JP2018069735A - ポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材 - Google Patents

ポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】 耐熱性、低カール性、ガスバリア性、機械適性に優れ、特にフィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)の両方向への易引裂性に優れ、好ましくはMD及び/又はTDへの直線易引裂性も卓越したポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材を提供する。【解決手段】 少なくとも3層以上の層からなる共押出し多層フィルムであって、ポリアミド系樹脂(a)を主成分とする基材層(I)と、変性ポリオレフィン系樹脂(b)を主成分とする接着層(II)と、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)20重量%〜70重量%と環状オレフィン系樹脂(d)30重量%〜80重量%をからなる混合樹脂を主成分とする樹脂層(III)を少なくとも1層以上含み、ISO 11357−3に準拠し測定された前記環状オレフィン系樹脂(d)のガラス転移温度が80℃〜150℃であることを特徴とするポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムに関し、さらに詳しくは耐熱性、低カール性、ガスバリア性、機械適性に優れ、特にフィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)の両方向への易引裂性に優れ、好ましくはMD及び/又はTDへの直線易引裂性も卓越したポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材に関するものである。
近年、食の安全が注目される中、飲食物、調味料などの食品に用いる包装袋には、ガスバリア性や水蒸気バリア性などの機能性の付与が求められている。さらに、優れた意匠性やパッケージデザインだけでなく、少子高齢化に対応するため易開封性等のバリアフリー化への要求も強くなってきている。
食品包装袋に用いられる包装用積層体は、バリア性やヒートシール性、耐ピンホール性などの包装袋として必要な特性付与の観点から、包装袋外面に位置するポリアミド、ポリエステル等の基材層に対し、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層を積層したものが用いられてきた。
上記のような積層体からなる包装袋に易開封性を付与する方法として、基材層に易引裂性を付与する方法と基材層に積層させるポリオレフィン系樹脂層に易引裂性を付与する方法に大別できる。
前者としては、例えば、基材層に延伸加工を施した易カットポリアミドフィルムや易カットポリエステルフィルムを用いる方法が挙げられる(特許文献1、2、3)が、このような易カット基材は高価であるだけでなく、フィルムの幅方向において延伸の不均一性が生じ易く、基材として使用する箇所によって、引裂き時の直線性が変化したり、袋状にして引裂いた際に、袋の表側のフィルムと裏側のフィルムのずれ(泣き別れ)が発生し易く、品質が安定しないことが問題となる。
また、後者としては、例えば、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる易カットシーラントフィルムを基材の片側に積層させることにより、包装袋の開封方向に対する直線易カット性を付与する試みがされている(特許文献4)。しかし、該発明では、汎用ポリエステルフィルムと該易カットシーラントフィルムを積層させた場合においては、十分な直線易引裂性が得られていない。
また、両者いずれの方法においても、基材とポリオレフィン系樹脂層を積層させるためには、接着剤やアンカーコート剤を用いたラミネート加工が必須となる。ラミネート加工時に用いる接着剤やアンカーコート剤は、酢酸エチル等の有機溶剤で希釈した状態で使用されることがほとんどであるが、酢酸エチル等の有機溶剤は引火性が高く危険であるだけでなく、人体への有害性もあり、環境への負荷も大きい。
上述の問題に対し、脂肪族ポリアミド樹脂にアイオノマー樹脂と高密度ポリエチレンをブレンドしたポリアミド系樹脂組成物を基材層に用い、共押出法により製膜加工することによりポリアミド系多層フィルムに易引裂性を付与する試みがなされている(特許文献5)。
該発明では、引裂き時の直線性は良好であるが、引裂荷重が大きいために易開封性包材には好適ではない。また、脂肪族ポリアミド樹脂からなる基材層にアイオノマー樹脂と高密度ポリエチレンをブレンドするため、脂肪族ポリアミド樹脂からなる基材層のガスバリア性を低下させる恐れがある。
特開平11−48424 特開平11−309825 特許第3642616 特開2014−159302 特開2005−41093
本発明の目的は、上記した従来技術の問題点を鑑み、特定方向への直線易引裂性に優れるだけでなく、溶剤フリー、耐熱性、低カール性、ガスバリア性、機械適性にも優れるポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材を提供することにある。
特にその中でも、フィルムMD、TDの両方向への易引裂性に優れ、更に好ましくは直線易引裂性にも卓越した、ポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明者が鋭意検討した結果、意外にも特定の構成条件下における共押出多層フィルムを作成すると、上記課題を解決できる多層フィルムが得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、少なくとも3層以上の層からなる共押出し多層フィルムであって、ポリアミド系樹脂(a)を主成分とする基材層(I)と、変性ポリオレフィン系樹脂(b)を主成分とする接着層(II)と、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)20重量%〜70重量%と環状オレフィン系樹脂(d)30重量%〜80重量%からなる混合樹脂を主成分とする樹脂層(III)を少なくとも1層以上含み、ISO 11357−3に準拠し測定された前記環状オレフィン系樹脂(d)のガラス転移温度が80℃〜150℃であることを特徴とするポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第2の発明によれば、第1の発明において、該多層フィルムのJIS K7128−2に準拠して測定されるエルメンドルフ引裂強度が、フィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)において、40N/mm 以下であることを特徴とするポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)の190℃におけるメルトインデックスが0.05〜20g/10minであることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第4の発明によれば、第1〜3のいずれかに記載の発明において、ISO 11357−3に基づき測定される前記ポリアミド系樹脂(a)の融点が170℃〜250℃であることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第5の発明によれば、第1〜4のいずれかに記載の発明において、該多層フィルムを構成する全ての基材層(I)の厚みの合計T(I)と該多層フィルムを構成する全ての樹脂層(III)の厚みの合計T(III)との比率T(I)/T(III)が1.9以下であることを特徴とするポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第6の発明によれば、第1〜5のいずれかに記載の発明において、JIS