JP6744720B2 - 有機デバイスの製造方法およびロール - Google Patents

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Description

本発明は、有機デバイスの製造方法及びロールに関する。
従来の有機デバイスの製造方法として、例えば、特許文献1及び2に記載された方法が知られている。特許文献1に記載の有機デバイスの製造方法では、可撓性の支持体上に、ガスバリア層、電極層及び塗布により形成される有機材料層を少なくとも1層有する、ロールツーロール方式による有機デバイスの製造方法において、有機材料層又は対向電極を形成した後、乾燥剤含有層を有する保護フィルムを有機材料層に重ね合わせて巻き取る。
特許文献2に記載の有機デバイスの製造方法では、少なくとも陽極層形成工程、有機機能層形成工程、及び陰極層形成工程の何れかの工程が終了した後、陽極層、有機化合物層、及び陰極層の何れかが積層された帯状可撓性基材をロール状に巻き取り回収し、不活性ガス雰囲気にて保管する。
特開2009−123532号公報 特開2007−149589号公報
可撓性基材を用いた有機デバイスの製造方法では、有機機能層等を形成した後に、基材をロール状に巻き取って一時的に保管することがある。このとき、基材に形成された有機機能層等は、酸素及び/又は水分により、劣化するおそれがある。そこで、特許文献1に記載の有機デバイスの製造方法では、乾燥剤含有層を有する保護フィルムを有機材料層に貼り合わせている。しかしながら、この製造方法では、保護フィルムを貼り合わせる工程が必要となるため工程が煩雑になると共に、保護フィルムを貼り合わせる装置が必要となるため製造コストが増大する。また、特許文献2に記載の有機デバイスの製造方法では、ロール状の基材を保管する雰囲気を低酸素濃度及び低水分濃度とするために、低水分濃度の不活性ガスを用いている。しかしながら、不活性ガスは安価ではないため、製造コストの増大が避けられない。
本発明は、製造コストを抑えつつ劣化を抑制できる有機デバイスの製造方法及びロールを提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る有機デバイスの製造方法は、帯状の可撓性を有する基材を用いて、連続搬送方式により有機デバイスを製造する有機デバイスの製造方法であって、基材には、長手方向の一端及び他端のそれぞれに、ガスバリア性を有するリード部が設けられており、基材上に電極層及び有機機能層の少なくとも一層を形成する形成工程と、形成工程の後に、基材をロール状に巻き取る巻取工程と、巻取工程の後に、ロール状の基材を保管する保管工程と、を含む。
この有機デバイスの製造方法では、使用する帯状の可撓性を有する基材は、長手方向の一端及び他端のそれぞれにリード部を有している。リード部は、ガスバリア性を有している。これにより、巻取工程において基材をロール状に巻き取ったときに、ロールの内側及び外側にリード部が配置される。そのため、リード部のガスバリア性により、保管工程において、電極層及び/又は有機機能層への酸素及び/又は水分の侵入を抑制できる。このように、有機デバイスの製造方法では、保護フィルム又は不活性ガスを用いなくとも電極層及び/又は有機機能層を保護できるため、製造コストを抑えつつ劣化を抑制できる。
一実施形態においては、電極層は、第1電極層及び第2電極層を含み、形成工程では、基材上に、第1電極層、有機機能層、及び第2電極層をこの順番で形成してもよい。これにより、第1電極層、有機機能層及び第2電極層により構成される有機デバイスの劣化を、リード部により抑制できる。
一実施形態においては、基材の表面及び裏面の少なくとも一方には、ガスバリア層が設けられていてもよい。これにより、電極層及び/又は有機機能層に酸素及び/又は水分が侵入することをより一層抑制できる。
一実施形態においては、リード部には、ガスバリアフィルム又は金属箔が設けられていてもよい。これにより、リード部のガスバリア性を確保できる。
一実施形態においては、リード部の長さは、基材を巻き取って形成されるロールの外周の長さよりも長くてもよい。これにより、ロールの外周がリード部により覆われるため、電極層及び/又は有機機能層に酸素及び/又は水分が侵入することをより確実に抑制できる。
一実施形態においては、基材の幅方向における両端部の一面上には、所定の第1温度以上で粘着力が高くなり且つ所定の第2温度以下で粘着力が低くなる感温性粘着部材が設けられており、形成工程の後で且つ保管工程の前に、感温性粘着部材を所定の第1温度以上に加熱する加熱工程を含んでいてもよい。これにより、基材の一面(感温性粘着部材が設けられていない面)と感温性粘着部材とが密着するため、酸素及び/又は水分が、基材の幅方向側から侵入することを抑制できる。したがって、電極層及び/又は有機機能層をより一層保護できる。
一実施形態においては、保管工程の後、次の工程を実施する前に、感温性粘着部材が所定の第2温度以下となるように低温処理を実施する低温処理工程を含んでいてもよい。これにより、感温性粘着部材の粘着力が低下するため、基材から感温性粘着部材を剥離できる。
