における厚みが小さくもよい。光書込部は、発光素子として有機発光ダイオードを含んでいてもよい。
本発明による画像形成装置では上記のとおり、感光体の回転軸の径方向において光書込部を位置決めするための部材がその回転軸によってそのまわりに回転可能に支持されている。この位置決め部材は、光書込部を位置決めする規制面と熱良導部とを含む。規制面は感光体の回転軸のまわりの角度に依存してその回転軸からの距離が異なる曲面である。したがって、位置決め部材をその回転軸のまわりに回転させることにより、その回転軸から光書込部までの距離を調整することができる。熱良導部は、規制面のうち感光体の回転軸からの距離が比較的長い部分からその回転軸までの第1領域に設けられ、規制面のうち感光体の回転軸からの距離が比較的短い部分からその回転軸までの第2領域よりも、熱容量が大きく、放熱能力が高く、または熱抵抗が低い。これにより、感光体の回転軸から光書込部までの距離が長く調整された場合にも、その距離の熱膨張に伴う変化量が小さく抑えられる。こうして、この画像形成装置は、位置決め部材の熱膨張に起因する位置決め誤差を許容範囲内に留めたまま、感光体から光書込部までの距離の調整可能範囲を十分に大きく確保することができる。
(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置の外観を示す斜視図である。(b)は、(a)の示す直線b−bに沿ったプリンターの模式的な断面図である。(c)は、(b)の示す感光体ユニットの1つの拡大図である。 (a)は、図1の示す光書込部の斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った光書込部の断面図である。(c)は、(b)の示す光源基板のブロック図である。(d)は、(a)の示すレンズアレイが含むGRINレンズの1つにおける光路を示す模式図である。 (a)は、図1の示す感光体ユニットの1つが含む感光体ドラムの支持構造の外観を示す斜視図である。(b)は、(a)が示す支持構造からフレームを除去したときの外観を示す斜視図であり、(c)は、同じ状態における感光体ドラムの端面近傍を別の視点から示す部分斜視図である。 (a)は、図3の示す位置決め部材の端面に接触する光書込部の感光体ドラムに対する位置を示す斜視図である。(b)は、(a)の示す部材の部分正面図であり、(c)は位置決め部材の側面図である。 (a)は、図4の示す部材の模式的な側面図である。(b)は、位置決め部材の姿勢と光書込部の位置との間の対応関係を示す模式的な側面図である。 位置決め部材の姿勢と光書込部からの熱流の位置との間の関係を示す模式的な側面図である。(a)は、感光体ドラムの中心軸から光書込部のピンまでの距離が最大値に等しい場合を示し、(b)は最小値に等しい場合を示す。 (a)は、位置決め部材の片方の側面が見える位置で描いたその位置決め部材の斜視図であり、(b)は、(a)の示す側面とは反対側の側面が見える位置で描いた同じ位置決め部材の斜視図である。 (a)は、位置決め部材の側面の片方にのみ突起を持つ熱良導部を含むその位置決め部材を、その側面が見える位置で描いた斜視図であり、(b)は、(a)の示す側面とは反対側の側面が見える位置で描いた同じ位置決め部材の斜視図である。(c)は、熱良導部の一例を含む位置決め部材の側面が見える位置で描いたその位置決め部材の斜視図であり、(d)は、(c)の示す側面とは反対側の側面が見える位置で描いた同じ位置決め部材の斜視図である。 (a)は、熱良導部の別例を含む位置決め部材の側面が見える位置で描いたその位置決め部材の斜視図であり、(b)は、(a)の示す側面とは反対側の側面が見える位置で描いた同じ位置決め部材の斜視図である。(c)は、熱良導部の更に別の例を含む位置決め部材の側面が見える位置で描いたその位置決め部材の斜視図である。(d)は、熱良導部の他の例を含む位置決め部材の側面が見える位置で描いた位置決め部材の斜視図である。 (a)は、感光体ドラムとその両側に配置された位置決め部材との斜視図であり、(b)は一方の位置決め部材の斜視図であり、(c)は他方の位置決め部材の斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[画像形成装置の外観]
図1の(a)は、本発明の実施形態による画像形成装置100の外観を示す斜視図である。この画像形成装置100はプリンターである。その筐体の上面には排紙トレイ41が設けられ、その奥に開いた排紙口42から排紙されたシートを収容する。排紙トレイ41の前方には操作パネル51が埋め込まれている。プリンター100の底部には給紙カセット11が引き出し可能に取り付けられている。
[画像形成装置の内部構造]
図1の(b)は、図1の(a)の示す直線b−bに沿ったプリンター100の模式的な断面図である。プリンター100は電子写真式のカラープリンターであり、給送部10、作像部20、定着部30、および排紙部40を含む。
給送部10は、まずピックアップローラー12を用いて、給紙カセット11に収容されたシートの束からシートSH1を1枚ずつ分離する。給送部10は次にタイミングローラー13を用いて、分離したシートを作像部20へ、その動作にタイミングを合わせて送出する。「シート」とは、紙製もしくは樹脂製の薄膜状もしくは薄板状の材料、物品、または印刷物をいう。給紙カセット11に収容可能なシートの種類すなわち紙種はたとえば、普通紙、上質紙、カラー用紙、または塗工紙であり、サイズはたとえば、A3、A4、A5、またはB4である。さらに、シートの姿勢は縦置きと横置きとのいずれにも設定可能である。
作像部20はたとえば中間体転写方式による印刷エンジンであり、タンデム配置の感光体ユニット20Y、20M、20C、20K、中間転写ベルト21、1次転写ローラー22Y、22M、22C、22K、および2次転写ローラー23を含む。中間転写ベルト21は従動プーリー21Lと駆動プーリー21Rとの間に回転可能に掛け渡されている。これらのプーリー21L、21Rの間の空間には4つの感光体ユニット20Y、…と4本の1次転写ローラー22Y、…とが1つずつ対を成すように配置され、中間転写ベルト21を間に挟んで対向している。2次転写ローラー23は中間転写ベルト21を間に挟んで駆動プーリー21Rとニップを形成している。このニップには、タイミングローラー13から送出されたシートSH2が通紙される。
各感光体ユニット20Y、…では、対向する1次転写ローラー22Y、…に感光体ドラム24Y、24M、24C、24Kが、中間転写ベルト21を間に挟んだ状態で接触してニップを形成している。各感光体ユニット20Y、…は、中間転写ベルト21が(図1の(b)では反時計方向に)回転する間、その同じ表面部分が1次転写ローラー22Y、…と感光体ドラム24Y、…との間のニップを通過する際にその表面部分に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、およびブラック(K)のうち異なる1色のトナー像を形成する。これにより、その表面部分にはこれら4色のトナー像が重ねられて1つのカラートナー像が形成される。このカラートナー像が駆動プーリー21Rと2次転写ローラー23との間のニップを通過するタイミングに合わせて、そのニップへシートSH2がタイミングローラー13から通紙される。これによりそのニップではカラートナー像が中間転写ベルト21からシートSH2へ転写される。