K7128−2に準拠して測定されるエルメンドルフ引裂試験において、前記フィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)に対して20°傾いた線上が引裂方向となるように調整したフィルム試験片の内層同士を重ね合わせた2枚重ねのフィルム試験片を引裂いたのち、フィルム試験片の引裂断面とフィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)が成す角度で表されるずれ角度θが、フィルムの流れ方向(MD)及び/又はその垂直方向(TD)において10°以下であることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第7の発明によれば、第1〜6のいずれかに記載の発明において、前記フィルムが更にポリオレフィン系樹脂(e)を主成分とする樹脂層(IV)及び/又はポリオレフィン系樹脂(f)を主成分とする樹脂層(V)を含む4層以上からなることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第8の発明によれば、第1〜7のいずれかに記載の発明において、更にエチレン・ビニルアルコール共重合体(g)を主成分とするバリア層(VI)を含むことによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第9の発明によれば、第1〜7のいずれかに記載の発明において、前記フィルムが基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された4層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(IV)が最内層であることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第10の発明によれば、第1〜7のいずれかに記載の発明において、前記フィルムが基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順で積層された5層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(V)が最内層であることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第11の発明によれば、第8の発明において、前記フィルムが基材層(I)/バリア層(VI)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された5層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(IV)が最内層であることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第12の発明によれば、第1〜11のいずれかに記載の発明において、JIS K7126−2に準拠して温度23℃、相対湿度0%の条件下で測定した酸素透過度が500cm/m/24h/atm以下であることによりポリアミド系共押出易引裂多層フィルムが提供される。
また、第13の発明によれば、第1〜12のいずれかに記載の発明におけるポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを用いた包装材が提供される。
本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムによれば、第1の発明においては、少なくとも3層以上の層からなる共押出し多層フィルムであって、ポリアミド系樹脂(a)を主成分とする基材層(I)と、変性ポリオレフィン系樹脂(b)を主成分とする接着層(II)と、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)20重量%〜70重量%と環状オレフィン系樹脂(d)30重量%〜80重量%からなる混合樹脂を主成分とする樹脂層(III)を少なくとも1層以上含み、ISO 11357−3に準拠し測定された前記環状オレフィン系樹脂(d)のガラス転移温度が80℃〜150℃であることにより、易引裂性に優れるだけでなく、耐熱性、低カール性、機械適性、成膜安定性に優れる。
また、第2の発明においては、該多層フィルムのJIS K7128−2に準拠して測定されるエルメンドルフ引裂強度が、フィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)において、40N/mm 以下であることにより、易引裂性に優れる。
また、第3の発明においては、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)の190℃におけるメルトインデックスが0.05〜20g/10minであることにより環状オレフィン系樹脂との分散性に優れるだけでなく、製膜安定性に優れる。
また、第4の発明においては、ISO 11357−3に基づき測定される前記ポリアミド系樹脂(a)の融点が170℃〜250℃であることにより耐熱性に優れるだけでなく、機械適性、成膜安定性に優れる。
また、第5の発明においては、該多層フィルムを構成する全ての基材層(I)の厚みの合計T(I)と該多層フィルムを構成する全ての樹脂層(III)の厚みの合計T(III)との比率T(I)/T(III)が1.9以下 であり、易引裂性に優れるだけでなく、耐熱性、ガスバリア性、機械適性に優れる。
また、第6の発明においては、JIS K7128−2に準拠して測定されるエルメンドルフ引裂試験において、前記フィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)に対して20°傾いた線上が引裂方向となるように調整したフィルム試験片の内層同士を重ね合わせた2枚重ねのフィルム試験片を引裂いたのち、フィルム試験片の引裂断面とフィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)が成す角度で表されるずれ角度θが、フィルムの流れ方向(MD)及び/又はその垂直方向(TD)において10°以下であることにより、直線易引裂性に優れる。
また、第7の発明においては、ポリオレフィン系樹脂(e)を主成分とする樹脂層(IV)及び/又はポリオレフィン系樹脂(f)を主成分とする樹脂層(V)を含む4層以上からなることにより、機械適性に優れるだけでなく、成形安定性に優れる。
また、第8の発明においては、エチレン・ビニルアルコール共重合体(g)を主成分とするバリア層(VI)を含むことにより、ガスバリア性に優れる。
また、第9の発明においては、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された4層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(IV)が最内層であることにより、易引裂性に優れるだけでなく、耐熱性、ガスバリア性、機械適性、成膜安定性に優れる。
また、第10の発明においては、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順で積層された5層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(V)が最内層であることにより、易引裂性に優れるだけでなく、耐熱性、低カール性、ガスバリア性、機械適性、成膜安定性、層間強度に優れる。
また、第11の発明において、基材層(I)/バリア層(VI)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された5層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(IV)が最内層であることにより、易引裂性に優れるだけでなく、耐熱性、ガスバリア性、機械適性、成膜安定性に優れる。
また、第12の発明において、JIS K7126−2に準拠して温度23℃、相対湿度0%の条件下で測定した酸素透過度が500cm/m/24h/atm以下であることにより、ガスバリア性に優れる。
また、第13の発明において、該ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを用いた包装材は直線易引裂性に優れるだけでなく、耐熱性、低カール性、ガスバリア性、機械適性、成膜安定性に優れる。
