JP2018100474A - セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法 - Google Patents

セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】効率的にセルロースナノファイバーを製造することができるセルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、パルプスラリーの微細化処理を行う対向衝突型の高圧ホモジナイザーを備え、高圧ホモジナイザーが、パルプスラリーを一直線上で対向衝突させる第1流路と、第1流路における対向衝突部において第1流路に対して垂直に連結する第2流路と、第2流路に対して垂直に連結する第3流路とを有し、第1流路の断面積をT1、第2流路の断面積をT2、第3流路の断面積をT3とするとき、T1が0.057mm2以上0.123mm2以下であり、T2が0.126mm2以上0.283mm2以下であり、T3が0.057mm2以上0.123mm2以下であり、T1<T2かつT3<T2の関係を満たすセルロースナノファイバーの製造装置である。【選択図】図1

Description

本発明は、セルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法に関する。
近年、物質をナノメートルレベルまで微細化し、物質が持つ従来の性状とは異なる新たな物性を得ることを目的としたナノテクノロジーが注目されている。パルプ繊維等のセルロース系原料から製造されるセルロースナノファイバーは、強度、弾性、熱安定性等に優れているため、ろ過材、ろ過助剤、イオン交換体の基材、クロマトグラフィー分析機器の充填材、樹脂及びゴムの配合用充填剤等としての工業上の用途や、口紅、粉末化粧料、乳化化粧料等の化粧品の配合剤の用途などに用いられている。また、セルロースナノファイバーは、水系分散性に優れているため、食品、化粧品、塗料等の粘度の保持剤、食品原料生地の強化剤、水分保持剤、食品安定化剤、低カロリー添加物、乳化安定化助剤などの多くの用途における利用が期待されている。
セルロースナノファイバーは、パルプ繊維を機械的な処理によって解繊することにより得ることができる。しかし、機械的処理のみでセルロースナノファイバーを製造する場合、多数回の機械的処理が必要となり、エネルギー消費量が非常に大きくなる。そのため、機械的な処理の前に、酸化処理やエステル化処理等の前処理を施す方法が各種検討されてきた。これらの前処理の中でも、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジン−N−オキシラジカル(TEMPO)と次亜塩素酸ナトリウムとを用いてパルプを酸化する方法(特開2008−1728号公報及び特開2010−235679号公報参照)が、後工程の機械的処理の低減を図ることができるとされている。
また、機械的な微細化処理を施す手段としては、斜向衝突型の微細化処理装置を用いる技術が広く知られている(特開2016−107195号公報参照)。上記斜向衝突型の微細化処理装置は、原料溶液を対向配置された1対のノズルから液中に噴射させ、互いに斜向衝突させることにより、ノズルを通過するときの剪断力、液中噴射によるキャビテーション衝撃力、斜向衝突するときの衝撃力等微細化処理を図るものである。
特開2008−1728号公報 特開2010−235679号公報 特開2016−107195号公報
しかしながら、上述の機械的な処理の前に、酸化処理やエステル化処理等の前処理を施す方法によっても、機械的処理回数が十分に低減されず、事業化のためには、さらなる機械的処理回数の低減を可能とし、効率的にセルロースナノファイバーを製造することが求められる。また、パルプ繊維の微細化処理に斜向衝突型の微細化処理装置を用いる場合、原料溶液を一直線上で衝突させる対向衝突型の微細化処理装置と比べるとパルプ繊維の詰まりが抑制されるが、解繊効果が劣るおそれがある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、機械的な微細化処理回数を低減するとともに、パルプ繊維の詰まりを抑制することにより、効率的にセルロースナノファイバーを製造可能なセルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法を提供することである。
