JP7221083B2 - フェノール樹脂発泡体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、フェノール樹脂発泡体の製造方法に関し、更に詳しくは、断熱性能及び機械的物性が良好なフェノール樹脂発泡体の効率的な製造方法に関する。
近年の省エネルギーの意識向上や次世代省エネ基準の義務化などにより、住宅には高い断熱性及び気密性が求められてきている。このような中、発泡プラスチック系断熱材、とりわけ、高い断熱性能を有するフェノール樹脂発泡体が、難燃性、耐熱性を持ち合わせていることから建築材料や産業資材としても好ましく、その需要は飛躍的に高まってきており、フェノール樹脂発泡体の品質を維持しつつ、生産性、すなわち硬化反応速度を向上させる、高速成形技術が求められている。
フェノール樹脂発泡体の成形速度を高めるためには、例えば、特許文献1の[0008]に記載されているように、一般的には、使用する酸触媒量を増やしたり、成形温度を高めたりすることが試みられる。しかし、酸触媒量を増やし過ぎると独立気泡率が低下する等物性への影響も懸念される上に、フェノール樹脂発泡体は熱硬化性樹脂の発泡体であって不可逆的な硬化反応を利用して作られるため、酸触媒量を増やすことによる樹脂の硬化反応の促進により設備が汚れやすくなる。また、成形温度を高めすぎると、特許文献2や特許文献3に記載されているように、硬化反応性が高まり高速成形が可能であるものの、発泡及び硬化時に、発泡体内部の反応熱の影響を受け過ぎ、熱が籠る。その結果、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率が低下、すなわち、断熱性能が悪化しやすく、フェノール樹脂発泡体を長時間安定的に高速成形することはこれまで難しかった。
これに対して、硬化速度を調整する手段として、特許文献4及び特許文献5には、発泡剤として炭酸塩を利用することを前提に、酸性硬化剤としてナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物とアリールスルホン酸との混合物を使用し、更に硬化剤の成分割合や使用量を特定することで、発泡及び硬化速度を調整しようとする試みがなされている。
また、長時間安定的に製造する技術として、特許文献6では、熱硬化性樹脂発泡体を製造するにあたり、幅方向の厚み斑精度を向上させ、幅方向に均一厚みの熱硬化性樹脂発泡板を、効率的に、且つ、長時間安定的に製造することを目的として、熱硬化性樹脂、発泡剤、及び硬化剤が混合された樹脂組成物を、複数分配された流路により、ダイの複数の流入口から該ダイの内部に供給して滞留させ、ダイリップ吐出口から表面材上に板状に吐出させる、熱硬化性樹脂発泡板の製造方法が提案されている。この技術により、20時間連続的に幅方向厚み差の少ないフェノール樹脂発泡板を得ることができるとされている。
特開平9-263652号公報 国際公開第2011/074611号 国際公開第2014/133023号 特開平07-188446号公報 特開平07-173315号公報 国際公開第2009/066621号
しかし、特許文献4及び特許文献5においては、発泡剤が炭酸塩に限定された上に、発泡と硬化速度の緩和、すなわち遅延を目的としており、特許文献4及び特許文献5に記載された製造方法にて実施したところ、独立気泡率の低下が顕著である上、発泡を調整させつつ硬化速度を向上させる技術にはなり得ないことも確認できた。
また、特許文献6においては、長時間の連続運転は可能であるものの、硬化速度を向上させる技術ではないため、成形速度を上げようとすると、硬化不十分となり、所望の物性のフェノール樹脂発泡板を得ることが出来なくなること、及び、ダイ周辺設備が汚れやすくなることがわかった。
すなわち、硬化速度を向上させつつ、長時間安定的に、高品質なフェノール樹脂発泡体を製造する技術が求められてきた。
そこで、本発明者は、上記課題を解決すべく更に検討を重ねたところ、フェノール樹脂と、発泡剤と、有機酸を含有する酸性硬化剤とを含む発泡性フェノール樹脂組成物中に、パラホルムアルデヒドを含有させることで、硬化速度を向上させつつ、設備汚れを抑制し、長時間安定的に、高品質なフェノール樹脂発泡体を製造できることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]~[7]を提供する。
[1]フェノール樹脂と、パラホルムアルデヒドと、発泡剤と、有機酸を含有する酸性硬化剤とを、混合機を用いて混合し、発泡性フェノール樹脂組成物を得る工程と、前記発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程とを含む、フェノール樹脂発泡体の製造方法。
[2]前記フェノール樹脂100質量部に対して、前記パラホルムアルデヒドの添加量が、0.2質量部以上10.0質量部以下である、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
[3]前記混合機の出口温度が45℃未満である、[1]又は[2]に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
[4]前記発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程に続いて、前記下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ予成形を行う工程を含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
[5]前記予成形を行う工程の空間温度が45℃以上70℃以下である、[1]~[4]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
[6]前記発泡性フェノール樹脂組成物を得る工程は、前記パラホルムアルデヒドを予め前記フェノール樹脂と混練させておく工程を含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
[7]前記パラホルムアルデヒドの平均粒径dv50が、10μm以上1000μm以下である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明によれば、フェノール樹脂にパラホルムアルデヒドを添加することで、設備汚れを抑制しつつも、発泡及び硬化させることによる成形速度を向上させることができる。