定着部30は、作像部20から送出されたシートSH3にトナー像を熱定着させる。具体的には、定着部30は定着ローラー31と加圧ローラー32とを回転させながらそれらの間のニップにシートSH2を通紙する。このとき、定着ローラー31はそのシートSH3の表面へ内蔵のヒーターの熱を加え、加圧ローラー32はそのシートSH3の加熱部分に対して圧力を加えて定着ローラー31へ押し付ける。定着ローラー31からの熱と加圧ローラー32からの圧力とにより、トナー像がそのシートSH3の表面に定着する。定着部30は更に定着ローラー31と加圧ローラー32との回転により、そのシートSH3を排紙部40へ送り出す。
排紙部40は、トナー像が定着したシートSH3を排紙口42から排紙トレイ41へ排紙する。具体的には、排紙部40は、排紙口42の内側に配置された排紙ローラー43を用いて、定着部30の上部から排紙口42へ移動してきたシートSH3を排紙口42の外へ送出して排紙トレイ41に載せる。
[感光体ユニットの構造とそれによる画像形成処理]
図1の(c)は、図1の(b)の示す感光体ユニットの1つ20Kの拡大図である。この感光体ユニット20Kは感光体ドラム24Kに加え、帯電部201、光書込部202、現像部203、クリーニングブレード204、およびイレーサー205を含む。これらは感光体ドラム22の周囲に配置され、その外周面に対して電子写真方式による画像形成処理のうち定着以外、すなわち、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電を行う。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の構造を含む。
感光体ドラム24Kは、外周面241が感光体で覆われたアルミニウム等の導電体製の円筒部材であり、その中心軸(図1の(c)では、感光体ドラム24Kの円形断面の中心を紙面に対して垂直に貫く軸)242のまわりを回転可能に支持されている。感光体は、露光量に依存して帯電量が変化する素材であり、アモルファスセレン、セレン合金、アモルファスシリコン等の無機材料、または複数の有機材料の積層構造(OPC)を含む。図1の(c)は示していないが、感光体ドラム24Kの中心軸242は、ギア、ベルト等、回転力の伝達機構を通して駆動モーターに接続されている。その駆動モーターからの回転力で感光体ドラム24Kが(図1の(c)では時計方向に)1回転すると、感光体の各表面部分が周囲の処理部201、202、203、204、205に順番に面してそれらの処理を受ける。
帯電部201は、感光体ドラム24Kの外周面241から間隔をおいてその軸方向に伸びるワイヤーまたは薄板形状の電極211を含む。帯電部201はこの電極211に対してたとえば負の高電圧を印加することにより、この電極211と感光体ドラム24Kの外周面241との間にコロナ放電を生じさせる。この放電が、帯電部201に面した感光体の表面部分を負に帯電させる。
光書込部202は、感光体ドラム24Kの帯電部分のうち軸方向、すなわち主走査方向に伸びる直線状領域、すなわち1ラインを露光する。このとき、光書込部202は感光体ドラム24Kへの照射光量を、画像データが表す階調値に基づいて変調する。感光体ドラム24K上の1ラインでは照射光量が高いほど帯電量が減少するので、画像データが表す階調値分布に対応する帯電量分布、すなわち静電潜像が形成される。1ラインに対するこの露光動作を光書込部202は、感光体ドラム24Kの回転に同期して繰り返す。これにより感光体ドラム24Kの外周面にはその回転方向、すなわち副走査方向に露光済みのラインが連なるので、静電潜像が2次元的に拡がる。
現像部203は、感光体ドラム24K上の静電潜像をK色のトナーで現像する。具体的には、現像部203はまず2本のオーガスクリュー231、232で2成分現像剤DVLを撹拌し、そのときの摩擦で現像剤DVLの含むトナーを負に帯電させる。現像部203は次に現像ローラー233を用いて、現像剤DVLを感光体ドラム24Kとの間のニップへ搬送する。これと並行して現像部203は、現像ローラー233に対して負の高電圧を印加する。これにより、静電潜像のうち帯電量の比較的少ない領域は現像ローラー233よりも電位が上がるので、現像ローラー233の搬送する現像剤から、帯電量の減少分に応じた量のトナーが分離して付着する。こうして静電潜像がトナー像として顕在化する。
このトナー像は感光体ドラム24Kの回転に伴い、それと1次転写ローラー22Kとの間のニップへ移動する。1次転写ローラー22Kに対しては正の高電圧が印加されているので、負に帯電したトナー像が感光体ドラム24Kの外周面から中間転写ベルト21へ転写される。
クリーニングブレード204は、たとえばポリウレタンゴム等の熱硬化性樹脂から形成された薄い矩形板状の部材であり、その長さが感光体ドラム24Kの外周面241のうち感光体で覆われた部分とほぼ等しい。ブレード204の板面のうち感光体ドラム24Kの外周面241に面した方は、その長辺の1つ(エッジ)が感光体ドラム24Kの軸方向に対して平行な状態でその外周面241に接触し、その外周面241からトナー像の転写跡に残るトナーを掻き取る。こうして、その外周面が清掃される。
イレーサー205は、たとえば感光体ドラム24Kの軸方向に配列されたLEDから感光体ドラム24Kの外周面241に光を照射する。その外周面241のうち照射光を受けた部分からは残存する電荷が消失する。こうして、その外周面241が除電される。
[光書込部の構造]
図2の(a)は光書込部202の斜視図であり、(b)は、(a)の示す直線b−bに沿った光書込部202の断面図である。光書込部202は発光素子配列方式であり、光源基板221、レンズアレイ222、およびホルダー223を含む。光源基板221は長尺形状のガラス基板または樹脂基板であり、片側の板面(図2の(b)では上面)224から光を出射させる。レンズアレイ222は光源基板221と同方向に長く透明なガラス製または樹脂製の矩形板であり、2枚の板面の間にGRINレンズの配列を封止している。各GRINレンズは、レンズアレイ222の板面の短辺に対して平行に伸びる円柱形状であり、一方の端面(図2の(b)では下面)225を光源基板221の光出射面224に対向させ、他方の端面(図2の(b)では上面)226を感光体ドラム24Kの外周面に向けている。各GRINレンズは光源基板221から一方の端面225へ入射する光を他方の端面226から出射し、感光体ドラム24Kの外周面に結像させる。ホルダー223は光源基板221と同方向に長い板状の樹脂製部材であり、片側の板面(図2の(b)では下面)には凹部227を含み、反対側の板面(図2の(b)では上面)にはスリット228を含む。凹部227の内側の空間とスリット228の内側の空間とは連通している。凹部227の内面のうち、スリット228に繋がる部分には光源基板221が固定され、スリット228の中にはレンズアレイ222が挟まれている。このようにホルダー223は光源基板221とレンズアレイ222とを保持している。
−光源基板−
