JP2018120186A - 半導電性部材、中間転写体、画像形成装置及び転写ユニット - Google Patents

半導電性部材、中間転写体、画像形成装置及び転写ユニット Download PDF

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【課題】体積抵抗率の電界依存性が抑制された半導電性部材を提供すること。【解決手段】イミド系樹脂と、ポリアニリンと、尿素化合物と、を含有するイミド系樹脂層、を有する半導電性部材。【選択図】図1

Description

本発明は、半導電性部材、中間転写体、画像形成装置及び転写ユニットに関する。
電子写真方式の画像形成装置が備える中間転写体に、イミド系樹脂層を有する半導電性部材が用いられることがある。半導電性部材として、例えば下記が知られている。
特許文献1には、導電状態にされたポリアニリンと、ポリアミドイミド樹脂と、を含み、波長520nmの光に対する光透過率λgと波長670nmの光に対する光透過率λrとの比λg/λrが1以上である半導電性部材が開示されている。
特許文献2には、ポリアミドイミド樹脂と、高分子分散剤と、導電性微粒子とが含有されてなる半導電性ポリアミドイミドベルトが開示されている。
特許文献3には、リン酸エステルと、ポリアミドイミドと、導電性成分とで構成される中間転写部材が開示されている。
特開2008−033203号公報 特開2007−219137号公報 特開2012−048234号公報
本発明は、イミド系樹脂層が尿素化合物を含有せずN−メチル−2−ピロリドンを含有する場合に比べて、体積抵抗率の電界依存性が抑制された半導電性部材を提供することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
請求項1に係る発明は、
イミド系樹脂と、ポリアニリンと、尿素化合物と、を含有するイミド系樹脂層、
を有する半導電性部材。
請求項2に係る発明は、
前記イミド系樹脂層における尿素化合物の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載の半導電性部材。
請求項3に係る発明は、
前記尿素化合物が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の半導電性部材。

一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、nは2以上5以下の整数を表す。
一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表す。
請求項4に係る発明は、
前記尿素化合物が、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導電性部材。
請求項5に係る発明は、
前記イミド系樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリエーテルイミドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導電性部材。
請求項6に係る発明は、
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導電性部材で構成された、中間転写体。
請求項7に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、
請求項6に記載の中間転写体、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段、及び前記中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段を有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
を備える画像形成装置。
請求項8に係る発明は、
請求項6に記載の中間転写体と、
像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
前記中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、
を備える転写ユニット。
請求項1、2、3、4又は5に記載の発明によれば、イミド系樹脂層が尿素化合物を含有せずN−メチル−2−ピロリドンを含有する場合に比べて、体積抵抗率の電界依存性が抑制された半導電性部材が提供される。
請求項6に記載の発明によれば、イミド系樹脂層が尿素化合物を含有せずN−メチル−2−ピロリドンを含有する場合に比べて、体積抵抗率の電界依存性が抑制された中間転写体が提供される。
請求項7に記載の発明によれば、中間転写体のイミド系樹脂層が尿素化合物を含有せずN−メチル−2−ピロリドンを含有する場合に比べて、体積抵抗率の電界依存性が抑制された中間転写体を備える画像形成装置が提供される。
請求項8に記載の発明によれば、中間転写体のイミド系樹脂層が尿素化合物を含有せずN−メチル−2−ピロリドンを含有する場合に比べて、体積抵抗率の電界依存性が抑制された中間転写体を備える転写ユニットが提供される。
本実施形態に係る半導電性部材の一例を示す概略斜視図である。 本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。 ゴースト評価の基準を示す図である。
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
<半導電性部材、中間転写体>
本実施形態に係る半導電性部材は、イミド系樹脂と、ポリアニリンと、尿素化合物と、を含有するイミド系樹脂層を有する。
