JP7172583B2 - コネクタ用端子材 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車や民生機器等の電気配線の接続に使用される有用な皮膜が設けられたコネクタ用端子材に関する。
従来、自動車等の信号系および電源系の電気部品の接続に用いられるコネクタ用端子は、一般に、銅又は銅合金からなる基材の上に錫、金、銀などのめっきを施しためっき膜付端子材が用いられる。このうち、錫をめっきした端子材は、安価であるが、耐熱性に劣っている。一方、金、銀などの貴金属をめっきした端子材は、耐熱性に優れるため、高温環境下での使用に適している。また、コネクタ用端子は、コネクタの挿抜や摺動に伴う耐摩耗性も要求される。
特許文献1には、最表層として銀合金層が形成された銅または銅合金部材が開示されている。この銅または銅合金部材では、銅または銅合金部材の表面の少なくとも一部に、アンチモン濃度が0.1質量%以下の銀または銀合金層が形成され、この銀または銀合金層の上に、最表層としてビッカース硬度Hv140以上の銀合金層が形成されている。
特許文献2では、耐熱性、耐摩耗性および曲げ加工性に優れる銀めっき材として、銅または銅合金からなる素材の表面、あるいは、素材上に形成された銅または銅合金からなる下地層の表面に{111}面と{200}面と{220}面と{311}面の各々のX線回折強度の和に対する{200}面のX線回折強度の割合が40%以上である第1の銀めっき層が形成され、この第1の銀めっき層の表面にビッカース硬度Hv140以上の第2の銀めっき層を形成した銀めっき材が開示されている。この第2の銀めっき層には0.5質量%以上のアンチモンが含まれている。
特開2009-79250号公報 特開2013-189680号公報
しかしながら、特許文献1のような最表面として銀合金層が形成された銅または銅合金部材では、高温環境下における信頼性(耐熱性)が十分ではない。また、特許文献2に開示の銀めっき材では、2回めっきが必要であるなど、製造が煩雑であり、また、高温環境において第2の銀めっき層のアンチモンが表面に拡散して接触抵抗が低下する問題がある。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、耐熱性、耐摩耗性に優れ、かつ製造も容易なコネクタ用端子材を提供することを目的とする。
本発明のコネクタ用端子材は、少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材にアンチモンを含有する銀めっき層が形成された端子材であって、前記銀めっき層の平均結晶粒径が0.1μm以上、2.0μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が10%以上40%以下であり、前記平均結晶粒径をDμmとし、前記特殊粒界の長さの比率をG%とすると、式(G/(D×100))で求められる値が0.05以上5以下である。
アンチモンを含有する銀めっき層を表面に形成したことにより、表面硬度が高くなり、耐熱性、耐摩耗性に優れた端子材となる。
この場合、銀めっき層の平均結晶粒径が、0.1μm未満では高温環境において接触抵抗が悪化する。平均結晶粒径が2.0μmを超えると、硬度が低下して耐摩耗性が悪化する。
特殊粒界は一般粒界よりも原子の整合性が高いため、粒界拡散を起こしがたい。また、高温環境下において、結晶粒の粗大化を抑制する。この特殊粒界の全結晶粒界に対する長さの比率が10%未満では粒界拡散の抑制が不十分で、高温環境において銀めっき層の接触抵抗が上昇し、40%を超えると硬度が保てなくって塑性変形し易くなり、耐摩耗性が低下する。
また、式(G/(D×100))の値が0.05未満であると、高温環境において硬度が低下し、5を超えると、特殊粒界の比率が相対的に大きくなって塑性変形が生じ易くなり、良好な耐摩耗性を得られない。
コネクタ用端子材の一つの実施態様は、前記銀めっき層は、アンチモン含有量が0.1質量%以上1.5質量%以下であり、ビッカース硬さが120HV以上160HV以下であり、膜厚が0.5μm以上10μm以下であるとよい。
アンチモンは結晶粒を微細化して、硬度を高め、耐摩耗性を向上させる効果があるが、アンチモン濃度が0.1質量%未満ではその効果に乏しく、1.5質量%を超えると銀めっき層の表面に濃縮して酸化することにより、接触抵抗の上昇を招くおそれがある。ビッカース硬さは低すぎると耐摩耗性が低下するおそれがあり、高すぎると加工が困難になる。良好な耐摩耗性及び加工性を確保するために、ビッカース硬さは120HV以上160HV以下が好ましい。銀めっき層の膜厚は薄すぎると耐摩耗性が低下するおそれがあり、0.5μm以上の膜厚とするのが好ましい。厚くても問題はないが、コストの面で10μm以下とするのが好ましい。