フェノール樹脂発泡板の硬化レベルの評価方法を説明する図である。
以下、本発明をその好適な実施形態に則して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
<フェノール樹脂発泡体及びフェノール樹脂発泡板>
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体(以下、「発泡体」という場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂硬化体中に多数の気泡が分散した状態で存在するものであり、中でも板状になったものをフェノール樹脂発泡板(以下、「発泡板」という場合がある。)と定義する。板状にする際には、一般的にフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に設けられた面材を備える積層体として得られる。そして、本実施形態の発泡板は、独立気泡率が高く、優れた長期断熱性能を有している。なお、本実施形態における「厚み方向」とは、発泡板の三辺のうち最も短い辺の寸法を指し、通常、発泡板の製造時に下面材上の発泡性フェノール樹脂組成物が発泡して成長する方向である。
また、フェノール樹脂発泡体は、これを単体で使用する他、外部部材と接合させて様々な用途に用いられている。外部部材の例としては、ボード状材料およびシート状・フィルム状材料の1およびその組み合わせがある。ボード状材料としては、普通合板、構造用合板、パーティクルボード、OSB、などの木質系ボード、および、木毛セメント板、木片セメント板、石膏ボード、フレキシブルボード、ミディアムデンシティファイバーボード、ケイ酸カルシウム板、ケイ酸マグネシウム板、火山性ガラス質複層板などが好適である。また、シート状・フィルム状材料としては、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布、無機質充填ガラス繊維不織布、ガラス繊維不織布、紙、炭酸カルシウム紙、ポリエチレン加工紙、ポリエチレンフィルム、プラスチック系防湿フィルム、アスファルト防水紙、アルミニウム箔(孔あり・孔なし)などが好適である。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体の密度は、15kg/m3以上50kg/m3以下であり、好ましくは20kg/m3以上40kg/m3以下である。密度が15kg/m3以上であると圧縮強度、曲げ強さ等の機械的強度が確保でき、発泡体の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、密度が50kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノール樹脂発泡体の密度は、主に、発泡剤の割合、発泡性フェノール樹脂組成物の温度、更には、発泡剤の添加量と酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、温度や滞留時間等の硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、85%以上であり、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上である。独立気泡率が85%未満であると、フェノール樹脂発泡体中の発泡剤が空気と置換して長期の断熱性能が低下する傾向が生じるという懸念がある。なお、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、例えば、フェノール樹脂の反応性や温度の調整、発泡剤の添加量、酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、更には、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、好ましくは70μm以上180μm以下であり、より好ましくは70μm以上150μm以下、更に好ましくは、70μm以上130μm以下である。平均気泡径が70μm以上であると、発泡体の密度が高くなることを抑制できる。この結果、発泡体における樹脂部の伝熱割合を低減できるため、フェノール樹脂発泡体の断熱性能を確保することができる。また、逆に平均気泡径が180μmを超えると、輻射による熱伝導率が増加するようになり、発泡体の断熱性能が低下するおそれがある。なお、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、フェノール樹脂の反応性や温度の調整、発泡核剤の添加量、発泡剤の添加量、酸性硬化剤として用いられる有機酸の添加量との比、更には、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成するレゾール型フェノール樹脂を用いる。
フェノール樹脂の合成時のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類は、フェノール自体、及び他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o-、m-及びp-クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p-tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、及び他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40~100℃の温度範囲で加熱して合成する。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素、ジシアンジアミドやメラミン等の添加剤を添加してもよい。これら添加剤を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整する。