発明者らは、セルロースナノファイバーの製造において、パルプ繊維を機械的に微細化する工程に特定の機械的処理を行う高圧ホモジナイザーを用いることで、パルプ繊維がより効率的に解繊されるとともに、パルプ繊維の詰まりを抑制することができるので、機械的な微細化処理回数を減らし、効率的にセルロースナノファイバーを製造することができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、上記課題を解決するためになされた発明は、パルプ繊維を含むパルプスラリーの微細化処理を行う対向衝突型の高圧ホモジナイザーを備えるセルロースナノファイバーの製造装置であって、上記高圧ホモジナイザーが、上記パルプスラリーを一直線上で対向衝突させる第1流路と、上記第1流路における対向衝突部において、第1流路に対して垂直に連結する第2流路と、上記第2流路に対して垂直に連結する第3流路とを有し、上記第1流路の断面積をT1、上記第2流路の断面積をT2、上記第3流路の断面積をT3とするとき、T1<T2かつT3<T2の関係を満たすセルロースナノファイバーの製造装置である。
当該セルロースナノファイバーの製造装置が備える高圧ホモジナイザーは、始めに第1流路に流入したパルプ繊維を含むパルプスラリーを一直線上で対向衝突させ、対向衝突させた後に第1流路に対して垂直に連結する第2流路へ送液する。そして、上記高圧ホモジナイザーは、第2流路に流入したパルプスラリーを第2流路に対して垂直に連結する第3流路の内壁に衝突させつつ送液することができる。そのため、当該セルロースナノファイバーの製造装置は、高圧ホモジナイザーから与えられるエネルギーを衝突エネルギーに最大限に変換することができる。また、上記第1流路の断面積をT1、上記第2流路の断面積をT2、上記第3流路の断面積をT3とするときに、T1<T2かつT3<T2の関係を満たすことにより、衝突エネルギーに加えて負圧と加圧に伴う裂断力がパルプスラリーに生じるので、パルプスラリー中のパルプ繊維の解繊をより向上することができるとともにパルプ繊維の詰まりを抑制することができる。従って、当該セルロースナノファイバーの製造装置においては、機械的な微細化処理回数を減らし、効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該セルロースナノファイバー製造装置を用い、固形分濃度が0.1質量%以上8.0質量%以下であるパルプスラリー中のパルプ繊維を微細化処理するセルロースナノファイバーの製造方法である。当該セルロースナノファイバー製造方法によれば、微細化処理が行われるパルプ繊維を含有するスラリーの固形分濃度を上記範囲とすることで、上記スラリーの粘性が過度に上昇することを抑制し、パルプスラリーが好適な粘度となるため、高圧ホモジナイザーを用いた機械的処理によりパルプ繊維がより効率的に解繊されるとともに、パルプ繊維の詰まりを抑制することができる。従って、より効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。ここで、固形分濃度とは、溶媒以外の成分をいう。
なお、「セルロースナノファイバー」とは、パルプ繊維を解繊して得られる微細なセルロース繊維をいい、一般的に繊維幅がナノサイズ(1nm以上1000nm以下)のセルロース微細繊維を含むセルロース繊維をいう。
本発明のセルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法によれば、パルプ繊維がより効率的に解繊されるとともに、パルプ繊維の詰まりを抑制することができるので、機械的な微細化処理回数を減らし、効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。
本発明の一実施形態に係る高圧ホモジナイザーの概略図である。 図1に示した概略図のA−A断面図である。 高圧ホモジナイザーの部分的模式図である。 セルロースナノファイバーの製造方法のフロー図の一例である。
以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るセルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法について詳説する。
[セルロースナノファイバーの製造装置]
本発明の一実施形態に係るセルロースナノファイバーの製造装置は、対向衝突型の高圧ホモジナイザーを備え、上記高圧ホモジナイザーを用いてパルプスラリー中のパルプ繊維を微細化処理する。また、当該セルロースナノファイバーの製造装置は、上記高圧ホモジナイザーに加えて、パルプスラリーを上記高圧ホモジナイザーに移送するための高圧ポンプやその他の送液ポンプ、パルプスラリーの貯蔵タンク、パルプスラリーの攪拌機等の任意の構成要素を備えていてもよい。当該セルロースナノファイバーの製造装置は、例えば「セルロースナノファイバーの製造方法」として後述する方法において使用することができる。
図1及び図1のA−A断面図である図2に示す高圧ホモジナイザー1は、セルロースナノファイバー製造に用いられ、パルプ繊維を水に分散させた状態のパルプスラリーにおけるパルプ繊維を微細化処理する装置である。高圧ホモジナイザーとは、例えば10MPa以上、好ましくは100MPa以上の圧力でパルプスラリーを吐出できる能力を有するホモジナイザーをいう。高圧ホモジナイザー1は、対向衝突型高圧ホモジナイザー(マイクロフルイダイザー、湿式ジェットミル)である。高圧ホモジナイザー1は、パルプスラリーを高い圧力で衝突させ、パルプ繊維をナノレベルに微細化することによりセルロースナノファイバーを製造する。上記高圧ホモジナイザーの吐出能力の下限としては、100MPaが好ましく、150MPaがより好ましい。高圧ホモジナイザー1の吐出能力の下限を上記範囲とすることで、より効率的にパルプ繊維を微細化することができる。
高圧ホモジナイザー1は、円柱状の内層部2と、上記内層部2の外周面側に配置される外層部3とを備える。内層部2は、パルプスラリーの送液時における耐圧性を有し、例えば焼結ダイヤモンドから形成される。外層部3は、例えばタングステンカーバイド等の焼結金属から形成される。内層部2の内部には、内部にパルプスラリーを送液するための中空の流路が設けられる。流路は、流入管16と、第1流路11と、第1流路11に対して対向衝突部Xで垂直に連結する第2流路13と、第2流路13に対して壁面衝突部Yで垂直に連結する第3流路15と、流出管17とを備える。第2流路13が第1流路11に対して垂直に連結することにより、第1流路11と第2流路13とでT型の流路を形成している。また、第3流路15が第2流路13に対して垂直に連結することにより、第3流路15と第2流路13とでT型の流路を形成している。2つの流入口を有する流入管16は、第1流路11と連結されている。2つの流出口を有する流出管17は、第3流路15と連結されている。パルプスラリーは、流入管16の2つの流入口から流入し、流出管17の2つの流出口から流出する。
高圧ホモジナイザー1は、微細化処理において、上記パルプスラリーを一直線上で対向衝突させる。このようにすることで高圧ホモジナイザー1から与えられるエネルギーを衝突エネルギーに最大限に変換することができ、より効率的なパルプ繊維の解繊を行うことができる。具体的には、図3において部分的に示されるように、第1流路11は加圧されたパルプスラリーS1及びパルプスラリーS2が対向衝突部Xで対向衝突するように形成されている。パルプスラリーS1及びパルプスラリーS2は対向衝突部Xで衝突し、衝突したパルプスラリーS3は、第3流路15に向けて第2流路13内を流れる。次に、パルプスラリーS3は、壁面衝突部Yで第3流路15の壁面に衝突し、衝突したパルプスラリーS4及びパルプスラリーS5は、第3流路15を経由して流出管17の2つの流出口から流出する。このように、高圧ホモジナイザー1は、パルプスラリーに高い圧力をかけながら送液しつつ、対向衝突部X及び壁面衝突部Yにおいて2回衝突させる。従って、より効率的なパルプ繊維の解繊が生じる。
第1流路、第2流路、第3流路の好適な断面積を以下に例示するが、後述する第1流路の断面積をT1、上記第2流路の断面積をT2、上記第3流路の断面積をT3とするとき、T1、T2及びT3がT1<T2かつT3<T2の関係を満たす限り限定されるものではない。第1流路11の断面積T1としては、0.057mm以上0.123mm以下が好ましく、0.060mm以上0.090mm以下がより好ましい。第2流路13の断面積T2としては、0.126mm以上0.283mm以下が好ましく0.160mm以上0.190mm以下がより好ましい。第3流路15の断面積T3としては、0.057mm以上0.123mm以下が好ましく、0.090mm以上0.120mm以下がより好ましい。当該セルロースナノファイバーの製造装置においては、上記第1流路、第2流路及び第3流路の断面積を上記範囲とすることで、パルプスラリーの詰まりを抑制することができるとともに、パルプスラリー中のパルプ繊維の解繊をより向上することができる。
上記第1流路の断面積をT1、上記第2流路の断面積をT2、上記第3流路の断面積をT3とするとき、T1、T2及びT3がT1<T2かつT3<T2の関係を満たす。すなわち、上記第2流路13の断面積T2は、上記断面積T1及び上記断面積T3よりも大きい。当該セルロースナノファイバーの製造装置においては、上記第1流路、第2流路及び第3流路の断面積を上記の関係とすることで、衝突エネルギーに加えて負圧と加圧に伴う裂断力がパルプスラリーに生じるので、パルプスラリー中のパルプ繊維の解繊をより向上することができる。さらに、パルプ繊維の対向衝突後の流路となる上記第2流路の断面積T2が上記第1流路の断面積T1よりも大きいので、パルプ繊維の詰まりを抑制する効果が向上する。また、上記第1流路11の断面積T1が、上記断面積T2及び上記断面積T3よりも小さく、上記第3流路15の断面積T3が、上記断面積T1よりも大きく、上記断面積T2よりも小さいことがより好ましい。
