JP2018112973A - 氾濫予測システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 子機のセンサーで検出した水位と降水量とセンサー情報を第1のデータベースに格納し、該第1のデータベースに格納された前記センサー情報の降水量から単位時間当たりの降雨量を算出して第2のデータベースへ格納し、子機の設置地点において冠水が発生したことをセンサー情報の水位から検出した時に、当該設置地点における冠水時の降雨量と冠水位とを当該設置地点に関連付けて第3のデータベースに格納する。第2のデータベースに格納された降雨量が第3のデータベースに格納された冠水時の降雨量を上回った時に、冠水が予測される冠水予測範囲を特定し、該冠水予測範囲に設置されている子機の警告表示部で冠水の事前警告表示を行う。
【選択図】 図4
Description
通常なら内水は下水道の雨水管やポンプ施設によって河川へと排水されるが、施設の能力が雨量に追い付かなかったり、外水の水位が上昇して排水できなかったりすると、内水の水はけが悪くなって建物や土地、道路などが水につかってしまう。近年、ゲリラ豪雨のような局地的豪雨の多発や都市化の進展に伴い、内水氾濫の被害リスクが増大している。
氾濫予測システム1の説明をするに当たり、住宅などが水に浸かることを「浸水」、田畑や道路などが水に浸ることを「冠水」と一般的に云われているが、本明細書においては、「浸水」と「冠水」とを住宅などや田畑や道路などが水に浸ることを意味する同義語として扱い、以下の説明においては特に断らない限り「冠水」というものとする。
図1に示す氾濫予測システム1は、端末群10と情報提供部12と複数の閉域通信網14a,14b,・・・,14mとを備えており、各部の間は通信網で接続されている。すなわち、情報提供部12と端末群10とは不特定多数の利用者によって共有して利用される拠点間を結ぶ公衆通信網やインターネット通信網からなる通信網11で接続され、閉域通信網14a〜14mと情報提供部12とは、インターネット通信網や公衆通信網からなる広域通信網13で接続される。
閉域通信網14a〜14mは、本発明にかかる氾濫予測システム1の対象地域(例えば、日本全国)をm分割して、m分割した地域毎に設置されている。すなわち、作成しようとする氾濫予報マップの全地域をカバーする閉域通信網14a〜14mが設置される。閉域通信網は、専用の通信回線を利用する通信網であり、データを途中で傍受されたり改ざんされるおそれを防止できる通信網である。
図6に示すように子機20は、マイクロコントローラ21、水位と降水量を検出するセンサー22、位置測位装置23、警告表示器24、閉域通信網通信I/F25とを備え、これらをバスにより接続している。また、各部へ電源を供給する電源装置26を備えている。マイクロコントローラ21は、子機20の動作を統括制御する制御手段であり、時計機能を有している。具体的には、マイクロコントローラ21は、センサー22で検出した水位と降水量のセンサー情報を取得すると共に、取得した時刻情報を取り込んで、時刻情報を付したセンサー情報を内部のテンポラリメモリに書き込む。また、子機20が設置された地点の位置情報をテンポラリメモリに書き込む。この場合、子機20の位置情報は、子機20における位置測位装置23がGPS等を使用して測位した位置情報、あるいは、直接入力した子機20の位置情報とされる。また、図示しないスイッチがオンされて電源装置26から電源が投入された際には、子機20を初期化する。そして、位置情報の取得が終了した際に、テンポラリメモリに書き込まれている当該子機20の位置情報に、当該子機20に割り当てられている一意の子機IDを付加して、閉域通信網通信I/F25から親機a1へ送信する。また、マイクロコントローラ21が、センサー22から取得した水位が規定水位を超えたと判断した場合は、マイクロコントローラ21は、水位と降水量とのセンサー情報と取得した時刻情報からなる水位情報に子機IDを付加して閉域通信網通信I/F25を介して所定時間毎に親機a1へ送信する。また、後述するように本発明にかかる氾濫予測システム1が、冠水するおそれのある地域を予測した際に、親機a1〜m1の内の子機20が属している親機から送信された警告表示変更指示に応じて冠水するおそれがあるという警告表示を警告表示器24を点灯させることにより行う。これにより、設置された地点において冠水するおそれがあると云う事前警告を子機20により行えることになる。警告表示器24は、発光ダイオード(LED)などの発光デバイスによって構成できる。なお、電源装置26は大容量キャパシタあるいは2次電池と、充電用の太陽光パネルとから構成することができる。