本発明の一側面に係るロールは、帯状の可撓性を有する基材が巻き取られたロールであって、基材上には、電極層及び有機機能層の少なくとも一層が形成されており、基材には、長手方向の一端及び他端のそれぞれに、ガスバリア性を有するリード部が設けられている。
このロールでは、基材の長手方向の一端及び他端のそれぞれに、ガスバリア性を有するリード部が設けられている。この構成では、リード部のガスバリア性により、電極層及び/又は有機機能層への酸素及び/又は水分の侵入を抑制できる。このように、ロールでは、当該ロールを保管するときに、保護フィルム又は不活性ガスを用いなくとも電極層及び/又は有機機能層を保護できるため、製造コストを抑えつつ劣化を抑制できる。
本発明によれば、製造コストを抑えつつ電極層及び/又は有機機能層の劣化を抑制できる。
一実施形態に係る有機デバイスの製造方法によって製造された有機EL素子の断面図である。 支持基板を示す平面図である。 図2におけるIII−III線に沿った断面図である。 有機デバイスの製造方法を示すフローチャートである。 ロールツーロール方式による有機デバイスの製造方法を模式的に示す図である。 支持基板が巻き取られたロールの側面図である。 他の実施形態に係る有機デバイスの製造方法に用いられる支持基板を示す図である。 他の実施形態に係る有機デバイスの製造方法を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本実施形態の有機デバイスの製造方法によって製造される有機EL素子(有機デバイス)1は、支持基板(基材)3と、陽極層(第1電極層)5と、有機機能層7と、陰極層(第2電極層)9と、封止層11と、を備えている。
[支持基板]
支持基板3は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する樹脂から構成されている。支持基板3は、フィルム状の基板(フレキシブル基板、可撓性を有する基板)である。支持基板3の厚さは、例えば、30μm以上500μm以下である。
支持基板3は、例えば、プラスチックフィルムである。支持基板3の材料は、例えば、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂を含む。
支持基板3の材料は、上記樹脂の中でも、耐熱性が高く、線膨張率が低く、かつ、製造コストが低いことから、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレンレテフタレート、ポリエチレンナフタレートが特に好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
図2に示されるように、支持基板3の長手方向の一端及び他端のそれぞれ(両端)には、リード部4A,4Bが設けられている。リード部4A,4Bは、芯C(図6参照)に巻き取られる領域、又は、支持基板3が巻き取られたロールR(図6参照)の外周に巻き付けられる領域である。リード部4A,4Bは、支持基板3と一体に形成されていてもよいし、支持基板3に取り付けられてもよい。また、リード部4A,4Bは、支持基板3と同じ材料で形成されていてもよいし、支持基板3とは別の材料で形成されていてもよい。
リード部4A,4Bの長さLは、支持基板3が巻き取られたロールRの外周の長さよりも長く設定される。具体的には、リード部4A,4Bの長さLは、例えば、以下の式(1)により求められる。
L=2πD …(1)
上記式において、Dは、巻き取られたロールRの直径[m]である。直径Dは、以下の式(2)により求められる。

上記式(2)において、tは、支持基板3の厚み[m]、lは、ロールRの全長[m]、dは、芯Cの直径[m]である。
リード部4A,4Bのそれぞれは、水分及び/又は酸素を遮蔽するガスバリア性を有している。具体的には、図3に示されるように、リード部4A,4Bには、ガスバリア層6が形成されている。ガスバリア層6は、支持基板3のリード部4Aにおける一方の主面4Aaに配置されている。ガスバリア層6は、支持基板3のリード部4Bにおける一方の主面4Aaにも配置されている。なお、ガスバリア層6は、支持基板3のリード部4A,4Bにおける他方の主面4Abに配置されていてもよいし、一方の主面4Aa及び他方の主面4Abの両面に配置されていてもよい。
ガスバリア層6は、ガスバリアフィルム又は金属箔である。ガスバリアフィルムは、例えば、支持基板3上に形成される、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、又は酸化アルミニウム等の無機酸化物の単層又は複層の薄膜である。ガスバリアフィルムは、脆弱性を改良するために、上記無機酸化物の層(無機層)と有機材料の層(有機層)とから成る複層構造であることが好ましい。無機層と有機層の積層順は限定されないが、両層を交互に複数回積層させることが好ましい。ガスバリアフィルムの形成方法は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法を挙げることができる。
金属箔としては、例えば、アルミニウム、銅又はニッケル等の金属材料、或いは、ステンレス又はアルミニウム合金等の合金材料を用いることができる。なお、リード部4A,4Bは、リード部4A,4B自体がガスバリア性を有する材料で形成されていてもよい。
[陽極層]
