JP2018123309A - 耐熱性に優れたカチオン可染性ポリエステル組成物および繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】加熱溶融時の耐熱安定性が高く、紡糸時に糸切れしにくく、均一で良好な染色性を有する高品質なカチオン染料可染性ポリエステルおよび繊維の提供。【解決手段】主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートとし、スルホイソフタル酸を全ジカルボン酸成分の1.2mol%以上2.2mol%以下、ジエチレングリコールを2.5wt%以上3.8wt%以下含み、耐熱性パラメータXが、1.0≦X≦1.4、または、測定開始後1500秒後の粘弾性特性が下記(式1)〜(式3)を満足する耐熱性カチオン可染性ポリエステル。(式1)70≦G′(1500)≦200Pa(式2)550≦G′′(1500)≦850Pa(式3)180≦η*(1500)≦270Pa・s(G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、η*:複素粘性率)【選択図】図1

Description

本発明はスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合したカチオン可染ポリエステル組成物に関するものであり、更に詳しくは、加熱溶融した際の耐熱性に優れ、紡糸時の糸切れが抑制され、染色均一性にも優れるポリエステル組成物および繊維に関するものである。
ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルは、その優れた機械的、力学的および化学的特性から、衣料用、産業用等の繊維や、磁気テープ用、表面コーティング用等のフィルム、およびタイヤコード、ネット等の産業用等に広く使用されている。ただし衣料用繊維として用いる場合には、分散染料による染色であるために染色物の鮮明さが劣るなどの欠点を有している。この染色性を補うために、5−ナトリウムスルホイソフタル酸に代表される、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させた改質ポリエステルが知られている。
しかしながら、このスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を共重合させたポリエステルを用いて溶融紡糸を行うと、ポリマーが熱変性(ゲル化反応)を起こしやすく、これにより紡糸時の糸切れが悪化するという問題を有していた。またこの熱変性物(PETが加水分解、熱分解や架橋反応を繰り返して生成したゲル化物)に起因する部分的な変質や硬化により、染め斑等の染色不良が生じることがあった。
かかる課題を解決するため、カチオン可染性ポリエステルの改善がなされてきた。
例えば、主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.0〜3.0mol%含み、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールを0.5〜2.0wt%含むことを特徴とするカチオン可染性ポリエステル組成物が例示されている(特許文献1)。
特開2015−143314号公報
しかし、特許文献1の組成物では、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分に対する凝集対策が不十分なため、耐熱性が不十分であり、紡糸時の糸切れや染め斑等の染色不良を生じやすく、これがしばしば生産や製品化におけるネックとなっていた。このように従来技術では、耐熱性と均一染色性に優れたカチオン可染性ポリエステルは公知ではなかった。
本発明の課題は、スルホン酸基を有するイソフタル酸成分を共重合させたポリエステル組成物の耐熱安定性を改良し、紡糸時に糸切れしにくく、かつ均一で良好な染色性を有する高品質なカチオン染料可染性ポリエステル組成物および繊維を提供することである。
前記の耐熱性および均一染色性の課題は、次の(1)または(2)により解決できる。
(1)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.2mol%以上2.2mol%以下含有し、ポリエステル組成物に対するジエチレングリコールの含有量が2.5wt%以上3.8wt%以下であり、耐熱性パラメータXが、1.0≦X≦1.4を満足することを特徴とするカチオン可染ポリエステル組成物。
Figure 2018123309
(2)主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.2mol%以上2.2mol%以下含有し、ポリエステル組成物に対するジエチレングリコールの含有量が2.5wt%以上3.8wt%以下であり、角速度3.14rad/sec,周波数5Hz,285℃において、測定開始後1500秒後の粘弾性特性が下記(式1)〜(式3)を満たす耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物。
(式1)70≦G′(1500)≦200Pa
(式2)550≦G′′(1500)≦850Pa
(式3)180≦η*(1500)≦270Pa・s
