JP2019072922A - フェノール樹脂発泡体積層板 - Google Patents
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Abstract
Description
ところで、熱硬化性樹脂発泡体積層板の製造方法としては、例えば、コンベア上を走行する面材上に未硬化の発泡性熱硬化性樹脂組成物を連続的に吐出し、更にその上に他の同様な面材を被覆し、発泡及び熱硬化させる方法が知られている。
特に、フェノール樹脂発泡体積層板の製造においては、発泡硬化時に発泡性フェノール樹脂組成物より発生する水蒸気を速やかに、かつ効率的に放散させることで樹脂の硬化を促進し、優れた物性を有する製品を得ることが重要である。
この水分の速やかな放散には、特許文献1に示されているような通気性を有する可撓性面材、例えば合成繊維不織布を用い、更に、所定の開口率を有するダブルスラット型コンベアを用い、フェノール樹脂発泡体積層板を製造する技術が用いられる。
ところで本方法によれば、スラットコンベアに形成された開口部の形状と平面視形状が同一の膨らみが発泡体積層板表面に形成される。このような、表面に膨らみを有するフェノール樹脂発泡体積層板の例として、特許文献2に、発泡剤にハロゲン化不飽和炭化水素を含んだ積層板が開示されている。
発泡剤として1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、前記発泡剤中の1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの合計含有割合が30質量%以上であるフェノール樹脂発泡体の少なくとも片面に面材が積層されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、
前記面材が、合成繊維不織布であって、目付量が20g/m2以上300g/m2以下であり、面材積層部表面に15%以上80%以下の面積割合で凸部が、2%以上50%以下の面積割合でMD方向の長さが3〜150mmのTD方向に延びる平坦部が形成されている、フェノール樹脂発泡体積層板。
[2]
前記面材が圧着部を有し、該圧着部の密度が2個/cm2以上29個/cm2以下である、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]
前記発泡剤に、炭化水素及び/又はハロゲン化飽和炭化水素を含む、[1]又は[2]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[4]
面材ロールから第一の面材を0.5〜80N/mの力で引き出す工程と、
フェノール樹脂、発泡剤、界面活性剤、硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、前記第一の面材上に吐出する工程と、
前記第一の面材と同じ材質の第二の面材を、0.5〜80N/mの力で、第一の面材と引出速度が同速度になるよう面材ロールから引き出し、第一の面材上に吐出された前記発泡性フェノール樹脂組成物上に重ねる工程と、
搬送面を形成するスラット板に複数の孔が設けられたスラット型ダブルコンベアで、面材で挟み込まれた発泡性フェノール樹脂組成物を挟み込む工程と、
前記スラット型ダブルコンベアのスラット板に掛ける圧力を2kN/m2〜20kN/m2として、前記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させる工程と
を有する、[1]乃至[3]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
この水分の速やかな放散には、特許文献1に示されているような、通気性を有する可撓性面材、例えば合成繊維不織布を用い、更に、所定の開口率となるように複数の開口部がスラット板に設けられたスラット型ダブルコンベアを用いフェノール樹脂発泡体積層板を製造する技術等が用いられる。
開口部は、スラット板に貫通孔を形成することによって形成されていることが好ましい。
この際、スラット板に掛ける圧力を2kN/m2〜20kN/m2、好ましくは4kN/m2〜16kN/m2とし、面材ロールから引き出す上面材及び下面材の引き出し力を0.5〜80N/m、好ましくは1〜60N/mとすることにより、様々な形態の凸部がフェノール樹脂発泡体積層板表面に形成される。なお、スラット板に掛ける圧力は1kN/m2〜30kN/m2であってもよく、また、面材ロールから引き出す上面材及び下面材の引き出し力は、0.2〜100N/mであってもよい。
なお、面材ロールから引き出された上下の面材は、回転制御が可能なニップローラーによって引き出され、さらにスラット型ダブルコンベアにより牽引されるが、ここで言う「面材ロールから引き出す上下面材の引き出し力」とは、該ニップローラーからスラット型ダブルコンベアの間にかかる面材の張力を指す。上面材の引き出し力と下面材の引き出し力とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
面材の引き出し力の調整は、ニップローラーの回転調整や、別途張力調整用のローラーを設け、この張力調整用ローラーの位置を移動させるなどにより所望の値に調整することができる。
