JP2017185666A - フィルムの製造方法、フィルム製造装置及び有機デバイスの製造方法 - Google Patents

フィルムの製造方法、フィルム製造装置及び有機デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】支持基板の変形を回復することにより、品質の向上を図れるフィルムの製造方法、フィルム製造装置及び有機デバイスの製造方法の提供。【解決手段】フィルム3を表面温度T1の第1ロール30により加熱する加熱工程と、加熱工程の後に、複数の第2ロール32によりフィルムを表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含み、第1ロールの表面温度T1は、フィルムの材料のガラス転移温度Tgの0.93〜1.05倍であり、終点温度Tfは、ガラス転移温度Tgの0.778〜1倍であり、フィルムの搬送方向において一の第2ロールに隣接し且つ一の第2ロールよりも下流側に設けられた他の第2ロールの表面温度は、以下の式を満たすフィルムの製造方法。(他の第2ロールの表面温度)≦(一の第2ロールの表面温度)+30K【選択図】図3

Description

本発明は、フィルムの製造方法、フィルム製造装置及び有機デバイスの製造方法に関する。
従来の有機デバイスの製造方法としては、例えば、特許文献1に記載されている方法が知られている。特許文献1に記載の有機デバイスの製造方法では、ロールツーロール方式により、可撓性を有するプラスチックの支持基板上に、第1電極層、有機機能層、第2電極層及び封止層を形成する。有機機能層は、有機材料を含む発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、活性層、半導体層、絶縁層等の種々の機能層を有する。有機機能層は、有機材料を含む溶液を第1電極層上に塗布し、加熱処理によって有機材料を硬化させることにより形成されている。
特開2006−294536号公報
しかしながら、従来の有機デバイスの製造方法では、例えば、有機機能層を形成する工程において加熱処理によりプラスチックフィルムである支持基板が加熱されると、支持基板の熱収縮によって、支持基板にしわ等の変形が生じるおそれがある。支持基板の変形を生じたままにすると、支持基板の意匠性が低下したり、溶液を塗布した場合に溶液が流動し、支持基板上に形成される各層を均一に形成させることが困難になったりすることがある。そのため、支持基板(プラスチックフィルム)の品質が低下し、ひいては支持基板上に形成される有機デバイス部等の品質が低下するおそれがある。
本発明は、支持基板の変形を回復することにより、品質の向上を図れるフィルムの製造方法、フィルム製造装置及び有機デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係るフィルムの製造方法は、一方向に延在するプラスチックのフィルムに当該一方向に張力を与えてフィルムを搬送すると共に、フィルムを表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱工程と、加熱工程の後に、複数の第2ロールによりフィルムを表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含み、第1ロールの表面温度T1は、フィルムの材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、終点温度Tfは、ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、フィルムの搬送方向において一の第2ロールに隣接し且つ一の第2ロールよりも下流側に設けられた他の第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす。
(他の第2ロールの表面温度)≦(一の第2ロールの表面温度)+30K
本発明のフィルムの製造方法では、上記条件でフィルムを加熱及び冷却することにより、フィルムのしわ等の変形を補正できる。特に、他の第2ロールの表面温度を、上記の式を満たす温度にすることにより、フィルムが急速に冷却されることを抑制できる。そのため、急速な冷却による熱収縮によってフィルムに新たな変形が生じることを抑制できる。したがって、本発明のフィルムの製造方法では、フィルムの品質の向上を図れる。
一実施形態においては、終点温度Tfは、一の第2ロールの表面温度以下であってもよい。これにより、急速な冷却による熱収縮によってフィルムに新たな変形が生じることをより一層抑制できる。
一実施形態においては、冷却工程では、第2ロールにフィルムを接触させて、フィルムを搬送しつつフィルムを終点温度Tfまで冷却してもよい。これにより、第2ロールによりフィルムを直接冷却するため、フィルムを効果的に冷却できる。
一実施形態においては、冷却工程では、少なくとも1つの第2ロールの表面から放出される気体をフィルムに吹き付け、フィルムと第2ロールとを接触させず終点温度Tfまでフィルムを冷却してもよい。これにより、フィルムと非接触でフィルムを冷却できる。そのため、例えば、フィルム上に素子等の物体が形成されている場合、物体と第2ロールとを接触させることなく、フィルムを冷却できる。したがって、物体の破損を抑制しつつ、フィルムを冷却できる。
一実施形態においては、冷却工程では、表面温度T1から終点温度Tfまで段階的に温度を低くしてもよい。これにより、フィルムが徐々に冷却されるため、フィルムの急激な冷却による熱収縮によりフィルムに変形が生じることを抑制できる。
本発明の一側面に係るフィルム製造装置は、一方向に延在するフィルムに当該一方向に張力を与えて前記フィルムを搬送すると共に、フィルムを表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱機構と、加熱機構により加熱されたフィルムを、複数の第2ロールによって表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却機構と、を備え、第1ロールの表面温度T1は、フィルムの材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、終点温度Tfは、ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、フィルムの搬送方向において一の第2ロールに隣接し且つ一の第2ロールよりも下流側に設けられた他の第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす。