以下、本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムについて、各項目ごとに詳細に説明する。なお、本発明において、「主成分とする」とは層を構成する樹脂成分中の主要成分であることを意味し、具体的には層を構成する樹脂成分中70重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは100重量%含有することを意味する。
1. ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを構成する層
(1)ポリアミド系樹脂(a)を主成分とする基材層(I)
本発明のポリアミド系樹脂を主成分とする基材層(I)は、フィルムの耐熱性とガスバリア性を付与するための層である。基材層(I)のポリアミド系樹脂(a)としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、または、二塩基酸とジアミン等の縮重合によって得られるポリアミドを使用できる。具体的には、ε―カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α―ピロリドン、α―ピペリドン等の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸等のジカルボン酸と重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体であり、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド8、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド6/6T、ポリアミド6I/6T、MXD6等が挙げられ、2種以上のポリアミドを用いることもできる。ポリアミドの末端は、モノカルボン酸またはモノアミンで封止されていてもよい。例えば、炭素数2〜22のモノカルボン酸またはモノアミンで末端が封止されたポリアミドが挙げられる。本発明においては、加工時の成形安定性と耐熱性バランスの観点から、ポリアミド6/66(以下、PA6/66とも記載する)又はポリアミド6(以下、PA6とも記載する)が好適であり、例えばDSMジャパンエンジニアリングプラスチックス株式会社製「ノバミッド(Novamid)」「アクロン(Akulon)」、BASF社製「ウルトラミッド(Ultramid)」、宇部興産株式会社製「宇部ナイロン(UBE NYLON)」等が挙げられる。
上記、ポリアミドの粘度数はISO307に従って測定された値で、好ましくは150〜300ml/gであり、より好ましくは170〜260ml/gである。粘度数が150ml/gより低いと機械強度が低下し易く、粘度数が300ml/gより高いと成形性が低下するため好ましくない。
本発明のポリアミド系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、核剤、滑材、熱劣化防止剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、離型剤などの添加剤やエチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸3成分系共重合体等のエチレン系共重合体を改質剤として配合することができる。
(2)変性ポリオレフィン系樹脂(b)を主成分とする接着層(II)
本発明で用いられる接着層(II)は、変性ポリオレフィン系樹脂(b)を主成分とする層であり、ポリアミド系樹脂やエチレン・ビニルアルコール共重合体と他の層、例えばポリエチレン系樹脂からなる樹脂層、又はポリエチレン系樹脂と環状オレフィンからなる樹脂層、又はポリプロピレン系樹脂からなる樹脂層とを接着するために用いられるものである。本発明では、エチレン又はプロピレンを主たる構成成分とするポリオレフィン樹脂にα , β −不飽和カルボン酸若しくはその誘導体をグラフト重合した変性ポリオレフィン系樹脂を用いることができ、例えば、三菱化学株式会社製「モディック」(登録商標)などが挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂にグラフト重合させるα , β − 不飽和カルボン酸又はその誘導体としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、これらの無水物又はエステル等が挙げられ、好ましくは無水マレイン酸が挙げられる。
グラフト重合する該α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の量は、変性ポリオレフィン樹脂全量に対して、0.05〜5.0重量%に相当するのが好ましい。
さらに、積層させるポリアミド系樹脂やエチレン・ビニルアルコール共重合体との接着性を損なわない範囲であれば、該接着層(II)にポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状オレフィン系樹脂を配合することができる。
(3)樹脂層(III)
本発明で用いられる樹脂層(III)は、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)20重量%〜70重量%と環状オレフィン系樹脂(d)30重量%〜80重量%からなる混合樹脂を主成分とする層である。
(3−1)直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)
本発明に用いることができる直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)は、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたホモポリエチレン若しくはエチレン・α−オレフィン共重合体のいずれであってもよい。エチレンと共重合するα−オレフィンの種類としては、通常炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1などが挙げられる。一般的なポリエチレンの密度範囲は0.800g/cm3〜0.970g/cmであるが、本発明の直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)はこの範囲内の密度であればいずれであってもよい。なお、本発明において密度は、JIS K6922−2に基づいて測定する値である。
また、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)の190℃におけるメルトインデックス(MI)は0.05〜20g/10minが好ましい。さらには0.5〜10g/10minが好ましい。MIが0.05g/10minを下回ると環状オレフィン系樹脂との分散性が悪くなるだけでなく、押出負荷が上昇し、成形性が悪化する。またMIが20g/10minを上回ると環状オレフィンとの分散性が悪くなるだけでなく、溶融張力が低いことにより成形安定性が悪化する。なお、本発明におけるメルトインデックス(MI)はJIS K7210に基づき測定される190℃、21.18N荷重における値である。
なお、本発明で「直鎖状ポリエチレン系樹脂」はメタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたホモポリエチレン若しくはエチレン・α−オレフィン共重合体等の直鎖状ポリエチレンが主成分である樹脂組成物を意味し、重量分率で直鎖状ポリエチレンが50重量%以上含まれる樹脂組成物を意味する。したがって、有機過酸化物を反応開始剤として重合される、高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体等も50重量%未満の範囲内であれば、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)に含むことができる。
(3−2)環状ポリオレフィン系樹脂(d)
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂(d)としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
COCとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなどの直鎖状モノマーとテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどの環状モノマーとから得られた環状オレフィン共重合体が挙げられる。さらに具体的には上記直鎖状モノマーと炭素数が3〜20のモノシクロアルケンやビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)及びこの誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−3−ドデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン及びこの誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン等およびこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン及びこの誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン及びこの誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン及びこの誘導体等の環状オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィン共重合体などが挙げられる。直鎖状モノマー及び環状モノマーは、それぞれ単独でも、2種類以上を併用することもできる。また、このような環状オレフィン共重合体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、環状オレフィン系樹脂(d)に、前記COPとCOCを併用することもできる。その場合は、COPとCOCのそれぞれの異なった性能を付与することができる。
本発明においては、ポリエチレンに対する分散性の理由により、環状オレフィン系樹脂(d)はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。さらには、環状モノマーは、ノルボルネン等であることが好ましい。
また、ポリアミド系樹脂(a)を主成分とする基材(I)を必須の層構成とする本発明において、樹脂層(III)中に用いるエチレン・環状オレフィン共重合体としては、ガラス転移温度が80℃〜150℃であることがフィルムの流れ方向(MD)だけでなく、垂直方向(TD)においても直線易引裂性を発現するために必要である。これは、後述するとおり、融点の高いポリアミド系樹脂(a)との相性の問題であると推察される。
より好ましくは100℃〜140℃のものである。さらに好ましくは、110℃〜140℃のものである。エチレン・環状オレフィン共重合体のガラス転移温度が80℃を下回ると、成形温度下でのポリエチレン系樹脂(c)との粘度バランスが崩れ、易引裂性に有効な分散状態が形成できず、易引裂性を低下させる等の恐れがある。一方、ガラス転移温度が150℃を上回ると、ガラス転移点が高くなりすぎ、成形温度下での直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)と粘度バランスが崩れ、易引裂性に有効な分散状態が形成できず、易引裂性を低下させる恐れがあるだけでなく、剛性が高くなりすぎて製膜安定性が悪化する懸念がある。なお、本発明のポリアミド系多層共押出多層フィルムにおいては、特にガラス転移温度が100℃以上、好ましくは110℃以上のエチレン・環状オレフィン共重合体を用いると、フィルムの流れ方向(MD)だけでなく、垂直方向(TD)においても卓越した直線易引裂性を発現することができるため好ましい。
さらに、本発明においては、エチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレン/環状オレフィンの含有割合が重量比で15〜40/85〜60のものであることが好ましい。より好ましくは15〜35/85〜65のものである。さらに好ましくは、20〜30/80〜70のものである。エチレンが15重量%未満であると、剛性が高くなりすぎ、成形性および製袋適正を悪化させるため好ましくない。一方、エチレンが40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないため好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、易引裂性、加工安定性が向上するため好ましい。
また、環状オレフィン系樹脂(d)の重量平均分子量は、5,000〜500,00
0が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
環状オレフィン系樹脂(d)として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、ポリプラスチックス株式会社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード7010F、6013Fなどが好ましい。
(4)樹脂層(IV)、樹脂層(V)
本発明では、ポリアミド系樹脂を主成分とする基材層(I)と変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする接着層(II)、直鎖状ポリエチレン系樹脂と環状オレフィン系樹脂の混合樹脂を主成分とする層(III)を少なくとも1層以上含む、3層以上の多層フィルムにおいて、更に好ましくは、他の樹脂層として、樹脂層(IV)、樹脂層(V)を含むことができる。樹脂層(IV)、樹脂層(V)は、各々、ポリオレフィン系樹脂(e)を主成分とする層、ポリオレフィン系樹脂(f)を主成分とする層であり、ポリオレフィン系樹脂(e)とポリオレフィン系樹脂(f)は下記に記述する範囲内であれば同じであっても異なっても良い。なお、本発明において、「主成分とする」とは層を構成する樹脂成分中の主要成分であることを意味し、具体的には層を構成する樹脂成分中70重量%以上、好ましくは90重量%以上、更に好ましくは100重量%含有することを意味する。

(4−1)ポリオレフィン系樹脂(e)、ポリオレフィン系樹脂(f)
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂(e)、ポリオレフィン系樹脂(f)としては、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂としては、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたホモポリエチレンもしくはエチレン・α−オレフィン共重合体、もしくは有機過酸化物を反応開始剤として重合される高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸3成分系共重合体等の中から選択される1種類もしくは2種類以上のブレンド物であってもよい。また、該ポリエチレン系樹脂の密度も、一般的なポリエチレンの密度範囲である0.800g/cm〜0.970g/cmであればいずれであってもよい。エチレンと共重合するα−オレフィンの種類としては、前記、直鎖状ポリエチレン(c)で記載したものと同様である。
また、該ポリエチレン系樹脂の190℃におけるメルトインデックス(MI)は、高温成形下での製膜安定性の観点から20g/10min以下が好ましい。MIが20g/10minを上回ると溶融張力の低下により製膜安定性が悪化する。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等の他のα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられ、いずれでも用いることができる。上記重合体の1種類もしくは2種類以上のブレンド物であってもよいが、直鎖状ポリエチレンと環状オレフィンからなる樹脂層(III)との層間強度の観点から、メタロセン触媒から得られた直鎖状のエチレン・プロピレン・ランダムブロック共重合体を主成分とすることが好ましく、例えば日本ポリプロ株式会社製のウィンテック(登録商標)シリーズ等が挙げられる。ここで、「主成分」とはエチレン・プロピレン・ランダムブロック共重合体が50重量%以上含まれることを意味している。
