JP5809738B1 - フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】紙を含有する可撓性面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板であって、面材剥離強度が十分に確保されたフェノール樹脂発泡体積層板を得る。【解決手段】密度が15kg/m3以上50kg/m3以下、独立気泡率が70%以上、平均気泡径が20μm以上180μm以下の範囲にあるフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、前記面材が紙を含有する可撓性面材であり、そして面材剥離強度が250g以上であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板。【選択図】図1
Description
本発明は、フェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関し、更に詳しくは、紙を含有する可撓性面材を配したフェノール樹脂発泡体積層板であって、母材から面材剥離が起きにくいフェノール樹脂発泡体積層板及びその製造方法に関する。
レゾール型フェノール樹脂を原料とした、酸硬化型フェノール樹脂発泡体は、燃え難く、煙の発生が少なく、しかも断熱性も良好なところから、従前より、例えば金属サイディング等の外壁材、間仕切りパネル等の内壁材の他、天井材、防火扉、雨戸等の建材に使用されている。また、酸硬化型フェノール樹脂発泡体は、建材用や工業プラント用の保冷・保温材としても広く使用されている。
ここで、フェノール樹脂発泡体は、例えば、上下に配置した面材間に、フェノール樹脂、発泡剤などを含有する組成物(発泡性フェノール樹脂組成物)を充填し、発泡・硬化させることで、フェノール樹脂発泡体の上下面に面材を設けてなるフェノール樹脂発泡体積層板として製造される。そして、フェノール樹脂発泡体積層板に使用される面材としては、取り扱い性に優れることや、安価であることを理由に紙を含有する可撓性面材が選定され得る。しかし紙類から成る可撓性面材を使用すると、フェノール樹脂発泡体積層板の製造の際にフェノール樹脂がクラフト紙等の面材の内部にまで十分に浸透し難い。そのため、当該面材と、フェノール樹脂発泡体(母材)との間の接着強度(面材の母材からの剥離強度、以下「面材剥離強度」という)が不十分となり、わずかな外力によっても面材が剥がれ易くなるという問題があった。
この課題を解決すべく、例えば特許文献1では、面材として、透気度を特定の範囲内に限定した特殊なガラスペーパーを用いることで、フェノール樹脂発泡体と面材との間の接着強度を改善する提案がなされている。そして、当該技術によれば、フェノール樹脂発泡体と面材との間の接着強度を従来に比べては改善することができると報告されているが、実用上、面材剥離強度を十分なものとすることはできなかった。
一方、特許文献2では、セルロース成分を含む面材にエンボス加工を施すことで、シワ、剥離といった発泡体の表面欠陥を覆い隠す提案がなされている。しかしながら、当該技術は、あくまで表面欠陥を覆い隠すものであり、紙を含有する可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板において、面材剥離強度を向上させるという課題を根本的に解決するには至っていない。
特許第3097003号公報
特開2012−240238号公報
一方、特許文献2では、セルロース成分を含む面材にエンボス加工を施すことで、シワ、剥離といった発泡体の表面欠陥を覆い隠す提案がなされている。しかしながら、当該技術は、あくまで表面欠陥を覆い隠すものであり、紙を含有する可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板において、面材剥離強度を向上させるという課題を根本的に解決するには至っていない。
したがって、上記従来の技術によっても、紙を含有する可撓性面材を用いた場合において、フェノール樹脂発泡体積層板に実用上十分な面材剥離強度を付与することは困難であった。よって、従来のフェノール樹脂発泡体積層板には、面材として紙を含有する可撓性面材を用いた場合であっても、フェノール樹脂発泡体からの面材の剥がれが十分に抑制可能な面材剥離強度を確保することが求められていた。
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行い、上下面に紙を含有する可撓性面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板の製造において、発泡核剤量、及び発泡性フェノール樹脂組成物と接する際の面材の表面温度を適正化することにより、フェノール樹脂発泡体の面材との接着性を確保し、従来に比べて実用上十分な面材剥離強度を有するフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[3]を提供する。
[1]密度が15kg/m3以上50kg/m3以下、独立気泡率が70%以上、平均気泡径が20μm以上180μm以下の範囲にあるフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、前記面材が紙を含有する可撓性面材であり、そして45°角度での面材剥離強度が250g以上であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板。
[2]前記面材が、ガラス繊維を含有することを特徴とする、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する工程と、前記面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板を得る工程と、を含み、前記発泡性フェノール樹脂組成物は、発泡核剤を前記発泡剤に対して0.1質量%以上0.6質量%以下の割合で含み、前記面材として紙を含有する可撓性面材を使用し、前記面材と前記発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の面材表面の平均温度が5℃以上19℃以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
