JP2018098009A - 有機電子デバイスの製造方法、電極付き基板及び有機電子デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】金属細線が形成されていても可撓性樹脂基材におけるシワの発生を抑制できる有機電子デバイスの製造方法並びにシワの発生が抑制された可撓性樹脂基材を含む電極付き基板及び有機電子デバイスを提供する。【解決手段】有機電子デバイスの製造方法は、可撓性樹脂基材上に少なくとも一つの金属細線が所定パターンで配置された金属細線領域を有する第1電極層を形成する工程と、有機機能層形成工程と、第2電極層形成工程とを備え、可撓性樹脂基材の長手方向に直交する方向より長手方向の方が、熱収縮率が大きく、第1電極層、有機機能層及び第2電極層を形成する少なくとも一つの工程は、可撓性樹脂基材上に被加熱処理層を形成する第1工程と、被加熱処理層を加熱処理する第2工程と、を有し、第2工程では、可撓性樹脂基材の長手方向に対して可撓性樹脂基材に張力を掛けながら可撓性樹脂基材のガラス転移温度以上で被加熱処理層を加熱する。【選択図】図6

Description

本発明は、有機電子デバイスの製造方法、電極付き基板及び有機電子デバイスに関する。
本技術分野の従来技術として、特許文献1に記載されているように、プラスチック支持体といった可撓性樹脂基材上に、導電性ラインといった金属細線が電極の一部として設けられた有機電子デバイスがある。
特開2013−69663号公報
特許文献1に記載されているように、可撓性樹脂基材上に金属細線を有する有機電子デバイスは、可撓性樹脂基材上に金属細線が設けられた金属細線付き可撓性樹脂基材に、有機機能層及び第2電極を順次形成することで製造される。金属細線付き可撓性樹脂基材上の構成要素を形成する際、形成すべき構成要素の機能を発現するためなどに、可撓性樹脂基材の材料のガラス転移温度以上の温度での加熱処理が必要な場合がある。このような加熱処理では、可撓性樹脂基材に金属細線が形成されていると、可撓性樹脂基材にシワが生じ易くなっていた。
したがって、本発明は、金属細線が形成されていても可撓性樹脂基材におけるシワの発生を抑制できる有機電子デバイスの製造方法並びにシワの発生が抑制された可撓性樹脂基材を含む電極付き基板及び有機電子デバイスを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る有機電子デバイスの製造方法は、長尺の可撓性樹脂基材上に、少なくとも一つの金属細線が所定パターンで配置された金属細線領域を有する第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、上記第1電極層における少なくとも上記金属細線領域上に、有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、上記有機機能層上に、第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、を備え、上記可撓性樹脂基材の熱収縮率は、上記可撓性樹脂基材の長手方向に直交する方向より上記長手方向の方が大きく、上記第1電極層形成工程、上記有機機能層形成工程及び上記第2電極層形成工程の少なくとも一つの工程は、上記可撓性樹脂基材上に被加熱処理層を形成する第1工程と、上記被加熱処理層を加熱処理する第2工程と、を有し、上記第2工程では、上記可撓性樹脂基材の長手方向に対して上記可撓性樹脂基材に張力を付与しながら上記可撓性樹脂基材のガラス転移温度以上で上記被加熱処理層を加熱する。
本願明細書において、「可撓性樹脂基材上に被加熱処理層を形成する」とは、可撓性樹脂基材に接する状態で被加熱処理層を形成する形態と、可撓性樹脂基材と被加熱処理層との間に他の層が介在している状態で被加熱処理層を形成する形態とを含む意味である。
上記有機電子デバイスの製造方法が有する第1電極層形成工程、有機機能層形成工程及び第2電極層形成工程の少なくとも一つの工程は、上記第1工程及び第2工程を備える工程である。第2工程では、第1工程において被加熱処理層が形成された長尺の可撓性樹脂基材を、その長手方向に搬送しながら可撓性樹脂基材の材料のガラス転移温度以上の温度で被加熱処理層を加熱する。この場合、被加熱処理層とともに、可撓性樹脂基材もほぼ同じ温度で加熱される。可撓性樹脂基材における熱収縮率は、長手方向の方が幅方向(長手方向に直交する方向)より大きい。したがって、第2工程において、可撓性樹脂基材のガラス転移温度以上の温度で加熱処理を実施しても、可撓性樹脂基材は、幅方向に収縮しにくいので、長手方向に延びるシワの発生を抑制できる。更に、第2工程の加熱処理中には、長手方向に張力を付与しているため、長手方向の収縮を張力により低減(好ましくは相殺)できる。そのため、長手方向の収縮を抑制できるので、幅方向に延びるシワの発生も抑制できる。すなわち、可撓性樹脂基材のガラス転移温度以上の温度で加熱処理を実施しても、可撓性樹脂基材のシワの発生を抑制できる。通常、可撓性樹脂基材上に、少なくとも一つの金属細線が所定パターンで形成されていると、金属細線が形成されていない場合より可撓性樹脂基材にシワが入りやすい。そのため、例えば第1電極層形成工程の後に第2工程を実施する場合において、第2工程での加熱による可撓性樹脂基材のシワ発生を抑制可能であることは、金属細線領域を含む第1電極層を備えた有機電子デバイスの製造に非常に有効である。
上記第1電極層形成工程が、上記第1工程及び上記第2工程を有し、上記第1電極層形成工程が有する上記第1工程で形成される上記被加熱処理層は、上記第2工程による加熱処理によって上記第1電極層となる層であり、上記有機機能層は、塗布法で形成される機能層を含んでもよい。
この場合、第2工程を実施することにより、第1電極層が形成された可撓性樹脂基材(以下、「第1電極層付き可撓性樹脂基材」と称す)が得られる。第2工程における加熱処理に起因する可撓性樹脂基材のシワの発生が抑制されていることから、より所望の状態に近い(換言すれば、シワが抑制された)第1電極層付き可撓性樹脂基材上に、上記機能層を塗布法で形成できる。その結果、上記機能層を所望の状態で形成し易い。本明細書において、上記「所望の状態」とは、有機電子デバイスの機能を十分に発現させ、高品位なデバイスを製造するための設計状態を意味する。
上記有機機能層形成工程は、第1機能層を形成する第1機能層形成工程と、上記第1機能層とは異なる機能を有する第2機能層を上記第1機能層上に形成する第2機能層形成工程と、を有し、上記第1機能層形成工程が、上記第1工程及び上記第2工程を含み、上記第1機能層形成工程が有する上記第1工程で形成される上記被加熱処理層は、上記加熱処理により化学変化が生じる材料を含み、上記第1機能層形成工程が有する上記第2工程では、上記第1機能層形成工程が有する上記第1工程で形成された上記被加熱処理層を上記加熱処理して上記被加熱処理層に化学変化を生じさせることによって上記第1機能層を形成し、上記第2機能層形成工程では、上記第2機能層を塗布法で形成してもよい。