(G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、η*:複素粘性率)
以下、耐熱性パラメータXを詳細に説明する。
図1に本願発明のポリマーの熱処理前、および窒素ガス雰囲気下285℃にて5時間加熱処理後のIR吸収強度の測定結果を示す。測定は各試料をサンプリングして実施し、顕微赤外分光装置(顕微FT−IR)にて、熱処理前、および窒素ガス雰囲気下285℃にて5時間加熱処理後のポリマーのFT−IRを測定し、それぞれの1610cm−1および1500cm−1±10cm−1の吸収強度を求めた。なお測定バラツキを極小化するため、同一サンプルを5回測定し、その相加平均を使用した。
1610cm−1はPET熱変性物(PETが加水分解、熱分解や架橋反応を繰り返して生成したゲル化物)に特徴的なIR吸収ピークであり、1500cm−1はPET主鎖のIR吸収ピークである。範囲を±10cm−1としたのは測定誤差を考慮してのことであるが、本範囲で最も吸収強度が大きいピークをそれぞれPET熱変性物およびPET主鎖の吸収と規定する。
すなわち、分母および分子それぞれにおける、1500cm−1付近の吸収に対する1610cm−1付近の吸収の比は、PET主鎖に対するPET熱変性物の割合を示す。
この熱変性物の割合について、熱処理前の値を全体の分母に、窒素ガス雰囲気下285℃で5時間加熱処理後の値を分子にとることで、ポリマーの加熱処理前後での熱変性物の増加割合を示す式となる。なお、この加熱処理温度および雰囲気はポリマーの紡糸時の環境を想定した条件である。それゆえ、この式は擬似的にポリマーの紡糸時の耐熱安定性を示すパラメータである。ポリマーが全く変性しない場合はX=1となり、変性するほど値は大きくなる。
我々は鋭意検討の結果、耐熱性パラメータX、すなわちポリマーのFT−IR分析における1500cm−1付近の吸収(PET主鎖)に対する1610cm−1付近の吸収(PET熱変性物)の増加割合が一定以下であることが、ポリマーの耐熱性を向上させ、糸切れ低減と染め差抑制という前記課題を達成するために重要であることを把握した。
熱変性物は変性していない周囲のポリマー成分とは極性が異なり、かつ高温でも融解しない不溶不融の性質を持つため、PETと相溶せず、溶融紡糸時の口金吐出孔壁への引っかかりや、閉塞を生じることにより糸切れに繋がる。吐出後も、伸張率が周囲の変性していないポリマーとは異なるため延伸時に糸切れしやすい。更に染料への染まり方も異なるため染め斑の原因となる。
このように、1610cm−1付近に吸収をもつ熱変性物が課題達成を妨げているため、紡糸時における上記熱変性物の生成量が一定以下であることにより、耐熱性が向上し、紡糸時に糸切れしにくく、均一で良好な染色性を有する高品質なカチオン染料可染性ポリエステル組成物および繊維を得ることができる。
次に、ポリマーの粘弾性特性について詳細に説明する。
粘弾性特性の測定には、粘弾性を測定する際に一般的な装置である動的粘弾性測定装置(以下レオメータと称す)を使用し、ポリマーを角速度3.14rad/sec,周波数5Hz,285℃に保持した状態で測定した。
G′は貯蔵弾性率であり、ポリマーに応力をかけた際の弾性的性質、すなわち受けた応力をそのまま貯蔵し、跳ね返す、バネのような剛直さ度合いを表す。G′′は損失弾性率と呼ばれ、ポリマーの粘性的性質、すなわち受けた応力を保持せず、変形するなどして受け流す、さらさらとした度合いを示す。η*は複素粘性率であり、ポリマーの粘度を示す。それぞれ、値が大きくなるほどその性質が強くなる。
我々は鋭意検討の結果、本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物の紡糸性・染色性にG′、G′′、η*が関わっており、それぞれが一定範囲にあることが重要であることを見出した。その理由については、紡糸の際は口金の微細な吐出孔からポリマーが高速で吐出されるが、その際、ポリマーの貯蔵弾性率G′や粘度η*が高すぎると吐出時の形状変化に追従できないためと推定している。これにより糸切れに繋がる他、染料への染まり方も異なるため染め斑の原因となる。一方で、低すぎる場合は吐出後の巻き取られる際に張力が充分に伝わらないため糸形状を保持しにくいと考えており、そのために同じく製糸性が悪化し、糸切れが不良となると考えている。損失弾性率G′′に関しても、低すぎると吐出時の形状変化に追従できず糸切れに繋がる他、染料への染まり方も異なるため染め斑の原因となる。一方で、高すぎる場合は吐出後巻き取られる際に張力が充分に伝わらないため糸形状を保持できず、同じく糸切れ不良・染め斑の原因となる。
このようにG′、 G′′、η*が一定の範囲にあることで、耐熱性が向上し、紡糸時に糸切れしにくく、均一で良好な染色性を有する高品質なカチオン染料可染性ポリエステル組成物および繊維を得ることができる。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物および繊維により、耐熱安定性が改良され、紡糸時に糸切れしにくく、かつ均一で良好な染色性を有する高品質な繊維を実現できる。
図1は、本願発明のポリマーの熱処理前、および窒素ガス雰囲気下285℃にて5時間加熱処理後のFT−IR測定結果を示す。
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明のカチオン可染性ポリエステルは、主たる繰り返し単位としてエチレンテレフタレートが70mol%以上からなり、さらに好ましくは80mol%以上からなる。
