JP2018185926A - 有機デバイスの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】有機デバイスごとに適切に個片化できる有機デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】有機デバイス1の製造方法では、一方向に延在する支持基板3の一方の主面3a上に、少なくとも第1電極層5、有機機能層7及び第2電極層9をこの順番で積層した有機デバイス部10を、所定の間隔をあけて複数形成する形成工程と、各有機デバイス部10における第1電極層5及び第2電極層9それぞれの一部が露出し且つ複数の有機デバイス部10に跨がるように、一方向に延在する封止部材11を一方向に沿って貼り合わせる貼合工程と、有機デバイス部10を個片化する裁断工程と、を含み、裁断工程では、支持基板3の一方の主面3aにおける封止部材11が貼合されていない領域及び封止部材11を支持した状態で、支持基板3の他方の主面3b側から裁断刃Bを進入させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、有機デバイスの製造方法に関する。
従来の有機デバイスの製造方法としては、例えば、特許文献1に記載された方法が知られている。特許文献1に記載の有機デバイスの製造方法では、可撓性を有する支持基板の上に少なくとも第1電極と、少なくとも一層の発光層を含む有機層と、第2電極とを順次積層した積層体を有する有機デバイス部を形成し、有機デバイス部の第2電極上に接着剤を介してバリア層に金属箔を用いた封止部材を貼合した後、支持基板の上の接着剤からなる接着剤層、封止部材の順に積層した部分において、支持基板側から封止部材側に向けて断裁刃を進行させて、封止部材を貼合した構造体を支持基板、接着剤からなる接着剤層、封止部材の順に断裁し、個別の有機EL素子を製造する。
国際公開第2010/067721号
有機デバイスとしては、第1電極及び第2電極それぞれの一部を露出させて、封止部材が設けられているものがある。このような有機デバイスを製造する場合には、第1電極及び第2電極の一部が露出するように封止部材を複数の有機デバイス部に貼り合わせた後に裁断し、有機デバイスごとに個片化する。このとき、従来の有機デバイスの製造方法のように、支持基板側から封止部材側に向けて断裁刃を進行させると、以下のような問題が生じ得る。すなわち、封止部材が設けられている部分と封止部材が設けられていない部分とでは、高さが異なる。そのため、封止部材を下側にして載置台等に有機デバイスを載置すると、封止部材が設けられていない部分が支持されないため、支持基板側から封止部材側に向けて断裁刃を進行させると、支持基板が撓む等して支持基板を適切に裁断できず、有機デバイスごとに適切に個片化することができない。
本発明の一側面は、有機デバイスごとに適切に個片化できる有機デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面に係る有機デバイスの製造方法は、一方向に延在する支持基板の一方の主面上に、少なくとも第1電極層、有機機能層及び第2電極層をこの順番で積層した有機デバイス部を、所定の間隔をあけて複数形成する形成工程と、各有機デバイス部における第1電極層及び第2電極層それぞれの一部が露出し且つ複数の有機デバイス部に跨がるように、一方向に延在する封止部材を一方向に沿って貼り合わせる貼合工程と、封止部材が貼合された複数の有機デバイス部を個片化する裁断工程と、を含み、裁断工程では、支持基板の一方の主面における封止部材が貼合されていない領域と封止部材とを支持した状態で、支持基板の他方の主面側から裁断刃を進入させる。
本発明の一側面に係る有機デバイスの製造方法では、裁断工程において、支持基板の一方の主面における封止部材が貼合されていない領域と封止部材とを支持した状態で、支持基板の他方の主面側から裁断刃を進入させる。この方法では、支持基板及び封止部材が支持されているため、支持基板を裁断するときに、封止部材が貼合されていない部分の支持基板が撓むこと等が抑制される。したがって、有機デバイスの製造方法では、有機デバイスを適切に個片化できる。
一実施形態においては、裁断工程では、上記領域及び封止部材と当接する支持体によって、上記領域及び封止部材を支持してもよい。この方法では、支持体によって、上記領域及び封止部材を適切に支持できる。したがって、有機デバイスをより適切に個片化できる。
一実施形態においては、支持体は、有機デバイス部及び封止部材を収容可能であり且つ一方向に延在する空間を有しており、裁断工程では、有機デバイス部及び封止部材を空間に位置させると共に、空間を画成する一面に封止部材を当接させた状態で、他方の主面側から裁断刃を進入させてもよい。この方法では、支持基板を搬送しつつ支持体に支持基板を支持させることができる。したがって、裁断工程における作業性の向上を図ることができる。