図2の(c)は光源基板221のブロック図である。光源基板221は、発光素子アレイ251、選択回路252、およびドライバー集積回路(IC)253を含む。発光素子アレイ251は、光源基板221上に直に形成された、LED、OLED等の固体発光素子の配列である。図2の(c)が示す例では、発光素子260が3列、光源基板221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。各列には数千個の発光素子が数十μmのピッチで並んでいる。各発光素子は外部からの輝度信号に応じて駆動電流量を変化させる。この駆動電流量が多いほど発光素子からの出射光量が高い。選択回路252は、光源基板221上に直に形成された薄膜トランジスタ(TFT)回路であり、発光素子を順番にドライバーIC253に接続する。ドライバーIC253は、光源基板221に実装された特定用途向け集積回路(ASIC)またはプログラム可能な集積回路(FPGA)等のチップである。このチップはたとえば、発光素子アレイ251と選択回路252とが形成された板面とは反対側の板面の長手方向における片端に配置されている。ドライバーIC253はフレキシブル印刷回路基板(FPC)254を通してプリンター100内の光源制御部255に接続されており、そこからデジタルの画像データを受信する。この画像データをドライバーIC253はアナログの輝度信号に変換し、選択回路252により接続された発光素子へ送信する。
−レンズアレイ−
図2の(d)は、レンズアレイ222が含むGRINレンズの1つ280における光路を示す模式図である。GRINレンズ280は、直径が数百μm〜数mmの透明なガラス製または樹脂製の円柱形状であり、屈折率が中心軸から外周面に向かって放物線状に低下するように分布している。この屈折率分布により、GRINレンズ280の一方の端面281から入射した光は、軸方向に沿って正弦波状の軌跡を描きながら伝搬し、一定の距離(たとえば数mm〜十数mm)を進むごとに結像を繰り返す。したがって、GRINレンズ280の他方の端面282から出射した光は、GRINレンズ280の軸方向の長さAXLに合わせて正立像または倒立像を結ぶ。図2の(d)では白抜きの矢印が示すように倒立像である。この像のぼけは、結像点PBFの前後、GRINレンズ280の焦点深度DOF(=数百μm)の範囲内では許容レベルに抑えられる。
[感光体ドラムの支持構造]
図3の(a)は、感光体ユニットの1つ20Kが含む感光体ドラム24Kの支持構造の外観を示す斜視図である。この図は、感光体ドラム24Kの中心軸242の延長線上よりも少し上方に位置する視点から描かれている。他の感光体ユニット20Y、20M、20Cも共通の支持構造を含む。
この支持構造はフレーム401を含む。このフレーム401は感光体ドラム24Kの各端面243の外側に配置され、その端面243に対して平行に拡がっている。フレーム401は自身の穴402に感光体ドラム24Kの中心軸242の各端部を貫通させ、それらを回転可能に支持している。フレーム401の隙間からは感光体ドラム24Kの外周面241の一部が露出している。この露出部分に中間転写ベルト21越しに1次転写ローラー22Kが接触する。
フレーム401の隙間には更に図3の(a)が示すように、光書込部202が配置されている。光書込部202はホルダー223の底面が板金404で下から支えられている。この板金404はバネ405により、感光体ドラム24Kの径方向において摺動可能に支持されている。バネ405はたとえばコイルバネであり、その弾性力によって光書込部202を板金404越しに感光体ドラム24Kへ向かって押し上げる。
図3の(b)は、(a)が示す支持構造からフレーム401を除去したときの外観を示す斜視図であり、(c)は、同じ状態における感光体ドラム24Kの端面243近傍を別の視点から示す部分斜視図である。感光体ドラム24Kの各端面243とフレーム401との間には位置決め部材410が設置されている。位置決め部材410はたとえば金属製または硬質樹脂製の細長い棒状部材または板状部材であり、全体が一体成形されている。位置決め部材410は中央部に穴411を含み、その穴411に感光体ドラム24Kの中心軸242の端部を貫通させた状態でその端部により、そのまわりに回転可能に支持されている。位置決め部材410は長手方向の一端面(図3の(b)では下端面)413を光書込部202の表面(図3の(b)では上面)に接触させ、中央部の穴411とその端面413との中間部分414をネジ(図は示していない。)で、図3の(a)の示すフレーム401のネジ穴406に固定されている。
図3の(a)が示すように、光書込部202はバネ405から感光体ドラム24Kの径方向に押圧力を受けて、上面を感光体ドラム24Kの中心軸242へ接近させる。この上面には、図2の(a)が示すように、長手方向の各端部に突起部材271が設置されている。突起部材271はたとえば金属製または硬質樹脂製のピンであり、ホルダー223の上面から感光体ドラム24Kの径方向に突出している。このピン271の先端面はたとえば球面の一部である。この先端面に位置決め部材410の端面413が接触するので、感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202までの距離が、位置決め部材410の中央部の穴411からその端面413までの長さに制限される。すなわち、この端面413は、感光体ドラム24Kへ接近する光書込部202の動きを直に阻むことにより、感光体ドラム24Kの外周面241から光書込部202までの距離を規制する。以下、この端面413を「規制面」と呼ぶ。
[位置決め部材の構造]
図4の(a)は、位置決め部材410の端面413に接触する光書込部202の感光体ドラム24Kに対する位置を示す斜視図である。図4の(b)は、(a)の示す部材24K、410、202の部分正面図であり、(c)は位置決め部材410の側面図である。位置決め部材410の規制面413は、図4の(c)が示すように、感光体ドラム24Kの中心軸242に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭が、中心軸242の中心CT1まわりの角度θに依存してその中心軸242からの距離RAを変化させる曲線である。したがって、規制面413では感光体ドラム24Kの周方向における位置の異なる部分が、その中心軸242の中心CT1から異なる距離に位置する。
図5の(a)は、図4の示す部材24K、410、202の模式的な側面図である。この図では、位置決め部材410の規制面413の形状の技術的意義が容易に理解されるように、位置決め部材410の全体形状が簡略化され、規制面413の形状が誇張されている。また、光書込部202のピン271の先端面が半球形状に誇張されている。規制面413は感光体ドラム24Kとは異なる半径R2を持つ円弧面であり、その中心CT2が感光体ドラム24Kの中心軸242の中心CT1から外れている。その結果、その中心軸242の中心CT1から規制面413の各部分までの距離RAは、その部分が感光体ドラム24Kの周方向においてどこに位置するかに依存して異なる。特にその距離RAは、周方向における規制面413の一端部601では最大値RLに等しく、その一端部601から反対側に位置する他端部602へ近づくにつれて単調に減少し、その他端部602で最小値RSに達する。