また、フェノール樹脂には界面活性剤が添加されるが、それ以外の添加剤として、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてマテリアルリサイクル粉体やその他添加剤を添加してもよい。本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは界面活性剤等の添加剤を加える前のものを指し、添加剤を加えた後のものを「フェノール樹脂組成物」と称する。そして、本明細書では、「フェノール樹脂」又は「フェノール樹脂組成物」に対してパラホルムアルデヒドを添加したものを「パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物」と称し、「パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物」に対して、少なくとも、発泡剤および酸性硬化剤を添加して発泡性および硬化性を付与したもの、あるいはフェノール樹脂と、パラホルムアルデヒドと、発泡剤と、酸性硬化剤とを混合して得られたものを「発泡性フェノール樹脂組成物」と称する。また、フェノール樹脂発泡体形成後の樹脂部分を「フェノール樹脂硬化体」と称する。
フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、又は、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物の40℃における粘度は、好ましくは5,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以上50,000mPa・s以下であり、さらに好ましくは9,000mPa・s以上30,000mPa・s以下である。また、フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、又は、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物の水分量は1.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる、発泡剤及び発泡核剤は、フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、又は、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物に予め添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時に添加してもよい。
界面活性剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14~22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部当たり0.3~10質量部の範囲で好ましく使用される。
本発明は、フェノール樹脂又はフェノール樹脂組成物にパラホルムアルデヒドを添加することを特徴とする。パラホルムアルデヒドとしては、フェノール樹脂の製造原料等として市販されているものを使用できるが、一般的には、ポリオキシメチレングリコールとして、8から100程度の重合度を有するものであり、その純度は一般的に80%から95%程度である。不純物は、主に水であり、一般的に吸着水や結合水として存在し、その性状は、白色の固体(粒状、粉末状)であることが多い。
パラホルムアルデヒドの平均粒径dv50は、10μm以上1000μm以下であることが好ましく、20μm以上500μm以下であることがより好ましく、20μm以上300μm以下であることが更に好ましく、20μm以上200μm以下であることが最も好ましい。10μm以上であると粉体としての取り扱い性に優れ、また、1000μm以下であるとフェノール樹脂又はフェノール樹脂組成物との混練分散性が良好となる上、単位粒子当たりの表面積が大きくなることからパラホルムアルデヒドとしての活性を生かすことができる。
パラホルムアルデヒドをフェノール樹脂又はフェノール樹脂組成物に添加することで、特に混合機周辺の設備汚れを抑制しつつ、発泡性フェノール樹脂組成物の硬化反応性を高めること、すなわちフェノール樹脂発泡体の硬化速度を向上させることができることを見出した。この特徴に関しては、パラホルムアルデヒドが解重合しつつフェノール樹脂又はフェノール樹脂組成物と反応するものと考えられるが、45℃未満の低温では解重合速度は遅く、45℃を超えた条件にて解重合速度が高められ、硬化反応に寄与するものと推察される。
すなわち、混合機の出口温度を45℃未満に制御すること、及び、後述する吐出後の予成形を行うこと、更には予成形工程の空間温度を45℃以上とすることが好ましい。
なお、パラホルムアルデヒドの添加量は、フェノール樹脂との相性や、温度、滞留時間等の発泡・硬化条件により変わり得るが、フェノール樹脂100質量部に対して、0.2質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.4質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましく、0.4質量部以上3.5質量部以下であることが更に好ましく、0.6質量部以上2.5質量部以下であることが最も好ましい。0.2質量部以上であると、パラホルムアルデヒドの添加効果が発現しやすく、10.0質量部以下であると、固体状であるパラホルムアルデヒドとフェノール樹脂との混練性も良好、かつ、硬化と発泡のタイミングを調整しやすくなり、所望の物性のフェノール樹脂発泡体が得られやすくなる。
フェノール樹脂組成物又はパラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物に加える発泡剤としては、炭化水素、ハイドロフルオロカーボン、塩素化ハイドロフルオロオレフィン、非塩素化ハイドロフルオロオレフィン、および、塩素化炭化水素等を用いることが好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3~7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2-ジメチルブタン、2,3-ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類およびノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。