一実施形態においては、支持体には、上記領域を支持する位置に裁断刃が進入可能な溝が設けられていてもよい。この方法では、支持体によって支持基板を支持しつつ、支持基板を裁断することができる。
本発明の一側面によれば、有機デバイスごとに適切に個片化できる。
図1は、一実施形態に係る有機デバイスの製造方法により製造された有機EL素子の断面図である。 図2は、有機EL素子の製造方法を示すフローチャートである。 図3は、有機デバイス部に封止部材を貼り合わせた状態を示す斜視図である。 図4は、裁断工程を説明するための図である。 図5は、裁断工程を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
図1に示されるように、本実施形態の有機デバイスの製造方法によって製造される有機EL素子(有機デバイス)1は、支持基板3と、陽極層(第1電極層)5と、有機機能層7と、陰極層(第2電極層)9と、封止部材11と、を備えている。陽極層5、有機機能層7及び陰極層9は、有機EL部(有機デバイス部)10を構成している。有機EL素子1は、陽極層5に電気的に接続された引出電極13と、陰極層9に電気的に接続された引出電極15と、を備えていてもよい。
[支持基板]
支持基板3は、可視光(波長400nm〜800nmの光)に対して透光性を有する樹脂から構成されている。支持基板3は、フィルム状の基板(フレキシブル基板、可撓性を有する基板)である。支持基板3の厚さは、例えば、30μm以上500μm以下である。支持基板3が樹脂の場合は、ロールツーロール方式の連続時の基板ヨレ、シワ、及び伸びの観点からは45μm以上、可撓性の観点からは125μm以下が好ましい。
支持基板3は、例えば、プラスチックフィルムである。支持基板3の材料は、例えば、ポリエーテルスルホン(PES);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、環状ポリオレフィン等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリビニルアルコール樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物;ポリアクリロニトリル樹脂;アセタール樹脂;ポリイミド樹脂;エポキシ樹脂等を含む。
支持基板3の材料は、上記樹脂の中でも、耐熱性が高く、線膨張率が低く、かつ、製造コストが低いことから、ポリエステル樹脂、又はポリオレフィン樹脂が好ましく、ポリエチレンレテフタレート、又はポリエチレンナフタレートがより好ましい。また、これらの樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
支持基板3の一方の主面3a上には、ガスバリア層、或いは、水分バリア層が配置されていてもよい。支持基板3の他方の主面3bは、発光面である。支持基板3の他方の主面3bには、光取り出しフィルムが設けられていてもよい。光取り出しフィルムは、粘着層によって、支持基板3の他方の主面3bに貼合されていてもよい。なお、支持基板3は、薄膜ガラスであってもよい。支持基板3が薄膜ガラスの場合、その厚さは、強度の観点からは30μm以上、可撓性の観点からは100μm以下が好ましい。
[陽極層]
陽極層5は、支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。陽極層5には、光透過性を示す電極層が用いられる。光透過性を示す電極としては、電気伝導度の高い金属酸化物、金属硫化物及び金属等の薄膜を用いることができ、光透過率の高い薄膜が好適に用いられる。例えば酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide:略称ITO)、インジウム亜鉛酸化物(Indium Zinc Oxide:略称IZO)、金、白金、銀、銅等からなる薄膜が用いられ、これらの中でもITO、IZO、又は酸化スズからなる薄膜が好適に用いられる。
陽極層5として、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等の有機物の透明導電膜を用いてもよい。また、陽極層5として、上記で挙げられた金属又は金属合金等をメッシュ状にパターニングした電極、或いは、銀を含むナノワイヤーがネットワーク状に形成されている電極を用いてもよい。
陽極層5の厚さは、光の透過性、電気伝導度等を考慮して決定することができる。陽極層5の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜200nmである。
