JP2017195115A - 有機el素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布法により機能層を形成する際に膜厚ムラをより確実に防止可能な有機EL素子の製造方法を提供する。【解決手段】一実施形態に係る有機EL素子10の製造方法は、可撓性の基板12と、第1の電極14と、有機EL用の機能層16と、第2の電極18とを有する有機EL素子の製造方法であって、基板上に第1の電極が形成された電極付き基板20上に、機能層を形成する機能層形成工程と、機能層上に第2の電極を形成する電極形成工程と、を備え、機能層形成工程は、電極付き基板上に配置されたインク塗布器24から機能層の材料を含むインク26を第1の電極上に塗布する塗布工程と、塗布されたインクを乾燥装置30により乾燥させる乾燥工程と、を有し、電極付き基板を搬送しながら塗布工程から乾燥工程までを実施し、少なくとも塗布工程の終了時から乾燥工程における初期段階までは、電極付き基板を水平搬送する。【選択図】図3

Description

本発明は、有機EL素子の製造方法に関する。
有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)素子は、基板上に、陽極、有機EL用の機能層及び陰極を順に形成することで製造される。機能層の形成方法の一例としては、特許文献1に記載されているようなインクジェット印刷法が知られている。
特開2013−091711号公報
特許文献1に記載のインクジェット印刷方法では、基板上にインクが塗布されて形成された塗布膜の膜厚ムラを低減するために、塗布膜の乾燥時間を短縮する手法が開示されている。しかしながら、塗布膜を乾燥させる際に、インク流動が生じていると塗布膜に膜厚ムラを生じる場合がある。
そこで、本発明は、塗布法により機能層を形成する際に膜厚ムラをより確実に抑制可能な有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明の一側面に係る有機EL素子の製造方法は、可撓性の基板と、上記基板の表面上に設けられた第1の電極と、上記第1の電極上に設けられた有機EL用の機能層と、上記機能層上に設けられる第2の電極とを有する有機EL素子の製造方法であって、上記基板上に上記第1の電極が形成された電極付き基板上に、上記機能層を形成する機能層形成工程と、上記機能層上に上記第2の電極を形成する電極形成工程と、を備え、上記機能層形成工程は、上記電極付き基板上に配置されたインク塗布器から上記機能層の材料を含むインクを上記第1の電極上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、上記塗布膜を乾燥装置により乾燥させる乾燥工程と、を有し、上記電極付き基板を搬送しながら上記塗布工程から上記乾燥工程までを実施し、少なくとも上記塗布工程の終了時から上記乾燥工程における初期段階の終了時までは、上記電極付き基板を水平搬送する。
上記乾燥工程の初期段階の終了時とは、インク流動による膜厚変動が生じなくなった時を意味する。上記方法では、少なくとも上記塗布工程の終了時から上記乾燥工程における初期段階の終了時までは、上記電極付き基板を水平搬送する。そのため、塗布工程で塗布されたインクのインク流動による膜厚変動が乾燥工程の初期段階の終了時まで生じ難いことから、インク流動に起因する膜厚ムラを抑制できる。
上記塗布工程の開始時から上記初期段階の終了時まで、電極付き基板を水平搬送してもよい。これにより、塗布工程内でもインク流動が抑制されるので、より一層、膜厚ムラを低減可能である。
上記乾燥装置に上記塗布膜が搬入される際の上記インクの粘度は、25mPa・s以下であり得る。塗布工程が終了してから乾燥装置に塗布膜が搬入されるまでの間、インクは自然乾燥する。この自然乾燥では乾燥状態の制御が困難であるため、自然乾燥は最小限に抑制されていることが好ましい。上記粘度範囲であれば、液のレベリング性が保てることから自然乾燥による膜厚ムラを抑制できる。
上記乾燥装置に上記塗布膜が搬入される際の上記インクの固形分濃度は、5重量%以下であり得る。このような固形分濃度の範囲であれば、液のレベリング性が保てることから自然乾燥による膜厚ムラを抑制できる。
上記塗布工程の終了時から上記乾燥装置まで上記電極付き基板を搬送する間、上記電極付き基板を溶媒蒸発防止カバーで覆ってもよい。これにより、塗布工程が終了してから上記乾燥装置まで上記電極付き基板を搬送する間における自然乾燥による膜厚ムラをより一層抑制できる。
上記電極付き基板は、複数の搬送ローラで搬送され、水平面における上記電極付き基板の搬送方向をX軸とし、水平面における上記X軸に直交する方向をY軸とし、上記X軸及び上記Y軸に直交する方向をZ軸とし、水平面内において上記Y軸に沿って延在する長さ1mの仮想ローラの一端に上記搬送ローラの一端を揃えて配置するとともに、上記仮想ローラ及び上記搬送ローラの長さを1mと仮定した際に、上記仮想ローラの他端と上記搬送ローラの他端とのズレ量が50μm以下であってもよい。
このように、搬送ローラが配置されることで、電極付き基板の蛇行が抑制される。そのため、塗布膜にしわが発生しにくく、しわに起因する膜厚ムラを防止できる。
上記塗布工程では、上記電極付き基板の下方からガスを吹き付けながら、上記電極付き基板を水平に維持してもよい。これにより、電極付き基板が自重により垂れ下がるのを防止でき、水平を維持し易い。
上記インク塗布器は、インクジェット塗布器であり得る。上記乾燥装置は、赤外線乾燥装置であり得る。
