JP2018098141A - 非水電解液二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】正極合材層にリン酸三リチウムが添加された非水電解液二次電池において、当該リン酸三リチウムの添加による効果を適切に発揮させて、過充電状態により生じる種々の問題を好適に抑制できる非水電解液二次電池を提供する。【解決手段】ここで開示される非水電解液二次電池は、正極集電体上に正極合材層が形成されている正極と、負極集電体上に負極合材層が形成されている負極と、フッ素を含んだリチウム化合物を支持塩として有する非水電解液とを備える非水電解液二次電池であって、正極合材層に少なくとも正極活物質とリン酸三リチウム粒子とが含まれている。そして、ここで開示される非水電解液二次電池では、リン酸三リチウム粒子を除く正極合材層の固形分量を100wt%としたときのリン酸三リチウム粒子の含有量が0.88wt%〜8.8wt%であり、かつ、リン酸三リチウム粒子の比表面積が0.9m2/g〜20.3m2/gである。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解液二次電池に関する。
リチウムイオン二次電池(リチウム二次電池)等の非水電解液二次電池は、既存の電池に比べて軽量且つエネルギー密度が高いことから、近年、パソコンや携帯端末等のいわゆるポータブル電源や車両駆動用電源として用いられている。かかる非水電解液二次電池の正極は、例えば、導電性を有する箔体である正極集電体の表面に正極合材層が付与されることによって構成されている。
上記した非水電解液二次電池では、過充電状態(高電圧状態)になった際に生じる種々の問題を抑制するために、従来より、正極合材層にリン酸三リチウム(LiPO)などの無機リン酸化合物を添加する技術が提案されている(例えば特許文献1〜3)。かかる無機リン酸化合物は、電池が過充電状態になった際に、非水電解液の分解によって生じた酸(例えばフッ化水素(HF))を粒子表面に吸着させることによって、過充電時の発熱や金属元素の溶出等を抑制することができる。
特開2014−103098号公報 特開2015−103332号公報 特許第3358478号
上記した特許文献1〜3に記載の技術では、リン酸三リチウムなどの無機リン酸化合物の効果を適切に発揮させるために、正極合材層に対する無機リン酸化合物の含有量を規定している。しかしながら、実際にリン酸三リチウムを正極合材層に含有させると、上記した従来の技術のようにリン酸三リチウムの含有量を規定しているにも関わらず、リン酸三リチウムの機能にばらつきが生じて好適な効果が得られないことがあったため、リン酸三リチウムの機能をより適切に発揮させることができる技術が望まれていた。
特に、作動電位が4.3V(vs.Li/Li)未満の正極活物質を用いたリチウムイオン二次電池(いわゆる4V級電池)は過充電状態になると発熱量が大きいという性質を有しているため、かかる4V級電池の分野において、リン酸三リチウムの機能を適切に発揮させて過充電状態により生じる種々の問題点を好適に抑制できる技術の開発が望まれていた。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、正極合材層にリン酸三リチウムが添加された非水電解液二次電池において、当該リン酸三リチウムの添加による効果を適切に発揮させて、過充電状態により生じる種々の問題を好適に抑制できる非水電解液二次電池を提供することである。
上記目的を実現するべく、本発明によって以下の構成の非水電解液二次電池が提供される。
ここで開示される非水電解液二次電池は、正極集電体上に正極合材層が形成されている正極と、負極集電体上に負極合材層が形成されている負極と、フッ素を含んだリチウム化合物を支持塩として有する非水電解液と、を備える非水電解液二次電池であって、正極合材層に、少なくとも正極活物質とリン酸三リチウム粒子とが含まれている。
そして、ここで開示される非水電解液二次電池では、リン酸三リチウム粒子を除く正極合材層の固形分量を100wt%としたときのリン酸三リチウム粒子の含有量が0.88wt%〜8.8wt%であり、かつ、リン酸三リチウム粒子の比表面積が0.9m/g〜20.3m/gである。