スラット板に掛ける圧力は、スラット板の発泡体接触面の裏面側に取付けられたロードセルにより測定され、圧力はスラット板間隔を変更すること等により、所望の値に調整することができる。
面材ロールから引き出す上下面材の引き出し力が0.5N/m以上であれば、成形時に面材表面に皺が発生しにくくなり、外観的に好ましくなる。一方、面材ロールから引き出す上下面材の引き出し力が80N/m以内であれば、面材の接着強度を向上させやすくなる。
ここで、凸部の平面視の形状とは、積層板の面材が積層された面に対して視線が垂直になるように見た場合の形状のことをいう。また、凸部の立上り部とは、凹部の底面から凸部の頂点へ向かう稜線が実質的に凹部底面からかい離した点の集合をいう。このような点は、隣接する3つの凸部の頂点を通る様に厚さ方向に切断した際に、中央の凸部の稜線(積層板の表面が成す線)と、この中央の凸部の左右に存在する凹部の底面(面材とフェノール樹脂発泡板との界面が成す面)とが接触する点である。なお、凹部の底面には面材の繊維や熱圧着部等の圧着部、更には面材の細かな皺に由来する凹凸があるが、それらは無視するものとする。
凸部の頂点は、積層板を水平な常盤上に載置してレーザー変位計にて高さを測定した際に、凸部の立上り点で囲まれた各領域の中で最も高い点を頂点とすることができる。または、積層板表面を光学顕微鏡で観察後に深度解析し、観察部分において凸部の立上り点で囲まれた各領域の中で最も高い点を頂点とすることができる。
切断する刃物としてはカミソリや、断熱材カッターなどの鋭利なものを使用することが好ましい。
凸部の幅とは、凸部の平面視の形状と2点で交わる直線の2点間の距離のうち、最も長い部分をいい、例えば、真円形状の場合には直径をいい、正四角形の場合には対角線のことをいう。凸部の平面視の形状が平面視で真円形状の場合、直径は、1mm以上10mm以下、或いは5mm以上8mm以下とするのが好ましい。
凸部は、例えば、凹部、即ち凸部の立上り部から隣接する凸部の立上り部までの間の部分から凸部の頂点までの高さ0.05mm〜1mm、直径3〜10mmの円柱状のものもできる。
また、隣接する凸部の間に形成される凹部の幅、即ち、凸部の立上り部から隣接する凸部の立上り部までの距離は、0.01〜10.00mmとすることが好ましく、0.1〜4mmが更に好ましい。隣接する凸部の間の距離が小さくなるようにスラット板に開口部を配置することで、積層板から均一に水蒸気を放散させることができる。一方で、凹部がスラット板の開口部ではない箇所に相当することから、その幅はスラット板並びに開口部の強度維持のために必要な、最低限の距離を設けなければならない。
凸部の面積割合は、スラット板の開口率によってほぼ決まり、凸部の面積割合は開口率に比べ、僅かに小さくなる。
ここで、開口部の開口率とは、開口部を含むスラット板表面のフェノール樹脂発泡体積層板成形部の総面積に対する開口部の総面積の比率であり、式(1)で表される。なお、開口部を含むスラット板表面のフェノール樹脂発泡体積層板成形部の総面積とは、開口部を含むスラット板表面の平面視形状の総面積をいう。
開口率={(スラット板表面の開口部の総面積)/(開口部を含むスラット板表面のフェノール樹脂発泡体積層板成形部の総面積)}×100[%] ・・・式(1)
ここで、凸部面積割合とは、少なくとも一つの表面に面材が積層された板状の積層板において、面材を有する面の総面積に対する凸部の総面積の比率であり、式(2)で表される。面材を有する面の総面積とは、平面視形状の総面積をいう。
なお、凸部の面積とは、凸部の立上り部で囲まれた領域の平面視の面積を意味する。なお、式中の単位面積は、積層板の任意の位置から長さ5cm×幅5cmに切り出した積層板の平面視形状の面積25cm2とし、この単位面積当たりの凸部面積割合を積層板全体の凸部面積割合とする。
凸部面積割合(%)={(単位面積当たりに存在する複数の凸部の総面積)/(単位面積)}×100[%] ・・・式(2)
凸部一つあたりの面積は、0.5mm2以上80mm2以下が好ましく、10mm2以上65mm2以下が更に好ましく、15mm2以上50mm2以下が特に好ましい。
この平坦部は、開口部のない連続した部位をスラット板上に設けることにより形成される。
フェノール樹脂発泡体積層板をビル壁面に高粘度の有機系、或いは無機系の接着剤等を用い施工する場合に、TD方向に延びる平坦部のMD方向の長さが3mm未満の場合、或いは、平坦部の面積割合が2%未満の場合は、凸部の面積割合が多くなり、大部分が凸部の頂点での点接着となるために、十分な接着強度を得ることができない。
また、TD方向に延びる平坦部のMD方向の長さが150mm超の場合、或いは、平坦部の面積割合が50%超となると、スラット板開口部の面積が少なくなるため、フェノール樹脂発泡体積層板からの水蒸気の放散が十分でなく、発泡体表層部に膨れによる空洞部が生じるために、発泡体の引張強度が低下し、同時にビル壁面への接着施工時の接着強度が低下する。
ここで、上記平坦部は、フェノール樹脂発泡体積層板表面のTD方向の両端間にわたって連続する平坦部であってもよい。平坦部のMD方向の長さは、TD方向全長さにわたって同じであってもよいし、異なっていてもよい。
上記平坦部のMD方向の長さは、フェノール樹脂発泡体積層板表面上に設けられた1つの平坦部の、TD方向全長さにおけるMD方向長さの平均値をいう。
上記平坦部は、1個設けられていてもよいし、複数個設けられていてもよい。平坦部が複数個設けられている場合、各平坦部のMD方向の長さ、TD方向の長さは、同じであってもよいし異なっていてもよい。