(他の第2ロールの表面温度)≦(一の第2ロールの表面温度)+30K
本発明のフィルム製造装置では、上記条件でフィルムを加熱及び冷却することにより、フィルムのしわ等の変形を補正できる。特に、他の第2ロールの表面温度を、上記の式を満たす温度にすることにより、フィルムが急速に冷却されることを抑制できる。そのため、急速な冷却による熱収縮によってフィルムに新たな変形が生じることを抑制できる。したがって、本発明のフィルム製造装置では、フィルムの品質の向上を図れる。
本発明の一側面に係る有機デバイスの製造方法は、一方向に延在するプラスチックフィルムである支持基板上に第1電極層、有機機能層、及び第2電極層をこの順番に積層してなる有機デバイス部を有する有機デバイスの製造方法であって、支持基板の変形を補正する変形補正工程を含み、変形補正工程は、支持基板に一方向に張力を与えて支持基板を搬送すると共に、支持基板を表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱工程と、加熱工程の後に、複数の第2ロールにより支持基板を表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含み、第1ロールの表面温度T1は、支持基板の材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、終点温度Tfは、ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、支持基板の搬送方向において一の第2ロールに隣接し且つ一の第2ロールよりも下流側に設けられた他の第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす。
(他の第2ロールの表面温度)≦(一の第2ロールの表面温度)+30K
本発明の有機デバイスの製造方法では、上記条件で支持基板を加熱及び冷却することにより、支持基板のしわ等の変形を補正できる。特に、他の第2ロールの表面温度を、上記の式を満たす温度にすることにより、支持基板が急速に冷却されることを抑制できる。そのため、急速な冷却による熱収縮によって支持基板に新たな変形が生じることを抑制できる。したがって、支持基板の変形に起因する有機デバイス部の不具合を抑制できると共に意匠性の低下を抑制でき、有機デバイスの品質の向上を図れる。
一実施形態においては、変形補正工程の前に、支持基板を乾燥させる乾燥工程を含んでいてもよい。支持基板は、乾燥工程において加熱されることにより変形し得る。そのため、乾燥工程の後に変形補正工程を行うことにより、支持基板の変形に起因する不具合を抑制できる。
一実施形態においては、有機材料を含む溶液を塗布した後に溶液を乾燥、又は、溶液を塗布した後に溶液を乾燥させ更に加熱することにより有機機能層を形成する有機機能層形成工程を含み、有機機能層形成工程の後に、変形補正工程を行ってもよい。支持基板は、有機機能層形成工程において加熱されることにより変形し得る。そのため、有機機能層形成工程の後に変形補正工程を行うことにより、支持基板の変形に起因する不具合を抑制できる。
一実施形態においては、加熱工程では、支持基板において有機機能層が形成された一方の主面とは反対側の他方の主面と前記第1ロールとを接触させて支持基板を加熱し、冷却工程では、一方の主面と対向する位置に配置された第2ロールの表面から放出される気体をフィルムに吹き付け、支持基板と第2ロールとを接触させずに支持基板を冷却すると共に、他の主面と対向する位置に配置された第2ロールを他の主面と接触させて支持基板を冷却してもよい。この構成では、第1ロールと支持基板の他方の主面とを接触させて支持基板を加熱するため、支持基板を確実に加熱できる。また、一方の主面と対向する第2ロールが支持基板と非接触で支持基板を冷却するため、支持基板上に形成された有機機能層の破損等を防止できる。更に、他方の主面と対向する第2ロールが支持基板と接触するため、支持基板を確実に冷却できる。したがって、プラスチックフィルムである支持基板の変形を適切に補正できる。
本発明によれば、支持基板の変形を回復することにより、品質の向上を図れる。
一実施形態に係る有機デバイスの製造方法によって製造された有機EL素子の断面図である。 ロールツーロール方式による有機デバイスの製造方法を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る有機デバイスの製造方法に用いられる変形補正装置を模式的に示す図である。 第1実施形態に係る有機デバイスの製造方法における評価結果を示す図である。 第1実施形態に係る有機デバイスの製造方法における評価結果を示す図である。 第2実施形態に係る有機デバイスの製造方法に用いられる変形補正装置を模式的に示す図である。 第2実施形態に係る有機デバイスの製造方法における評価結果を示す図である。 第2実施形態に係る有機デバイスの製造方法における評価結果を示す図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本実施形態の有機デバイスの製造方法によって製造される有機EL素子1は、支持基板3と、陽極層(第1電極層)5と、有機機能層7と、陰極層(第2電極層)9と、封止層11と、を備えている。陽極層5、有機機能層7及び陰極層9は、有機EL部(有機デバイス部)13を構成している。
[支持基板]
支持基板3は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する樹脂から構成されている。支持基板3は、フィルム状の基板(フレキシブル基板、可撓性を有する基板)である。支持基板3の厚さは、例えば、30μm以上500μm以下である。支持基板3が樹脂の場合は、ロールツーロールの連続時の基板ヨレ、シワ、伸びの観点からは45μm以上、可撓性の観点からは125μm以下が好ましい。
支持基板3は、プラスチックフィルムである。支持基板3の材料は、例えば、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂を含む。
支持基板3の材料は、上記樹脂の中でも、耐熱性が高く、線膨張率が低く、かつ、製造コストが低いことから、ポリエステル樹脂、又はポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、又はポリエチレンナフタレートが特に好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
支持基板3の一方の主面3a上には、有機EL部13が形成される。支持基板3の他方の主面3bは、発光面である。他方の主面3bには、光取り出しフィルムが貼付されていてもよい。
