JP5805345B1 - フェノール樹脂発泡体 - Google Patents
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Abstract
【課題】難燃性および断熱性に優れたフェノール樹脂発泡体を提供する。【解決手段】レゾール型フェノール樹脂と、発泡剤と、酸触媒と、界面活性剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、前記発泡剤が、イソプロピルクロライドとハロゲン化不飽和炭化水素とからなり、前記発泡剤におけるイソプロピルクロライドと前記ハロゲン化不飽和炭化水素との質量比が、イソプロピルクロライド:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1〜7:3であり、前記ハロゲン化不飽和炭化水素が、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)またはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)であり、平均気泡径が120μm以下であり、熱伝導率が0.019W/m・K以下であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。【選択図】なし
Description
本発明は、フェノール樹脂発泡体に関する。
フェノール樹脂発泡体は、難燃性、耐熱性、耐薬品性、耐腐食性等に優れることから、断熱材として種々の分野で採用されている。例えば建築分野では、合成樹脂建材、特に壁板内装材として、フェノール樹脂発泡体製壁板が採用されている。
フェノール樹脂発泡体は通常、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒(硬化剤)、界面活性剤等を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させることによって製造される。このようにして製造されたフェノール樹脂発泡体は独立気泡を有し、独立気泡中には発泡剤から発生したガスが含まれる。
フェノール樹脂発泡体の発泡剤として、イソプロピルクロリドとイソペンタンとの混合物を用いることが提案されている。かかる混合物を発泡剤として用いたフェノール樹脂発泡体は、本質的に気泡欠陥が無く、安定かつ低い熱伝導率を示すとされている(特許文献1参照)。
フェノール樹脂発泡体は通常、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒(硬化剤)、界面活性剤等を含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させることによって製造される。このようにして製造されたフェノール樹脂発泡体は独立気泡を有し、独立気泡中には発泡剤から発生したガスが含まれる。
フェノール樹脂発泡体の発泡剤として、イソプロピルクロリドとイソペンタンとの混合物を用いることが提案されている。かかる混合物を発泡剤として用いたフェノール樹脂発泡体は、本質的に気泡欠陥が無く、安定かつ低い熱伝導率を示すとされている(特許文献1参照)。
しかし、イソペンタンは可燃性であり、発泡剤としてイソプロピルクロリドとイソペンタンとの混合物を用いたフェノール樹脂発泡体は、独立気泡中に可燃性のガスを含むため、難燃性が不充分である。
発泡剤としてイソプロピルクロリドのみを用いた場合、イソペンタンとの混合物よりは難燃性は改善するが、独立気泡のセル径が大きくなり、熱伝導率が高くなって断熱性が低下する問題がある。
発泡剤としてイソプロピルクロリドのみを用いた場合、イソペンタンとの混合物よりは難燃性は改善するが、独立気泡のセル径が大きくなり、熱伝導率が高くなって断熱性が低下する問題がある。
本発明の目的は、難燃性および断熱性に優れたフェノール樹脂発泡体を提供することにある。
本発明は以下の態様を有する。
<1>レゾール型フェノール樹脂と、発泡剤と、酸触媒と、界面活性剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、
前記発泡剤が、イソプロピルクロライドとハロゲン化不飽和炭化水素とからなり、
前記発泡剤におけるイソプロピルクロライドと前記ハロゲン化不飽和炭化水素との質量比が、イソプロピルクロライド:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1〜7:3であり、
前記ハロゲン化不飽和炭化水素が、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)またはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)であり、
平均気泡径が120μm以下であり、
熱伝導率が0.019W/m・K以下であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
<1>レゾール型フェノール樹脂と、発泡剤と、酸触媒と、界面活性剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、
前記発泡剤が、イソプロピルクロライドとハロゲン化不飽和炭化水素とからなり、
前記発泡剤におけるイソプロピルクロライドと前記ハロゲン化不飽和炭化水素との質量比が、イソプロピルクロライド:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1〜7:3であり、
前記ハロゲン化不飽和炭化水素が、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)またはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)であり、
平均気泡径が120μm以下であり、
熱伝導率が0.019W/m・K以下であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
本発明によれば、難燃性および断熱性に優れたフェノール樹脂発泡体を提供できる。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、フェノール樹脂と、発泡剤と、酸触媒と、界面活性剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるものである。
発泡性フェノール樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒および界面活性剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、フェノール樹脂、発泡剤、酸触媒および界面活性剤以外の他の成分をさらに含んでもよい。
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノールおよびこれらの変性物等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1〜1:3であり、より好ましくは1:1.3〜1:2.5である。
フェノール樹脂としては、レゾール型のものが好ましい。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノールおよびこれらの変性物等が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。
フェノール化合物とアルデヒドとの使用割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1〜1:3であり、より好ましくは1:1.3〜1:2.5である。
(発泡剤)
発泡剤は、2種以上のハロゲン化炭化水素を含む。