図5の(b)は、位置決め部材410の姿勢と光書込部202の位置との間の対応関係を示す模式的な側面図である。この図でも図5の(a)と同様な形状の簡略化と誇張とがされている。位置決め部材410の規制面413は、感光体ドラム24Kの周方向の位置が異なる部分ごとに感光体ドラム24Kの中心軸242の中心CT1からの距離RAが異なる。この距離RAは特に、第2規制面413の周方向の一端部601から他端部602にかけて最大値RLから最小値RSまで単調に減少する。ここで、この距離RAの平均値がその最大値RLと最小値RSとの間の差RL−RSよりも十分に大きいように規制面413の形状、たとえば図5の(a)の示す半径R2と中心CT2の位置とは設計されている。したがって、位置決め部材410の回転により規制面413と光書込部202のピン271との接点CP2がピン271の先端面上で変位しても、感光体ドラム24Kの中心軸242の中心CT1からピン271の先端までの距離はその中心CT1から接点CP2までの距離RAに等しいとみなせる。その結果、この距離は、接点CP2が規制面413の一端部601に位置するときに最大値RLと等しく、接点CP2が規制面413の一端部601から他端部602に向かって移動するにつれて単調に減少し、接点CP2が他端部602に到達したときに最小値LSに達する。
このように位置決め部材410は感光体ドラム24Kの中心軸242まわりの回転により、その中心軸242から光書込部202までの距離RAを変化させる。具体的にはたとえば、位置決め部材410の回転角が±数度の範囲で変化するのに応じてその距離RAが±十数μmの範囲で変化する。
位置決め部材410の構造、特に規制面413の形状に関するこの特徴は、プリンター100の製造において感光体ドラム24Kの外周面241に対する光書込部202の位置決めに利用される。具体的には、感光体ユニット20Kの組み立て時、位置決め部材410をフレーム401に固定する前に、感光体ドラム24Kの近傍に光書込部のダミーを実際の光書込部202と同様に配置する。位置決め部材410の規制面413にはピンのダミーが接触する。この状態で位置決め部材410を感光体ドラム24Kの中心軸242まわりに回転させる。この回転に伴い、感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202までの距離RAは最大値RLから最小値RSまでの範囲内で変化する。この変化によりその距離RAの設計値からの誤差が許容範囲内に収まれば、位置決め部材410の中間部分414がネジでフレーム401のネジ穴406に固定される。こうして、位置決め部材410は光書込部202を感光体ドラム24Kの径方向において位置決めする。特に感光体ドラム24Kの中心軸242まわりの回転により、その位置決め精度を規制面413の成形精度以上に調整することができる。
[位置決め部材の回転角と熱膨張量との間の関係]
光書込部202の光源基板221は、図2の(c)が示すように、発光素子アレイ251とドライバーIC253とを含む。これらはいずれも動作に伴う発熱量が大きいので、光書込部202の近傍に配置された部材は加熱される。特に位置決め部材410は、図4の(b)が示すように、光書込部202のピン271に直に接触しているので、このピン271を通して伝わる熱に起因する温度上昇が大きい。その結果、この温度上昇に伴う位置決め部材410の熱膨張量は位置決め精度に対して無視できない。
図6は、位置決め部材410の姿勢と光書込部202からの熱流HFLの位置との間の関係を示す模式的な側面図である。図6の(a)は、感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202のピン271までの距離が最大値DLに等しい場合を示し、(b)は最小値DSに等しい場合を示す。これらの図でも図5の(a)と同様な形状の簡略化と誇張とがされている。図6が示すように、位置決め部材410の中では熱流HFLが規制面413とピン271との接点CP2から感光体ドラム24Kの中心軸242へ伝搬する。これに伴って位置決め部材410の温度分布は、接点CP2で最高値THを示し、中心軸242の近傍で最低値TLを示す。このとき、位置決め部材410の熱膨張に起因する感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202のピン271までの距離DAの変化量ΔD、すなわち熱膨張量は、接点CP2からその中心軸242の中心CT1までの線分に沿った局所的熱膨張量の線積分、すなわち次式(1)で表される:
Figure 0006816455
ここで、位置決め部材410の温度Tの関数D(T)、α(T)はそれぞれ、接点CP2から温度Tの地点までの距離、位置決め部材410の温度Tにおける熱膨張率を表し、変数Trfは中心軸242とピン271との間における温度分布の代表値、たとえば中央値(TH+TL)/2を表す。
式(1)の右辺は3種類の因子、すなわち、感光体ドラム24Kの中心軸242から光書込部202のピン271までの距離DA、位置決め部材410の温度分布の代表値Trfにおけるその熱膨張率α(Trf)、および接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLを含む。このうち、距離DAは中心軸242まわりにおける位置決め部材410の回転角に依存して変化する。図5が示すように、位置決め部材410の規制面413は感光体ドラム24Kの周方向における位置に応じて中心軸242の中心CT1からの距離が異なるからである。したがって、中心軸242とピン271との間における位置決め部材410の熱膨張量ΔDも位置決め部材410の回転角に依存する。
図6の(a)の示す位置決め部材410の姿勢では距離DAが最大値DLに等しい。熱膨張量ΔDLは、温度分布の代表値Trf=TrLと温度差TH−TL=ΔTLとを用いて次式(2)で表される:
ΔDL=DL×α(TrL)×ΔTL。 (2)
図6の(b)の示す位置決め部材410の姿勢では距離DAが最小値DSに等しい。熱膨張量ΔDSは、温度分布の代表値Trf=TrSと温度差TH−TL=ΔTSとを用いて次式(3)で表される:
ΔDS=DS×α(TrS)×ΔTS。 (3)
式(2)、(3)の右辺の間において、距離DAの差DL−DSに比べて熱膨張率α(Trf)の差α(TrL)−α(TrS)と温度差TH−TLの差ΔTL−ΔTSとがいずれも無視可能に小さい場合を想定する。この場合、位置決め部材410の熱膨張量ΔDは、距離DAが最小値DSに等しいときの値ΔDSよりも、最大値DLに等しいときの値ΔDLが大きい:ΔDS<ΔDL。これらの差ΔDL−ΔDSが過大であれば、距離DAが最小値DSに等しいときの熱膨張量ΔDSは位置決め誤差の許容範囲内であっても、距離DAが最大値DLに等しいときの熱膨張量ΔDLはその許容範囲を超えかねない。
実際には、位置決め部材410が熱良導部420を含むので、以下に述べるように、位置決め部材410の回転に伴う距離DAの変化は、熱膨張率α(Trf)の変化、または温度差TH−TLの変化によって相殺される。その結果、位置決め部材410の回転角の違いに起因する熱膨張量の差ΔDL−ΔDSが十分に小さく抑えられるので、位置決め部材410の回転角にかかわらず、熱膨張量ΔDを位置決め誤差の許容範囲内に留めることができる。
[位置決め部材の熱良導部]
図6の(a)の示す位置決め部材410の姿勢では、規制面413のうち感光体ドラム24Kの中心軸242からの距離が比較的長い部分に光書込部202のピン271との接点CP2が位置する。このときにピン271から中心軸242への熱流HFLが主に通過する領域、すなわち、規制面413のうち中心軸242からの距離が比較的長い部分から中心軸242までの領域611を「第1領域」と呼ぶ。