上記塗布工程において上記インクが上記電極付き基板に塗布された直後の上記インクの粘度が、1mPa・s〜25mPa・sであってもよい。上記塗布工程において上記インクが上記電極付き基板に塗布された直後の上記インクの固形分濃度が、5重量%以下であってもよい。
上記インクは、沸点が150℃以上の溶媒を含んでもよい。この場合、塗布工程が終了してから乾燥工程までの自然乾燥を抑制可能である。
本発明によれば、塗布法により機能層を形成する際に膜厚ムラをより確実に抑制可能な有機EL素子の製造方法を提供できる。
図1は、一実施形態に係る有機EL素子の製造方法で製造される有機EL素子の構成を示す模式図である。 図2は、一実施形態に係る有機EL素子の製造方法のフローチャートである。 図3は、機能層形成工程の一例である発光形成工程を説明するための図面である。 図4は、検証実験に使用した実験モデルの模式図である。 図5は、検証実験を説明するための図面である。 図6は、搬送ローラの配置誤差の許容範囲を説明するための図面である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。同一の要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
図1に模式的に示すように、一実施形態に係る有機EL素子の製造方法で製造される有機EL素子10は、例えば照明に使用される有機EL照明パネルである。有機EL素子10は、基板12と、陽極(第1の電極)14と、発光層(有機EL用の機能層)16と、陰極(第2の電極)18と、を備える。有機EL素子10は、陽極14側から光を出射する形態、又は、陰極18側から光を出射する形態を取り得る。以下では、断らない限り、陽極14側から光を出射する形態について説明する。
[基板]
基板12は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する。基板12は、フィルム状の基板であり得る。基板12の厚さは、例えば、30μm以上700μm以下である。
基板12は、可撓性を有し、基板12の例はプラスチックフィルム又は高分子フィルムである。基板12の材料としては、例えばポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂等が挙げられる。
基板12には、有機EL素子10を駆動するための駆動回路(例えば、薄膜トランジスタなどを含む回路)が形成されていてもよい。このような駆動回路は、通常、透明材料から構成される。
基板12の表面12a上には、バリア膜が形成されていてもよい。バリア膜は、例えば、ケイ素、酸素及び炭素からなる膜、又は、ケイ素、酸素、炭素及び窒素からなる膜であり得る。具体的には、バリア膜の材料の例は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素等である。バリア膜の厚さの例は、100nm以上10μm以下である。
[陽極]
陽極14は、基板12の表面12a上に設けられている。陽極14には、光透過性を示す電極が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
陽極14の厚さは、光の透過性や、電気伝導度等を考慮して決定することができる。陽極14の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。本明細書において、陽極14が設けられた基板12を電極付き基板20と称する場合もある。
[発光層]
発光層16は、陽極14上に設けられており、所定の波長の光を発光する機能を有する機能層である。発光層16の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。発光層16の厚さは、例えば1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは10nm〜200nmである。
[陰極]
陰極18は、発光層16上に設けられている。陰極18の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、電気伝導度、耐久性等を考慮して設定される。陰極18の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
有機EL素子10において、陽極14と発光層16との間、及び、発光層16と陰極18との間に更に他の機能層が設けられてもよい。各種の機能層を含む有機EL素子10の層構成の例を以下に示す。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
e)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
f)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
g)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
h)陽極/発光層/電子注入層/陰極
i)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
記号「/」は、記号「/」の両側の層同士が接合していることを意味している。上記a)の構成が図1に示した構成に対応する。
正孔注入層は、陽極14から発光層16への正孔注入効率を改善する機能を有する機能層である。正孔輸送層は、陽極14、正孔注入層又は陽極14により近い正孔輸送層から発光層16への正孔注入効率を改善する機能を有する機能層である。電子輸送層は、陰極18、電子注入層又は陰極18により近い電子輸送層からの電子注入効率を改善する機能を有する層である。電子注入層は、陰極18から発光層16への電子注入効率を改善する機能を有する機能層である。電子注入層は、陰極の一部であってもよい。
