JP7027078B2 - フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 - Google Patents

フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関し、更に詳しくは、フェノール樹脂発泡体の厚み方向上下面のスキン層の独立気泡率に優れるフェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関する。
レゾール型フェノール樹脂を原料としたフェノール樹脂発泡体積層板は、燃え難く、煙の発生が少なく、しかも断熱性も良好なところから、従前より、例えば金属サイディング等の外壁材、間仕切りパネル等の内壁材の他、天井材、防火扉、雨戸等の建材に使用されている。また、酸硬化型のフェノール樹脂発泡体積層板は、建材用や工業プラント用の保冷・保温材としても広く使用されている。
ここで、フェノール樹脂発泡体積層板は、近年、様々な断熱性向上の取り組みがなされており、特に発泡体内部(中心部)の独立気泡率向上に注力されてきた。また特許文献1では、厚みの大きなフェノール樹脂発泡体を製造し、厚み方向の密度分布を揃えることで厚み方向に任意の厚みでスライス切断した後、複数枚のフェノール樹脂発泡体として利用する取り組みがなされているものの、厚み方向の部位違いによって独立気泡率等の諸物性を一定にすることは難しく、厚み方向に亘って高独立気泡率であることが望まれていた。
国際公開第2014/133023号 国際公開第2010/126024号 国際公開第2012/053493号
フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、発泡性フェノール樹脂組成物を混合機にて混合する混合工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を複数の吐出ノズルにより分配及び拡幅して走行する下面材上に吐出する吐出工程と、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を上面材と接着するまで膨らませてフェノール樹脂発泡体積層板を製造する発泡体積層板製造工程とを備える連続製造方式が一般的である。なお、ここで言う拡幅とは、面材の走行方向と直交する方向(面材の幅方向)に対して吐出口を広げることを指す。
特許文献2では、硬化時に発生する水分の放散を促進し、製造効率を向上させる取り組みがなされており、具体的には、一定以上の開口率を有するダブルコンベア型の成形装置を用いて発泡、硬化させることで、製造効率を改善しようとするものである。しかし、該技術では、面材上に吐出した、複数に分配された発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ板状に予成形させる工程を設けておらず、本成形工程のみにおいて発泡及び硬化が進められる。ここで、本成形工程において温度が高いと、硬化よりも発泡が進行しやすく、平均気泡径が大きくなり望ましくないが、一方、本成形工程の温度が低すぎると、発泡に比べて硬化が遅れる為、得られるフェノール樹脂発泡体積層板の面材上に皺が発生し外観上の問題が生じる。このために本成形工程とは別に予成形工程を設け、発泡を進め過ぎずに硬化を進めることが重要である。特許文献3は、予成形工程を設けて発泡と硬化のバランスを調整する技術であるものの、フェノール樹脂発泡体のスキン層における独立気泡率の向上を実現するには至らなかった。
本発明者らが鋭意研究を行ったところ、厚み方向に亘って高独立気泡率を実現させる上では、製造時下方側に位置する面材と接するフェノール樹脂発泡体のスキン層は特に、硬化時に発生する水分が放散し難い上、反応熱が籠りやすいため、独立気泡率が低下しやすいという問題があることを見出した。
更に検討を進めたところ、発泡性フェノール樹脂組成物を可撓性面材上に吐出した後に予成形させる工程を設けつつ、更には、この工程において可撓性面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接しない側の可撓性面材表面に、通気層を設けることで、フェノール樹脂発泡体のスキン層の独立気泡率が高い、フェノール樹脂発泡体積層板を得ることができることを見出した。また、密度、平均気泡径、中心層とスキン層の独立気泡率が特定範囲のフェノール樹脂発泡体からなるフェノール樹脂発泡体積層板は、反りが少なく外観良好であり、その断熱性もより一層向上することを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]~[6]を提供する。
[1]フェノール樹脂発泡体の厚み方向の両表面に可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、前記フェノール樹脂発泡体は、密度が20kg/m以上50kg/m以下、平均気泡径が20μm以上180μm以下、中心層独立気泡率が85%以上、スキン層独立気泡率が81%以上であり、1000mm×1000mmの大きさに切出し目視にてフェノール樹脂発泡体積層板の上下表面を観察すると、長さ10mm以上の皺が合計10本未満で観察される、フェノール樹脂発泡体積層板。
[2]
上記フェノール樹脂発泡体が、炭化水素と塩素化脂肪族炭化水素の少なくとも一方を含むことを特徴とする、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]
上記フェノール樹脂発泡体が、塩素化ハイドロフルオロオレフィンと非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの少なくとも一方を含むことを特徴とする、[1]または[2]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[4]上記可撓性面材が織布又は不織布である、[1]~[3]のいずれかに記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[5]フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を可撓性面材上に吐出する工程、前記可撓性面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を70℃以下に温調された空間にて発泡及び硬化させつつ予成形させる工程、発泡性フェノール樹脂組成物を成形装置を用いて70℃以上に温調された空間にて発泡及び硬化させ本成形させる工程を含み、前記可撓性面材は目付量が15g/m 以上200g/m 以下の織布又は不織布であり、前記予成形させる工程において、発泡性フェノール樹脂組成物が接しない側の前記可撓性面材表面が通気層に接していることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[6]予成形させる工程の前記通気層の開口率が5%以上95%以下であることを特徴とする、[5]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