本実施形態に係る半導電性部材について「半導電性」とは、部材の体積抵抗率が1×10Ωcm以上1×1013Ωcm以下であることを意味する。
図1は、本実施形態に係る半導電性部材の一例を示す概略斜視図である。図1に図示された半導電性部材50は、無端のベルト状部材である。本実施形態に係る半導電性部材は、これに限られず、ロール状、シート状であってもよい。
図1に図示された半導電性部材50は、イミド系樹脂層52を有する。イミド系樹脂層52は、イミド系樹脂と、ポリアニリンと、尿素化合物とを含有する。本実施形態に係る半導電性部材は、イミド系樹脂層以外の層を有していてもよい。例えば、イミド系樹脂層上にフッ素系樹脂層を有していてもよく、イミド系樹脂層下に金属層又はイミド系樹脂以外の樹脂を主成分とする層を有していてもよい。
本実施形態に係る半導電性部材において、イミド系樹脂層に含まれる尿素化合物は、イミド系樹脂層の形成に用いた塗布液の溶媒であり、形成されたイミド系樹脂層に残留した化学物質である。塗布液の溶媒である尿素化合物は、イミド系樹脂層を形成するための加熱の際にその大部分が揮発するが、形成されたイミド系樹脂層に検出可能な量が残留する。
本実施形態に係る半導電性部材は、イミド系樹脂層が尿素化合物を含有せずN−メチル−2−ピロリドンを含有する場合に比べて、体積抵抗率の電界依存性が抑制される。その機序としては、下記が推測される。
イミド系樹脂層に導電性を付与するための導電剤としてカーボンブラック等の粒状物が用いられることがあるが、導電剤が粒状物であると粒状物間のホッピング伝導で導電される故、体積抵抗率の電界依存性が大きい。具体的には、電界が弱いほど体積抵抗率が大きくなり、電界が強いほど体積抵抗率が小さくなり、その差が大きくなる。
これに対して、イミド系樹脂層に導電性を付与するための導電剤としてポリアニリンを用いると、イミド系樹脂層に相溶した状態のポリアニリンのポリマーを伝って電子伝導される故、体積抵抗率の電界依存性は小さくなる。
しかし、ポリアニリンを用いても、体積抵抗率の電界依存性がある程度は発生する。この理由としては、イミド系樹脂層内にポリアニリン凝集体が形成されており、ポリアニリン凝集体間のホッピング伝導が起り、体積抵抗率の電界依存性が生じると推測される。
イミド系樹脂層内にポリアニリン凝集体が形成される機序としては、下記が考えられる。
従来、イミド系樹脂層を形成する塗布液の溶媒としては、イミド系樹脂の溶解性に優れるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)が一般的に用いられている。イミド系樹脂層を形成する塗布液には、ポリアニリンをドープ状態にするためにポリアニリンのドーパントも含まれているところ、ポリアニリンはドープ状態になるにつれて親水性の傾向を示すので、NMPに対する溶解性が低下し一部が凝集し、イミド系樹脂層内にポリアニリン凝集体が形成されることになると推測される。
上記事象に対して、本実施形態は、イミド系樹脂層を形成する塗布液の溶媒として、尿素化合物を用いる。尿素化合物が有する尿素結合の酸素原子は、NMPが有するアミド結合の酸素原子に比べて、より負に分極しており、ドープ状態のポリアニリンに配位しやすく、凝集体の発生を抑制すると推測される。それ故、形成されたイミド系樹脂層は、ポリアニリン凝集体が低減されており、ホッピング伝導が抑制され、体積抵抗率の電界依存性が抑制されると考えられる。
本実施形態に係る半導電性部材は、画像形成装置における中間転写体として好適である。体積抵抗率の電界依存性の強い中間転写体は、二次転写電圧が印加された際に過電流が厚さ方向に突き抜けて、画像に微小な白点を発生させることがある。また、体積抵抗率の電界依存性の強い中間転写体は、二次転写後の電荷が減衰されにくい故、ゴースト(前の画像が次の画像に現れる現象)を発生させやすい。本実施形態に係る半導電性部材を中間転写体に適用すると、体積抵抗率の電界依存性が抑制されていることにより、微小な白点及びゴーストが抑制される。
本実施形態に係る半導電性部材を中間転写体として用いる場合、例えば、図1に図示された半導電性部材50のように無端ベルトにして適用する。
以下、イミド系樹脂層に含まれる成分の詳細を説明する。
[イミド系樹脂]
イミド系樹脂とは、イミド結合を有する構成単位を含む樹脂である。
イミド系樹脂の種類は特に限定されるものではない。イミド系樹脂としては、例えば、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドが挙げられる。
ポリイミドとしては、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの重合体であるポリアミド酸(ポリアミック酸)のイミド化物が挙げられる。
テトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン酸二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、エチレンテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、1,5−ジアミノナフタレン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、3,3’−ジメチル4,4’−ビフェニルジアミン、ベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,4−ビス(β−アミノ第三ブチル)トルエン、ビス(p−β−アミノ−第三ブチルフェニル)エーテル、ビス(p−β−メチル−δ−アミノフェニル)ベンゼン、ビス−p−(1,1−ジメチル−5−アミノ−ペンチル)ベンゼン、1−イソプロピル−2,4−m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、ジ(p−アミノシクロヘキシル)メタン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、2,11−ジアミノドデカン、1,2−ビス−3−アミノプロボキシエタン、2,2−ジメチルプロピレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、2,17−ジアミノエイコサデカン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,10−ジアミノ−1,10−ジメチルデカン、12−ジアミノオクタデカン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、ピペラジン等が挙げられる。
ポリアミドイミドとしては、酸無水物基を有する3価のカルボン酸(トリカルボン酸)と、イソシアネート又はジアミンとの重合体が挙げられる。
トリカルボン酸としては、トリメリット酸無水物及びその誘導体が好ましい。トリカルボン酸の他に、テトラカルボン酸二無水物、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸などを併用してもよい。
イソシアネートとしては、3,3'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジメチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、ビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、ビフェニル−3,3'−ジイソシアネート、ビフェニル−3,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジエチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジエチルビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、3,3'−ジメトキシビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、2,2'−ジメトキシビフェニル−4,4'−ジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、ナフタレン−2,6−ジイソシアネート等が挙げられる。ジアミンとしては、上記のイソシアネートと同様の構造を有し、イソシアナト基の代わりにアミノ基を有する化合物が挙げられる。
ポリエーテルイミドとしては、芳香族ビス(エーテルジカルボン)酸とジアミンとの重合体が挙げられる。芳香族ビス(エーテルジカルボン)酸としては、2,2−ビス[4−(2,3−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。ジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、メタフェニレンジアミン等が挙げられる。
イミド系樹脂の重量平均分子量は、ポリアニリンとの相溶性、イミド系樹脂層の成形性、半導電性部材の耐屈曲性のバランスの観点から、10000以上45000以下が好ましい。
[ポリアニリン]
本実施形態に係る半導電性部材は、イミド系樹脂層に導電剤としてポリアニリンを含有する。
ポリアニリンは、導電性およびイミド系樹脂との相溶性の観点から、重量平均分子量が5000以上50000以下であることが好ましく、5000以上20000以下であることがより好ましい。
ポリアニリンはドーパントによりドープされた状態であることが好ましい。ドーパントとしては、ドデシルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
イミド系樹脂層におけるポリアニリンの含有量は、イミド系樹脂100質量部に対して、10質量部以上30質量部以下が好ましく、20質量部以上30質量部以下がより好ましい。
[尿素化合物]
尿素化合物とは、分子内に尿素結合「N−C(=O)−N」を有する化学物質である。イミド系樹脂層に含有される尿素化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、nは2以上5以下の整数を表す。炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基は、鎖式でも環式でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基のいずれでもよい。nは2又は3が好ましい。
一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表す。炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基は、鎖式でも環式でもよく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基のいずれでもよい。
尿素化合物としては、例えば、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素、1,3−ジイソプロピル尿素、テトラメチル尿素、テトラエチル尿素、テトラプロピル尿素、テトライソプロピル尿素、2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、N,N−ジメチルプロピレン尿素等が挙げられる。尿素化合物としては、ドープされた状態のポリアニリンの凝集を抑制する観点から、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが特に好ましい。