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等の有機EL用の機能層の材料には、各層のための公知の材料が使用され得る。有機EL用の各機能層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように適宜設定される。
有機EL素子10は、電極付き基板20上の少なくとも機能層を封止する封止部を備えてもよい。
次に、図1に示した構成を有する有機EL素子10の製造方法の一例について説明する。以下では、可撓性を有する長尺の基板12上に陽極14が形成された電極付き基板20を用いて有機EL素子10を製造する形態について説明する。本明細書において、長尺の基板及び長尺の電極付き基板とは、後述する搬送方向(X軸方向)の長さが幅方向(Y軸方向)の長さよりも長い基板及び電極付き基板を指す。
長尺の電極付き基板20は、可撓性を有する長尺の基板12の表面12aに設定される複数の素子形成領域のそれぞれに陽極14を形成することで作製され得る。
陽極14の材料としては、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズが好ましい。陽極14は、例示した材料からなる薄膜として形成され得る。陽極14の材料には、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物を用いてもよい。この場合、陽極14は、透明導電膜として形成され得る。前述したように、陽極14は、導電体(例えば金属)からなるネットワーク構造を有してもよい。
陽極14は、有機EL素子10の製造において公知の方法で形成され得る。陽極14の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法、塗布法等が挙げられる。
塗布法としては、例えばインクジェット印刷法が挙げられるが、陽極14を形成可能な塗布法であれば、他の公知の塗布法でもよい。インクジェット印刷法以外の公知の塗布法としては、例えばスリットコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズルプリント法等が挙げられる。
陽極14の材料を含む塗布液の溶媒は、陽極14の材料を溶解できる溶媒であればよい。溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩化物溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒等が挙げられる。
上記電極付き基板20を用いて有機EL素子10を製造する方法は、図2のフローチャートに示したように、発光層形成工程(機能層形成工程)S10と、陰極形成工程(電極形成工程)S12と、を備える。本実施形態で説明するように、長尺の電極付き基板20から有機EL素子10を製造する形態では、通常、長尺の電極付き基板20に、発光層16及び陰極18を形成した後に、素子形成領域毎に電極付き基板20を切断することで、複数の有機EL素子10を得る切断工程S14を備える。よって、切断工程S14を備える形態について説明する。
[発光層形成工程]
発光層形成工程S10では、陽極14上に発光層16を形成する。発光層形成工程S10は、塗布工程S10Aと、乾燥工程S10Bとを有する。
発光層形成工程S10では、図3に示したように、ロールツーロール方式により、発光層16を形成する。すなわち、巻出しロール22Aに巻かれた長尺の電極付き基板20を繰り出して、その長手方向に搬送ローラRを利用して搬送した後、巻取りロール22Bで巻き取るまでの間に、塗布工程S10A及び乾燥工程S10Bを順に実施する。
<塗布工程>
塗布工程S10Aでは、電極付き基板20上に配置されるインク塗布器24から、発光層16用の材料を含むインク26を陽極14上に塗布して、塗布膜28を形成する。本実施形態では、インクジェット印刷法を利用して発光層16を形成する。この場合、インク塗布器24は、インクジェット塗布器である。
インクジェット塗布器であるインク塗布器24は、電極付き基板20の搬送方向に複数のノズル列を有し、各ノズル列は、電極付き基板20の幅方向に配列された複数のノズルを有する。インク塗布器24としては、例えば解像度が600dpiである塗布器であり得る。
発光層16の材料は、公知の発光層16用の材料であればよい。発光層16は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、或いは、該有機物とこれを補助するドーパントを含む。ドーパントは、例えば発光効率の向上や、発光波長を変化させるために加えられる。発光層16に含まれる有機物は、低分子化合物でも高分子化合物でもよい。発光層16を構成する発光材料としては、下記の色素系材料、金属錯体系材料、高分子系材料等の主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、ドーパント材料等が挙げられる。
色素系材料としては、例えばシクロペンダミン若しくはその誘導体、テトラフェニルブタジエン若しくはその誘導体、トリフェニルアミン若しくはその誘導体、オキサジアゾール若しくはその誘導体、ピラゾロキノリン若しくはその誘導体、ジスチリルベンゼン若しくはその誘導体、ジスチリルアリーレン若しくはその誘導体、ピロール若しくはその誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン若しくはその誘導体、ペリレン若しくはその誘導体、オリゴチオフェン若しくはその誘導体、オキサジアゾールダイマー若しくはその誘導体、ピラゾリンダイマー若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体等が挙げられる。
金属錯体系材料としては、例えばTb、Eu、Dyなどの希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体等が挙げられる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等が挙げられる。
高分子系材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、ポリパラフェニレン若しくはその誘導体、ポリシラン若しくはその誘導体、ポリアセチレン若しくはその誘導体、ポリフルオレン若しくはその誘導体、ポリビニルカルバゾール若しくはその誘導体、上記色素材料及び金属錯体材料の少なくとも一方を高分子化した材料等が挙げられる。
ドーパント材料としては、例えばペリレン若しくはその誘導体、クマリン若しくはその誘導体、ルブレン若しくはその誘導体、キナクリドン若しくはその誘導体、スクアリウム若しくはその誘導体、ポルフィリン若しくはその誘導体、スチリル色素、テトラセン若しくはその誘導体、ピラゾロン若しくはその誘導体、デカシクレン若しくはその誘導体、フェノキサゾン若しくはその誘導体等が挙げられる。
インク26の溶媒は、発光層16用の材料を溶解可能なものであれば限定されない。溶媒としては、例えばクロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩化物溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル溶媒等が挙げられる。これらのうち、沸点が150℃以上である溶媒が好ましい。
一実施形態において、インク26の粘度は、電極付き基板20にインク26が着弾した直後の粘度が1mPa・s〜25mPa・sとなるように設定され得る。一実施形態において、インク26の固形分濃度は、電極付き基板20にインク26が着弾した直後の固形分濃度が5重量%以下となるように設定されていてもよい。
<乾燥工程>
乾燥工程S10Bでは、乾燥装置30が有する乾燥炉32内で塗布膜28を乾燥させ、発光層16を得る。乾燥工程S10Bでは、乾燥炉32内を複数の搬送ローラRで電極付き基板20を搬送する。乾燥装置30の例は、図3に示したように、電極付き基板20の上方に配置された赤外線照射部34を乾燥炉32内に有する赤外線乾燥装置であり得る。この赤外線乾燥装置では、赤外線照射部34から赤外線IRを塗布膜28に照射して、塗布膜28を乾燥する。
<陰極形成工程>
陰極形成工程S12では、発光層16上に陰極18を形成する。発光層16からの光を陽極14側に陰極18で反射するために、陰極18の材料としては、可視光反射率の高い材料が好ましい。陰極18の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表の13族金属等が挙げられる。陰極18として、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いてもよい。陰極18は、陽極14の形成方法と同様にして形成され得る。ロールツーロール方式で陰極18を形成してもよい。すなわち、電極付き基板20をその長手方向に搬送しながら発光層16上に陰極18を形成してもよい。
<切断工程>
切断工程S14では、発光層16及び陰極18が形成された長尺の電極付き基板20を、その長手方向に搬送しながら、素子形成領域毎に電極付き基板20を切断する。これにより、発光層16及び陰極18が形成された長尺の電極付き基板20から複数の有機EL素子10が得られる。
本実施形態では、少なくとも塗布工程S10Aの終了時から乾燥工程S10Bの初期段階の終了時まで電極付き基板20を水平搬送する。塗布工程S10Aの終了時とは、電極付き基板20の搬送方向において、塗布膜28の下流側の端部がインク塗布器24の下流側の端部を通過する時を意味する。乾燥工程S10Bの初期段階の終了時とは、塗布膜28の下流側の端部においてインク流動による膜厚変動が生じなくなった時を意味する。通常、インク26の表面が固化した時である。乾燥開始から初期段階終了までの時間は、インク26の粘度、固形分濃度、塗布量、乾燥炉32の温度、搬送速度などに依存するが、例えば30s〜300sである。
本明細書において、水平搬送とは、水平面に対して基板12の表面12aの傾斜角が10°未満であることを意味する。水平搬送の際、水平面に対して基板12の表面12aの傾斜角が5°以下であることが好ましい。
上記水平搬送を実施するために、水平搬送領域内の複数の搬送ローラRは、例えばそれらの搬送ローラRの最上部の線分が実質的に平行であり、最上部の線分を含む仮想平面の水平面に対する傾斜角が10°未満、好ましくは5°以下であるように、配置される。搬送ローラRの最上部の線分とは、電極付き基板20の下面が搬送ローラRと接した際のその接触部分に対応する。
乾燥工程S10Bの初期段階が終了した際には、インク26の表面が固化しておりインク流動による膜厚変動が生じない。逆にいえば、初期段階終了までは、インク流動が生じるので、塗布工程S10Aの終了時から乾燥工程S10Bの初期段階終了時までに電極付き基板20が水平面から傾き過ぎると、インク流動により塗布膜の厚さが不均一になる。その結果、乾燥された塗布膜である発光層に膜厚ムラが生じ、例えば製造した有機EL素子において発光ムラが生じる(換言すれば、発光輝度が不均一になる)。仮に、インク流動を考慮したうえで、膜厚ムラが生じないように塗布膜を乾燥させようとすると、乾燥条件の制御が煩雑になる。