当該セルロースナノファイバーの製造装置においては、衝突エネルギーに加えて負圧と加圧に伴う裂断力を発生させる高圧ホモジナイザー1を流れるパルプスラリーの流速が適切に制御される。本発明者らの知見では、上記第1流路11におけるパルプスラリーの流速としては、290L/h以上390L/h以下が好ましく、320L/h以上370L/h以下がより好ましい。上記第2流路13におけるパルプスラリーの流速としては、250L/h以上360L/h以下が好ましく、270L/h以上315L/h以下がより好ましい。また、上記第3流路15におけるパルプスラリーの流速としては、190L/h以上330L/h以下が好ましく、200L/h以上310L/h以下がより好ましい。第1流路、第2流路及び第3流路の流速を上記範囲とすることで、衝突エネルギーと負圧及び加圧に伴う裂断力とが好適に発生するので、高圧ホモジナイザー1におけるパルプスラリー中のパルプ繊維の解繊を向上することができる。
このように、パルプ繊維に対して高圧ホモジナイザー1により処理することで、パルプ繊維同士の衝突、圧力差などが作用し、解繊が効果的に生じる。これにより、微細化工程の処理回数を低減(短縮化)でき、効率的にセルロースナノファイバーを製造できる。
当該セルロースナノファイバーの製造装置は、上記高圧ホモジナイザーによる微細化処理を行う前の前処理に用いる化学的処理手段及びリファイナーを備えていてもよい。
上記化学的処理手段は、パルプスラリー中のパルプ繊維に対して、酸化処理、加水分解処理又はこれらの組み合わせからなる化学的処理を施すものである。化学的処理手段としては、例えば酸化剤、酸、酵素等の投入手段を有する反応槽を挙げることができる。反応槽としては、上述のように晒タワー等の製紙用タワーを用いることができる。リファイナー及び高圧ホモジナイザーは、「セルロースナノファイバーの製造方法」において説明したものを用いることができる。当該セルロースナノファイバーの製造装置は、化学的処理手段、リファイナー及び高圧ホモジナイザーの他、フィルタやスクリュープレス等の脱水手段や、乾燥手段が備えられていてもよい。
当該セルロースナノファイバーの製造装置によれば、高圧ホモジナイザー1を備えることにより効率的にパルプスラリー中のパルプ繊維を解繊することができ、機械的な微細化処理回数を減らすことができる。従って、当該セルロースナノファイバー製造装置によれば、効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。
[セルロースナノファイバーの製造方法]
本発明の一実施形態に係るセルロースナノファイバーの製造方法は、上述の当該セルロースナノファイバーの製造装置を用いてパルプスラリー中のパルプ繊維を微細化処理する。
図4に示すように、上記セルロースナノファイバーの製造方法は、前処理工程(s1)及び微細化工程(s2)を備え、上記前処理工程(s1)は化学的処理工程(s1a)及び粗解繊工程(s1b)を備える。化学的処理工程(s1a)と粗解繊工程(s1b)との順番は特に限定されるものではなく、いずれの工程を先に行ってもよい。当該製造方法によれば、化学的処理工程(s1a)と粗解繊工程(s1b)との2種類の前処理の組み合わせにより、パルプ繊維が柔軟になり、予備的な解繊が効率的に生じ、後工程の微細化工程の短縮化、すなわち処理回数の低減化を図ることができる。以下、各工程を詳説する。
<前処理工程(s1)>
前処理工程(s1)は、パルプスラリー中のパルプ繊維に対して前処理を施す工程であり、パルプ繊維を機械的な処理により微細化する前に、パルプ繊維に対して前処理を施す工程である。以下に、セルロースナノファイバーの原料となるパルプ繊維について説明する。
パルプ繊維としては、例えば
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)等の広葉樹クラフトパルプ(LKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)等の針葉樹クラフトパルプ(NKP)等の化学パルプ;
ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、晒サーモメカニカルパルプ(BTMP)等の機械パルプ;
茶古紙、クラフト封筒古紙、雑誌古紙、新聞古紙、チラシ古紙、オフィス古紙、段ボール古紙、上白古紙、ケント古紙、模造古紙、地券古紙、更紙古紙等から製造される古紙パルプ;
古紙パルプを脱墨処理した脱墨パルプ(DIP)などが挙げられる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。