また、該ポリプロピレン系樹脂の230℃におけるメルトインデックス(MI)は、高温成形下での製膜安定性の観点から15g/10min以下が好ましい。MIが15g/10minを上回ると溶融張力の低下により製膜安定性が悪化する。
(5)エチレン・ビニルアルコール共重合体(g)を主成分とするバリア層(VI)
本発明では、ポリアミド系樹脂を主成分とする基材層(I)と変性ポリオレフィン系樹脂を主成分とする接着層(II)、直鎖状ポリエチレン系樹脂と環状オレフィン系樹脂からなる混合樹脂を主成分とする層(III)を少なくとも1層以上含む、3層以上の多層フィルムにおいて、必要性能に応じて本発明の効果を妨げない範囲で、優れたガスバリア性付与を目的としてエチレン・ビニルアルコール共重合体(EVOH)を主成分とする層(VI)を積層させることができる。エチレン・ビニルアルコール共重合体におけるエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性とガスバリア性の観点から27〜47mol%であることが好ましく、さらには32〜45mol%であることが好ましい。エチレン含量率が27molより低くなると、成形安定性が低下する。一方、エチレン含量率が47mol%より高くなると、ガスバリア性が低下するため好ましくない。エチレン含有率が32〜44mol%であるエチレン・ビニルアルコール共重合体として日本合成化学株式会社製「ソアノールET3803RB」などが挙げられる。
2. ポリアミド系共押出易引裂多層フィルム
本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムは、前述したように、少なくとも3層以上の層からなり、各々、特定の基材層(I)と接着層(II)、樹脂層(III)を少なくとも1層以上含み、該多層フィルムを構成する全ての基材層(I)の厚みの合計T(I)と該多層フィルムを構成する全ての樹脂層(III)の厚みの合計T(III)の比率T(I)/T(III)が1.9以下となるように積層した構成からなるものであり、例えば、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)の順に積層した3層構成が挙げられる。また、基材層(I)、接着層(II)、樹脂層(III)の各層の間にポリオレフィン系樹脂層(IV)やポリオレフィン系樹脂層(V)を積層させることができ、例えば、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された4層構成や、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順で積層された5層構成などが挙げられる。さらに、本発明は、少なくとも3層以上の層からなり、各々、特定の基材層(I)と接着層(II)、樹脂層(III)を少なくとも1層以上含んだ多層構成フィルムであれば良く、上記5層構成だけでなく、7層構成、9層構成など、3層以上の多層フィルムにおいても本発明は適用でき、例えば、樹脂層(IV)/樹脂層(III)/接着層(II)/基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順で積層させた7層構成が挙げられる。また、必要性能に応じて本発明の効果を妨げない範囲でエチレン・ビニルアルコール共重合体からなるバリア層(VI)を積層させてもよく、例えば、基材層(I)/バリア層(VI)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層させた5層構成や、接着層(II)/基材層(I)/バリア層(VI)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(V)の順に積層させた7層構成、樹脂層(IV)/樹脂層(III)/接着層(II)/基材層(I)/バリア層(VI)/基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順に積層させた9層構成などが挙げられる。
上述の通り、本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムは、各々、特定の基材層(I)と接着層(II)、樹脂層(III)を少なくとも1層以上含めば良く、該多層フィルム内における基材層(I)の積層位置については必要に応じて変更できる。例えば、基材層(I)を該多層フィルムの最外層に積層させると、フィルム最外層の基材層(I)とその反対表面に露出する最内層の間の融点差は大きくとることが出来るため、各種充填機械への適応範囲が広がり、低温度でのヒートシールや高速充填等が可能となる。なお、該融点は、該層中に50重量%以上を占める主成分の融点を意味している。また、基材層(I)を該多層フィルムの中間層に積層させると、環境湿度による基材層(I)の機械物性変化の影響を低減できるため、冷凍輸送をはじめとする低温、乾燥条件下での耐ピンホール性などに優れる。
ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムの厚みとしては、20〜200μmのものが好ましい。多層フィルムの厚さが20μm以上であれば、優れた二次加工性が得られる。また、多層フィルムの厚さが30〜200μmの範囲では、最表面に露出する層同士をヒートシールすることにより、包装材として使用できる。
また、十分な直線易引裂性を確保するために、該多層フィルムを構成する全ての基材層(I)の厚みの合計T(I)と該多層フィルムを構成する全ての樹脂層(III)の厚みの合計T(III)との比率T(I)/T(III)が1.9以下を満たすことが望ましく、さらに望ましくは1.0以下であり、より望ましくは0.8以下である。比率T(I)/T(III)が1.9を超えると、フィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)の直線易引裂性が損なわれるため好ましくない。さらに、十分な層間接着強度と易引裂性を保持するために、隣接する基材層(I)又はバリア層(VI)と樹脂層(III)の間に介在する接着層(II)の厚みT(II)は、樹脂層(III)の厚みT(III)に対して、T(II)/T(III)が1.5以下を満たすことが望ましく、さらに望ましくは1.0以下である。T(II)/T(III)が1.5を超えると、引裂過程での樹脂層(III)の破壊が基材層(I)及び/又はバリア層(VI)に十分に伝播しないため、直線易引裂性が低下する。
本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムは、共押出法により、層(I)、層(II)、層(III)を直接、又は間に他層を介して積層することにより製造される。
例えば、基材層(I)に用いるポリアミド系樹脂と、接着層(II)に用いる変性ポリオレフィン系樹脂と、樹脂層(III)に用いるポリエチレン系樹脂及び環状オレフィン樹脂とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(I)、(II)、(III)の順の位置関係になるよう積層した後、空冷インフレーションや水冷インフレーション、Tダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形にする共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。
上記製造方法で製造されたポリアミド系共押出易引裂多層フィルムは、易引裂性を付与するための一般的な延伸工程などの2次加工を必要とせず、共押出法により製膜加工のみで易引裂性を発現することが特徴である。これは、例えば、上記特定の層構成にて共押出しインフレーション成形により製膜をすると、樹脂層(III)は環状オレフィンがフィルムの流れ方向(MD)に引き伸ばされた状態で冷却固化された分散構造を形成することに起因する。したがって、共押出し時の加工温度下におけるポリエチレン系樹脂と環状オレフィンとの粘度バランスが分散構造に大きく影響するため、特に加工温度に合わせた最適な環状オレフィンを選択する必要がある。例えば、ポリアミド6/66やポリアミド6を基材層(I)に用いる場合、共押出法での加工温度は220〜270℃程度に達するため、樹脂層(III)に用いる環状オレフィンのガラス転移温度は比較的高い100℃〜140℃がより好ましく、さらにこの好ましくは110℃〜140℃である。