[陽極層]
陽極層5は、支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。陽極層5には、光透過性を示す電極層が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、及び銅等からなる薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズからなる薄膜が好適に用いられる。
陽極層5として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物の透明導電膜を用いてもよい。また、陽極層5として、金属又は金属合金等をメッシュ状にパターニングした電極、或いは、銀を含むナノワイヤーがネットワーク状に形成されている電極を用いてもよい。
陽極層5の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定することができる。陽極層5の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極層5の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及び塗布法等を挙げることができる。
[有機機能層]
有機機能層7は、陽極層5の主面(支持基板3に接する面の反対側)及び支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。有機機能層7は、発光層を含んでいる。有機機能層7は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、或いは該有機物とこれを補助する発光層用ドーパント材料(を含む。発光層用ドーパント材料は、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために加えられる。なお、有機物は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。有機機能層7を構成する発光材料としては、例えば下記の色素材料、金属錯体材料、高分子材料、発光層用ドーパント材料を挙げることができる。
(色素材料)
色素材料としては、例えばシクロペンダミン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、トリフェニルアミン及びその誘導体、オキサジアゾール及びその誘導体、ピラゾロキノリン及びその誘導体、ジスチリルベンゼン及びその誘導体、ジスチリルアリーレン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、チオフェン化合物、ピリジン化合物、ペリノン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体等を挙げることができる。
(金属錯体材料)
金属錯体材料としては、例えばTb、Eu、Dy等の希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体を挙げることができる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等を挙げることができる。
(高分子材料)
高分子材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、上記色素材料、又は金属錯体材料を高分子化した材料等を挙げることができる。
(発光層用ドーパント材料)
発光層用ドーパント材料としては、例えばペリレン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、キナクリドン及びその誘導体、スクアリウム及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体、スチリル色素、テトラセン及びその誘導体、ピラゾロン及びその誘導体、デカシクレン及びその誘導体、フェノキサゾン及びその誘導体等を挙げることができる。
有機機能層7の厚さは、通常約2nm〜200nmである。有機機能層7は、例えば、上記のような発光材料を含む塗布液(例えばインク)を用いる塗布法により形成される。発光材料を含む塗布液の溶媒としては、発光材料を溶解するものであれば、限定されない。
[陰極層]
陰極層9は、有機機能層7の主面(陽極層5又は支持基板3に接する面の反対側)及び支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。陰極層9は、引出電極9aに電気的に接続されている。引出電極9aは、支持基板3の一方の主面3aに配置されている。引出電極9aは、陽極層5と所定の間隔をあけて配置されている。引出電極9aの厚さは、陽極層5の厚さと同等である。引出電極9aの材料は、陽極層5の材料と同様である。なお、引出電極9aにリード線又はコネクタを電気的に接続し、外部電源から電流を供給する。
陰極層9の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表第13族金属等を用いることができる。陰極層9の材料としては、具体的には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等を挙げることができる。
また、陰極層9としては、例えば、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いることができる。導電性金属酸化物としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、及びIZOを挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等を挙げることができる。なお、陰極層9は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極層9として用いられる場合もある。
陰極層9の厚さは、電気伝導度、耐久性を考慮して設定される。陰極層9の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極層9の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法及び塗布法等を挙げることができる。
[封止部材]