イミド系樹脂層における尿素化合物の含有量(残留量)は、0.1質量%以上3質量%以下が好ましい。尿素化合物の含有量(残留量)が0.1質量%以上であると、ドープされた状態のポリアニリンの凝集を抑制する効果が得られやすい。本観点からは、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。一方、尿素化合物の含有量(残留量)が3質量%以下であると、イミド系樹脂層の耐久性や導電性に影響を及ぼしにくい。本観点からは、2質量%以下がより好ましく、1.5質量%以下が更に好ましい。
イミド系樹脂層に含まれる尿素化合物の含有量(残留量)は、イミド系樹脂層の一部を測定用試料として採取し、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC−MS)等で測定する。
[その他の成分]
イミド系樹脂層には、イミド系樹脂以外の樹脂が含まれていてもよい。ただし、イミド系樹脂が、イミド系樹脂層に含まれる樹脂全体の80質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、樹脂は実質的にイミド系樹脂のみであることが更に好ましい。イミド系樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニルサルホン、ポリサルフォン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリカーボネート等が挙げられる。
イミド系樹脂層に含まれることがある添加剤としては、例えば、ポリアニリン以外の導電剤、充填剤、イミド化反応促進のための触媒、製膜品質向上のためのレベリング剤、離型性を向上させるための離型性材料(例えば、PTFE、PFA、FEP等のフッ素樹脂粒子)等が挙げられる。
<半導電性部材の製造方法>
本実施形態に係る半導電性部材は、イミド系樹脂層を形成するための塗布液を用いて製造する。具体的には、例えば、下記の製造方法で製造する。
イミド系樹脂又はその前駆体と、ポリアニリンと、ポリアニリンのドーパントとが、尿素化合物を含む溶媒に溶解した塗布液を準備する工程と、
塗布液を芯体に塗布して芯体上に塗膜を形成する工程と、
塗膜を乾燥させる工程と、
乾燥させた塗膜を加熱してイミド系樹脂層とする工程と、
を有する半導電性部材の製造方法。
以下、各工程の詳細を説明する。
[塗布液準備工程]
塗布液準備工程は、イミド系樹脂又はその前駆体と、ポリアニリンと、ポリアニリンのドーパントとが、尿素化合物を含む溶媒に溶解した塗布液を準備する工程である。イミド系樹脂、ポリアニリン、ポリアニリンのドーパント及び尿素化合物は、前述のとおりである。イミド系樹脂層に含まれる樹脂がイミド樹脂である場合は、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)を用いる。
塗布液の溶媒は、少なくとも尿素化合物を含む溶媒であり、尿素化合物以外の溶剤をさらに含んでいてもよい。ただし、尿素化合物が、塗布液の溶媒の80質量%以上を占めることが好ましく、90質量%以上を占めることがより好ましく、溶媒は実質的に尿素化合物のみであることが更に好ましい。尿素化合物以外の溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドンが挙げられる。
塗布液の調製方法は特に限定されるものではない。例えば、有機溶剤である尿素化合物に、イミド系樹脂又はその前駆体、ポリアニリン、及びポリアニリンのドーパントを混合する。材料の混合順は特に限定されるものではないが、ドープされた状態のポリアニリンの凝集を抑制する観点から、下記が望ましい。
イミド系樹脂又はその前駆体が尿素化合物に溶解した樹脂溶液と、
ポリアニリンが尿素化合物に溶解したポリアニリン溶液と、
ポリアニリンのドーパントが尿素化合物に溶解したドーパント溶液と、をそれぞれ準備し、樹脂溶液とポリアニリン溶液とを混合し、さらにドーパント溶液を混合し、塗布液を調製する。
樹脂溶液におけるイミド系樹脂又はその前駆体の濃度は、例えば、10質量%以上20質量%以下であり、13質量%以上18質量%以下が好ましい。
ポリアニリン溶液におけるポリアニリンの濃度は、例えば、0.5質量%以上3質量%以下であり、1質量%以上2質量%以下が好ましい。
ドーパント溶液におけるドーパントの濃度は、例えば、30質量%以上70質量%以下であり、40質量%以上50質量%以下が好ましい。
塗布液におけるイミド系樹脂又はその前駆体の濃度は、例えば、5質量%以上35質量%以下であり、9質量%以上30質量%以下が好ましい。
[塗布工程]
塗布工程は、塗布液を芯体に塗布して芯体上に塗膜を形成する工程である。
芯体の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の金属;フッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性を有する材料で表面を被覆した金属;クロムやニッケルでめっきを施した金属;が挙げられる。
芯体の形状及び大きさは、製造する半導電性部材の形状及び大きさに応じて選択すればよい。芯体の形状としては、例えば、円筒状、円柱状又は板状が挙げられる。
芯体に塗布液を塗布する方法は特に制限されない。例えば、らせん塗布法(フローコート法)、スピンコート法、ブレード塗布法、ロール塗布法等が挙げられ、芯体の形状及び大きさに応じて選択される。
[乾燥工程]