発泡剤として2種以上のハロゲン化炭化水素を併用することにより、1種のハロゲン化炭化水素を用いる場合に比べて、フェノール樹脂発泡体中の独立気泡の平均気泡径が小さくなる。これは、2種以上のハロゲン化炭化水素のうち、沸点の低いものが、発泡性フェノール樹脂組成物を発泡させる際に核剤として機能するためと考えられる。また、ハロゲン化炭化水素は、イソペンタン等の脂肪族炭化水素に比べて熱伝導率が低い。平均気泡径が小さく、独立気泡中のガスの熱伝導率が低いことにより、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率が従来よりも低く、断熱性が優れる。
また、ハロゲン化炭化水素は難燃性であるため、イソペンタン等の脂肪族炭化水素を用いる場合に比べて、フェノール樹脂発泡体の難燃性が優れる。
発泡剤は、2種以上のハロゲン化炭化水素を含む。
発泡剤として2種以上のハロゲン化炭化水素を併用することにより、1種のハロゲン化炭化水素を用いる場合に比べて、フェノール樹脂発泡体中の独立気泡の平均気泡径が小さくなる。これは、2種以上のハロゲン化炭化水素のうち、沸点の低いものが、発泡性フェノール樹脂組成物を発泡させる際に核剤として機能するためと考えられる。また、ハロゲン化炭化水素は、イソペンタン等の脂肪族炭化水素に比べて熱伝導率が低い。平均気泡径が小さく、独立気泡中のガスの熱伝導率が低いことにより、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率が従来よりも低く、断熱性が優れる。
また、ハロゲン化炭化水素は難燃性であるため、イソペンタン等の脂肪族炭化水素を用いる場合に比べて、フェノール樹脂発泡体の難燃性が優れる。
ハロゲン化炭化水素としては、発泡剤として公知のものを用いることができ、例えば塩素化炭化水素、塩素化フッ素化炭化水素、フッ素化炭化水素、臭素化フッ素化炭化水素、ヨウ素化フッ素化炭化水素等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素は、水素の全てがハロゲンで置換されたものでもよいし、水素の一部がハロゲンで置換されたものでもよい。
塩素化炭化水素としては、塩素化飽和炭化水素が挙げられ、炭素数が2〜5であるものが好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロライド、イソプロピルクロライド、ブチルクロライド、イソブチルクロライド、ペンチルクロライド、イソペンチルクロライド等が挙げられる。
上記の中でも、オゾン層破壊係数が低く、環境適合性に優れる点で、イソプロピルクロライドが好ましい。
上記の中でも、オゾン層破壊係数が低く、環境適合性に優れる点で、イソプロピルクロライドが好ましい。
塩素化フッ素化炭化水素としては、分子内に塩素とフッ素と2重結合を含むものが挙げられ、例えば、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(E及びZ異性体)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)(E及びZ異性体)(HoneyWell社製、商品名:SOLSTICE LBA)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)(E及びZ異性体)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)(E及びZ異性体)、2−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−7−09)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)(E及びZ異性体)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HFO−1223xd)(E及びZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(E及びZ異性体)、及び2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン(E及びZ異体)等が挙げられる。
フッ素化炭化水素としては、フッ素化飽和炭化水素、フッ素化不飽和炭化水素等が挙げられる。
フッ素化飽和炭化水素としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。
フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内にフッ素と2重結合を含むものが挙げられ、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)(E及びZ異性体)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−3−Z6)等の特表2009−513812号公報等に開示されるものが挙げられる。
フッ素化飽和炭化水素としては、例えば、ジフルオロメタン(HFC32)、1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC125)、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC143a)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC134a)、1,1−ジフルオロエタン(HFC152a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC227ea)、1,1,1,3,3−ペンタフルオプロパン(HFC245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオブタン(HFC365mfc)及び1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC4310mee)等のハイドロフルオロカーボンが挙げられる。
フッ素化不飽和炭化水素としては、分子内にフッ素と2重結合を含むものが挙げられ、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)(E及びZ異性体)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO1336mzz)(E及びZ異性体)(SynQuest Laboratories社製、製品番号:1300−3−Z6)等の特表2009−513812号公報等に開示されるものが挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、オゾン破壊係数(ODP)および地球温暖化係数(GWP)が小さく、環境に与える影響が小さい点で、ハロゲン化不飽和炭化水素が好ましく、塩素化フッ素化不飽和炭化水素またはフッ素化不飽和炭化水素がより好ましい。
2種以上のハロゲン化炭化水素の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば1種以上の塩素化炭化水素と1種以上のフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化炭化水素と1種以上の塩素化フッ素化炭化水素との組み合わせ、1種以上の塩素化フッ素化炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、1種以上のフッ素化不飽和炭化水素と1種以上のフッ素化飽和炭化水素との組み合わせ、2種以上の塩素化フッ素化炭化水素どうしの組み合わせ、2種以上のフッ素化飽和炭化水素どうしの組み合わせ、2種以上のフッ素化不飽和炭化水素どうしの組み合わせ等が挙げられる。