ハイドロフルオロカーボンとしては、ハイドロフルオロプロペン、ハイドロクロロフルオロプロペン、ハイドロブロモフルオロプロペン、ハイドロフルオロブテン、ハイドロクロロフルオロブテン、ハイドロブロモフルオロブテン、ハイドロフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロエタン、ハイドロブロモフルオロエタン等を挙げることができる。
塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン(例えば、ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:Solstice(登録商標)LBA)などが挙げられる。
非塩素化ハイドロフルオロオレフィンとしては、1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン(例えば、ハネウェルジャパン株式会社製、製品名:Solstice(登録商標)1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン、1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテンなどが挙げられる。
塩素化ハイドロフルオロオレフィン又は非塩素化ハイドロフルオロオレフィンを使用する場合、全発泡剤におけるこれら発泡剤の含有割合は、30質量%以上であることが好ましい。
塩素化炭化水素としては、炭素数が2~5の直鎖状または分岐状の塩素化脂肪族炭化水素を好ましく利用できる。結合している塩素原子の数は1~4が好ましく、例えば、ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドが、より好ましく用いられる。
なお、上述の発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよく、任意に選択できる。
発泡性フェノール樹脂組成物中の好ましい発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、又は、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物との相性や、温度、滞留時間等の発泡・硬化条件により変わり得るが、フェノール樹脂又はフェノール樹脂組成物100質量部に対して、10.0質量部以下であり、4.5質量部以上10.0質量部以下であることがより好ましく、5.0質量部以上9.0質量部以下であることが更に好ましい。
本実施形態においては、フェノール樹脂発泡体の製造に発泡核剤をさらに使用してもよい。発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い低沸点物質のような気体発泡核剤を添加することができる。また、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、および、フェノール樹脂発泡体の粉砕粉のような有機粉等の固体発泡核剤を添加することもできる。これらは、単独で使用してもよいし、気体及び固体の区別なく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。発泡核剤の添加タイミングは、発泡性フェノール樹脂組成物を得るための混合を行う混合機内に供給されていればよく、任意に決めることができる。
気体発泡核剤の発泡剤に対する添加量は、発泡剤の量を100質量%として、0.2質量%以上1.0質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以上0.5質量%以下であることがより好ましい。また、固体発泡核剤の添加量は、フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、又は、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物の100質量部に対して、3.0質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、4.0質量部以上8.0質量部以下であることがより好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物に加える酸性硬化剤としては、酸成分として有機酸を含むものを用いる必要がある。有機酸としては、アリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられる。これらは、一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o-メチロールフェノール)、p-メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化剤は、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
酸性硬化剤の使用量は、その種類により異なり、キシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%との混合物を使用する場合には、フェノール樹脂、フェノール樹脂組成物、又は、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物の100質量部に対して、好ましくは6質量部以上16質量部以下、より好ましくは8質量部以上13質量部以下で使用される。
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される面材としては、可撓性を有する面材(可撓性面材)が用いられる。使用される可撓性面材としては、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布及び織布や、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等が好ましく、これらは混合(または積層)して用いてもよい。中でも、得られるフェノール樹脂発泡体積層板から面材を剥離し母材のみを利用する場合には、剥離後に廃棄可能な安価な紙類が好ましい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。更に、可撓性面材としては、難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。なお、面材とフェノール樹脂発泡体との接着方法は特に限定されるものではなく、フェノール樹脂発泡体が面材表面で熱硬化する際の固着力によるものや、エポキシ樹脂等の接着剤を使用したものでも構わない。
