JP2018119070A - プライマー組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】シリコーンゴムを各種の被着体に良好に接着させることが可能なプライマーを提供する。【解決手段】 (A)有機チタン化合物、(B) 分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン、及び(C)溶媒を含むプライマー組成物であって、上記(A)有機チタン化合物が、平均組成式(I):Ti(OR1)4-a(Y3Si-A-O-CO-CH=C(O)R)a(I)(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、R1は置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、aは0.1≦a≦2の数である)で表され、かつ上記(B)のオルガノポリシロキサンレジンがM単位とQ単位からなるMQレジンであるプライマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、シリコーンゴムと被着体とを良好に接着させることが可能な新規プライマー組成物に関し、より詳細には、アルコキシチタンと加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと、分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンとを含み、特に縮合硬化タイプのシリコーンゴムを各種被着体に接着させることが出来るプライマー組成物に関する。
シリコーンゴムは耐熱性、耐寒性、耐紫外線などに優れることから、電気絶縁材、ポッティング材といった電子部品材料、建築用シーリング材など一般的に広く用いられており、普通、シリコーンゴムを各種の被着体に接着させるために、各種のプライマー組成物を被着体に塗布する方法が採用されている。
従来、縮合硬化タイプのシリコーンゴム用のプライマー組成物としては、シランカップリング剤やその縮合物、またそれらの反応生成物、及びアルコキシチタンやチタネート系カップリング剤等の有機チタン化合物などが知られている(特許文献1〜3)。しかし、上記の接着性成分として用いられるシランカップリング剤やアルコキシチタンは、それぞれ単独に接着作用を発揮しており、互いに相補的な役割は持っておらず、そのため接着性が不十分である場合がある。
またアルコキシチタンとシランカップリング剤の接着性を相補的に引出し、シリコーンゴムを各種の被着体に良好に接着させることが可能なプライマーとして、アルコキシチタンと加水分解性シリル基含有β−ケトエステルの反応物であるチタン化合物を含む組成が提案されているが、造膜性に乏しいため浸水後に十分に接着性が発揮できなかった(特許文献4)。
特公昭61−2107号公報 特開平11−209702号公報 特開2006−131830号公報 特開2016−069290号公報
従って、本発明の課題は、アルコキシチタンとシランカップリング剤のそれぞれの接着性を相補的に引出し、かつ造膜性が良好な、浸水後の条件においてもシリコーンゴムを各種被着体に良好に接着させることが可能なプライマー組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題について鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を持つシリコーン樹脂(レジン)をプライマー成分として用いることにより、浸水後の条件においてもシリコーンゴムを各種の被着体に良好に接着させることが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち本発明は、下記のプライマー組成物を提供するものである。
<1>
(A)有機チタン化合物、
(B)分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン 及び
(C)溶媒
を含むプライマー組成物であって、
上記(A)有機チタン化合物が、平均組成式(I):
Ti(OR1)4-a(Y3Si-A-O-CO-CH=C(O)R)a (I)
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、aは0.1≦a≦2の数である)
で表されるものであるプライマー組成物。
<2>
上記(A)有機チタン化合物が、
(A1)下記一般式(1):
Figure 2018119070
(式(1)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基である。)
で表される加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと、
(A2)下記一般式(2):
Figure 2018119070
(式(2)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基である。)
で表されるテトラアルコキシチタンとの反応生成物であって、(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルのチタンに対する平均配位数が0.1〜2であることを特徴とする、<1>に記載のプライマー組成物。
<3>
前記(A)成分の含有量が、前記(C)成分100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とする<1>又は<2>に記載のプライマー組成物。
<4>
前記(B)成分が、シロキサンM単位、シロキサンD単位、シロキサンT単位及びシロキサンQ単位のうち、T単位及び/又はQ単位を含み、かつ、M単位及び/又はD単位を含んでなる、分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンであることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