2種以上のハロゲン化炭化水素の組み合わせとしては、塩素化炭化水素と、分子内にハロゲン原子と炭素間2重結合を有するハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
塩素化炭化水素は、フェノール樹脂発泡体の発泡剤として従来用いられているが、1種単独では、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径が大きく、熱伝導率が高くなる。フッ素化不飽和炭化水素を併用することで、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低くなり、フェノール樹脂発泡体の断熱性が向上する。また、ハロゲン化不飽和炭化水素は不燃性であるため、フェノール樹脂発泡体の難燃性が向上する。
塩素化炭化水素は、フェノール樹脂発泡体の発泡剤として従来用いられているが、1種単独では、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径が大きく、熱伝導率が高くなる。フッ素化不飽和炭化水素を併用することで、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低くなり、フェノール樹脂発泡体の断熱性が向上する。また、ハロゲン化不飽和炭化水素は不燃性であるため、フェノール樹脂発泡体の難燃性が向上する。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせにおいて、塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との質量比は、塩素化炭化水素:ハロゲン化不飽和炭化水素=9.9:0.1〜7:3であることが好ましく、9:1〜7:3であることがより好ましい。
ハロゲン化不飽和炭化水素を前記の質量比を満たす範囲内で含むことで、平均気泡径がより小さく、熱伝導率がより低くなり、フェノール樹脂発泡体の断熱性がより優れたものとなる。
ハロゲン化不飽和炭化水素を前記の質量比を満たす範囲内で含むことで、平均気泡径がより小さく、熱伝導率がより低くなり、フェノール樹脂発泡体の断熱性がより優れたものとなる。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせにおいて、ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点は、塩素化炭化水素の沸点よりも低いことが好ましい。ハロゲン化不飽和炭化水素の沸点が塩素化炭化水素の沸点よりも低い方が、フェノール樹脂発泡体中の気泡の気泡径が小さく、かつ単位体積あたりの気泡の数が多くなり、断熱性がより優れる傾向がある。
また、それらの沸点の差は2℃以上30℃以下であることが好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。沸点の差が上記上限値より大きいと、先にガス化して気泡核を形成したハロゲン化不飽和炭化水素が、より沸点の高い塩素化炭化水素がガス化するまでに気泡から抜けてしまい、発泡が不十分となるおそれがある。沸点の差が上記下限値より小さいと、十分に気泡核を形成しないまま塩素化炭化水素が発泡してしまい、気泡径が粗大になるおそれがある。
そのため、例えば、塩素化炭化水素として沸点37℃であるイソプロピルクロライドを選択した場合には、ハロゲン化不飽和炭化水素としては、沸点が−28℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのが好ましく、常温付近での取り扱いのしやすい点で、14℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのがより好ましい。
また、それらの沸点の差は2℃以上30℃以下であることが好ましく、5℃以上20℃以下がより好ましい。沸点の差が上記上限値より大きいと、先にガス化して気泡核を形成したハロゲン化不飽和炭化水素が、より沸点の高い塩素化炭化水素がガス化するまでに気泡から抜けてしまい、発泡が不十分となるおそれがある。沸点の差が上記下限値より小さいと、十分に気泡核を形成しないまま塩素化炭化水素が発泡してしまい、気泡径が粗大になるおそれがある。
そのため、例えば、塩素化炭化水素として沸点37℃であるイソプロピルクロライドを選択した場合には、ハロゲン化不飽和炭化水素としては、沸点が−28℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのが好ましく、常温付近での取り扱いのしやすい点で、14℃以上32℃以下の沸点を有するものを選択するのがより好ましい。
塩素化炭化水素とハロゲン化不飽和炭化水素との組み合わせとしては、イソプロピルクロライドとフッ素化不飽和炭化水素との組み合わせ、またはイソプロピルクロライドと塩素化フッ素化不飽和炭化水素との組み合わせが好ましい。
発泡剤は、必要に応じて、ハロゲン化炭化水素以外の他の発泡剤をさらに含んでもよい。他の発泡剤としては、特に限定されず、例えば炭素数3〜7の脂肪族炭化水素(ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン等)、窒素、アルゴン、炭酸ガス、空気等の低沸点ガス;炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アゾジカルボン酸アミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン等の化学発泡剤;多孔質固体材料等が挙げられる。
発泡性フェノール樹脂組成物中の発泡剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、1〜20質量部が好ましく、3〜15質量部がより好ましく、5〜11質量部がさらに好ましい。
(酸触媒)
酸触媒は、フェノール樹脂を硬化させるために使用される。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸触媒は、フェノール樹脂を硬化させるために使用される。
酸触媒としては、ベンゼンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の有機酸、硫酸、リン酸等の無機酸等が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の酸触媒の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、5〜30質量部が好ましく、8〜25質量部がより好ましく、10〜20質量部がさらに好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、気泡径(セル径)の微細化に寄与する。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物およびシリコーン系界面活性剤のいずれか一方または両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
界面活性剤は、気泡径(セル径)の微細化に寄与する。
界面活性剤としては、特に限定されず、整泡剤等として公知のものを使用できる。例えば、ひまし油アルキレンオキシド付加物、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらの界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