封止層11は、有機EL素子1において最上部に配置されている。封止層11は、封止基材と、粘接着層と、を有している。封止基材は、金属箔、透明なプラスチックフィルムの表面若しくは裏面又はその両面にバリア機能層を形成したバリアフィルム、或いはフレキシブル性を有する薄膜ガラス、プラスチックフィルム上にバリア性を有する金属積層させたフィルム等からなり、ガスバリア機能、特に水分バリア機能を有する。金属箔としては、バリア性の観点から、銅、アルミニウム、又はステンレスが好ましい。金属箔の厚さは、ピンホール抑制の観点から厚い程好ましいが、フレキシブル性の観点も考慮すると15μm〜50μmが好ましい。
[有機EL素子の製造方法]
続いて、上記構成を有する有機EL素子1の製造方法について説明する。最初に、第1実施形態に係る有機EL素子1の製造方法について説明する。
(第1実施形態)
支持基板3が可撓性を有し、長手方向(一方向)に延在する基板である形態では、図2に概念的に示されるように、ロールツーロール方式が採用され得る。ロールツーロール方式で有機EL素子1を製造する場合、巻出しロール20Aと巻取りロール20Bとの間に張り渡された長尺の可撓性の支持基板3を連続的に搬送ロール21で搬送しながら、各層を支持基板3側から順に形成する。
有機EL素子1を製造する場合、最初に、支持基板3を加熱し、乾燥させる(基板乾燥工程S01)。次に、図3に示されるように、乾燥された支持基板3(一方の主面3a)上に、陽極層5及び引出電極9aを形成する(陽極層形成工程S02)。陽極層5(引出電極9a)は、陽極層5の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。
次に、陽極層5上に、有機機能層7を形成する(有機機能層形成工程S03)。有機機能層7は、上述のように、発光材料(有機材料)を含む塗布液(例えばインク(溶液))を用いる塗布法により形成される。塗布法は、例えば、インクジェット印刷法、スリットコート法、スプレー法、スクリーン印刷法等である。塗布液は、陽極層5及び引出電極9aの少なくとも一部上に、上記塗布法により形成される。
続いて、塗布液を硬化させるために、塗布剤を加熱する(加熱工程(有機機能層形成工程)S04)。塗布液の加熱(乾燥)は、例えば、加熱装置により実施される。加熱装置は、例えば、塗布液に赤外線を照射する装置、熱風を供給する装置、又は、オーブン等を使用することができる。塗布液の加熱処理は、水分濃度の低い環境で行うことが好ましく、特に窒素雰囲気で行われることが好ましい。塗布液が加熱されて硬化することにより、有機機能層7が形成される。
続いて、加熱工程S04において支持基板3に発生した変形を補正する(変形補正工程(加熱工程、冷却工程)S05)。加熱工程S04においては、支持基板3が加熱により収縮し、支持基板3にしわ等の変形が生じ得る。そのため、変形補正工程S05では、支持基板3に生じた変形を補正する(しわを伸ばす)。変形補正工程S05で、支持基板3に生じた変形を補正し、平坦性を確保することによって、支持基板3上に形成される各層を均一に形成させることができる。
変形補正工程S05は、図3に示される変形補正装置Mにより実施される。図3に示されるように、変形補正装置Mは、第1ロール(加熱機構)30と、第2ロール(冷却機構)32と、第3ロール(第2ロール、冷却機構)34と、搬送ロール36,38と、を有している。搬送ロール36の上流側及び搬送ロール38の下流側には変形補正装置M内の支持基板3の張力を設定するためのダンサーロール機構を有していてもよい。変形補正装置Mでは、支持基板3の搬送方向の上流側から、第1ロール30、第2ロール32及び第3ロール34の順番で各ロール30,32,34が設けられている。搬送ロール36は、第1ロール30の上流側に設けられている。搬送ロール38は、第3ロール34の下流側に設けられている。変形補正装置Mは、支持基板3を加熱及び冷却することにより、支持基板3の変形を補正する。
第1ロール30は、表面30aを有している。第1ロール30は、ヒータ(図示しない)により、表面30aの表面温度T1が変更可能である。第1ロール30の表面温度T1(K:絶対温度)は、支持基板3のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下である。なお、以下の説明において、温度の単位は全て「K」である。
第2ロール32は、表面32aを有している。本実施形態では、表面32aには、複数の孔(図示しない)が設けられている。第2ロール32は、表面32aの複数の孔から気体(ドライエア、不活性ガス等)を吹き出すエアターンバーである。気体は、所定の温度に設定されている。第2ロール32は、気体を吹き出すことにより、支持基板3と表面32aとが接触しない状態で支持基板3を搬送する。第2ロール32は、気体の温度を変更することにより、第2ロール32の表面32aの表面温度T2が変更可能である。第2ロール32の表面32aの表面温度T2は、第1ロール30の表面温度T1よりも低い(T1>T2)。なお、第1ロール30の表面温度T1と第2ロール32の表面温度T2とは、温度差が大きくないことが好ましい。
第3ロール34は、表面34aを有している。第3ロール34は、ヒータ(図示しない)により、表面34aの表面温度T3が変更可能である。第3ロール34の表面温度T3は、第2ロール32の表面温度T2に応じて変更する。具体的には、第3ロール34の表面温度T3は、以下の式(A)を満たす温度である。
T3≦T2+30K …(A)
変形補正装置Mでは、支持基板3に対して当該支持基板3の長手方向に所定の張力を付与しつつ、所定の搬送速度で支持基板3を搬送し、支持基板3を第1ロール30により加熱すると共に、第2ロール32及び第3ロール34により終点温度Tf(<T1)まで支持基板3を冷却する。終点温度Tfは、支持基板3のガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下である。変形補正装置Mは、終点温度Tf以下となった支持基板3を次の工程に送り出す。
次に、変形が補正された支持基板3に形成された有機機能層7上に、陰極層9を形成する(陰極層形成工程(第2電極層形成工程)S06)。陰極層9は、陰極層9の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。以上により、支持基板3上に有機EL部13が形成される。有機EL部13を形成した後、有機EL部13と封止層11とを貼り合わせて、有機EL部13を封止層11で被覆する(封止工程S07)。以上により、有機EL素子1が製造される。
続いて、第1実施形態に係る有機EL素子1の製造方法における変形補正工程の一実施例について説明する。なお、変形補正工程を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