[2]前記面材が、ガラス繊維を含有することを特徴とする、[1]に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
[3]フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する工程と、前記面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板を得る工程と、を含み、前記発泡性フェノール樹脂組成物は、発泡核剤を前記発泡剤に対して0.1質量%以上0.6質量%以下の割合で含み、前記面材として紙を含有する可撓性面材を使用し、前記面材と前記発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の面材表面の平均温度が5℃以上19℃以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
本発明によれば、紙を含有する可撓性面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板であって、面材剥離強度が十分に確保されたフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができる。
以下、本発明をその好適な実施形態に則して詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
(フェノール樹脂発泡体積層板)
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体積層板(以下、「発泡体積層板」という場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体と、当該フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に設けられた面材とを備える積層体である。
そして、本実施形態の発泡体積層板は、上下面材とフェノール樹脂発泡体との間の剥離強度が強く、面材が剥がれ難いため、発泡体積層板として扱い易いことを特徴とする。
本実施形態におけるフェノール樹脂発泡体積層板(以下、「発泡体積層板」という場合がある。)は、硬化反応によって形成されたフェノール樹脂中に、多数の気泡が分散した状態で存在するフェノール樹脂発泡体と、当該フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に設けられた面材とを備える積層体である。
そして、本実施形態の発泡体積層板は、上下面材とフェノール樹脂発泡体との間の剥離強度が強く、面材が剥がれ難いため、発泡体積層板として扱い易いことを特徴とする。
<フェノール樹脂発泡体>
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の密度は、15kg/m3以上50kg/m3以下であり、好ましくは20kg/m3以上40kg/m3以下である。密度が15kg/m3以上であると圧縮強度等の機械的強度が確保でき、発泡体の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、密度が50kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノール樹脂発泡体の密度は、主に発泡剤の割合、硬化条件の変更により所望の値に調整できる。
本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の密度は、15kg/m3以上50kg/m3以下であり、好ましくは20kg/m3以上40kg/m3以下である。密度が15kg/m3以上であると圧縮強度等の機械的強度が確保でき、発泡体の取り扱い時に破損が起こることを回避することができる。一方、密度が50kg/m3以下であると、樹脂部の伝熱が増大しにくいため、断熱性能を保つことができる。なお、フェノール樹脂発泡体の密度は、主に発泡剤の割合、硬化条件の変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、70%以上であり、好ましくは80%以上である。独立気泡率が70%未満であると、フェノール樹脂発泡体積層板中の発泡剤が空気と置換して断熱性能が低下する傾向が生じるという懸念がある。なお、フェノール樹脂発泡体の独立気泡率は、例えば、発泡核剤の添加量、面材と発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度および面材表面の平均温度、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、20μm以上180μm以下であり、好ましくは40μm以上150μm以下である。平均気泡径が20μm以上であると、発泡体の密度が高くなることを抑制できる。この結果、発泡体における樹脂部の伝熱割合を低減できるため、フェノール樹脂発泡体の断熱性能を確保することができる。また、逆に平均気泡径が180μm以下であると、輻射による熱伝導率の増加が抑制され、発泡体の断熱性能の低下を回避することができる。なお、フェノール樹脂発泡体の平均気泡径は、例えば、発泡核剤の添加量、面材上に発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の発泡性フェノール樹脂組成物の温度および面材表面の平均温度、硬化条件などの変更により所望の値に調整できる。
そして、フェノール樹脂発泡体積層板のフェノール樹脂発泡体は、例えば、フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、発泡核剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物から製造される。なお、発泡性フェノール樹脂組成物は、任意に、上記以外の成分を含有していてもよい。