<化学的処理工程(s1a)>
前処理工程(s1)の一つである化学的処理工程(s1a)は、上記パルプスラリー中のパルプ繊維に対して、酸化処理、加水分解処理又はこれらの組み合わせからなる化学的処理を施す工程である。このような化学的処理を施すことにより、パルプ繊維中の化学結合の一部を分断すると共に、パルプ繊維を膨潤させることができる。
化学的処理工程(s1a)に供するパルプスラリーにおけるパルプ繊維濃度の下限としては、3質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。一方、この上限としては、例えば30質量%である。上記濃度範囲とすることで、効率的な化学的処理を行うことができる。濃度が上記下限値未満の場合は、一回の処理で処理されるパルプ繊維の量が少なく、効率性が低い。一方、濃度が上記上限を超える場合は、十分な撹拌を行うことができず、反応性等が低下する。
化学的処理工程(s1a)に供するパルプスラリーの温度としては、例えば40℃以上90℃以下が好ましい。なお、酵素を用いた場合の処理は、40℃以上70℃以下程度が好ましい。
酸化処理に用いられる酸化剤としては、オゾン、次亜塩素酸又はその塩、亜塩素酸又はその塩、過塩素酸又はその塩、過硫酸又はその塩、過有機酸等を挙げることができる。これらの中でも、過硫酸類(過硫酸及びその塩)が好ましい。酸化処理を行う際は、N−オキシル化合物等の酸化触媒を併用することもできる。加水分解処理に用いられる触媒としては、酸や酵素が挙げられる。酸としては、硫酸、過硫酸類、塩酸等が挙げられるが、硫酸及び過硫酸類が好ましい。酸を用いる場合の反応槽中のpHとしては、3以下が好ましく、0.5以上2以下がより好ましい。酵素としては、セルラーゼ系酵素や、ヘミセルラーゼ系酵素等を挙げることができ、セルラーゼ系酵素が好ましい。酸化処理及び加水分解処理は、複数種の処理剤を用いてもよいし、酸化処理と加水分解処理とを組み合わせてもよい。なお、過硫酸等、酸化剤としても機能する酸を用いた場合、酸化反応と加水分解反応とが共に生じる。
化学的処理工程(s1a)は、公知の反応槽にパルプスラリーを貯め、酸化剤等の処理剤を添加することによって行うことができる。上記反応槽としては、晒タワー等の製紙用タワーを用いることができる。化学的処理工程の処理(反応)時間は、パルプスラリーの濃度や温度、処理剤の添加量等に応じて変更されるが、例えば0.5時間以上12時間以下とすることができる。
化学的処理工程(s1a)を経たパルプスラリーは、必要に応じ中和処理、洗浄処理等が施され、次工程に供される。なお、酵素を用いた化学的処理の場合は、パルプスラリーへの熱水(温水)の注入などにより、パルプスラリー温度を上げ、酵素を失活させることにより、反応を終了させることもできる。
<粗解繊処理工程(s1b)>
前処理工程(s1)の一つである粗解繊処理工程(s1b)は、パルプスラリー中のパルプ繊維をリファイナーにより粗解繊する工程である。間隙を極小さくして負荷をかけながら叩解するリファイナーを用いた前処理により、パルプ繊維に対して剪断力が効果的に付与され、パルプ繊維に毛羽立ちが生じ、パルプ繊維が柔軟になり、予備的な解繊が生じる。リファイナーとは、パルプ繊維を叩解する装置であり、公知のものを用いることができる。リファイナーとしては、パルプ繊維に対して効率的に剪断力を付与し、予備的な解繊を進めることができること等の点から、コニカルタイプやダブルディスクリファイナー(DDR)及びシングルディスクリファイナー(SDR)が好ましい。なお、粗解繊処理工程において、リファイナーを用いると、処理後の分離や洗浄が不要となる点からも好ましい。
粗解繊処理工程(s1b)に供するパルプスラリーのパルプ繊維濃度の下限としては、1質量%が好ましく、2質量%がより好ましい。一方、この上限としては、8質量%が好ましく、6質量%がより好ましい。上記範囲のパルプ繊維濃度とすることで、パルプスラリーが好適な粘度となるため、リファイナーによりパルプ繊維が効率的に粗解繊される。
粗解繊処理工程(s1b)においては、例えば複数のリファイナーを用意し、連続的にパルプ繊維を処理することもできる。また、一台のリファイナーに対して、パルプスラリーを循環させて長時間処理することもできる。
<化学的処理工程(s1a)と粗解繊処理工程(s1b)との順番>
化学的処理工程(s1a)と粗解繊処理工程(s1b)とは、いずれの工程を先に行ってもよいが、化学的処理工程(s1a)を先に行うことが好ましい。化学的処理工程(s1a)及び上記粗解繊工程(s1b)の順に行うことで、化学的前処理により膨潤したパルプ繊維に対して、リファイナーにより剪断力が効率的に付与されるため、予備的な解繊の効率性を高め、消費エネルギー量を低減することができる。