耐熱性を確保して熱変性を抑制し、紡糸時の糸切れ抑制や均一染色性を確保するため、本発明のカチオン可染性ポリエステルは、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.2mol%以上2.2mol%以下、ポリエステル組成物に対するジエチレングリコール(以下、DEGと略す)を2.5wt%以上3.8wt%以下含むことが必須である。これらに加えて、次の2点のいずれかを満足することが必須である。
(1):耐熱性パラメータXが、1.0≦X≦1.4を満足する。
(2):角速度3.14rad/sec,周波数5Hz,285℃において、測定開始後1500秒後の粘弾性特性が下記(式1)〜(式3)を満たす。
(式1)70≦G′(1500)≦200Pa
(式2)550≦G′′(1500)≦850Pa
(式3)180≦η*(1500)≦270Pa・s
(G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、η*:複素粘性率)
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分、DEGおよび耐熱性パラメータXのいずれか1つでも本範囲よりも高くなると、溶融紡糸する際にこれらを起点とした熱変性が進みやすく、その変性物に起因して糸切れや染め斑が発生しやすい。一方、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分およびDEG量が本範囲より低くなると、本願のポリエステル組成物を繊維とした時に染料に対し充分に染色されず、また染め斑に代表される染色性不良を誘発し本願の目的を達成できない。(式1)〜(式3)で表される溶融粘弾性のうち、(式1)もしくは(式3)の上限を上回る場合、すなわち貯蔵弾性率G′、粘度η*が高すぎる場合、または(式2)の下限を下回る場合、すなわち損失弾性率G′′が低すぎる場合は、ポリマが吐出時の形状変化に追従できず、吐出不良による糸切れが頻発して適正な紡糸性を確保できない他、糸の太細斑につながる結果、染料への染まり方も異なるため、染め斑の原因となる。
逆に(式1)もしくは(式3)の下限を下回る場合、すなわち貯蔵弾性率G′、粘度η*が低すぎる場合、または(式2)の上限を上回る場合、すなわち損失弾性率G′′が高すぎる場合は、吐出後巻き取られる際に張力が充分に伝わらないため糸形状を保持できず、同じく糸切れ不良となることに加え、染料への染まり方も異なるため、染め斑の原因となり本願の目的を達成できない。
耐熱性を確保して熱変性を抑制し、紡糸糸切れを抑制して均一染色性を確保するために更に好ましくは、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.4mol%以上1.9mol%以下、ポリエステル組成物に対するDEGを2.7wt%以上3.3wt%以下含むことが望ましい。また耐熱性パラメータXについては、1.0≦X≦1.35を満足することが望ましく、溶融粘弾性については、それぞれ(式1′)〜(式3′)を満足することが望ましい。
(式1′)80≦G′(1500)≦160Pa
(式2′)650≦G′′(1500)≦800Pa
(式3′)190≦η*(1500)≦260Pa・s
(G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、η*:複素粘性率)
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物に含まれるスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分は公知のものを使用して良い。具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステル等が挙げられ、これらの混合物であっても差し支えないが、染色性の改善効果と入手の容易さから5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジグリコールエステルが好ましい。
本発明のポリエステル組成物の粘弾性特性は、角速度3.14rad/sec,周波数5Hz,285℃において、測定開始後250秒後と1500秒後の粘弾性特性の比が下記(式4)〜(式7)を満たすことが好ましい。
(式4)2.0≦[G′(1500)/G′(250)]≦3.2
(式5)0.8≦[G′′(1500)/G′′(250)]≦1.4
(式6)[tanδ(1500)/tanδ(250)]≦0.55
(式7)0.9≦[η*(1500)/η*(250)]≦1.3
(G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、tanδ:損失弾性率G′′を貯蔵弾性率G′で除した値、η*:複素粘性率)
ここで、tanδは貯蔵弾性率G′と損失弾性率G′′の比であり、ポリマのしなやかさの指標である。tanδがある一定範囲にあることで、ポリマの貯蔵弾性率G′と損失弾性率G′′のバランスがとれ、しなやかなポリマーになることから、紡糸時により一層糸切れしづらくなり、製糸性の向上に寄与する。