陽極層5は、支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。陽極層5には、光透過性を示す電極層が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、及び銅等からなる薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズからなる薄膜が好適に用いられる。
陽極層5として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物の透明導電膜を用いてもよい。また、陽極層5として、金属又は金属合金等をメッシュ状にパターニングした電極、或いは、銀を含むナノワイヤーがネットワーク状に形成されている電極を用いてもよい。
陽極層5の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定することができる。陽極層5の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陽極層5の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法及び塗布法等を挙げることができる。
[有機機能層]
有機機能層7は、陽極層5及び支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。有機機能層7は、発光層を含んでいる。有機機能層7は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する有機物、或いは該有機物とこれを補助する発光層用ドーパント材料を含む。発光層用ドーパント材料は、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために加えられる。なお、有機物は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。有機機能層7を構成する発光材料としては、例えば後述の色素材料、金属錯体材料、高分子材料、発光層用ドーパント材料を挙げることができる。
(色素材料)
色素材料としては、例えばシクロペンダミン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、トリフェニルアミン及びその誘導体、オキサジアゾール及びその誘導体、ピラゾロキノリン及びその誘導体、ジスチリルベンゼン及びその誘導体、ジスチリルアリーレン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、チオフェン化合物、ピリジン化合物、ペリノン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、オキサジアゾールダイマー及びその誘導体、ピラゾリンダイマー及びその誘導体、キナクリドン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体を挙げることができる。
(金属錯体材料)
金属錯体材料としては、例えばTb、Eu、Dy等の希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体を挙げることができる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体を挙げることができる。
(高分子材料)
高分子材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、上記色素材料、金属錯体材料を高分子化した材料を挙げることができる。
(発光層用ドーパント材料)
発光層用ドーパント材料としては、例えばペリレン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、キナクリドン及びその誘導体、スクアリウム及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体、スチリル色素、テトラセン及びその誘導体、ピラゾロン及びその誘導体、デカシクレン及びその誘導体、フェノキサゾン及びその誘導体を挙げることができる。
有機機能層7の厚さは、通常2nm〜200nmである。有機機能層7は、例えば、上記のような発光材料を含む塗布液(例えばインク)を用いる塗布法により形成される。発光材料を含む塗布液の溶媒としては、発光材料を溶解するものであれば、限定されない。
[陰極層]
陰極層9は、有機機能層7及び支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。陰極層9は、引出電極9aに電気的に接続されている。引出電極9aは、支持基板3の一方の主面3aに配置されている。引出電極9aは、陽極層5と所定の間隔をあけて配置されている。引出電極9aの厚さは、陽極層5の厚さと同等である。引出電極9aの材料は、陽極層5の材料と同様である。
陰極層9の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表第13族金属を用いることができる。陰極層9の材料としては、より具体的には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金を挙げることができる。