図7に示すように親機30は、マイクロコントローラ31、広域通信網通信I/F32、閉域通信網通信I/F33、記憶装置35とを備え、これらをバスにより接続している。また、各部へ電源を供給する電源装置34を備えている。マイクロコントローラ31は、前述した図8に示す構成と同様とされ、CPU41、ROM42、RAM43、I/O44を備え、これらをバス45で接続して構成されているが、ROM42には親機30用の制御プログラムが記憶されている。マイクロコントローラ31では、ROM42に記憶されている親機30用の制御プログラムをCPU41が実行することにより、親機30の動作を統括制御している。すなわち、マイクロコントローラ31におけるCPU41は、閉域通信網通信I/F33を介して子機20から送信された子機ID付きの位置情報、子機ID付きの水位情報を受信してRAM43の領域に設定したテンポラリメモリに書き込む。そして、CPU41は、子機20から受信した子機ID付きの位置情報および子機ID付きの水位情報を、広域通信網通信I/F32を介して情報提供部12へ送信する。なお、電源装置34は、商用電源を所定電圧の直流電圧に降圧する電源装置とされている。また、電源装置34は、商用電源に替えて使用電力容量に合わせた大容量キャパシタあるいは2次電池と、充電用の太陽光パネルとから構成するようにしてもよい。
さらに、本発明にかかる氾濫予測システム1が後述するように、冠水するおそれのある地域を予測した時に、情報提供部12から送信された警告表示変更指示を受信した親機30は、警告表示変更指示に含まれている子機IDに該当する子機20に受信した警告表示変更指示を送信する。これにより、子機20の設置位置において冠水するおそれがあることの事前警告が行われるようになる。なお、記憶装置35では、情報提供部12からの警告表示変更指示などの配信データを子機20に送信したか否かを一時記憶している。
図9(a)に示す構成の情報提供部12では、親機a1〜親機m1から広域通信網13を介して送られてきたデータが広域通信網通信I/F12dを介して受信されて、データ処理サーバー12bに渡される。データ処理サーバー12bは、受信したデータが子機ID付きの位置情報であった場合は、その位置情報を子機IDと関連付けてデータベース部12cのセンサー座標DB(DB:データベース)51に書き込む。この位置情報は、地図上の座標を示している。また、子機ID付きの水位情報(センサー情報+時刻情報)の場合は、現在時刻と共に子機ID付きの水位情報(センサー情報+時刻情報)を子機IDおよび取得時刻と関連付けてデータベース部12cのセンサー情報DB52に書き込む。これにより、親機a1〜親機m1から送出された子機a2〜ai、子機b2〜bj、子機m2〜mkで検出された水位情報(センサー情報+時刻情報)が、子機IDと関連付けられてセンサー情報DB52に時々刻々と書き込まれていくようになる。
図2では、所定のエリアであるエリアAに1台の親機30と、この親機30に属している24台の子機20−1〜20−24とが設置されており、エリアAは閉域通信網14a〜14mの内の1つの閉域通信網に相当している。エリアAは、ブロックA−1〜A−9の9ブロックに分割され、各ブロックA−1〜A−9のほぼ中央や各ブロック間の道路に子機20−1〜20−24が設置されている。また、ブロックA−6,ブロックA−8,ブロックA−9にまたがるほぼ円形で示される区域aは、過去に発生した冠水の区域であり、例えば1時間20mmの降水量が1時間継続したときに冠水が発生した地域を示している。
図3に示すエリアAの氾濫予報マップでは、紙面の上方が北を示しており、上述した第1レイヤーおよび第2レイヤーの表示情報からなり、閲覧者の携帯電話10aあるいはPC10bのブラウザで第1レイヤーに第2レイヤーが重ねられて表示されるが、図3では第1レイヤーの地図を省略して示している。また、図3に示す氾濫予報マップが示されるエリアは、閲覧者が位置するエリアAとされ、最新の氾濫予報マップとされている。図2に示す氾濫予報マップでは、データ処理装置50で特定された冠水予測範囲が区域aとして表示されている。区域aは、ブロックA−6,ブロックA−8,ブロックA−9にまたがるハッチングされたほぼ円形で示される区域とされており、例えば、20[mm/h]の降雨量が1時間継続したときに、降雨量−冠水位−地点DB56に格納されている過去の冠水の実績データの平均から見て、冠水する可能性が高い冠水予測範囲を示している。また、区域aに進入する道路等に、ハッチングを施した進入注意の範囲を表示する事も可能である。