面材としては、合成繊維不織布が好ましく用いられる。本実施形態で用いる合成繊維不織布には、スパンボンド法等により製造されるポリアミド(ナイロン等)、ポリエステル(PET等)、アクリル樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等からなる合成繊維不織布が好ましく利用できる。
特に、発泡剤として、ハロゲン化不飽和炭化水素と2−クロロプロパン等のハロゲン化飽和炭化水素が併用された場合、発泡性フェノール樹脂組成物の粘度がより低くなる傾向にある。面材の目付が前記下限値以上であると、発泡剤として、ハロゲン化不飽和炭化水素とハロゲン化飽和炭化水素が併用された場合であっても、積層板の表面への滲み出しを抑制しやすくなる。
面材の目付量の上限は300g/m2で、好ましくは120g/m2以下、更に50g/m2以下とすることがより好ましい。面材の目付量が前記上限値以下であると、面材とフェノール樹脂発泡体との接着性が高められる。面材の目付量が300g/m2を超えると、フェノール樹脂発泡体積層板表面に製造番号や製品ロゴをインクジェットプリンター等で印刷する場合、印字が不明瞭となる。
なお、剥離した面材の目付は、面材接着強度の測定・評価で用いた剥離方法と同じ方法により剥離した面材の目付とする。
エンボスパターン、いわゆるエンボス柄としては、例えば、マイナス柄、ポイント柄、織り目柄等が挙げられる。これらの柄は、旭化成株式会社のスパンボンド不織布「エルタス」に施されたエンボス柄を参照することで確認が可能である。特にマイナス柄のエンボスは、その単位面積当たりの数が少なくても、合成繊維不織布の強度を維持しつつ、また単位面積当たりの数が少ないと、同不織布の厚みが増し、発泡性フェノール樹脂組成物のスラット板への滲み出しを抑制する効果があり、更に合成繊維不織布を構成する繊維同士の間隔が広まり高粘度の有機系接着剤やモルタル(ベースコートと呼ぶ場合もある)が浸透し易くなるため、ビル壁面への接着強度を高めることができる。
また、圧着部密度は、2個/cm2以上250個/cm2以下であることが好ましく、2個/cm2以上29個/cm2以下であることがより好ましい。圧着部密度は単位面積あたりの圧着部の個数を意味しており、次式で表される。
圧着部密度(個/cm2)=圧着部の数(個)/面材の表面積(cm2) ・・・式(3)
圧着部密度が250個/cm2以内であれば、発泡性フェノール樹脂組成物の滲み出しを抑制しやすくなる。
また、ビル壁面に高粘度の有機系接着剤やモルタル等を用いて施工する場合には、圧着部密度を29個/cm2以下とすることにより、合成繊維不織布を構成する繊維同士の間隔が広まり高粘度の有機系接着剤やモルタルがフェノール樹脂発泡体積層板表面の不織布層に浸透し易く、壁面への接着強度を高めやすくなる。また、圧着部密度を2個/cm2以上にすることにより、フェノール樹脂発泡体積層板製造時に必要な面材の引張強度を付与しやすくなり、製造時の面材破れ等を防ぎやすくすることができる。
圧着部密度が2個/cm2以上であれば、フェノール樹脂発泡体積層板表面に製造番号や製品ロゴをインクジェットプリンター等で印刷する場合、印刷外観が明瞭となりやすく、積層板印字性がよくなりやすい。
圧着部分は、圧着により形成されていることから不織布の他の面と比べてわずかに凹んでいるが、その凹みの深さは0.01〜1.0mmであることが好ましい。上記深さが0.01mm以上では不織布の強度が発現し易く、1.0mm以下では不織布に適度な厚みを持たせやすくなり、発泡性フェノール樹脂組成物の滲み出しが抑制しやすくなる。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール化合物とアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で反応させて得られるフェノール樹脂である。
フェノール化合物としては、フェノール、クレゾール、キシレノール、パラアルキルフェノール、パラフェニルフェノール、レゾルシノール及びこれらの変性物等が挙げられる。
アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、アセトアルデヒド等が挙げられる。
アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、脂肪族アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン等)等が挙げられる。ただしフェノール化合物、アルデヒド、アルカリ触媒はそれぞれ上記のものに限定されるものではない。
フェノール化合物とアルデヒドとの割合は特に限定されない。好ましくは、フェノール化合物:アルデヒドのモル比で、1:1〜1:3であり、より好ましくは1:1.3〜1:2.5である。
なお、40℃における粘度は、回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の値を粘度値とした。により測定することができる。
また、ハロゲン化不飽和炭化水素は、オゾン破壊係数(ODP)や地球温暖化係数(GWP)が小さく、環境に与える影響が小さい。また、ハロゲン化不飽和炭化水素は不燃性であるため、フェノール樹脂発泡体の難燃性が高められる。