この場合、第2工程を実施することにより、第1機能層が形成された可撓性樹脂基材(以下、「第1機能層付き可撓性樹脂基材」と称す)が得られる。第2工程における加熱処理に起因する可撓性樹脂基材のシワの発生が抑制されていることから、より所望の状態に近い(換言すれば、シワが抑制された)第1機能層付き可撓性樹脂基材上に、上記第2機能層を塗布法で形成できる。その結果、上記第2機能層を所望の状態で形成し易い。
上記化学変化は架橋反応であり得る。
上記塗布法が、インクジェット法であってもよい。インクジェット法では、粘度の比較的低いインクを使用する傾向にあり、インクが塗布される部材のシワの影響を受けやすい。よって、第2工程における可撓性樹脂基材のシワの発生が抑制された上記有機電子デバイスの製造方法は、インクジェット法を利用する場合に、より有効である。
本発明の他の側面に係る電極付き基板は、可撓性樹脂基材と、上記可撓性樹脂基材上に設けられており、少なくとも一つの金属細線が所定パターンで配置された金属細線領域を有する第1電極層と、を備え、上記可撓性樹脂基材において、第1の方向の熱収縮率と上記第1の方向に直交する第2の方向の熱収縮率とは異なっており、張力を付与せずに200℃で10分間加熱したときの、上記第1の方向の熱収縮率と上記第2の方向の熱収縮率との差は、0.15%以上である。
張力を付与せずに200℃で10分間加熱したときの上記第1の方向の熱収縮率が、+0.45%〜+0.85%であり、上記第2の方向の熱収縮率が、−0.02%〜+0.02であってもよい。
本発明は、上記電極付き基板を備える有機電子デバイスにも係る。
本発明によれば、金属細線が形成されていても可撓性樹脂基材におけるシワの発生を抑制できる有機電子デバイスの製造方法並びにシワの発生が抑制された可撓性樹脂基材を含む電極付き基板及び有機電子デバイスを提供できる。
図1は、一実施形態に係る有機ELデバイス(有機電子デバイス)の製造方法で使用する長尺の可撓性樹脂基材の平面図である。 図2は、ロールツーロール方式による有機ELデバイスの製造方法を模式的に示す図面である。 図3は、陽極層(第1電極層)形成工程を説明するための図面である。 図4は、有機機能層形成工程を説明するための図面である。 図5は、陰極層(第2電極層)形成工程を説明するための図面である。 図6は、第1工程及び第2工程を含む工程のフローチャートであるのフローチャートである。 図7は、図6に示した第1工程及び第2工程を含む工程としての正孔輸送層形成工程を説明するための図面である。 図8は、被加熱処理層としての塗布層が形成された可撓性樹脂基材の断面の一部拡大図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。有機電子デバイスとしては、例えば有機ELデバイス、有機太陽電池、有機フォトディテクタなどが挙げられる。以下に説明する実施形態では、断らない限り、有機電子デバイスは有機ELデバイスである。
図1は、一実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法に使用する可撓性樹脂基材10の平面図である。有機ELデバイスの製造には、長尺の可撓性樹脂基材10を用いる。本明細書において、長尺の可撓性樹脂基材10とは、一方向に延在しており、その延在方向(長手方向)の長さが、延在方向に直交する方向(幅方向)の長さより長い可撓性樹脂基材を指す。ここで、可撓性樹脂基材とは、可撓性を有する樹脂製の基材である。
可撓性樹脂基材10は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する。可撓性樹脂基材10の厚さは、例えば、30μm以上500μm以下であり、フィルム状を呈し得る。
可撓性樹脂基材10は、例えば、プラスチックフィルムである。可撓性樹脂基材10の材料は、例えば、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂等を含む。
可撓性樹脂基材10の材料は、上記樹脂の中でも、耐熱性が高く、線膨張率が低く、かつ、製造コストが低いことから、ポリエステル樹脂、又はポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレンレテフタレート、又はポリエチレンナフタレートがより好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
可撓性樹脂基材10は、熱収縮率に異方性を有する。具体的には、可撓性樹脂基材10の長手方向に直交する方向(幅方向)の熱収縮率より、長手方向の熱収縮率が大きい。可撓性樹脂基材10の熱収縮率とは、可撓性樹脂基材10に張力を付与せずに、200℃で10分間、加熱処理を可撓性樹脂基材10に施した際の値である。長手方向の熱収縮率が+0.45%〜+0.85%であり、且つ、幅方向の熱収縮率が−0.02%〜+0.02%であることが好ましい。熱収縮率において「+(プラス)」は、加熱処理前の状態に対して収縮することを示しており、「−(マイナス)」は加熱処理前の状態に対して伸張することを示している。「〜」は、上限値及び下限値を含む数値範囲を意味する。
可撓性樹脂基材10は、上記熱収縮率を実現可能なように製造されていればよい。例えば、可撓性樹脂基材用の材料で長尺の基材を作製した後、その長尺の基材に上記熱収縮率を実現可能なように、弛緩処理を実施すればよい。すなわち、可撓性樹脂基材用の材料で作製された長尺の基材に対して可撓性樹脂基材を加熱しながら長手方向及び幅方向に対する張力を調整し、長手方向及び幅方向のそれぞれに対して所定の収縮を予め施しておくことによって、上記熱収縮率を実現すればよい。
可撓性樹脂基材10上には、ガス、水分などをバリアするバリア層(特に、水分をバリアするバリア層)が配置されていてもよい。
有機ELデバイスの製造では、長尺の可撓性樹脂基材10の長手方向において離散的にデバイス形成領域DAを仮想的に設定し、デバイス形成領域DA上に陽極層(第1電極層)、有機機能層、陰極層(第2電極層)などを形成する。可撓性樹脂基材10にバリア層が形成されている形態では、バリア層上に、陽極層、有機機能層、陰極層などが形成される。
図2は、一実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法であって、ロールツーロール方式を利用した有機ELデバイスの製造方法の概念図である。ロールツーロール方式で有機ELデバイスを製造する場合、ロール状の可撓性樹脂基材10を繰出し部12Aにセットして可撓性樹脂基材10を繰り出し、可撓性樹脂基材10を巻取り部12Bに向けて搬送ロールRで搬送しながら、陽極層形成工程(第1電極層形成工程)S11、有機機能層形成工程S12及び陰極層形成工程(第2電極層形成工程)S13を順に実施した後、可撓性樹脂基材10を、巻取り部12Bでロール状に巻き取る。繰出し部12A、巻取り部12B及び搬送ロールRは、可撓性樹脂基材10の搬送機構の一部を構成している。搬送機構は、その他、張力調整機構など公知の構成要素を備え得る。ロールツーロール方式で搬送される可撓性樹脂基材10には、可撓性樹脂基材10が垂れたり破断したりしない範囲で長手方向に所望の張力を加えることができる。