コネクタ用端子材の他の一つの実施態様は、前記基材と前記銀めっき層との間に膜厚0.3μm以上2μm以下のニッケルめっき層が形成されており、前記銀めっき層は前記ニッケルめっき層の上に積層されている。
ニッケルめっき層は基材からCu成分が銀めっき層内に拡散するのを防止する効果がある。ニッケルめっき層の膜厚が0.3μm未満であると、耐熱性が低下し、高温環境下で基材からCu成分が銀金合金めっき層内に拡散して抵抗値が大きくなるおそれがあり、2μmを超えると、プレス加工時等に割れが発生する可能性がある。
本発明によれば、表面の硬さが高く、耐摩耗性が向上するとともに、加熱環境下でも硬度低下が少なく、耐熱性が向上する。しかも、1回の銀めっきを施すことにより製造し得て、製造も容易である。
本発明の一実施形態に係るコネクタ用端子材を模式的に示す断面図である。 実施例2の60度傾斜した状態での断面SIM(Scanning Ion Microscope)像である。 比較例1の60度傾斜した状態での断面SIM像である。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
[コネクタ用端子材の構成]
実施形態のコネクタ用端子材1は、図1に断面を模式的に示したように、少なくとも表面が銅又は銅合金からなる板状の基材2と、該基材2の表面の全面に被覆されたニッケル又はニッケル合金からなるニッケルめっき層3と、ニッケルめっき層3の上に被覆され、最表面を構成する銀めっき層4と、を備えている。
なお、基材2は、銅または銅合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。また、板材の表面に銅又は銅合金からなる銅めっき層が施されためっき材により構成されてもよい。この場合、板材としては銅以外の金属材料であってもよい。
ニッケルめっき層3は、基材2上にニッケル又はニッケル合金めっきを施すことにより被覆される。このニッケルめっき層3は、ニッケルめっき層3上に被覆される銀めっき層4への基材2からのCu成分の拡散を抑制する機能を有する。このニッケルめっき層3の厚さは、0.3μm以上2μm以下であることが好ましい。ニッケルめっき層3の厚さが0.3μm未満であると、高温環境下では銅又は銅合金からなる基材2からCu成分が銀金合金めっき層4内に拡散して耐熱性が低下し、銀金合金めっき層4の抵抗値が大きくなる可能性があり、2μmを超えると、曲げ加工時等に割れが発生する可能性がある。このニッケルめっき層3のより好ましい膜厚は0.5μm以上1.5μm以下である。なお、ニッケルめっき層3は、ニッケル又はニッケル合金からなるものであれば、特に、その組成が限定されるものではない。
銀めっき層4は、アンチモン(Sb)を含有しており、コネクタ用端子材1の最表面に位置し、ニッケルめっき層3上に被覆される。ニッケルめっき層3の上に銀ストライクめっきを施した後に銀めっき層4を形成してもよい。この銀めっき層4は、平均結晶粒径が0.1μm以上、2.0μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が10%以上40%以下である。また、平均結晶粒径をDμmとし、特殊粒界の長さの比率をG%とすると、式(G/(D×100))で求められる値が0.05以上5以下である。
銀めっき層4の平均結晶粒径は、0.1μm未満では高温環境において接触抵抗が悪化する。平均結晶粒径が2.0μmを超えると、硬度が低下して耐摩耗性が悪化する。この銀めっき層4の平均結晶粒径は好ましくは0.1μm以上1.8μm以下であり、さらに好ましくは0.2μm以上1.6μm以下である。
特殊粒界は一般粒界よりも原子の整合性が高いため、粒界拡散を起こしがたい。この特殊粒界の全結晶粒界に対する長さの比率が10%未満では粒界拡散の抑制が不十分で、高温環境において銀めっき層の接触抵抗が上昇し、40%を超えると硬度が保てなくなって塑性変形し易くなり、耐摩耗性が低下する。この特殊粒界の全結晶粒界に対する長さの比率は好ましくは10%以上28%以下であり、さらに好ましくは10%以上26%以下である。