上記した課題を解決するために、本発明者は、先ず、正極合材層に対するリン酸三リチウムの適切な含有量について再度実験と検討を重ねた結果、かかるリン酸三リチウムの適切な含有量は、該リン酸三リチウムを除く正極合材層の固形分量を100wt%としたときの0.88wt%〜8.8wt%であることを見出した。具体的には、0.88wt%未満の場合はリン酸三リチウムの含有量が少なくなりすぎて適切な効果を発揮することができなくなる一方で、8.8wt%を超えると正極合材の粘度が高くなりすぎて、当該正極合材を正極集電体に塗布することが困難になって生産性が低下するという問題が生じることを実験により確認した。
次に、本発明者は、正極合材層に対するリン酸三リチウム粒子の含有量が同じであるにも関わらず、リン酸三リチウムの機能にばらつきが生じることを防止するために、含有量以外にリン酸三リチウムの機能に影響を与える要因について検討を重ね、リン酸三リチウム粒子の比表面積に着目した。
具体的には、本発明者は、非水電解液の分解によって生じた酸(例えばフッ化水素(HF))と反応するというリン酸三リチウムの作用に着目し、かかる作用を適切に生じさせるためにはリン酸三リチウム粒子の比表面積を適切な範囲に規定する必要があると考えた。
そして、かかる考察に基づいて実験を行ったところ、リン酸三リチウム粒子の比表面積を大きくすると過充電状態における種々の問題を抑制する効果が大きくなる一方で、作製後の電池の反応抵抗が増加するという知見を得た。
そして、かかる知見に基づいてさらに実験を重ねた結果、リン酸三リチウム粒子を除く正極合材層の固形分量を100wt%としたときのリン酸三リチウム粒子の含有量を0.88wt%〜8.8wt%の範囲内にするとともに、リン酸三リチウム粒子の比表面積を0.9m/g〜20.3m/gの範囲内にすることによって、リン酸三リチウム粒子の添加による効果を適切に発揮させることができ、かつ、反応抵抗の増加を抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図である。 本発明の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池の電極体を模式的に示す斜視図である。 実験Aにおける評価試験の結果を示すグラフである。 実験Bにおける評価試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚み等)は実際の寸法関係を反映するものではない。また、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄(例えば、負極の組成や非水電解液二次電池の構築に係る一般的技術等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。
1.リチウムイオン二次電池
以下、ここで開示される非水電解液二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池を説明する。図1は本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の外形を模式的に示す斜視図であり、図2は本実施形態に係るリチウムイオン二次電池の電極体を模式的に示す斜視図である。このリチウムイオン二次電池100は、図1に示す角形の電池ケース50の内部に、図2に示す電極体80が収容されることによって構成される。
(1)電池ケース
電池ケース50は、上端が開放された扁平なケース本体52と、その上端の開口部を塞ぐ蓋体54とから構成されている。蓋体54には、正極端子70および負極端子72が設けられている。図示は省略するが、正極端子70は、電池ケース50内に収容された電極体80の正極10と電気的に接続され、負極端子72は負極20と電気的に接続される。
(2)電極体
次に、上記した電池ケース50の内部に収容される電極体80について説明する。図2に示すように、本実施形態における電極体80は、長尺シート状の正極10と負極20を長尺シート状のセパレータ40とともに積層して捲回することによって作製された捲回電極体である。なお、ここで開示される非水電解液二次電池に用いられる電極体は、図2に示すような捲回電極体に限定されず、例えば、複数枚の正極と負極とをセパレータを介して交互に積層させた積層電極体であってもよい。
(a)正極
図2における正極10では、長尺シート状の正極集電体12の両面に、正極活物質を主成分とする正極合材層14が形成されている。そして、正極10の幅方向の一方の側縁部には、正極合材層14が塗工されていない正極合材層非形成部16が形成されており、この正極合材層非形成部16が上記した正極端子70(図1参照)と電気的に接続される。