図6の(b)の示す位置決め部材410の姿勢では、規制面413のうち感光体ドラム24Kの中心軸242からの距離が比較的短い部分に光書込部202のピン271との接点CP2が位置する。このときにピン271から中心軸242への熱流HFLが主に通過する領域、すなわち、規制面413のうち中心軸242からの距離が比較的短い部分から中心軸242までの領域612を「第2領域」と呼ぶ。
図6が示すように、熱良導部420は第1領域611に位置する。図6の(a)の示す位置決め部材410の姿勢では、規制面413と光書込部202のピン271との接点CP2が第1領域611に位置するので、ピン271から中心軸242への熱流HFLが主に熱良導部420を通過する。一方、図6の(b)の示す位置決め部材410の姿勢では接点CP2が第2領域612に位置するので、ピン271から中心軸242への熱流HFLが主に第2領域612を通過する。
図7の(a)は、位置決め部材410の片方の側面711が見える位置で描いたその位置決め部材410の斜視図であり、(b)は、(a)の示す側面711とは反対側の側面712が見える位置で描いた同じ位置決め部材410の斜視図である。これらの図では熱良導部420の技術的意義が容易に理解されるように、図3の(b)、(c)よりも位置決め部材410の全体形状が簡略化され、熱良導部420の突起721、722の大きさが誇張されている。図7が示すように熱良導部420は、位置決め部材410のうち、側面711、712から法線方向に張り出した直方体形状の突起721、722を含む部分である。熱良導部420は位置決め部材410の他の部分と共に一体成形されている。各突起721、722の5枚の表面のうち、1枚は規制面413と一体化し、別の1枚は、感光体ドラム24Kの周方向における規制面413の一端部601から位置決め部材410の長手方向に伸びる端面731と一体化している。これらの突起721、722により熱良導部420の厚み(側面711、712の法線方向における長さ)TH1は第2領域612の厚みTH2よりも大きい。その結果、熱良導部420は第2領域612よりも、体積が大きいので熱容量が大きく、表面積が大きいので放熱能力が高い。さらに、図6の示す光書込部202のピン271から感光体ドラム24Kの中心軸242へ向かう熱流HFLの方向に対して垂直な断面積、すなわち伝熱面積が大きいので、熱良導部420は第2領域612よりも熱抵抗が低い。
熱良導部420は第2領域612よりも熱容量が大きく、かつ放熱能力が高いので、第2領域612よりも温度が上がりにくい。その結果、ピン271からの熱流束(単位時間に単位伝熱面積を通過する熱量)が一定の条件下において、ピン271との接点CP2から中心軸242近傍までにおける温度分布の代表値Trfを、熱良導部420は第2領域612よりも低下させる。これにより、熱良導部420は第2領域612よりも温度分布の最高値THが低い。さらに、位置決め部材410の熱膨張率α(T)は一般に、プリンター100の通常の使用温度範囲、数℃〜数十℃では温度Tの上昇に伴って単調に上昇するので、温度分布の代表値Trfに等しい温度での熱膨張率α(Trf)が熱良導部420では第2領域612よりも低い。
熱良導部420は第2領域612よりも熱抵抗が低いことにより、温度勾配が生じにくい。その結果、ピン271からの熱流束が一定の条件下において、接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLを、熱良導部420は第2領域612よりも減少させる。
このように、熱良導部420は第2領域612よりも温度差TH−TLが小さく、熱膨張率α(Trf)が低い。これらの差が中心軸242からピン271との接点CP2までの距離DAの差DL−DSを相殺するように、突起721、722のサイズは設計されている。こうして熱良導部420により、第1領域611と第2領域612との間での熱膨張量の差ΔDL−ΔDSが十分に小さく抑えられる。
[実施形態の利点]
本発明の実施形態によるプリンター100では上記のとおり、位置決め部材410が感光体ドラム24Kの中心軸242によってそのまわりに回転可能に支持され、感光体ドラム24Kの径方向において光書込部202を位置決めする。位置決め部材410は特に規制面413を光書込部202のピン271に接触させて、感光体ドラム24Kへ接近する光書込部202の動きを直に阻むことにより、感光体ドラム24Kの外周面241から光書込部202までの距離を規制する。規制面413は、感光体ドラム24Kの中心軸242のまわりの角度に依存して中心軸242からの距離が異なる曲面である。したがって、位置決め部材413はその回転によってピン271との接点CP2を規制面413上で変位させることにより中心軸242から光書込部202までの距離を調整し、位置決め精度を規制面413の成形精度以上に調整することができる。
位置決め部材410は更に熱良導部420を含む。熱良導部420は、規制面413のうち中心軸242からの距離が比較的長い部分と中心軸242との間に位置する第1領域611に設けられ、規制面413のうち中心軸242からの距離が比較的短い部分と中心軸242との間に位置する第2領域612よりも、熱容量が大きく、放熱能力が高く、熱抵抗が低い。これにより、ピン271との接点CP2が第1領域611に位置する場合は第2領域612に位置する場合よりも、位置決め部材410の温度が上がりにくく、温度勾配が生じにくい。その結果、中心軸242から接点CP2までの距離DAの熱膨張に伴う変化量ΔDを表す式(1)の右辺において、両領域611、612間でのその距離DAの差DL−DSが、熱膨張率α(Trf)の差α(TrL)−α(TrS)と温度差TH−TLの差ΔTL−ΔTSとで相殺される。こうして、両領域611、612間では熱膨張量ΔDの差ΔDL−ΔDSが小さく抑えられるので、両領域611、612のどこに接点CP2が位置するかにかかわらず、すなわち位置決め部材410の回転角にかかわらず、熱膨張量ΔDを位置決め誤差の許容範囲内に留めることができる。こうして、プリンター100は、位置決め部材410の熱膨張に起因する位置決め誤差を許容範囲内に留めたまま、感光体ドラム24Kから光書込部202までの距離の調整可能範囲を十分に大きく確保することができる。
[変形例]
(A)図1の示す電子写真式の画像形成装置100は、タンデム配置の感光体ユニット20Y、…と中間転写ベルト21とを備えた中間体転写方式のカラープリンターである。本発明の実施形態による画像形成装置はその他に、直接転写方式のカラープリンター、モノクロプリンター、ファクシミリ機、コピー機、または複合機(MFP)であってもよい。
(B)図1の(c)が示す感光体ユニット20Kの構造は一例に過ぎない。たとえば、帯電部は、電極211を利用するコロナ放電式のもの201に代えて、ローラー等を利用する近接放電式のものであってもよい。また、クリーニングブレード204よりもイレーサー205が1次転写ローラー22Kに近くてもよい。
(C)図1の(c)ではドラム24Kの外周面が感光体で覆われている。その他に、ドラム24Kに代えてベルトの外周面が感光体で覆われていてもよい。このベルトはドラム24Kと同様、帯電部、現像部、クリーニングブレード、およびイレーサーに囲まれるように配置される。ベルトが1回転すると、これらの処理部に順番に感光体の各表面部分が対向して、帯電、露光、現像、転写、清掃、および除電の各処理を受ける。この場合、位置決め部材410はドラム24Kの中心軸242に代えて、ベルトを駆動するプーリーの回転軸に支持されてもよい。