また、化学的処理工程(s1a)と粗解繊処理工程(s1b)とを重複して行うこともできる。例えば、酸、酵素、酸化剤等が添加されたパルプスラリーを粗解繊処理工程(s1b)に供することで、化学的処理と粗解繊処理とを同時に行うことができる。
前処理工程(s1)を経て微細化工程(s2)に供されるパルプ繊維のファイン率の下限は、60%であり、70%が好ましく、75%がより好ましい。また、このファイン率の上限は、90%であり、85%が好ましい。このファイン率を上記下限以上とすることで、十分な前処理(解繊)が進んだパルプ繊維となり、微細化工程(s2)において効率的に更なる微細化を行うことができる。また、ファイン率を上記下限以上とすることで、微細化工程(s2)において高圧ホモジナイザーを用いて処理した際、パルプ繊維の流路内での詰まりの発生を低減することもできる。一方、このパルプ繊維のファイン率が上記上限以下とすることで、過剰に前処理、特に粗解繊処理工程(s1b)を施すことを抑制することができ、製造工程全体としての、省エネルギー化及び高効率化を図ることができ、セルロースナノファイバーの生産性を高めることができる。ここで「ファイン率」とは、繊維長が0.2mm以下、かつ繊維幅が75μm以下であるパルプ繊維の質量基準の割合をいう。このファイン率は、バルメット社製の繊維分析計「FS5」によって測定することができる。繊維分析計「FS5」は、希釈したセルロース繊維が繊維分析計内部の測定セルを通過する際の画像分析により高い精度でセルロース繊維の長さ、幅を測定できる。
なお、前処理工程(s1)と微細化工程(s2)との間に、パルプ繊維のファイン率を測定するファイン率測定工程を設けてもよい。
このファイン率は、前処理工程(s1)、特に粗解繊処理工程(s1b)における処理量などによって調整することができる。例えば、リファイナーによる処理時間を長くすることや、リファイナーによる処理の際、ディスク(プレート)の間隔(クリアランス)を狭くする、ディスクの刃幅、溝幅、刃の高さ、刃の交差角度、ディスクのパタ−ンの組み合わせなどによって、ファイン率を高めることができる。
前処理工程(s1)を経て微細化工程(s2)に供されるパルプ繊維の平均繊維長としては特に限定されないが、下限としては、0.15mmが好ましく、0.2mmがより好ましく、0.25mmがさらに好ましい。一方、この上限としては、0.5mmが好ましく、0.4mmがより好ましい。このような繊維長のパルプ繊維を微細化工程(s2)に供することで、製造工程全体としての省エネルギー化及び高効率化を図ることができ、詰まりを生じさせることが無く、解繊度を向上させ、セルロースナノファイバーの生産性を高めることができる。
<微細化工程(s2)>
微細化工程(s2)は、前処理された上記パルプスラリー中のパルプ繊維を高圧ホモジナイザー1により微細化する工程である。本工程を経ることによりセルロースナノファイバーを得ることができる。本発明のセルロースナノファイバーの製造方法によれば、上述した2種類の前処理を行っているため、本微細化工程(s2)の短縮(処理回数の低減)を図ることができる。
微細化工程(s2)に供するパルプスラリーの固形分濃度としては特に限定されないが、上記スラリーの固形分濃度の下限としては、0.1質量%が好ましく、0.2質量%がより好ましい。一方、上記上限としては、8.0質量%が好ましく、7.0質量%がより好ましい。上記スラリーの固形分濃度が上記下限未満の場合、パルプ繊維が効率的に解繊されず、セルロースナノファイバーの生産効率が悪くなるおそれがある。一方、上記スラリーの固形分濃度が上記上限を超える場合、スラリーの粘性が高くなりすぎるために機械的処理によるパルプ繊維の解繊及びスラリーの移送が困難となるおそれがある。
微細化工程(s2)に供するパルプスラリーの温度は公知の方法により制御される。送液するパルプスラリーの温度としては、例えば20℃以上70℃以下が好ましい。パルプスラリーの温度を上記範囲とすることでパルプスラリーの流動性が向上し、より効率よく流出入管を介して送液することができる。
微細化工程(s2)により得られるセルロースナノファイバーは、十分に微細化がされており、水分散状態でレーザー回折法により測定される擬似粒度分布曲線において1つのピークを有する。また、上記擬似粒度分布曲線におけるピークとなる粒径(最頻径)としては5μm以上25μm以下が好ましい。得られるセルロースナノファイバーがこのような粒度分布を有する場合、十分に微細化された良好な性能を発揮することができる。なお、「擬似粒度分布曲線」とは、粒度分布測定装置(例えば株式会社セイシン企業のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器)を用いて測定される体積基準粒度分布を示す曲線を意味する。
<その他の工程>
