JP2014101269A - ガラスフィルムの切断方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラスフィルムの切断端面に破損原因となる微小クラックが発生するのを抑え、しかも作業性良くガラスフィルムを切断予定線に沿って切断することが可能なガラスフィルムの切断方法の提供。
【解決手段】ガラスフィルム1の切断予定線2の一部に初期クラック3を形成した後、ガラスフィルム1の一方の面を支持部材5で支持した状態で、ガラスフィルム1の他方の面側が凸になるようにガラスフィルム1を撓ませることによって、切断予定線2に引張応力を作用させることで、初期クラック3を切断予定線2に沿って進展させてガラスフィルム1を切断する。
【選択図】図1
【解決手段】ガラスフィルム1の切断予定線2の一部に初期クラック3を形成した後、ガラスフィルム1の一方の面を支持部材5で支持した状態で、ガラスフィルム1の他方の面側が凸になるようにガラスフィルム1を撓ませることによって、切断予定線2に引張応力を作用させることで、初期クラック3を切断予定線2に沿って進展させてガラスフィルム1を切断する。
【選択図】図1
Description
本発明は、ガラスフィルムの切断技術の改良に関する。
近年、テレビ受像機などの映像表示装置としては、陰極線管(CRT)に代わって、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、有機EL表示装置(OLED)、フィールドエミッション表示装置(FED)などに代表されるフラットパネル表示装置(FPD)が普及しつつある。
これらのフラットパネル表示装置のガラス基板としては、厚みが0.7mm程度のものが使用されるのが一般的であったが、近年ではフラットパネル表示装置の軽量化のために更なる薄板化が推進されたガラスフィルムが開発されるに至っている。
また、有機EL表示装置にも使用される有機ELは自発光するという特性を有するため、単色で照明装置としての利用も図られており、当該有機EL照明装置においても気密性を確保するためにガラス基板が使用される場合が多い。そして、有機EL照明装置においては、ガラス基板に可撓性があれば、発光面を自由に変形させることができ、照明装置としての利用範囲を飛躍的に拡大することが可能となる。そのため、当該有機EL照明装置に使用されるガラス基板においても、高い可撓性を確保するという観点から薄板化が推進されたガラスフィルムが注目されつつある。
しかしながら、当該要請を受けて薄板化されたガラス基板、即ちガラスフィルムは、ダイヤモンドカッター等のカッターで表面の切断予定線に沿ってスクライブ線を形成し、そのスクライブ線に沿って折り割りするという一般的な方法で切断すると、切断後の強度が著しく低下して容易に破損を来たすという問題があった。
詳述すると、スクライブ線は、カッターでガラス基板の表面に傷を付けることによって形成されるものである。この時、当該スクライブ線の形成箇所には、切断後のガラス基板の破損原因となり得る微小クラック(例えば、ラテラルクラックなど)が形成されてしまう。そして、スクライブ線を形成して折り割りを行う切断方法では、スクライブ線をガラス基板の厚み方向に進展させて切断するため、切断後もガラス基板の切断端面には、スクライブ線の形成箇所と共に、破損原因となる微小クラックが残存する。そのため、切断後のガラス基板が曲げられるなどして、微小クラックが残存する切断端面に応力が作用すると、ガラス基板が容易に破損するという問題が生じ得る。
また、ガラス基板の表面にスクライブ線を形成する際には、カッターをガラス基板の表面に対して押圧する必要があるが、ガラスフィルムのようにその厚みが薄くなればなるほど、スクライブ線を形成する深さも浅くなるため、カッターの押圧力も必然的に小さくなる。その結果、カッターの押圧力を適正範囲に調整するのが困難となり、スクライブ線を適正に形成できずに切断不良を来たし易くなるという問題があった。
そこで、これらの問題に対処するために、ガラスフィルムの切断予定線に引張応力を作用させた状態で、初期クラックを形成することでガラスフィルムを切断予定線に沿って切断する方法(特許文献1)や、ガラス板の切断予定ライン上に切り筋を形成した後、切断予定ラインに対応した形状の凹凸部が表面に形成された治具上にガラス板を配置し、凹凸部を変形させて切り筋をオリジンとしたクラックを進展させることによってガラス板を切断する方法(特許文献2)が提案されている。その他、ガラスフィルムの端部に初期クラックを形成し、レーザー照射による加熱と冷媒を吹きかけることによる急冷を行うことで熱応力を付与し、初期クラックを進展させるレーザー割断も提案されている(特許文献3)。