フェノール樹脂としては、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物によって合成するレゾール型フェノール樹脂を用いる。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを原料としてアルカリ触媒により40〜100℃の温度範囲で加熱して合成する。また、必要に応じてレゾール型フェノール樹脂の合成時、もしくは合成後に尿素等の添加剤を添加してもよい。尿素を添加する場合は予めアルカリ触媒でメチロール化した尿素をレゾール型フェノール樹脂に混合することがより好ましい。合成後のレゾール型フェノール樹脂は、通常過剰な水分を含んでいるので、発泡に際し、発泡に適した水分量に調整する。また、フェノール樹脂には、脂肪族炭化水素または高沸点の脂環式炭化水素、或いは、それらの混合物や、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の粘度調整用の希釈剤、その他必要に応じてマテリアルリサイクル粉体や添加剤を添加することもできる。
フェノール樹脂の合成時のフェノール類対アルデヒド類の出発モル比は1:1から1:4.5の範囲内が好ましく、より好ましくは1:1.5から1:2.5の範囲内である。
ここで、本実施形態においてフェノール樹脂合成の際に好ましく使用されるフェノール類は、フェノール自体、及び他のフェノール類であり、他のフェノール類の例としては、レゾルシノール、カテコール、o−、m−及びp−クレゾール、キシレノール類、エチルフェノール類、p−tertブチルフェノール等が挙げられる。また、2核フェノール類も使用できる。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、及び他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
なお、フェノール樹脂には、添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは添加剤を加えた後のものを指す。
また、アルデヒド類は、アルデヒド源となり得る化合物であればよく、アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド自体、及び他のアルデヒド類やその誘導体を用いることが好ましい。他のアルデヒド類の例としては、グリオキサール、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラール、ベンズアルデヒド等が挙げられる。
なお、フェノール樹脂には、添加剤として尿素、ジシアンジアミドやメラミン等を加えてもよい。本明細書において、これらの添加剤を加える場合、「フェノール樹脂」とは添加剤を加えた後のものを指す。
フェノール樹脂の40℃における粘度は、好ましくは5,000mPa・s以上100,000mPa・s以下であり、より好ましくは7,000mPa・s以上50,000mPa・s以下であり、さらに好ましくは9,000mPa・s以上40,000mPa・s以下である。
また、フェノール樹脂の水分量は1.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
また、フェノール樹脂の水分量は1.5質量%以上30質量%以下が好ましい。
発泡性フェノール樹脂組成物に含まれる界面活性剤、発泡剤及び発泡核剤は、フェノール樹脂に予め添加しておいてもよいし、酸性硬化剤と同時に添加してもよい。
界面活性剤としては、フェノール樹脂発泡体の製造に一般に使用されるものを使用できるが、中でもノニオン系の界面活性剤が効果的であり、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合体であるアルキレンオキサイドや、アルキレンオキサイドとヒマシ油との縮合物、アルキレンオキサイドと、ノニルフェノール、ドデシルフェノールのようなアルキルフェノールとの縮合生成物、アルキルエーテル部分の炭素数が14〜22のポリオキシエチレンアルキルエーテル、更にはポリオキシエチレン脂肪酸エステル等の脂肪酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等のシリコーン系化合物、ポリアルコール類等が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。また、その使用量については特に制限はないが、フェノール樹脂100質量部に対して0.3質量部以上10質量部以下の範囲で好ましく使用される。
発泡剤の構成成分としては、特に限定されないが、オゾン層を破壊することのない炭化水素(HC類)、ハイドロフルオロカーボン(HFC類)、を用いることが好ましい。とりわけ、地球温暖化係数が小さいことから、炭化水素を使用することがより好ましい。
炭化水素としては、炭素数が3〜7の環状または鎖状のアルカン、アルケン、アルキンが好ましく、具体的には、ノルマルブタン、イソブタン、シクロブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン、2,2−ジメチルブタン、2,3−ジメチルブタン、シクロヘキサン、等を挙げることができる。その中でも、ノルマルペンタン、イソペンタン、シクロペンタン、ネオペンタンのペンタン類及びノルマルブタン、イソブタン、シクロブタンのブタン類が好適に用いられる。これら炭化水素は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ハイドロフルオロカーボンとしては、ハイドロフルオロプロペン、ハイドロクロロフルオロプロペン、ハイドロブロモフルオロプロペン、ハイドロフルオロブテン、ハイドロクロロフルオロブテン、ハイドロブロモフルオロブテン、ハイドロフルオロエタン、ハイドロクロロフルオロエタン、ハイドロブロモフルオロエタン等を挙げることができる。これらハイドロフルオロカーボンは単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