支持基板3として、厚さ100um、幅300mmのPEN製のプラスチックフィルムを準備した。支持基板3のガラス転移温度Tgは、428Kである。支持基板3を200℃で2分加熱し、支持基板3に変形(しわ)を発生させた。
変形補正装置Mでは、第1ロール30、第2ロール32及び第3ロール34の直径を300mmとした。第1ロール30、第2ロール32及び第3ロール34の抱き角は、180°とした。搬送速度(m/分)、張力(N)、及び、各ロールの表面温度T1,T2,T3を変化させたときの支持基板3の変形状態を評価した結果について、図4に示す。図4に示す例では、支持基板3の変形状態について、4段階で評価した。支持基板3の変形状態の評価は、目視により実施した。支持基板3の変形が変形補正工程を実施する前よりも悪化していた場合には「××」とした。支持基板3の変形が補正されていない場合には「×」とした。支持基板3の変形の一部が補正されている場合には「△」とした。支持基板3の変形が補正されている場合には「○」とした。本実施形態では、変形が補正されているとは、評価が「△」及び「○」の場合を意味する。
図4に示されるように、搬送速度は、1m/分及び2m/分とした。搬送速度が1m/分の場合、第1ロール30、第2ロール32及び第3ロール34による加熱時間又は冷却時間は30秒となる。搬送速度が2m/分の場合、第1ロール30、第2ロール32及び第3ロール34との加熱時間又は冷却時間は15秒となる。
支持基板3に与える張力は、30N及び40Nとした。張力は、20N以上100N以下とすることができる。張力が20Nよりも小さい場合、変形補正工程後に支持基板3を巻き取る場合、支持基板3の巻き取りが困難となるおそれがある。張力が100Nよりも大きくなると、ロールツーロール方式の場合、変形補正工程の前工程において支持基板3の搬送時に支持基板3にしわが発生し易くなる。好ましくは、張力は、40N以下である。
図4に示されるように、搬送速度1m/分、張力30Nの条件において、第1ロール30の表面温度T1を変化させ、第2ロール32の表面温度T2及び第3ロール34の表面温度T3を一定とした場合(T2:363K、T3:363K)、表面温度T1が443K、433K及び403K〜423Kの場合に、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。すなわち、図4及び図5に示されるように、表面温度T1が支持基板3のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、終点温度Tfがガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、且つ、表面温度T3が以下の式(A)を満たす場合(以下、「所定条件を満たす場合」と称する。)に、支持基板3の変形が補正されることが確認された。
T3≦T2+30K …(A)
また、図4に示されるように、搬送速度1m/分、張力30Nの条件において、第2ロール32の表面温度T2を変化させ、第1ロール30の表面温度T1及び第3ロール34の表面温度T3を一定とした場合(T1:433K、T3:363K)、表面温度T2が333K〜353K、363K、383Kの場合に、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。すなわち、図4及び図5に示されるように、上記所定条件を満たす場合に、支持基板3の変形が補正されることが確認された。
また、図4に示されるように、搬送速度1m/分、張力30Nの条件において、第3ロール34の表面温度T3を変化させ、第1ロール30の表面温度T1及び第2ロール32の表面温度T2を一定とした場合(T1:433K、T2:363K)、表面温度T3が333K〜353K、363Kの場合に、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。すなわち、図4及び図5に示されるように、上記所定条件を満たす場合に、支持基板3の変形が補正されることが確認された。
また、図4に示されるように、張力30Nの条件において、搬送速度を変化させ、第1ロール30の表面温度T1、第2ロール32の表面温度T2及び第3ロール34の表面温度T3を一定とした場合(T1:433K、T2:383K、T3:363K)、搬送速度が1m/分及び2m/分のいずれにおいても、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。この実施例では、第1ロール30の表面温度T1、第2ロール32の表面温度T2及び第3ロール34の表面温度T3が段階的に低くなっている。また、搬送速度2m/分の条件において、張力を40Nとした場合にも、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。すなわち、図4及び図5に示されるように、上記所定条件を満たす場合に、支持基板3の変形が補正されることが確認された。
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態に係る有機EL素子1の製造方法について説明する。第2実施形態に係る有機EL素子1の製造方法は、変形補正工程S05が第1実施形態と異なる。以下では、第2実施形態に係る変形補正工程S05について説明する。
第2実施形態では、変形補正工程S05は、図6に示される変形補正装置M1により実施される。図6に示されるように、変形補正装置M1は、第1ロール40と、第2ロール42と、第3ロール(第2ロール)44と、第4ロール(第2ロール)46と、搬送ロール48,50と、を有している。第1ロール40、第2ロール42、第3ロール44及び第4ロール46は、回転軸の高さ位置が略同等である。変形補正装置M1では、支持基板3の搬送方向の上流側から、第1ロール40、第2ロール42、第3ロール44及び第4ロール46の順番で各ロール40,42,44,46が設けられている。搬送ロール48は、第1ロール40の上流側に設けられている。搬送ロール50は、第4ロール46の下流側に設けられている。
第1ロール40は、表面40aを有している。第1ロール40は、ヒータ(図示しない)により、表面40aの表面温度T1が変更可能である。第1ロール40の表面温度T1(K:絶対温度)は、支持基板3のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下である。
第2ロール42は、表面42aを有している。第2ロール42は、ヒータ(図示しない)により、表面42aの表面温度T2が変更可能である。第2ロール42の表面42aの表面温度T2は、第1ロール40の表面温度T1よりも低い(T1>T2)。