特許文献1には、具体的な方法として、ガラスフィルムの一方の面を支持部材で支持した状態で、ガラスフィルムの他方の面側が凸になるようにガラスフィルムを撓ませることによって、切断予定線に引張応力を作用させる方法が開示されているが、この方法では、支持部材を上昇してガラスフィルムを湾曲させる際、ガラスフィルムの切断予定線が支持部材の中心軸からズレやすく、両者を再度位置合わせする必要があるため、精密な加工を行う場合には作業性が悪いという問題がある。
また特許文献2に開示された方法では、ガラス板の切断予定ライン上に切り筋を形成した後、切断予定ラインに対応した形状の凹凸部が表面に形成された治具上にガラス板を配置し、治具の凹部を減圧してガラス板を変形させるため、ガラス板の広い面積に亘って、治具との接触に起因する傷が形成されやすいという問題がある。また治具の凹部を減圧してガラス板を変形させる際に、ガラス板に必要以上の応力が加わり、切断と同時に切断面同士が接触して欠陥が生じ、その結果としてガラス板の切断面の強度が低下しやすくなるという問題もある。さらにガラス板に樹脂シートを接着させることによって、ガラス板の損傷を防止したり、治具との間の気密性を高めてガラス板を変形しやすくすることが可能であるが、ガラス板に樹脂シートを接着させる工程が増えることによって作業性が著しく低下することになる。
上記特許文献3に記載されているレーザー割断の装置は高価であり、付帯設備等で切断装置全体が複雑になるおそれがある。また、ガラスの厚みが小さくなると、熱応力による引張応力が生じ難くなる。加えて、薄いガラス板に充分な熱応力差をつけるためには、切断スピードを遅くする必要がある等、切断工程の効率が低下する恐れがある。
以上の実情に鑑み、本発明は、ガラスフィルムの切断端面に破損原因となる微小クラックが発生するのを抑え、しかも作業性良くガラスフィルムを切断予定線に沿って切断することが可能なガラスフィルムの切断方法を提供することを技術的課題とする。
上記の課題を解決するために創案された本発明のガラスフィルムの製造方法は、ガラスフィルムの切断予定線の一部に初期クラックを形成した後、ガラスフィルムの一方の面を支持部材で支持した状態で、ガラスフィルムの他方の面側が凸になるようにガラスフィルムを撓ませることによって、切断予定線に引張応力を作用させることで、初期クラックを切断予定線に沿って進展させてガラスフィルムを切断することを特徴とする。
本発明の方法によれば、初期クラックが形成された切断予定線に引張応力が作用すると、当該初期クラックは、引張応力によってガラスフィルムを引き裂きながら切断予定線に沿って進展する。したがって、ガラスフィルムの表面にスクライブ線を形成することなく、引張応力による引き裂き力のみでガラスフィルムを切断可能であるため、切断端面に破損原因となる微小クラックが生じる割合を可及的に低減することが可能となる。
また、ガラスフィルムの一方の面を支持部材で支持した状態で、ガラスフィルムの他方の面側が凸になるように前記ガラスフィルムを撓ませるため、ガラスフィルムの重量が支持部材によって支持されるので、ガラスフィルムに作用する引張応力の大きさを安定させることができ、ガラスフィルムを安定した状態で切断することが可能となる。
また、ガラスフィルムの他方の面側が凸になるように前記ガラスフィルムを撓ませることで切断予定線に引張応力を作用させるため、ガラスフィルムの切断予定線に引張応力を簡単且つ確実に作用させることができると共に、ガラスフィルムの切断を実行している最中もその引張応力を一定レベルに維持することが容易となる。
また、予めガラスフィルムの切断予定線に初期クラックを形成してから引張応力を作用させるため、確実に初期クラックを切断予定線に沿って進展させることができ、作業性良く精密な切断加工を行うことが可能となる。
上記の方法において、前記初期クラックが、前記ガラスフィルムの端部近傍に形成されることが好ましい。
すなわち、切断予定線に引張応力を作用させた場合、ガラスフィルムの端部近傍にも切断予定線と同様の力が作用する。そのため、当該端部近傍に初期クラックを形成すれば、引張応力によって初期クラックを切断予定線に沿って効率よく進展させることが可能となる。なお、ガラスフィルムの端部近傍のうち、ガラスフィルムの表面と端面との境界部に、初期クラックを形成することが好ましい。当該境界部に初期クラックを形成すれば、安定して初期クラックを形成することができるので、その進展をスムーズに行うことができ、切断後に初期クラックの形成部分が、外観上及び強度上も問題となることがない。