図4では、親機30が警告表示変更指示を送った子機20において警告表示器24が冠水するおそれの事前警告表示を行っている。すなわち、ブロックA−2,A−3,A−5,A−6のほぼ中央の交差する道路に設置された子機20−9、ブロックA−5とブロックA−6の間の道路に設置された子機20−13、ブロックA−4,A−5,A−7,A−8のほぼ中央の交差する道路に設置された子機20−16、ブロックA−5とブロックA−8の間の道路に設置された子機20−17、ブロックA−5,A−6,A−8,A−9のほぼ中央の交差する道路に設置された子機20−18、ブロックA−6とブロックA−9の間の道路に設置された子機20−19、ブロックA−8とブロックA−9の間の道路に設置された子機20−23、ブロックA−9のほぼ中央に設置された子機20−24における警告表示器24が図4に示すように警告表示を行っている。この警告表示は、設置場所において冠水のおそれがある事前の警告表示とされる。エリアAにいる閲覧者はこの事前の警告表示を見ることでエリアAにおける冠水のおそれがある区域を事前に知ることができる。事前の警告表示を行う子機20は、冠水する可能性が高い冠水予測範囲である区域aおよび冠水予測範囲に進入する進入注意範囲内の子機20とされる。区域aは、例えば、20[mm/h]の降雨量が1時間継続したときに、降雨量−冠水位−地点DB56に格納されている過去の冠水の実績データの平均から見て、冠水する可能性が高い冠水予測範囲を示している。
子機20を視線誘導標で実現した場合の警告表示部における警告表示の態様を図5に示す。なお、視線誘導標は、路側や道路に設置される道路付属物であるが、設置する理由は次の通りである。自動車のドライバーは、区画線や防護柵などを走行する際の目印として運転をしているが、夜間や霧、降雨、降雪時にはその視認性が著しく低下することが知られている。そこで、視線誘導標により、視程不良時にも自動車のヘッドライトを反射し、路側や道路線形の視認性を高め、ドライバーの視線を正しく誘導するようにしている。
なお、子機20は視線誘導標に限らず、上記した道路付属物のいずれでも実現することができる。
なお、子機処理は子機20の電源装置26がオンされている限り実行されており、電源装置26がオフされた際に子機処理は終了する。
図12(a)に示すDB書込処理(1)は、データ処理サーバー12bの電源が投入されたときに起動する。起動されるとステップS40でCPU71は、親機30からデータを受信する。受信できない場合は、受信できるまで待機する。受信するデータは、子機IDを付加した子機20の位置情報、あるいは、子機20が取得したセンサー情報とその取得時刻からなる水位情報である。次いで、ステップS41でCPU71は、受信したデータが、子機IDを付加した子機20の位置情報の場合は、I/O74を介してセンサー座標DB51にその子機IDに関連つけて位置情報を書き込み、子機20が取得したセンサー情報の場合は、I/O74を介してセンサー情報DB52に取得時刻とセンサー情報とを取得した子機20の子機IDに関連して書き込む。さらに、センサー情報の内の降水量のデータから単位時間あたりの降雨量を算出して、降雨情報DB53に子機IDに関連付けた降雨量を最新の降雨量に更新する。次いで、ステップS42でCPU71は、子機20からのセンサー情報における水位が予め定めた水位を超えていることを検出することで、いずれかの子機20の設置地点において冠水が発生したか否かを判断する。ここで、いずれかの子機20の設置地点において冠水が発生しているとCPU71が判断した場合(YES)は、当該子機20の子機IDから設置地点の位置情報(座標)をセンサー座標DB51から読み出すと共に、当該子機20の子機IDから最新の降雨量を降雨情報DB53から読み出し、読み出した当該子機20の位置情報と降雨量に、当該子機20のセンサー情報の水位を冠水位として関連付けて、降雨量−冠水位−地点DB56に書き込む。これにより、冠水地に降雨量と冠水位とを関連させた実績データが逐次に降雨量−冠水位−地点DB56に蓄積されていくようになる。また、ステップS42で冠水が発生していないとCPU71が判断した場合、および、ステップS43の処理が終了した場合はステップS40に戻り、ステップS40ないしステップS43の処理が繰り返し実行される。DB書込処理は、データ処理サーバー12bの電源がオフされた際に終了する。