また、陰極層9としては、例えば、導電性金属酸化物及び導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いることができる。導電性金属酸化物としては、具体的には、例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、及びIZOを挙げることができる。導電性有機物としては、具体的には、例えばポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体を挙げることができる。なお、陰極層9は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、電子注入層が陰極層9として用いられる場合もある。
陰極層9の厚さは、電気伝導度、耐久性を考慮して設定される。陰極層9の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極層9の形成方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法及び塗布法を挙げることができる。
[封止層]
封止層11は、有機EL素子1において最上部に配置されている。封止層11は、粘接着層(図示しない)により接合されている。封止層11は、金属箔、透明なプラスチックフィルムの表面若しくは裏面又はその両面にバリア機能層を形成したバリアフィルム、或いはフレキブル性を有する薄膜ガラス、プラスチックフィルム上にバリア性を有する金属積層させたフィルム等からなり、ガスバリア機能、特に水分バリア機能を有する。金属箔としては、バリア性の観点から、銅、アルミニウム、ステンレスが好ましい。金属箔の厚さは、ピンホール抑制の観点から厚い程好ましいが、フレキシブル性の観点も考慮すると15μm〜50μmが好ましい。
[有機デバイスの製造方法]
続いて、上記構成を有する有機EL素子1の製造方法について、図4を参照して説明する。
有機EL素子1の製造方法では、図5に概念的に示されるように、ロールツーロール方式(連続搬送方式)が採用される。ロールツーロール方式で有機EL素子1を製造する場合、巻出しロール30Aと巻取りロール30Bとの間に張り渡された長尺の可撓性の支持基板3を連続的に搬送ローラ31で搬送しながら、各層を支持基板3側から順に形成する。なお、図5では、基板乾燥工程S01から陰極層形成工程S04までの工程を一例に示している。
図4に示されるように、有機EL素子1を製造する場合、最初に、支持基板3を加熱し、支持基板3を乾燥させる(基板乾燥工程S01)。次に、乾燥された支持基板3(一方の主面3a)上に、陽極層5及び引出電極9aを形成する(陽極層形成工程(形成工程)S02)。陽極層5(引出電極9a)は、陽極層5の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。
続いて、陽極層5上に有機機能層7を形成する(有機機能層形成工程(形成工程)S03)。有機機能層7は、有機機能層7の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。次に、有機機能層7上に陰極層9を形成する(陰極層形成工程(形成工程)S04)。陰極層9は、陰極層9の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。
続いて、陰極層9が形成された支持基板3をロール状に巻き取る(巻取工程S05)。図6に示されるように、支持基板3が芯Cに巻き取られると、ロールRが形成される。ロールRでは、リード部4Aが芯Cに巻き取られている。リード部4Bは、ロールRの外周に巻き付けられている。これにより、ロールRでは、内側がリード部4Aにより覆われ、外側がリード部4Bにより覆われる。そして、ロールRを、例えば保管庫等に保管する(保管工程S06)。
続いて、保管工程S06において保管されていたロールRを用意し、支持基板3上に形成された有機機能層7及び陰極層9を封止層11により封止する(封止工程S07)。具体的には、ロールRを準備し、巻出しロール30Aと巻取りロール30Bとの間に支持基板3を張り渡して、封止層11を貼り合わせる。以上により、有機EL素子1が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係る有機デバイスの製造方法では、使用する帯状の可撓性を有する支持基板3は、長手方向の一端及び他端のそれぞれにリード部4A,4Bを有している。リード部4A,4Bは、ガスバリア性を有している。これにより、保管工程S06において支持基板3をロール状に巻き取ったときに、ロールRの内側及び外側にリード部4A,4Bが配置される。そのため、リード部4A,4Bのガスバリア性により、有機機能層7及び陰極層9が酸素及び/又は水分から保護される。このように、有機デバイスの製造方法では、保護フィルム又は不活性ガスを用いなくとも有機機能層7及び陰極層9を保護できるため、製造コストを抑えつつ劣化を抑制できる。
本実施形態では、支持基板3上に、陽極層5、有機機能層7、及び陰極層9をこの順番で形成した後に、支持基板3を巻き取って保管する。これにより、陽極層5、有機機能層7、及び陰極層9により構成される有機EL素子(有機デバイス)の劣化を、リード部4A,4Bにより抑制できる。