3. 包装材
本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、医療器具、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、包装容器等が挙げられる。
前記包装袋は、本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムの内層又は外層同士を重ねてヒートシールすることにより形成した包装袋が挙げられる。2枚の当該ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填した後、ヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。また、同様に2枚の当該ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねてパウチ状に製袋した後、開口部より内容物を充填した後、ヒートシールして密封することでスタンディングパウチ包装袋として用いることもできる。さらに、1枚の当該ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを用いて、横ピロー包装、縦ピロー包装の形態でも用いることができる。さらに、当該ポリアミド系共押出易引裂多層フィルムの内層又は外層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA等のフィルムを用いることができる。
本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを用いた包装材には、初期の引裂強度を弱め、開封性を向上するためにVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔などの任意の引き裂き開始部を形成すると好ましい。ノッチ等の形成部としては、シール部や包装材の上下端部、左右折り目部、ピロー包装の背張り部等が挙げられる。包装材の形態とノッチ形成部に応じて、ノッチ周囲にノッチを囲むようにして三日月状等の形状のシール部を設けることで、内部の密閉性を確保できる。
また、前記包装容器としては、本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを二次成形することにより得られる深絞り成形品(上部に開口部がある底材)が挙げられ、代表的なものとして食品用途の真空包装袋のボトム材やブリスターパックの底材などが挙げられる。このボトム材や底材を密封する蓋材は、ボトム材や底材とヒートシールできるものであれば特に材質は問わないが、双方を同時に引き裂いて開封できることから、本発明のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを蓋材として用いることが好ましい。
上記の二次成形方法としては、例えば、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等が
挙げられる。これらの中でも、フィルムあるいはシートを包装機上にてインラインで成形
し、内容物を充填できるため真空成形が好ましい。
なお、一般的に包装材の流れ方向(MD)は、充填時や製袋時のライン方向に平行な軸であり、且つ原反フィルムの流れ方向(MD)に対応する。例えば、横ピロー包装材であれば、背張りの長尺方向が包装材の流れ方向(MD)に対応し、且つフィルムの流れ方向(MD)に対応する。
以下に、本発明の実施例と比較例を示す。
(1)使用原料
(1−1)ポリアミド樹脂(a)
・Novamid 2030CA:PA6/66共重合体(融点200℃)「DSMジャパンエンジニアリングプラスチックス社製」
・Akulon F136−E2:PA6(融点220℃)「DSMジャパンエンジニアリングプラスチックス社製」
(1−2)変性ポリオレフィン系樹脂(b)
・Modic M522:変性ポリエチレン系樹脂「三菱ケミカル株式会社製」
(1−3)直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)
・NOVATEC UF320:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(密度0.922g/cm3、MFR0.9g/10min、融点123℃)「日本ポリエチレン株式会社製」
・NOVATEC UF420:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(密度0.924g/cm3、MFR0.9g/10min、融点123℃)「日本ポリエチレン株式会社製」
(1−4)環状オレフィン系樹脂(d)
・TOPAS8007F−600:エチレン・ノルボルネン共重合体(COC)(ガラス転移温度78℃)「ポリプラスチックス株式会社製」
・TOPAS7010F−600:エチレン・ノルボルネン共重合体(COC)(ガラス転移温度110℃)「ポリプラスチックス株式会社製」
・TOPAS6013F−04:エチレン・ノルボルネン共重合体(COC)(ガラス転移温度138℃)「ポリプラスチックス株式会社製」
(1−5)ポリオレフィン系樹脂(e)、(f)
・NOVATEC UF420:直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)(密度0.924g/cm3、MFR0.9g/10min、融点123℃)「日本ポリエチレン株式会社製」
・NOVATEC LF122:高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)(密度0.923g/cm3、MFR0.3g/10min、融点112℃)「日本ポリエチレン株式会社製」
(1−6)エチレン・ビニルアルコール共重合体(g)
・ソアノールET3803RB:エチレン・ビニルアルコール共重合体「日本合成化学株式会社製」
(2)フィルム成形
(2−1)共押出5層インフレーションフィルム成形
成形機:5種5層インフレーション成形機
押出機:φ40mmφ×5
ダイス:φ150mm
加工温度:240〜250℃

(2−2)共押出3層インフレーションフィルム成形
成形機:3種3層インフレーション成形機
押出機:φ50mmφ×φ55mmφ×φ50mmφ
ダイス:φ200mm
加工温度:180〜190℃
(3)物性評価方法
(3−1)エルメンドルフ引裂強度
JIS K7128−2を参考にし、以下の装置を用いてエルメンドルフ引裂強度を測定した。なお、MDはフィルムの流れ方向であり、TDはその垂直方向である。
装置:デジタルエルメンドルフ引裂試験機 型式SA(株式会社東洋精機製作所製)
測定環境:温度23℃、湿度50%
(3−2)酸素透過度(ガスバリア性)
(3−2−1)酸素透過度の算出
下記(1)式を用いて多層フィルムの酸素透過度を推算した。ここでPは多層フィルム全体の酸素透過度、Lは多層フィルムの全厚み、li、piはi番目の層の厚みと酸素透過係数をそれぞれ意味している。
なお、各層における酸素透過係数(25℃、65RH%)は以下を用いて算出した。
基材層(I):ポリアミド 50(cm3 20μm/m2/24h/atm)
接着層(II)、樹脂層(III)、樹脂層(IV)、樹脂層(V):LLDPE 3170(cm3 20μm/m2/24h/atm)
バリア層(VI):エチレン・ビニルアルコール共重合体 0.40(cm3 20μm/m2/24h/atm)
(3−2−2)酸素透過度の測定
一部の実施例、比較例においてはJIS K7126−2に基づき、以下の装置を用いて酸素透過度を評価した。
装置:OX−TRAN2/21(MOCON製)
温湿度:23℃、相対湿度0%(Dry)
透過面積:50cm

(4)耐カール性