データ処理装置処理が起動されるとステップS50でCPU71は、降雨量が冠水実績値を上回ったか否かを判断する。具体的には、冠水実績値は、降雨量−冠水位−地点DB56に格納されている各地点の過去において冠水が生じた降雨量の平均値とされ、各地点の冠水実績値と、同地点の降雨情報DB53に格納されている現時点において最新の降雨量とを比較して、降雨量が冠水実績値を上回ったか否かをCPU71が判断する。なお、降雨情報DB53に格納されている降雨量の地点は、降雨量のデータに関連している子機IDが割り当てられている子機20の設置位置となる。ここで、降雨量が冠水実績値を上回ったとCPU71が判断した場合(YES)は、ステップS51へ進む。ステップS51にてCPU71は、後述する冠水予測処理を実行することにより特定された冠水が予測される冠水予測範囲と予測される予測冠水位とからなる冠水予測情報を降雨情報DB53に格納する。次いで、ステップS52にてCPU71は、現在の状況を表すフラグを[警告]状態とする。また、ステップS50で降雨量が冠水実績値を上回っていないとCPU71が判断した場合(NO)は、ステップS53へ分岐する。ステップS53でCPU71は、現在の状況を表すフラグを[正常]状態とする。ステップS52あるいはステップS53の処理が終了するとステップS54に進み、CPU71はフラグを参照して現在の状況が以前の状況から変化したか否かを判断する。ここで、CPU71が以前の状況から変化したと判断した場合(YES)は、ステップS55に進みCPU71は、変化した現在の状況が[警告]の場合は警告点灯指示の警告表示変更指示を、変化した現在の状態が[正常]の場合は警告消灯指示の警告表示変更指示を作成する。また、ステップS54でCPU71が以前の状況から変化していないと判断した場合(NO)あるいはステップS55の処理が終了した場合は、ステップS50に戻り、ステップS50ないしステップS55の処理が繰り返し行われるようになる。データ処理装置処理は、情報配信サーバー12aの電源がオフされた際に終了する。
ステップS51の冠水予測処理が開始されると、ステップS57にてCPU71は、冠水実績値を上回った降雨量の地点を検出する。ここで、冠水実績値は、降雨量−冠水位−地点DB56に格納されている各地点の過去において冠水が生じた降雨量の平均値とされ、降雨量の地点は、降雨量のデータに関連している子機IDが割り当てられている子機20の設置位置となる。そして、ステップS58にてCPU71は、検出した地点の降雨量(降雨情報DB53に格納されている現時点において最新の降雨量)が同地点においてあった際に、同地点において冠水が予測されるかを、降雨量−冠水位−地点DB56における同地点における冠水の実績を参照して判断する。この判断は、検出した地点とその地点の周囲の各地点毎に行う。そして、冠水が予測される地点が含まれる所定の区域を冠水予測範囲と特定する。さらに、冠水予測範囲において予測される冠水位(予測冠水位)を、冠水予測範囲の各地点の降雨量から降雨量−冠水位−地点DB56を参照して特定する。そして、ステップS59にてCPU71は冠水予測範囲と予測冠水位とからなる冠水予測情報を降雨情報DB53に格納する。冠水予測範囲が、図3に示す区域aのエリアとなる。ステップS59の処理が終了すると、冠水予測処理は終了し、データ処理装置処理のステップS52にリターンする。
情報配信サーバー処理が起動されるとステップS60でCPU61は、データ処理装置50で親機30を介して子機20に送る警告点灯指示あるいは警告消灯指示の警告表示変更指示が作成されたか否かを判断する。ここで、警告表示変更指示が作成されていない場合(NO)は作成されるまで待機し、警告表示変更指示が作成されたとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS61に進みCPU61は、親機30へ、データ処理装置処理のステップS55で作成されたデータである警告表示変更指示を送信する。ステップS61の処理が終了するとステップS60に戻り、ステップS60およびステップS61の処理が繰り返し実行される。情報配信サーバー処理は、情報配信サーバー12aの電源がオフされた際に終了する。
メッセージ配信処理(1)が起動されるとステップS70でCPU61は、降雨量が冠水実績値を上回ったか否かを判断する。この処理は、データ処理装置処理のステップS50と同じ処理とされることから、その説明は省略する。ここで、降雨量が冠水実績値を上回ったとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS71へ進む。ステップS71にてCPU61は、降雨量が冠水実績値を上回った場合は冠水が予測されることから、警告メッセージを作成する。また、ステップS70で降雨量が冠水実績値を上回っていないとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS72へ分岐する。