陽極層5の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のドライ成膜法、インクジェット法、スリットコーター法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スプレーコーター法等の塗布法を挙げることができる。また、陽極層5は、さらにフォトリソ法、ドライエッチング法、レーザートリミング法等を用いてパターンを形成することができる。塗布法を用いて支持基板3上に直接塗布することで、フォトリソ法、ドライエッチング法、レーザートリミング法等を用いることなくパターンを形成することもできる。
支持基板3の一方の主面3a上には、電極層6が配置されている。電極層6は、陽極層5と所定の間隔をあけて、陽極層5と離間して(電気的に絶縁して)配置されている。電極層6の厚さ、材料及び形成方法は、陽極層5と同様であり得る。
陽極層5上には、引出電極13が配置されている。引出電極13は、支持基板3の一方の端部(後述する引出電極15が配置される端部とは反対側の端部)に配置されている。本実施形態では、引出電極13の端面は、陽極層5の端面(支持基板3の端面)と面一である。引出電極13の厚さ、材料及び形成方法は、後述する陰極層9と同様であり得る。
[有機機能層]
有機機能層7は、陽極層5の主面(支持基板3に接する面の反対側)上及び支持基板3の一方の主面3a上に配置されている。有機機能層7は、引出電極13と離間して配置されている。有機機能層7は、発光層を含んでいる。有機機能層7は、通常、主として蛍光及び/又はりん光を発光する発光材料、或いは該発光材料とこれを補助する発光層用ドーパント材料を含む。発光層用ドーパント材料は、例えば発光効率を向上させたり、発光波長を変化させたりするために加えられる。なお、蛍光及び/又はりん光を発光する発光材料は、低分子化合物であってもよいし、高分子化合物であってもよい。有機機能層7を構成する有機物としては、例えば下記の色素材料、金属錯体材料、高分子材料等の蛍光及び/又はりん光を発光する発光材料や、下記の発光層用ドーパント材料等を挙げることができる。
(色素材料)
色素材料としては、例えばシクロペンダミン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、トリフェニルアミン及びその誘導体、オキサジアゾール及びその誘導体、ピラゾロキノリン及びその誘導体、ジスチリルベンゼン及びその誘導体、ジスチリルアリーレン及びその誘導体、ピロール及びその誘導体、チオフェン化合物、ピリジン化合物、ペリノン及びその誘導体、ペリレン及びその誘導体、オリゴチオフェン及びその誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー、キナクリドン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体等を挙げることができる。
(金属錯体材料)
金属錯体材料としては、例えばTb、Eu、Dy等の希土類金属、又はAl、Zn、Be、Pt、Ir等を中心金属に有し、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を配位子に有する金属錯体等を挙げることができる。金属錯体としては、例えばイリジウム錯体、白金錯体等の三重項励起状態からの発光を有する金属錯体、アルミニウムキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾリル亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、フェナントロリンユーロピウム錯体等を挙げることができる。
(高分子材料)
高分子材料としては、例えばポリパラフェニレンビニレン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリパラフェニレン及びその誘導体、ポリシラン及びその誘導体、ポリアセチレン及びその誘導体、ポリフルオレン及びその誘導体、ポリビニルカルバゾール及びその誘導体、上記色素材料、又は金属錯体材料を高分子化した材料等を挙げることができる。
(発光層用ドーパント材料)
発光層用ドーパント材料としては、例えばペリレン及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、ルブレン及びその誘導体、キナクリドン及びその誘導体、スクアリウム及びその誘導体、ポルフィリン及びその誘導体、スチリル色素、テトラセン及びその誘導体、ピラゾロン及びその誘導体、デカシクレン及びその誘導体、フェノキサゾン及びその誘導体等を挙げることができる。
有機機能層7の厚さは、通常約2nm〜200nmである。有機機能層7は、例えば、上記のような発光材料を含む塗布液(例えばインク)を用いる塗布法により形成される。発光材料を含む塗布液の溶媒としては、発光材料を溶解するものであれば、限定されない。また、上記のような発光材料は、真空蒸着によって形成されてもよい。
