JP2018114698A - 断熱複合パネル - Google Patents
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Abstract
Description
ポリオレフィン樹脂の発泡体は、吸水性及び透湿性が低いものの、剛性が不十分である。ポリスチレン樹脂の発泡体は、剛性に優れるものの、透湿性が高い。フェノール樹脂の発泡体は、ポリスチレン樹脂やポリオレフィン樹脂に比べ、断熱性及び耐熱性に優れるものの、吸水性が高く、透湿性がある。このため、吸水性や透湿性の高い発泡体を断熱パネルに用いる場合、面材には、防水性のあるシートが用いられる。
例えば、フェノール樹脂発泡板の片面又は両面に、ホットメルト層を介して合成樹脂製の不織布又は織布を熱溶着した断熱パネルが提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、ホットメルトの膜により防水性の向上を図っている。加えて、特許文献1の発明によれば、不織布又は織布を備えることで、いわゆる打ち込み工法におけるコンクリートへの接着性の向上を図っている。
また、例えば、
加えて、不織布及び織布を表層とすると、打ち込み工法におけるコンクリート打設時に、骨材等が表層に衝突した際に、フェノール樹脂発泡板が凹んだり、割れたりするおそれがある。また、骨材が表面に衝突した際に、ホットメルト層に欠落が生じると、防水性が低下する。
そこで、本発明は、優れた防水性と優れた強度とを有する断熱複合パネルを目的とする。
[1]第一の発泡樹脂層と、前記第一の発泡樹脂層よりも吸水量の低い第二の発泡樹脂層と、前記第一の発泡樹脂層と前記第二の発泡樹脂層との間に設けられた中間層とを備え、前記中間層は、織布又は不織布であり、かつ前記第二の発泡樹脂層に一体化されている、断熱複合パネル。
[2]前記第一の発泡樹脂層は、フェノール樹脂の発泡体である、[1]に記載の断熱複合パネル。
[3]前記第二の発泡樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂の発泡体である、[1]又は[2]に記載の断熱複合パネル。
[4]前記第二の発泡樹脂層の独立気泡率は、50〜95%である、[1]〜[3]のいずれかに記載の断熱複合パネル。
[5]前記第二の発泡樹脂層における気泡のアスペクト比は、1.1〜4.0である、[1]〜[4]のいずれかに記載の断熱複合パネル。
以下、図面を参照して、断熱複合パネルについて説明する。
第一の発泡樹脂板10は、第一の発泡樹脂層12と、第一の発泡樹脂層12の一方の面に設けられた第一の面材14と、第一の発泡樹脂層12の他方の面に設けられた第二の面材16とを備える。
本実施形態において、中間層24は第一の面材14に貼着されている。即ち、中間層24は、第一の発泡樹脂層12と第二の発泡樹脂層22との間に設けられている。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアクリル樹脂、等が挙げられる。
熱硬化性樹脂としては、特に限定されず、例えば、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂及びポリイソシアヌレート樹脂等が挙げられ、中でも、フェノール樹脂、イソシアヌレート樹脂が好ましい。これらの熱硬化性樹脂であれば、断熱複合パネル1の難燃性をより高められる。
これらの樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。フェノール樹脂は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合されて用いられてもよい。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1〜1:3であり、より好ましくは1:1.3〜1:2.5である。
炭化水素としては、炭素数が4以上6以下の環状分子構造又は炭素数4以上6以下の鎖状分子構造を有するものが好ましく、例えば、イソブタン、ノルマルブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン等が挙げられる。
これらの炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。これらの炭化水素は、低温域(例えば、−80℃程度の冷凍庫用断熱材)から高温域(例えば200℃程度の加熱体用断熱材)までの広い温度範囲で優れた断熱性能を確保でき、比較的安価であり経済的にも有利である。
これらのハロゲン化炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物及びシリコーン系界面活性剤のいずれか一方または両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
充填剤としては、無機フィラーが好ましい。無機フィラーを用いることで、断熱複合パネル1の熱伝導率を低減し、かつ難燃性のさらなる向上を図れる。
第一の発泡樹脂層12の密度は、JIS A 9511:2009に準じて測定される値である。
平均気泡径は、例えば、以下の測定方法により測定される。