ここで、特殊粒界とは、「Trans.Met.Soc.AIME,185,501(1949)」に基づき定義されるΣ値で3≦Σ≦29に属する対応粒界であって、かつ、「Acta.Metallurgica.Vol.14,p.1479,(1966)」で述べられている当該対応粒界における固有対応部位格子方位欠陥Dqが、Dq≦15°/Σ1/2を満たす結晶粒界であるとして定義される。
全結晶粒界に対する特殊粒界の長さ比率は、EBSD(後方散乱電子線回折(Electron Backscatter Diffraction Pattern))法にて測定した、表面の結晶粒の粒界のうち、全結晶粒の全粒界長さLを単位面積1mm当たりに換算した単位全粒界長さLに対する、特殊粒界の全特殊粒界長さLσを単位面積1mm当たりに換算した単位全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)である。
EBSD測定装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S4300-SE)と、OIM(Orientation Imaging Microscopy)データ収集ソフト(EDAX/TSL社(現アメテック株式会社)製OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社(現アメテック株式会社)製OIM Data Analysis ver.5.2)とを用いて、試料表面から得られる「菊池線」と呼ばれる電子線の回折パターンに関する情報を解析することにより、結晶粒界、特殊粒界を特定し、単位全粒界長さLおよび単位全特殊粒界長さLσを求めることができる。
また、銀めっき層4における平均結晶粒径(Dμm)と特殊粒界の長さ比率(G%)との関係で導き出される式(G/(D×100))の値は、特殊粒界の密度を疑似的に示すものであり、その値が大きい(特殊粒界の密度が高まる)と、摩耗時に結晶粒界への応力集中が起き難く、摩耗を加速する摩耗粉として脱落しにくくなるため、耐摩耗性が向上する。
具体的には、この式(G/(D×100))の値が0.05以上5以下の範囲内であることで、良好な耐摩耗性が得られるとともに、高温環境においても十分な硬度を維持できる。この式(G/(D×100))の値が0.05未満であると、高温環境において硬度が低下し、5を超えると、特殊粒界の比率が相対的に大きくなって塑性変形が生じ易くなり、良好な耐摩耗性を得られない。この式(G/(D×100))の値は好ましくは0.06以上4.5以下である。
銀めっき層4のアンチモン濃度は0.1質量%以上1.5質量%以下である。このアンチモンが含有されることにより、銀めっき層の結晶粒径が微細化し、表面の硬度が高く、耐摩耗性が向上する。
アンチモン濃度が0.1質量%未満であると、銀めっき層4の結晶粒径が粗大化して、表面硬度が低くなり、耐摩耗性が低下するおそれがある。アンチモン濃度が1.5質量%を超えていると、高温環境に晒された際に、アンチモンが表面に拡散して、銀めっき層4の表面にアンチモンが濃縮し、接触抵抗が上昇するおそれがある。この銀めっき層4の好ましいアンチモン濃度は0.1質量%以上1.2質量%以下であり、さらに好ましくは0.2質量%以上1.0質量%以下である。
なお、このアンチモンが上記範囲で含有されることにより、銀めっき層4は高温環境下でも結晶の粗大化が抑制され、例えば175℃240時間加熱後の平均結晶粒径が0.5μm以上3μm以下である。
[製造方法]
次に、このコネクタ用端子材1の製造方法について説明する。このコネクタ用端子材11の製造方法は、基材2となる銅又は銅合金からなる板材を洗浄する前処理工程と、ニッケルめっき層3を基材2に形成するニッケルめっき層形成工程と、ニッケルめっき層3上に、必要に応じて銀ストライクめっきを施す銀ストライクめっき工程と、銀ストライクめっきを施した後に、銀めっき層4をニッケルめっき層3上に形成する銀めっき層形成工程と、を備える。
(前処理工程)
まず、基材2として、銅又は銅合金からなる板材を用意し、この板材に脱脂、酸洗等をすることによって表面を清浄する前処理を行う。前述したように、銅以外の金属材の上に銅又は銅合金からなる銅めっき層を形成したものを基材としてもよい。
(ニッケルめっき層形成工程)
