JP2018104776A - めっき付銅端子材及び端子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銅又は銅合金からなる基材の上にニッケル合金めっき層と、銀又は銀合金からなる銀めっき層とが順に積層されており、ニッケル合金めっき層は、リン又はホウ素を0.5質量%以上15質量%以下含有しており、その厚みが0.05μm以上5.0μm以下であり、平均結晶粒径をRμmとし、厚みをTμmとすると、T×Rが0.05以上である。
【選択図】 図1
Description
従来、このような貴金属をめっきした端子材として、以下の特許文献に開示のものがある。
ニッケル合金めっき層がリン又はホウ素を0.5質量%以上15質量%以下含有していることとしたのは、リン又はホウ素が0.5質量%未満では基材からの銅の拡散を抑制する効果が十分でなく、15質量%を超えると皮膜がもろくなり、加工時の割れを生じやすくなるからである。
ニッケル合金めっき層の厚みを0.05μm以上5.0μm以下としたのは、0.05μm未満では膜にピンホールを生じるため耐熱性が劣化し、5.0μmを超えると曲げ加工時に割れが発生するからである。
ニッケル合金めっき層における拡散経路が少ないほど、すなわち結晶粒界と結晶粒界の間隔が長いほど銅の拡散を抑えることができる。またニッケル合金めっき層の膜厚が十分に厚い場合は、銅の拡散経路が長くなるため、銅の拡散を抑えることができる。すなわちニッケル合金めっき層の平均結晶粒径Rμmとニッケル合金めっき層の厚みTμmとは、T×Rが0.05未満では拡散経路の数に対して、厚みが十分でないため、銅の拡散を十分に防ぐことができない。T×Rが0.05以上とすると、拡散経路の数に対して十分に拡散経路が長くなるため、銅の拡散を効果的に抑えることができる。
基材の表面に銅めっき層を形成することにより、ニッケル合金めっき層の下地が平滑になり、ニッケル合金めっき層にピンホールの発生を防止して、拡散防止効果を高めることができる。
ニッケル合金めっき層はリン又はホウ素を含有しているため、高温にさらされた場合、ニッケル合金めっき層中のリン又はホウ素が銀めっき層の表面まで拡散し、銀めっき層の持つ高い耐熱性、低い接触抵抗などの電気的信頼性を損なうことがある。このため純ニッケルめっき層をニッケル合金めっき層と銀めっき層との間に設けると、電気的信頼性を高めることができる。純ニッケルめっき層の厚みはニッケル合金めっき層の厚みの0.5倍未満では、リン又はホウ素の拡散を防ぐ効果が十分でなく、5倍を超えるとプレス時に割れやすくなるとともに、金型の消耗が激しくなる。
本発明のめっき付銅端子材1は、図1に示すように、銅又は銅合金板からなる基材2と、この基材2の表面に形成された銅又は銅合金からなる銅めっき層3と、その銅めっき層3の上に形成されたニッケル合金めっき層4と、このニッケル合金めっき層4の上に形成された純ニッケルめっき層5と、この純ニッケルめっき層5の上に形成された銀又は銀合金からなる銀めっき層6とを有している。
基材2は、銅又は銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではないが、表面の加工変質層が除去されたものがよい。
ニッケル合金めっき層4は、ニッケルにリン又はホウ素を含有した合金からなり、基材からの銅の拡散を防止する効果がある。この場合、リン又はホウ素を含有することにより耐熱性が高められる。リン又はホウ素の含有量は0.5質量%以上15質量%以下であり、厚みは、0.05μm以上5.0μm以下である。また、平均結晶粒径をRμmとし、厚みをTμmとすると、T×Rが0.05以上である。このT×Rは、大きいほど拡散防止効果が高くなり、平均結晶粒径が大きく、厚みが大きいほど効果があるが、平均結晶粒径は5μm以上であると、拡散経路が十分に少なくなるため好ましい。ニッケル合金めっき層4の厚みは、0.1μm以上0.5μm以下が好ましい。
平均結晶粒径R=L÷N(μm)
この平均結晶粒径は、基材銅合金の結晶粒径と表面状態を制御することにより変量することができる。表面の加工変質層を除去し表面の結晶方位を適切に制御した基材の上にニッケル合金めっきを成長させると、ニッケル合金めっき層が基材の結晶に整合して成長するようになり、基材の結晶粒径を大きくすると平均結晶粒径を大きくすることができる。
なお、ニッケル合金めっき層4と純ニッケルめっき層5とを合わせた厚みは、1.0μm以下とするのが好ましい。
銀めっき層6は端子材1の耐熱性を高める効果があり、厚みは0.5μm以上2.0μm以下が好ましい。
基材として、銅又は銅合金板を用意し、その表面を清浄化するとともに、基材の表面に形成される銅めっき層の結晶粒を肥大成長させるために、表面を化学研磨液にてエッチングして基材表面の加工変質層を除去し、基材の結晶面を表面に露出させる。
次に、このようにして表面を調整した基材の表面に電解めっきにより各めっき層を積層する。
銅めっき層を形成するためのめっき浴は、一般的な銅めっき浴を用いればよく、例えば硫酸銅(CuSO4)及び硫酸(H2SO4)を主成分とした硫酸銅浴等を用いることができる。めっき浴の温度は例えば20℃以上50℃以下、電流密度は1A/dm2以上40A/dm2以下とされる。
