JP2018104609A - 一液型熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

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Naoki Yokoyama
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Abstract

【課題】高いガラス転移温度、高い熱変形温度を有し、200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの重量保持率を指標とした長期耐熱性が優れる一液型熱硬化性樹脂組成物、及びその硬化物を提供する。【解決手段】ジフェニルメタンビスマレイミド等のマレイミド化合物(A)、ジアリルビスフェノールA(B)、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド等のパーオキサイド化合物(C)を必須成分とし、(A)の含有率が45〜70重量%、かつ(A)/(B)重量比が1.0〜3.0の範囲にある一液型熱硬化性樹脂組成物、及びこの樹脂組成物の硬化物である。【選択図】なし

Description

本発明は、高ガラス転移温度(Tg)を有し、かつ長期耐熱性に優れた一液型熱硬化性樹脂組成物に関する。
マレイミド化合物とジアリルビスフェノールAからなる熱硬化性樹脂組成物は知られており、特許文献1、特許文献2および特許文献3等に記載されているが、特許文献1には、必須成分としてパーオキサイド化合物が含まれていない。また、特許文献2および特許文献3では、適切な組成となっていないため、硬化物の長期耐熱性が十分とは言えない。
特開平2−113006号公報 特開平9−3357号公報 特開平9−176246号公報
これら特許文献等に記載のあるマレイミド化合物とジアリルビスフェノールAからなる熱硬化性樹脂組成物の硬化物は、高Tgもしくは高熱変形温度を有するという点の耐熱性には優れるものの、200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの長期耐熱性としての重量保持率は十分高いものではなかった。
本発明者は、上記の課題を解決するために研究を行った結果、マレイミド化合物(A)、ジアリルビスフェノールA(B)、及びパーオキサイド化合物(C)を必須成分とし、(A)の含有率が45〜70重量%、かつ(A)/(B)重量比が0.5〜3.0の範囲とすれば、その硬化物は300 ℃以上の高Tgを有し、かつ200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの長期耐熱性としての重量保持率が十分に高いことを見いだし、本発明を完成させた。
本発明は、マレイミド化合物(A)、ジアリルビスフェノールA(B)、及びパーオキサイド化合物(C)を必須成分とし、(A)の含有率が45〜70重量%であり、かつ(A)/(B)重量比が1.0〜3.0の範囲にあることを特徴とする一液型熱硬化性樹脂組成物である。
また、本発明はこの一液型熱硬化性樹脂組成物の硬化物である。
本発明の一液型熱硬化性樹脂組成物から生じる硬化物は、300 ℃以上の高Tgを有し、かつ200 ℃以上の高温環境下で長時間暴露したときの重量保持率が極めて高い。そのため、安定した高品質の高耐熱性樹脂として高温環境下で長期間暴露されるような複合材料、半導体封止材、プリント配線基板、接着剤、塗料等の各長期耐熱用途へ提供することが可能となる。
本発明の一液型熱硬化性樹脂組成物は、マレイミド化合物(A)とジアリルビスフェノールA(B)、及びパーオキサイド化合物(C)を必須成分とする。上記マレイミド化合物(A)、ジアリルビスフェノールA(B)、及びパーオキサイド化合物(C)を、それぞれ(A)、(B)及び(C)ともいう。
本発明で用いることのできるマレイミド化合物(A)の例としては、ジフェニルメタンビスマレイミド、トリフェニルメタントリスマレイミド、テトラフェニルメタンテトリスマレイミド、フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド等のマレイミド化合物およびそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、末端にマレイミド環を2〜5個有し、芳香族環含有基でこれらが架橋された構造のマレイミド化合物である。市販品としては、大和化成工業社製BMI-1000、BMI-1100、BMI-2000、BMI-2300、BMI-3000、BMI-4000等を例示することができる。
本発明で用いることのできるジアリルビスフェノールA(B)には特に制限はなく、大和化成工業社製DABPA等の市販品を使用することができる。アリル基は、ビスフェノールA骨格の中のベンゼン環に各1個置換することが好ましい。
本発明で用いることのできるパーオキサイド化合物(C)としては、ジ-ターシャリーヘキシルパーオキサイド、ジ-ターシャリーブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の有機パーオキサイド化合物を好ましく挙げることができる。一液型熱硬化性樹脂組成物の保存安定性と熱硬化性を両立する観点から、10時間半減期温度が140℃付近にあるジクミルパーオキサイド等を用いることが好ましく、市販品としては、日油社製パークミルPを例示することができる。
本発明の一液型熱硬化性樹脂組成物は、固体であるマレイミド化合物(A)と液体であるジアリルビスフェノールA(B)を容器中で各所定量を計量混合後、熱硬化反応を生じない温度範囲、例えば100℃等まで加熱して(A)を(B)中に溶解させた後、室温まで冷却してから所定量のパーオキサイド化合物(C)を計量混合することで調製することができる。
一液型熱硬化性樹脂組成物におけるマレイミド化合物(A)の含有率は、45〜70重量%である。マレイミド化合物(A)とジアリルビスフェノールA(B)の重量比(A)/(B)は、1.0〜3.0の範囲、好ましくは1.0〜2.5の範囲である。パーオキサイド化合物(C)の含有率は、特に制限はないが0.3〜3重量%の範囲が好ましい。