上記の方法において、支持部材が、前記切断予定線の両側に前記切断予定線と平行に配置されていることが好ましい。
このようにすれば、支持部材間で支持されたガラスフィルムに対して均等な引張応力を作用させることができるので、ガラスフィルムをより安定した状態で切断することが可能となる。
上記の方法において、前記支持部材から離間した位置に、前記ガラスフィルムを定位置に保持する保持部材を配置することが好ましい。
このようにすれば、切断前後のガラスフィルムの姿勢を同一に保持することができるので、ガラスフィルムの切断過程において、切断完了部分が重力によって垂れ下がるという事態を防止することが可能となる。すなわち、切断完了部分の垂れ下がりによって初期クラックの進展方向先端部に所望の引張応力以外の力が作用するという事態を抑制することができ、安定的なガラスフィルムの切断を実現することができる。
上記の方法において、前記ガラスフィルムの厚みは300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
このようにすれば、ガラスフィルムの厚みとの関係から、初期クラックを形成した切断予定線の一部に引張応力を付与した際に、引張応力による初期クラックの引き裂き力が好適に作用し易くなる。また、上述のようにガラスフィルムを凸状に撓ませることで、切断予定線に引張応力を作用させる場合には、当該範囲内の厚みのガラスフィルムであれば、十分な可撓性を有しているので、容易に凸状に撓ませることが可能となる。
ただしガラスフィルムが極端に薄くなると、破損しやすくなるため、厚みは1μm以上、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは30μm以上、最も好ましくは50μm以上とすべきである。
本発明によれば、ガラスフィルムの切断予定線の一部に初期クラックを形成した後、切断予定線に引張応力を作用させるようにしているので、切断予定線の一部に形成された初期クラックは引張応力による引き裂き力によって自動的に切断予定線に沿って進展する。したがって、予めスクライブ線を形成しなくても、ガラスフィルムを切断することができるので、ガラスフィルムの切断端面に破損原因となる微小クラックが生じる割合を確実に低減することが可能となる。
また、切断予定線に引張応力を作用させるだけで、その後は、初期クラックが切断予定線に沿って自動的に進展するので、煩雑な作業や複雑な制御を要することなく、ガラスフィルムを簡単に切断することが可能となる。
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。
図1(a),(b)は、本発明の第1の実施形態に係る基本的なガラスフィルムの切断方法を説明するための斜視図である。図1(a)に示すように、当該切断方法では、まず、ガラスフィルム1の切断予定線2の一部に初期クラック3を形成する。初期クラック3は、いずれの方法で形成しても良く、例えば、クラック付与部材4をガラスフィルム1の切断予定線2の一部に接触させ、切断予定線2の一部に初期クラック3を形成する。
その後、図1(b)に示すように、ガラスフィルム1の一方の面を支持部材5で支持した状態で、ガラスフィルム1の他方の面側が凸になるようにガラスフィルム1を撓ませることによって、切断予定線2に引張応力6を作用させる。詳細には、切断予定線2の長手方向のあらゆる位置で、切断予定線2と直交し且つガラスフィルム1の表面に沿う方向に引張応力6を作用させる。
このようにして、切断予定線2に作用している引張応力6が一定以上になると、初期クラック3の先端に引張応力6の応力集中に起因する引き裂き力が作用して、初期クラック3が切断予定線2に沿って連続的に進展し、切断予定線2に対応した位置に切断端面7が形成される。このとき、切断対象となるガラスフィルム1の厚みは薄いため、初期クラック3の進展によって形成される切断端面7は、ガラスフィルム1の表裏面に亘って連続的に形成され、ガラスフィルム1はフルカットされることになる。なお、ガラスフィルム1の厚みは、例えば、300μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。