そして、本実施形態における正極合材層14は、正極活物質とリン酸三リチウム粒子とその他の添加材とを分散媒に分散させたペースト状の前駆体(正極合材)を正極集電体12の両面に塗布した後に、当該正極合材を乾燥させることによって形成される。かかる正極合材層14の詳細な組成は後に詳しく説明する。
(b)負極
負極20についても、正極10と同様に、長尺シート状の負極集電体22の両面に負極活物質を主成分とする負極合材層24が形成されている。そして、負極20の幅方向の一方の側縁部に負極合材層非形成部26が形成されており、この負極合材層非形成部26が負極端子72(図1参照)と電気的に接続される。
本実施形態において、負極合材層24の組成は、特に制限されず、一般的なリチウムイオン二次電池の負極合材層と同様の組成にすることができる。例えば、負極活物質には、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、カーボンナノチューブ、或いはこれらを組み合わせた構造を有するもの等の炭素材料を用いることができる。なお、エネルギー密度の観点から、これらの炭素材料中でも黒鉛系材料(天然黒鉛(石墨)や人造黒鉛等)を用いることが好ましい。また、負極合材層24には、その他の添加材(例えばバインダや増粘剤等)が含まれていてもよい。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)等が挙げられ、増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等が挙げられる。
(c)セパレータ
セパレータ40には、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材が用いられる。セパレータ40についても、一般的なリチウムイオン二次電池に用いられるものと同様のものを用いることができ、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂等ならなるシート材を使用することができる。
(3)非水電解液
また、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の電池ケース50内には、上記した捲回電極体80とともに非水電解液が収納(充填)されている。かかる非水電解液としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(例えば体積比3:4:3)に、支持塩を所定の濃度(例えば1mol/L程度)で含有させたものが挙げられる。なお、かかる支持塩としては、フッ素を含んだリチウム化合物、例えば、LiPF、LiBF、LiCFSO等が用いられる。
2.正極合材層の詳細な組成
上記したように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100の正極合材層14には、正極活物質とリン酸三リチウム粒子とその他の添加材とが含まれている。以下、各々の材料について説明する。
(1)正極活物質
正極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出可能な化合物であり、少なくともリチウムを含む酸化物(リチウム複合酸化物)から構成されている。本実施形態において、正極活物質の種類は特に制限されず、一般的なリチウムイオン二次電池の正極活物質と同様のものを使用することができる。かかる正極活物質の具体例としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物などが挙げられる。
(2)リン酸三リチウム粒子
上記したように、本実施形態における正極合材層14にはリン酸三リチウム(LiPO)の粒子が含まれている。当該リン酸三リチウム粒子は、リチウムイオン二次電池100が過充電状態となった際に、非水電解液の分解によって生じた酸(例えばフッ化水素(HF))を表面に吸着させることによって、過充電時の発熱や金属元素の溶出等を抑制することができる。そして、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池100では、リン酸三リチウム粒子の含有量と、リン酸三リチウム粒子の比表面積が所定の範囲内に規定されている。