一液型熱硬化性樹脂組成物には、必要により着色剤等の添加剤を配合することができる他、封止剤や複合材料用として使用される場合は、充填剤や強化繊維等と共に使用される。
本発明の硬化物は、上記一液型熱硬化性樹脂組成物を重合、硬化させることにより得られる。硬化と同時に成形されて生じる硬化成形体であることが望ましい。
硬化条件は、パーオキサイド化合物(C)の種類等によって異なるが、100〜250℃で、0.5〜10hの条件が適する。
次に、実施例で本発明を具体的に説明する。実施例中に示した本一液型熱硬化性樹脂組成物の硬化物特性の評価方法は、次の通りである。
・長期耐熱性試験
温度を220℃に設定した熱風ギアオーブン中に硬化物を入れ、重量保持率 [wt.%]の6100時間までの経時変化を測定することで、長期耐熱性を評価した。
・曲げ試験による弾性率[GPa]、破断強度[MPa]、および破断歪[%];
曲げ試験は、三点曲げ試験により行い、各物性を測定した。
・動的粘弾性測定による貯蔵弾性率(E')およびガラス転移温度(Tg)[℃];
周波数10Hz、昇温速度2℃/分の条件下、動的粘弾性測定(DMA)を行い、ガラス転移温度(Tg)は、DMAで得た硬化物の温度分散損失正接曲線のピーク温度とした。
・1重量%、5重量%及び 10重量%加熱重量減少温度(Td1, Td5,及びTd10)[℃];
昇温速度10 ℃/分、空気気流下、TG-DTA装置を用いて測定した硬化物の加熱重量変化曲線において150 ℃での重量を基準とし、各重量%減少した時の温度とした。
実施例1〜3
マレイミド化合物として大和化成工業社製BMI-2300を、ジアリルビスフェノールAとして大和化成工業社製DABPAをおのおの表1に記載の重量で300mlの三口フラスコに仕込み、温度計と攪拌機を取り付けた後、マントルヒーターにセットして100℃まで攪拌しながら昇温し、DABPA中にBMI-2300を溶解させた。その後、マントルヒーターを取り外し室温まで冷却した後、パーオキサイド化合物として日油社製パークミルPを第1表記載の重量で三口フラスコに仕込み、攪拌溶解させて一液型熱硬化性樹脂組成物を調製した。
次に、10mm(幅)×150mm(長さ)×4mm(厚み)の空隙を6箇所有する金型中に上記の一液型熱硬化性樹脂組成物を流し込んだ後、熱風オーブンに入れ、150℃―1h + 230℃―4hの条件で熱硬化を行った。
熱風オーブンから金型を取出し室温まで放冷した後、金型を開いて硬化物を取出し、長期耐熱試験および曲げ試験用には10mm(幅)×60mm(長さ)×4mm(厚み)、DMA用には10mm(幅)×40mm(長さ)×4mm(厚み)の寸法に切り出しておのおのの試験片とした。また、TG-DTA用には硬化物を金属やすりで削り紛体にしたものを試料とした。
各特性の評価結果を併せて表1に記載した。硬化物のTgは、いずれも300℃以上の極めて高い値を示した。また、長期耐熱性は、220℃-6100h後の重量保持率でいずれも90 wt.%以上の高い値を示した。
比較例1〜2
マレイミド化合物、ジアリルビスフェノールAおよびパーオキサイド化合物の各仕込み量を表1に記載のとおりとした以外は、実施例1〜3と同様の条件で硬化物調製、試験片調製および特性評価を行った。
比較例1の長期耐熱性は、90 wt.%以上の高い値を示したが、Tgは200℃以下となり耐熱性は不十分であった。比較例2のTgは415℃の高い値を示したが、長期耐熱性は、84.7 wt.%となり不十分であった。
比較例3
一般的なエポキシ樹脂、酸無水物硬化剤、イミダゾール系硬化促進剤による耐熱性の熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物を調製し、実施例との特性比較することを目的として評価した。すなわち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂として新日鉄住金化学社製YD-128、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂として新日鉄住金化学社製YDCN-700-7をおのおの表1に記載の重量で300mlの三口フラスコに仕込み、温度計と攪拌機を取り付けた後、マントルヒーターにセットして100℃まで攪拌しながら昇温し、YD-128中にYDCN-700-7を溶解させた。その後、マントルヒーターを取り外し室温まで冷却した後、メチルハイミック酸無水物として日立化成工業社製MHAC-P、2-エチル-4-メチルイミダゾールとして四国化成工業社製2E4MZを表1に記載の重量で三口フラスコに仕込み、攪拌混合させてエポキシ樹脂系の熱硬化性樹脂組成物を調製した。
次に、実施例1〜3と同様の方法で金型内に樹脂を注入後、熱風オーブン中140℃―1h + 200℃―3hの条件で硬化を行った以外は、実施例1〜3と同様の条件で硬化物試験片を調製し、特性評価を行った。
結果を表1に記載した。長期耐熱性は88.3wt.%、Tgは209℃であり、どちらも不十分であった。
Figure 2018104609
本発明の一液型熱硬化性樹脂組成物は、300℃以上の高Tgおよび220℃の高温環境下での長期耐熱性が要求される高耐熱性の複合材料、半導体封止材、プリント配線基板、接着剤、塗料等の各分野への利用が期待される。

Claims (3)

  1. マレイミド化合物(A)、ジアリルビスフェノールA(B)、及びパーオキサイド化合物(C)を必須成分とし、(A)の含有率が45〜70重量%であり、かつ(A)/(B)重量比が1.0〜3.0の範囲にあることを特徴とする一液型熱硬化性樹脂組成物。
  2. マレイミド化合物(A)が、ジフェニルメタンビスマレイミド、トリフェニルメタントリスマレイミド、テトラフェニルメタンテトリスマレイミド、フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミドまたはそれらの混合物である請求項1記載の一液型熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の一液型熱硬化性樹脂組成物の硬化物。
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