[陰極層]
陰極層9は、有機機能層7の主面(陽極層5に接する面の反対側)上、及び電極層6の主面(支持基板3に接する面の反対側)上に配置されている。陰極層9の材料としては、例えばアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属及び周期表第13族金属等を用いることができる。陰極層9の材料としては、具体的には、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、前記金属のうちの2種以上の合金、前記金属のうちの1種以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうちの1種以上との合金、又はグラファイト若しくはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等を挙げることができる。
また、陰極層9としては、例えば、導電性金属酸化物や、導電性有機物等からなる透明導電性電極を用いることができる。導電性金属酸化物としては、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ITO、IZO等を挙げることができ、導電性有機物としてポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体等を挙げることができる。なお、陰極層9は、2層以上を積層した積層体で構成されていてもよい。なお、後述の電子注入層が陰極層9として用いられる場合もある。
陰極層9の厚さは、電気伝導度、耐久性を考慮して設定される。陰極層9の厚さは、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
陰極層9の形成方法としては、例えば、インクジェット法、スリットコーター法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、スプレーコーター法等の塗布法、真空蒸着法、スパッタリング法、金属薄膜を熱圧着するラミネート法等を挙げることができ、真空蒸着法、又はスパッタリング法が好ましい。また、陰極層9は、さらにフォトリソ法、ドライエッチング法、レーザートリミング法等を用いてパターンを形成することができる。
引出電極15は、陰極層9と一体に形成されている。引出電極15は、電極層6上に配置されている。引出電極15は、支持基板3の他方の端部(引出電極13が配置される端部とは反対側の端部)上に配置されている。引出電極15は、陰極層9の端部から支持基板3の他方の端部まで延在している。本実施形態では、引出電極15の端面は、電極層6の端面(支持基板3の端面)と面一である。引出電極15の厚さ、材料及び形成方法は、陰極層9と同様であり得る。
[封止部材]
封止部材11は、有機EL素子1において最上部に配置されている。封止部材11は、粘接着部17と、バリア層18と、封止基材19と、を有している。封止部材11は、粘接着部17、バリア層18及び封止基材19の順番で積層されている。粘接着部17は、バリア層18及び封止基材19を陽極層5、有機機能層7及び陰極層9に接着させるために用いられる。粘接着部17は、具体的には、光硬化性又は熱硬化性のアクリレート樹脂、或いは、光硬化性又は熱硬化性のエポキシ樹脂から構成される。その他一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルム、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、ポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、ポリブタジエン(PB)フィルム等の熱融着性フィルムを使用することもできる。また、熱可塑性樹脂も使用することができる。
バリア層18は、ガスバリア機能、特に水分バリア機能を有する。封止基材19は、金属箔、透明なプラスチックフィルム、或いはフレキブル性を有する薄膜ガラス等からなる。金属箔としては、バリア性の観点から、銅、アルミニウム、又はステンレスが好ましい。金属箔の厚さは、ピンホール抑制の観点から厚い程好ましいが、フレキシブル性の観点も考慮すると10μm〜50μmが好ましい。
[有機EL素子の製造方法]
続いて、上記構成を有する有機EL素子1の製造方法について説明する。
支持基板3が可撓性を有し、長手方向に延在する基板である形態では、図2に示される基板乾燥工程S01から貼合工程S05まで、ロールツーロール方式が採用され得る。