図1(a)に示すように、クラック付与部材4によって初期クラック3を形成する位置は、ガラスフィルム1の表面と端面との境界部であることが好ましい。このようにすれば、当該境界部において、端面のうち、ガラスフィルム1の厚み方向で最も大きな引張応力が作用し、且つ、初期クラック3を安定して付与することができるため、極僅かな範囲に小さな初期クラック3を形成した場合であっても、当該初期クラック3を効率的に進展させることができる。なお、初期クラック3の形成位置は、当該境界部に限定されるものではなく、切断予定線2の一部であればいずれの位置であってもよい。具体的には、例えば、切断予定線2上に位置するガラスフィルム1の端面の厚み方向中央部や、切断予定線2の長手方向の中央部などであってもよい。後者の場合には、切断予定線2の中央部に形成された初期クラック3を基点として、切断予定線2の前後両側に初期クラック3が進展し、ガラスフィルム1が切断される。初期クラック3の形成方法としては、先端の尖った部材や刃で形成しても良いし、レーザー等で形成しても良い。また初期クラック3の形状は、点状であっても良いし、長さ3〜10mmの溝状であっても良い。
以上のようなガラスフィルムの切断方法によれば、初期クラック3が形成された切断予定線2に引張応力6が作用すると、当該初期クラック3が前述のように引張応力6によってガラスフィルム1を引き裂きながら切断予定線2に沿って進展する。したがって、ガラスフィルム1の表面にスクライブ線を形成することなく、引張応力6による引き裂き力のみでガラスフィルム1を切断することができるので、スクライブ線を形成した場合のように切断端面7に破損原因となる微小クラックが生じることがない。なお、切断端面7に破損原因となる微小クラックが生じないので、当該微小クラックを取り除くために別途切断端面7を研磨したり、酸処理するなどの後加工を行う必要もない。
図2(a),(b)は、上述のガラスフィルムの切断方法を体現するための第2の実施形態に係るガラスフィルム切断装置を示す斜視図である。このガラスフィルム切断装置は、
クラック付与部材4と、ガラスフィルム1の幅方向中央部を下方から支持する支持部材5
と、ガラスフィルム1の幅方向両端部を上方から押さえて保持する保持部材8とを備えている。
クラック付与部材4と、ガラスフィルム1の幅方向中央部を下方から支持する支持部材5
と、ガラスフィルム1の幅方向両端部を上方から押さえて保持する保持部材8とを備えている。
クラック付与部材4は、ガラスフィルム切断装置のベース部材9の中央上方に、ガラス
フィルム1と接触する先端部を下方に向けた状態で取り付けられ、昇降可能となっている。
フィルム1と接触する先端部を下方に向けた状態で取り付けられ、昇降可能となっている。
支持部材5は、円柱状をなし、ガラスフィルム1を湾曲させるために、ベース部材9の中央下方に昇降可能に取り付けられている。この支持部材5は、ガラスフィルム1の中央部を下方から支持するものであるので、その長手方向寸法は、ガラスフィルム1の幅方向と直交する方向の寸法と同一か或いはそれよりも大きく設定されている。
保持部材8も、円柱状をなし、ベース部材9の幅方向両側に設けられている。なお、保持部材8は、ガラスフィルム1を上方から押さえることができれば、その長手方向寸法は、特に限定されるものではないが、ガラスフィルム1を確実に押さえるという観点からは、ガラスフィルム1の幅方向と直交する方向の寸法と同一か或いはそれよりも長く設定されていることが好ましい。
なお、この実施形態では、支持部材5と保持部材8とが、それぞれ中実の円柱状を呈しているが、中空の円筒状又は軸に垂直な断面の輪郭が円形以外の三角形やその他の多角形を呈するものであってもよい。支持部材5や保持部材8として、三角柱や多角柱のような形態のものを使用すると、円柱を使用した場合に比べて曲げ応力付与時の応力最大個所を狭くすることが出来、切断予定線2上を進行する切断線の直進性の精度を向上することが可能になる。
次に、以上のように構成されたガラスフィルム切断装置によるガラスフィルムの切断方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、ガラスフィルム1を一方側の保持部材8の下方から支持部材5の上方を通って他方側の保持部材8の下方に至るように掛け渡す。この状態で、ガラスフィルム1の幅方向中央部が、支持部材5で下方から支持され、ガラスフィルム1の幅方向両端部が保持部材8で上方から押さえ付けられる。このとき、支持部材5によって支持される位置にガラスフィルム1の切断予定線2を一致させておく。