ハロゲン化不飽和炭化水素としては、例えば、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)(EおよびZ異性体)、1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(HFO−1336mzz)(EおよびZ異性体)、1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエテン(EおよびZ異性体)、1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zd)(EおよびZ異性体)、1−クロロ−2,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yd)(EおよびZ異性体)、1−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233zb)(EおよびZ異性体)、2−クロロ−1,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xe)(EおよびZ異性体)、2−クロロ−2,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xc)、2−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233xf)、3−クロロ−1,2,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1233ye)(EおよびZ異性体)、3−クロロ−1,1,2−トリフルオロプロペン(HCFO−1233yc)、3,3−ジクロロ−3−フルオロプロペン、1,2−ジクロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン(HCFO−1223xd)(EおよびZ異性体)、2−クロロ−1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン(EおよびZ異性体)、および2−クロロ−1,1,1,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−2−ブテン(EおよびZ異体)等が挙げられる。
これらのハロゲン化不飽和炭化水素は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
発泡剤中の1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの含有割合が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡体積層板の断熱性をより高められる。
発泡剤が炭化水素を含む場合、ハロゲン化不飽和炭化水素と炭化水素との質量比は、ハロゲン化不飽和炭化水素:炭化水素=1:9〜9:1であることが好ましく、3:7〜7:3であることがより好ましく、4:6〜6:4であることがさらに好ましい。
ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記下限値以上であれば、フェノール樹脂発泡体の断熱性をより高められる。ハロゲン化不飽和炭化水素の割合が上記上限値以下であれば、発泡性フェノール樹脂組成物の粘度が低くなりすぎず、表面への滲み出しの抑制性が高められやすくなる。また、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡性が良好で、発泡剤の量が少なくても十分に発泡できる。
ハロゲン化飽和炭化水素は、フェノール樹脂組成物との相溶性が高く、ハロゲン化飽和炭化水素を含む発泡性フェノール樹脂組成物は、粘度がより低下する傾向にあるため、使用する面材の目付を調整することで表面への滲み出しを抑制することができる。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の熱伝導率は、0.020W/m・K以下であることが好ましく、0.019W/mK以下がより好ましく、0.018W/mK以下が更に好ましい。熱伝導率が本範囲であれば、良好な断熱性能を得ることができる。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の平均気泡径の適正範囲は、150μm以下であることが好ましく、より好ましい範囲は40〜120μm、さらに好ましい範囲は50〜100μmである。平均気泡径が本範囲であれば、輻射抑制効果が得られ、且つ気泡内での対流も抑制でき、良好な断熱性能を得ることができる。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体の独立気泡率の適正範囲は、80%以上が好ましく、より好ましい範囲は85%以上、さらに好ましい範囲は90%以上である。独立気泡率が本範囲であれば、長期間に亘り良好な断熱性能を維持することができる。
フェノール樹脂発泡体の制限酸素指数、即ちLOIは、発泡剤の種類および組成、界面活性剤の種類、難燃剤の種類および組成とその量等により調整できる。