まず、第一の発泡樹脂層12の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出す。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影する。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引く。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引く。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400−1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求める。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とする。
第一の発泡樹脂層12の平均気泡径は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。例えば、2種以上のハロゲン化炭化水素を発泡剤として併用することで平均気泡径を小さくすることができる。
独立気泡率は、JIS K 7138:2006に準拠して測定される。
第一の発泡樹脂層12の独立気泡率は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
第一の発泡樹脂層12が熱可塑性樹脂の発泡体である場合、第一の発泡樹脂層12の吸水量αは、1.0g/100cm2以下が好ましく、0.01g/100cm2以下がより好ましい。
第一の発泡樹脂層12が熱硬化性樹脂の発泡体である場合、第一の発泡樹脂層12の吸水量αは、5.0g/100cm2以下が好ましく、3.5g/100cm2以下がより好ましい。
吸水量αが上記上限値以下であれば、断熱性が低下しにくい。
吸水量αは、第一の発泡性樹脂組成物における樹脂の種類や組成、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
LOIは、JIS K 7201−2:2007に準じて測定される値である。
第一の発泡樹脂層12のLOIは、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、難燃剤の種類又は組成とその量等の組み合わせにより調節される。例えば、発泡剤中の可燃性の発泡剤の含有量が少ない(ハロゲン化炭化水素の含有量が多い)ほど、LOIが高い。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものであれば、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、LOIが高い傾向がある。さらに、リン系難燃剤等を添加することでLOIを高くすることができる。
第一の発泡樹脂層12の熱伝導率は、平均気泡径、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類等の組み合わせにより調節される。例えば、平均気泡径が小さいほど、第一の発泡樹脂層12の熱伝導率が低い傾向となる。界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものである場合、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、熱伝導率が低い傾向がある。
例えば、フェノール樹脂発泡体の密度を27kg/m3とした場合、このフェノール樹脂発泡体の20℃における熱伝導率は0.02W/m・Kである。
熱伝導率は、JIS A 1412−2:1999に準拠して測定される値である。
第一の面材14を設ける方法としては、後述する連続走行するコンベアベルト上に第一の面材14を配置し、該面材上に第一の発泡性樹脂組成物を吐出し、その上に他の面材を積層した後、加熱炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、シート状のフェノール樹脂発泡体の両面に面材が積層した面材付きフェノール樹脂発泡体が得られる。
また、第一の面材14は、発泡成形された第一の発泡樹脂層12に接着剤で貼着されてもよい。
第二の発泡樹脂層22は、第一の発泡樹脂層12よりも吸水量が少ない。
第二の発泡性樹脂組成物中の樹脂としては、いわゆる硬質樹脂が好ましい。本稿の「硬質樹脂」とは、JIS K 7221で測定される曲げ弾性率が10MPa以上の樹脂をいう。
第二の発泡性樹脂組成物中の樹脂は、曲げ弾性率20〜3000MPaが好ましく、30〜250MPaがより好ましい。曲げ弾性率が上記下限値以上であれば、断熱複合パネル1の強度のさらなる向上を図れる。
このような硬質樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル及びポリアクリル酸から選ばれる1種以上を含有する樹脂が挙げられる。中でも、ポリオレフィンを主成分として含有する樹脂(ポリオレフィン系樹脂)がより好ましい。
ゲル分率(質量%)=[キシレン浸漬24時間後の残渣質量]÷[キシレン浸漬前の第二の発泡樹脂層の質量]×100
変性用モノマーを用いることで、得られる第二の発泡性樹脂組成物を常圧で容易に発泡できる。
第二の発泡性樹脂組成物中の変性用モノマーの含有量は、樹脂100質量部に対して、0.1〜0.6質量部が好ましい。
吸水量βは、第二の発泡性樹脂組成物における樹脂の種類や組成、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