これに対して、本実施形態のように、塗布工程S10Aの終了時から乾燥工程S10Bの初期段階の終了時まで電極付き基板20を水平搬送していれば、インク流動が抑制され、塗布膜28の厚さが均一(又は所望の厚さ)になるので、膜厚ムラを抑制できる。よって、乾燥工程S10Bにおける乾燥条件の制御も容易である。塗布膜28の厚さが均一であることから、それが乾燥して形成される発光層16の厚さも均一になる。よって、有機EL素子10において発光ムラ(発光輝度の不均一)が生じにくい。すなわち、所望の性能を有する有機EL素子10を製造し易い。
水平面に対して基板12の表面12aの傾斜角が10°未満である場合において、膜厚ムラが生じない点を、本願発明者らは実験により検証した。検証実験1〜6について説明する。
[実験モデル]
検証実験1〜6で使用した実験モデルについて説明する。実験モデルとして、図4に示したように、フィルム付きガラス基板38を採用した。フィルム付きガラス基板38は、ガラス基板40と、複数の凸部42と、フィルム44とを有する。複数の凸部42は、一方向に延在しており、互いに平行に且つ離散的にガラス基板40の表面に配置されていた。隣接する凸部42の間隔は、50mmであった。凸部42は、ガラス基板40の表面に、厚さ80μmのカプトンテープを少なくとも1段貼合することによって形成した。図4では、カプトンテープの段数が1段である場合の凸部42を示している。凸部42の断面は、図4に示したように矩形であった。凸部42の厚さdは、カプトンテープの厚さと、カプトンテープの段数で調整した。フィルム44は、複数の凸部42を覆うように、ガラス基板40の表面に貼合されていた。フィルム44の厚さは、100μmであり、フィルム44の材料は、PENであった。図4は、凸部42の延在方向に直交する面でフィルム付きガラス基板38を切断した場合の断面構成の模式図である。
フィルム付きガラス基板38では、ガラス基板40の表面上に凸部42が形成されていることから、フィルム44に傾斜が形成されていた。この傾斜を規定する傾斜角θを、電極付き基板20の表面の水平面からの傾斜角とみなした。傾斜角θは、凸部42の端面と、その端面に最も近いフィルム44及びガラス基板40の表面の接触位置と、の距離と、凸部42の厚さd1とに基づいて算出される角度として定義した。
[実験方法]
次に、図4に示したフィルム付きガラス基板38を使用した実験方法について説明する。フィルム付きガラス基板38を、オフラインのインクジェット塗布装置のステージ上にセットし、インクジェット塗布装置からインクを塗布した。その後、フィルム付きガラス基板38を、真空乾燥装置内に設置し、真空乾燥を行った。その結果、図5に示したように、フィルム付きガラス基板38上に厚さd2の薄膜46を得た。薄膜46に紫外線を照射することによって、膜厚ムラの有無を目視確認した。インクジェット塗布装置から真空乾燥装置までは、フィルム付きガラス基板38を水平に維持するように移動させた。移動に要した時間は約30秒であった。インクジェット塗布装置でインクを塗布して形成する塗布膜28の厚さは、所望の厚さの薄膜46を得るために、乾燥工程S10Bでの塗布膜28の収縮を考慮して、所望の厚さd2の約60倍とした。
インクには、有機EL用の発光材料を使用した。インクの固形分濃度は1.5重量%であったため、インクの塗布直後のインクの固形分濃度も1.5重量%である。使用したインクは、自然乾燥において約1時間で100%乾燥した。そのため、自然乾燥における乾燥速度は一定と仮定して、フィルム付きガラス基板38にインクを塗布してから30秒後のインクの固形分濃度を算出すると、1.45重量%であった。よって、塗布膜が形成されたフィルム付きガラス基板38を真空乾燥装置にセットした時(乾燥装置での乾燥開始直前)のインクの固形分濃度は1.45重量%〜1.5重量%と推定された。
検証実験1〜6について詳説する。検証実験1〜6の説明では、フィルム付きガラス基板及び薄膜の符号などは、図4及び図5に示した符号を使用する。
[検証実験1]
検証実験1では、凸部42の厚さd1を80μmとした。すなわち、厚さ80μmのカプトンテープの段数を1段とした。この場合、傾斜角θは5°であった。検証実験1では、上記実験方法に沿って、厚さd2が75nmになるように、薄膜46を形成した。真空乾燥での乾燥時間は、300sであった。真空乾燥での乾燥時間と、乾燥速度とから算出した、乾燥開始から初期段階終了までの時間は、120sであった。薄膜46の膜厚ムラの有無の目視確認結果は、表1のとおりであり、目視確認で膜厚ムラは確認されなかった。
Figure 2017195115
[検証実験2]
検証実験2では、厚さd2が150nmになるように薄膜46を形成した点以外は、検証実験1と同様に実験を行った。したがって、検証実験2においても凸部42の厚さd1は80μmであり、傾斜角θは5°であった。真空乾燥での乾燥時間は、検証実験1の場合と同様に、300sであった。真空乾燥での乾燥時間と、乾燥速度とから算出した、乾燥開始から初期段階終了までの時間は、150sであった。薄膜46の膜厚ムラの有無の目視確認結果は、上記表1のとおりであり、目視確認で膜厚ムラは確認されなかった。
[検証実験3]