本発明によれば、フェノール樹脂発泡体の厚み方向の少なくとも上下面に可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、密度が20kg/m3以上50kg/m3以下、平均気泡径が20μm以上180μm以下、中心層独立気泡率が85%以上、スキン層独立気泡率が80%以上である、厚み方向に亘って高独立気泡率であるフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができる。また、本発明のフェノール樹脂発泡体積層板は、反りが少なく外観良好であり、その断熱性もより一層向上することを見出した。
以下、本発明をその好適な実施形態に則して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体積層板(以下、「発泡体積層板」という場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂硬化体中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体と、当該フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に設けられた可撓性面材とを備える積層板である。
そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、厚み方向に亘って独立気泡率が高く、優れた長期断熱性能を有している。また、本実施形態の発泡体積層板は、反りが少ない特徴を有することから、特に50mmを超える厚物であれば、厚み方向に垂直な面で切断することで厚み方向に亘って品質が均等化したフェノール樹脂発泡体の多枚取りが可能となり、断熱性に優れる建材などとしての利用価値が高い。なお、フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向とは、三辺のうち最も寸法が小さな辺のことをいう。中心層独立気泡率及びスキン層独立気泡率の測定上の制約により、上記フェノール樹脂発泡体の厚みは30mm以上200mm以下であることが好ましい。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板におけるフェノール樹脂発泡体の密度は、20kg/m3以上50kg/m3以下であり、好ましくは20kg/m3以上40kg/m3以下である。密度が20kg/m3以上であると圧縮強度等の機械的強度が確保でき、発泡体の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、密度が50kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノール樹脂発泡体の密度は、主に、発泡剤の割合、発泡剤の添加量と酸性硬化剤の添加量との比、硬化条件の変更等により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、20μm以上180μm以下であり、好ましくは40μm以上150μm以下である。平均気泡径が20μm以上であると、発泡体の密度が高くなることを抑制できる。この結果、発泡体における樹脂部の伝熱割合を低減できるため、フェノール樹脂発泡体の断熱性能を確保することができる。また、逆に平均気泡径が180μmを超えると、輻射による熱伝導率が増加するようになり、発泡体の断熱性能が低下するおそれがある。なお、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、例えば、発泡剤の添加量と酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比の変更等により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体の中心層独立気泡率は、85%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。中心層独立気泡率が85%以上であると、フェノール樹脂発泡体中の発泡剤が空気と置換して長期の断熱性能が低下する傾向を抑制することができる。なお、フェノール樹脂発泡体の中心層独立気泡率は、例えば、発泡核剤の添加量、発泡剤の添加量と酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比の変更等により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体のスキン層独立気泡率は、80%以上であり、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上である。スキン層独立気泡率が80%以上であると、厚み方向に亘って断熱性能を高くすることができる上、厚み上下面に対して水平にスライス切断した場合でも厚み方向に亘って品質が均等化した多枚取りが可能となる。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成するレゾール型フェノール樹脂等を用いることができる。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40~100℃の温度範囲で加熱して合成する。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素、ジシアンジアミド、メラミン等の添加剤を添加してもよい。これらの添加剤を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整する。また、フェノール樹脂には、炭素数8以上の脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてマテリアルリサイクル粉体、等の添加剤を添加することもできる。フェノール樹脂は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは添加剤を加えた後のものを指す。そして、本明細書では、「フェノール樹脂」に対して界面活性剤を添加したものを「フェノール樹脂組成物」と称し、「フェノール樹脂組成物」に対して発泡剤、及び酸性硬化剤、必要に応じて発泡核剤を添加して発泡性および硬化性を付与したものを「発泡性フェノール樹脂組成物」と称する。