界面活性剤は、気泡径の小さい気泡を形成しやすい点で、ひまし油アルキレンオキシド付加物およびシリコーン系界面活性剤のいずれか一方または両方を含むことが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、シリコーン系界面活性剤を含むことがより好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物におけるアルキレンオキシドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキシドが好ましく、エチレンオキシド(以下、「EO」と略記する。)、プロピレンオキシド(以下、「PO」と略記する。)がより好ましい。ひまし油に付加するアルキレンオキシドは1種でもよく2種以上でもよい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油EO付加物、ひまし油PO付加物が好ましい。
ひまし油アルキレンオキシド付加物としては、ひまし油1モルに対し、アルキレンオキシド、中でもEOが、20モル超60モル未満付加したものが好ましく、21〜40モル付加したものがより好ましい。かかるひまし油アルキレンオキシド付加物においては、ひまし油の長鎖炭化水素基を主体とする疎水性基と、所定付加モルのアルキレンオキシド(EO等)によって形成されたポリオキシアルキレン基(ポリオキシエチレン基等)を主体とする親水性基とが、分子内でバランス良く配置されて、良好な界面活性能が発揮される。そのため、フェノール樹脂発泡体の気泡径が小さくなる。また気泡壁に柔軟性が付与されて亀裂の発生が防止される。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体、オクタメチルシクロテトラシロキサン等のオルガノポリシロキサン系化合物が挙げられる。疎水部と親水部それぞれの重合度を変えて表面張力を調整しやすい点で、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体が好ましい。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体は、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体である。ブロック共重合体の構造は、特に限定されず、例えばシロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端それぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体は、ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとのブロック共重合体である。ブロック共重合体の構造は、特に限定されず、例えばシロキサン鎖の両方の末端にポリエーテル鎖が結合したABA型、複数のシロキサン鎖と複数のポリエーテル鎖が交互に結合した(AB)n型、分岐状のシロキサン鎖の末端それぞれにポリエーテル鎖が結合した枝分かれ型、シロキサン鎖に側基(末端以外の部分に結合する基)としてポリエーテル鎖が結合したペンダント型等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、例えば、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体が挙げられる。
ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレン基の炭素数は2または3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種でもよく2種以上でもよい。
ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシプロピレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンにおけるオキシアルキレン基の炭素数は2または3が好ましい。ポリオキシアルキレンを構成するオキシアルキレン基は、1種でもよく2種以上でもよい。
ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体の具体例としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシプロピレン共重合体、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体等が挙げられる。
ジメチルポリシロキサンとポリエーテルとの共重合体としては、末端が−OR(式中、Rは、水素原子またはアルキル基である。)であるポリエーテル鎖を有するものが好ましく、熱伝導率をより低く、難燃性をより高くできる点で、Rが水素原子であるものが特に好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の界面活性剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、1〜10質量部が好ましく、2〜5質量部がより好ましい。界面活性剤の含有量が前記範囲の下限値以上であれば、気泡径が均一に小さくなりやすく、上限値以下であれば、フェノール樹脂発泡体の吸水性が低く、また、製造コストも抑えられる。
(他の成分)
他の成分としては、発泡性フェノール樹脂組成物の添加剤として公知のものを用いることができ、例えば尿素、可塑剤、充填剤(充填材)、難燃剤(例えばリン系難燃剤等)、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等が挙げられる。
他の成分としては、発泡性フェノール樹脂組成物の添加剤として公知のものを用いることができ、例えば尿素、可塑剤、充填剤(充填材)、難燃剤(例えばリン系難燃剤等)、架橋剤、有機溶媒、アミノ基含有有機化合物、着色剤等が挙げられる。
尿素は、発泡性フェノール樹脂組成物を発泡成形して発泡体を作製する際、ホルムアルデヒドを捕捉するホルムアルデヒドキャッチャー剤として用いられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸とジエチレングリコールの反応生成物であるポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、フタル酸とジエチレングリコールの反応生成物であるポリエステルポリオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
充填剤としては、熱伝導率および酸性度が低く、かつ防火性の向上したフェノール樹脂発泡体を与えることができる点で、無機フィラーが好ましい。
無機フィラーとしては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン等の金属の水酸化物や酸化物、亜鉛等の金属粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。ただし、酸触媒として強酸を使用する場合には、金属粉末、炭酸塩は、ポットライフの調整に影響がない範囲で添加する必要がある。これらの無機フィラーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用されてもよい。
無機フィラーとしては、例えば水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化アンチモン等の金属の水酸化物や酸化物、亜鉛等の金属粉末、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛等の金属の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩、炭酸水素カルシウム、炭酸水素マグネシウム等のアルカリ土類金属炭酸水素塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、マイカ、タルク、ベントナイト、ゼオライト、シリカゲル等が挙げられる。ただし、酸触媒として強酸を使用する場合には、金属粉末、炭酸塩は、ポットライフの調整に影響がない範囲で添加する必要がある。これらの無機フィラーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上併用されてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物中の充填剤の含有量は、抽出pHが5以上となる量が好ましい。例えば、充填剤の含有量は、フェノール樹脂100質量部当り、0.1〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、3〜15質量部がさらに好ましく、5〜10質量部が特に好ましい。充填剤の含有量が上記下限値未満では、フェノール樹脂発泡体の抽出pHが低くなる。抽出pHが低くなると、酸性度が増す為、フェノール樹脂発泡体と接触する資材が、腐食を生じるおそれがある。充填剤の含有量が上記上限値超では、酸触媒による硬化反応が著しく阻害され、生産性が悪化するおそれがある。