次に、クラック付与部材4を下降させてガラスフィルム1に接触させることで、切断予定線2の一部に初期クラック3を形成させた後、クラック付与部材4を上昇させて元の位置に戻す。
次に、図2(a)に示す状態から支持部材5を上昇させることにより、図2(b)に示すように、ガラスフィルム1の切断予定線2に対応した部分が頂点となるようにガラスフィルム1を凸状に撓ませて、切断予定線2に引張応力6を作用させる。この際、支持部材5と接触している側と反対の面、すなわち、ガラスフィルム1の表面(上面)側の切断予定線2に引張応力6が作用する。
そして、このように切断予定線2に引張応力6を作用させた状態で、支持部材5を更に上昇させると、切断予定線2に作用している引張応力6による引き裂き力によって、初期クラック5が切断予定線2に沿って進展し、ガラスフィルム1が切断予定線2に沿ってフルカットされる。
図3(a),(b)は、上述のガラスフィルム切断方法を体現するための第3の実施形態に係るガラスフィルム切断装置を示す図である。この第3の実施形態に係るガラスフィルム切断装置が、第2の実施形態に係るガラスフィルム切断装置と相違するところは、ガラスフィルム1の中央部を支持する支持部材5を、切断予定線2の両側に、切断予定線2と平行に並列に配置した点にある。このようにすれば、2本の支持部材5の間で支持されたガラスフィルム1に対して引張応力6をより均等に作用させることができるので、ガラスフィルム1をより安定した状態で切断することが可能となる。
また、切断予定線2に対応するガラスフィルム1の表裏面は、他部材と非接触状態が保たれている。そのため、この状態では初期クラック3の進展を不当に阻害する抵抗が存在しないため、初期クラック3を引張応力6によって効率よく進展させることができる。また他部材との接触に起因して、ガラスフィルム1の表面に傷が形成されるのを抑えることができる。
図4は、上述のガラスフィルム切断方法を体現するための第4の実施形態に係るガラスフィルム切断装置を示す図である。この第4の実施形態に係るガラスフィルム切断装置が、第2の実施形態に係るガラスフィルム切断装置と相違するところは、ガラスフィルム1の幅方向両端部において、ガラスフィルム1を下方から押さえ付ける保持部材10を更に配置して、ガラスフィルム1の幅方向両端部を上下両側から保持部材8,10によって挟持した点にある。換言すれば、上下の保持部材8,10によって、ガラスフィルム1が定位置で保持されるようにしている。このようにすれば、切断過程においても、ガラスフィルム1を切断前と同一の姿勢で保持することができる。そのため、ガラスフィルム1の切断過程において、ガラスフィルム1の切断完了部分が、自重によって垂れ下がるのを防止することができる。したがって、初期クラック3の進展方向先端部に所望の引張応力以外の力が作用するという事態を防止することができ、初期クラック3の適正な進展に寄与し得る。また、ガラスフィルム1の幅方向両端部を保持部材8,10で挟持しておけば、支持部材5を上昇させた際に、切断予定線2に効率よく引張応力を作用させることも可能となる。
なお、第2乃至第4の実施形態においては、支持部材7や保持部材8,10が片持ち支持されている態様で説明したが、例えば、ガラスフィルム1の幅が広い場合などには、支持部材7や保持部材8,10を両持ち支持する構造にすると、より安定した切断が可能となる。
図5(a),(b)は、上述のガラスフィルム切断方法を体現するための第5の実施形態に係るガラスフィルム切断装置を示す図である。この第5の実施形態に係るガラスフィルム切断装置が、上述の第2〜第4の実施形態に係るガラスフィルム切断装置と相違するところは、切断装置がガラスフィルム1の搬送装置を兼ねている点にある。
詳細には、このガラスフィルム切断装置は、ガラスフィルム1を搬送するための搬送ローラ11を備えている。この搬送ローラ11は、中央ローラ11aと、中央ローラ11aの幅方向両側に配置された側方ローラ11bとの3つに分割されている。
中央ローラ11aと、側方ローラ11bとの間には、ガラスフィルム1の幅方向と直交する方向に沿って支持部材5が配置されている。この支持部材5は、搬送ローラ11で所定の切断作業位置まで搬送されたガラスフィルム1の切断予定線2に対応した部分を下方から支持するようになっている。
側方ローラ11bは、ガラスフィルム1を搬送する作業位置S1よりも下方に退避可能に構成されている。この実施形態では、側方ローラ11bは、作業位置S1と退避位置S2との間を揺動するように構成されている。