[陽極層形成工程]
陽極層形成工程S11では、可撓性樹脂基材10の長手方向に沿って仮想的に設定される複数のデバイス形成領域DAのそれぞれに陽極層14を形成する。陽極層14は、図3に示した金属細線領域14Aを有する。図3では、デバイス形成領域DAに形成された陽極層14を、可撓性樹脂基材10の厚さ方向からみた場合の一部(金属細線領域14Aの部分)を拡大して示している。
金属細線領域14Aは、金属細線16が網状(所定パターン)で形成された領域である。上記「網状」とは、ネットワーク状、グリッド状、メッシュ状を含む概念である。金属細線領域14Aは網の目である開口部18を有する。各開口部18の形状としては、例えば図3に示したように六角形が挙げられる。網の目の形状は、六角形に限定されず、三角形、四角形(矩形、正方形など)でもよい。複数の開口部18により光が有機ELデバイスから出射される。したがって、金属細線領域14Aの大きさ、金属細線領域14Aに含まれる開口部18の大きさ及び数などは、製造すべき有機ELデバイスからの光の取出効率を勘案して設定されていればよい。
金属細線16の材料として、例えば、電気伝導度の高い金、白金、銀、銅および合金等が挙げられる。
金属細線16上には、透明導電層を形成してもよい。透明導電層は光透過性を示し、電気伝導度の高い材料が用いられる。光透過性を示し、電気伝導度の高い材料としては、金属酸化物、金属硫化物、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)やポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。透明導電層の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定され得る。透明導電層の厚さは、通常10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極層14の厚さの例は、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極層14は、長尺の可撓性樹脂基材10をその長手方向に搬送しながら、金属細線領域14Aのパターンに応じて、塗布法の一例であるインクジェット法等で陽極層14となる材料を塗布して乾燥させることで形成され得る。
陽極層14は、金属細線領域14Aから連続的に形成されている引出領域を有してもよい。引出領域は、陽極層14における外部接続領域として機能し得る。引出領域は、例えば平坦な板状領域であり得る。引出領域の材料は、金属細線16の材料と同じとし得る。
陽極層形成工程S11では、各デバイス形成領域DAに陽極層14と離間して、後述する陰極層を外部接続するための引出電極を形成してもよい。引出電極の厚さ及び材料は、陽極層14の場合と同様であり得る。引出電極の形成方法は、陽極層14の形成方法と同様とし得る。例えば、インクジェット法で陽極層14を形成する際に、引出電極も一緒に形成されてもよいし、陽極層14とは別工程で引出電極が形成されてもよい。
陽極層形成工程S11では、製造工程中における位置合わせのために、アライメントマークを形成してもよい。アライメントマークは、例えばデバイス形成領域DAの外側に形成される。
陽極層形成工程S11における陽極層14の形成方法は、インクジェット法に限定されない。例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、メッキ法等により形成されてもよいし、インクジェット法以外の塗布法で形成されてもよい。インクジェット法以外の塗布法の例としては、例えばマイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、ノズルプリント法等が挙げられる。
また、陽極層14及び引出電極となる膜を全面に成膜してからフォトリソグラフィー法等で所望のパターンにパターニングすることによって、陽極層14及び引出電極を形成してもよい。
陽極層形成工程S11を経て、陽極層14が形成された可撓性樹脂基材10を電極付き基板22と称す場合もある。
[有機機能層形成工程]
有機機能層形成工程S12では、図4に示したように、陽極層14上に有機機能層24を形成する。有機機能層24は、有機ELデバイスに印加された電力(例えば電圧)に応じて、電荷の移動及び電荷の再結合などの有機ELデバイスの発光に寄与する機能部である。図4では、有機機能層24が形成された可撓性樹脂基材10の長手方向に直交する断面を一部拡大して示している。
有機機能層24は、陽極層14側から順に正孔注入層26、正孔輸送層28、発光層30、電子輸送層32及び電子注入層34を有する。有機機能層24は、引出領域14Bを露出するように金属細線領域14A上に形成される。
正孔注入層26は、陽極層14から発光層30への正孔注入効率を改善する機能を有する機能層である。正孔注入層26の厚さは、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔注入層26の材料には、公知の正孔注入材料が用いられ得る。正孔注入材料としては、例えば酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、及び、酸化アルミニウム等の酸化物、フェニルアミン化合物、スターバースト型アミン化合物、フタロシアニン化合物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、及び、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)等のポリチオフェン誘導体が挙げられる。
正孔輸送層28は、陽極層14、正孔注入層26、又は正孔輸送層28内において陽極層14により近い領域から発光層30への正孔注入効率を改善する機能を有する機能層である。正孔輸送層28の厚さとしては、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
正孔輸送層28の材料には、公知の正孔輸送材料が用いられ得る。正孔輸送層28の材料としては、例えばポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、側鎖若しくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン若しくはその誘導体、ピラゾリン若しくはその誘導体、アリールアミン若しくはその誘導体、スチルベン若しくはその誘導体、トリフェニルジアミン若しくはその誘導体、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリアリールアミン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)若しくはその誘導体、又はポリ(2,5−チエニレンビニレン)若しくはその誘導体等が挙げられる。正孔輸送層28の材料としては、例えば特開2012−144722号公報に開示されている正孔輸層材料も挙げられる。