フェノール樹脂合成時のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類は、フェノール自体、及び他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o-、m-及びp-クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p-tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、ホルムアルデヒド自体、及び他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
フェノール樹脂及びフェノール樹脂組成物の40℃における粘度は、好ましくは5,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以上50,000mPa・s以下であり、さらに好ましくは9,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である。
また、フェノール樹脂及びフェノール樹脂組成物の水分量は1.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる界面活性剤、発泡剤及び発泡核剤は、フェノール樹脂に予め添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時に添加してもよい。
界面活性剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14~22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
発泡剤としては、特に限定されないが、オゾン層を破壊することのないHFC類、HC類(炭化水素)を用いることが好ましい。とりわけ、地球温暖化係数が小さいことから、炭化水素を使用することがより好ましい。
また、発泡剤としては、製造コストを抑えつつ、フェノール樹脂発泡体積層板の断熱性能を向上させるという観点から、炭化水素と塩素化炭化水素の少なくとも一方を用いることが好ましい。また、フェノール樹脂発泡体積層板の断熱性能をより向上させる観点からは、塩素化ハイドロフルオロオレフィンと非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3~7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。これら炭化水素は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
フェノール樹脂に対する発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂との相性や、発泡・硬化過程でのロスによりばらつきがあるが、3.0~11.0質量部あることが好ましく、4.0~9.5質量部であることがより好ましい。フェノール樹脂に対する発泡剤の量が3.0質量部以上であると密度が50kg/m3以下となり、好ましい。また、フェノール樹脂に対する発泡剤の量が11.0質量部以下であると、密度が20kg/m3以上となるため好ましい。
炭化水素以外の発泡剤としては、塩素化脂肪族炭化水素を使用することもできる。塩素化脂肪族炭化水素としては、炭素数が2~5の直鎖状または分岐状のものが用いられる。結合している塩素原子の数は限定されるものではないが、1~4が好適に用いられ、例えばジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドがより好ましく用いられる。これら塩素化脂肪族炭化水素は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
また、発泡剤として、塩素化ハイドロフルオロオレフィン及び非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを使用することもできる。塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペンなどが挙げられる。
更に、非塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、具体的には、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンなどが挙げられる。
なお、これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよく、任意に選択できる。
また、必要に応じて、発泡核剤を添加することもできる。発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い、低沸点物質を用いることができる。また、固体発泡核剤として、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、及び、フェノール樹脂発泡体粉のような有機粉を添加することもできる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸性硬化剤は、フェノール樹脂を硬化できる酸性の硬化剤であればよく、有機酸を含有することが好ましい。酸性硬化剤中に含まれる有機酸としては、リン酸やアリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられ、これらを一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。上記酸性硬化剤は、上記有機酸のみからなっていてもよい。また、これらの有機酸を、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o-メチロールフェノール)、p-メチロールフェノール等を添加してもよい。
上記酸性硬化剤、上記硬化助剤は、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
酸性硬化剤もその種類により使用量は異なり、無水リン酸を用いた場合、好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下、より好ましくは8質量部以上25質量部以下で使用される。キシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物を使用する場合、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上30質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下で使用される。