微細化工程(s2)を経て得られたセルロースナノファイバーは、必要に応じて、改質処理工程や乾燥工程に供することができる。
このようにして得られたセルロースナノファイバーは、ろ過材、ろ過助剤、イオン交換体の基材、クロマトグラフィー分析機器の充填材、樹脂及びゴムの配合用充填剤、化粧品配合剤、粘度保持剤、食品原料生地の強化剤、水分保持剤、食品安定化剤、低カロリー添加物、乳化安定化助剤などの用途に広く用いることができる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明のセルロースナノファイバーの製造装置は、一台の高圧ホモジナイザーを備えていてもよいし、複数の高圧ホモジナイザーを備えることにより、連続的にパルプ繊維の微細化処理を行うようにしてもよい。
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
<微細化処理における消費エネルギー評価>
[実施例1]
当該セルロースナノファイバーの製造装置を用いて以下の工程を実施した。
(化学的処理工程)
固形分濃度10.0質量%の(パルプ種:LBKP)パルプスラリー(温度50℃)に対してセルラーゼ系酵素を添加し化学的処理を行った。5時間経過後、100℃に加熱して酵素を失活させた。
(粗解繊工程)
上記化学的処理を経たパルプスラリーを固形分濃度4質量%に調製し、リファイナーによる粗解繊処理を施した。リファイナーによる処理時間は10分とした。
(微細化工程)
上記粗解繊工程を経たパルプスラリーを固形分濃度2質量%に調製し、上述の高圧ホモジナイザーを用いて微細化工程に供した。用いた高圧ホモジナイザーは、第1流路の断面積が0.076mmであり、第2流路の断面積が0.173mmであり、第3流路の断面積が0.114mmである構造を有する。また、用いた高圧ホモジナイザーの第1流路におけるパルプスラリーの流速を329L/hとし、第2流路における流速を288L/hとし、第3流路における流速を218L/hとした。
[実施例2]
化学的処理工程として、固形分濃度10.0質量%のパルプスラリー(温度80℃)に対して酸化剤(過硫酸アンモニウム)を添加し化学的処理を行い、5時間経過後、中和処理したこと以外は、当該セルロースナノファイバーの製造装置を用いて実施例1と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
[比較例1]
微細化工程として、研磨機(増幸産業社の「マスコロイダー」)を用いたこと以外は実施例2と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
[比較例2]
微細化工程として、研磨機(増幸産業社の「マスコロイダー」)を用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
[実施例3]
化学的処理工程として、固形分濃度5.0質量%のパルプスラリー(温度80℃)に対して酸(希硫酸)を添加し化学的処理を行い、5時間経過後、水酸化ナトリウムで中和処理したこと以外は、当該セルロースナノファイバーの製造装置を用いて実施例1と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
[比較例3]
微細化工程として、研磨機(増幸産業社の「マスコロイダー」)を用いたこと以外は実施例3と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
[実施例4]
化学的処理工程を行わなかったこと以外は本願発明のセルロースナノファイバーの製造装置を用いて実施例1と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
[比較例4]
化学的処理工程を行なわず、微細化工程で斜め衝突型の高圧ホモジナイザーを用いたこと以外は参考例1と同様の操作を行ってセルロースナノファイバーを得た。
各実施例及び比較例において、微細化処理における高圧ホモジナイザー又は研磨機による一回の処理毎に、処理を経たスラリー中のパルプ繊維の体積基準粒度分布を測定した。この測定は、株式会社セイシン企業社のレーザー回折・散乱式粒度分布測定器を用いて行った。測定された疑似粒度分布曲線において、ピークが一つとなり、かつこのピークが5μm以上25μm以下の範囲となるまで、高圧ホモジナイザー又は研磨機による処理を繰り返した。疑似粒度分布曲線において、ピークが一つとなり、かつこのピークが5μm以上25μm以下の範囲となった段階でセルロースナノファイバーが得られたと判断し、微細化工程を終了した。各参考例及び参考比較例において行った微細化工程の処理回数を表1に示す。