発光層30は、正孔輸送層28上に配置されており、所定の波長の光を発する機能を有する機能層である。発光層30の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。発光層30の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは10nm〜200nmである。
発光層30は、通常、主として蛍光及びりん光の少なくとも一方を発する発光材料、或いは該発光材料とこれを補助する発光層用ドーパント材料を含む。蛍光及びりん光の少なくとも一方を発する発光材料が有する有機物は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。上記発光材料としては、例えば下記の色素材料、金属錯体材料、高分子材料等が挙げられる。
(色素材料)
色素材料としては、例えばシクロペンダミン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、トリフェニルアミン及びその誘導体、オキサジアゾール及びその誘導体、ピラゾロキノリン及びその誘導体、ジスチリルベンゼン及びその誘導体、ジスチリルアリーレン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、チオフェン化合物、ピリジン化合物、ペリノン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体等が挙げられる。
(金属錯体材料)
金属錯体材料としては、例えばTb、Eu、Dy等の希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体等を挙げることができる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等が挙げられる。
(高分子材料)
高分子材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、上記色素材料、又は金属錯体材料を高分子化した材料等が挙げられる。
発光層用ドーパント材料は、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために加えられる。発光層用ドーパント材料としては、例えばペリレン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、キナクリドン及びその誘導体、スクアリウム及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体、スチリル色素、テトラセン及びその誘導体、ピラゾロン及びその誘導体、デカシクレン及びその誘導体、フェノキサゾン及びその誘導体等が挙げられる。
電子輸送層32は、陰極層36、電子注入層34又は電子輸送層32内において陰極層36により近い領域から発光層30への電子注入効率を改善する機能を有する機能層である。電子輸送層32の厚さは、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
電子輸送層32を構成する電子輸送材料には、公知の材料が用いられ得る。電子輸送層32を構成する電子輸送材料としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタン若しくはその誘導体、ベンゾキノン若しくはその誘導体、ナフトキノン若しくはその誘導体、アントラキノン若しくはその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン若しくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレン若しくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリン若しくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリン若しくはその誘導体、ポリキノキサリン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体などが挙げられる。
電子注入層34は、陰極層36から発光層30への電子注入効率を改善する機能を有する機能層である。電子注入層34の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気的な特性や成膜の容易性などを勘案して適宜設定され、例えば1nm〜1μmである。
電子注入層34の材料には、公知の電子注入材料が用いられ得る。電子注入層34の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のうちの1種類以上を含む合金、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、又はこれらの物質の混合物等が挙げられる。この他に従来知られた電子輸送性の有機材料と、アルカリ金属の有機金属錯体を混合した層を電子注入層34として利用することができる。
上記のように、正孔輸送層28及び電子輸送層32は有機材料を含む有機層であり得る。正孔注入層26及び電子注入層34は、無機層として構成されてもよいし、有機材料を含む有機層として構成されてもよい。
有機機能層形成工程S12では、陽極層形成工程S11を経た可撓性樹脂基材10である電極付き基板22を、その長手方向に搬送しながら、陽極層14側から正孔注入層26、正孔輸送層28、発光層30、電子輸送層32及び電子注入層34を順に形成することで、有機機能層24を形成する。有機機能層24に含まれる各種機能層(例えば正孔注入層26、正孔輸送層28、発光層30等)は、例えば塗布法の一つであるインクジェット法を利用して形成され得る。有機機能層24に含まれる各種機能層は、デバイス形成領域DAごとに形成してもよいし、複数のデバイス形成領域DAに亘ってストライプ状に形成した後に、デバイス形成領域DAごとに所定の形状にパターニングしてもよい。
有機機能層24に含まれる各種機能層は、例えば、真空蒸着法により形成されてもよいし、インクジェット法以外の塗布法で形成されてもよい。インクジェット法以外の塗布法の例としては、陽極層形成工程S11において説明した例と同様である。
[陰極層形成工程]
陰極層形成工程S13では、図5に示したように、有機機能層24上に、陰極層36を形成する。陰極層36は、陽極層14と接触しない一方、引出電極20上に一部が配置されるように形成される。これにより、陰極層36と引出電極20とが電気的に接続され、引出電極20が陰極層36の外部接続領域として機能する。陰極層36は、2層以上が積層された積層構造を有してもよい。図5では、陰極層36が形成された可撓性樹脂基材10の長手方向に直交する断面を一部拡大して示している。
発光層30からの光を陰極層36で反射させて陽極層14側に届けるために、陰極層36の材料は、発光層30からの光に対して反射率の高い材料が好ましい。陰極層36の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表第13族金属等が用いられる。具体的には、陰極層36の材料としては、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。