検証実験3では、凸部42の厚さd2を160μmとした。すなわち、厚さ80μmのカプトンテープを2段重ねて凸部42を形成した。この場合、傾斜角θは10°であった。検証実験1では、上記実験方法に沿って、厚さd2が75nmになるように薄膜46を形成した。真空乾燥での乾燥時間は、検証実験1の場合と同様に、300sであった。真空乾燥での乾燥時間と、乾燥速度とから算出した、乾燥開始から初期段階終了までの時間は、120sであった。薄膜46のムラの有無の目視確認結果は、表1のとおりであり、目視確認で膜厚ムラが確認された。
[検証実験4]
検証実験4では、厚さd2が150nmになるように薄膜46を形成した点以外は、検証実験3と同様に実験を行った。したがって、検証実験4においても凸部42の厚さd1は160μmであり、傾斜角θは10°であった。真空乾燥での乾燥時間は、検証実験1の場合と同様に、300sであった。真空乾燥での乾燥時間と、乾燥速度とから算出した、乾燥開始から初期段階終了までの時間は、150sであった。薄膜46の膜厚ムラの有無の目視確認結果は、上記表1のとおりであり、目視確認で膜厚ムラが確認された。
[検証実験5]
検証実験5では、凸部42の厚さd2を240μmとした。すなわち、厚さ80μmのカプトンテープを3段重ねて凸部42を形成した。この場合、傾斜角θは15°であった。検証実験5では、上記実験方法に沿って、厚さd2が75nmになるように薄膜46を形成した。真空乾燥での乾燥時間は、検証実験1の場合と同様に、300sであった。真空乾燥での乾燥時間と、乾燥速度とから算出した、乾燥開始から初期段階終了までの時間は、120sであった。薄膜46の膜厚ムラの有無の目視確認結果は、上記表1のとおりであり、目視確認で膜厚ムラが確認された。
[検証実験6]
検証実験6では、厚さd2が150nmになるように薄膜46を形成した点以外は、検証実験5と同様に実験を行った。したがって、検証実験5においても凸部42の厚さd1は240μmであり、傾斜角θは15°であった。真空乾燥での乾燥時間は、検証実験1の場合と同様に、300sであった。真空乾燥での乾燥時間と、乾燥速度から乾燥開始から初期段階終了までの時間は、150sであった。薄膜46の膜厚ムラの有無の目視確認結果は、上記表1のとおりであり、目視確認で膜厚ムラが確認された。
上記表1に示したように、フィルム44の傾斜角θが10°以上である場合には、薄膜46に膜厚ムラが生じていた一方、フィルム44の傾斜角θが10°未満である5°である場合、薄膜46に膜厚ムラが生じていなかった。この結果は、薄膜46の厚さd2が75nmである場合も、150nmである場合も同様であった。また、実験方法は、検証実験1〜6で同じである。よって、上記膜厚ムラの有無は、フィルム44の傾斜角θの違いによるインク流動によるものと考えられる。すなわち、傾斜角θが10°未満(より具体的には5°以下)であれば、インク流動を抑制できている。
前述したように、乾燥工程の初期段階終了まではインク流動が生じ易いことから、乾燥工程の初期段階終了まで電極付き基板20を、基板12の表面12aの水平面に対する傾斜角が10°未満になるように水平搬送すれば、膜厚ムラを抑制でき、発光層16を均一な厚さ(又は所望の厚さ)で形成可能である。
電極付き基板20の水平搬送は、水平搬送領域における複数の搬送ローラRの配置状態で実現され得る。具体的には、水平搬送領域における複数の搬送ローラRの最上部の線分が互いに実質的に平行であり、且つ、それらの線分を含む仮想平面の水平面に対する傾斜角が10°未満であればよく、好ましくは、5°以下であればよい。
水平搬送領域は、塗布工程S10Aの開始時から乾燥工程S10Bの初期段階の終了時までであることが好ましい。これにより、塗布工程S10A中におけるインク流動も抑制されるので、膜厚ムラがより一層低減され得る。塗布工程S10Aの開始時とは、塗布膜形成領域にインク26が塗布される時を意味する。水平搬送領域は、塗布工程S10Aの開始時から乾燥工程S10Bの終了時までであることが、より一層好ましい。
塗布工程S10Aでは、電極付き基板20が自重で垂れ下がるのを防止して水平に維持するために、図3に示したように、電極付き基板20の下方に配置された複数のガス浮上ステージ48を用いてもよい。複数のガス浮上ステージ48は、電極付き基板20の搬送方向において、離間して配置される。ガス浮上ステージ48それぞれは、電極付き基板20の下面にガス(気体)を吹き付けて電極付き基板20を浮上させることが可能な構成であればよい。ガスの例は空気(エア)であり、この場合、ガス浮上ステージ48は、エア浮上ステージである。ガスは空気以外の他のガスでもよい。ガス浮上ステージ48では、電極付き基板20の下面に吹き付けるガスの流量、風速等を調整することで、電極付き基板20の水平を維持可能である。
水平面における電極付き基板20の搬送方向をX軸方向とし、水平面における電極付き基板20の幅方向をY軸方向とし、X軸方向及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向(重力方向)とした場合、設計上、発光層形成工程S10で使用される複数の搬送ローラRは、その中心軸がY軸方向に平行に配置される。ただし、複数の搬送ローラRは、設計上の配置位置から一定の許容誤差で配置されていてもよい。
設計通りに配置される搬送ローラを仮想ローラRvとし、上記許容誤差をズレ量Gとして、ズレ量Gについて図6を利用して説明する。図6では、仮想ローラRv及び搬送ローラRを太い実線で模式的に示している。
図6に示したように、仮想ローラRvは、Y軸方向に沿って配置される。この際、仮想ローラRvの一端に搬送ローラRの一端を揃えて、仮想ローラRvと搬送ローラRの長さが1mである場合に換算した場合の仮想ローラRvの他端と搬送ローラRの他端との差をズレ量Gと定義する。この場合、ズレ量Gは50μm以下であることが好ましい。このズレ量Gは、3次元的なズレ量である。