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される可撓性面材としては、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布及び織布や、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等が好ましく、これらは混合または積層して用いてもよい。上記可撓性面材としては、織布又は不織布が好ましい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。更に、可撓性面材としては、難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。
なお、通気層からの反応熱及び水分は速やかに放散させることが好ましい。通気性良好かつ厚みが小さい面材を使用する場合には、可撓性面材の表面が接している通気層を通して、これらを速やかに大気中に放散することができるため、本技術は有効である。中でも比較的目付量が小さい、15g/m2以上200g/m2以下の不織布及び織布を利用する際に特に有効である。
また、フェノール樹脂発泡体積層板は、これを単体で使用する他、外部部材と接合させて様々な用途に用いられている。外部部材の例としては、ボード状材料およびシート状・フィルム状材料の1およびその組み合わせがある。ボード状材料としては、普通合板、構造用合板、パーティクルボード、OSB、などの木質系ボード、および、木毛セメント板、木片セメント板、石膏ボード、フレキシブルボード、ミディアムデンシティファイバーボード、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、火山性ガラス質複層板などが好適である。また、シート状・フィルム状材料としては、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、無機質充填ガラス繊維不織布、ガラス繊維不織布、紙、炭酸カルシウム紙、ポリエチレン加工紙、ポリエチレンフィルム、プラスチック系防湿フィルム、アスファルト防水紙、アルミニウム箔(孔あり・孔なし)などが好適である。
次に、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法について説明する。
フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を可撓性面材上に吐出する工程、前記可撓性面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を70℃以下に温調された空間にて発泡及び硬化させつつ予成形させる工程(本明細書において、「予成形工程」という場合がある。)、成形装置を用いて発泡性フェノール樹脂組成物を70℃以上に温調された空間にて発泡及び硬化させ本成形させる工程(本明細書において、「本成形工程」という場合がある。)とを備える、連続製造方式が一般的であるが、型枠の中で該可撓性面材を上下に用いたバッチ発泡成形方式を採用することも可能である。
連続製造方式における予成形工程では、複数に分割されながら面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を、発泡及び硬化させながら上下方向から均すように予成形し、その後、本成形工程で発泡及び硬化を進めつつ板状に成形していく。
連続製造方式における予成形工程において上下方向から均す方法としては、金属ロールもしくは鋼板を利用する方法、スラット型ダブルコンベアを利用する方法、さらには、これらを複数組み合わせて利用する方法等、製造目的に応じた種々の方法が挙げられる。
予成形工程の温度は、70℃以下であり、10℃以上70℃以下が好ましく、本成形工程における温度と滞留時間を調整することにより、10℃以上40℃以下とすることも可能である。10℃以上であると、発泡性フェノール性樹脂組成物の初期の発泡を促進することができる。また、70℃以下であると、初期に発泡が進み過ぎて気泡径が大きくなることを抑制することができる。また本発明によれば、予成形工程時に発泡性フェノール樹脂組成物が接しない側の可撓性面材表面が通気層に接していることで、予成形工程において発生する、反応に伴い発生する水分及び熱を効率的に放散することができるので、空間温度のみならず、直接設備に接する下側設備面を積極的に加熱することで、更に効率的に発泡、硬化を促進させることも可能となる。予成形工程の滞留時間としては、0.5分以上30分以内が好ましく、1分以上20分以内がより好ましい。
連続方式において、本成形工程の温度は、70℃以上であり、70℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは、75℃以上90℃以下である。温度の調整方法は、箱型の密閉空間で主に熱風を利用することが好ましい。また、本成形工程の滞留時間は、5分以上2時間以内とすることが好ましい。滞留時間が5分以上であると発泡と硬化を十分に促進させることができる。また、フェノール樹脂組成物の発泡及び硬化がある程度終了すると、得られるフェノール樹脂発泡板の特性はほとんど変化しない。このため、滞留時間が2時間以内であるとフェノール樹脂発泡板の生産効率を高めることができる。本成形する方法としては、スラット型ダブルコンベアを利用する方法や金属ロールを利用する方法が一般的であるが、これらに限定されない。例えば、スラット型ダブルコンベアを利用して成形する場合には、上下表面材で被覆され、予成形された発泡性フェノール樹脂組成物をスラット型ダブルコンベア中へ連続的に案内させた後、加熱しながら上下方向から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡及び硬化させ、板状に成形することができる。
本発明を達成するためには、予成形させる工程においては、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡状態を制御しつつ初期硬化を徐々に進ませるが、この際に発生する反応熱及び水分を、極力面材を通して放散させることが重要である。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、予成形させる工程において、下面材側の可撓性面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接しない面に、通気層を設けることにより、厚み方向の下面側スキン層の独立気泡率が高く、全厚みに亘って独立気泡率が高いフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができることを見出した。ここで、上下面の可撓性面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接しない面に通気層を設けてもよい。