(a)リン酸三リチウム粒子の含有量
本実施形態においては、リン酸三リチウム粒子を除く正極合材層16の固形分量を100wt%としたときのリン酸三リチウム粒子の含有量が0.88wt%〜8.8wt%の範囲内に規定されている。かかる正極合材層16に対するリン酸三リチウム粒子の含有量を0.88wt%未満にすると、非水電解液の分解によって生じた酸を十分に吸着させることができずに、過充電時の発熱や金属元素の溶出等を十分に抑制することが困難になる。一方、リン酸三リチウム粒子の含有量が8.8wt%を超えると、正極合材の粘度が大幅に上昇して、正極集電体12の表面に正極合材を塗布することが難しくなって正極10の生産性が低下する虞がある。
このため、本実施形態では、正極合材層16に対するリン酸三リチウム粒子の含有量を0.88wt%〜8.8wt%の範囲内に規定している。これによって、リン酸三リチウムの機能を適切に発揮させることができるリチウムイオン二次電池を高い生産性で得ることができる。
(b)リン酸三リチウム粒子の比表面積
また、本実施形態においては、リン酸三リチウム粒子の比表面積が0.9m/g〜20.3m/gの範囲内に規定されている。
上記したように、リン酸三リチウムは、非水電解液の酸化分解によって生じたフッ化水素(HF)などの酸を粒子表面に吸着させることによって過充電時の発熱や金属元素の溶出等を抑制するという機能を有しているが、リン酸三リチウム粒子の比表面積が小さくなりすぎると、かかる機能を適切に発揮させることが難しくなる。
一方、リン酸三リチウム粒子の表面に水分が吸着すると正極における反応抵抗が増加するという現象が生じるため、リン酸三リチウム粒子の比表面積を大きくしすぎると、かかる水分の吸着が生じやすくなって反応抵抗の増加による電池性能の低下が生じる虞がある。
本実施形態におけるリン酸三リチウム粒子の比表面積の規定(0.9m/g〜20.3m/g)は、上記した知見に基づいて定められたものであり、この範囲内にリン酸三リチウム粒子の比表面積を規定することによって、フッ化水素(HF)などの酸をリン酸三リチウム粒子の表面に適切に吸着させることができるとともに、水分が吸着することによる反応抵抗の増加を適切に抑制することができる。
以上のように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池では、リン酸三リチウム粒子を除く正極合材層16の固形分量を100wt%としたときのリン酸三リチウム粒子の含有量を0.88wt%〜8.8wt%の範囲内に規定し、かつ、リン酸三リチウム粒子の比表面積を0.9m/g〜20.3m/gの範囲内に規定している。
これによって、リン酸三リチウムの機能にばらつきを生じさせることなく、過充電時の発熱や金属元素の溶出等を好適に抑制することができるとともに、生産性の低下や反応抵抗の増加などのリン酸三リチウムの添加によって生じ得る問題の発生も防止することができる。
(3)その他の添加材
また、正極合材層16には、一般的なリチウムイオン二次電池と同様に、導電剤やバインダ等の添加材が含まれていてもよい。導電剤としては、例えば、カーボンブラック等の炭素材料を用いる事ができる。また、バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を好ましく用いることができる。
また、正極合材層16には、Si、Na、K、Cl、Fe、Cu、Zn、Pb、Ni、Co、Crなどの金属元素が含まれていてもよい。これらの金属元素は、ペースト状の正極合材を調製する際にリン酸三リチウムの粉末に含まれているものであり、これらの金属元素が正極合材層16に含まれている場合であっても、過充電時の発熱や金属元素の溶出等を好適に抑制することができるとともに、生産性の低下や反応抵抗の増加などのリン酸三リチウムの添加によって生じ得る問題の発生を防止することができる。
なお、上記した実施形態においては、ここで開示される非水電解液二次電池の一例としてリチウムイオン二次電池を説明したが、かかる説明は本発明の適用対象を限定することを意図したものではなく、本発明はリチウムイオン二次電池以外の非水電解液二次電池に適用することもできる。但し、上記したように、作動電位が4.3V(vs.Li/Li)未満の正極活物質(例えば、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)を用いたリチウムイオン二次電池(4V級電池)は、過充電状態になった際の発熱量が大きいという性質を有しており、本発明の効果をより顕著に発揮させることができるため、本発明の適用対象として特に好ましい。