本実施形態では、リード部4A,4Bには、ガスバリアフィルム又は金属箔により形成されたガスバリア層6が設けられている。これにより、リード部4A,4Bのガスバリア性を確保できる。
本実施形態では、リード部4A,4Bの長さは、支持基板3を巻き取って形成されるロールRの外周の長さよりも長い。これにより、ロールRの外周がリード部4A又はリード部4Bにより覆われるため、有機機能層7及び陰極層9に酸素及び/又は水分が侵入することをより確実に抑制できる。
なお、本発明は上記した本実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、陽極層5と陰極層9との間に発光層を含む有機機能層7が配置された有機EL素子1を例示した。しかし、有機機能層7の構成はこれに限定されない。有機機能層7は、以下の構成を有していてもよい。
(a)(陽極層)/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(h)(陽極層)/発光層/電子注入層/(陰極層)
(i)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれの材料は、公知の材料を用いることができる。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれは、例えば、有機機能層7と同様に塗布法により形成できる。
有機EL素子1は、単層の有機機能層7を有していてもよいし、2層以上の有機機能層7を有していてもよい。上記(a)〜(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極層5と陰極層9との間に配置された積層構造を「構造単位A」とすると、2層の有機機能層7を有する有機EL素子の構成として、例えば、下記(j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位A)の層構成は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
(j)陽極層/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極層
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデン等からなる薄膜を挙げることができる。
また、「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の有機機能層7を有する有機EL素子の構成として、例えば、以下の(k)に示す層構成を挙げることができる。
(k)陽極層/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極層
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位B)x」は、(構造単位B)がx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の有機機能層7を直接的に積層させて有機EL素子を構成してもよい。
上記実施形態では、ロールツーロール方式により、支持基板3上に陽極層5を形成する形態を一例に説明した。しかし、支持基板3上に陽極層5を予め形成し、巻出しロール30Aと巻取りロール30Bとの間に張り渡された長尺の陽極層5が形成された支持基板3を連続的に搬送ローラ31で搬送しながら、有機EL素子1の製造に係る各工程を実施してもよい。
上記実施形態では、基板乾燥工程S01を実施しているが、基板乾燥工程S01は実施しなくてもよい。
上記実施形態では、陰極層形成工程S04の後に巻取工程S05及び保管工程S06を実施する形態を一例に説明した。しかし、巻取工程及び保管工程は、有機機能層形成工程S03の後に実施されてもよい。巻取工程及び保管工程は、任意のタイミング(各工程の途中)で実施することができる。
上記実施形態に加えて、支持基板3の一方の主面(表面)3a及び他方の主面(裏面)3bの少なくとも一方に、ガスバリア層を設けてもよい。これにより、有機機能層7及び陰極層9に酸素及び/又は水分が侵入することをより一層抑制できる。
上記実施形態に加えて、有機デバイスの製造方法では、以下の方法を採用することができる。他の実施形態に係る有機デバイスの製造方法について、図7及び図8を参照して説明する。なお、図8における基板乾燥工程S11から巻取工程S15までは、上記実施形態の基板乾燥工程S01から巻取工程S05までと同様であるため、詳細な説明は省略する。
図7に示されるように、支持基板3には、感温性粘着シート(感温性粘着部材)13が設けられている。感温性粘着シート13は、支持基板3の幅方向における両端部の一の主面3a上にそれぞれに配置され、長手方向に沿って貼付されている。感温性粘着シート13は、所定の第1温度以上で粘着力が高くなり且つ所定の第2温度以下で粘着力が低くなる。具体的には、感温性粘着シート13は、例えば、50℃以上で粘着性を発現し、3℃以下で粘着力が低下する(他の部材に対して剥離可能となる)。