第3ロール44は、表面44aを有している。第3ロール44は、ヒータ(図示しない)により、表面44aの表面温度T3が変更可能である。第3ロール44の表面温度T3は、第2ロール32の表面温度T2に応じて変更する。具体的には、第3ロール34の表面温度T3は、以下の式(A)を満たす温度である。
T3≦T2+30K …(A)
第4ロール46は、表面46aを有している。第4ロール46は、ヒータ(図示しない)により、表面46aの表面温度T4が変更可能である。第4ロール46の表面温度T4は、第3ロール44の表面温度T3に応じて変更する。具体的には、第4ロール46の表面温度T4は、以下の式(B)を満たす温度である。
T4≦T3+30K …(B)
続いて、第2実施形態に係る有機EL素子1の製造方法における変形補正工程の一実施例について説明する。なお、変形補正工程を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
支持基板3として、厚さ100um、幅300mmのPEN製のプラスチックフィルムを準備した。支持基板3のガラス転移温度Tgは、428Kである。支持基板3を200℃で2分加熱し、支持基板3に変形(しわ)を発生させた。
変形補正装置Mでは、第1ロール40、第2ロール42、第3ロール44及び第4ロール46の直径を130mmとした。張力(N)は、60Nとした。搬送速度(m/分)、及び、各ロールの表面温度T1,T2,T3,T4を変化させたときの支持基板3の変形状態を評価した結果について、図7に示す。図7に示す例では、支持基板3の変形状態について、4段階で評価した。評価方法は、第1実施形態と同様である。図7において、各表面温度T1,T2,T3,T4で括弧内に示す数字は、図6に示す各ロール40,42,44,46における加熱時間又は冷却時間(単位:秒)である。図7に示されるように、搬送速度は、1m/分、2m/分及び3m/分とした。
図7に示されるように、張力60Nの条件において、搬送速度1m/分、第1ロール40の表面温度T1を403K、第2ロール42の表面温度T2を393K、第3ロール44の表面温度T3を383K、第4ロール46の表面温度T4を363Kとした場合に、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。すなわち、図7及び図8に示されるように、表面温度T1が支持基板3のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、終点温度Tfがガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、且つ、表面温度T3が以下の式(A)を満たすと共に表面温度T4が以下の式(B)を満たす場合(以下、「所定条件を満たす場合」と称する。)に、支持基板3の変形が補正されることが確認された。
T3≦T2+30K …(A)
T4≦T3+30K …(B)
また、図7に示されるように、張力60Nの条件において、搬送速度3m/分、第1ロール40の表面温度T1を403K、第2ロール42の表面温度T2を393K、第3ロール44の表面温度T3を383K、第4ロール46の表面温度T4を363Kとした場合に、支持基板3の変形が補正されていることが確認された。すなわち、図7及び図8に示されるように、上記所定条件を満たす場合に、支持基板3の変形が補正されることが確認された。
以上説明したように、本実施形態に係る有機デバイスの製造方法は、支持基板3の変形を補正する変形補正工程S05を含む。第1実施形態では、変形補正工程S05は、支持基板3に一方向に張力を与えて支持基板3を搬送すると共に、支持基板3を表面温度T1の第1ロール30により加熱する加熱工程と、加熱工程の後に、第2ロール32及び第3ロール34により支持基板3を表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含む。第1ロール30の表面温度T1は、支持基板3の材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、終点温度Tfは、ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下である。支持基板3の搬送方向において第2ロール32に隣接し且つ第2ロール32よりも下流側に設けられた第3ロール34の表面温度T3は、以下の式(A)を満たす。
T3≦T2+30K …(A)
これにより、有機デバイスの製造方法では、上記条件で支持基板3を加熱及び冷却することにより、支持基板3のしわ等の変形を補正できる。特に、第2ロール32の表面温度T2を、上記の式(A)を満たす温度にすることにより、支持基板3が急速に冷却されることを抑制できる。そのため、急速な冷却による熱収縮によって支持基板3に新たな変形が生じることを抑制できる。したがって、支持基板3の変形に起因する有機EL部13の不具合を抑制できると共に意匠性の低下を抑制でき、有機EL素子1の品質の向上を図れる。第2実施形態についても、同様の作用効果を得ることができる。
本実施形態に係る有機デバイスの製造方法では、有機機能層7を形成する有機機能層形成工程S03及び加熱工程S04を含み、加熱工程S04の後に、変形補正工程S05を行う。支持基板3は、加熱工程S04において加熱されることにより変形し得る。そのため、加熱工程S04の後に変形補正工程S05を行うことにより、支持基板3の変形に起因する不具合を抑制できる。
本実施形態に係る有機デバイスの製造方法では、変形補正工程S05では、支持基板3において有機EL部13が形成された一方の主面3aとは反対側の他方の主面3bと第1ロール30とを接触させて支持基板3を加熱する。また、変形補正工程S05では、一方の主面3aと対向する位置に配置された第2ロール32の表面から放出される気体を支持基板3に吹き付け、支持基板3と第2ロール32とを接触させずに支持基板3を冷却すると共に、他の主面3bと対向する位置に配置された第3ロール34を他の主面3bと接触させて支持基板3を冷却する。この構成では、第1ロール30と支持基板3の他方の主面3bとを接触させて支持基板3を加熱するため、支持基板3を確実に加熱できる。また、一方の主面3aと対向する第2ロール32が支持基板3と非接触で支持基板3を冷却するため、支持基板3上に形成された有機EL部13の破損等を防止できる。更に、他方の主面3bと対向する第3ロール34が支持基板3と接触するため、支持基板3を確実に冷却できる。したがって、プラスチックフィルムである支持基板3の変形を適切に補正できる。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、陽極層5と陰極層9との間に発光層を含む有機機能層7が配置された有機EL素子1を例示した。しかし、有機機能層7の構成はこれに限定されない。有機機能層7は、以下の構成を有していてもよい。