ここで、発泡剤に占める炭化水素の含有割合は10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。フェノール樹脂に対する発泡剤の量は、発泡剤の種類、フェノール樹脂との相性や、発泡・硬化過程でのロスによりばらつきがあるが、フェノール樹脂100質量部に対して3.0質量部以上11.5質量部以下あることが好ましく、4.0質量部以上9.5質量部以下であることがより好ましい。フェノール樹脂に対する発泡剤の量が3.0質量部未満であると密度が高くなりすぎ、好ましくない。また、フェノール樹脂に対する発泡剤の量が11.5質量部超であると、密度が低くなりすぎるため好ましくない。
なお、ハイドロフルオロカーボンや炭化水素以外の発泡剤成分としては、塩素化脂肪族炭化水素などの塩素化炭化水素を使用することもできる。塩素化脂肪族炭化水素としては、炭素数が2〜5の直鎖状または分岐状のものが用いられる。結合している塩素原子の数は限定されるものではないが、1〜4が好ましく、例えばジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリドなどが挙げられる。これらのうち、クロロプロパンであるプロピルクロリド、イソプロピルクロリドがより好ましく用いられる。これら塩素化脂肪族炭化水素は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。なお、塩素化炭化水素には、上述したハイドロフルオロカーボンは含まれないものとする。
本実施形態においては、フェノール樹脂発泡体の製造に発泡核剤を使用することが重要である。発泡核剤としては、窒素、ヘリウム、アルゴン、空気などの、発泡剤よりも沸点が50℃以上低い、低沸点物質を添加することができる。また、固体発泡核剤として、水酸化アルミニウム粉、酸化アルミニウム粉、炭酸カルシウム粉、タルク、はくとう土(カオリン)、珪石粉、珪砂、マイカ、珪酸カルシウム粉、ワラストナイト、ガラス粉、ガラスビーズ、フライアッシュ、シリカフューム、石膏粉、ホウ砂、スラグ粉、アルミナセメント、ポルトランドセメント等の無機粉、及び、フェノール樹脂発泡体粉のような有機粉を添加することもできる。これらは、単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
発泡核剤の発泡剤に対する添加量は、発泡剤の量を100質量%として、0.1質量%以上0.6質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上0.4質量%以下であることがより好ましい。発泡核剤の添加量が0.1質量%未満であると、不均一な発泡が起こりやすく、平均気泡径が大きくなり過ぎるため好ましくない。また、発泡核剤の添加量が0.6質量%超であると、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡が促進され、面材へ発泡性フェノール樹脂組成物が滲みこみ難くなり、十分な面材剥離強度を有するフェノール樹脂発泡体積層板を得ることが困難となる。
酸性硬化剤は、フェノール樹脂を硬化できる酸性の硬化剤であればよく、リン酸やアリールスルホン酸、或いは、これらの無水物が好ましい。アリールスルホン酸およびその無水物としては、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、置換フェノールスルホン酸、キシレノールスルホン酸、置換キシレノールスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸等、および、それらの無水物が挙げられ、これらを一種類で用いても、二種類以上組み合わせてもよい。なお、本実施形態では、硬化助剤として、レゾルシノール、クレゾール、サリゲニン(o−メチロールフェノール)、p−メチロールフェノール等を添加してもよい。また、これらの硬化剤を、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の溶媒で希釈してもよい。
酸性硬化剤の使用量は、その種類により異なり、無水リン酸を用いた場合、好ましくはフェノール樹脂100質量部に対して、5質量部以上30質量部以下、より好ましくは8質量部以上25質量部以下で使用される。パラトルエンスルホン酸一水和物60質量%とジエチレングリコール40質量%の混合物を使用する場合には、フェノール樹脂100質量部に対して、好ましくは3質量部以上30質量部以下、より好ましくは5質量部以上20質量部以下で使用される。
<面材>
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される面材としては、紙を含有し、そして可撓性を有する面材(可撓性面材)が用いられる。使用される紙を含有する可撓性面材としては、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類が挙げられる。そしてこれらの紙類は、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布及び織布や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等と、混合(または積層)して用いられてもよい。そして、本実施形態における紙を含有する可撓性面材は、フェノール樹脂発泡体積層板の難燃性及び剛性を向上させる観点からは、ガラス繊維を含むことが好ましい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。更に、可撓性面材としては、難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。
フェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に配される面材としては、紙を含有し、そして可撓性を有する面材(可撓性面材)が用いられる。使用される紙を含有する可撓性面材としては、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化カルシウム紙、水酸化アルミニウム紙、珪酸マグネシウム紙等の紙類が挙げられる。そしてこれらの紙類は、主成分がポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン等からなる不織布及び織布や、ガラス繊維不織布のような無機繊維の不織布等と、混合(または積層)して用いられてもよい。そして、本実施形態における紙を含有する可撓性面材は、フェノール樹脂発泡体積層板の難燃性及び剛性を向上させる観点からは、ガラス繊維を含むことが好ましい。これら面材は、通常ロール状の形態で提供されている。更に、可撓性面材としては、難燃剤等の添加剤を混練したものを用いても構わない。
<フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度>
面材剥離強度は、フェノール樹脂発泡体積層板における面材とフェノール樹脂発泡体との接着強度に相関する値である。そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、面材剥離強度が250g以上であり、300g以上であることが好ましく、350g以上であることがより好ましく、400g以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、1000g以下であることが好ましい。ここで、面材剥離強度は、後述のとおり、面材と発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の面材表面の平均温度、発泡核剤の量などの変更により所望の値に調整できる。
なお、フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度は、本明細書の実施例に記載の方法で測定することができる。
面材剥離強度は、フェノール樹脂発泡体積層板における面材とフェノール樹脂発泡体との接着強度に相関する値である。そして、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板は、面材剥離強度が250g以上であり、300g以上であることが好ましく、350g以上であることがより好ましく、400g以上であることが更に好ましい。上限は特に限定されないが、1000g以下であることが好ましい。ここで、面材剥離強度は、後述のとおり、面材と発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の面材表面の平均温度、発泡核剤の量などの変更により所望の値に調整できる。
なお、フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度は、本明細書の実施例に記載の方法で測定することができる。
(フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法)
次に、上述したフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法について説明する。
次に、上述したフェノール樹脂発泡体積層板の製造方法について説明する。
フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法は、上述した発泡性フェノール樹脂組成物を混合機にて混合する混合工程と、混合した発泡性フェノール樹脂組成物を表面材上に吐出する吐出工程と、面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物からフェノール樹脂発泡体積層板を製造する発泡体積層板製造工程とを備える連続製造方式が一般的であるが、型枠の中で該面材を上下に用いたバッチ発泡成形方式を採用することも可能である。
連続製造方式においては、面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡及び硬化させながら上下方向から均すように予成形し、その後、発泡及び硬化を進めつつ板状に成形していく。
連続製造方式において、予成形や成形を行う方法としては、スラット型ダブルコンベアを利用する方法や、金属ロールもしくは鋼板を利用する方法、さらには、これらを複数組み合わせて利用する方法等、製造目的に応じた種々の方法が挙げられる。このうち、例えば、スラット型ダブルコンベアを利用して成形する場合には、上下の面材で被覆された発泡性フェノール樹脂組成物をスラット型ダブルコンベア中へ連続的に案内した後、加熱しながら上下方向から圧力を加えて、所定の厚みに調整しつつ、発泡及び硬化させ、板状に成形することができる。
ここで、本発明のフェノール樹脂発泡体積層板を達成するためには、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡状態を制御しつつ面材表面での初期硬化を極力抑制することが重要である。以下、その詳細について説明する。
上述のように、紙を含有する面材は、発泡性フェノール樹脂組成物が浸透し難く、当該組成物が硬化してフェノール樹脂発泡体積層板が形成された際に、フェノール樹脂発泡体積層板の面材が、母材から剥離し易いという問題があった。そしてより詳細に検討すると、このように十分な面材剥離強度が得られない要因としては、更に以下の2つが挙げられると考えられる。
一つ目の要因としては、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡が進みすぎると、面材と接触する際に液状ではなく泡状となり接し硬化するため、発泡性フェノール樹脂組成物と面材が点接触した状態で接着が進行することになり、接触面積が低下することが考えられる。
二つ目の要因としては、発泡性フェノール樹脂組成物が接する面材の表面温度が高いと、発泡性フェノール樹脂組成物が、面材に浸透する前に硬化してしまうことが考えられる。
一つ目の要因としては、発泡性フェノール樹脂組成物の発泡が進みすぎると、面材と接触する際に液状ではなく泡状となり接し硬化するため、発泡性フェノール樹脂組成物と面材が点接触した状態で接着が進行することになり、接触面積が低下することが考えられる。
二つ目の要因としては、発泡性フェノール樹脂組成物が接する面材の表面温度が高いと、発泡性フェノール樹脂組成物が、面材に浸透する前に硬化してしまうことが考えられる。