有機EL素子1を製造する場合、最初に、支持基板3を加熱し、乾燥させる(基板乾燥工程S01)。次に、乾燥された支持基板3の一方の主面3a上に、陽極層5を形成する(陽極層形成工程(形成工程)S02)。陽極層5は、陽極層5の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。図3に示されるように、支持基板3上には、陽極層5が、支持基板3の長手方向(図3のY方向)において所定の間隔をあけて複数形成されると共に、支持基板3の幅方向(図3のX方向)において所定の間隔をあけて複数(本実施形態では2つ)形成される。
続いて、陽極層5上に、有機機能層7を形成する(有機機能層形成工程(形成工程)S03)。有機機能層7は、有機機能層7の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。次に、有機機能層7上に、陰極層9を形成する(陰極層形成工程(形成工程)S04)。陰極層9は、陰極層9の説明の際に例示した形成方法で形成し得る。以上により、支持基板3上に、有機EL部10が複数形成される。
続いて、封止部材11を貼り合わせる(貼合工程S05)。封止部材11は、所定の幅を有し、支持基板3の長手方向に延在する。具体的には、封止部材11は、図3に示されるように、陽極層5及び陰極層9のそれぞれの一部が露出するように幅が設定され、帯状を呈している。封止部材11は、可撓性を有している。封止部材11は、封止基材19の一方の面に粘接着部17が設けられている。封止部材11は、封止基材19の一方の面にバリア層18を介して粘接着部17が形成された後に帯状に切断されてもよいし、封止基材19を帯状に切断した後に封止基材19の一方の面にバリア層18を介して粘接着部17を形成してもよい。
封止部材11は、陽極層5の一部及び陰極層9の一部(引出電極13の一部及び引出電極15の一部)が露出するように、複数の有機EL部10上に貼付される。具体的には、封止部材11は、複数の有機EL部10に跨るように一方向に沿って貼付される。ロールツーロール方式では、支持基板3を搬送しながら、支持基板3上に形成された有機EL部10と封止部材11とを貼り合わせる。支持基板3と封止部材11とは、加熱ローラ(図示省略)の間を通過する。これにより、支持基板3及び封止部材11は、加熱ローラによって、加熱されつつ圧力が付与される。これにより、粘接着部17が軟化し、粘接着部17と有機EL部10とが密着する。有機EL部10と封止部材11とを貼り合わせるときは、水分濃度の低い環境で行うことが好ましく、特に窒素雰囲気で行われることが好ましい。
続いて、封止部材11が貼合された複数の有機EL部10を個片化する(裁断工程S06)。図3に示されるように、裁断工程S06では、裁断線Lに沿って支持基板3及び封止部材11を裁断し、封止部材11が貼合された複数の有機EL部10を個片化する。具体的には、図4及び図5に示されるように、支持基板3及び封止部材11を支持体100で支持して、裁断刃Bで支持基板3を裁断する。図4は、図3のX方向に沿った断面をY方向から見た図であり、陽極層5及び有機機能層7を含む位置での断面を示している。図5は、図3のX方向に沿った断面をY方向から見た図であり、陽極層5及び有機機能層7を含まない位置での断面を示している。
支持体100は、支持基板3の一方の主面3aにおいて封止部材11が貼合されていない領域(以下、「領域Z」と称する。)、及び、封止部材11を支持する。支持体100は、有機EL部10及び封止部材11を収容可能な空間Sを有している。空間Sは、互いに対向する一対の側面100a,100bと、底面(一方の面)100cと、により画成されている。支持体100では、底面100cと対向する部分は開口している。空間Sは、支持基板3の長手方向に沿って延在している。すなわち、空間Sは、支持基板3の長手方向において所定の間隔をあけて設けられた複数の有機EL部10を収容可能である。また、図4に示されるように、支持体100は、溝Cを有している。溝Cは、裁断刃Bが進入する位置(一方の主面3aが載置される位置)に設けられている。溝Cは、支持基板3の長手方向に沿って延在している。溝Cの深さは、空間Sを形成する底面100cと同等又は底面100cよりも低く設けられている。
裁断刃Bは、裁断線Lに応じた形状であり、枠状を呈している。本実施形態では、裁断刃Bは、4枚の刃部材が一体に設けられている。裁断刃Bは、例えば、複数設けられている。これにより、裁断工程S06では、一度に封止部材11が貼合された複数の有機EL部10を個片化できる。裁断工程S06では、図4及び図5に示されるように、複数の有機EL部10が形成された支持基板3を支持体100で支持させる。具体的には、封止部材11が支持体100の底面100cに当接すると共に、支持基板3の領域Z(有機機能層7が形成されていない領域)が支持体100と当接するように、支持体100に支持基板3を支持させる。そして、裁断刃Bを支持基板3の他方の主面3b側から進入させる。裁断刃Bは、その先端が封止部材11の表面(封止基材19の表面)に到達する位置まで進行させる。これにより、封止部材11が貼合された複数の有機EL部10が個片化される。以上により、図1に示される有機EL素子1が製造される。