<フェノール樹脂発泡体の製造方法>
次に、上述したフェノール樹脂発泡体の製造方法について説明する。
フェノール樹脂発泡体の製造方法は、好適には、フェノール樹脂と、パラホルムアルデヒドと、発泡剤と、有機酸を含有する酸性硬化剤とを、混合機を用いて混合し、発泡性フェノール樹脂組成物を得る混合工程と、発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する吐出工程と、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ予成形を行う工程と、発泡および硬化反応を行わせる主工程である本成形を行う工程と、その後に発泡性フェノール樹脂組成物中の水分を放散させる後硬化を行う工程と、を備える連続製造方式を採用することが可能である。
連続製造方式においては、下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を上面材で被覆した後、発泡及び硬化させながら上下方向から均すように予成形し、その後、本成形工程で発泡及び硬化を進めつつ板状に成形していくことが好ましい。
パラホルムアルデヒドは、混合機を用いて混合する混合工程で添加される。パラホルムアルデヒドとフェノール樹脂との混練性を高め、より効率的かつ安定的にフェノール樹脂発泡体を得るためには、上記混合工程は、パラホルムアルデヒドとフェノール樹脂とを予め混練させてパラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物を得る工程を含むことが好ましい。なお、レゾール原料としてパラホルムアルデヒドを用いた場合には、レゾール合成過程で、高温時にパラホルムアルデヒドが解重合し、フェノールとの反応で消費されてしまうため好ましくない。また、余剰分を見越して原料として多くパラホルムアルデヒドを添加した場合でも、高温での工程(フェノール樹脂合成及び反応液の濃縮工程)等において、パラホルムアルデヒドの解重合が起こりホルムアルデヒドに形態を変えることとなるが、解重合したホルムアルデヒドがそのまま混合工程において過剰に存在すると、設備を汚す原因となるため好ましくないばかりか、独立気泡率の高いフェノール樹脂発泡体が得られない。このことから、パラホルムアルデヒドは、フェール樹脂もしくはフェノール樹脂組成物に添加することが好ましい。
パラホルムアルデヒドをフェノール樹脂もしくはフェノール樹脂組成物に添加し、混練する方法としては、特に限定されず、ハンドミキサーやピンミキサー等を利用して混合してもよいし、二軸押し出し機、混練機等を用いても良い。
発泡性フェノール樹脂組成物を得るために使用する混合機(ミキサー)は、特に限定されないが、特開平10-225993号公報に開示されたものを使用することができる。すなわち、混合部及び分配部はそれぞれ温度調整を可能にするための温調用ジャケットを備えており、分配部に入る前の混合部の出口(攪拌終了部)に温度計を設置し、発泡性フェノール樹脂組成物の温度を管理する。本発明においては、パラホルムアルデヒドの解重合反応を抑制する、すなわち、設備、特に混合機(混合部と分配部)を汚さないために、混合機の出口温度は45℃未満とすることが好ましい。
連続製造方式における、予成形工程および本成形工程において、夫々予成形および本成形を行う方法としては、スラット型ダブルコンベアを利用する方法や、金属ロールもしくは鋼板を利用する方法、さらには、これらを複数組み合わせて利用する方法等、製造目的に応じた種々の方法が挙げられる。このうち、例えば、スラット型ダブルコンベアを利用して成形する場合には、上下の面材で被覆された発泡性フェノール樹脂組成物をスラット型ダブルコンベア中へ連続的に案内した後、加熱しながら上下方向から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡および硬化させ、板状に成形することができる。
予成形を行う工程の加熱温調条件は、空間温度として45℃以上70℃以下であることが好ましい。予成形を行う工程の空間温度が、45℃以上であると、混合機で反応性を抑制されたパラホルムアルデヒド含有の発泡性フェノール樹脂組成物の硬化反応性が一気に高まり高速成形が実現しやすい。一方、70℃以下であると、混合機で反応性を抑制されたパラホルムアルデヒドを添加した発泡性フェノール樹脂組成物の硬化が過剰に高まるのを抑制することで、発泡と硬化のタイミングを合わせやすい。
予成形工程に続く本成形工程の加熱温調条件は、70℃以上100℃以下であることが好ましい。該区間において、無端スチールベルト型ダブルコンベアまたはスラット型ダブルコンベア、もしくはロール等を用いて本成形を行うことができる。70℃以上であると、硬化が促進される傾向にある。一方、100℃を超えると、硬化反応性が高まり高速成形が可能であるものの、発泡及び硬化時に、発泡体内部の反応熱の影響を受け過ぎるため、フェノール樹脂発泡板の独立気泡率が低下、すなわち、断熱性能が悪化する傾向にある。
後硬化工程は、予成形工程および本成形工程後に行われる。後硬化工程の温度は、90℃以上120℃以下であることが好ましい。
以下に、実施例および比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂Aの合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3,500kgと99質量%フェノール2,510kg(不純物として水を含む)を仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで48質量%水酸化ナトリウム水溶液をpHが8.7になるまで加えた後85℃まで昇温して、反応を行わせた。反応液のオストワルド粘度が120平方ミリメートル毎秒(=120mm2/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却しつつ、フェノール樹脂中の尿素含有量が4.6質量%となるように尿素を添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液を、pHが6.3になるまで添加した。得られた反応液を薄膜蒸発機によって濃縮処理し、重量平均分子量および粘度を以下の方法で測定した。その結果、重量平均分子量が1,800、40℃における粘度が12,000mPa・sである、フェノール樹脂を得た。これをフェノール樹脂Aとした。