抽出pHは、以下の方法で測定される。フェノール樹脂発泡体を乳鉢で250μm(60メッシュ)以下に粉砕してサンプルとする。サンプル0.5gを200mLの共栓付き三角フラスコに量り取る。共栓付き三角フラスコに純水100mLを加え、密栓する。マグネチックスターラーを用いて、共栓付き三角フラスコないを23℃±5℃で7日間撹拌して、試料液とする。得られた試料液のpHをpHメータで測定し、その値を抽出pHとする。
なお、充填剤は、フッ化水素を捕捉する保護剤としても機能する。発泡剤として使用するハロゲン化不飽和炭化水素は、分解によってフッ化水素を発生したり、その製造原料として使用されたフッ化水素を不純物として含んでいることが知られている(特表2014−511930号公報)。このフッ化水素は、例えば、シリコーン系界面活性剤の疎水部を構成するシロキサン結合と反応して界面活性作用を低下させる。そこで、上記の充填剤が保護剤として発泡性フェノール樹脂組成物に添加されてもよい。
発泡性フェノール樹脂組成物は、上記の各成分を混合することにより調製できる。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えばフェノール樹脂に界面活性剤、必要に応じて他の成分を加えて全体を混合し、この混合物に発泡剤、酸触媒を添加し、この組成物をミキサーに供給して攪拌することにより発泡性フェノール樹脂組成物を調製できる。
各成分の混合順序は特に限定されないが、例えばフェノール樹脂に界面活性剤、必要に応じて他の成分を加えて全体を混合し、この混合物に発泡剤、酸触媒を添加し、この組成物をミキサーに供給して攪拌することにより発泡性フェノール樹脂組成物を調製できる。
上記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させることにより、本発明のフェノール樹脂発泡体を製造できる。
フェノール樹脂発泡体の製造は、公知の方法により実施できる。例えば発泡性フェノール樹脂組成物を30〜95℃で加熱して発泡、硬化することにより、フェノール樹脂発泡体を製造することができる。
フェノール樹脂発泡体の製造は、公知の方法により実施できる。例えば発泡性フェノール樹脂組成物を30〜95℃で加熱して発泡、硬化することにより、フェノール樹脂発泡体を製造することができる。
発泡成形してフェノール樹脂発泡体を製造する際、面材を設けてもよい。
面材としては、特に制限されず、ガラス繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔張不織布、金属板、金属箔、合板、珪酸カルシウム板、石膏ボードおよび木質系セメント板の中から選ばれる少なくとも1種が好適である。
面材は、フェノール樹脂発泡体の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。両面に設ける場合、各面材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
フェノール樹脂発泡体を製造する際に面材を設ける方法としては、例えば、連続走行するコンベアベルト上に面材を配置し、該面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を吐出し、その上に他の面材を積層した後、加熱炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、シート状のフェノール樹脂発泡体の両面に面材が積層した面材付きフェノール樹脂発泡体が得られる。
面材は、発泡成形の後、接着剤を用いてフェノール樹脂発泡体に貼り合わせて設けてもよい。
面材としては、特に制限されず、ガラス繊維不織布、スパンボンド不織布、アルミニウム箔張不織布、金属板、金属箔、合板、珪酸カルシウム板、石膏ボードおよび木質系セメント板の中から選ばれる少なくとも1種が好適である。
面材は、フェノール樹脂発泡体の片面に設けてもよく、両面に設けてもよい。両面に設ける場合、各面材は、同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。
フェノール樹脂発泡体を製造する際に面材を設ける方法としては、例えば、連続走行するコンベアベルト上に面材を配置し、該面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を吐出し、その上に他の面材を積層した後、加熱炉を通過させて発泡成形する方法が挙げられる。これにより、シート状のフェノール樹脂発泡体の両面に面材が積層した面材付きフェノール樹脂発泡体が得られる。
面材は、発泡成形の後、接着剤を用いてフェノール樹脂発泡体に貼り合わせて設けてもよい。
本発明のフェノール樹脂発泡体中には、複数の気泡が形成されており、気泡壁には実質的に孔が存在せず、複数の気泡の少なくとも一部は、相互に連通していない独立気泡になっている。独立気泡中には、発泡剤として用いた2種以上のハロゲン化炭化水素のガスが保持されている。独立気泡率は通常85%以上であり、90%以上であることがより好ましい。独立気泡率は、JIS K 7138:2006に準拠して測定される。
本発明のフェノール樹脂発泡体における平均気泡径は、120μm以下であり、5〜120μmが好ましく、50〜120μmがより好ましい。平均気泡径が120μm以下であれば、気泡内での対流や輻射が抑制され、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率が低く、断熱性に優れる。
フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、発泡条件(加熱温度、加熱時間等)等により調整できる。特に発泡剤の組成を2種以上のハロゲン化炭化水素を併用した組成とすることにより平均気泡径を小さくすることができ、発泡剤として塩素化炭化水素とフッ素化不飽和炭化水素との質量比が9.9:0.1〜7:3の範囲内であれば、その範囲外の場合に比べて、平均気泡径が小さい低い傾向がある。
本発明のフェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、0.019W/m・K以下であり、0.018W/m・Kがより好ましい。熱伝導率が0.019W/m・K以下であれば、断熱性に優れる。
フェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、平均気泡径、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類等により調整できる。例えば、上記のとおり、平均気泡径が小さいほど、フェノール樹脂発泡体の熱伝導率が低い傾向がある。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものである場合、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、熱伝導率が低い傾向がある。