温度23℃、湿度50%の環境下において、多層フィルムを流れ方向(MD)に150mm、その垂直方向(TD)に50mmの長方形に切り出し、自然放置状態でカールし形成される円筒状フィルムの外径をノギスで測定し、耐カール性を評価した。円筒状フィルムの外径が6mm以上のものを〇、6mm未満のものを×とした。なお、円筒状フィルムの外径が大きいほど、耐カール性に優れることを意味している。

(5)ずれ角度
多層フィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)に対して20°傾いた線上が引裂方向となるように調整したフィルム試験片の内層同士を重ね合わせた2枚重ねのフィルム試験片を前記(3−1)に記載のエルメンドルフ引裂強度測定と同条件で引裂いたのち、フィルム試験片の引裂断面とフィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)が成す角度で表されるずれ角度θ(°)を測定した。ずれ角度θが小さいほど、フィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)に対する直線引裂性が優れることを意味する。

(6)直線易引裂性(官能評価)
多層フィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)に対して、ノッチを起点に手で引裂いた際に、直線易引裂性に優れるものは〇、直線易引裂性に劣るものは×で評価した。
(実施例1)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/20/10/5μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS6013F−04を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例2)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から10/5/20/10/10μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例3)
使用原料、層構成、各層厚み、ブロー比は実施例1と同様であり、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例4)
使用原料、層構成、ブロー比は実施例3と同様であり、各層の厚みは基材層(I)側から27/9/36/18/10μmに設定した、厚み100μmの4層インフレーションフィルムを得た。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例5)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの5層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/8/20/7μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例6)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/8/7/20/5μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例7)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの5層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/5/20/10μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例8)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(III)/樹脂層(III)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの3層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/15/10/10μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例9)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/20/10/5μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS6013F−04を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は34.3重量%とした。
(実施例10)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み70μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から18/6/23/12/11μmに設定し、ブロー比は2.0とした。基材層(I)はAkulon F136−E2を用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例11)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/バリア層(VI)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み60μmの5層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/10/5/20/10μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(実施例12)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から20/5/10/10/10μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(比較例1)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−2)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み50μmの3層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは外層側から17/16/17μmに設定し、ブロー比は2.0とした。環状オレフィン系樹脂はTOPAS8007F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は60重量%とした。
(比較例2)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から10/5/10/25/5μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS7010F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は24.5重量%とした。
(比較例3)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/20/10/5μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS8007F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は49重量%とした。
(比較例4)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの4層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/20/10/5μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用い、環状オレフィン系樹脂はTOPAS8007F−600を使用した。樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度は34.3重量%とした。