例えば、発泡剤中の可燃性の発泡剤の含有量が少ない、即ち、難燃性の高いハロゲン化炭化水素の含有量が多いほど、LOIが高い。また、界面活性剤がシリコーン系界面活性剤、特に末端が−OHであるポリエーテル鎖を有するものであれば、他の界面活性剤を用いる場合に比べて、LOIが高い傾向がある。さらに、リン系難燃剤等を添加することでLOIを高くすることができる。
はじめに発泡剤として使用したハロゲン化不飽和炭化水素、炭化水素、及びハロゲン化飽和炭化水素の標準ガスを用いて、以下のGC/MS測定条件における保持時間を求めた。
次に、フェノール樹脂発泡体積層板から面材を剥がし、フェノール樹脂発泡体試料約10gと金属製ヤスリとを10L容器(製品名「テドラーバック」)に入れて密封し、窒素5Lを注入した。テドラーバックの上からヤスリを用いて試料を削り、細かく粉砕した。続いて、試料をテドラーバックに入れたまま、81℃に温調された温調機内に10分間入れた。テドラーバック中で発生したガスを100μL採取し、以下に示す測定条件にて、GC/MS分析を行い、フェノール樹脂発泡体中の発泡剤成分の種類を同定した。
ハロゲン化不飽和炭化水素、炭化水素、及びハロゲン化飽和炭化水素の種類は、事前に求めた保持時間とマススペクトルから同定した。更に別途、発生したガス成分の検出感度を各々標準ガスによって測定し、GC/MSで得られた各ガス成分の検出エリア面積と検出感度より、組成比を算出した。同定した各ガス成分の組成比とモル質量より各ガス成分の質量比を算出した。
(GC/MS測定条件)
ガスクロマトグラフィー:アジレント・テクノロジー社製「Agilent7890型」
カラム:ジーエルサイエンス社製「InertCap 5」(内径0.25mm、膜厚5μm、長さ30m)
キャリアガス:ヘリウム
流量:1.1ml/分
注入口の温度:150℃
注入方法:スプリット法(1:50)
試料の注入量:100μL
カラム温度:−60℃5分間保持、50℃/分で150℃まで昇温し、2.8分保持
質量分析:日本電子株式会社製「Q1000GC型」
イオン化方法:電子イオン化法(70eV)
スキャン範囲:m/Z=10〜500
電圧:−1300V
イオン源温度:230℃
インターフェース温度:150℃
フェノール樹脂発泡体積層板から、20cm角のボードを切り出し、面材を取り除いて、フェノール樹脂発泡体の質量と見かけ容積を測定した。求めた質量及び見かけ容積を用いて、JIS K 7222に従い、密度(見かけ密度)を算出した。
JIS A 1412−2:1999に準拠し、以下の方法で23℃の環境下におけるフェノール樹脂発泡体の熱伝導率を測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板を600mm角に切断した。切断により得られた試片を23±1℃、湿度50±2%の雰囲気に入れ、24時間ごとに質量の経時変化を測定し、直近の質量からの変化率が0.2質量%以下になるまでその状態を保持した。
直近の質量からの変化率が0.2質量%以下となった、600mm角のフェノール樹脂発泡体積層板を、傷つけないように面材を剥がしてから、同環境下に置かれた熱伝導率の測定装置に導入した。
熱伝導率の測定は、試験体1枚、対称構成方式の測定装置(英弘精機社、商品名「HC−074/600」)を用い行った。23℃の環境下における熱伝導率は、低温板が13℃、高温板が33℃の条件で測定した。
JIS K 6402記載の方法を参考に、以下の方法でフェノール樹脂発泡体の平均気泡径を測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板から、フェノール樹脂発泡体の厚み方向におけるほぼ中央をフェノール樹脂発泡体積層板の表裏面に平行に切削し、切削断面を50倍に拡大した写真を撮影した。得られた写真の任意の位置に9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数の平均値を求めた。平均気泡径は横切った気泡の数の平均値で1,800μmを除すことで算出される値である。
ASTM D 2856−94(1998)Aを参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板中のフェノール樹脂発泡体の厚み方向中央部から、約25mm角の立方体試片を切り出した。厚みが薄く25mmの均質な厚みの試片が得られない場合は、切り出した約25mm角の立方体試片表面を約1mmずつスライスし均質な厚みを有する試片を用いた。
各辺の長さをノギスにより測定し、見かけ体積(V1:cm3)を算出すると共に試片の質量(W:有効数字4桁,g)を測定した。引き続き、エアーピクノメーター(東京サイエンス社、商品名「MODEL1000」)を使用し、ASTM D 2856のA法に記載の方法に従い、試片の閉鎖空間体積(V2:cm3)を測定した。
また、上述の平均気泡径の測定法に従い平均気泡径(t:cm)を計測すると共に、上記試片の各辺の長さより、試片の表面積(A:cm2)を算出した。
求めたt、及びAより、下記(4)式より、試片表面の切断された気泡の開孔体積(Va:cm3)を算出した。また、固形フェノール樹脂の密度は1.3g/cm3とし、試片に含まれる気泡壁を構成する固体部分の体積(Vs:cm3)を、下記(5)式より算出した。
Va=(A×t)/1.14 ・・・式(4)
Vs=W/1.3 ・・・式(5)
上記の結果より、下記式(6)により独立気泡率を算出した。
独立気泡率(%)=〔(V2−Vs)/(V1−Va−Vs)〕×100 ・・・式(6)