陰極層36としては、例えば、導電性金属酸化物や、導電性有機物等からなる透明導電性電極が用いられてもよい。導電性金属酸化物としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO等が挙げられ、導電性有機物としてポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等が挙げられる。
陰極層36の厚さは、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極層36の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極層36は、可撓性樹脂基材10をその長手方向に搬送しながら、陽極層14と同様の形成方法で形成され得る。陰極層36は、可撓性樹脂基材10の長手方向に沿って複数のデバイス形成領域DAに亘ってストライプ状に形成されてもよく、デバイス形成領域DAごとに形成されてもよい。
陰極層形成工程S13を経ることで、デバイス形成領域DAごとに、可撓性樹脂基材10と、可撓性樹脂基材10上に形成された陽極層14と、陽極層14上に形成された有機機能層24と、有機機能層24上に形成された陰極層36とを備える有機ELデバイス1(図5参照)が形成される。よって、デバイス形成領域DAを個片化する個片化工程を実施することで、製品サイズの有機ELデバイス1が得られる。
有機ELデバイス1は、少なくとも有機機能層24を封止する封止部材を備えてもよい。封止部材は、可撓性樹脂基材10及び可撓性樹脂基材10上の構造(陽極層、有機機能層及び陰極層)に貼合されている。封止部材は、有機機能層24への水分の浸入を防止する水分バリア機能を有する。封止部材は、ガスバリア機能を有してもよい。
有機ELデバイス1が封止部材を備える形態では、陰極層形成工程S13と個片化工程の間に、陰極層形成工程S13を経た可撓性樹脂基材10、すなわち、陰極層付き可撓性樹脂基材に封止部材を貼合する貼合工程を実施すればよい。この貼合工程では、例えば長尺の封止部材を陰極層付き可撓性樹脂基材に貼合する。封止部材の大きさ及び貼合位置などは、有機ELデバイス1に電力を供給可能に設定されていればよい。
有機ELデバイス1において、可撓性樹脂基材10の厚さ方向からみて、陽極層14における金属細線領域14A、有機機能層24及び陰極層36が重なっている領域が発光エリアである。
製品サイズの有機ELデバイス1の可撓性樹脂基材10は、図1に示した長尺の可撓性樹脂基材10におけるデバイス形成領域DAの部分に対応する。よって、有機ELデバイス1の可撓性樹脂基材10は、図1に示した長尺の可撓性樹脂基材10と同様の熱収縮率を有する。すなわち、有機ELデバイス1の可撓性樹脂基材10の厚さ方向に直交しており且つ互いに直交する2つの方向を第1の方向及び第2の方向と称した場合、有機ELデバイス1の可撓性樹脂基材10の熱収縮率は異方性を有する。具体的には、第2の方向より第1の方向の熱収縮率が大きい。本実施形態では、上記第1の方向及び第2の方向は、図1に示した長尺の可撓性樹脂基材10において長手方向及び幅方向に相当する。第1の方向の熱収縮率と第2の方向の熱収縮率との差は、例えば0.15%以上であり得る。
有機ELデバイスの製造方法において、陽極層形成工程S11、有機機能層形成工程S12及び陰極層形成工程S13の少なくとも一つの工程は、図6に示したように、可撓性樹脂基材10上に被加熱処理層を形成する第1工程S21と、被加熱処理層を加熱処理する第2工程S22と、を有する。上記第2工程S22では、可撓性樹脂基材10の長手方向に張力を付与して可撓性樹脂基材10を長手方向に搬送しながら被加熱処理層を加熱処理する。第2工程S22での加熱処理における加熱温度は、可撓性樹脂基材10のガラス転移温度以上である。以下の説明では、第2工程S22の加熱処理を高温処理と称す場合もある。
有機機能層形成工程S12が第1工程S21及び第2工程S22を含む形態を第1の実施形態、及び、陽極層形成工程S11が第1工程S21及び第2工程S22を含む形態を第2の実施形態として説明する。
(第1の実施形態)
有機機能層形成工程S12における正孔輸送層28を形成する工程(正孔輸送層形成工程)が上記第1工程S21及び第2工程S22を有する場合について、図7を利用して説明する。図7は、正孔輸送層形成工程を説明するための模式図である。図7では、陽極層形成工程S11を経て陽極層14が形成された可撓性樹脂基材10(電極付き基板22)を実線で模式的に示しているとともに、電極付き基板22に形成される層を、説明の便宜のため拡大して図示している。
正孔輸送層形成工程では、正孔輸送層28の材料(正孔輸送材料)を含むインク(塗布液)をインクジェットノズル46から正孔注入層26上に塗布し、図7及び図8に示したように、被加熱処理層としての塗布層28aを形成する(第1工程S21)。図8は、正孔輸送層形成工程における第1工程S21後の可撓性樹脂基材10の長手方向に直交する断面における断面構成を模式的に示している。
正孔輸送層形成用のインクは、架橋性基を有する材料が溶媒に溶解した溶液である。架橋性基を有する材料としては、架橋性基を含む正孔輸送材料(有機材料)でもよいし、正正孔輸送材料が架橋性基を有さない場合、正孔輸送材料に、架橋性基を有する架橋剤が添加された材料であってもよい。
上記のように塗布層28aを形成した後に、可撓性樹脂基材10の搬送路上に配置された加熱炉48内において、可撓性樹脂基材10のガラス転移温度以上の温度で塗布層28aを加熱処理する(第2工程S22)。この際、可撓性樹脂基材10には、その長手方向に張力を付与しておく。付与する張力の大きさは、加熱炉48における加熱処理で生じる可撓性樹脂基材10の長手方向の熱収縮を相殺する大きさであることが好ましい。
加熱炉48での加熱処理によって、架橋性基による架橋反応(化学変化)が進行し、塗布層28aが加熱硬化することで、正孔輸送層28が得られる。すなわち、正孔輸送層形成工程における第2工程S22は、塗布層28aの焼成工程である。
上記のように正孔輸送層28を形成した後、正孔輸送層28に隣接し、正孔輸送層28と機能が異なる発光層30は、例えば塗布法で形成され得る。このように、正孔輸送層28を第1工程S21及び第2工程S22によって形成し、発光層30を塗布法で形成する形態では、正孔輸送層28が第1機能層に対応し、正孔輸送層形成工程が第1機能層形成工程に対応し、発光層30が第2機能層に対応し、発光層を形成する工程が第2機能層形成工程に対応する。
(変形例)
正孔注入材料によっては、高温加熱処理することで活性化され正孔注入層としての機能を発現する場合もある。この場合、正孔注入層26を形成する工程(正孔注入層形成工程)が第1工程S21及び第2工程S22を含み得る。正孔注入層形成工程が第1工程S21及び第2工程S22を含む場合を、変形例として説明する。