ステップS72にてCPU61は、降雨量が冠水実績値を上回っていない場合は冠水のおそれがなくなったあるいはないことから警告解除メッセージを作成する。次いで、ステップS73でCPU61は、冠水が予測されるエリアである警告領域が登録者情報DB55に登録されている登録者を抽出する。そして、ステップS74でCPU61は、作成したメッセージは配信済みか否かを判断する。ここで、配信済みでないとCPU61が判断した場合(NO)は、ステップS75に分岐してステップS52で抽出した登録者に作成したメッセージを配信する。また、配信済みとCPU61が判断した場合(YES)と、ステップS75の処理が終了した場合は、ステップS70にリターンしてステップS70ないしステップS75の処理が繰り返し実行される。このように、冠水が予測される場合は、警告メッセージが作成されて、冠水が予測されるエリアにいる登録者にメッセージが配信されることから、登録者は遅滞なく危険が迫っていることを理解することができる。
メッセージ配信処理が起動されるとステップS80でCPU61は、降雨量が冠水実績値を上回ったか否かを判断する。この処理は、データ処理装置処理のステップS50と同じ処理とされることから、その説明は省略する。ここで、降雨量が冠水実績値を上回ったとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS81へ進む。ステップS81にてCPU61は、降雨量が冠水実績値を上回った場合は冠水が予測されることから、警告メッセージを作成する。また、ステップS80で降雨量が冠水実績値を上回っていないとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS82へ分岐する。ステップS82にてCPU61は、降雨量が冠水実績値を上回っていない場合は冠水のおそれがなくなったあるいはないことから警告解除メッセージを作成する。次いで、ステップS83でCPU61は、冠水が予測されるエリアとされる警告領域内の携帯電話基地局を指定する。そして、ステップS84でCPU61は、作成したメッセージは配信済みか否かを判断する。ここで、配信済みでないとCPU61が判断した場合(NO)は、ステップS85に分岐してステップS83で指定した携帯電話基地局から作成したメッセージを登録者情報DB55に登録されている登録者に配信する。また、配信済みとCPU61が判断した場合(YES)と、ステップS85の処理が終了した場合は、ステップS80にリターンしてステップS80ないしステップS85の処理が繰り返し実行される。このように、冠水が予測される場合は、警告メッセージが作成されて、冠水が予測されるエリアにいる登録者に警告メッセージが配信されることから、登録者は遅滞なく危険が迫っていることを理解することができる。
閲覧要求処理が起動されるとステップS90で、CPU61は氾濫予報マップの閲覧要求があったか否かを判断する。ここで、閲覧要求がないとCPU61が判断した場合(NO)は、閲覧要求があるまでステップS90で待機される。閲覧者が自身の携帯電話10aあるいはPC10bから閲覧要求を行い、ステップS90で閲覧要求があったとCPU61が判断した場合(YES)は、ステップS91ないしステップS93で氾濫予報マップをCPU61が作成する。すなわち、ステップS91で、閲覧者のいる地点、あるいは、閲覧者が指定した地点の座標と閲覧要求の現在の時刻とをCPU71が検出する。そして、ステップS92でCPU71は、検出した座標の地点を含む所定範囲のエリアを設定し、当該エリアの地図を地図情報DB54から取得して該地図を氾濫予報マップの第1レイヤーの表示情報として設定する。次いで、ステップS93でCPU71は、降雨情報DB53から、所定範囲のエリアにおける冠水予測情報を読み出して、冠水予測情報における当該エリア内の冠水予測範囲の情報を第2レイヤーの表示情報として設定して、第1レイヤーの表示情報に第2レイヤーの表示情報を重ねた画像データとして氾濫予報マップを作成する。次いで、ステップS94でCPU61は、作成した氾濫予報マップを閲覧要求した閲覧者に配信する。ステップS94の処理が終了するとステップS90にリターンして、ステップS90ないしステップS94の処理が繰り返し実行されることから、閲覧要求がある毎に氾濫予報マップが作成されて、閲覧要求した閲覧者に配信されるようになる。閲覧要求処理は、情報配信サーバー12aの電源がオフされた際に終了する。
なお、閲覧者が情報提供部12に氾濫予報マップの閲覧要求を行うのは、自身の携帯電話10aあるいはPC10bにおけるブラウザから行い、情報提供部12の情報配信サーバー12aから配信されてきた氾濫予報マップの画像データは、ブラウザで表示されるようになる。