なお、表1中の各処理工程の欄のかっこ内に示した数値は、酵素処理1回あたりの消費エネルギーを1とした、各処理工程の1回あたりの消費エネルギーの量を示す相対値である。各参考例及び参考比較例のセルロースナノファイバーの製造において消費したエネルギー(相対値)を各工程で消費したエネルギーの積算値として表1に示している。
Figure 2018100474
*表中「−」は、処理を行っていないことを示す。
上記表1に示されるように、微細化工程において本願発明の対向衝突型のセルロースナノファイバーの製造用高圧ホモジナイザーを用いることで、他の装置を用いた場合と比べて処理回数を減らし、消費エネルギー量を大幅に低減できることがわかる。
<高圧ホモジナイザーにおける詰まり及び解繊効果の評価>
本願発明のセルロースナノファイバーの製造装置を用いて高圧ホモジナイザーによる微細化工程を実施し、高圧ホモジナイザーにおける詰まり及び解繊度の評価を実施した。各評価結果を表2に示す。
[実施例5〜13]
本願発明のセルロースナノファイバーの製造装置を用いてセルロースナノファイバーを製造した。パルプスラリーの固形分濃度、高圧ホモジナイザーの第1流路、第2流路及び第3流路の断面積及び流速を表2の記載のとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、セルロースナノファイバーを製造した。パルプスラリーのファイン率は77%とした。
[比較例5〜7]
高圧ホモジナイザーの第1流路、第2流路及び第3流路の断面積及び流速を表2の記載のとおりとしたこと以外は、実施例1と同様にして、セルロースナノファイバーを製造した。パルプスラリーのファイン率は実施例と同様に77%とした。
[詰まり評価]
高圧ホモジナイザーの第1流路、第2流路及び第3流路におけるパルプスラリーの詰まりを評価した。評価基準として、詰まりが発生しなかった場合をAとし、やや発生した場合をBとし、発生した場合をCとした。
[写真による解繊度]
微細化工程を実施したセルロースナノファイバーを、光学顕微鏡を用いて3000倍及び30000倍の倍率で撮影し、解繊度合を目視判定した。評価基準として、解繊度合が非常に高い場合をAとし、高い場合をBとし、劣る場合をCとした。
Figure 2018100474
表2に示されるように、実施例は、パルプ繊維の解繊力及び詰まり抑制効果について良好な結果が得られた。特に、第1流路の断面積T1、第2流路の断面積T2、第3流路の断面積T3において、T1<T3<T2の関係を満たし、T1が0.060mm以上0.090mm以下であり、T2が0.160mm以上0.190mm以下であり、T3が0.090mm以上0.120mm以下であり、かつ第1流路におけるパルプスラリーの流速が320L/h以上370L/h以下であり、第2流路におけるパルプスラリーの流速が270L/h以上315L/h以下であり、第3流路におけるパルプスラリーの流速が200L/h以上310L/h以下である実施例5及び実施例6は、パルプ繊維の解繊力及び詰まり抑制効果の双方が優れていた。
本発明のセルロースナノファイバーの製造装置及びセルロースナノファイバーの製造方法によれば、パルプ繊維がより効率的に解繊されるとともに、パルプ繊維の詰まりを抑制することができるので、機械的な微細化処理回数を減らし、効率的にセルロースナノファイバーを製造することができる。
1 高圧ホモジナイザー
2 内層部
3 外層部
11 第1流路
13 第2流路
15 第3流路
16 流入管
17 流出管
S1、S2、S3、S4、S5 パルプスラリー
X 対向衝突部
Y 壁面衝突部

Claims (2)

  1. パルプ繊維を含むパルプスラリーの微細化処理を行う対向衝突型の高圧ホモジナイザーを備えるセルロースナノファイバーの製造装置であって、
    上記高圧ホモジナイザーが、
    上記パルプスラリーを一直線上で対向衝突させる第1流路と、
    上記第1流路における対向衝突部において、第1流路に対して垂直に連結する第2流路と、
    上記第2流路に対して垂直に連結する第3流路と
    を有し、
    上記第1流路の断面積をT1、上記第2流路の断面積をT2、上記第3流路の断面積をT3とするとき、T1が、0.057mm以上0.123mm以下であり、T2が、0.126mm以上0.283mm以下であり、T3が、0.057mm以上0.123mm以下であり、T1、T2及びT3がT1<T2かつT3<T2の関係を満たすセルロースナノファイバーの製造装置。
  2. 請求項1に記載のセルロースナノファイバーの製造装置を用い、
    固形分濃度が0.1質量%以上8.0質量%以下であるパルプスラリー中のパルプ繊維を微細化処理するセルロースナノファイバーの製造方法。
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