変形例における正孔注入層形成工程では、陽極層14上、具体的には、金属細線領域14A上に、正孔注入材料からなる被加熱処理層を形成する(第1工程S21)。次に、第1の実施形態として説明した正孔輸送層形成工程の場合と同様に、可撓性樹脂基材10の搬送路上に配置された加熱炉内で、可撓性樹脂基材10のガラス転移温度以上の温度で被加熱処理層を加熱処理する(第2工程S22)。この際、可撓性樹脂基材10には、その長手方向に張力を付与しておく。付与する張力の大きさは、加熱炉における加熱処理で生じる可撓性樹脂基材10の長手方向の熱収縮を相殺する大きさであることが好ましい。
加熱炉での加熱処理によって、被加熱処理層を構成する正孔注入材料が活性化され(正孔注入材料に化学変化が生じ)、正孔注入層26が得られる。すなわち、正孔注入層形成工程における第2工程S22は、正孔注入材料からなる被加熱処理層の焼成工程である。
上記のように正孔注入層26を形成した後、正孔注入層26に隣接し、正孔注入層26と機能が異なる正孔輸送層28は、例えば塗布法で形成され得る。このように、正孔注入層26を第1工程S21及び第2工程S22によって形成し、正孔輸送層28を塗布法で形成する形態では、正孔注入層26が第1機能層に対応し、正孔注入層形成工程が第1機能層形成工程に対応し、正孔輸送層28が第2機能層に対応し、正孔輸送層28を形成する工程が第2機能層形成工程に対応する。
(第2の実施形態)
陽極層14の材料が銀を含む場合を例として、第2の実施形態を説明する。
まず、銀ペーストにより、陽極層14となるべき被加熱処理層を形成する(第1工程S21)。形成される被加熱処理層は、銀ペーストからなる金属細線が網状に形成された領域(金属細線領域14Aとなるべき領域)を含む。次に、銀ペーストからなる被加熱処理層を、可撓性樹脂基材10のガラス転移温度以上の温度で加熱し、焼成することによって、陽極層14を得る。したがって、陽極層形成工程S11が第1工程S21及び第2工程S22を含む場合、第2工程S22は、被加熱処理層の焼成工程である。
上記のように陽極層14を形成した後、陽極層14に隣接する機能層(例えば正孔注入層26)は例えば塗布法で形成され得る。
被加熱処理層を銀ペーストで形成する場合を例示したが、被加熱処理層は、陽極層用の材料であって、第2工程S22での加熱処理で陽極層14としての機能を発現(例えば、所望の導電性を発現)する材料であればよい。
有機ELデバイスの製造方法が有する陽極層形成工程S11、有機機能層形成工程S12及び陰極層形成工程S13の少なくとも一つの工程は、図6のフローチャートに示した第1工程S21及び第2工程S22を備える工程である。第2工程S22では、第1工程S21で被加熱処理層(例えば、架橋性基を含む塗布層)が形成された長尺の可撓性樹脂基材10を、その長手方向に搬送しながら可撓性樹脂基材10のガラス転移温度以上の温度で被加熱処理層を加熱する。この場合、被加熱処理層とともに、可撓性樹脂基材10もほぼ同じ温度で加熱される。
長尺の可撓性樹脂基材10において、長手方向の方が幅方向(長手方向に直交する方向)より熱収縮率が大きい。したがって、第2工程S22において、高温加熱処理を実施しても、可撓性樹脂基材10は、幅方向に熱収縮が生じにくいので、長手方向に延在するシワの発生を抑制できる。更に、第2工程S22における高温加熱処理中には、長手方向に張力を付与しているため、長手方向の収縮を張力により低減(好ましくは相殺)できる。このように、長手方向の熱収縮を抑制できるので、幅方向に延在するシワの発生も抑制できる。すなわち、第2工程S22において、可撓性樹脂基材10のガラス転移温度以上の温度で加熱処理を実施しても、可撓性樹脂基材10のシワの発生を抑制できる。
仮に、有機ELデバイスの製造方法において、可撓性樹脂基材にシワが生じると、製造した有機ELデバイス自体にシワが生じるため、有機ELデバイスの外観が劣化する。可撓性樹脂基材にアライメントマークを形成して、有機機能層及び陰極層の形成位置を調整する形態では、可撓性樹脂基材にシワが生じるとアライメントマークが所定位置からずれることから、アライメントカメラの視野からアライメントマークがずれてしまう。この場合、有機ELデバイスの製造を停止させる必要が生じるので、有機ELデバイスの生産効率が低下する。可撓性樹脂基材にシワが生じると、可撓性樹脂基材上に形成した陽極層が可撓性樹脂基材の寸法変化に追随できずに陽極層がダメージを受ける。ダメージとしては、陽極層の可撓性樹脂基材からの剥離、陽極層が破壊されることなどが挙げられる。可撓性樹脂基材上にバリア層を形成している場合も同様である。更に、シワが生じた可撓性樹脂基材上に、有機機能層を構成する層を形成する場合、陰極層を形成する場合等、各層の厚さにムラが生じることで、有機ELデバイスとしての所望の性能を発現できないおそれがあったり、発光ムラなどの品位低下が生じるおそれがある。更に、有機ELデバイスが封止部材を有する形態では、封止部材を、陰極層形成工程を経た可撓性樹脂基材に貼合する際に、気泡の混入などの貼合不良が生じるおそれがある。
これに対して、本実施形態の有機ELデバイスの製造方法では、第2工程S22を実施しても可撓性樹脂基材10にシワが生じにくい。したがって、優れた外観の有機ELデバイス1を製造し易い。
可撓性樹脂基材10にアライメントマークを設けている形態では、可撓性樹脂基材10のシワの抑制により、アライメントマークの位置ずれも防止可能である。そのため、アライメントマークの位置ずれに起因した有機ELデバイス1の製造停止が生じにくいので、有機ELデバイス1の生産効率が向上し得る。アライメントマークの位置ずれが防止できているので、アライメントマークをアライメントカメラで確認できる。よって、アライメントマークを使用して、有機機能層形成工程S12、陰極層形成工程S13などで形成すべき層の位置合わせを確実にできる。そのため、所望の性能を有する有機ELデバイス1を生産し易い。
第2工程S22における加熱による可撓性樹脂基材10の寸法変化が抑制されているので、可撓性樹脂基材10の寸法変化に起因する陽極層14へのダメージを防止できる。可撓性樹脂基材10にバリア層が形成されている場合には、バリア層へのダメージも同様に防止できる。
陽極層14は、金属細線16が網状に配置された金属細線領域14Aを有している。例えば陽極層形成工程の後工程において、可撓性樹脂基材のガラス転移温度以上の温度で可撓性樹脂基材を加熱する加熱処理を実施する際、通常、可撓性樹脂基材10上に金属細線16が形成されていると、金属細線16が形成されていない場合より可撓性樹脂基材10にシワが入りやすい。これは次の理由による。
すなわち、可撓性樹脂基材10が熱により変形した場合、可撓性樹脂基材10のみの場合(すなわち、金属細線16が形成されていない場合)、可撓性樹脂基材10そのものの変形のみがシワとして現れる。一方で、可撓性樹脂基材10の表面に金属細線16が形成されているときは、可撓性樹脂基材10の微小な変形に対しても、金属細線16が変形を抑えようとするため応力が発生しやすい。この応力によって、可撓性樹脂基材10上にシワが発生するからである。