アスペクト比が上記下限値以上であれば、気泡が第二の発泡樹脂層22の厚さ方向に長くなり、第二の発泡樹脂層22の圧縮弾性率、圧縮強度をより高められる。アスペクト比が上記上限値以下であれば、第二の発泡樹脂層22が脆くなりにくく、耐衝撃強度をより高められる。また、第二の発泡樹脂層22における気泡のDxyの平均値は200〜400μmが好ましい。
Dxy:硬質発泡体中の気泡22aのシート幅又は長さ方向、即ち、z方向に垂直な面23b方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径。
第二の発泡樹脂層22の独立気泡率は、発泡剤の種類又は組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等の組み合わせにより調節される。
加えて、中間層24は第一の発泡樹脂板10と容易に接着される。
中間層24は、ガラスや金属等の無機物、パルプ等が混抄されていてもよい。中でも、入手しやすさ、経済性、繊維層の均一性、第一の発泡樹脂板10との接着性、成形性、加工の自由度から、ポリエステル不織布が好ましい。
表層26の厚さt13は、中間層24の厚さt12と同様である。厚さt13と厚さt12とは、同じでもよいし異なってもよい。
第一の発泡樹脂板10の製造方法としては、例えば、吐出装置と、吐出装置の下流に位置する発泡成形装置と、発泡成形装置の下流に位置する切断装置とを備える製造システムを用いた製造方法が挙げられる。
吐出装置は、フェノール樹脂等の原料を混合する混合部と、混合された原料(発泡性樹脂組成物)を吐出するための複数のノズルとを備える。複数のノズルは、第一の発泡性樹脂組成物の流れ方向と直交する方向に並んでいる。
発泡成形装置は、フレーム部及び加熱手段を備える。フレーム部は、第一の発泡樹脂板10の断面形状に対応した空間が形成されるように、上下左右に配置されたコンベア(下部コンベア、上部コンベア、左側コンベア、右側コンベア)を備える。下部コンベア及び上部コンベアによって、上下方向の発泡が規制され、左側コンベア及び右側コンベアによって、左右方向の発泡が規制されるようになっている。加熱手段によって、フレーム部を通過する第一の発泡性樹脂組成物を加熱し、発泡、硬化できるようになっている。
なお、発泡成形装置70は、左側コンベア及び右側コンベアを備えていなくてもよい
発泡成形装置70としては、特開2000−218635号公報に記載のスラットコンベアを有する装置でもよい。
次いで、第一の発泡樹脂板10を切断装置で任意の長さに切断する。
接着剤としては、第一の面材14の材質、中間層24の材質等を勘案して適宜決定され、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、ラテックス系接着剤、変性シリコーン系接着剤、クロロプレン系接着剤、エマルジョン系接着剤等が挙げられる。
例えば、断熱複合パネル1を壁や床の断熱材として用いる場合、第二の面材16を壁又は床に臨ませて位置させ、断熱複合パネル1を壁又は床にビスで固定する。
この場合、壁又は床から見て第二の発泡樹脂板20は第一の発泡樹脂板10よりも外方に位置する。このため、空気中の水分等が第二の発泡樹脂層22に浸入しにくくなる。加えて、第一の発泡樹脂層12に比べ、硬質樹脂である第二の発泡樹脂層22は強度が高い。このため、表層26に物理的衝撃が加わっても、断熱複合パネル1は変形しにくい。
この際、表層26に骨材等が衝突しても、強度の高い第二の発泡樹脂層22は損傷を受けにくい。このため、断熱複合パネル1の防水性は、損なわれにくい。
加えて、本実施形態の断熱複合パネルは、第一の発泡樹脂層を備えることで、高い断熱性を得られる。
さらに、本実施形態の断熱複合パネルは、第二の発泡樹脂層を備えることで、優れた防水性と優れた強度とを発揮できる。
上述の実施形態では、第一の面材と第二の面材とを備えるが、本発明はこれに限定されず、第一の面材ならびに第二の面材の双方もしくはいずれか一方を備えなくてもよい。
また、断熱複合パネルは、第二の面材の上にさらに他の層を備えてもよい。他の層としては、化粧層、防水フィルム層等が挙げられる。
断熱複合パネルが第二の面材の上に防水フィルムを備える場合には、打ち込み工法において、断熱複合パネルは、防水フィルムをコンクリートに接して設けられてもよい。
また、断熱複合パネルは、表層の上にさらに他の層を備えてもよい。他の層としては、化粧層、防水フィルム層等が挙げられる。
Claims (5)
- 第一の発泡樹脂層と、前記第一の発泡樹脂層よりも吸水量の低い第二の発泡樹脂層と、前記第一の発泡樹脂層と前記第二の発泡樹脂層との間に設けられた中間層とを備え、
前記中間層は、織布又は不織布であり、かつ前記第二の発泡樹脂層に一体化されている、断熱複合パネル。 - 前記第一の発泡樹脂層は、フェノール樹脂の発泡体である、請求項1に記載の断熱複合パネル。
- 前記第二の発泡樹脂層は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂の発泡体である、請求項1又は2に記載の断熱複合パネル。
- 前記第二の発泡樹脂層の独立気泡率は、50〜95%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の断熱複合パネル。
- 前記第二の発泡樹脂層における気泡のアスペクト比は、1.1〜4.0である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の断熱複合パネル。
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