1500秒後と250秒後のポリマーの各種粘弾性の比が重要である理由は、紡糸の際にポリマが加熱溶融後、口金から吐出紡糸されるまでの時間(以下、滞留時間と称す)に関連しているためと推定している。250秒はポリマーが加熱され溶融するのに要する時間、1500秒はポリマーが溶融後、口金から吐出される直前までの滞留時間を想定した値である。すなわち式4〜式7は、熱履歴を受ける前と滞留時間中に熱履歴を受けた後で変化するポリマーの粘弾性特性の比の好ましい範囲を規定したものである。
溶融ポリマーの流路においては、配管屈曲部や分岐箇所など、ポリマーが順々に押し出されず、滞留しやすい場所が存在する。そのような箇所を経由、または滞留し滞留時間が長くなっているポリマーと、通常の滞留時間を経たポリマーが混ざり合い口金から吐出される際、それらのポリマの粘弾性の比が式4〜式7に規定する一定の範囲にあることにより、粘弾性の差に起因する吐出の不安定化が起こりにくく、より一層の製糸性向上につながる。
本発明のポリエステル組成物はポリエチレングリコール(以下、PEGと略す)を含有していることが好ましく、その含有量は、前記ポリエステル組成物に対して0.7wt%以上1.3wt%以下であることが好ましい。1.3wt%以下であると、PEGの炭素―酸素結合を起点としたポリマーの熱変性が進みにくいため糸切れや染め斑が一層発生しにくい。一方、0.7wt%以上であるとポリエステル繊維が充分に染色されることに加え、染め斑がなく良好な品質となる。加えて、PEGの有する溶融粘度低下(減粘)効果、および剛直なPET鎖の構造を緩やかにして結合間の回転運動を活発化させる効果を発揮するため、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分がPET主鎖に均一に取り込まれるので、耐熱性が向上して糸切れ性が良好となる。
また、PEGの含有量をスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の含有量で除した値は0.45以上0.70以下が望ましい。PEGの含有量をスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の含有量で除した値がこの範囲にあると、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分がPET鎖に取り込まれ易くなるため、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分が凝集や偏在することないため耐熱性が良好となる。PEGとスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の比が重要である理由は、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の対カチオン(Li,Na,Kなどに代表される金属イオン等)に対してPEGがクラウンエーテル(15−クラウン−6等)に類似の形式で配位して複合体を形成し、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の疎水性環境への溶解度を上げることでPET主鎖への取り込みを促進していると推定している。また、主鎖に取り込まれた後も一定の距離をもって相互作用することにより、エステル結合の切断などの副反応を抑制し、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を起点とする変性を抑制していると推定する。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物に含まれるPEGは、染色性の点から、数平均分子量400〜10000のものが好ましく使用される。より好ましくは分子量600〜5000である。
また、ポリマーを構成するジカルボン酸、ジオールやスルホン酸基を有するイソフタル酸成分などの任意の成分、および任意の添加物は廃糖蜜やサトウキビ等の石油由来以外の原料(以下、バイオ由来原料と略す)から製造したものでもよい。ここで、バイオ由来原料の使用率に制約はなく、一部であっても全部であってもよい。
その他、本発明の目的を損なわない範囲で公知の添加物を含むことができる。例えば、ソングノックス1010などに代表される抗酸化剤、酸化チタンに代表される艶消し・防透け剤、EAH(テトラエチルアンモニウムヒドロキシド)や水酸化カリウムなどに代表される低DEG化剤などである。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物は、具体的には次のように製造することができる。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物は、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とエチレングリコールを、エステル化反応もしくはエステル交換反応を行い、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.2〜2.2mol%となるよう添加し、重縮合触媒の存在下で重縮合することで製造することができる。
本発明において用いられるエステル交換触媒は公知のものを用いることができる。例えば、コバルト、マグネシウム、リチウム、マンガン、チタンの酸化物や酢酸塩などが好ましく使用される。これらは2種以上を併用してもよく、単一で用いても何ら差し支えない。