したがって、金属細線16が形成されている場合は、可撓性樹脂基材10の変形を極めて小さくする必要がある。上記第2の実施形態で説明したように、金属細線16を形成するために、銀ペーストといった導電性ペーストからなる金属細線が可撓性樹脂基材10上に形成されている場合も同様である。
そのため、金属細線領域14Aを有する陽極層14を備えた有機ELデバイスの製造方法において、上記第2工程S22が陽極層形成工程S11中又は陽極層形成工程S11の後に実施される場合、第2工程S22における加熱による可撓性樹脂基材10の寸法変化(及びそれに伴うシワ発生)を抑制可能であることは、非常に有効である。
第2工程S22を実施しても可撓性樹脂基材10のシワの発生が抑制されているため、第2工程S22より後の工程で形成する層を、所望の状態で形成し易い。例えば、第2工程S22より後の工程で形成する層において、少なくとも製造されるべき有機ELデバイス1の発光エリア内において所望の厚さ(すなわち、実質的に設計値の厚さ)で形成し易い。その結果、有機ELデバイス1としての所望の性能を発現できるとともに、発光ムラなどの品位低下を防止できる。
有機ELデバイス1では、有機ELデバイス1に含まれる各層において、上記発光エリア内の厚さの不均一性(特に、有機機能層24を構成する各層の厚さの不均一性)は、発光状態に影響を与えやすい。したがって、有機ELデバイス1に含まれる各層、特に、陽極層14上に形成される層において発光エリア内の厚さの均一性を実現し易い上記有機ELデバイス1の製造方法では、所望の性能を発現できるとともに、発光ムラが抑制され品位の優れた有機ELデバイス1の製造に資する。
塗布法で層を形成する際、可撓性樹脂基材10にシワが生じていると、そのシワの影響で、形成されるべき層の厚さにムラが生じやすい。特に、粘度が比較的低いインクを使用するインクジェット法で層を形成する際に、シワの影響を受けやすい。
これに対して、有機ELデバイス1の製造方法では、可撓性樹脂基材10のシワの発生が抑制されているので、第2工程S22より後の工程において、塗布法(特にインクジェット法)で層を形成しても、所望の厚さの層を形成し易い。
例えば、有機機能層形成工程S12における正孔輸送層形成工程が、第1工程S21及び第2工程S22を含む形態では、正孔輸送層28に隣接する発光層30を塗布法で形成しても、発光層30を所望の厚さで形成し得る。その結果、発光層30上に順次形成される層も所望の厚さで形成し易い。同様に、例えば、有機機能層形成工程S12における正孔注入層形成工程が、第1工程S21及び第2工程S22を含む形態では、正孔注入層26に隣接する正孔輸送層28を塗布法で形成しても、正孔輸送層28を所望の厚さで形成し得る。その結果、正孔輸送層28上に順次形成される層も所望の厚さで形成し易い。
更に、例えば、陽極層形成工程S11が第1工程S21及び第2工程S22を含む形態では、有機機能層24のうち、塗布法で形成される機能層を所望の厚さで形成し得る。例えば、有機機能層24のうち、陽極層14に隣接する機能層を塗布法で形成しても、陽極層14に隣接する機能層を所望の厚さで形成できる。その結果、上記塗布法で機能層上に順次形成される層も所望の厚さで形成し易い。
本実施形態で説明した有機ELデバイスの製造方法では、陰極層形成工程S13の終了までの間における可撓性樹脂基材10のシワの発生を抑制できる。したがって、陰極層形成工程S13の後に、封止部材を貼合する工程を備える形態では、シワに起因する封止部材と、陰極形成工程S13を経た可撓性樹脂基材10との間の気泡の混入を防止できる。そのため、長期保存性に優れた有機ELデバイス1を製造できる。
次に、高温加熱処理による可撓性樹脂基材への影響を検証した実験の結果について説明する。
実験では、可撓性樹脂基材として、2つの長尺の可撓性樹脂基材を準備した。準備した2つの可撓性樹脂基材を、基材A及び基材Bと称す。基材Aにおける長手方向(幅方向に直交する方向)を第1の方向と称し、第1の方向に直交する方向を第2の方向と称す。
基材Aの材料はPENフィルム(ガラス転移温度:155℃)であった。基材Aの厚さ及び幅は100μm及び300mmであった。基材Bの材料、厚さ及び幅は、基材Aと同様であった。
[基材の熱収縮率算出実験]
長尺の基材Aを第2の方向(幅方向)に沿って切断することで試験片aを切り出した。同様にして、基材Bから試験片bを切り出した。したがって、試験片a及び試験片bの幅は、基材A及び基材Bと同様に300mmであった。試験片a及び試験片bの第1の方向の長さは同じであった。
試験片a及び試験片bそれぞれに、第1の方向に沿って、所定間隔でマーキングをマジックで付与した。その後、オーブンにおいて200℃で10分間、張力をかけずに試験片a及び試験片bを加熱した。加熱後の試験片a及び試験片bの第2の方向の長さを測長機で測定し、加熱前後の第2の方向の寸法変化率を算出した。寸法変化率は、加熱前の状態に対する加熱後の変化率である(以下、同様)。加熱後の試験片a及び試験片bにおける隣接するマーキング間の距離をメジャーで測定し、加熱前後の第1の方向の寸法変化率を算出した。算出結果は、表1のとおりであった。表1において、括弧内に示したように、上記寸法変化率の正負を逆にしたものが、基材A及び基材Bの第1の方向及び第2の方向それぞれの熱収縮率に対応する。
Figure 2018098009
[基材の高温加熱処理実験]
長尺の基材A及び基材Bそれぞれの片面に金属細線を網状に形成した。網の目の形状は六角形とした。更に、長尺の基材A及び基材Bそれぞれの第1の方向に沿って、所定間隔でマーキングをマジックで付与した。
金属細線が片面に形成されるとともに、マーキングが付与された基材Aを長手方向に搬送しながら加熱炉で加熱処理した。基材Aの搬送速度は、2m/分であった。基材Aの搬送時には、幅全体に対して、第1の方向に20Nの張力、すなわち、20N/300mmの張力を基材Aに付与した。加熱炉内での加熱処理の際の加熱温度は、200℃であった。前述した搬送速度で基材Aが搬送されているため、加熱炉内での基材Aの加熱時間は2分であった。
基材Aと同じ条件で、金属細線が片面に形成されるとともに、マーキングが付与された基材Bを加熱炉で加熱処理した。
加熱後の基材A及び基材Bの第2の方向の長さを測長機で測定し、加熱前後の第2の方向の寸法変化率を算出した。加熱後の基材A及び基材Bにおける隣接するマーキング間の距離をメジャーで測定し、加熱前後の第1の方向の寸法変化率を算出した。更に、加熱後の基材A及び基材Bのシワの有無を目視で確認した。実験結果は、表2のとおりであった。表2においても、表1と同様に、括弧内に示したように、上記寸法変化率の正負を逆にしたものが、基材A及び基材Bの第1の方向及び第2の方向それぞれの熱収縮率に対応する。
Figure 2018098009
[実験結果の検討]
表1に示した試験片a及び試験片bの加熱実験結果より、基材A及び基材Bは、幅方向(第2の方向)より長手方向(第1の方向)の熱収縮率が大きい基材であった。