(D)図2の(c)の示す光源基板221では、固体発光素子260が3列、光源基板221の長手方向に沿って千鳥形状に配置されている。発光素子の配列はその他に、列数が1、2、または4以上であってもよく、千鳥形状に代えて格子形状であってもよい。
固体発光素子は特にOLEDであってもよい。OLEDはLEDよりも発光量が弱いので、レンズアレイ222ではGRINレンズのF値が大きく設計される。これに伴うGRINレンズの焦点深度の狭化にも対応可能な程度に、位置決め部材410による光書込部202の位置決め精度は十分に高い。
(E)図3では位置決め部材410の中間部分414がネジでフレーム401のネジ穴406に固定される。この固定はネジに代えて接着剤で行われてもよい。中間部分414は中央部と端部とに比べて幅が細いので、そこがフレーム401に固定されることにより、感光体ドラム24Kの回転に伴う振動等、外部からの振動/衝撃に対する位置決め部材410の強度が向上する。その結果、位置決め部材410の変形に起因する位置決め精度の低下を防ぐことができる。しかし、中間部分414がすでに十分な強度を持つ場合には、別の部分がフレーム401へ固定されてもよい。
(F)図4が示すように、位置決め部材410の規制面413は光書込部202に接触して、感光体ドラム24Kへ接近する光書込部202の動きを直に阻む。その他に、規制面413は、光書込部202に固定された別の部材に接触して、感光体ドラム24Kへ接近する光書込部202の動きを間接的に阻んでもよい。
(G)図5の(a)の示す位置決め部材410の規制面413は、感光体ドラム24Kとは異なる半径R2を持つ円弧面であり、その中心CT2が感光体ドラム24Kの中心軸242の中心CT1から外れている。しかし、この形状に規制面は限られず、感光体ドラム24Kの中心軸242に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭が、その中心軸242まわりの角度に依存してその中心軸242からの距離を変化させる曲線であればよい。このような曲線としては、たとえばその中心軸242と同軸の螺旋が挙げられる。この曲線が特に等角螺旋である場合は、位置決め部材410の回転角にかかわらず、規制面を常に光書込部202のピン271の同じ部位に接触させ続けることができる。
(H)図7が示す位置決め部材410の熱良導部420は位置決め部材410の側面711、712の両方に、法線方向に張り出した直方体形状の突起721、722を含む。突起の形状は直方体以外であってもよい。熱良導部はまた、位置決め部材410の側面の片方にのみ突起を含んでいてもよい。
図8の(a)は、そのような熱良導部820を含む位置決め部材410の側面811が見える位置で描いたその位置決め部材410の斜視図であり、(b)は、(a)の示す側面811とは反対側の側面812が見える位置で描いた同じ位置決め部材410の斜視図である。これらの図では図7と同様、位置決め部材410の全体形状が簡略化され、熱良導部820の突起821の大きさが誇張されている。これらの図が示すように熱良導部420は、位置決め部材410の片方の側面811から法線方向に張り出した直方体形状の突起821を含む。熱良導部820は位置決め部材410の他の部分と共に一体成形されている。突起821の5枚の表面のうち、1枚は規制面413と一体化し、別の1枚は、感光体ドラム24Kの周方向における規制面413の一端部601から位置決め部材410の長手方向に伸びる端面731と一体化している。突起821により熱良導部820の厚みL1は第2領域612の厚みL2よりも大きい。その結果、熱良導部820は第2領域612よりも、体積が大きいので熱容量が大きく、表面積が大きいので放熱能力が高く、伝熱面積が大きいので熱抵抗が低い。したがって、熱良導部820は第2領域612よりも温度が上がりにくく、温度勾配が生じにくい。その結果、熱良導部820は第2領域612よりも熱膨張率α(Trf)が低く、光書込部202のピン271との接点CP2と感光体ドラム24Kの中心軸242近傍との間での温度差TH−TLが小さい。これらの差が中心軸242から接点CP2までの距離DAの差DL−DSを相殺するように突起821のサイズは設計されている。こうして熱良導部820により、第1領域611と第2領域612との間での熱膨張量の差ΔDL−ΔDSが十分に小さく抑えられる。
なお、突起821の形状は、熱良導部820に第2領域612よりも大きな熱容量、高い放熱能力、または低い熱抵抗を与えるものであれば、直方体以外であってもよい。
(I)第1領域611と第2領域612との間での熱膨張量の差ΔDL−ΔDSを十分に小さく抑えるには、式(2)、(3)の右辺間において、光書込部202のピン271との接点CP2から感光体ドラム24Kの中心軸242までの距離DAの差DL−DSが他の因子の差、すなわち熱膨張率α(Trf)の差α(TrL)−α(TrS)、または接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLの差ΔTL−ΔTSのいずれかで相殺されさえすればよい。したがって、熱良導部は第2領域612と比べて、熱容量、放熱能力、熱抵抗のすべてにおいて有利である必要はない。
図8の(c)は、そのような熱良導部の一例840を含む位置決め部材410の側面831が見える位置で描いたその位置決め部材410の斜視図であり、(d)は、(c)の示す側面831とは反対側の側面832が見える位置で描いた同じ位置決め部材410の斜視図である。これらの図でも図7と同様に、位置決め部材410の全体形状が簡略化され、熱良導部840の突起841の大きさが誇張されている。これらの図が示すように、熱良導部840は、感光体ドラム24Kの周方向における規制面413の一端部601から位置決め部材410の長手方向に伸びる端面731から法線方向に張り出した直方体形状の突起841を含む。熱良導部840は位置決め部材410の他の部分と共に一体成形されている。突起841の5枚の表面のうち、1枚は規制面413と一体化し、別の2枚は位置決め部材410の側面831、832と一体化している。熱良導部840は第2領域612と厚みが等しいので、伝熱面積には実質的な差がない。したがって、熱良導部840は第2領域612と熱抵抗が同程度である。しかし、突起841により熱良導部420は第2領域612よりも、体積が大きいので熱容量が大きく、表面積が大きいので放熱能力が高い。その結果、熱良導部840は第2領域612よりも温度が上がりにくいので接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLが小さく、熱膨張率α(Trf)が低い。これらの差で中心軸242から接点CP2までの距離DAの差DL−DSが相殺されるように、突起841のサイズを設計することは可能である。また、突起841は図7の示す突起721、722とは突出方向が異なるので、感光体ドラム24Kの端面243との間隔を十分に空けることができる。これにより、外部からの振動/衝撃によって位置決め部材410が感光体ドラム24Kに接触する危険性が抑えられる。