この基材2の表面に、ニッケル又はニッケル合金めっきを施してニッケルめっき層3を形成する。ニッケルめっきは、一般的なニッケルめっき浴を用いればよく、硫酸ニッケル(NiSO)、ホウ酸(HBO)を主成分としたワット浴、スルファミン酸ニッケル(Ni(NHSO))、ホウ酸(HBO)を主成分としたスルファミン酸浴等が用いられる。酸化反応を起こし易くする塩類として塩化ニッケル(NiCl)などが加えられる場合もある。また、浴の温度は40℃以上55℃以下、電流密度は1A/dm以上40A/dm以下とされる。
(銀ストライクめっき工程)
銀ストライクめっきは、銀めっき層4の密着性を高めるために施される。この銀ストライクめっきを施す場合は、基材2に形成されたニッケルめっき層3の表面に5質量%~10質量%の水酸化カリウム水溶液を用いて活性化処理を行った後、ニッケルめっき層3上に銀ストライクめっきを施す。この銀ストライクめっきは、ニッケルめっき層3上に形成される銀めっき層4とニッケルめっき層3との密着性を高めるために実行される。この銀ストライクめっきを施すためのめっき浴の組成は、特に限定されないが、例えば、シアン化銀(AgCN)1g/L~5g/L、シアン化カリウム(KCN)80g/L~120g/Lからなるめっき浴が好適である。そして、この銀ストライクめっき浴に対してアノードとしてステンレス鋼板(SUS316)を用いて、浴温が常温(25℃~30℃)、電流密度1A/dmの条件下で銀めっきを30秒程度施すことにより、薄く銀ストライクめっき層が形成される。
(銀めっき工程)
ニッケルめっき層3(又は銀ストライクめっきが施されている場合は、銀ストライクめっき層の上)に、銀めっきを施す。銀めっき浴は、シアン化銀めっき浴に、10~80g/Lのシアン化銀と100~180g/Lのシアン化カリウムと10~30g/Lの炭酸カリウム、二酸化セレン、三酸化アンチモンを含む銀めっき液を用いる。銀めっき液の液温と被めっき物の表面から1cm離れた位置でのめっき液流速の積をM(℃・(m/s))とし、電流密度をC(A/dm)としたときに、(10×C-20)≦M≦(20×C+120)になるように電気めっきを行うとよい。めっき浴の温度は10℃以上40℃以下、電流密度は1A/dm以上10A/dm以下、液の流速は1m/s以上10m/s以下とされる。このようにめっきすることで低い接触抵抗を維持しつつ、耐摩耗性を高めることができる。
このようにして基材2の表面にニッケルめっき層3が形成され、このニッケルめっき層3の表面に銀めっき層4が形成されたコネクタ用端子材1に対してプレス加工等を施し、コネクタ用端子を形成する。
本実施形態では、アンチモンを含有する銀めっき層4が表面に形成されるので、表面を硬くすることができる。また、加熱により軟らかくなる純銀とは異なり、高温環境下の硬度低下も少ない。
また、銀合金であるので、コネクタとして摺動による凝着が生じにくく、耐摩耗性が向上する。
さらに、基材2の上に形成したニッケルめっき層3に銀めっき層4が積層されており、ニッケルめっき層3と銀めっき層4とは密着性が良好であるので、高温環境下でも剥離が防止される。
<他の実施形態>
その他、細部構成は実施形態の構成のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
実施形態では、基材2の表面全体にニッケルめっき層3が形成され、そのニッケルめっき層3の全面に銀めっき層4が形成された構成として説明したが、ニッケルめっき層3の表面の少なくとも一部に銀めっき層4が形成された構成としてもよい。その場合、コネクタ端子として相手端子との接点部となる部分に銀めっき層4が形成されていればよい。
また、実施形態では、ニッケルめっき層3を下地として形成してから銀めっき層4を形成したが、ニッケルめっき層を省略してもよい。
銀ストライクめっきも必ずしも必要ではなく、省略することは可能である。
銅合金板からなる厚さ0.3mmの基材を用意し、この基材に脱脂、酸洗等をすることによって表面を清浄する前処理を行った後、基材の表面に、ニッケルめっきを施して厚さ1μmのニッケルめっき層を形成したものと、ニッケルめっきを施さなかったものとを作製した。そして、ニッケルめっき層が形成された基材、及びニッケルめっき層が形成されていない基材に対して銀めっき層を形成した。
なお、各めっきの条件は以下のとおりとした。
(ニッケルめっき条件)
・めっき浴組成
スルファミン酸ニッケル300g/L
塩化ニッケル35g/L
ホウ酸35g/L
・浴温45℃
・電流密度3A/dm
(銀めっき条件)
・めっき浴組成
シアン化銀60g/L
シアン化カリウム160g/L
炭酸カリウム20g/L
二酸化セレン0.01mg/L~10mg/L
三酸化アンチモン0.6mg/L~60g/L
・アノード