[試験例]
以下、本発明に関する試験例を説明するが、試験例の説明は本発明を限定することを意図したものではない。
本試験例においては、先ず、リン酸三リチウム粒子の適切な含有量を調べるための実験Aを説明した後で、リン酸三リチウム粒子の適切な比表面積を調べるための実験Bを説明する。
1.実験A
(1)試験例1〜試験例14の作製
実験Aでは、リン酸三リチウム粒子の含有量が異なる14種類の正極合材を用意し、各々の正極合材を用いて4V級のリチウムイオン二次電池を作製し、該作製後の電池の性能を評価した。
具体的には、試験例1〜試験例14の各々について、正極活物質であるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物と、リン酸三リチウム(LiPO)の粒子と、導電材(AB:アセチレンブラック)と、バインダ(PVDF)とを分散媒(NMP:Nメチルピロリドン)に分散させてペースト状の正極合材を調製した。このとき、表1および表2に示すように、リン酸三リチウムを除く正極合材の固形分量を100wt%としたときのリン酸三リチウム粒子の含有量(LiPO含有量)を、各々の試験例で異ならせた。そして、調製した正極合材を正極集電体(アルミニウム箔)の両面に塗布し乾燥させた後、所定の圧力でプレスすることによってシート状の正極を作製した。
次に、負極活物質(グラファイト)と、バインダ(SBR:スチレンーブタジエン共重合体)と、増粘剤(CMC)とを分散媒(水)に混合させてペースト状の負極合材を調製し、当該負極合材をシート状の負極集電体(銅箔)の両面に塗布し乾燥させた後にプレスすることによってシート状の負極を作製した。
そして、セパレータを介して正極と負極を積層させた後に、該積層体を捲回することによって捲回電極体を作製し、該捲回電極体を非水電解液とともに電池ケースに収容して密閉することにより評価試験用の4V級リチウムイオン二次電池を作製した。なお、非水電解液には、ECとDMCとEMCとを3:4:3の体積比で含む混合溶媒に支持塩(LiPF)を約1mol/リットルの濃度で含有させた非水電解液を使用した。
(2)評価試験
実験Aにおいては、上記した試験例1〜試験例14に対して、過充電時の電池温度と、正極合材のペースト粘度を測定した。具体的な測定条件を以下に説明する。
(a)過充電時の電池温度の測定
各々の試験例で作製した4V級のリチウムイオン二次電池に対して、20Cの定電流で5.1Vまで充電を行うことによって各電池を過充電状態とし、各々の電池の電池ケース外側の中心部の温度を測定することによって、過充電時の電池温度を測定した。測定結果を表1、表2および図3に示す。なお、表1および表2における測定結果は、試験例1を100とした場合の相対評価で示している。また、図3中の2つのプロットのうち、菱形のプロットが過充電時の電池温度の測定結果を示している。
(b)正極合材の粘度の測定
試験例1〜試験例14の各々について、正極合材層を作製するために使用した正極合材の一部を採取し、室温(18℃〜25℃程度)で3日(72時間)保管した後、E型粘度計(回転速度20rpm)を用いて室温で粘度を測定した。測定結果を表1、表2および図3に示す。なお、表1および表2における測定結果は、試験例1を100とした場合の相対評価で示している。また、図3中の2つのプロットのうち、四角形のプロットが粘度の測定結果を示している。
Figure 2018098141
Figure 2018098141
(4)試験結果
上記の表1、表2および図3に示すように、正極合材層に対するリン酸三リチウム粒子の含有量が増加するに従って、過充電時の電池温度が低下するが、正極合材の粘度が増加しやすくなるという結果が得られた。そして、各々の試験例を詳細に比較すると、当該リン酸三リチウム粒子の含有量が0.88wt%以上である試験例5〜試験例14では電池温度が大幅に低下しており、リン酸三リチウムが適切に機能していることが確認できた。
一方で、リン酸三リチウム粒子の含有量が8.8wt%を超えた試験例11〜試験例14では、過充電時の電池温度が試験例10と同程度であるにも関わらず、正極合材の粘度が大幅に増加しており、正極の作製が困難になるという結果が得られた。