そして、上述の要因を鑑みた上で鋭意検討を行った結果、紙を含有する可撓性面材を用いた場合であっても、発泡核剤の量及び発泡性フェノール樹脂組成物と可撓性面材が接する際の面材の表面温度を適正化することにより、従来に比べて実用上十分な面材剥離強度を有するフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができることを見出した。
具体的には、発泡性を調整し得る発泡核剤を、発泡剤の量を100質量%として、0.1質量%以上0.6質量%以下使用し、そして、発泡性フェノール樹脂組成物が紙を含有する可撓性面材上に吐出される際の面材表面の平均温度を5℃以上40℃以下とする。このように、発泡核剤の量および面材表面の平均温度を調整することで、実用上十分な面材剥離強度を備えるフェノール樹脂発泡体積層板を製造することができる。
ここで、本実施形態のフェノール樹脂発泡体積層板の製造では、発泡性フェノール樹脂組成物が面材に接する際、上述のように面材表面の平均温度を5℃以上40℃以下に調整するが、当該温度は5℃以上30℃以下が好ましく、5℃以上20℃以下であることがより好ましい。当該温度を5℃未満とすると、発泡性フェノール樹脂組成物の表面及び内部の硬化が遅れるため好ましくない。一方当該温度を40℃超とすると発泡性フェノール樹脂組成物が面材に浸透する前に硬化してしまい、面材剥離強度が低下するので好ましくない。なお、「面材表面の平均温度」とは、上下面材表面の、任意の各10点(合計20点)における、発泡性フェノール樹脂組成物と接する際の表面温度を測定し、それらを平均することにより得られる値をいう。
ここで、発泡性フェノール樹脂組成物と接する際の面材表面の温度は、非接触式赤外放射温度計により測定することができる。なお、本発明に係る面材表面の平均温度の調節手段は特に限定されない。面材の表面を冷却するには、冷風を吹き付けてもよいが、雰囲気温度を低下させることで適正範囲に調整することが好ましい。また、面材の表面を加熱する場合の装置は特に限定されるものではないが、熱風送風機や遠赤外線ヒーター等が挙げられる。そして、面材の表面を加熱する方法も、特に限定されるものではなく、走行する面材に対して遠赤外線ヒーターを照射する方法、熱風をスリットノズルにて吹き付ける方法、加温室を設けて発泡性フェノール樹脂組成物吐出直後に加熱温調する方法等が挙げられる。
以下に、実施例及び比較例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<フェノール樹脂の合成>
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3500kgと99質量%フェノール(不純物として水を含む)2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(=60×10-6m2/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液でpHを6.3に中和した。
反応器に52質量%ホルムアルデヒド水溶液(52質量%ホルマリン)3500kgと99質量%フェノール(不純物として水を含む)2510kgを仕込み、プロペラ回転式の攪拌機により攪拌し、温調機により反応器内部液温度を40℃に調整した。次いで50質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えながら昇温して、反応を行わせた。オストワルド粘度が60センチストークス(=60×10-6m2/s、25℃における測定値)に到達した段階で、反応液を冷却し、尿素を570kg(ホルムアルデヒド仕込み量の15モル%に相当)添加した。その後、反応液を30℃まで冷却し、パラトルエンスルホン酸一水和物の50質量%水溶液でpHを6.3に中和した。
この反応液を、60℃で脱水処理して粘度及び水分量を以下の方法で測定したところ、40℃における粘度は6,100mPa・s、水分量は5.1質量%であった。これをフェノール樹脂A−Uとする。
<水分量>
フェノール樹脂中の水分量は、カールフィッシャー水分計MKA−510(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
フェノール樹脂中の水分量は、カールフィッシャー水分計MKA−510(京都電子工業(株)製)を用いて測定した。
<粘度>
回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂の粘度とした。
回転粘度計(東機産業(株)製、R−100型、ローター部は3°×R−14)を用い、40℃で3分間安定させた後の測定値をフェノール樹脂の粘度とした。
(実施例1)
フェノール樹脂A−U:100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF−127)を2.0質量部の割合で混合した。これをフェノール樹脂A−U1とする。
フェノール樹脂A−U:100質量部に対して、界面活性剤としてエチレンオキサイド−プロピレンオキサイドのブロック共重合体(BASF製、プルロニックF−127)を2.0質量部の割合で混合した。これをフェノール樹脂A−U1とする。
このフェノール樹脂A−U1:100質量部に対して、発泡剤としてイソペンタン20質量%とイソプロピルクロリド80質量%の混合物5.6質量部、発泡核剤として窒素を発泡剤に対して0.3重量%添加し、酸性硬化剤としてキシレンスルホン酸80質量%とジエチレングリコール20質量%の混合物13質量部を添加してなる発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機のミキシングヘッドに供給し、マルチポート分配管を通して、移動する下面材上に供給した。なお、混合機(ミキサー)は、特開平10−225993号に開示されたものを使用した。即ち、混合機の上部側面に、フェノール樹脂A−U1、並びに、発泡核剤を含む発泡剤の導入口があり、回転子が攪拌する攪拌部の中央付近の側面に酸性硬化剤の導入口を備えている混合機を使用した。攪拌部以降は発泡体を吐出するためのノズルに繋がっている。即ち、混合機は、酸性硬化剤導入口までを混合部(前段)、酸性硬化剤導入口〜攪拌終了部を混合部(後段)、攪拌終了部〜ノズルを分配部とし、これらにより構成されている。分配部は先端に複数のノズルを有し、混合された発泡性フェノール樹脂組成物が均一に分配されるように設計されている。