<重量平均分子量>
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定により以下のような条件で測定を行い、後に示す標準物質(標準ポリスチレン、2-ヒドロキシベンジルアルコールおよびフェノール)によって得られた検量線よりフェノール樹脂の重量平均分子量Mwを求めた。
前処理:
フェノール樹脂約10mgをN,Nジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、高速液体クロマトグラフ用)1mlに溶解し、0.2μmメンブレンフィルターでろ過したものを測定溶液として用いた。
測定条件:
測定装置:Shodex System21(昭和電工株式会社製)
カラム:Shodex asahipak GF-310HQ(7.5mmI.D.×30cm)
溶離液:臭化リチウム0.1質量%をN,Nジメチルホルムアミド(和光純薬工業株式会社製、高速液体クロマトグラフ用)に溶解し使用した。
流量:0.6ml/分
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
標準物質:標準ポリスチレン(昭和電工株式会社製「Shodex standard SL-105」)、2-ヒドロキシベンジルアルコール(シグマアルドリッチ社製、99%品)、フェノール(関東化学株式会社製、特級)
<粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R-100型、ローター部は3°×R-14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂の粘度とした。
<フェノール樹脂Bの合成>
反応液のオストワルド粘度が30平方ミリメートル毎秒(=30mm2/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、フェノール樹脂中の尿素含有量が6.0質量%となるように尿素を添加した以外は、フェノール樹脂Aと同様の手順で合成し、反応液の濃縮条件を調整することで、重量平均分子量が610、40℃における粘度が12,000mPa・sである、フェノール樹脂Bを得た。
<フェノール樹脂Cの合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3,500kgと99質量%フェノール2,510kg(不純物として水を含む)とパラホルムアルデヒド(SIGMA-ALDRICH製、純度95%、平均粒径(dv50)355μm)63kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで48質量%水酸化ナトリウム水溶液をpHが8.7になるまで加えた後85℃まで昇温して、反応を行わせた。反応液のオストワルド粘度が120平方ミリメートル毎秒(=120mm2/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却しつつ、フェノール樹脂Aの合成時と同量の尿素を添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液を、pHが6.3になるまで添加した。得られた反応液を薄膜蒸発機によって濃縮処理し、重量平均分子量および粘度を以下の方法で測定した。その結果、重量平均分子量が1,800、40℃における粘度が12,000mPa・sである、フェノール樹脂を得た。これをフェノール樹脂Cとした。
(実施例1)
フェノール樹脂A100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド-プロピレンオキサイドのブロック共重合体とポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルを質量比率でそれぞれ50%ずつ含有する組成物を2.8質量%の割合で混合することでフェノール樹脂組成物を得た。このフェノール樹脂組成物に、パラホルムアルデヒド(富士フィルム和光製、純度94%、平均粒径(dv50)31μm)を、その添加量がフェノール樹脂A100質量部に対して1.5質量部となるように添加し、二軸押し出し機((株)テクノベル製)によって混練して、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物を得た。パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物100質量部に対して、発泡剤としてシクロペンタン75質量%とイソブタン25質量%の混合物6.0質量部、気体発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.4質量%、更に、酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物からなる組成物を10質量部添加し、回転数可変式のミキシングヘッドに供給した。混合し、得られた発泡性フェノール樹脂組成物をマルチポート分配管にて分配し、移動する下面材上に供給した。なお、混合機(ミキサー)は、特開平10-225993号に開示されたものを使用した。即ち、混合機の上部側面に、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物、および、発泡核剤を含む発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に酸性硬化剤の導入口を備えている混合機を使用した。攪拌部以降は発泡性フェノール樹脂組成物を吐出するためのノズルに繋がっている。また、混合機は、酸性硬化剤導入口までを混合部(前段)、酸性硬化剤導入口~攪拌終了部を混合部(後段)、攪拌終了部~ノズルを分配部とし、これらにより構成されており、混合機上部側面には圧力計が、攪拌終了部には温度計が、各々設置されている。混合機の設備汚れの指標として、該混合機の圧力上昇度に着目した。