乾燥工程は、芯体上に形成された塗膜を乾燥させる工程である。乾燥工程は、塗布液の組成に応じて雰囲気温度及び時間を設定して行われる。
乾燥工程は、塗膜に含まれる溶剤を気化して除去するために、加熱を行う工程とすることが望ましい。例えば、100℃以上200℃以下程度で20分以上60分以下の範囲で加熱する。温度は、段階的に上昇させてもよいし、一定速度で上昇させてもよい。乾燥時間は、雰囲気温度が高いほど短くてよい。
塗膜中の溶剤量が少なくなると、塗膜に割れが生じることがあるので、乾燥工程では、ある程度(例えば、当初の5質量%以上40質量%以下程度)の溶剤は残留させておくことが望ましい。
芯体が円筒状又は円柱状である場合、乾燥は、乾燥前の塗膜を構成する塗布液が芯体の一方向に垂れて厚さにムラが生じることを抑制するため、芯体の軸方向を水平方向にした状態で、芯体をゆっくりと(例えば5rpm以上60rpm以下の回転速度で)回転させながら行うことが望ましい。
[加熱工程]
加熱工程は、乾燥させた塗膜を加熱してイミド系樹脂層とする工程である。
加熱の温度及び時間は、塗布液に含まれるイミド系樹脂又はその前駆体の種類に応じて設定される。
ポリアミドイミド又はポリエーテルイミドの場合、例えば、該樹脂のガラス転移温度(Tg)よりも高い温度(好ましくはTgよりも10℃以上50℃以下高い温度)で加熱することがよい。加熱時間としては、例えば、30分以上150分以下が挙げられる。温度は、段階的に上昇させてもよいし、一定速度で上昇させてもよい。
ポリイミド前駆体の場合、例えば、200℃以上450℃以下、望ましくは250℃以上400℃以下に加熱することにより、ポリイミド前駆体をイミド化させる。加熱時間としては、例えば、30分以上180分以下が挙げられる。温度は、段階的に上昇させてもよいし、一定速度で上昇させてもよい。
乾燥させた塗膜を加熱することにより、芯体上にイミド系樹脂層が形成される。冷却後、イミド系樹脂層は芯体から外され、その端部を切断されたり、目的の寸法に裁断されたりして、半導電性部材となる。
上記工程を経て製造されるイミド系樹脂層の厚さは用途に応じて設定される。例えば、半導電性部材を画像形成装置の中間転写体として用いる場合は、イミド系樹脂層の厚さとしては、50μm以上100μm以下の範囲が挙げられる。イミド系樹脂層を厚くする場合は、例えば、塗布工程と乾燥工程をそれぞれ2回以上交互に繰り返した後、加熱工程を行ってもよい。
本実施形態に係る半導電性部材の用途としては、画像形成装置におけるベルト部材が挙げられる。具体的には、例えば、像保持体上のトナー像が一次転写される中間転写ベルト;記録媒体の裏面(非画像形成面)に接して記録媒体を搬送すると共に二次転写のため電圧を印加する二次転写ベルト;記録媒体の裏面(非画像形成面)に接して記録媒体を搬送すると共に像保持体上のトナー像を記録媒体表面に直接転写させるための電圧を印加する転写ベルト;等として用いられる。
本実施形態に係る半導電性部材は、画像形成装置における中間転写体として好適である。以下に、本実施形態に係る半導電性部材を中間転写体として備える画像形成装置及びその転写ユニットについて説明する。
<画像形成装置、転写ユニット>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、トナーを含む現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、中間転写体を有し、像保持体の表面に形成されたトナー像を、中間転写体を介して記録媒体の表面に転写する転写手段と、を備える。そして、中間転写体として、本実施形態に係る半導電性部材が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置は、中間転写方式の装置である。転写手段は、例えば、中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を備える転写ユニットとして構成される。
本実施形態に係る画像形成装置は、記録媒体の表面に転写されたトナー像を定着する定着手段;トナー像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングする像保持体クリーニング手段;トナー像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段;等をさらに備えていてもよい。本実施形態に係る画像形成装置は、現像手段を含む部分が、画像形成装置に対して着脱されるカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を説明するが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図2に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に対して着脱されるプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写ベルトクリーニング装置30が備えられている。
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置(現像手段の一例)4Y、4M、4C、4Kのそれぞれには、トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kに収められたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーの供給がなされる。