このような熱収縮率の異方性を有する基材A及び基材Bを、長手方向に張力を付与して搬送しながら、基材A及び基材Bの材料であるPENフィルムのガラス転移温度以上の200℃で加熱処理すれば、表2に示したように、第1の方向及び第2の方向の熱収縮率を±0.15%以下に抑えることができた。更に、表2に示したように、目視によってシワの発生も確認できなかった。
従って、幅方向(第2の方向)より長手方向(第1の方向)の熱収縮率が大きい可撓性樹脂基材を用いて、可撓性樹脂基材を長手方向に張力を付与しながら図6に示した第2工程S22での高温加熱処理を実施すれば、可撓性樹脂基材の材料のガラス転移温度以上で可撓性樹脂基材を加熱しても、可撓性樹脂基材のシワの発生を抑制できることが検証された。
以上、本発明の種々の実施形態及び変形例を説明したが、本発明は、例示した種々の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
例えば、有機機能層24の構成例としては、次のような構成が挙げられる。下記構成例では、説明のために陽極層及び陰極層も記載している。
(a)(陽極層)/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(h)(陽極層)/発光層/電子注入層/(陰極層)
(i)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。上記構成例(g)の構成が、図4に示した構成に対応する。
陰極層形成工程S13が、図6に示した第1工程S21及び第2工程S22を有してもよい。この場合、陰極層形成工程S13は、第2の実施形態として説明した陽極層形成工程S11と同様とし得る。
上記第1の実施形態と、その変形例と、第2の実施形態とは互いに組み合わされてもよい。更に、第1工程S21及び第2工程S22を含む陰極層形成工程S13も適宜組み合わされてもよい。
第1電極層として陽極層を例示し、第2電極層として陰極層を例示したが、第1電極層が陰極層であり、第2電極層が陽極層であってもよい。すなわち、陰極層が支可撓性樹脂基板側に配置されていてもよい。
図2に例示した有機ELデバイスの製造方法では、陽極層形成工程(第1電極層形成工程)、有機機能層形成工程及び陰極層形成工程まで全体をロールツーロール方式で実施した。しかしながら、図6に示した第1工程S21及び第2工程S22を含む工程が少なくともロールツーロール方式で実施されていればよい。
上記実施形態では、有機電子デバイスの一例である有機ELデバイスについて説明したが、本発明は、有機ELデバイスの他、有機フォトディテクタ、有機薄膜太陽電池、有機トランジスタ等の有機電子デバイスにも適用できる。
これまでは、可撓性樹脂基材上に金属配線が網状に配置されている形態を例示して説明した。しかしながら、可撓性樹脂基材上に、少なくとも一つの金属細線が所定パターンで配置されていればよい。例えば複数の金属細線がストライプ状に配置されていてもよい。
10…可撓性樹脂基材、14…陽極層(第1電極層)、14A…金属細線領域、16…金属細線、22…電極付き基板、24…有機機能層、26…正孔注入層(機能層)、28…正孔輸送層(機能層)、28a…塗布層(被加熱処理層)、30…発光層(機能層)、32…電子輸送層(機能層)、34…電子注入層(機能層)、36…陰極層(第2電極層)。

Claims (8)

  1. 長尺の可撓性樹脂基材上に、少なくとも一つの金属細線が所定パターンで配置された金属細線領域を有する第1電極層を形成する第1電極層形成工程と、
    前記第1電極層における少なくとも前記金属細線領域上に、有機機能層を形成する有機機能層形成工程と、
    前記有機機能層上に、第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
    を備え、
    前記可撓性樹脂基材の熱収縮率は、前記可撓性樹脂基材の長手方向に直交する方向より前記長手方向の方が大きく、
    前記第1電極層形成工程、前記有機機能層形成工程及び前記第2電極層形成工程の少なくとも一つの工程は、
    前記可撓性樹脂基材上に被加熱処理層を形成する第1工程と、
    前記被加熱処理層を加熱処理する第2工程と、
    を有し、
    前記第2工程では、前記可撓性樹脂基材の長手方向に対して前記可撓性樹脂基材に張力を付与しながら前記可撓性樹脂基材のガラス転移温度以上で前記被加熱処理層を加熱する、
    有機電子デバイスの製造方法。
  2. 前記第1電極層形成工程が、前記第1工程及び前記第2工程を有し、
    前記第1電極層形成工程が有する前記第1工程で形成される前記被加熱処理層は、前記第2工程による加熱処理によって前記第1電極層となる層であり、
    前記有機機能層は、塗布法で形成される機能層を含む、
    請求項1に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  3. 前記有機機能層形成工程は、
    第1機能層を形成する第1機能層形成工程と、
    前記第1機能層とは異なる機能を有する第2機能層を前記第1機能層上に形成する第2機能層形成工程と、
    を有し、
    前記第1機能層形成工程が、前記第1工程及び前記第2工程を含み、
    前記第1機能層形成工程が有する前記第1工程で形成される前記被加熱処理層は、前記加熱処理により化学変化が生じる材料を含み、
    前記第1機能層形成工程が有する前記第2工程では、前記第1機能層形成工程が有する前記第1工程で形成された前記被加熱処理層を前記加熱処理して前記被加熱処理層に化学変化を生じさせることによって前記第1機能層を形成し、
    前記第2機能層形成工程では、前記第2機能層を塗布法で形成する、
    請求項1又は2に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  4. 前記化学変化は架橋反応である、
    請求項3に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  5. 前記塗布法が、インクジェット法である、
    請求項2〜4の何れか一項に記載の有機電子デバイスの製造方法。
  6. 可撓性樹脂基材と、
    前記可撓性樹脂基材上に設けられており、少なくとも一つの金属細線が所定パターンで配置された金属細線領域を有する第1電極層と、
    を備え、
    前記可撓性樹脂基材において、張力を付与せずに200℃で10分間加熱したときの、第1の方向の熱収縮率と前記第1の方向に直交する第2の方向の熱収縮率とは異なっており、
    前記第1の方向の熱収縮率と前記第2の方向の熱収縮率との差は、0.15%以上である、
    電極付き基板。
  7. 張力を付与せずに200℃で10分間加熱したときの前記第1の方向の熱収縮率が、+0.45%〜+0.85%であり、
    前記第2の方向の熱収縮率が、−0.02%〜+0.02%である、
    請求項6に記載の電極付き基板。
  8. 請求項6又は7に記載の電極付き基板を備える、有機電子デバイス。
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