また、分配部は先端に複数のノズルを有し、得られた発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。ここで、混合機およびノズルは、各々温調水により温度を調節できるようになっており、温調水温度はともに25℃とした。ミキシングヘッドの回転数は500rpmに設定した。下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、予成形工程に導入されるが、このときの予成形工程の空間温度は65℃とした。なお、予成形は、上面材上方より、フリーローラーにて行った。その後、二枚の面材で挟み込むようにして、空間温度が85℃に加熱されたスラット型ダブルコンベアに導入した(本成形工程)。本成形工程において、10分の滞留時間で硬化させた後、走行方向に対して垂直な方向に切断することで、ハンドリングが容易な1820mm長さのフェノール樹脂発泡板中間体を得た。その後更に、110℃のオーブンで3時間硬化させ(後硬化工程)、厚み50mmのフェノール樹脂発泡板を得た。なお、面材としては、上下面材ともに、ポリエステル不織布(旭化成(株)エルタスE05060、目付量60g/m2)を使用した。
<パラホルムアルデヒドの平均粒径>
パラホルムアルデヒドの平均粒径は、レーザー回析光散乱方式粒径分布測定装置(マイクロトラック・ベル(株)製、マイクロトラック;MT3300EXII)を使用し、粉末を水中に一様に分散させ
るため超音波処理を行った後に測定した。なお、粒度分布データは、粒子径スケールに対する積算%の分布曲線が50%の横軸と交差するポイントの粒子径を50%径(通常、メディアン径とも呼ばれる)として求めた。
<5時間経過後の混合機圧力上昇度>
混合機の設備汚れの指標としては、連続運転開始時の混合機圧力をP0、連続運転5時間後の混合機の圧力をP1としたとき、以下の式(1)により得られる値を、5時間経過後の混合機圧力上昇度(P;kPa/hr)として、A;Pが50未満、B;Pが50以上150未満、C;Pが150以上、の場合として、3段階の評価を行った。Pが、A及びBであれば、設備汚れが少ないと判断できる。
P=(P1-P0)/5 (1)
そして、得られたフェノール樹脂発泡板の特性(硬化レベル、密度、厚み、独立気泡率、平均気泡径)を以下の方法によって評価した。
<硬化レベル>
ハンドリングが容易な1820mm長さのフェノール樹脂発泡板中間体の切断面のヒケ具合を、目視で評価した。図1(a)において、幅方向中心部に相当する、厚み方向の切断面5が、フェノール樹脂発泡板中間体1の上下面(上面材3、下面材4)と垂直になっていることが理想であるが、硬化が不足すると、図1(b)に示すように、切断面5が変形し、厚み方向中心部がフェノール樹脂発泡板中間体1の中心方向に、最も抉れ(ヒケ)やすくなる。この断面変形状態を測定し、硬化レベル(切断面変形度)を判定する。硬化レベルは、図1(b)に示すように、フェノール樹脂硬化体2における距離aが1mm未満であれば「A」、距離aが1mm以上であれば「B」、距離aが2mm以上であれば「C」と評価した。
<密度>
200mm角のフェノール樹脂発泡板を試料とし、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を測定して求めた。
<厚み>
300mm角のフェノール樹脂発泡板の1辺の両端部から10mm中心側に相当する位置にマーキングを行い、4辺全ての同位置にも同様にマーキングを行う。マーキングされた全8箇所の厚みをノギスで測定し、平均厚みを求め、厚みとする。
<独立気泡率>
ASTM-D-2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径30mm~32mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、フェノール樹脂発泡体の厚み方向中心が中心となるように高さ9mm~13mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割り、100をかけた値を独立気泡率として求めた。同様の操作を各測定部位から50mm以上離れた部位について全10点測定し、最も低い測定値を独立気泡率とした。なお、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。なお、フェノール樹脂発泡体の厚みが30mm以下の場合には、直径30mm~32mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、フェノール樹脂発泡体の厚み方向中心が中心となるように高さ4mm~6mmに切り揃えた後同様の評価を行った。
<平均気泡径>
平均気泡径は、JIS K6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。フェノール樹脂発泡板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削して得た試験片の切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上にボイドを避けて9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数に準じて測定したセル数を各直線で求め、それらの平均値で1,800μmを割った値を平均気泡径とした。なお、ボイドとは、前記50倍に拡大した写真上において、1.5cm以上の略円形直径に相当する気泡径を有する気泡をいう。
(実施例2)
パラホルムアルデヒドの添加量を0.2質量部とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例3)
パラホルムアルデヒドの添加量を10.0質量部とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例4)
フェノール樹脂Aの替わりにフェノール樹脂Bを用い、フェノール樹脂B100質量部に対してパラホルムアルデヒドを1.5質量部となるように添加した以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例5)