このようなズレ量Gであれば、電極付き基板20が実質的に水平搬送され得るとともに、電極付き基板20の蛇行も抑制される。そのため、蛇行に伴う塗布膜28のしわが生じ難い。塗布膜28にしわがあると、塗布膜28の厚さが不均一になりやすく(又は所望の厚さからズレが生じやすく)、膜厚ムラが生じ易いが、上記のようなズレ量Gで複数の搬送ローラRが配置されている場合、しわに起因する膜厚ムラも抑制できる。
図6を利用してズレ量Gの概念を説明したが、搬送ローラRは、一定の大きさを有するため、ズレ量Gは、仮想ローラRv及び搬送ローラRの中心軸のズレ量Gで有り得る。
通常、電極付き基板20の搬送には、10N/m以上の張力が付加される。塗布膜28にしわを生じさせないために、電極付き基板20を搬送する際の張力は、50N/m以下が好ましい。電極付き基板20の搬送方向に加えられる張力は、テンション調整機構(図示せず)によって、調整されてもよい。
上記塗布工程S10Aの終了時から塗布膜28が乾燥装置30の乾燥炉32に搬入されるまでは、インク26は自然乾燥する(自然乾燥工程)。自然乾燥において、乾燥状態は制御できないので、自然乾燥工程の時間は短い方がよい。すなわち、インク塗布器24と乾燥装置30とは近接していることが好ましい。自然乾燥工程の時間は短くすることで、自然乾燥による膜厚ムラを抑制できる。
自然乾燥工程の時間は、乾燥工程S10Bの直前においてインク26が液状であるように設定される時間が好ましく、例えば乾燥工程S10Bの直前においてインク26の粘度が25mPa・s以下になるように設定され得る。一実施形態において、この自然乾燥工程の時間は、インク26の固形分濃度が5重量%以下になる程度の時間であってもよい。乾燥工程S10Bの直前においてインク26の粘度又は固形分濃度が上記範囲内である場合には、自然乾燥工程においてインク26がレベリング性を保っているからである。自然乾燥工程の時間の例は、30秒程度である。自然乾燥工程の時間は、インク塗布器24と乾燥装置30との間の距離及び電極付き基板20の搬送速度で調整され得る。
乾燥工程S10Bの直前においてインク26が液状であるように、自然乾燥工程の時間が設定されていれば、自然乾燥を十分抑制可能である。例えば、電極付き基板20にインク26が着弾した直後の粘度が1mPa・s〜25mPa・sである場合、乾燥工程S10Bの直前においてインク26の粘度が25mPa・s以下になるように自然乾燥工程の時間が設定されていれば、自然乾燥を十分抑制可能である。同様に、電極付き基板20にインク26が着弾した直後のインク26の固形分濃度が5重量%以下である場合、乾燥工程S10Bの直前においてインク26の固形分濃度が5重量%以下になるように、自然乾燥工程の時間が設定されていれば、自然乾燥を十分抑制可能である。
通常、自然乾燥工程の間に、塗布膜28を形成した後の電極付き基板20の検査が行われる。前述したように、自然乾燥工程の時間は短い方がよい(例えば30秒程度)ため、検査の効率的に行われる必要がある。そのため、電極付き基板20の上方に配置された撮像部36により塗布工程S10A後の電極付き基板20を撮影し、電極付き基板20の状態、より具体的には塗布膜28の状態を検査することが好ましい。撮像部36の例は、カメラであり得る。
自然乾燥を防止するために、塗布工程S10Aの終了後から乾燥工程S10Bまでの電極付き基板20の搬送経路を、溶媒蒸発防止カバー50で覆ってもよい。このように、溶媒蒸発防止カバー50で電極付き基板20を覆うことで、溶媒蒸発防止カバー50内が飽和蒸気圧になりやすく、溶媒の蒸発を防止できるからである。その結果、自然乾燥による膜厚ムラを抑制できる。例えば溶媒蒸発防止カバー50の内側が飽和蒸気圧以上になるように溶媒蒸発防止カバー50内に気体(例えば蒸気)を供給してもよい。自然乾燥工程で電極付き基板20の状態を検査する場合、例えば溶媒蒸発防止カバー50は、透光性を有する材料で溶媒蒸発防止カバー50の全体を構成してもよいし、又は、透光性を有する材料で電極付き基板20の上方部分を構成してもよい。
溶媒蒸発防止カバー50は、電極付き基板20において塗布膜28が形成される側を覆っていればよい。よって、図3に模試的に示したように、筒状に形成してもよいし、電極付き基板20において塗布膜28が形成される側のみを覆うように形成されていてもよい。
インク26の溶媒の沸点が150℃以上である形態では、上記自然乾燥が生じ難い。そのため、膜厚ムラをより一層抑制可能である。
塗布法としてインクジェット印刷法は、ロールツーロール方式に適している。ロールツーロール方式では、長尺の電極付き基板20上に連続的に発光層16を形成できるので、有機EL素子10を効率的に製造可能である。更に、塗布工程S10Aにおいても電極付き基板20を水平搬送する際、インクジェット印刷法により、水平搬送される電極付き基板20上に、インク26を塗布し易い。
以上、本発明の種々の実施形態及び実施例について説明した。しかしながら、本発明は上述した種々の実施形態及び実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
有機EL素子10が、前述したように、陽極14と発光層16の間及び発光層16と陰極18との間の少なくとも一方に更に機能層を備える場合、各機能層を、機能層形成工程の一例として説明した発光層形成工程S10と同様の方法で形成すればよい。例えば発光層16上に電子輸送層を形成する場合、発光層形成工程S10で巻き取られた電極付き基板20を、図3における巻出しロール22Aの位置にセットして、発光層形成工程S10と同様の方法と同様にして、電子輸送層を形成すればよい。この際、インク塗布器24からは電子輸送層用の材料を含むインク26を塗布すればよい。電子輸送層以外の他の機能層も同様である。