このことから、試験例5〜試験例10のように、リン酸三リチウム粒子の含有量を0.88wt%〜8.8wt%の範囲内に規定することによって、過充電時の電池温度を大幅に低下させることができるとともに、ペースト粘度の大幅な増加を抑制して正極を生産性高く作製できることが分かった。
2.実験B
次に、実験Bではリン酸三リチウム粒子の適切な比表面積を調べるための実験を行った。
(1)試験例15〜試験例28の作製
実験Bにおいては、以下の表3および表4に示すように、各試験例において、比表面積が異なるリン酸三リチウム粒子を用いてペースト状の正極合材を調製し、かかる正極合材を用いてリチウムイオン二次電池を作製した。
なお、試験例15〜試験例28の電池は、リン酸三リチウム粒子の比表面積を異ならせるとともに、リン酸三リチウム粒子の含有量を2.0wt%にしたことを除いて、上記した実験Aにおける試験例7と同じ条件に設定して作製した。
(2)評価試験
実験Bにおいては、評価試験として、過充電時の電池温度の測定と、反応抵抗の測定を行った。
(a)過充電時の電池温度の測定
試験例15〜試験例28の各々のリチウムイオン二次電池について、上記した実験Aと同じ条件で5.1V充電時の電池温度(過充電時の電池温度)を測定した。測定結果を表3、表4および図4に示す。なお、表3および表4に示す測定結果は、試験例15を100とした相対評価で示している。また、図4中の2つのプロットのうち、菱形のプロットが過充電時の電池温度の測定結果を示している。
(b)反応抵抗の測定
各試験例のリチウムイオン二次電池を−30℃の環境に配置して、振幅:5mV、測定周波数範囲:10000〜0.001Hzの条件で交流インピーダンスの測定を行い、得られたCole−Coleプロットの円弧形状の直径を反応抵抗として算出した。測定結果を表3、表4および図4に示す。なお、表3および表4における各々の測定結果は、試験例15を100とした相対評価で示している。また、図4では四角形のプロットが反応抵抗の測定結果を示している。
Figure 2018098141
Figure 2018098141
(4)試験結果
表3、表4および図4に示すように、リン酸三リチウム粒子の比表面積が増加するに伴って過充電時の電池温度が低下するという結果が得られた。そして、各試験例を詳細に比較すると、試験例18〜試験例28のように、比表面積が0.9m/g以上になると過充電時の電池温度が急激に低下するという結果が得られた。このことから、比表面積を0.9m/g以上にすることによって、リン酸三リチウムの機能をより適切に発揮できることが分かった。
一方、試験例27、28のように、比表面積が20.3m/gを超えると反応抵抗が大幅に増加して電池性能が低下するという結果が得られた。このことから、試験例18〜試験例26のように、リン酸三リチウム粒子の比表面積を0.9m/g〜20.3m/gの範囲内に規定することによって、リン酸三リチウムの機能をより適切に発揮させることができるとともに、反応抵抗の増加を抑制できることが分かった。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記した実施形態は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
10 正極
12 正極集電体
14 正極合材層
16 正極合材層非形成部
20 負極
22 負極集電体
24 負極合材層
26 負極合材層非形成部
40 セパレータ
50 電池ケース
52 ケース本体
54 蓋体
70 正極端子
72 負極端子
80 捲回電極体
100 リチウムイオン二次電池

Claims (1)

  1. 正極集電体上に正極合材層が形成されている正極と、負極集電体上に負極合材層が形成されている負極と、フッ素を含んだリチウム化合物を支持塩として有する非水電解液と、を備える非水電解液二次電池であって、
    前記正極合材層に、少なくとも正極活物質とリン酸三リチウム粒子とが含まれており、
    ここで、前記リン酸三リチウム粒子を除く前記正極合材層の固形分量を100wt%としたときの前記リン酸三リチウム粒子の含有量が0.88wt%〜8.8wt%であり、かつ、前記リン酸三リチウム粒子の比表面積が0.9m/g〜20.3m/gである、非水電解液二次電池。
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