より具体的には、上面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面は連続的に設備と接していない区間を設けるのが一般的である。これに対して、下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面は、発泡性フェノール樹脂組成物質量及び上下面材質量を支持する必要があるため、通気性のない板やベルト上に載せながら搬送されるのが一般的である。この両者の違いを抑制できると、すなわち、特に下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面に通気層を設けることにより、反応熱及び反応で発生する水が下面材とフェノール樹脂発泡体間に溜まりにくく、上面材側と反応熱及び水分の放散状態を揃えることができ、得られるフェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向における、独立気泡率分布差が少なくなる。
予成形工程における通気層の例としては、一定の開口率を有する設備を設けることが重要で、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡及び硬化で発生した熱及び水を、開口部を通して予成形機外に放出できる構造を有する層、例えば、パンチングメタル、金網、エキスパンドメタル、及びフリーローラーを配する方法等が挙げられる。ここで開口率とは、予成形エリアを一時的に下方からみたときの、単位面積に対する、設備に触れていない面材総面積の割合と定義する。この予成形工程の通気層の開口率は5%以上であることが好ましく、10%以上であることが更に好ましく、20%以上であることがより好ましく、30%以上であるとなお好ましく、40%以上であると特に好ましく、95%以下であることが好ましい。5%以上であれば、反応熱及び反応で発生する水を速やかに放散することができる。また、95%以内であれば、上下面材並びに発泡及び硬化した発泡性フェノール樹脂組成物を撓ませることなく円滑に搬送することが可能である。
予成形工程に着目した技術としては、特許文献3が存在するものの、該技術においては、特徴的なフェノール樹脂発泡板を得るために予成形工程を利用しており、その予成形工程の条件としては、空間温度を管理することで十分と考えられていた。
本発明者らは、予成形工程の条件を詳細に検討したところ、予成形時の温度を一層厳密に管理することで、発泡体全体に亘って、ムラが少なく、一層均一な物性を有するフェノール樹脂発泡体が得られることを見出した。具体的には、予成形を行う空間の温調管理に加え、さらに下面材側に温調管理可能な部材を設けることが有効であること、特に、下面材を、温調管理が可能な板等にのせて、発泡体積層板全体の温度を厳密に管理できる条件で予成形を行うことと合わせて、上記温調可能な板等に通気層を設けて予成形を行うことにより、全厚みに亘って独立気泡率が一層均一で、全体に亘ってムラが少なく、一層均一な物性を有する発泡体積層板が得られることを見出した。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド3500kgと99質量%フェノール2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(=60×10-62/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50重量%水溶液でpHを6.3に中和した。
この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を測定したところ、40℃における粘度は6,100mPa・s、水分量は5.1質量%であった。これをフェノール樹脂A-Uとする。
<水分量>
フェノール樹脂中の水分量はカールフィッシャー水分計MKA-510(京都電子工業(株)製)を用い、測定した。
<フェノール樹脂の粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R-100型、ローター部は3°×R-14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値とした。
(実施例1)
フェノール樹脂A-U:100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド-プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF-127)を2.0質量部の割合で混合した。これをフェノール樹脂組成物A-U1とする。
<混合機を用いて混合する工程>
このフェノール樹脂組成物A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン50質量%とイソブタン50質量%の混合物5.6質量部、発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.3質量%添加し、更に酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物13質量部を添加してなる発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機のミキシングヘッドに供給した。なお、混合機(ミキサー)は、特開平10-225993号に開示されたものを使用した。即ち、混合機の上部側面に、フェノール樹脂組成物A-U1、及び発泡核剤を含む発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に酸性硬化剤の導入口を備えている混合機を使用した。攪拌部以降は発泡性フェノール樹脂組成物を吐出するためのノズルに繋がっている。即ち、混合機は、酸性硬化剤導入口までを混合部(前段)、酸性硬化剤導入口~攪拌終了部を混合部(後段)、攪拌終了部~ノズルを分配部とし、これらにより構成されている。分配部は先端に複数のノズルを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。
<面材上に吐出する工程>