純銀板
・浴温10℃~40℃
・電流密度1A/dm~10A/dm
・流速1m/s~10m/s
二酸化セレン、三酸化アンチモンの含有量、浴温、電流密度、流速を調整することにより、銀めっき層の膜厚、平均結晶粒径、アンチモン濃度を制御した。
実施例3、7および比較例1の銀めっきのめっき条件は表1に示す通りとした。
Figure 0007172583000001
そして、得られためっき材試料について、以下の測定及び試験を実施した。
[銀めっき層の膜厚の測定方法]
銀めっき層の膜厚は、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製蛍光X線膜厚計(SFT9400)にて測定した。
[銀めっき層中のアンチモン濃度(Sb濃度)の測定]
FIB(集束イオンビーム装置)にてめっき材試料を加工して断面試料を作製した後、日本電子株式会社製の電子線マイクロアナライザー:EPMA(型番JXA-8530F)を用いて、加速電圧10kV、ビーム径φ30μmとし、各断面試料の銀めっき層中のアンチモン含有量を測定した。
[ビッカース硬さの測定]
加熱前(初期)の各めっき材試料及び175℃で240時間加熱後の各めっき材試料のそれぞれについて、マイクロビッカース硬さ試験機HM-200(株式会社ミツトヨ製)を用いて、測定数N=10、荷重0.01Nの条件下でビッカース硬さを測定した。
[平均結晶粒径]
銀めっき層の平均結晶粒径は断面のEBSD(後方散乱電子線回折(Electron Backscatter Diffraction Pattern))分析結果より測定した。圧延方向に直交する断面を観察し、結晶粒径の平均値及び標準偏差を測定した。具体的には、めっき材試料に対して耐水研磨紙、ダイヤモンド砥粒を用いて機械研磨を行った後、コロイダルシリカ溶液を用いて仕上げ研磨を行った。そして、EBSD測定装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S4300-SE)と、OIM(Orientation Imaging Microscopy)データ収集ソフト(EDAX/TSL社(現アメテック株式会社)製OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社(現アメテック株式会社)製OIM Data Analysis ver.5.2)によって、電子線の加速電圧15kV、測定間隔0.02μmステップで25.0μm×8.0μmの測定面積で、各結晶粒の方位差の解析を行った。解析ソフトにより各測定点のCI(信頼性指数:Confidence Index)値を計算し、結晶粒径の解析からはCI値が0.1以下のものは除外した。結晶粒界は、二次元断面観察の結果、隣り合う2つの結晶間の配向方位差が15°以上となる測定点間から、双晶を除くものを結晶粒界として結晶粒界マップを作成した。結晶粒径の測定方法は、結晶粒の長径(途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)と短径(長径と直角に交わる方向で、途中で粒界に接しない条件で粒内に最も長く引ける直線の長さ)の平均値を結晶粒径とした。初期の各めっき材試料と175℃で240時間加熱後の各めっき材試料のそれぞれについて平均結晶粒径を測定した。
これらの測定結果を表2に示す。
Figure 0007172583000002
また、特殊粒界の長さ比率を求めるとともに、その特殊粒界の長さ比率と平均結晶粒径とから前述の式(G/(D×100))の値を求め、耐摩耗性、加熱後の接触抵抗について評価した。
[特殊粒界の長さ比率]
EBSD測定装置(株式会社日立ハイテクノロジーズ製S4300-SE)と、OIM(Orientation Imaging Microscopy)データ収集ソフト(EDAX/TSL社(現アメテック株式会社)製OIM Data Collection)と、解析ソフト(EDAX/TSL社(現アメテック株式会社)製OIM Data Analysis ver.5.2)とを用いて、圧延方向に直交する断面を観察し、試料断面から得られる「菊池線」の回折パターンに関する情報を解析して、結晶粒界、特殊粒界を特定し、単位全粒界長さに対する単位全特殊粒界長さの比率を求めた。
[耐摩耗性]