本発明のフェノール樹脂発泡体は、制限酸素指数(Limited Oxygen Index;以下「LOI」ともいう。)が28%以上であり、30%以上が好ましい。
LOIは、規定の条件下で、試料が有炎燃焼を維持するのに必要な23℃±2℃の酸素と窒素との混合ガスの最小酸素濃度%(体積分率)であり、燃焼性の指標である。LOIが大きいほど燃焼性が低いことを示し、一般に、LOIが26%以上であれば難燃性を有すると判断されている。
LOIは、規定の条件下で、試料が有炎燃焼を維持するのに必要な23℃±2℃の酸素と窒素との混合ガスの最小酸素濃度%(体積分率)であり、燃焼性の指標である。LOIが大きいほど燃焼性が低いことを示し、一般に、LOIが26%以上であれば難燃性を有すると判断されている。
フェノール樹脂発泡体のLOIは、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、難燃剤の種類および組成とその量等により調整できる。例えば、発泡剤中の可燃性の発泡剤の含有量が少ない(ハロゲン化炭化水素の含有量が多い)ほど、LOIが高い。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものであれば、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、LOIが高い傾向がある。さらに、リン系難燃剤等を添加することでLOIを高くすることができる。
本発明のフェノール樹脂発泡体の密度(JIS A 9511:2009)は、10kg/m3以上であることが好ましく、20〜100kg/m3がより好ましい。
本発明のフェノール樹脂発泡体の脆性(JIS A 9511:2009)は、20%以下であることが好ましく、10〜18%がより好ましい。
本発明のフェノール樹脂発泡体の脆性(JIS A 9511:2009)は、20%以下であることが好ましく、10〜18%がより好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
後述の実施例および比較例で用いた測定方法を以下に示す。
後述の実施例および比較例で用いた測定方法を以下に示す。
(平均気泡径)
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出した。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影した。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引いた。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引いた。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400−1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求めた。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とした。
フェノール樹脂発泡体の厚さ方向のほぼ中央から試験片を切出した。試験片の厚さ方向の切断面を50倍拡大で撮影した。撮影された画像に、長さ9cmの直線を4本引いた。この際、ボイド(2mm2以上の空隙)を避けるように直線を引いた。各直線が横切った気泡の数(JIS K6400−1:2004に準じて測定したセル数)を直線毎に計数し、直線1本当たりの平均値を求めた。気泡の数の平均値で1800μmを除し、求められた値を平均気泡径とした。
(熱伝導率)
JIS A 9511:2009に準拠してフェノール樹脂発泡体の熱伝導率を測定した。測定は、同じ試料について2回実施した。
JIS A 9511:2009に準拠してフェノール樹脂発泡体の熱伝導率を測定した。測定は、同じ試料について2回実施した。
(LOI)
JIS K 7201−2:2007に準拠してフェノール樹脂発泡体の酸素指数(LOI)を測定した。
JIS K 7201−2:2007に準拠してフェノール樹脂発泡体の酸素指数(LOI)を測定した。
<比較例1、参考例1〜3、比較例2>
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−339)100質量部に、界面活性剤としてひまし油EO付加物(付加モル数30)4質量部、ホルムアルデヒドキャッチャー剤として尿素4質量部を加えて混合し、20℃で8時間放置した。
このようにして得られた混合物108質量部に対し、発泡剤として、以下の発泡剤1〜5のいずれか1種10.5質量部を加え、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸との混合物16質量部を加え、また、充填剤として炭酸カルシウム3質量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3質量部を加え、攪拌、混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
この発泡性フェノール樹脂組成物を300×300×45mmの型枠に吐出し、これを70℃の乾燥機中で300秒間加熱して発泡成形した後、成型物を型枠から取り出し、85℃の乾燥機に入れ、5時間養生させてフェノール樹脂発泡体を作製した。
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−339)100質量部に、界面活性剤としてひまし油EO付加物(付加モル数30)4質量部、ホルムアルデヒドキャッチャー剤として尿素4質量部を加えて混合し、20℃で8時間放置した。
このようにして得られた混合物108質量部に対し、発泡剤として、以下の発泡剤1〜5のいずれか1種10.5質量部を加え、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸との混合物16質量部を加え、また、充填剤として炭酸カルシウム3質量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3質量部を加え、攪拌、混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
この発泡性フェノール樹脂組成物を300×300×45mmの型枠に吐出し、これを70℃の乾燥機中で300秒間加熱して発泡成形した後、成型物を型枠から取り出し、85℃の乾燥機に入れ、5時間養生させてフェノール樹脂発泡体を作製した。
発泡剤1:イソプロピルクロリド。
発泡剤2:イソプロピルクロリド:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン=89:11(質量比)の混合物。
発泡剤3:イソプロピルクロリド:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン=80:20(質量比)の混合物。
発泡剤4:イソプロピルクロリド:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン=71:29(質量比)の混合物。
発泡剤5:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン。
発泡剤2:イソプロピルクロリド:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン=89:11(質量比)の混合物。
発泡剤3:イソプロピルクロリド:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン=80:20(質量比)の混合物。
発泡剤4:イソプロピルクロリド:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン=71:29(質量比)の混合物。