<5>
前記(B)成分が、シロキサンM単位とシロキサンQ単位からなる3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンであることを特徴とする<4>に記載のプライマー組成物。
<6>
前記(B)成分の含有量が、前記(C)成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
<7>
前記(C)成分が、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及びパラフィン系溶媒から選ばれるいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
<8>
前記(C)成分が、芳香族炭化水素系溶媒又はパラフィン系溶媒であることを特徴とする<7>に記載のプライマー組成物。
<9>
前記プライマー組成物がシリコーンゴムを被着体に接着させるためのものである、<1>〜<8>のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
<10>
前記シリコーンゴムが縮合硬化型の室温硬化性シリコーンゴムである、<9>に記載のプライマー組成物。
<11>
(B)成分及び(C)成分中で、(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと(A2)テトラアルコキシチタンとを反応させることを特徴とする<2>〜<10>のいずれか1項に記載のプライマー組成物の製造方法。
本発明のプライマー組成物は、浸水後の条件においてもシリコーンゴムを各種の被着体に良好に接着させることができる。
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[プライマー組成物]
前述の通り、本発明のプライマー組成物は、
(A)有機チタン化合物、
(B)分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン 及び
(C)溶媒
を含むものである。
本発明のプライマー組成物は、下記の(A)成分、(B)成分及び(C)成分、場合によっては下記のその他の成分を均一に混合することにより調製することができる。
[(A))成分]
(A)成分の有機チタン化合物は、前述の通り、
平均組成式(I):
Ti(OR1)4-a(Y3Si-A-O-CO-CH=C(O)R)a (I)
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、aは0.1≦a≦2の数である)
で表されるものである。
(A)成分は、(A1)下記一般式(1):
Figure 2018119070
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6、好ましくは3〜6、の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基である。)
で表される加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと、
(A2)下記一般式(2):
Figure 2018119070
(式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基である。)
で表されるテトラアルコキシチタンとの反応生成物が好ましく、(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルのチタンに対する平均配位数は0.1〜2、好ましくは0.5〜2.0、より好ましくは0.7〜1.8である。
ここで、上記一般式(I)及び(1)において、Rで表される置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α−,β−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基等の、炭素数1〜4、更に1〜3、特に1〜2の低級アルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
上記一般式(I)及び(1)において、Aで表される炭素数1〜6、好ましくは3〜6の二価炭化水素基のうち、炭素数1〜6の二価炭化水素基は、−(CH−(pは1〜6である)で表される直鎖状のアルキレン基、又は分岐状のアルキレン基等の飽和脂肪族二価炭化水素基であることが好ましく、−(CH−(pは3〜6である)で表される直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。これらの中でも、特に−(CH−が好ましい。
上記一般式(I)及び(1)において、Yは加水分解性基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基;アセトキシ基、オクタノイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;ビニロキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基等のケトオキシム基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ブチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;ジメチルアミノキシ基、ジエチルアミノキシ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が好ましく、特にメトキシ基、エトキシ基等の、炭素数1〜4、更に1〜3、特に1〜2の低級アルコキシ基が好ましい。