(a)(陽極層)/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(h)(陽極層)/発光層/電子注入層/(陰極層)
(i)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。上記(a)に示す構成は、上記実施形態における有機EL素子1の構成を示している。
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれの材料は、公知の材料を用いることができる。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれは、例えば、有機機能層7と同様に塗布法により形成できる。
ここで、電子注入層は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、又は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、フッ化物を含有していてもよい。電子注入層の成膜法としては、塗布法、真空蒸着法等を挙げることができる。酸化物及びフッ化物の場合は、電子注入層の厚さは0.5nm〜20nmが好ましい。電子注入層は、特に絶縁性が強い場合は、有機EL素子1の駆動電圧上昇を抑制する観点からは、薄膜、例えば、0.5nm〜10nmの厚さであることが好ましく、また、電子注入性の観点からは、2nm〜7nmの厚さであることが好ましい。また、電子注入層は、例えば、引出電極9aと陰極層9の間に形成されていてもよい。
有機EL素子1は、単層の有機機能層7を有していてもよいし、2層以上の有機機能層7を有していてもよい。上記(a)〜(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極層5と陰極層9との間に配置された積層構造を「構造単位A」とすると、2層の有機機能層7を有する有機EL素子の構成として、例えば、下記(j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位A)の層構成は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
(j)陽極層/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極層
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデン等からなる薄膜を挙げることができる。
また、「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の有機機能層7を有する有機EL素子の構成として、例えば、以下の(k)に示す層構成を挙げることができる。
(k)陽極層/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極層
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位B)x」は、(構造単位B)がx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の有機機能層7を直接的に積層させて有機EL素子を構成してもよい。
上記実施形態では、有機機能層形成工程S03後の加熱工程S04の後に変形補正工程S05を実施する形態を一例に説明した。しかし、変形補正工程は、例えば、基板乾燥工程の後に実施してもよいし、陰極層形成工程の後に実施してもよい。変形補正工程は、任意のタイミング(各工程の途中)で実施することができる。
上記実施形態では、第1ロール30(40)が1つ設けられている形態を一例に説明した。しかし、第1ロール30(40)は、複数設けられていてもよい。第1ロール及び第2ロールの数は、設計に応じて適宜設定されればよい。
上記実施形態では、ロールツーロール方式により、支持基板3上に陽極層5を形成する形態を一例に説明した。しかし、支持基板3上に陽極層5を予め形成し、巻出しロール20Aと巻取りロール20Bとの間に張り渡された長尺の陽極層5が形成された支持基板3を連続的に搬送ロール21で搬送しながら、有機EL素子1の製造に係る各工程を実施してもよい。
上記実施形態では、基板乾燥工程S01を実施しているが、基板乾燥工程S01は実施しなくてもよい。
上記実施形態に加えて、任意のタイミングにおいて、支持基板3を巻き取る工程を実施してもよい。
上記実施形態では、有機デバイスとして、有機EL素子を一例に説明した。有機デバイスは、有機薄膜トランジスタ、有機フォトディテクタ、有機薄膜太陽電池等であってもよい。
上記実施形態では、有機ELデバイスの製造方法の一工程として、変形補正工程を含む形態を一例に説明した。しかし、本発明は、プラスチックフィルムの製造方法において、プラスチックフィルムの変形を補正する工程に適用されてもよい。すなわち、プラスチックフィルムの製造方法は、一方向に延在するフィルムに当該一方向に張力を与えてフィルムを搬送すると共に、フィルムを表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱工程と、加熱工程の後に、少なくとも1つの第2ロールによりフィルムを表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含む。第1ロールの表面温度T1は、フィルムの材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下である。終点温度Tfは、ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下である。フィルムの搬送方向において一の第2ロールに隣接し且つ一の第2ロールよりも下流側に設けられた他の第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす。
(他の第2ロールの表面温度)≦(一の第2ロールの表面温度)+30K