図9の(a)は、熱良導部の別例920を含む位置決め部材410の側面911が見える位置で描いたその位置決め部材410の斜視図であり、(b)は、(a)の示す側面911とは反対側の側面912が見える位置で描いた同じ位置決め部材410の斜視図である。これらの図でも図7と同様、位置決め部材410の全体形状が簡略化され、熱良導部920のリブ921、922の大きさが誇張されている。これらの図が示すように、熱良導部920は、位置決め部材410の側面911、912から法線方向に張り出した直方体形状のリブ921、922を、各側面911、912に複数ずつ(図9の(a)、(b)では2つずつ)含む。熱良導部920は位置決め部材410の他の部分と共に一体成形されている。各リブ921が含む5枚の表面のうち、1枚は規制面413と一体化している。各リブ921、922の幅(側面911、912に対しては平行であり、長手方向に対しては垂直である方向における長さ)WDは図7の示す突起721、722の幅の半分以下であるので、熱良導部920は第2領域612と比べて伝熱面積には実質的な差がない。したがって、熱良導部920は第2領域612と熱抵抗が同程度である。しかし、リブ921、922により熱良導部420は第2領域612よりも、体積が大きいので熱容量が大きく、表面積が大きいので放熱能力が高い。その結果、熱良導部840は第2領域612よりも温度が上がりにくいので、接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLが小さく、熱膨張率α(Trf)が低い。これらの差で中心軸242から接点CP2までの距離DAの差DL−DSが相殺されるように、リブ921、922のサイズと数とを設計することは可能である。また、リブ921、922は図7の示す突起721、722よりも1つあたりの幅が狭いので、接点CP2からの熱の流入に伴って生じる熱応力が、リブ921、922では図7の示す突起721、722よりも緩和される。
図9の(c)は、熱良導部の更に別の例940を含む位置決め部材410の側面931が見える位置で描いたその位置決め部材410の斜視図である。この図でも図7と同様、位置決め部材410の全体形状が簡略化されている。この熱良導部940は第2領域612よりも表面が粗い。熱良導部940は特に、位置決め部材410の側面931に刻まれた複数本の溝941を含む。図9の(c)は溝941の拡大断面図も含む。これらの溝941は、位置決め部材410の他の部分と共に一体成形されたものであっても、成形後に刻まれたものであってもよい。熱良導部940は第2領域612と比べ、全体形状のサイズと体積とのいずれにも実質的な差がない。したがって、熱良導部940は第2領域612とは熱容量と熱抵抗とが同程度である。しかし、複数本の溝941により熱良導部940は第2領域612よりも表面積が大きいので、放熱能力が高い。その結果、熱良導部940は第2領域612よりも温度が上がりにくいので、接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLが小さく、熱膨張率α(Trf)が低い。これらの差で中心軸242から接点CP2までの距離DAの差DL−DSが相殺されるように、溝941のサイズと本数とを設計することは可能である。
図9の(d)は、熱良導部の他の例960を含む位置決め部材410の側面951が見える位置で描いた位置決め部材410の斜視図である。この図でも図7と同様、位置決め部材410の全体形状が簡略化されている。この熱良導部960は、第2領域612を構成する材質とは異なる材質で構成されている。この材質は第2領域612の材質よりも熱伝導率が高い。全体形状のサイズ、体積、および表面積については熱良導部960は第2領域612と実質的な差がない。したがって、熱良導部960は第2領域612と比べ、熱容量と放熱能力とは同程度であるが、熱抵抗は低い。その結果、熱良導部960は第2領域612よりも温度勾配が生じにくいので、接点CP2と中心軸242近傍との間での温度差TH−TLが小さい。この差で中心軸242から接点CP2までの距離DAの差DL−DSが相殺されるように、熱良導部960の材質を選択してそのサイズを設計することは可能である。
(J)位置決め部材410は感光体ドラム24Kの両側に配置される。これらの間では熱良導部の構造が共通であってもよく、光書込部202から伝わる熱量の大きさに合わせて異なっていてもよい。
図10の(a)は、感光体ドラム24Kとその両側に配置された位置決め部材410、510との斜視図であり、(b)は一方の位置決め部材510の斜視図であり、(c)は他方の位置決め部材410の斜視図である。図10の(c)の示す第1位置決め部材410は図7の示すものと同じ構造であり、熱良導部420が直方体形状の突起721、722を含む。これに対し、図10の(b)の示す第2位置決め部材510は、熱良導部が直方体形状の突起A21、A22を含む点では共通する。しかし、それらの突起A21、A22のサイズTGC×LLGは第1位置決め部材410の突起721、722のサイズTHC×LNGよりも小さい。これは次の理由に因る。
図2の(c)と図4の(b)とが示すように、光書込部202ではドライバーIC253が光源基板221の長手方向における片端に配置されている。ドライバーIC253の発熱量は大きいので、これとの距離が近い第1位置決め部材410は、その距離が遠い第2位置決め部材510よりも、ピン271との接点CP2からの熱流束が大きい。この場合、第1位置決め部材410よりも第2位置決め部材510は温度が上がりにくいので、一定の使用時間に生じる温度分布の代表値Trfと最高値THとはいずれも、第1位置決め部材410よりも第2位置決め部材510の方が低い。したがって、式(2)で得られる熱膨張量ΔDL、すなわち感光体ドラム24Kの中心軸242からピン271との接点CP2までの距離DAが最大値DLに等しいときの熱膨張量は、第1位置決め部材410よりも第2位置決め部材510の方が低い。その結果、この熱膨張量ΔDLが位置決め誤差の許容範囲を超える危険性は、第1位置決め部材410に比べて第2位置決め部材510では低い。それ故、第2位置決め部材510の突起A21、A22は第1位置決め部材410の突起721、722よりも小型化されて、熱容量が小さく、放熱能力が低く、または熱抵抗が高く設計されても構わない。さらに、第1位置決め部材410の熱膨張量に比べて第2位置決め部材510の熱膨張量が無視できるほど小さい場合、第2位置決め部材510には突起A21、A22が設けられなくてもよい。
本発明は、電子写真式の画像形成装置において感光体に対する光書込部の位置を決める構造に関し、上記のとおり、単一の位置決め部材の一端面を感光体の回転軸と同軸の円弧面にすると共に、他端面をその回転軸のまわりの角度に応じてその回転軸からの距離が異なる曲面にする。このように、本発明は明らかに産業上利用可能である。
100 プリンター
20Y、20M、20C、20K 感光体ユニット
21 中間転写ベルト
21L 従動プーリー
21R 駆動プーリー
22Y、22M、22C、22K 1次転写ローラー
23 2次転写ローラー
24Y、24M、24C、24K 感光体ドラム
202 光書込部
221 光源基板
222 レンズアレイ
223 ホルダー
241 感光体ドラムの外周面
242 感光体ドラムの中心軸
243 感光体ドラムの端面
271 ピン
300 中間転写ユニット
301 中間転写ユニットのフレーム
302、303、304、305 フレームの側面
311 支持部材
312 第1バネ
401 感光体ユニットのフレーム
404 板金
405 第2バネ
410 位置決め部材