以上説明したように、本実施形態に係る有機EL素子1の製造方法では、裁断工程S06において、封止部材11が貼合されていない支持基板3の領域Z及び封止部材11を支持した状態で、支持基板3の他方の主面3b側から裁断刃Bを進入させる。この方法では、支持基板3及び封止部材11が支持されているため、支持基板3を裁断するときに、封止部材11が貼合されていない部分の支持基板3が撓むこと等が抑制される。したがって、有機EL素子1の製造方法では、有機EL素子1ごとに適切に個片化できる。
本実施形態に係る有機EL素子1の製造方法では、裁断工程S06において、支持基板3の領域Z及び封止部材11と当接する支持体100によって、領域Z及び封止部材11を支持する。この方法では、支持体100によって、支持基板3の領域Z及び封止部材11を適切に支持できる。したがって、有機EL素子1ごとにより適切に個片化できる。
本実施形態に係る有機EL素子1の製造方法では、裁断工程S06において、有機EL部10及び封止部材11を収容可能であり且つ支持基板3の長手方向に延在する空間Sを有する支持体100を用いる。裁断工程S06では、有機EL部10及び封止部材11を空間Sに位置させると共に、空間Sを画成する底面100cに封止部材11を当接させた状態で、支持基板3の他方の主面3b側から裁断刃Bを進入させる。この方法では、支持基板3を搬送しつつ支持体100に支持基板3を支持させることができる。したがって、有機EL素子1の製造方法では、裁断工程S06における作業性の向上を図ることができる。
本実施形態に係る有機EL素子1の製造方法では、裁断工程S06に用いる支持体100は、支持基板3の領域Zを支持する位置に裁断刃Bが進入可能な溝Cが設けられている。これにより、有機EL素子1の製造方法では、支持体100によって支持基板3を支持しつつ、支持基板3を裁断することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、陽極層5と陰極層9との間に発光層を含む有機機能層7が配置された有機EL素子1を例示した。しかし、有機機能層7の構成はこれに限定されない。有機機能層7は、以下の構成を有していてもよい。
(a)(陽極層)/発光層/(陰極層)
(b)(陽極層)/正孔注入層/発光層/(陰極層)
(c)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(d)(陽極層)/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(e)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/(陰極層)
(f)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/(陰極層)
(g)(陽極層)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
(h)(陽極層)/発光層/電子注入層/(陰極層)
(i)(陽極層)/発光層/電子輸送層/電子注入層/(陰極層)
ここで、記号「/」は、記号「/」を挟む各層が隣接して積層されていることを示す。上記(a)に示す構成は、上記実施形態における有機EL素子1の構成を示している。
正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれの材料は、公知の材料を用いることができる。正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層のそれぞれは、例えば、有機機能層7と同様に塗布法により形成できる。
ここで、電子注入層は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属、又は、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の酸化物、フッ化物を含有していてもよい。電子注入層の成膜法としては、塗布法、真空蒸着法等を挙げることができる。酸化物及びフッ化物の場合は、電子注入層の厚さは0.5nm〜20nmが好ましい。電子注入層は、特に絶縁性が強い場合は、有機EL素子1の駆動電圧上昇を抑制する観点からは、薄膜であることが好ましく、その厚さは、例えば、0.5nm〜10nmであることが好ましく、また、電子注入性の観点からは、2nm〜7nmであることが好ましい。
有機EL素子1は、単層の有機機能層7を有していてもよいし、2層以上の有機機能層7を有していてもよい。上記(a)〜(i)の層構成のうちのいずれか1つにおいて、陽極層5と陰極層9との間に配置された積層構造を「構造単位A」とすると、2層の有機機能層7を有する有機EL素子の構成として、例えば、下記(j)に示す層構成を挙げることができる。2個ある(構造単位A)の層構成は、互いに同じであっても、異なっていてもよい。