発泡剤として、シクロペンタン75質量%とイソブタン25質量%の混合物6.0質量部の替わりに、イソプロピルクロリド40質量%と1-クロロ-3,3,3-トリフルオロプロペン60質量の混合物6.6質量部を用いる以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例6)
混合機およびノズルの温調水温度をともに35℃とすることで混合機出口温度を45℃とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例7)
予成形工程の空間温度を46℃とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例8)
予成形工程の空間温度を70℃とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例9)
使用するパラホルムアルデヒドを、SIGMA-ALDRICH製、純度95%、平均粒径(dv50)355μm、とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(実施例10)
実施例1において得られたフェノール樹脂組成物に、パラホルムアルデヒド(富士フィルム和光製、純度94%、平均粒径(dv50)31μm)をフェノール樹脂A100質量部に対して1.5質量部添加する以外に、フェノール樹脂発泡体粉をフェノール樹脂組成物100質量部に対して5質量%となるように、二軸押し出し機((株)テクノベル製)によって混練し、パラホルムアルデヒド添加フェノール樹脂組成物を得た以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡板を得た。なお、フェノール樹脂発泡体粉は以下のように作製した。
フェノール樹脂発泡体(旭化成(株)製、ネオマフォーム)端材を、転動ボールミル(乾式、直径900mm×1500mm)にて面材剥離及び粗粉砕してから、篩(篩目開き:1.2mm)により面材を除去した後、振動ボールミル(乾式、内径150mm、1筒15.5L×2筒)を用いて圧密化微粉砕を行い、嵩密度180kg/m3のフェノール樹脂発泡体粉を作製した。このフェノール樹脂発泡体粉をレーザー回析光散乱方式粒径分布測定装置で測定したところ、平均粒径は26.8μmであった。
(実施例11)
使用するパラホルムアルデヒドを、以下のものとする以外は、実施例1と同様にしてフェノール樹脂発泡板を得た。使用するパラホルムアルデヒドは、実施例9で使用したパラホルムアルデヒドを、転動ボールミル(乾式、直径900mm×1500mm)にて粉砕することにより、平均粒径(dv50)198μmとしたものを用いた。
(参考例)
パラホルムアルデヒドを添加せず、本成形工程における滞留時間を15分とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(比較例1)
パラホルムアルデヒドを無添加とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。なお、この条件は、本成形工程における滞留時間を10分とする以外は、参考例と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た、ことにもなる。
(比較例2)
酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物からなる組成物を16.5質量部添加する以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(比較例3)
本成形工程の空間温度を105℃とする以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
(比較例4)
フェノール樹脂Aの替わりにフェノール樹脂Cを用い、フェノール樹脂組成物へのパラホルムアルデヒドの添加は行わない以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡板を得た。
実施例1~11、参考例、および比較例1~4で得られたフェノール樹脂発泡板の特性の評価結果を、表1にまとめた。
Figure 0007221083000001
表1より、実施例1~11の製造条件では、設備、特に混合機を汚さず、長時間安定的に高速成形できることがわかる。なお、比較例1は硬化不足により良品が得られなかったため、フェノール樹脂発泡体の厚み、密度、独立気泡率、及び平均気泡径の評価は行わなかった。一方、参考例では、比較例1の本成形工程における滞留時間を延ばすことで、良品を得ることができた。
1 フェノール樹脂発泡板中間体
2 フェノール樹脂硬化体
3 上面材
4 下面材
5 厚み方向の切断面
a 切断面変形度

Claims (5)

  1. フェノール樹脂と、パラホルムアルデヒドと、発泡剤と、有機酸を含有する酸性硬化剤とを、混合機を用いて混合し、発泡性フェノール樹脂組成物を得る工程と、前記発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程とを含み、
    前記発泡性フェノール樹脂組成物を下面材上に吐出する工程に続いて、前記下面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させつつ予成形を行う工程を含み、
    前記予成形を行う工程の空間温度が45℃以上70℃以下である、フェノール樹脂発泡体の製造方法。
  2. 前記フェノール樹脂100質量部に対して、前記パラホルムアルデヒドの添加量が、0.2質量部以上10.0質量部以下である、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  3. 前記混合機の出口温度が45℃未満である、請求項1又は請求項2に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  4. 前記発泡性フェノール樹脂組成物を得る工程は、前記パラホルムアルデヒドを予め前記フェノール樹脂と混練させておく工程を含む、請求項1~のいずれか一項に記載のフェノール樹脂発泡体の製造方法。
  5. 前記パラホルムアルデヒドの平均粒径dv50が、10μm以上1000μm以下である、請求項1~のいずれか一項に記載の製造方法。
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