発泡剤5:シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン。
各例で得られたフェノール樹脂発泡体について、平均気泡径、熱伝導率、LOIを測定した。ただし、比較例2については、発泡成形後、型枠内に成形物が充填されていない部分があり、発泡が不充分であったため、熱伝導率および平均気泡径は測定しなかった。結果を表1に示す。
表1に、各発泡剤におけるイソプロピルクロリドとシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンとの合計100に対するシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの質量比率(以下、「HFO比率」ともいう。)を併記する。
また、図1に、比較例1、参考例1〜3、比較例2それぞれのHFO比率を横軸に、熱伝導率およびセル径を縦軸にとったグラフを示す。
表1に、各発泡剤におけるイソプロピルクロリドとシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンとの合計100に対するシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンの質量比率(以下、「HFO比率」ともいう。)を併記する。
また、図1に、比較例1、参考例1〜3、比較例2それぞれのHFO比率を横軸に、熱伝導率およびセル径を縦軸にとったグラフを示す。
上記結果に示すとおり、発泡剤としてイソプロピルクロリドとシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンとを併用した参考例1〜3のフェノール樹脂発泡体は、イソプロピルクロリドを単独で用いた比較例1のフェノール樹脂発泡体に比べて、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低かった。また、LOIが28%以上であり、難燃性に優れていた。
シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを単独で用いた比較例2では、参考例1〜3と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを単独で用いた比較例2では、参考例1〜3と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
<比較例3、参考例4〜6、比較例4>
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−339)100質量部に、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製、品番「SH193」、ポリエーテル鎖の末端:−OH)4質量部、ホルムアルデヒドキャッチャー剤として尿素4質量部を加えて混合し、20℃で8時間放置した。
このようにして得られた混合物108質量部に対し、発泡剤として、前記の発泡剤1〜5のいずれか1種10.5質量部加え、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸との混合物16質量部を加え、また、充填剤として炭酸カルシウム3質量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3質量部を加え、攪拌、混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
この発泡性フェノール樹脂組成物を300×300×45mmの型枠に吐出し、これを70℃の乾燥機中で300秒加熱硬化した後、成型物を型枠から取り出し、85℃の乾燥機に入れ、5時間養生させてフェノール樹脂発泡体を作製した。
液状レゾール型フェノール樹脂(旭有機材工業株式会社製、商品名:PF−339)100質量部に、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製、品番「SH193」、ポリエーテル鎖の末端:−OH)4質量部、ホルムアルデヒドキャッチャー剤として尿素4質量部を加えて混合し、20℃で8時間放置した。
このようにして得られた混合物108質量部に対し、発泡剤として、前記の発泡剤1〜5のいずれか1種10.5質量部加え、酸触媒としてパラトルエンスルホン酸とキシレンスルホン酸との混合物16質量部を加え、また、充填剤として炭酸カルシウム3質量部、可塑剤としてポリエステルポリオール3質量部を加え、攪拌、混合して発泡性フェノール樹脂組成物を調製した。
この発泡性フェノール樹脂組成物を300×300×45mmの型枠に吐出し、これを70℃の乾燥機中で300秒加熱硬化した後、成型物を型枠から取り出し、85℃の乾燥機に入れ、5時間養生させてフェノール樹脂発泡体を作製した。
各例で得られたフェノール樹脂発泡体について、平均気泡径、熱伝導率、LOIを測定した。ただし、比較例4については、発泡成形後、型枠内に成形物が充填されていない部分があり、発泡が不充分であったため、熱伝導率および平均気泡径は測定しなかった。結果を表2に示す。表2に、各発泡剤におけるHFO比率を併記する。
また、図2に、比較例3、参考例4〜6、比較例4それぞれのHFO比率を横軸に、熱伝導率およびセル径を縦軸にとったグラフを示す。
また、図2に、比較例3、参考例4〜6、比較例4それぞれのHFO比率を横軸に、熱伝導率およびセル径を縦軸にとったグラフを示す。
上記結果に示すとおり、発泡剤としてイソプロピルクロリドとシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンとを併用した参考例4〜6のフェノール樹脂発泡体は、イソプロピルクロリドを単独で用いた比較例3のフェノール樹脂発泡体に比べて、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低かった。また、LOIが28%以上であり、難燃性に優れていた。
シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを単独で用いた比較例4では、参考例4〜6と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを単独で用いた比較例4では、参考例4〜6と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
<比較例5、参考例7〜9、比較例6>
上記の比較例3、参考例4〜6、比較例4において、界面活性剤をシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製、品番「SF2936F」、ポリエーテル鎖の末端:−OR(Rはアルキル基))としたこと以外は同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
上記の比較例3、参考例4〜6、比較例4において、界面活性剤をシリコーン系界面活性剤(東レ・ダウコーニング社製、品番「SF2936F」、ポリエーテル鎖の末端:−OR(Rはアルキル基))としたこと以外は同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
各例で得られたフェノール樹脂発泡体について、平均気泡径、熱伝導率、LOIを測定した。ただし、比較例6については、発泡成形後、型枠内に成形物が充填されていない部分があり、発泡が不充分であったため、熱伝導率および平均気泡径は測定しなかった。結果を表3に示す。表3に、各発泡剤におけるHFO比率を併記する。
また、図3に、比較例5、参考例7〜9、比較例6それぞれのHFO比率を横軸に、熱伝導率およびセル径を縦軸にとったグラフを示す。
また、図3に、比較例5、参考例7〜9、比較例6それぞれのHFO比率を横軸に、熱伝導率およびセル径を縦軸にとったグラフを示す。