同一製造条件の発泡体サンプルについて6回測定し、その平均値を代表値とした。
JIS A 9511−2017 6.13.3の測定方法C(JIS K 7201−2)に準拠し以下の方法でフェノール樹脂発泡体の制限酸素指数を求めた。
フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向における中心部より、JIS K 7201−2に定義される試験片II型(10mm×10mm×150mm)を切り出した。試験片に面材が含まれる場合には、面材を含む厚さ1mmの表層を除去した。切り出された試験片は試験を行う直前まで23℃、相対湿度50%の雰囲気で88時間以上養生した。AC形キャンドル燃焼試験機(株式会社東洋精機製作所製)を用いて試験を行い、制限酸素指数を測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板の部材として用いる不織布の目付量は、不織布単体をそのままJIS L 1913:2010に定められた「単位面積当たりの質量」の試験方法にて、測定する。
フェノール樹脂発泡体積層板から不織布の目付量を測定する場合には、フェノール樹脂発泡体を有する不織布を、なるべくフェノール樹脂発泡体のみの箇所が少なくなるようにフェノール樹脂発泡体積層板から切りとり、不織布と絡み合ったフェノール樹脂発泡体を物理的な方法によって崩す、液体窒素に浸して冷凍させた後に、物理的な方法によって崩す、フェノール樹脂発泡体のみを溶解・分解する溶剤に浸す、等、フェノール樹脂発泡体の性質に応じた適切な方法を選択することによって、フェノール樹脂発泡体を除去する。不織布内部に接着剤等が浸透している場合には、接着剤等を物理的な方法によって崩す、液体窒素に浸して冷凍させた後に物理的な方法によって崩す、接着剤等のみを溶解・分解する溶剤に浸す等、接着剤等の性質に応じた適切な方法を選択することによって接着剤等を除去する。その後、フェノール樹脂発泡体積層板から得られた不織布をJIS L 1913:2010に定められた「単位面積当たりの質量」の試験方法にて測定を行う。
フェノール樹脂発泡体積層板の不織布と壁面等の外部部材とが接着剤を介して接合された複合体を形成しており、不織布内部に接着剤が浸透している場合には、フェノール樹脂発泡体と接着剤が付着した不織布を、なるべくフェノール樹脂発泡体のみの箇所が少なくなるように、且つ、なるべく接着剤のみの箇所が少なくなるように、複合体から切りとり、その後、不織布と絡み合ったフェノール樹脂発泡体及び接着剤を物理的方法により崩す、液体窒素に浸して冷凍させた後に物理的方法により崩す、フェノール樹脂発泡体及び/又は接着剤のみを溶解・分解する溶剤に浸す等、フェノール樹脂発泡体及び接着剤の性質に応じた適切な方法を選択することによってフェノール樹脂発泡体及び接着剤を除去し、その後、複合体から得られた不織布をJIS L 1913:2010に定められた「単位面積当たりの質量」の試験方法にて測定を行う。
弾性繊維並びにマルチフィラメント繊維のデニールを測定する手段のうちマルチフィラメント繊維についてはJIS L 1013に従う。また、弾性繊維については標準状態の雰囲気中で無荷重の状態で弾性繊維をぶら下げてその糸長(L:単位m)を測り、その質量(W:単位g)を測定することでデニール(D)を下記(7)式より算出し、これを30回行って、その平均値をそのものの繊維径とする。
D=(W/L)×9000 ・・・式(7)
なお、弾性繊維のデニール測定の際、糸長Lの長さは特に限定されないが精度良く数値を求めるためには弾性繊維の自重効果による伸びが影響されない程度の長さが好ましく、例えば20デニール〜40デニール程度のものは糸長Lは1m前後の長さが好ましい。
表1に記載の面材を予め二枚重ねにして、フェノール樹脂発泡体積層板を製造した。発泡性フェノール樹脂組成物の滲み出しが起こると、その箇所で、滲み出した発泡性フェノール樹脂組成物により二枚の面材同士が接着する。接着箇所は目視で確認可能であり、当該接着箇所をマーキングし、1m×1m(1m2)当たりに生じた接着箇所と非接着箇所を二値化して、アドビシステムズインコーポレーテッド製、製品名「Photoshop(登録商標)」の画像処理ソフトウェアで処理して接着箇所の面積を算出し、「面材からからの発泡性フェノール樹脂組成物の滲み出し面積割合」とした。
なお、面材から滲み出た発泡性フェノール樹脂組成物を目視で漏れなく検出することは非常に困難であったが、本方法によれば、面材同士が接着した箇所は接着していない箇所と明確に差があるため、滲み出し部分を漏らさず検出することが可能である。
接着強度の測定は以下の手順にて行った。まず、幅60cm、長さ120cmのフェノール樹脂発泡体積層板の端部中央部分において、幅方向に3cm、長手方向に30cmの短冊状の切れ込みを6個設け、短冊の端部を約3cm剥離し、ペーパークリップにて把持し、それをフォースゲージに接続しておよそ1cm/秒の速度にて面材と芯材(フェノール樹脂発泡板)の剥離角度を90度に保ちつつ剥離せしめる。そのときの最高値を記録し、積層板の表、裏合計12ケ所の測定値のうち、最低の値と最高の値を除いた10カ所の測定値の平均値を以て、該積層板の面材と芯材との接着強度(g/3cm幅)とする。フォースゲージは、最大荷重50kgのものを使用し、小数点以下を四捨五入したものを測定値とした。接着強度の値には、積層板5枚の測定値の平均を求めて、1の位を四捨五入したものを採用し、下記評価基準に従って評価した。