次に、上記一般式(I)及び(2)において、Rで表される置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α−,β−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等を例示することができる。これらの中でも、メチル基、エチル基、イソプロピル基等の炭素数1〜3の低級アルキル基が好ましく、特にイソプロピル基が好ましい。
(A1)の調製
一般式(1)で表される前記(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルは、例えば、下記一般式(3):
Figure 2018119070
(式中、Rは前記の通りであり、Aは炭素数1〜4の二価炭化水素基である)
で表される不飽和脂肪族基含有β−ケトエステルと、
下記一般式(4):
Figure 2018119070
(式中、Yは前記の通りである)
で表される加水分解性シラン化合物とを反応させる等、公知の方法(特開2005-314325号公報)を参照して調製することができる。なお、Aは、一般式(1)中のAからエチレン基(−(CH−)を除いた基に該当する。
上記一般式(3)において、Aで表される炭素数1〜4の二価炭化水素基は、−(CH−で表される直鎖状のアルキレン基又は分岐状のアルキレン基等の飽和脂肪族二価炭化水素基であることが好ましく、−(CH−(pは1〜4である)で表される直鎖状のアルキレン基であることがより好ましい。これらの中でも、特に−(CH)−が好ましい。
(A)成分の含有量は、(C)成分100質量部に対して、1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましく、2〜15質量部であることが更に好ましく、5〜10質量部であることが特に好ましい。
本発明のプライマー組成物中、(A)成分は1〜20質量%含有することが好ましく2〜15質量%含有することがより好ましく、5〜10質量%含有することが更に好ましい。
(A)成分の有機チタン化合物は、プライマー組成物処方前にあらかじめ調製してもよく、プライマー組成物処方時に系内で調製してもよい。すなわち、(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと(A2)テトラアルコキシチタンとの反応生成物である(A)有機チタン化合物を(B)成分及び(C)成分と混合してプライマー組成物としてもよく、また、(B)成分及び(C)成分中で、(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと(A2)テトラアルコキシチタンとを反応させて(A)有機チタン化合物を含むプライマー組成物としてもよい。
[(B)成分]
(B)成分のオルガノポリシロキサンレジンは、T単位(3官能性のオルガノシルセスキオキサン単位)及び/又はQ単位(4官能性のSiO4/2単位)を含み、かつ、該T単位及び/又はQ単位以外の構成単位としてM単位(1官能性のトリオルガノシロキシ単位)及びD単位(2官能性のジオルガノシロキサン単位)から選ばれる少なくとも1種のシロキサン単位を含んでなる、分子中に少なくとも2種類の構成単位を含む3次元網状構造を有するオルガノポリシロキサンレジン(いわゆるシリコーン樹脂)が好ましい。例えば、R SiО1/2単位(M単位)及びSiО4/2単位(Q単位)を主成分とするMQレジン、RSiО3/2単位(T単位)及び、R SiО2/2単位(D単位)を主成分とするTDレジン、M単位、D単位及びQ単位からなるMDQレジン、M単位、D単位及びT単位からなるMDTレジン、並びに、M単位、D単位、T単位、及びQ単位からなるMDTQレジン等が挙げられる。上記において、Rは互いに独立に、置換又は非置換の、炭素数1〜12の一価炭化水素基、水酸基、炭素数1〜6の加水分解性基である。該一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、α−,β−ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、2−フェニルエチル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;また、これらの基の水素原子の一部又は全部が、F、Cl、Br等のハロゲン原子やシアノ基等で置換された基、例えば、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、2−シアノエチル基等を例示することが出来る。加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、及びエトキシ基等のアルコキシ基が挙げられる。但し、Rの少なくとも1つは水酸基又は加水分解性基である。本発明における、オルガノポリシロキサンレジンとしてはMQレジンが最も好ましい。
(B)成分のオルガノポリシロキサンレジン中、全構成単位に対するT単位及び/又はQ単位の割合は45〜65モル%であり、50〜65モル%であることが好ましい。
特に、MQレジンにおいてQ単位に対するM単位の比率は、モル比として0.6〜1.2であり、好ましくは0.6〜1.0であり、かつ該MQレジンはケイ素原子に結合したヒドロキシ基(シラノール基)を0.20mol/100g未満有し、下限は0.01mol/100g以上であることが好ましい。ケイ素原子に結合したヒドロキシ基含有量は、特に好ましくは0.02〜0.10mol/100gである。尚、該MQレジンはT単位及び/又はD単位を少量含んでいてもよい。
(B)成分の含有量は、(C)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部であることが好ましく、0.7〜7質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることが更に好ましく、1〜3質量部であることが特に好ましい。
[(C)成分]