本発明における重縮合触媒は、ポリエステルの製造に一般的に用いられるアンチモン、ゲルマニウム、チタン、アルミニウムなどの金属化合物が使用できる。これらは2種以上を併用してもよく、単一で用いても何ら差し支えない。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物の製造方法としてのエステル化反応は、予めエステル反応槽に低重合体を存在させた状態で、エチレングリコールやテレフタル酸のmol比率が1.05〜1.50のスラリーをエステル反応槽に連続的に供給しながらエステル反応を行うことができる。または、予めエステル反応槽に低重合体を存在させた状態で、エステル化反応開始前にエチレングリコールとテレフタル酸をエステル反応槽に全量添加した後、エステル化反応を行っても良い。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物の製造方法としてのエステル交換反応は、そのエチレングリコールとテレフタル酸ジメチルのmol比は1.5〜2.5程度であることがエステル交換反応速度やDEGなどの副生成量を適度にコントロールすることができるため好ましい。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物の製造方法として、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の分散性を事前に向上させておくことが有効である。スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分は自己凝集しやすいため、そのまま反応させると凝集したままの状態が維持されてポリマー主鎖に取り込まれず未反応のものや片末端だけ反応したものなど、ポリマー中の組成分布に偏り(部分的なブロック共重合性)が生じることがあり、それらの部分を起点とした熱変性が進みやすいためである。
分散性を向上させるには、予めスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分濃度が10〜50wt%になるようジオール成分で希釈し、本スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分/ジオール混合液に対し2.5kJ/秒以上100kJ/秒以下の仕事率を与えて分散させることが望ましい。
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分のジオール成分に対する希釈比率は、反応系へ添加する際のハンドリング性の観点からはスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の比率が低い方が望ましいが、反応系に添加する際の反応系の温度低下抑制や、製造コストの観点からは比率は高い方が望ましい。これらを満たすスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分とジオール成分との比率が、10〜50wt%である。
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分へ仕事率を与える方法は特に限定されないが、例示すると循環型分散、超音波分散、混合分散である。これらは単独で用いてもよいし、2つ以上組み合わせても問題ない。それぞれの場合の仕事率の求め方は、循環型分散の場合は循環圧力に循環流量を乗ずることで得られる。超音波分散の場合は超音波発生機のワット数として、混合分散の場合は混合機(例示すると撹拌機、ホモミキサー等が挙げられる)のワット数として得られる。
特に好ましい分散方法は、気体を巻き込まないという点から循環型分散である。より具体的には、その液循環流路に抵抗板(バッフルプレート)や金網、フィルターなどの抵抗を設ける方法や、流路を部分的に絞る等により仕事率を与え分散させる方法が採用可能であるが、設備の仕様変更の容易さや、メンテナンス性の観点から金網やフィルターが好ましい。
金網やフィルターの種類、枚数、素材、目開きは特に限定されないが、効率よく仕事率を与える観点およびフィルター強度の観点から、目開きは30μm以下、好ましくは15μm以下である。これは、フィルターにより実質的に急激に流路が狭まることで、貯蔵槽での撹拌よりも、還流液に強力な剪断力を与えることができ、その結果十分な分散状態を達成できるためと考えている。なおこの場合の仕事率は、金網への入り圧力に循環流量を乗することで得られる。
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分溶液の温度は、その粘度を低下させてハンドリング性を容易にする観点から、40℃〜110℃が好ましい。
また均一な分散性を保持するため、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の添加開始から添加完了後少なくとも15分は、撹拌速度60rpm以上を保持することが望ましい。60rpm以上であれば、撹拌速度は一定であっても変化させてもよい。