フィルムの製造方法では、上記条件でフィルムを加熱及び冷却することにより、フィルムのしわ等の変形を補正できる。特に、他の第2ロールの表面温度を、上記の式を満たす温度にすることにより、フィルムが急速に冷却されることを抑制できる。そのため、急速な冷却による熱収縮によってフィルムに新たな変形が生じることを抑制できる。したがって、フィルムの製造方法では、フィルムの品質の向上を図れる。また、フィルムの変形を抑えるために、ガラス転移温度以下の低温でフィルムの搬送速度を下げて長時間処理する必要がなく、生産性の低下を抑えることができる。
また、上記実施形態における変形補正装置M,M1は、プラスチックフィルムの製造工程に用いられるフィルム製造装置に適用できる。
1…有機EL素子(有機デバイス)、3…支持基板、5…陽極層(第1電極層)、7…有機機能層、9…陰極層(第2電極層)、13…有機EL部(有機デバイス部)、S01…乾燥工程、S03…有機機能層形成工程、S04…加熱工程(有機機能層形成工程)、S05…変形補正工程(加熱工程、冷却工程)。

Claims (10)

  1. 一方向に延在するプラスチックのフィルムに当該一方向に張力を与えて前記フィルムを搬送すると共に、前記フィルムを表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程の後に、複数の第2ロールにより前記フィルムを前記表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含み、
    前記第1ロールの前記表面温度T1は、前記フィルムの材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、
    前記終点温度Tfは、前記ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、
    前記フィルムの搬送方向において一の前記第2ロールに隣接し且つ一の前記第2ロールよりも下流側に設けられた他の前記第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす、フィルムの製造方法。
    (他の前記第2ロールの表面温度)≦(一の前記第2ロールの表面温度)+30K
  2. 前記終点温度Tfは、一の前記第2ロールの前記表面温度以下である、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
  3. 前記冷却工程では、前記第2ロールに前記フィルムを接触させて、前記フィルムを搬送しつつ前記フィルムを前記終点温度Tfまで冷却する、請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記冷却工程では、少なくとも1つの前記第2ロールの表面から放出される気体を前記フィルムに吹き付け、前記フィルムと前記第2ロールとを接触させず前記終点温度Tfまで前記フィルムを冷却する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  5. 前記冷却工程では、前記表面温度T1から前記終点温度Tfまで段階的に温度を低くする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  6. 一方向に延在するフィルムに当該一方向に張力を与えて前記フィルムを搬送すると共に、前記フィルムを表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱機構と、
    前記加熱機構により加熱された前記フィルムを、複数の第2ロールによって前記表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却機構と、を備え、
    前記第1ロールの前記表面温度T1は、前記フィルムの材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、
    前記終点温度Tfは、前記ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、
    前記フィルムの搬送方向において一の前記第2ロールに隣接し且つ一の前記第2ロールよりも下流側に設けられた他の前記第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす、フィルム製造装置。
    (他の前記第2ロールの表面温度)≦(一の前記第2ロールの表面温度)+30K
  7. 一方向に延在するプラスチックフィルムである支持基板上に第1電極層、有機機能層、及び第2電極層をこの順番に積層してなる有機デバイス部を有する有機デバイスの製造方法であって、
    前記支持基板の変形を補正する変形補正工程を含み、
    前記変形補正工程は、
    前記支持基板に前記一方向に張力を与えて前記支持基板を搬送すると共に、前記支持基板を表面温度T1の第1ロールにより加熱する加熱工程と、
    前記加熱工程の後に、複数の第2ロールにより前記支持基板を前記表面温度T1よりも低い終点温度Tfまで冷却する冷却工程と、を含み、
    前記第1ロールの前記表面温度T1は、前記支持基板の材料のガラス転移温度Tgの0.93倍以上1.05倍以下であり、
    前記終点温度Tfは、前記ガラス転移温度Tgの0.778倍よりも大きく1倍以下であり、
    前記支持基板の搬送方向において一の前記第2ロールに隣接し且つ一の前記第2ロールよりも下流側に設けられた他の前記第2ロールの表面温度は、以下の式を満たす、有機デバイスの製造方法。
    (他の前記第2ロールの表面温度)≦(一の前記第2ロールの表面温度)+30K
  8. 前記変形補正工程の前に、前記支持基板を乾燥させる乾燥工程を含む、請求項7に記載の有機デバイスの製造方法。
  9. 有機材料を含む溶液を塗布した後に前記溶液を乾燥、又は、前記溶液を塗布した後に前記溶液を乾燥させ更に加熱することにより前記有機機能層を形成する有機機能層形成工程を含み、
    前記有機機能層形成工程の後に、前記変形補正工程を行う、請求項7又は8に記載の有機デバイスの製造方法。
  10. 前記加熱工程では、前記支持基板において前記有機機能層が形成された一方の主面とは反対側の他方の主面と前記第1ロールとを接触させて前記支持基板を加熱し、
    前記冷却工程では、前記一方の主面と対向する位置に配置された前記第2ロールの表面から放出される気体を前記フィルムに吹き付け、前記支持基板と前記第2ロールとを接触させずに前記支持基板を冷却すると共に、前記他の主面と対向する位置に配置された前記第2ロールを前記他の主面と接触させて前記支持基板を冷却する、請求項9に記載の有機デバイスの製造方法。
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