前記(C)成分の溶媒は、プライマー組成物中の各成分を任意の割合で溶解し、同時に揮発性を有するものであればよい。具体的には、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチル等のアルコール系溶媒;例えば、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;例えば、リグロイン、酢酸エチル等のエステル系溶媒;例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;例えば、ヘキサン、シクロヘキサン等のパラフィン系溶媒が例示され、これらは1種単独でも2種以上の混合溶媒としても使用することができる。これらの中で、芳香族炭化水素系溶媒又はパラフィン系溶媒が好ましく、特にトルエンやヘキサンが好ましい。
[その他の成分]
本発明のプライマー組成物は、上述した成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲において、シランカップリング剤、金属アルコキシド等の1種又は2種以上を配合することができる。該シランカップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルケニル官能性基含有アルコキシシラン類;γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−2−(アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性基含有アルコキシシラン類;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性基含有アルコキシシラン類;又はイソシアネート官能性基含有アルコキシシラン等のシランカップリング剤(カーボンファンクショナル官能性基含有加水分解性シラン類)を例示することができる。これらのシランカップリング剤は、プライマー組成物全体に対して0〜20質量%、特に0〜5質量%の量で配合できる。該金属アルコキシドとしては、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトラ‐n‐ブトキシド、ジルコニウムテトラ‐tert‐ブトキシド等のジルコニウムテトラアルコキシド類に代表されるジルコニウムアルコキシド類などが例示できる。該金属アルコキシドの配合量は、プライマー組成物全体に対して0〜20質量%、特に0〜10質量%である。
なお、本発明のプライマー組成物は、それ自身は硬化性を有さないものであり、従って、例えば、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基(シラノール基)及び/又は珪素原子結合加水分解性基から選ばれる室温硬化性の官能性基を少なくとも分子鎖両末端に有する直鎖状のオルガノポリシロキサン成分(ベースポリマー)等の硬化前には液状である直鎖状の室温硬化性樹脂成分を含有しないものである点において、いわゆる室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(RTVシリコーンゴム組成物)とは本質的に相違するものである。
本発明のプライマー組成物は、金属配位性シランカップリング剤である加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと、テトラアルコキシチタンとの反応生成物である有機チタン化合物を含むことで、金属配位性シランカップリング剤とアルコキシチタンの双方の接着性を相補的に引出し、特に縮合硬化型のシリコーンゴム、好ましくは室温硬化性のシリコーンゴムを、各種被着体(例えば、フローガラスのようなガラス基板;アルミニウム、アルマイト、銅、ステンレス鋼等の金属基板;ポリカーボネート樹脂のような樹脂基板;金属基板にアクリル電着塗装やフッ素樹脂塗装等を施した金属塗装板)に良好に接着させることができる。さらに、本発明のプライマー組成物は、剛性の高いオルガノポリシロキサンレジンを含むことで、浸水等の劣化条件においても良好な接着性を維持することが出来る。
上記縮合硬化型のシリコーンゴムは、分子中に少なくとも2個の珪素原子に結合した水酸基(シラノール基)又は加水分解性基から選ばれる硬化性官能基を有するものであって、好ましくは25℃における粘度が100〜1,000,000mPa・s、より好ましくは300〜500,000mPa・s、特に好ましくは500〜100,000mPa・s、とりわけ1,000〜80,000mPa・sのものである。ここで、粘度は回転粘度計(ブルックフィールド型粘度計)による数値である。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の具体例において、「部」は「質量部」を意味する。
[実施例1]
ヘキサン(関東化学(株)製)100部にMQレジン(3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン)であるMQR−85T(信越化学工業(株)製、M/Q:0.75(モル比)、OH価:0.06 mol/100g)2部及びテトラブチルオルトチタネート(東京化成工業(株)製)5部を仕込み、4時間撹拌した。この混合液に、次いでアリルアセトアセテートとトリメトキシシランとの反応生成物(モル比1:1)であるトリメトキシシリルプロピルアセトアセテート3部、(但し、異性体等の不純物を極微量含む。以下、同様。)を滴下し、1時間撹拌することで、該混合液中でテトラアルコキシチタンと加水分解性シリル基含有β−ケトエステルとを反応させ、平均組成式(I)における平均配位数aが約0.78に相当する反応生成物を含む淡黄色のプライマー組成物1を得た。
[比較例1]
MQレジンの代わりにQレジンであるシリケート40(多摩化学工業(株)製)2部を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物2を得た。
[比較例2]