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエローの画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール(一次転写手段の一例)5Y、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(像保持体クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。
二次転写ロール(二次転写手段の一例)26は、中間転写ベルト20の外側に配置され、支持ロール24に対向した位置に設けられている。二次転写ロール26には、二次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)が接続されている。
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が−600V乃至−800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10−6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー像として現像され可視化される。
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
感光体1Y上のイエローのトナー像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー像に作用し、感光体1Y上のトナー像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
第2ユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、支持ロール24と、二次転写ロール26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(−)と同極性の(−)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
トナー像が転写された記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
トナー像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
<無端ベルトの作製>
[実施例1]
−塗布液の調製−
樹脂溶液として、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(DMI)にポリアミドイミド(商品名:HPC−9000F−8H、日立化成製)が溶解した溶液(濃度17質量%)を準備した。
ポリアニリン溶液として、DMIにポリアニリン未ドープ酸化体(日本カーリット製)が溶解した溶液(濃度2質量%)を準備した。
ドーパント溶液として、DMIにドデシルベンゼンスルホン酸(東京化成工業)が溶解した溶液(濃度50質量%) を準備した。
樹脂溶液とポリアニリン溶液とを、ポリアミドイミド100質量部に対しポリアニリン未ドープ酸化体が25質量部になるように混合し、攪拌した。そこに、ドーパント溶液を、ポリアニリン1ユニットに対しドデシルベンゼンスルホン酸が1molになるように加え、攪拌し、塗布液を得た。
−芯体の準備−
直径929.5mm、厚さ20mm、長さ1000mm、ブラスト処理により表面粗さをRa0.4μmとしたアルミ円筒形金型を準備した。アルミ円筒形金型の外周面に、シリコーン系離型剤(商品名:KS700、信越化学工業製)を塗布し、380℃で1時間焼き付け処理を施し、芯体を得た。
−塗布液の塗布、塗膜の乾燥及び加熱−
芯体の長手方向を水平方向にした状態で、芯体を100rpmで回転させながら、芯体の一端から他端に向かってディスペンサーとスクレイパーを速度150mm/minで移動させながら、厚さ0.8mmで塗布液を塗布した。次いで、芯体を5rpmで回転させながら、雰囲気温度120℃下に30分間置いた。次いで、常温に冷却後、250℃に昇温して該温度下に2時間置いた。次いで、常温に冷却し、芯体から無端ベルトを分離した。無端ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置Color 1000 Pressの中間転写ベルトとして用いる寸法に裁断した。出来あがりの無端ベルトの厚さ(イミド系樹脂層の平均層厚)は75μmであった。
裁断した後の残部の一部を測定用試料とし、ガスクロマトグラフ質量分析計(HEWLETT PACKARD製、HP6890Series GCSystem)で、イミド系樹脂層に含まれる尿素化合物の含有量(残留量)を測定した。
[実施例2]
樹脂溶液の樹脂を、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物と4,4’−ジアミノジフェニルエーテルからなるポリアミック酸に変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
[実施例3]
樹脂溶液の樹脂を、ポリエーテルイミド(Ultem1500、Sabic社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
[実施例4]
樹脂溶液、ポリアニリン溶液及びドーパント溶液に使用する溶剤をテトラメチル尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
[実施例5]
樹脂溶液、ポリアニリン溶液及びドーパント溶液に使用する溶剤をN,N−ジメチルプロピレン尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
[実施例6]