(比較例5)
上記使用原料を用いて、多層フィルムの外層から基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)/樹脂層(IV)の順序で前記(2−1)記載の共押出インフレーション法により積層させた厚み55μmの3層インフレーションフィルムを得た。各層の厚みは基材層(I)側から15/5/15/10/10μmに設定し、ブロー比は1.7とした。基材層(I)はNovamid 2030CAを用いた。
[評価]
表から明らかなように、比較例1はフィルムの流れ方向(以下、MD方向)及びその垂直方向(以下、TD方向)において優れた直線易引裂性を示すが、ポリアミド系樹脂を主成分とする基材層を有さないために酸素透過度が大きく、ガスバリア性に劣る。
ガスバリア性を表す酸素透過度については、実施例2、実施例11、比較例1から明らかなように、計算によって凡その実測値を推算でき、ポリアミド系樹脂を主成分とする基材層が10μm程度の厚みを有していれば、多層フィルム全体としての酸素透過度が500cm/m/24h/atm以下となることがわかる。
比較例2においては、ポリアミド系樹脂を主成分とする基材層を有するため酸素透過度が小さく、ガスバリア性には優れるものの、樹脂層(III)中に含まれる環状ポリオレフィン系樹脂の濃度が小さすぎるため、TD方向の引裂強度が40N/mmより大きくなり、易引裂性に劣る。また、樹脂層(III)中の環状オレフィン系樹脂の濃度が小さくなるほど、易引裂性は悪化する傾向がある。
しかしながら、実施例9と比較例4から明らかなように、環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くなると、易引裂性が良化し、特にTD方向において優れた直線易引裂性を示す。
さらに、実施例12から明らかなように、多層フィルムを構成する全ての基材層(I)の厚みの合計T(I)と該多層フィルムを構成する全ての樹脂層(III)の厚みの合計T(III)との比率T(I)/T(III)が1.9を超えると、MD方向及びTD方向への易引裂性は担保しているものの、MD方向及びTD方向の直線引裂性は低下しやすくなる。
比較例5においては、酸素透過度が小さく、ガスバリア性には優れるものの樹脂層(III)を有さないため、MD方向及びTD方向の直線易引裂性を示さないだけでなく、フィルムの耐カール性が悪い。
本発明に基づく実施例1〜11においては、所定の構成からなる多層フィルムであり、MD方向及びTD方向の易引裂性に優れるだけでなく、MD方向及び/又はTD方向において優れた直線易引裂性を示す。加えて、ポリアミド系樹脂を主成分とする基材層を有するため、酸素透過度が小さく、ガスバリア性に優れるだけでなく、耐熱性・機械適性にも優れる。さらに、実施例11から明らかなように、エチレン・ビニルアルコール共重合体を主成分とするバリア層を積層させることで、よりガスバリア性に優れた多層フィルムが得られる。
以上より、本発明に基づき得られるポリアミド系共押出易引裂多層フィルムは直線易引裂性、耐熱性、低カール性、ガスバリア性、機械適性を要求されるフィルム及び包装材には好適である。

Claims (13)

  1. 少なくとも3層以上の層からなる共押出し多層フィルムであって、ポリアミド系樹脂(a)を主成分とする基材層(I)と、変性ポリオレフィン系樹脂(b)を主成分とする接着層(II)と、直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)20重量%〜70重量%と環状オレフィン系樹脂(d)30重量%〜80重量%をからなる混合樹脂を主成分とする樹脂層(III)を少なくとも1層以上含み、ISO 11357−3に準拠し測定された前記環状オレフィン系樹脂(d)のガラス転移温度が80℃〜150℃であることを特徴とするポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  2. 該多層フィルムのJIS K7128−2に準拠して測定されるエルメンドルフ引裂強度が、フィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)において、40N/mm 以下であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  3. 前記直鎖状ポリエチレン系樹脂(c)の190℃におけるメルトインデックスが0.05〜20g/10minであることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  4. ISO 11357−3に基づき測定される前記ポリアミド系樹脂(a)の融点が170℃〜250℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  5. 該多層フィルムを構成する全ての基材層(I)の厚みの合計T(I)と該多層フィルムを構成する全ての樹脂層(III)の厚みの合計T(III)との比率T(I)/T(III)が1.9以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  6. JIS K7128−2に準拠して測定されるエルメンドルフ引裂試験において、前記フィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)に対して20°傾いた線上が引裂方向となるように調整したフィルム試験片の内層同士を重ね合わせた2枚重ねのフィルム試験片を引裂いたのち、フィルム試験片の引裂断面とフィルムの流れ方向(MD)又はその垂直方向(TD)が成す角度で表されるずれ角度θが、フィルムの流れ方向(MD)及び/又はその垂直方向(TD)において10°以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  7. 前記フィルムにおいて、更にポリオレフィン系樹脂(e)を主成分とする樹脂層(IV)及び/又はポリオレフィン系樹脂(f)を主成分とする樹脂層(V)を含む4層以上からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  8. 更にエチレン・ビニルアルコール共重合体(g)を主成分とするバリア層(VI)を含む請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  9. 前記多層フィルムにおいて、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された4層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(IV)が最内層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  10. 前記フィルムにおいて、基材層(I)/接着層(II)/樹脂層(IV)/樹脂層(III)/樹脂層(V)の順で積層された5層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(V)が最内層であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  11. 前記フィルムにおいて基材層(I)/バリア層(VI)/接着層(II)/樹脂層(III)/樹脂層(IV)の順で積層された5層フィルムであり、前記基材層(I)が最外層、前記樹脂層(IV)が最内層であることを特徴とする請求項8に記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  12. 前記フィルムにおいてJIS K7126−2に準拠して温度23℃、相対湿度0%の条件下で測定した酸素透過度が500cm/m/24h/atm以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルム。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載のポリアミド系共押出易引裂多層フィルムを用いた包装材。
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