図31に示す端末装置300は、マイクロコントローラ301、水位と降水量を検出するセンサー302、位置測位装置303、警告表示器304、閉域通信網通信I/F305、広域通信網通信I/F306とを備え、これらをバスにより接続している。また、各部へ電源を供給する電源装置308を備えている。マイクロコントローラ301は、端末装置300の動作を統括制御する制御手段であり、時計機能を有している。具体的には、マイクロコントローラ301は、マイクロコントローラ301に記憶されている端末装置300用の制御プログラムを実行することにより、子機20および親機30の機能を備える端末装置300として動作する。すなわち、センサー302で検出した水位と降水量のセンサー情報を取得すると共に、取得した時刻情報を取り込んで、時刻情報を付したセンサー情報を内部のテンポラリメモリに書き込む。また、端末装置300が設置された地点の位置情報をテンポラリメモリに書き込む。この場合、端末装置300の位置情報は、位置測位装置303がGPS等を使用して測位した位置情報、あるいは、直接入力した端末装置300の位置情報とされる。また、図示しないスイッチがオンされて電源装置308から電源が投入された際には、端末装置300を初期化する。そして、位置情報の取得が終了した際に、テンポラリメモリに書き込まれている当該端末装置300の位置情報に、当該端末装置300に割り当てられている一意の子機IDを付加する。
なお、既に説明したように本発明にかかる氾濫予測システム1が、冠水するおそれのある地域を予測した際に、情報提供部から送信された警告表示変更指示に応じて冠水するおそれがあるという警告表示が警告表示器304を点灯させることにより行われる。これにより、設置された地点において冠水するおそれがあると云う事前警告を端末装置300により行えることができる。警告表示器304は、発光ダイオード(LED)などの発光デバイスによって構成できる。なお、電源装置308は大容量キャパシタあるいは2次電池と、充電用の太陽光パネルとから構成することができる。
これらの図に示すように、本発明の実施例にかかる氾濫予測システム1における子機20として使用される標識100は、標識100は、道路利用者に対して、地理の案内や道路の警告、規制などの情報を知らせる案内標識および警戒標識とされる道路標識である。図20および図21に示す端末装置001が装着された標識100は、地理の案内や道路の警告、規制などの情報が表示されている金属製や樹脂製などの矩形の平板状の標識板111と、標識板111を支持する支柱110とから構成されている。標識板111の裏面には図示するように端末装置001を構成するケース120aが固定されている。端末装置001が装着された標識100は、上述した端末装置300として利用することができる。
この冠水予測情報に基づいて、氾濫予報マップが作成されて、閲覧要求した閲覧者に配信されること、および、冠水予測情報に基づいて、該当する地域に設置されている子機20に事前警告表示を行わせることは上記した通りである。
また、以上説明した本発明の実施例にかかる氾濫予測システムの位置測位装置を備える子機においては、GPSに限らず、設置された位置の座標を位置測位装置が、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムを使用して測位するようにしてもよい。
なお、本発明の実施例にかかる氾濫予測システムにおける子機処理のステップS16およびステップS19では、センサーで検出した水位が規定水位を超えた時に警告表示器を点灯し、センサーで検出した水位が規定水位を超えなくなった時に警告表示器を消灯している。このように子機では、水位が規定水位を超えたこと(冠水が生じたこと)を表示する警告表示と冠水が予測される事前警告表示との警告表示を行うようにしている。この場合には、警告表示器における警告表示態様や色調や発光パターンなどを変えて2つの警告表示が識別できるように警告表示を行うのが好適である。また、警告表示器に文字を表示できる警告表示器として、冠水が生じた時には「冠水」の文字を表示して警告表示し、冠水が予測される時は「冠水注意」の文字を表示して事前警告表示を行うようにしてもよい。ただし、表示される文字はこれに限らず警告内容が伝達できる文字であれば任意の文字とすることができる。さらに、ステップS16およびステップS19の処理を省略して冠水が予測される事前警告表示のみを行うようにしてもよい。