樹脂溶液、ポリアニリン溶液及びドーパント溶液に使用する溶剤をテトラエチル尿素に変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
[比較例1]
樹脂溶液、ポリアニリン溶液及びドーパント溶液に使用する溶剤をN−メチル−2−ピロリドンに変更した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
[比較例2]
導電剤をカーボンブラック(商品番号:FW1、デグサ社)に変更し、樹脂溶液とカーボンブラックとを、ポリアミドイミド100質量部に対しカーボンブラックが21質量部になるように混合した以外は、実施例1と同様にして無端ベルトを作製した。
<評価>
[体積抵抗率]
各ベルトの体積抵抗率を、抵抗測定機としてアドバンテスト社製の微小電流計(商品番号:R8340A)を使用し、プローブとして三菱化学社製のURプローブを使用して測定した。測定電圧は100V又は1000Vとし、ベルトの周方向に6箇所(60°刻み)及び軸方向に等間隔に3箇所の合計18箇所において、体積抵抗率(logΩ・cm)を測定し、その平均値を算出した。測定電圧100Vにおける体積抵抗率の平均値から、測定電圧1000Vにおける体積抵抗率の平均値を減算した値を、体積抵抗率電界依存性の指標とした。結果を表1に示す。
[微小白点]
各ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置Color 1000 Pressに中間転写ベルトとして搭載し、温度23℃且つ相対湿度55%の環境下、A4サイズの紙にマゼンダ色の画像(画像濃度50%)を1枚出力し、微小な白点の有無を目視で観察し、下記の通りに分類した。結果を表1に示す。
G1:微小白点は発生していない。
G2:微小白点が発生しており、中央部5cm×5cmの領域に1個乃至3個ある。
G3:微小白点が発生しており、中央部5cm×5cmの領域に4個以上ある。
[ゴースト]
各ベルトを、富士ゼロックス社製の画像形成装置Color 1000 Pressに中間転写ベルトとして搭載し、温度22℃且つ相対湿度55%の環境下、A4サイズの紙に、図3に示す文字Gと黒領域とを有する黒色のパターンを出力し、黒領域における文字Gの現れ具合を目視で観察し、下記の通りに分類した。結果を表1に示す。
G1:図3(A)のように、文字Gが認められない。
G2:図3(B)のように、文字Gがうっすらと認められる。
G3:図3(C)のように、文字Gがはっきりと認められる。
50 半導電性部材、52 イミド系樹脂層
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写ベルトクリーニング装置
P 記録紙(記録媒体の一例)

Claims (8)

  1. イミド系樹脂と、ポリアニリンと、尿素化合物と、を含有するイミド系樹脂層、
    を有する半導電性部材。
  2. 前記イミド系樹脂層における尿素化合物の含有量が0.1質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載の半導電性部材。
  3. 前記尿素化合物が、下記一般式(1)で表される化合物及び下記一般式(2)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は請求項2に記載の半導電性部材。

    一般式(1)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、nは2以上5以下の整数を表す。
    一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1以上3以下の飽和炭化水素基を表す。
  4. 前記尿素化合物が、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンである、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の半導電性部材。
  5. 前記イミド系樹脂が、ポリイミド、ポリアミドイミド及びポリエーテルイミドから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の半導電性部材。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の半導電性部材で構成された、中間転写体。
  7. 像保持体と、
    前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
    トナーを含む現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー像として現像する現像手段と、
    請求項6に記載の中間転写体、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段、及び前記中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段を有し、前記像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
    を備える画像形成装置。
  8. 請求項6に記載の中間転写体と、
    像保持体の表面に形成されたトナー像を前記中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、
    前記中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、
    を備える転写ユニット。
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