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の添加タイミングは、エステル反応率が95%以上であることが好ましい。反応率がこれよりも高いとPET主鎖に均一に取り込まれにくく、スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分同士の凝集や自己重合したりして、PET鎖に偏在することにより耐熱性が低下しやすくなる。逆に反応率がこれよりも低い場合、DEG副生量が増加し染色性にやや劣る。
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分に仕事率を与えて分散させることにより溶融時の耐熱性を向上できる理由は、スルホン酸基を有するイソフタル酸成分がポリエステル主鎖に均一に共重合され、局所的に共重合されること(部分的なブロック共重合性)や、共重合されずに遊離状態で存在することがないためと考えている。
スルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分はポリマー加熱溶融時の耐熱性に大きく寄与しており、凝集や偏在が見られる場合はその部分を起点とした変性が進みやすいが、本発明では仕事率を与えて微分散させた後に反応に供するため、主鎖に均一に共重合される結果、熱変性が抑制されるものと推定している。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物に含まれるジエチレングリコールは、反応中に副生するもののみでもよいし、不足する場合は別途添加しても構わない。添加量、添加方法および添加タイミングに制約はなく、例えば添加回数は1度であっても複数回に分けても問題ない。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物の製造方法として、ポリエチレングリコールの添加時期は、ポリエチレングリコールが受ける熱履歴を最小限とするために重合反応を開始する直前が好ましい。
本発明のカチオン可染性ポリエステル組成物を製造するためのエステル化および重縮合反応装置は通常用いられる反応装置であればどのような装置であっても構わない。それぞれの反応装置は1つずつでも良いし、いずれかもしくはいずれもが複数あっても構わない。
以下実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下の方法で測定した。
(1)耐熱性パラメータX(熱処理前後のFT−IR吸収ピークの測定)
各試料内部からサンプリングを行い、顕微赤外分光装置(FT−IR・MICROSCOPE:NicoletContinuumII(ThermoFisher scientific製顕微FT−IR))にて、熱処理前、および窒素雰囲気下285℃にて5時間加熱処理後のポリマーのFT−IRを測定し、それぞれの1610cm−1および1500cm−1±10cm−1の吸収強度を求めた。なお測定バラツキを極小化するため、同一サンプルを5回測定し、その相加平均を使用した。
(2)ポリエステル中のスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の定量
ポリマー中のS元素含有量を(株)リガク製蛍光X線分析装置(ZSX−100e)で分析し、5−ナトリウムスルホイソフタル酸量に換算した。
(3)ポリエステル中のポリエチレングリコールの定量および数平均分子量測定
ポリエステル中のポリエチレングリコール含有量は、ポリマーをモノメタノールアミンで加水分解後、カリボール(テトラフェニルホウ酸ナトリウム)にて滴定し定量した。ポリエチレングリコールの数平均分子量は、ポリマーを加水分解した後、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)にて測定した。
(4)ポリエステルのジエチレングリコール(DEG)含有量
ポリマーをモノメタノールアミンで加水分解後、1,6−ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積比から求めた。
(5)ポリエステルの固有粘度(IV)
試料をオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルト粘度計を用いて25℃で測定した。
(6)ポリエステルの色調(b値)
色差計(スガ試験機製SMカラーコンピュータ、型式:SM−T45)を用い、ハンター値(b値)として測定した。
(7)紡糸時糸切れ
紡糸したポリマー量に対し、糸切れした回数(回/トン)をカウントし、以下の基準で判定した。
◎(実用可):1.0回/トン以内
○(実用可):1.0回/トンより大きく1.5回/トン以内
△(実用不可):1.5回/トンより大きく3.0回/トン以内
×(実用不可):3.0回/トンより大きい。
(8)染め斑
2本合糸(150dtex)にて22ゲージで筒編み地を作製し、この筒編み地をC.I.Basic Blue66の5%owf、酢酸0.5ml/l、酢酸ナトリウム0.2g/Lからなる、浴比1:100の95℃熱水溶液中で60分間染色を行い、前記(6)の測定方法で色調L値を求め、染色サンプルの色調Lの平均値との比較により以下の基準で判定した。
◎(実用可):色調Lの平均値との差が±0.2以内
○(実用可):色調Lの平均値との差が±0.2より大きく±0.3以内
△(実用不可):色調Lの平均値との差が±0.3より大きく±0.5以内