下面材上に供給した発泡性フェノール樹脂組成物は、上面材で被覆されると同時に、上下面材で挟み込むようにして、40℃のオーブン(第1温調区間;滞留時間4分)へ導き複数のロールを利用して均すように予成形された後、83℃のスラット型ダブルコンベアを有するオーブン(第2温調区間)へ送られた。そして、予成形した発泡性フェノール樹脂組成物を、スラット型ダブルコンベアにおいて15分の滞留時間で硬化させた後、110℃のオーブンで2時間キュアしてフェノール樹脂発泡体積層板を得た。なお、スラット型ダブルコンベアでは、上下方向から面材を介して適度に圧力を加えることで板状に成形した。また、面材としては、上下とも紙を含有する可撓性面材であるクラフト紙面材を使用した。そして、非接触式赤外放射温度計測定による、発泡性フェノール樹脂組成物と接する際の上下面材表面の平均温度は18℃に調整した。
そして、得られたフェノール樹脂発泡体積層板の特性(フェノール樹脂発泡体の密度、独立気泡率及び平均気泡径、および面材剥離強度)を以下の方法によって評価した。
<フェノール樹脂発泡体の密度>
20cm角のフェノール樹脂発泡体積層板を試料とし、この試料から面材を取り除いた後、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を測定して求めた。
20cm角のフェノール樹脂発泡体積層板を試料とし、この試料から面材を取り除いた後、JIS K7222に従い質量と見かけ容積を測定して求めた。
<フェノール樹脂発泡体の独立気泡率>
ASTM−D−2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径35mm〜36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm〜40mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。
ASTM−D−2856に従い測定した。具体的には、フェノール樹脂発泡体積層板より面材を取り除いた後、直径35mm〜36mmの円柱形試料をコルクボーラーで刳り貫き、高さ30mm〜40mmに切り揃えた後、空気比較式比重計(東京サイエンス社製、1,000型)の標準使用方法により試料容積を測定した。その試料容積から、試料質量とフェノール樹脂の密度から計算した壁(気泡やボイド以外の部分)の容積を差し引いた値を、試料の外寸から計算した見かけの容積で割った値を独立気泡率とした。ここで、フェノール樹脂の密度は1.3kg/Lとした。
<フェノール樹脂発泡体の平均気泡径>
平均気泡径は、JIS K6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削して得た試験片の切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上にボイドを避けて9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数に準じて測定したセル数を各直線で求め、それらの平均値で1800μmを割った値を平均気泡径とした。
平均気泡径は、JIS K6402に記載の方法を参考に、以下の方法で測定した。
フェノール樹脂発泡体積層板の厚み方向のほぼ中央を表裏面に平行に切削して得た試験片の切断面を50倍に拡大した写真を撮影し、得られた写真上にボイドを避けて9cmの長さ(実際の発泡体断面における1,800μmに相当する)の直線を4本引き、各直線が横切った気泡の数に準じて測定したセル数を各直線で求め、それらの平均値で1800μmを割った値を平均気泡径とした。
<面材剥離強度>
フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度は以下の様に測定して求めた(図1参照)。
先ず、フェノール樹脂発泡体積層板を、幅50mm、長さ120mm(長さ方向が製品流れ方向と一致する。)に切り出し、上下面に位置する面材(a)、(b)のうちの一方の面材(b)を剥離した。その後、面材(b)剥離後の積層板を上下面と平行方向に切断することで、面材(a)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプル1を準備した。
次に、評価用サンプル1の長さ方向の一端から20mmの位置に、カッターを用いて、面材(a)を有さない側の面から厚み方向に深さ20mmの切り込みを入れた。その切込み位置にて、評価用サンプルの母材2を厚み方向に慎重に分割した。この際に面材(a)(図1中の面材3に相当)が母材2から剥がれないように長さ方向の力を加えないようにした。
そして、母材が分割された評価用サンプル1の、母材の長さが長い側の部位を、図1のようにクランプ7で水平面と45°の角度になるように保持し、また、母材の長さが短い側の部位の先に金属ワイヤ5で繋がれた容器6を、クランプ4を介してセットした。
その後、ポンプ(図示せず)を用いて空の容器6内に、100g/分の投入速度で、水を連続的に投入した。面材3が評価用サンプル1の長さ方向に、切り込み位置から50mm剥離した時点での容器6内の水の質量を測定した。同様の操作を二回行い、クランプ4、金属ワイヤ5、容器6、および得られた水の質量の合計の平均値を面材剥離強度(a)とした。
更に別途、面材(b)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプルを準備し、面材剥離強度(a)と同様にして面材剥離強度(b)を求めた。そして、面材剥離強度(a)および面材剥離強度(b)の内低い方の値を、フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度(単位:g)とした。
フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度は以下の様に測定して求めた(図1参照)。