また、本発明の実施例にかかる氾濫予測システムにおける降雨情報DBには、子機が検出した水位情報の降水量に基づく設置位置毎の単位時間当たりの降雨量と、公開された気象情報から取得した地域毎の単位時間当たりの降雨量との両方、あるいは、いずれか一方の降雨量を格納するようにしている。さらに、降雨量−冠水位−地点DB56に蓄積されている単位時間あたりの降雨量と冠水位との実績データは、過去に冠水が発生した地点や地域における降雨量と冠水位との実績データを手入力等で格納しておくことができる。
Claims (6)
- 水位と降水量を検出するセンサーと警告表示部とを少なくとも有し、所定エリア内の地点に設置され、設置された地点の位置情報と、前記センサーで検出した水位と降水量とのセンサー情報とを送出する複数の子機と、
前記子機から送出された前記位置情報および前記センサー情報を受け取って情報提供部へ送出する親機と、
該親機から受け取った前記位置情報および前記センサー情報を第1のデータベースに格納し、該第1のデータベースに格納された前記センサー情報の降水量から単位時間当たりの降雨量を算出して第2のデータベースへ格納し、前記子機の設置地点において冠水が発生したことを前記センサー情報の水位から検出した時に、当該設置地点における冠水時の降雨量と冠水位とを当該設置地点に関連付けて第3のデータベースに格納し、前記第2のデータベースに格納された降雨量が前記第3のデータベースに格納された冠水時の降雨量を上回った時に、冠水が予測される冠水予測範囲を特定し、該冠水予測範囲に設置されている前記子機に、冠水の事前警告を行わせる警告表示変更指示を送信する情報提供部とを備え、
前記警告表示変更指示を受信した前記子機においては、当該子機の前記警告表示部で冠水の事前警告表示が行われることを特徴とする冠水予測システム。 - 水位を検出するセンサーと警告表示部とを少なくとも有し、所定エリア内の地点に設置され、設置された地点の位置情報と、前記センサーで検出した水位のセンサー情報とを送出する複数の子機と、
前記子機から送出された前記位置情報および前記センサー情報を受け取って情報提供部へ送出する親機と、
該親機から受け取った前記位置情報および前記センサー情報を第1のデータベースに格納し、外部から取得した単位時間当たりの地域毎の降雨量を第2のデータベースへ格納し、冠水が発生した時の降雨量と冠水位とを冠水が発生した地点に関連付けて第3のデータベースに格納し、前記第2のデータベースに格納された降雨量が前記第3のデータベースに格納された冠水時の降雨量を上回った時に、冠水が予測される冠水予測範囲を特定し、該冠水予測範囲に設置されている前記子機に、冠水の事前警告を行わせる警告表示変更指示を送信する情報提供部とを備え、
前記警告表示変更指示を受信した前記子機においては、当該子機の前記警告表示部で冠水の事前警告表示が行われることを特徴とする冠水予測システム。 - 前記第2のデータベースに、前記第1のデータベースに格納された前記センサー情報の降水量から算出された単位時間当たりの降雨量も格納されていることを特徴とする請求項2に記載の冠水予測システム。
- 前記情報提供部では、前記第2のデータベースに格納された降雨量が前記第3のデータベースに格納された冠水時の前記降雨量を上回った時に、冠水が予測される冠水予測範囲と予測される冠水位である予測冠水位とを特定し、
前記警告表示変更指示を受信した前記子機においては、当該子機の前記警告表示部で冠水の事前警告表示が前記予測冠水位に応じて行われることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冠水予測システム。 - 前記情報提供部では、前記第2のデータベースに格納された降雨量が前記第3のデータベースに格納された冠水時の前記降雨量を上回った時に、冠水が予測される冠水予測範囲を特定すると共に、冠水が予測されることの警告メッセージを作成し、前記情報提供部に登録されている前記冠水予測範囲内の登録者の端末へ前記警告メッセージを配信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の冠水予測システム。
- 前記情報提供部が前記登録者より、警告メッセージに対応して冠水予報マップの閲覧要求を受け取った際に、前記登録者のいる地点のエリアの地図を設定した第1レイヤーの表示情報に、前記冠水予測範囲を第2レイヤーの表示情報を重ねた画像データの冠水予報マップを作成して、前記登録者に配信するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の気象情報警告システム。
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