(j)陽極層/(構造単位A)/電荷発生層/(構造単位A)/陰極層
ここで電荷発生層とは、電界を印加することにより、正孔と電子とを発生する層である。電荷発生層としては、例えば酸化バナジウム、ITO、酸化モリブデン等からなる薄膜を挙げることができる。
また、「(構造単位A)/電荷発生層」を「構造単位B」とすると、3層以上の有機機能層7を有する有機EL素子の構成として、例えば、以下の(k)に示す層構成を挙げることができる。
(k)陽極層/(構造単位B)x/(構造単位A)/陰極層
記号「x」は、2以上の整数を表し、「(構造単位B)x」は、(構造単位B)がx段積層された積層体を表す。また複数ある(構造単位B)の層構成は同じでも、異なっていてもよい。
電荷発生層を設けずに、複数の有機機能層7を直接的に積層させて有機EL素子を構成してもよい。
上記実施形態では、支持基板3上に陽極層5を形成する形態を一例に説明した。しかし、支持基板3上に陽極層5を予め形成したロールを用いてもよい。
上記実施形態では、有機EL素子1の製造方法において、支持基板3を加熱して乾燥させる工程を実施する形態を一例に説明した。しかし、支持基板3の乾燥工程は必ずしも実施しなくてもよい。
上記実施形態では、支持体100に空間S及び溝Cが設けられている形態を一例に説明した。しかし、裁断工程S06では、封止部材11が貼合されていない支持基板3の領域Z及び封止部材11を支持する形態であれば、支持体100を用いなくてもよい。例えば、裁断工程S06では、封止部材11を台等に載置した状態で、支持基板3の領域Zを支持部材(例えば、柱状の部材等)で支持してもよい。
上記実施形態では、裁断刃Bが枠状を呈している形態を一例に説明した。しかし、裁断刃の形状はこれに限定されない。裁断刃は、裁断線に沿って裁断可能な形状であれば、いなかる形状であってもよい。
上記実施形態では、有機デバイスとして、有機EL素子を一例に説明した。有機デバイスは、有機薄膜トランジスタ、有機フォトディテクタ、有機薄膜太陽電池等であってもよい。
上記実施形態では、第1電極層が陽極層5であり、第2電極層が陰極層9である形態を一例に説明した。しかし、第1電極層が陰極層であり、第2電極層が陽極層であってもよい。
上記実施形態では、引出電極13,15を有する形態を一例に説明した。しかし、引出電極は設けられていなくてもよい。
上記実施形態では、図4に示されるように、引出電極13及び引出電極15となる電極層が支持体100に当接する形態を一例に説明した。しかし、支持基板3の一方の主面3aが支持体100に当接してもよい。
上記実施形態では、図4に示されるように、領域Zの一部が支持体100に支持される形態を一例に説明した。しかし、領域Zの全面が支持体に支持されてもよい。
1…有機EL素子(有機デバイス)、3…支持基板、3a…一方の主面、3b…他方の主面、5…陽極層(第1電極層)、7…有機機能層、9…陰極層(第2電極層)、10…有機EL部(有機デバイス部)、11…封止部材、100…支持体、B…裁断刃、C…溝、S…空間。

Claims (4)

  1. 一方向に延在する支持基板の一方の主面上に、少なくとも第1電極層、有機機能層及び第2電極層をこの順番で積層した有機デバイス部を、所定の間隔をあけて複数形成する形成工程と、
    各前記有機デバイス部における前記第1電極層及び前記第2電極層それぞれの一部が露出し且つ複数の前記有機デバイス部に跨がるように、前記一方向に延在する封止部材を前記一方向に沿って貼り合わせる貼合工程と、
    前記封止部材が貼合された複数の前記有機デバイス部を個片化する裁断工程と、を含み、
    前記裁断工程では、前記支持基板の前記一方の主面における前記封止部材が貼合されていない領域と前記封止部材とを支持した状態で、前記支持基板の他方の主面側から裁断刃を進入させる、有機デバイスの製造方法。
  2. 前記裁断工程では、前記領域及び前記封止部材と当接する支持体によって、前記領域及び前記封止部材を支持する、請求項1に記載の有機デバイスの製造方法。
  3. 前記支持体は、前記有機デバイス部及び前記封止部材を収容可能であり且つ前記一方向に延在する空間を有しており、
    前記裁断工程では、前記有機デバイス部及び前記封止部材を前記空間に位置させると共に、前記空間を画成する一方の面に前記封止部材を当接させた状態で、前記他方の主面側から前記裁断刃を進入させる、請求項2に記載の有機デバイスの製造方法。
  4. 前記支持体には、前記一方の主面の前記領域を支持する位置に前記裁断刃が進入可能な溝が設けられている、請求項2又は3に記載の有機デバイスの製造方法。
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