411 位置決め部材の中央部の穴
412 位置決め部材の第1端面
413 位置決め部材の第2端面
414 位置決め部材の中間部分
601、602 感光体ドラムの周方向における第2端面の端部

Claims (7)

  1. 電子写真式の画像形成装置であって、
    感光体と、
    前記感光体の表面を露光する発光素子配列方式の光書込部と、
    前記感光体を回転可能に支持するフレームと、
    前記感光体の回転軸のまわりに当該回転軸とは独立して回転可能であるように当該回転軸によって支持され、前記光書込部を前記感光体に対して位置決めした状態で前記感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるように前記フレームに固定された位置決め部材と
    を備え、
    前記位置決め部材は、
    前記感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭が当該回転軸のまわりの角度に依存して当該回転軸からの距離を変化させる曲線であり、当該感光体の表面へ接近する前記光書込部の動きを直に、または間接的に阻むことにより、前記感光体の表面から前記光書込部までの距離を規制する規制面と、
    前記位置決め部材を前記感光体の回転軸の方向から見て、前記規制面における第1部分から前記回転軸までの領域を第1領域、前記規制面における前記第1部分よりも前記回転軸からの距離が短い第2部分から前記回転軸までの領域を第2領域としたとき、
    前記第1領域に設けられ、前記第2領域よりも前記回転軸と平行な方向における厚みが大きい熱良導部と、
    を含む画像形成装置。
  2. 電子写真式の画像形成装置であって、
    感光体と、
    前記感光体の表面を露光する発光素子配列方式の光書込部と、
    前記感光体を回転可能に支持するフレームと、
    前記感光体の回転軸のまわりに当該回転軸とは独立して回転可能であるように当該回転軸によって支持され、前記光書込部を前記感光体に対して位置決めした状態で前記感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるように前記フレームに固定された位置決め部材と
    を備え、
    前記位置決め部材は、
    前記感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭が当該回転軸のまわりの角度に依存して当該回転軸からの距離を変化させる曲線であり、当該感光体の表面へ接近する前記光書込部の動きを直に、または間接的に阻むことにより、前記感光体の表面から前記光書込部までの距離を規制する規制面と、
    前記位置決め部材を前記感光体の回転軸の方向から見て、前記規制面における第1部分から前記回転軸までの領域を第1領域、前記規制面における前記第1部分よりも前記回転軸からの距離が短い第2部分から前記回転軸までの領域を第2領域としたとき、
    前記第1領域に設けられ、前記第2領域よりも表面が粗い、または前記第2領域を構成する材質よりも熱伝導率が高い材質で構成されている熱良導部と、
    を含む画像形成装置。
  3. 電子写真式の画像形成装置であって、
    感光体と、
    前記感光体の表面を露光する発光素子配列方式の光書込部と、
    前記感光体を回転可能に支持するフレームと、
    前記感光体の回転軸のまわりに当該回転軸とは独立して回転可能であるように当該回転軸によって支持され、前記光書込部を前記感光体に対して位置決めした状態で前記感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるように前記フレームに固定された位置決め部材と
    を備え、
    前記位置決め部材は、
    前記感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭が当該回転軸のまわりの角度に依存して当該回転軸からの距離を変化させる曲線であり、当該感光体の表面へ接近する前記光書込部の動きを直に、または間接的に阻むことにより、前記感光体の表面から前記光書込部までの距離を規制する規制面と、
    前記位置決め部材を前記感光体の回転軸の方向から見て、前記規制面における第1部分から前記回転軸までの領域を第1領域、前記規制面における前記第1部分よりも前記回転軸からの距離が短い第2部分から前記回転軸までの領域を第2領域としたとき、
    前記第1領域に設けられ、前記感光体の回転軸の方向から見たときに前記第1領域と前記第2領域とが並ぶ方向に前記第1領域に対して前記第2領域が位置する側とは反対側の、前記位置決め部材の端面の一部から当該端面の法線方向に張り出した突起を含む熱良導部と、
    を含む画像形成装置。
  4. 前記熱良導部は、表面から突出したリブを含む請求項に記載の画像形成装置。
  5. 前記位置決め部材は、前記感光体の回転軸に支持された部位と前記規制面との間に伸びる棒状または板状であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の画像形成装置。
  6. 前記感光体の回転軸のまわりに当該回転軸とは独立して回転可能であるように当該回転軸によって支持され、前記光書込部を前記感光体に対して位置決めした状態で前記感光体の回転軸のまわりの回転が不能となるように前記フレームに固定された補助位置決め部材
    を更に備え、
    前記光書込部は、
    前記感光体の回転軸の方向に並ぶ発光素子の配列と、
    前記感光体の回転軸の方向に並ぶ屈折率分布レンズの配列と、
    前記感光体の回転軸の方向に長尺の形状であり、前記発光素子の配列と前記屈折率分布レンズの配列とを保持する保持部材と
    を含み、
    前記位置決め部材の規制面は、前記保持部材の長手方向の一端と直に、または間接的に接触して、前記感光体の表面へ接近する前記光書込部の動きを阻むことにより、前記感光体の表面から前記光書込部までの距離を規制し、
    前記補助位置決め部材は、
    前記感光体の回転軸に対して垂直な仮想平面へ投影された輪郭が当該回転軸のまわりの角度に依存して当該回転軸からの距離を変化させる曲線であり、前記保持部材の長手方向の他端と直に、または間接的に接触して、前記感光体の表面へ接近する前記光書込部の動きを阻むことにより、前記感光体の表面から前記光書込部までの距離を規制する規制面と、
    前記補助位置決め部材を前記感光体の回転軸の方向から見て、前記補助位置決め部材の規制面における第1部分から前記回転軸までの領域を第3領域、前記規制面における前記第1部分よりも前記回転軸からの距離が短い第2部分から前記回転軸までの領域を第4領域としたとき、
    前記第3領域に設けられ、前記第4領域よりも前記回転軸と平行な方向における厚みが大きい熱良導部と
    を含み、
    前記補助位置決め部材の熱良導部は前記位置決め部材の熱良導部よりも、前記回転軸と平行な方向における厚みが小さ
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記光書込部は、発光素子として有機発光ダイオードを含む、請求項1から請求項までのいずれかに記載の画像形成装置。
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