上記結果に示すとおり、発泡剤としてイソプロピルクロリドとシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンとを併用した参考例7〜9のフェノール樹脂発泡体は、イソプロピルクロリドを単独で用いた比較例5のフェノール樹脂発泡体に比べて、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低かった。また、LOIが28%以上であり、難燃性に優れていた。
シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを単独で用いた比較例6では、参考例7〜9と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
シス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを単独で用いた比較例6では、参考例7〜9と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
<実施例10〜12、比較例7>
発泡剤2〜5におけるシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとしたこと以外は、参考例4〜6、比較例4と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
発泡剤2〜5におけるシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンを2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとしたこと以外は、参考例4〜6、比較例4と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
各例で得られたフェノール樹脂発泡体について、平均気泡径、熱伝導率、LOIを測定した。ただし、比較例7については、発泡成形後、型枠内に成形物が充填されていない部分があり、発泡が不充分であったため、熱伝導率および平均気泡径は測定しなかった。結果を表4に示す。表4に、各発泡剤におけるHFO比率を併記する。ただし、表4におけるHFO比率は、イソプロピルクロリドと2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとの合計100に対する2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの質量比率である。
上記結果に示すとおり、発泡剤としてイソプロピルクロリドと2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとを併用した実施例10〜12のフェノール樹脂発泡体は、イソプロピルクロリドを単独で用いた比較例3のフェノール樹脂発泡体に比べて、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低かった。また、LOIが28%以上であり、難燃性に優れていた。
2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを単独で用いた比較例7では、実施例10〜12と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを単独で用いた比較例7では、実施例10〜12と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
<実施例13〜15、比較例8>
発泡剤2〜5におけるシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとしたこと以外は、参考例4〜6、比較例4と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
発泡剤2〜5におけるシス−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテンをトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとしたこと以外は、参考例4〜6、比較例4と同様にしてフェノール樹脂発泡体を作製した。
各例で得られたフェノール樹脂発泡体について、平均気泡径、熱伝導率、LOIを測定した。ただし、比較例8については、発泡成形後、型枠内に成形物が充填されていない部分があり、発泡が不充分であったため、熱伝導率および平均気泡径は測定しなかった。結果を表5に示す。表5に、各発泡剤におけるHFO比率を併記する。ただし、表5におけるHFO比率は、イソプロピルクロリドとトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとの合計100に対するトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの質量比率である。
上記結果に示すとおり、発泡剤としてイソプロピルクロリドとトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンとを併用した実施例13〜15のフェノール樹脂発泡体は、イソプロピルクロリドを単独で用いた比較例3のフェノール樹脂発泡体に比べて、平均気泡径が小さく、熱伝導率が低かった。また、LOIが28%以上であり、難燃性に優れていた。
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを単独で用いた比較例8では、実施例13〜15と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
トランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンを単独で用いた比較例8では、実施例13〜15と同じ発泡成形条件では、発泡性フェノール樹脂組成物が充分に発泡せず、実用性が低かった。
参考例1〜3の結果と参考例4〜9、実施例10〜15の結果との対比から、界面活性剤としてシリコーン系界面活性剤を用いた方が、ひまし油EO付加物を用いる場合に比べて、フェノール樹脂発泡体のLOIが高く、平均気泡径が小さくなる傾向があることが確認できた。
本発明のフェノール樹脂発泡体にあっては、フェノール樹脂と、発泡剤と、酸触媒と、界面活性剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物の発泡剤として2種以上のハロゲン化炭化水素を含むことで、断熱性および難燃性に優れる。また、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡性も良好である。したがって、産業上大いに有用である。
Claims (1)
- レゾール型フェノール樹脂と、発泡剤と、酸触媒と、界面活性剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてなるフェノール樹脂発泡体であって、
前記発泡剤が、イソプロピルクロライドとハロゲン化不飽和炭化水素とからなり、
前記発泡剤におけるイソプロピルクロライドと前記ハロゲン化不飽和炭化水素との質量比が、イソプロピルクロライド:ハロゲン化不飽和炭化水素=9:1〜7:3であり、
前記ハロゲン化不飽和炭化水素が、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)またはトランス−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)であり、
平均気泡径が120μm以下であり、
熱伝導率が0.019W/m・K以下であることを特徴とするフェノール樹脂発泡体。
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