巻取工程S15の後、ロールRに加熱処理を実施する(加熱工程S16)。加熱工程S16では、例えば、50℃以上のオーブン等の加熱室にロールRを投入することにより、ロールRを加熱する。ロールRを加熱することにより、感温性粘着シート13に粘着性が発現し(高くなり)、感温性粘着シート13と支持基板3の他方の主面3bとが密着する。そして、ロールRを、例えば保管庫等に保管する(保管工程S17)。
続いて、保管工程S17において保管されていたロールRを用意し、ロールRに低温処理を実施する(低温処理工程S18)。低温処理工程S18では、例えば、3℃以下の冷却室にロールRを投入することにより、ロールRに低温処理を施す。ロールRに低温処理を施すことにより、感温性粘着シート13の粘着力が低下し、支持基板3の他方の主面3bから感温性粘着シート13が剥離する。そして、支持基板3上に形成された有機機能層7及び陰極層9を封止層11により封止する(封止工程S19)。具体的には、低温処理が施されたロールRを準備し、巻出しロール30Aと巻取りロール30Bとの間に支持基板3を張り渡して、封止層11を貼り合わせる。以上により、有機EL素子1が製造される。
上記の有機デバイスの製造方法では、支持基板3の他方の主面3bと感温性粘着シート13とが密着するため、酸素及び/又は水分が、支持基板3の幅方向側から侵入することを抑制できる。したがって、有機機能層7及び陰極層9をより一層保護でき、劣化を抑制できる。
上記実施形態では、加熱工程S16において、ロールR全体を加熱する形態を一例に説明したが、感温性粘着シート13が貼付されたロールRの両端部をスポットヒータで加熱してもよい。また、低温処理工程S18において、ロールR全体に低温処理を施す形態を一例に説明したが、ロールRを繰り出すときに感温性粘着シート13に冷風を吹き付けてもよい。
上記実施形態では、巻取工程S15においてロールRを形成した後に加熱工程S16においてロールRを加熱する形態を一例に説明した。しかし、支持基板3をロール状に巻き取る前に、例えばロールラミネータにより感温性粘着シート13を加熱してもよい。すなわち、加熱工程の後に巻取工程を実施してもよい。
上記実施形態では、有機デバイスとして、有機EL素子を一例に説明した。有機デバイスは、有機薄膜トランジスタ、有機フォトディテクタ、有機薄膜太陽電池等であってもよい。
1…有機EL素子(有機デバイス)、3…支持基板(基材)、3a…一方の主面(表面)、3b…他方の主面(裏面)、4A,4B…リード部、5…陽極層(第1電極層)、7…有機機能層、9…陰極層(第2電極層)、13…感温性粘着シート(感温性粘着部材)、R…ロール、S02,S12…陰極層形成工程(形成工程)、S03,S13…有機機能層形成工程(形成工程)、S04,S14…陰極層形成工程(形成工程)、S05,S15…巻取工程、S06,S17…保管工程、S16…加熱工程、S18…低温処理工程。

Claims (7)

  1. 帯状の可撓性を有する基材を用いて、連続搬送方式により有機デバイスを製造する有機デバイスの製造方法であって、
    前記基材には、長手方向の一端及び他端のそれぞれに、ガスバリア性を有するリード部が設けられており、
    前記リード部の長さは、前記基材を巻き取って形成されるロールの外周の長さよりも長く、
    前記基材上に電極層及び有機機能層の少なくとも一層を形成する形成工程と、
    前記形成工程の後に、前記基材をロール状に巻き取る巻取工程と、
    前記巻取工程の後に、ロール状の前記基材を保管する保管工程と、を含む、有機デバイスの製造方法。
  2. 前記電極層は、第1電極層及び第2電極層を含み、
    前記形成工程では、前記基材上に、前記第1電極層、前記有機機能層、及び前記第2電極層をこの順番で形成する、請求項1に記載の有機デバイスの製造方法。
  3. 前記基材の表面及び裏面の少なくとも一方には、ガスバリア層が設けられている、請求項1又は2に記載の有機デバイスの製造方法。
  4. 前記リード部には、ガスバリアフィルム又は金属箔が設けられている、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機デバイスの製造方法。
  5. 前記基材の幅方向における両端部の一面上には、所定の第1温度以上で粘着力が高くなり且つ所定の第2温度以下で粘着力が低くなる感温性粘着部材が設けられており、
    前記形成工程の後で且つ前記保管工程の前に、前記感温性粘着部材を前記所定の第1温度以上に加熱する加熱工程を含む、請求項1〜のいずれか一項に記載の有機デバイスの製造方法。
  6. 前記保管工程の後、次の工程を実施する前に、前記感温性粘着部材が前記所定の第2温度以下となるように低温処理を実施する低温処理工程を含む、請求項に記載の有機デバイスの製造方法。
  7. 帯状の可撓性を有する基材が巻き取られたロールであって、
    前記基材上には、電極層及び有機機能層の少なくとも一層が形成されており、
    前記基材には、長手方向の一端及び他端のそれぞれに、ガスバリア性を有するリード部が設けられており、
    前記リード部の長さは、前記基材を巻き取って形成される当該ロールの外周の長さよりも長い、ロール。
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