×(実用不可):色調Lの平均値との差が±0.5より大きい。
(9)溶融粘弾性(G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、tanδ:損失弾性率G′′を貯蔵弾性率G′で除した値、η*:複素粘性率)
測定には株式会社UBM製の動的粘弾性測定装置(型式:RHEOSOL−G3000)を用いた。測定部が所定温度である285℃になってから20分待機して温度を安定化させた後、測定部を開けてサンプル0.7gをセットした。セット後、測定部を閉じて温度が285℃に回復した後、更に2分経過の後にサンプルを挟むプレート間隔を1mmに調節した。その状態で3分待機した後、下記の条件で測定した。なお、測定開始250秒後と1500秒後のデータは、一度の測定で採取した。
測定角速度:3.14rad/sec
測定周波数:5Hz
測定温度:285℃
測定雰囲気:窒素下 。
[参考例]
(エステル交換反応)
精留塔を備えた反応槽に、エチレングリコール/テレフタル酸ジメチルのmol比率が2.0となるように、エチレングリコールとテレフタル酸ジメチルを添加し、エステル交換触媒として酢酸コバルト・4水和物を得られる低重合体中に300ppm含有するよう添加した。その後、反応槽の温度を140℃から235℃まで昇温させながら、メタノールを留去させてエステル交換反応を行いビスヒドロキシエチルテレフタレートの低重合体を得た。この時のエステル交換反応率は98%だった。
(5−ナトリウムスルホイソフタル酸のエチレングリコール分散液の調製)
5−ナトリウムスルホイソフタル酸の両末端がエチレングリコールに置換されたもの(以下、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジEGエステルと称す)の40wt%エチレングリコール溶液を、90℃に加熱し、目開き10μmの焼結繊維金属製不織布フィルター1枚を設置した配管径43mmの流路を循環させた。このときの循環圧力(フィルターの一次側の圧力)は0.2MPaであり、循環流量は450kg/hであった。この仕事率は、循環圧力(0.2MPa)に循環流量(450kg/h)を乗し、単位をkJに揃えるための換算(3600で除し、1000を乗する)により25kJ/sとなる。
[実施例1]
(重合方法)
ビスヒドロキシエチルテレフタレートの低重合体が1750kg存在しているエステル反応槽に、EAHの20%水溶液を低重合体に対し700ppm添加した後、エチレングリコール/テレフタル酸のmol比が1.15のスラリーを3時間かけて連続して供給し、精留塔上段からエステル反応時に生じる水のみを留去させ、反応槽温度を235〜245℃に保ちながら、エステル化反応率が98%となるまで反応を行った。次に、予め循環させておいた5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジEGエステル分散液を得られるポリエステルに対して1.6mol%と酢酸リチウム・2水和物を得られるポリエステルに対し0.30mol%を予め30分間混合し、エステル反応槽に約10分かけて添加し、攪拌速度100rpmで約30分間加熱混合した。このとき得られた5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジEGを含む低重合体は3185kgだった。このうち、1435kgを10ミクロンのフィルターで濾過しながら重合反応槽へ移液した。
重合反応槽へ移液された低重合体に、シリコーン化合物(製品名:TSF−433、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社)を得られるポリエステルに対し50ppmとなるように添加し、添加から1分後にリン酸を得られるポリエステルに対し0.040mol%になるように添加した。リン酸添加から7分後に、ソングノックス1010を得られるポリエステルに対し900ppm、酢酸コバルトを得られるポリエステルに対してコバルト換算で60ppm、三酸化アンチモンを得られるポリエステルに対しアンチモン元素換算で225ppmとなるように添加した。添加終了から3分後に数平均分子量1000のポリエチレングリコールを得られるポリエステル組成物に対して1.0wt%となるように添加し、添加終了から3分後に二酸化チタン(二酸化チタンのエチレングリコールスラリー、エチレングリコール中の酸化チタン濃度13.0wt%)を得られるポリエステルに対し0.07wt%となるように添加した。添加終了後、2分経過した後に、常圧から0.1kPaになるまで45分かけて減圧を行い、235℃から290℃まで昇温後、0.1kPa以下の高真空を維持して、固有粘度(IV)が0.69dl/gになるまで重縮合反応を行った。得られたポリエステルの色調b値は11.9、DEG量は3.0wt%、ポリエチレングリコールの数平均分子量は950であり、品質に優れていた。
(紡糸方法)
このポリエステルを乾燥後紡糸に供し、紡糸温度285℃にて溶融し、直径95mmの15ミクロン不織布フィルターで濾過しながら吐出量38g/分で、吐出口径0.17mm、孔深度0.45mmの丸孔を192個有する口金ノズルより吐出させ、吐出後の糸条を冷却チムニーによって冷却・固化し、口金下2mの位置で給油装置にて集束させながら油剤を付与し(純油分として繊維重量に対して1wt%塗布)、交絡ノズルにて予備交絡を施し、周速度2000m/分にて巻き取り、100dtex、96フィラメントの未延伸糸を11kg巻いたチーズパッケージとした。このときの紡糸糸切れは0.7回/トンであり、安定操業を行うことができた。