MQレジンの代わりにTレジンであるKC−89E(信越化学工業(株)製)2部を仕込んだ以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物3を得た。
[比較例3]
MQレジンを添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてプライマー組成物4を得た。
[試験例]
上記実施例及び比較例で調製されたプライマー組成物1〜4を、幅50mm、長さ50mmの被着体(フロートガラス、アルマイト、フッ素樹脂塗装アルミニウム基板、アクリル電着塗装アルミ(艶なし)、アクリル電着塗装アルミ(艶あり))に、はけ塗りにより薄く塗布し、縮合硬化タイプの室温硬化性シリコーンシーリング材を用いて、JIS A−1439に準じた引張接着性試験を実施した。なお、初期養生条件は23℃、50%RHで7日間養生した後、50℃で7日間養生し前記試験を実施した。浸水後養生条件は初期養生条件に加え、さらに50℃温水に7日間浸漬した後前記試験を実施した。
これらの結果を下記表1に示した。なお、上記縮合硬化型の室温硬化性シリコーンシーリング材はシーラント70(信越化学工業(株)製)を使用した。
Figure 2018119070
表1に示されるように、MQレジンを含む実施例1のプライマー組成物1は、比較例1〜3のプライマー組成物2〜4と比べて、浸水後にも高い接着強度と高い凝集破壊率を示した。
以上のことから、テトラアルコキシチタンと加水分解性シリル基含有β−ケトエステルとの反応生成物である特定の有機チタン化合物及び、造膜性良好なM単位とQ単位からなるポリオルガノシロキサンレジンを含む本発明のプライマー組成物は、単一の構成単位からなるオルガノポリシロキサンレジンを使用した場合及びオルガノポリシロキサンレジンを添加しなかった場合よりも、浸水試験後の接着性が良好であることが示された。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (11)

  1. (A)有機チタン化合物、
    (B)分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジン 及び
    (C)溶媒
    を含むプライマー組成物であって、
    上記(A)有機チタン化合物が、平均組成式(I):
    Ti(OR1)4-a(Y3Si-A-O-CO-CH=C(O)R)a (I)
    (式中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基であり、aは0.1≦a≦2の数である)
    で表されるものであるプライマー組成物。
  2. 上記(A)有機チタン化合物が、
    (A1)下記一般式(1):
    Figure 2018119070
    (式(1)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基であり、Aは炭素数1〜6の二価炭化水素基であり、Yは加水分解性基である。)
    で表される加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと、
    (A2)下記一般式(2):
    Figure 2018119070
    (式(2)中、Rは置換又は非置換の炭素数1〜12の一価炭化水素基である。)
    で表されるテトラアルコキシチタンとの反応生成物であって、前記(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルのチタンに対する平均配位数が0.1〜2であることを特徴とする、請求項1に記載のプライマー組成物。
  3. 前記(A)成分の含有量が、前記(C)成分100質量部に対して1〜30質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のプライマー組成物。
  4. 前記(B)成分が、シロキサンM単位、シロキサンD単位、シロキサンT単位及びシロキサンQ単位のうち、T単位及び/又はQ単位を含み、かつ、M単位及び/又はD単位を含んでなる、分子中に少なくとも二種類の構成単位を含む3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
  5. 前記(B)成分が、シロキサンM単位とシロキサンQ単位からなる3次元網状構造のオルガノポリシロキサンレジンであることを特徴とする請求項4に記載のプライマー組成物。
  6. 前記(B)成分の含有量が、前記(C)成分100質量部に対して0.5〜10質量部であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
  7. 前記(C)成分が、芳香族炭化水素系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒及びパラフィン系溶媒から選ばれるいずれか1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
  8. 前記(C)成分が、芳香族炭化水素系溶媒又はパラフィン系溶媒であることを特徴とする請求項7に記載のプライマー組成物。
  9. 前記プライマー組成物が、シリコーンゴムを被着体に接着させるためのものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のプライマー組成物。
  10. 前記シリコーンゴムが、縮合硬化型の室温硬化性シリコーンゴムである、請求項9に記載のプライマー組成物。
  11. (B)成分及び(C)成分中で、(A1)加水分解性シリル基含有β−ケトエステルと(A2)テトラアルコキシチタンとを反応させることを特徴とする請求項2〜10のいずれか1項に記載のプライマー組成物の製造方法。
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