次に、マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に発泡性フェノール樹脂組成物を供給した。下面材にはポリエステル製不織布(目付量30g/m2)を使用した。
<予成形工程>
更に、下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、40℃のオーブン(滞留時間4分)へ導き複数のロールを利用して均し予成形した。下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側には、開口率40.2%のパンチングメタルを設置した。一方、上面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面は、40℃に温調された開放空間とした。上面材には、下面材と同仕様のポリエステル製不織布を使用した。
<本成形工程>
その後、83℃のスラット型ダブルコンベアを有するオーブンへ送り、15分間滞留させることで、発泡及び硬化させた。開口率65%のスラット型ダブルコンベアにより上下方向から面材を介して適度に圧力を加えることで板状に成形した。
更にその後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂発泡体積層板を得た。
実施例及び比較例によって得られたフェノール樹脂発泡体積層板の特性は以下の方法によって求められる。
<フェノール樹脂発泡体の密度>
得られたフェノール樹脂発泡体積層板から切り出した20cm角のフェノール樹脂発泡板を試料とし、この試料に面材、サイディング材等がついている場合はこれを取り除いて、質量と見かけ容積を測定して求めた値であり、JIS K7222に従い測定した。
<フェノール樹脂発泡体の平均気泡径>
フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削した試験片の断面の50倍拡大写真上に90mmの長さの直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数を、JIS K6402に準じて求め、それらの平均値で1800μmを割った値である。
<フェノール樹脂発泡体の中心層独立気泡率>
ASTM-D-2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径30mm~32mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、フェノール樹脂発泡体の厚み方向中心が中心となるように高さ9mm~13mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割り、100をかけた値を独立気泡率として求めた。同様の操作を各測定部位から50mm以上離れた部位について全10点測定し、最も低い測定値を中心層独立気泡率とした。なお、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。なお、フェノール樹脂発泡体の厚みが30mm以下の場合には、直径30mm~32mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、フェノール樹脂発泡体の厚み方向中心が中心となるように高さ4mm~6mmに切り揃えた後同様の評価を行う。
<フェノール樹脂発泡体のスキン層独立気泡率>
フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径30mm~32mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、フェノール樹脂発泡体の厚み方向の片側表面が一辺となるように高さ9mm~13mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割り、100をかけた値を求めた。同様の操作を、各測定部位から50mm以上離れた部位について全10点測定し、最も低い測定値を(a)とした。なお、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。また、コルクボーラーで刳り貫いた同じ試料について、発泡体の厚み方向のもう一方の表面が一辺となるように高さ9mm~13mmに切り揃えた後、同様にして全10点測定し、最も低い測定値を(b)とした。その後、(a)及び(b)の測定値の内、低い方の測定値を、スキン層独立気泡率として定義した。なお、フェノール樹脂発泡体の厚みが30mm以下の場合には、直径30mm~32mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、フェノール樹脂発泡体の一方の表面が一辺となるように高さ4mm~6mmに切り揃えた後同様の評価を行う。
<外観(皺)評価>
フェノール樹脂発泡体積層板を1000mm×1000mmの大きさに切出し、目視にて、フェノール樹脂発泡体積層板の上下表面を観察し、皺の有無を、A、Bの2段階で評価した。両表層面に長さ10mm以上の皺が合計10本未満であったものをA、10本以上であったものをBとした。
<外観(反り)評価>
1000mm×1000mmの大きさに切り出したフェノール樹脂発泡体積層板の上下面材を丁寧に剥離しフェノール樹脂発泡体とした後、厚み方向を含まない面における一つの対角頂点間に糸を張り、糸からフェノール樹脂発泡体表面に垂線を下した時の最大距離を読み取り、記録する。更にもう一方の対角頂点間にも糸を張り同様に測定し記録する。上下反転させ同様の測定を行い、これら4つの測定値のうち、最も大きな値を、反り値と定義する。なお、対角頂点間に糸を張った際、糸が直線とならなかった場合には、反り値は算出しない(フェノール樹脂発泡体が上に凸の状態で測定された場合には対角線間の糸は直線とはならない)。反り値が、3mm未満であったものをA、3mm以上6mm未満であったものをB、6mm以上であったものをCとした。
(実施例2)
予成形工程で、開口率40.2%のパンチングメタルを設置する代わりに、下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面の開口率が5.0%となるパンチングメタルを設置した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例3)
予成形工程で、開口率40.2%のパンチングメタルを設置する代わりに、下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面の開口率が95.0%となるようにステンレス製フリーローラーを配した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例4)