(延伸仮撚り方法)
得られた未延伸糸を、ディスク仮撚り機を用いて延伸倍率1.5倍で延伸仮撚り加工を行い、66dtex、96フィラメントの加工糸を得た。
(染色加工方法)
この得られた加工糸を用いて筒編み地を作製し、上記(8)「染め斑」の方法で染色加工した。得られた筒編み地のL値の平均値との差は±0.2以内であり、均一に染色されていた。
[実施例2〜14]
表1、2に記載の条件で行う以外は実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、製糸評価を行った。表2に示すとおり、ポリエステル組成物の品質は良好であり、製糸評価も良好な結果だった。
Figure 2018123309
Figure 2018123309
[比較例1〜9]
表3,4に記載の条件で行う以外は、実施例1と同様の方法でポリエステルを製造し、製糸評価を行ったが、いずれも紡糸糸切れおよび染め斑のうち少なくとも1つの点で劣っていた。
Figure 2018123309
Figure 2018123309

Claims (7)

  1. 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.2mol%以上2.2mol%以下含有し、ポリエステル組成物に対するジエチレングリコールの含有量が2.5wt%以上3.8wt%以下であり、耐熱性パラメータXが、1.0≦X≦1.4を満足することを特徴とする耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物。
    Figure 2018123309
  2. ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールの含有量が0.7wt%以上1.3wt%以下であって、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコール重量を、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の重量で除した値が0.45以上であることを特徴とする、請求項1に記載の耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物。
  3. 請求項1または2に記載の耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物からなる繊維。
  4. 主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステルであって、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分を1.2mol%以上2.2mol%以下含有し、ポリエステル組成物に対するジエチレングリコールの含有量が2.5wt%以上3.8wt%以下であり、角速度3.14rad/sec,周波数5Hz,285℃において、測定開始後1500秒後の粘弾性特性が下記(式1)〜(式3)を満たす耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物。
    (式1)70≦G′(1500)≦200Pa
    (式2)550≦G′′(1500)≦850Pa
    (式3)180≦η*(1500)≦270Pa・s
    (G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、η*:複素粘性率)
  5. 角速度3.14rad/sec,周波数5Hz,285℃において、測定開始後250秒後と1500秒後の粘弾性特性の比が下記(式4)〜(式7)を満たす請求項4に記載の耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物。
    (式4)2.0≦[G′(1500)/G′(250)]≦3.2
    (式5)0.8≦[G′′(1500)/G′′(250)]≦1.4
    (式6)[tanδ(1500)/tanδ(250)]≦0.55
    (式7)0.9≦[η*(1500)/η*(250)]≦1.3
    (G′:貯蔵弾性率、G′′:損失弾性率、tanδ:損失弾性率G′′を貯蔵弾性率G′で除した値、η*:複素粘性率)
  6. ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコールの含有量が0.7wt%以上1.3wt%以下であって、ポリエステル組成物に対するポリエチレングリコール重量を、全ジカルボン酸成分に対するスルホン酸塩基を有するイソフタル酸成分の重量で除した値が0.45以上であることを特徴とする、請求項4または5に記載の耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物。
  7. 請求項4〜6のいずれか1項に記載の耐熱性カチオン可染性ポリエステル組成物からなる繊維。
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