そして、図6(a),(b)に示すように、側方ローラ11bを作業位置S1から退避位置S2に退避させると、側方ローラ11bによって支持されていたガラスフィルム1の幅方向端部が、自重により垂れ下がる。そのため、この状態で、支持部材5の長手方向に対応させた切断予定線に引張応力が作用するので、予めクラック付与部材4で切断予定線2の一部に初期クラックを形成しておけば、当該初期クラックが切断予定線2に沿って進展し、ガラスフィルム1をフルカットすることが可能となる。
図7(a)〜(c)は、上述のガラスフィルム切断方法を体現するための第6の実施形態に係るガラスフィルム切断装置を示す図である。この第6の実施形態に係るガラスフィルム切断装置が、上述の第2〜5の実施形態に係るガラスフィルム切断装置と相違するところは、巻芯12の外周に長尺なガラスフィルム1を巻回したガラスロール13を切断対象としている点にある。詳細には、同図(a)〜(c)に示すように、第6の実施形態に係るガラスフィルム切断装置では、ガラスロール13の側方上方に、巻芯12と略平行に支持部材5を配置し、この支持部材5に巻芯12から引き出したガラスフィルム1に切断予定線2を設定し、この切断予定線2の一部(図示例では端部)に図示しないクラック付与部材によって初期クラックを形成してから支持部材5に掛けて、ガラスフィルム1を撓ませる。そして、ガラスフィルム1が支持部材5と接触している部分のうち、ガラスフィルム1が最も屈曲している部分で切断(フルカット)する。ここで、同図(a)〜(c)の相違点は、ガラスフィルム1を掛ける支持部材5の高さ方向位置にある。すなわち、支持部材5は、同図(a)ではガラスロール13の側方上方に、同図(b)ではガラスロール13の側方で且つ巻芯12と略同一高さに、同図(c)ではガラスロール13の側方下方にそれぞれ配置された状態を例示している。なお、保持部材8a,8bは省略してもよいが、保持部材8aを設けることにより、更には保持部材8bを設けることにより、ガラスフィルム1を押えると、より安定した直線性のよい切断を行うことができる。
1 ガラスフィルム
2 切断予定線
3 初期クラック
4 クラック付与部材
5 支持部材
6 引張応力
7 切断端面
8 保持部材
9 ベース部材
10 保持部材
11 搬送ローラ
11a 中央ローラ
11b 側方ローラ
12 巻芯
13 ガラスロール
S1 作業位置
S2 退避位置
2 切断予定線
3 初期クラック
4 クラック付与部材
5 支持部材
6 引張応力
7 切断端面
8 保持部材
9 ベース部材
10 保持部材
11 搬送ローラ
11a 中央ローラ
11b 側方ローラ
12 巻芯
13 ガラスロール
S1 作業位置
S2 退避位置
Claims (5)
- ガラスフィルムの切断予定線の一部に初期クラックを形成した後、前記ガラスフィルムの一方の面を支持部材で支持した状態で、前記ガラスフィルムの他方の面側が凸になるように前記ガラスフィルムを撓ませることによって、前記切断予定線に引張応力を作用させることで、前記初期クラックを前記切断予定線に沿って進展させて前記ガラスフィルムを切断することを特徴とするガラスフィルムの切断方法。
- 前記初期クラックが、前記ガラスフィルムの端部近傍に形成されることを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの切断方法。
- 前記支持部材が、前記切断予定線の両側に前記切断予定線と平行に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラスフィルムの切断方法。
- 前記支持部材から離間した位置に、前記ガラスフィルムを定位置に保持する保持部材を配置したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスフィルムの切断方法。
- 前記ガラスフィルムの厚みが、300μm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスフィルムの切断方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012235260 | 2012-10-25 | ||
JP2012235260 | 2012-10-25 | ||
JP2013216930A JP2014101269A (ja) | 2012-10-25 | 2013-10-18 | ガラスフィルムの切断方法 |
Publications (1)
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