上下面材を共にガラス繊維混抄紙(目付量140g/m)に変更した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
なお、本明細書において、実施例4は参考例として記載するものである。
(実施例5)
上下面材を共にガラス繊維不織布(目付量140g/m2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例6)
予成形工程において、吐出後最初に成形される工程の空間温度を60℃とし、この工程において、上下共に面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面の開口率が65%であるスラット型ダブルベルトコンベアを利用した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例7)
予成形工程を70℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例8)
フェノール樹脂組成物A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてシクロペンタン70質量%とイソブタン30質量%の混合物5.4質量部を添加する以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例9)
フェノール樹脂組成物A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてシクロペンタン25質量%と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン75質量%の混合物6.6質量部を添加し、スラット型ダブルコンベアを有する本成形工程のオーブン温度を87℃とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例10)
フェノール樹脂組成物A-U1:100質量部に対して、発泡剤としてイソプロピルクロリド40質量%と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン60質量%の混合物6.8質量部を添加し、スラット型ダブルコンベアを有する本成形工程のオーブン温度を88℃とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例1)
予成形工程において、下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面の開口率が0%となるようにステンレス製板を配した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例2)
予成形工程において、下面材の厚み方向における発泡性フェノール樹脂組成物と接する面と反対側の面の開口率が4.6%となるように幅方向にスリット角穴加工されたステンレス製板を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例3)
予成形させる工程をなくし、本成形工程の空間温度を80℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例4)
予成形させる工程をなくし、本成形工程の空間温度を50℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
実施例1~10及び比較例1~4で得られたフェノール樹脂発泡体積層板の評価結果を、表1にまとめた。
Figure 0007027078000001
表1より、実施例1~10で得られたフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体は、比較例1~4で得られたフェノール樹脂発泡体積層板と比べて、気泡径が小さく、厚み方向に亘って独立気泡率が高く、また、良好な外観を有していることが分かる。
なお、比較例1~4で得られたフェノール樹脂発泡体積層板と比べて、実施例1~10で得られたフェノール樹脂発泡体積層板は、反りが少なく、かつ断熱性にも優れていた。

Claims (6)

  1. フェノール樹脂発泡体の厚み方向の両表面に可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、前記フェノール樹脂発泡体は、密度が20kg/m以上50kg/m以下、平均気泡径が20μm以上180μm以下、中心層独立気泡率が85%以上、スキン層独立気泡率が81%以上であり、1000mm×1000mmの大きさに切出し目視にてフェノール樹脂発泡体積層板の上下表面を観察すると、長さ10mm以上の皺が合計10本未満で観察される、フェノール樹脂発泡体積層板。
  2. 前記フェノール樹脂発泡体が、炭化水素と塩素化脂肪族炭化水素の少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  3. 前記フェノール樹脂発泡体が、塩素化ハイドロフルオロオレフィンと非塩素化ハイドロフルオロオレフィンの少なくとも一方を含むことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  4. 前記可撓性面材が織布又は不織布である、請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
  5. フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を可撓性面材上に吐出する工程、前記可撓性面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を70℃以下に温調された空間にて発泡及び硬化させつつ予成形させる工程、発泡性フェノール樹脂組成物を成形装置を用いて70℃以上に温調された空間にて発泡及び硬化させ本成形させる工程を含み、前記可撓性面材は目付量が15g/m 以上200g/m 以下の織布又は不織布であり、前記予成形させる工程において、発泡性フェノール樹脂組成物が接しない側の前記可撓性面材表面が通気層に接していることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
  6. 予成形させる工程の前記通気層の開口率が5%以上95%以下であることを特徴とする、請求項5に記載のフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
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