上記実施形態では、機能層を形成する際の塗布法としてインクジェット印刷法を採用した形態を例示した。しかしながら、上記塗布法としては、電極付き基板上にインクを塗布可能な方法であればよい。インクジェット印刷法以外の塗布法としては、例えばスリットコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法及びノズルプリント法等が挙げられる。電極付き基板を塗布工程から乾燥工程までを水平搬送する形態では、上記例示した塗布法のうち、水平搬送されている電極付き基板にインクを塗布可能な方法、例えばスリットコート法が採用され得る。
これまでの説明では、第1の電極を陽極とし、第2の電極を陰極として説明したが、第1の電極が陰極であって、第2の電極が陽極であってもよい。基板及びそれを含む電極付き基板は、長尺状でなくてもよい。有機EL素子は、枚葉状の基板又はそれを含む枚葉状の電極付き基板から製造されてもよい。
10…有機EL素子、12…基板、14…陽極(第1の電極)、16…発光層(機能層)、18…陰極(第2の電極)、20…電極付き基板、24…インク塗布器、26…インク、28…塗布膜、30…乾燥装置、48…ガス浮上ステージ、50…溶媒蒸発防止カバー、R…搬送ローラ。

Claims (12)

  1. 可撓性の基板と、前記基板の表面上に設けられた第1の電極と、前記第1の電極上に設けられた有機EL用の機能層と、前記機能層上に設けられる第2の電極とを有する有機EL素子の製造方法であって、
    前記基板上に前記第1の電極が形成された電極付き基板上に、前記機能層を形成する機能層形成工程と、
    前記機能層上に前記第2の電極を形成する電極形成工程と、
    を備え、
    前記機能層形成工程は、
    前記電極付き基板上に配置されたインク塗布器から前記機能層の材料を含むインクを前記第1の電極上に塗布して塗布膜を形成する塗布工程と、
    前記塗布膜を乾燥装置により乾燥させる乾燥工程と、
    を有し、
    前記電極付き基板を搬送しながら前記塗布工程から前記乾燥工程までを実施し、
    少なくとも前記塗布工程の終了時から前記乾燥工程における初期段階の終了時までは、前記電極付き基板を水平搬送する、
    有機EL素子の製造方法。
  2. 前記塗布工程の開始時から前記初期段階の終了時まで、前記電極付き基板を水平搬送する、
    請求項1に記載の有機EL素子の製造方法。
  3. 前記乾燥装置に前記塗布膜が搬入される際の前記インクの粘度が25mPa・s以下である、
    請求項1又は2に記載の有機EL素子の製造方法。
  4. 前記乾燥装置に前記塗布膜が搬入される際の前記インクの固形分濃度が5重量%以下である、
    請求項1〜3の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  5. 前記塗布工程の終了時から前記乾燥装置まで前記電極付き基板を搬送する間、前記電極付き基板を溶媒蒸発防止カバーで覆う、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  6. 前記電極付き基板は、複数の搬送ローラで搬送され、
    水平面における前記電極付き基板の搬送方向をX軸とし、水平面における前記X軸に直交する方向をY軸とし、前記X軸及び前記Y軸に直交する方向をZ軸とし、水平面内において前記Y軸に沿って延在する長さ1mの仮想ローラの一端に前記搬送ローラの一端を揃えて配置するとともに、前記仮想ローラ及び前記搬送ローラの長さを1mと仮定した際に、前記仮想ローラの他端と前記搬送ローラの他端とのズレ量が50μm以下である、
    請求項1〜5の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  7. 前記塗布工程では、前記電極付き基板の下方からガスを吹き付けながら、前記電極付き基板を水平に維持する、
    請求項1〜6の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  8. 前記インク塗布器は、インクジェット塗布器である、
    請求項1〜7の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  9. 前記乾燥装置は、赤外線乾燥装置である、
    請求項1〜8の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 前記塗布工程において前記インクが前記電極付き基板に塗布された直後の前記インクの粘度が、1mPa・s〜25mPa・sである、
    請求項1〜9の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  11. 前記塗布工程において前記インクが前記電極付き基板に塗布された直後の前記インクの固形分濃度が、5重量%以下である、
    請求項1〜10の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
  12. 前記インクは、沸点が150℃以上の溶媒を含む、
    請求項1〜11の何れか一項に記載の有機EL素子の製造方法。
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