各めっき材試料のそれぞれを60mm×10mmの試験片に切り出し、平板サンプルをオス端子試験片とし、この平板サンプルに曲率半径1.0mmの凸加工を行ったサンプルをメス端子試験片とした。摩耗試験として、ブルカー・エイエックスエス株式会社の摩擦摩耗試験機(UMT-Tribolab)を用い、水平に設置したオス端子試験片にメス試験片の凸面を接触させ、5Nの荷重を負荷した状態で、オス端子試験片を水平に移動距離3mm、摺動速度0.5Hzで摺動させ、摺動50サイクル後に基材の銅あるいはニッケル層が露出しているか否かで判定した。基材の銅あるいはニッケル層が露出しなかったものを「A」、露出したものを「B」とした。
[接触抵抗]
各めっき材試料のそれぞれを60mm×10mmの試験片に切り出し、平板サンプルをオス端子試験片とし、この平板サンプルに曲率半径1.0mmの凸加工を行ったサンプルをメス端子試験片とした。作製した試験片を175℃で240時間加熱した後、摺動試験として、ブルカー・エイエックスエス株式会社の摩擦摩耗試験機(UMT-Tribolab)を用い、水平に設置したオス端子試験片にメス試験片の凸面を接触させ、オス端子試験片を荷重負荷速度1/15N/secで、0Nから5Nまで荷重を負荷した時の5N負荷時の接触抵抗値を測定した。
以上の測定、試験の結果を表3に示す。
Figure 0007172583000003
表2及び表3の結果からわかるように、銀めっき層の平均結晶粒径で0.1μm以上、2.0μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が10%以上40%以下であり、平均結晶粒径と特殊粒界の長さ比率とで表される式(G/(D×100))の値が0.05以上5以下である実施例1~9は、耐摩耗性が良好で、加熱後の接触抵抗も低い値であった。
この実施例の中で、実施例9はSb濃度およびビッカース硬度が高かったため、加熱後の接触抵抗が他の実施例より若干悪化していた。
これに対して、比較例1は銀めっき層にアンチモンを含有しておらず、銀めっき層の平均結晶粒径が3.8μmと大きく、耐摩耗性が悪化した。比較例2は、平均結晶粒径が0.08μmと小さく、特殊粒界の長さ比率も小さいため、加熱後の接触抵抗が大きくなった。比較例3は、式(G/(D×100))の値が小さく、耐摩耗性が劣っていた。比較例4は、平均結晶粒径が2.5μmと大きく、耐摩耗性が悪化していた。比較例5は特殊粒界の長さ比率が40%を超えており、耐摩耗性が劣っていた。比較例6は特殊粒界の長さ比率が65%と多く、式(G/(D×100))の値が大きく、耐摩耗性が劣っていた。
実施例2及び比較例1の断面を走査イオン顕微鏡(SIM)で観察した。図2が実施例2の(a)断面SIM像(60度傾斜)、(b)EBSDによる銀めっき層の全結晶粒界マップ、(c)EBSDによる銀めっき層の特殊粒界を除いた結晶粒界マップ、図3が比較例1の(a)断面SIM像(60度傾斜)、(b)EBSDによる銀めっき層の全結晶粒界マップ、(c)EBSDによる銀めっき層の特殊粒界を除いた結晶粒界マップ写真である。いずれも、基材(Cuと表記)の上にニッケルめっき層(Niと表記)、銀めっき層(Agと表記)が形成されているが、実施例2の銀めっき層は比較例1に比べて微細であるが、特殊粒界は少ない。一方、比較例1の銀めっき層は粒界のほとんどが特殊粒界で占められている。
1 コネクタ用端子材
2 基材
3 ニッケルめっき層
4 銀めっき層

Claims (3)

  1. 少なくとも表面が銅又は銅合金からなる基材にアンチモンを含有する銀めっき層が形成された端子材であって、前記銀めっき層の平均結晶粒径が0.1μm以上2.0μm以下であり、全結晶粒界の長さに対して特殊粒界が占める長さの比率が10%以上40%以下であり、前記平均結晶粒径をDμmとし、前記特殊粒界の長さの比率をG%とすると、式(G/(D×100))で求められる値が0.05以上5以下であることを特徴とするコネクタ用端子材。
  2. 前記銀めっき層は、アンチモン含有量が0.1質量%以上1.5質量%以下であり、ビッカース硬さが120HV以上160HV以下であり、膜厚が0.5μm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ用端子材。
  3. 前記基材と前記銀めっき層との間に膜厚0.3μm以上2μm以下のニッケルめっき層が形成されており、前記銀めっき層は前記ニッケルめっき層の上に積層されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ用端子材。
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