ニッケル合金めっき層を形成するためのニッケルめっき浴は、一般的なニッケルめっき浴を用いればよく、硫酸ニッケル(NiSO4)、ホウ酸(H3BO3)を主成分としたワット浴、スルファミン酸ニッケル(Ni(NH2SO3)2)、ホウ酸(H3BO3)を主成分としたスルファミン酸浴等が用いられ、ニッケルリン合金の場合は亜リン酸が加えられる。浴の温度は40℃以上55℃以下、電流密度は1A/dm2以上40A/dm2以下が適切である。ただし、ブチンジオールやアリルスルホン酸塩などの結晶粒径を微細化する成分や光沢剤成分は用いない。
純ニッケルめっき層を形成するためのめっき浴も、ワット浴、スルファミン酸浴等が用いられる。
銀めっき層を形成するためのめっき浴は、一般的な銀めっき浴であるシアン化銀めっき浴を用いればよい。浴の温度は15℃以上35℃以下、電流密度は0.1A/dm2以上3A/dm2以下が適切である。
しかも、基材の表面をエッチング処理によって調整してめっきするという簡単な方法によって製造することができ、安価に製造することができる。
その後、硫酸濃度50g/L、硫酸銅五水和物濃度250g/L、40℃の銅めっき浴中にて電流密度2A/dm2にて電解めっきを行った。この電解銅めっきによる銅めっき層は、基材の結晶粒に整合して成長していた。
さらに、銅めっき層の上に硫酸ニッケル六水和物240g/L、塩化ニッケル35g/L、ホウ酸30g/L、亜リン酸10g/L、PH=2.6の浴を用いて、ニッケルリン合金めっきを成膜した。さらに、ワット浴を用いて、純ニッケルめっきを成膜した後、シアン浴を用いて銀めっきを1μm成膜し、端子材を得た。
結晶粒径は、集束イオンビーム(FIB)により断面加工し、測定した走査イオン顕微鏡(SIM)像を用いて表面と平行に10μm分の長さになる線を引き、その表面と平行な線が結晶粒界と交わった数を用いて線分法により求めた。
各めっき層の厚みは、蛍光X線膜厚計にて測定した。それぞれ、上に被覆されるめっき層が形成される前に測定した。
接触抵抗測定は、半径1.5mmの半球状凸部を有する試料を作製し、ロードセルを有する圧縮試験機を用いて上記半球状凸部を平板状の試料に当接させた。この状態において平板試料と半球状凸部を有する試料の間の接触抵抗の測定を開始し、両者の間に付与する接触荷重を徐々に増加させた。荷重2Nに達した際の接触抵抗を四端子法を用いて測定した。その際の電流値は10mAとした。平板試料と半球状凸部を有する試料ともに200℃500時間加熱した後に接触抵抗を測定した。
曲げ加工性については、条材からなる試料から、母材の圧延方向に対して曲げの軸が直交方向になるように幅10mm×長さ30mmの試験片を複数採取し、JCBA(日本伸銅協会技術標準)T307の4試験方法に準拠して、曲げ角度が90度、曲げ半径が0.5mmのW型の治具を用い、9.8×103Nの荷重でW曲げ試験を行った。その後、実体顕微鏡にて観察を行った。曲げ加工性の評価は、試験後の曲げ加工部に明確なクラックが認められないレベルを「◎」と評価し、めっき面に部分的に微細なクラックが発生しているが銅合金母材の露出は認められないレベルを「○」と評価し、銅合金母材の露出はないが「○」と評価したレベルより大きいクラックが発生しているレベルを「△」と評価し、発生したクラックにより銅合金母材が露出しているレベルを「×」と評価した。
これらの結果を表1に示す。
これに対して、試料No.8は、リン又はホウ素を含有するニッケル合金めっき層を有していないため、接触抵抗が大きく、試料No.9はT×Rが0.05未満であることから、接触抵抗が大きく、曲げ加工性も劣っている。試料No.10はニッケル合金めっき層の厚みが5.0μmを超えており、T×Rが0.05未満であるため、接触抵抗が大きく、曲げ加工性も劣っている。
2 基材
3 銅めっき層
4 ニッケル合金めっき層
5 純ニッケルめっき層
6 銀めっき層
Claims (4)
- 銅又は銅合金からなる基材の上にニッケル合金めっき層と、銀又は銀合金からなる銀めっき層とが順に積層されており、前記ニッケル合金めっき層は、リン又はホウ素を0.5質量%以上15質量%以下含有しており、その厚みが0.05μm以上5.0μm以下であり、平均結晶粒径をRμmとし、前記厚みをTμmとすると、T×Rが0.05以上であることを特徴とするめっき付銅端子材。
- 前記基材と前記ニッケル合金めっき層との間に銅又は銅合金からなる銅めっき層が形成されていることを特徴とする請求項1記載のめっき付銅端子材。
- 前記ニッケル合金めっき層と前記銀めっき層との間に純ニッケルめっき層が形成されており、前記純ニッケルめっき層の厚みが前記ニッケル合金めっき層の厚みの0.5倍以上5.0倍以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のめっき付銅端子材。
- 請求項1から3のいずれか一項記載のめっき付銅端子材により形成されているめっき付銅端子。
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