≪評価基準≫
○:接着強度に優れる(400g/3cm幅以上)
△:接着強度が中程度(120/3cm幅以上400g/3cm幅未満)
×:接着強度が劣る(120g/3cm幅未満)
上記の面材接着強度の測定・評価でフェノール樹脂発泡体から剥がした面材を用い、3cm幅の同面材を10cmに切断し、測定された重量を面材の面積で除して1m2あたりの目付量を計算した。5サンプルの同計算値の平均を求めて、剥離後の面材の目付量とした。
初期外観:製造直後のフェノール樹脂発泡体積層板表面から見た初期の表面外観の評価は、製造した厚さ45mm、幅1000mm、長さ910mmの積層板20枚について、積層板の表面を目視で観察し、下記評価基準にて評価した。
≪評価基準≫
○:20枚中20枚のフェノール樹脂発泡体積層板について、滲み出し汚れ、しわ、折り目のいずれも無い。
△:20枚中1〜2枚のフェノール樹脂発泡体積層板について、滲み出し汚れ、しわ、折り目のいずれかが観察された。
×:20枚中3枚以上のフェノール樹脂発泡体積層板について、滲み出し汚れ、しわ、折り目のいずれかが観察された。
経時外観:初期外観観察に使用したサンプルを、110℃のオーブン内に14日間放置し、表面を目視で観察し、下記評価基準にて評価した。
≪評価基準≫
○:表面の変色なし
×:表面の変色あり
製造した厚さ45mm、幅1000mm、長さ910mmの積層板20枚について、フェノール樹脂発泡体積層板表層付近に発生した膨れを目視で観察し、当該膨れ部にカッターで上部から切り込みをいれ、目視で表層部に空洞部が確認できるものを「膨れあり」とした。
≪評価基準≫
○:20枚中20枚のフェノール樹脂発泡体積層板について、同表層での膨れが観察されなかった。
×:20枚中の少なくとも1枚のフェノール樹脂発泡体積層板について、同積層板表層での膨れが観察された。
インクジェットプリンターを用いてボード表面に黒インクで数字の8を印字した。8の字を包含するタテ5cmヨコ3cm角のサンプルをカッターで切り出した後、その箇所の白黒コピーをとり、これを画像ソフトで二値化処理して黒色部の割合を算出した。
≪評価基準≫
○:黒色部の割合 20%以上
△:黒色部の割合 15%以上、20%未満
×:黒色部の割合 15%未満
製造した厚さ45mm、幅1000mm、長さ910mmの積層板から、厚み方向方法に切り込みを入れて50mm角のサンプルを切り出した。
ベースコート(PAREX 121 BASE Coat & Adhesive、インターナショナル・プライオリティ・プロジェクツ)500gに対し500gの普通セメントと75gの水を加え、直径50mmのピッチドタービン型の撹拌羽根を取り付けたAZ ONE社のHIGH POWER MIXER TORNADE SM101にて500rpmで3分撹拌した。この混合物を上下の面材上に各々20±5kg/m2の範囲で塗布し、23℃50%Rh下で3日間養生した。JIS K6849:1994に準じ、養生したサンプルの上記混合物塗布面上に金属製の引張試験用治具(接着面は50mm×50mmの正方形)をエポキシ系樹脂にて接着し、23℃ 50%RHの条件下にて24時間養生した後、AUTO GRAPH AG−X PLUS(島津製作所製)にて引張速度3mm/MINにてサンプルの厚み方向に引張試験を実施し、破断時の強度を引張強度とした。5サンプル測定値の平均値を施工時の接着強度とした。
≪評価基準≫
○:接着強度に優れる(150kPa以上)
△:接着強度が中程度(100kPa以上150kPa未満)
×:接着強度が劣る(100kPa未満)
(実施例1)
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液3500kgと99質量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を進行させた。オストワルド粘度が60センチストークス(25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液でpHを6.4に中和した。60℃で脱水処理して、得られた反応液(フェノール樹脂組成物)の粘度を測定したところ、40℃における粘度は6,000mPa・s、水分量は5質量%であった。
<発泡性フェノール樹脂組成物の調製>
フェノール樹脂を主成分とする脱水後の反応液96.5質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、製品名「プルロニック(登録商標)F−127」)を3.5質量部の割合で混合した。
得られた界面活性剤含有フェノール樹脂組成物100質量部に対して、発泡剤として1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン40質量%とシクロペンタン60質量%との混合物10質量部、硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%との混合物11質量部を、25℃に温調したミキシングヘッドに供給し、発泡性フェノール樹脂組成物を得た。
<フェノール樹脂発泡体積層板の製造>
上下面材として、目付量30g/m2、圧着部密度12個/cm2、繊維径約1.8デニール、圧着部の柄、即ちエンボス柄がマイナスである、旭化成株式会社製エルタスE01030のポリエステル(PET)不織布を使用した。
マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に上述した発泡性フェノール樹脂組成物を供給した。下面材上に供給された発泡性フェノール樹脂組成物は、上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、85℃のスラット型ダブルコンベアへ送り、20分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで3時間キュアして厚さ45mmのフェノール樹脂発泡体積層板を得た。このとき、上下の面材にかかる引き出し力は4N/mとなるように上下の面材を面材ロールから引き出した。更に、スラット板に掛ける圧力を8kN/m2とした。この際に利用したスラット型ダブルコンベアの上下のスラット板には、硬化中に発生する水分を外部に放出できるように円形状の直径5mmの複数の貫通口が開口率47%にて設けられ、更にMD方向の長さ8mmのTD方向に延びる開口部のない平坦部が5%の面積割合で設けられていた。
得られたフェノール樹脂発泡体積層板を幅1000mm、長さ910mmに切断し実施例1の積層板を作製した。
発泡剤、スラット板の開口率、スラット板の平坦部のMD方向長さ/面積割合、面材の種類、スラット板に掛ける圧力、面材の引き出し力を表1の条件で変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜24の積層板を作製した。
スラット板の開口率30%とし、更にMD方向の長さ160mmのTD方向に延びる開口部のない平坦部を40%の割合で設けたこと以外は、実施例3と同様にして積層板を作製した。
平坦部のMD方向の長さを2.3mmとしたこと以外は、実施例3と同様にして積層板を作製した。
スラット板の開口率22%とし、更に平坦部の面積割合を55%としたこと以外は、実施例3と同様にして積層板を作製した。
スラット板の開口率49%とし、更にMD方向の長さ3mmのTD方向に延びる開口部のない平坦部を1.5%の割合で設けたこと以外は実施例3と同様にして積層板を作製した。
面材の種類を表1の条件で変更した以外は、実施例3と同様にして積層板を作製した。
スラット板の開口率14%とし、更に平坦部の面積割合を63%としたこと以外は、実施例3と同様にして積層板を作製した。
これに対して、比較例1、3、7の積層板は、積層板の表層部に空洞が発生しており、施工時の接着強度が低かった。比較例2、4の積層板は、施工時の接着強度が低く、比較例5の積層板は、表面への発泡性フェノール樹脂組成物の滲み出しが多く、表面外観が悪かった。比較例6の積層板は、積層板表面への印字性が悪かった。
これらの結果から、本発明を適用することで、断熱性に優れ、かつ、表面の美麗性に優れる積層板を得られることが確認できた。
Claims (4)
- 発泡剤として1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含み、前記発泡剤中の1,1,1,4,4,4−ヘキサフルオロ−2−ブテン及び1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンの合計含有割合が30質量%以上であるフェノール樹脂発泡体の少なくとも片面に面材が積層されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、
前記面材が合成繊維不織布であって、目付量が20g/m2以上300g/m2以下であり、面材積層部表面に15%以上80%以下の面積割合で凸部が、2%以上50%以下の面積割合でMD方向の長さが3〜150mmのTD方向に延びる平坦部が形成されている、フェノール樹脂発泡体積層板。 - 前記面材が圧着部を有し、該圧着部の密度が2個/cm2以上29個/cm2以下である、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
- 前記発泡剤に、炭化水素及び/又はハロゲン化飽和炭化水素を含む、請求項1又は2に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
- 面材ロールから第一の面材を0.5〜80N/mの力で引き出す工程と、
フェノール樹脂、発泡剤、界面活性剤、硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、前記第一の面材上に吐出する工程と、
前記第一の面材と同じ材質の第二の面材を、0.5〜80N/mの力で、第一の面材と引出速度が同速度になるよう面材ロールから引き出し、第一の面材上に吐出された前記発泡性フェノール樹脂組成物上に重ねる工程と、
搬送面を形成するスラット板に複数の孔が設けられたスラット型ダブルコンベアで、面材で挟み込まれた発泡性フェノール樹脂組成物を挟み込む工程と、
前記スラット型ダブルコンベアのスラット板に掛ける圧力を2kN/m2〜20kN/m2として、前記発泡性フェノール樹脂組成物を発泡硬化させる工程と
を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
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