先ず、フェノール樹脂発泡体積層板を、幅50mm、長さ120mm(長さ方向が製品流れ方向と一致する。)に切り出し、上下面に位置する面材(a)、(b)のうちの一方の面材(b)を剥離した。その後、面材(b)剥離後の積層板を上下面と平行方向に切断することで、面材(a)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプル1を準備した。
次に、評価用サンプル1の長さ方向の一端から20mmの位置に、カッターを用いて、面材(a)を有さない側の面から厚み方向に深さ20mmの切り込みを入れた。その切込み位置にて、評価用サンプルの母材2を厚み方向に慎重に分割した。この際に面材(a)(図1中の面材3に相当)が母材2から剥がれないように長さ方向の力を加えないようにした。
そして、母材が分割された評価用サンプル1の、母材の長さが長い側の部位を、図1のようにクランプ7で水平面と45°の角度になるように保持し、また、母材の長さが短い側の部位の先に金属ワイヤ5で繋がれた容器6を、クランプ4を介してセットした。
その後、ポンプ(図示せず)を用いて空の容器6内に、100g/分の投入速度で、水を連続的に投入した。面材3が評価用サンプル1の長さ方向に、切り込み位置から50mm剥離した時点での容器6内の水の質量を測定した。同様の操作を二回行い、クランプ4、金属ワイヤ5、容器6、および得られた水の質量の合計の平均値を面材剥離強度(a)とした。
更に別途、面材(b)を備え、幅50mm、長さ120mm、厚み25mmの評価用サンプルを準備し、面材剥離強度(a)と同様にして面材剥離強度(b)を求めた。そして、面材剥離強度(a)および面材剥離強度(b)の内低い方の値を、フェノール樹脂発泡体積層板の面材剥離強度(単位:g)とした。
(実施例2)
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.6質量%添加し、上下面材にガラス繊維混抄紙を使用し、上下面材表面の平均温度を23℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.6質量%添加し、上下面材にガラス繊維混抄紙を使用し、上下面材表面の平均温度を23℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(実施例3)
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.1質量%添加し、上下面材表面の平均温度を19℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.1質量%添加し、上下面材表面の平均温度を19℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例1)
発泡核剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
発泡核剤を添加しない以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例2)
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.7質量%添加し、上下面材表面の平均温度を20℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
発泡核剤である窒素を発泡剤に対して0.7質量%添加し、上下面材表面の平均温度を20℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
(比較例3)
上下面材表面の平均温度を42℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
上下面材表面の平均温度を42℃とした以外は、実施例1と同様にして、フェノール樹脂発泡体積層板を得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたフェノール樹脂発泡体積層板の特性の評価結果を、表1にまとめた。
表1より、実施例1〜3で得られたフェノール樹脂発泡体積層板は、比較例1〜3で得られたフェノール樹脂発泡体積層板よりも、優れた性能を有していることが分かる。
本発明によれば、紙を含有する可撓性面材を用いたフェノール樹脂発泡体積層板であって、面材剥離強度が十分に確保されたフェノール樹脂発泡体積層板を得ることができる。
1 評価用サンプル
2 母材(フェノール樹脂発泡体)
3 面材
4 クランプ
5 金属ワイヤ
6 容器
7 クランプ
2 母材(フェノール樹脂発泡体)
3 面材
4 クランプ
5 金属ワイヤ
6 容器
7 クランプ
Claims (3)
- 密度が15kg/m3以上50kg/m3以下、独立気泡率が70%以上、平均気泡径が20μm以上180μm以下の範囲にあるフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板であって、
前記面材が紙を含有する可撓性面材であり、そして
45°角度での面材剥離強度が250g以上であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板。 - 前記面材が、ガラス繊維を含有することを特徴とする、請求項1に記載のフェノール樹脂発泡体積層板。
- フェノール樹脂、界面活性剤、発泡剤、及び酸性硬化剤を含む発泡性フェノール樹脂組成物を、混合機を用いて混合する工程と、
混合した発泡性フェノール樹脂組成物を面材上に吐出する工程と、
前記面材上に吐出した発泡性フェノール樹脂組成物を発泡、硬化させてフェノール樹脂発泡体の少なくとも上下面に面材が配されたフェノール樹脂発泡体積層板を得る工程と、
を含み、
前記発泡性フェノール樹脂組成物は、発泡核剤を前記発泡剤に対して0.1質量%以上0.6質量%以下の割合で含み、
前記面材として紙を含有する可撓性面材を使用し、
前記面材と前記発泡性フェノール樹脂組成物が接する際の面材表面の平均温度が5℃以上19℃以下であることを特徴とする、フェノール樹脂発泡体積層板の製造方法。
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