JP2017136790A - 多層フィルムおよび包装材 - Google Patents

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彰宏 高柳
Teruhiro Takayanagi
彰宏 高柳
森 恵一
Keiichi Mori
恵一 森
侑平 谷川
Yuhei Tanigawa
侑平 谷川
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Abstract

【課題】易カット性、直進カット性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびヒートシール性に優れる多層フィルム、および易開封性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびシール部の耐熱性に優れる包装材を提供する。
【解決手段】環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第1の層12と、プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第2の層14とを有し、第1の層12における環状オレフィン系樹脂の割合が50〜90質量%、エチレン系樹脂の割合が10〜50質量%であり、第2の層14におけるプロピレン系樹脂の割合が50〜90質量%であり、エチレン系樹脂の割合が10〜50質量%であり、第1の層12の厚さが第2の層14の厚さ以上であり、厚さが15〜100μmである多層フィルム10、及び、多層フィルム10を用いた包装材。
【選択図】図1

Description

本発明は、多層フィルムおよびこれを用いた包装材に関する。
医薬品、飲食品等を包装するための包装材としては、セロハンを用いたものが知られている。セロハンは、手で容易にカットでき(易カット性を有し)、かつ直線状にカットできる(直進カット性を有する)ため、セロハンを用いた包装材は、手で容易に開封できる(易開封性を有する)という利点がある。しかし、セロハンは、吸湿しやすいことから、防湿性、寸法安定性に劣る。
防湿性、寸法安定性に優れ、かつ易カット性を有するフィルムを得ることができる材料としては、環状オレフィン系樹脂が知られている。
環状オレフィン系樹脂を用いた包装材用多層フィルムとしては、例えば、下記のものが提案されている。
(1)環状オレフィン系樹脂を60質量%以上含む表面樹脂層と、エチレン系樹脂およびまたはプロピレン系樹脂を80質量%以上含むシール樹脂層と有し、表面樹脂層の厚さが多層フィルムの厚さの20〜80%であり、多層フィルムの厚さが15〜90μmである多層フィルム(特許文献1)。
(2)環状オレフィン系樹脂フィルムと非環状オレフィン系樹脂フィルムとが、接着剤を介することなく、環状オレフィン系樹脂とオレフィン系樹脂とが化学結合することによって接着された積層体(特許文献2)。
(3)2種類のエチレン−ノルボルネン共重合体からなるコア層と、コア層の両面に存在する、ポリプロピレンおよびエチレン−ノルボルネン共重合体を含む外層とを有し、外層の厚さが多層フィルムの厚さの2.5〜90%であり、多層フィルムの厚さが50〜300μmである多層フィルム(特許文献3)。
(4)プロピレン系樹脂を主成分とする樹脂層(A)と、低密度ポリエチレン50〜90質量%と環状オレフィン系樹脂およびまたは高密度ポリエチレン10〜50質量%とを含む樹脂層(B)と、非環状オレフィン系樹脂を主成分とする樹脂層(C)とを有し、樹脂層(A)の厚さが多層フィルムの厚さの6〜25%であり、樹脂層(B)の厚さが多層フィルムの厚さの35〜70%であり、多層フィルムの厚さが15〜90μmである多層フィルム(特許文献4)。
(5)低密度ポリエチレン、または50質量%以上の低密度ポリエチレンおよび非環状オレフィン系樹脂の混合物を含む層(a)と、低密度ポリエチレンおよび50質量%以下の環状オレフィン系樹脂を含む層(b)と、低密度ポリエチレン、または50質量%以上の低密度ポリエチレンおよび非環状オレフィン系樹脂の混合物を含む層(c)とを有し、層(b)の厚さが多層フィルムの厚さの25〜75%である多層フィルム(特許文献5)。
特開2011−201032号公報 特開2013−018168号公報 特許第4444827号公報 特許第5413647号公報 特表2014−529520号公報
しかし、(1)の多層フィルムは、易カット性および直進カット性が不充分であったり、層間密着性が不充分であったりする。
(2)の積層体は、易カット性および直進カット性が不充分である。
(3)の多層フィルムは、易カット性および直進カット性が不充分である。
(4)の多層フィルムは、易カット性および直進カット性が不充分である。また、環状オレフィン系樹脂の割合が少ないため、防湿性、寸法安定性に劣る。
(5)の多層フィルムは、易カット性および直進カット性が不充分である。また、環状オレフィン系樹脂の割合が少ないため、防湿性、寸法安定性に劣る。
本発明は、易カット性、直進カット性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびヒートシール性に優れる多層フィルム、および易開封性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびシール部の耐熱性に優れる包装材を提供する。
本発明は、下記の態様を有する。
<1>環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第1の層と、プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第2の層とを有する多層フィルムであり、前記第1の層の100質量%のうち、前記環状オレフィン系樹脂の割合が50〜90質量%であり、前記第1の層の100質量%のうち、前記エチレン系樹脂の割合が、10〜50質量%であり、前記第2の層の100質量%のうち、前記プロピレン系樹脂の割合が、50〜90質量%であり、前記第2の層の100質量%のうち、前記エチレン系樹脂の割合が、10〜50質量%であり、前記第1の層の厚さが、前記第2の層の厚さ以上であり、前記多層フィルムの厚さが、15〜100μmである、多層フィルム。
<2>前記第1の層に含まれるエチレン系樹脂が、線状低密度ポリエチレンである、前記<1>の多層フィルム。
<3>前記第2の層に含まれるエチレン系樹脂が、線状低密度ポリエチレンである、前記<1>または<2>の多層フィルム。
<4>前記<1>〜<3>のいずれかの多層フィルムを用いた、包装材。
本発明の多層フィルムは、易カット性、直進カット性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびヒートシール性に優れる。
本発明の包装材は、易開封性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびシール部の耐熱性に優れる。
本発明の多層フィルムの一例を示す断面図である。
<多層フィルム>
本発明の多層フィルムは、環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第1の層と、プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第2の層とを有する。本発明の多層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、第1の層と第2の層と間、または、第1の層の第2の層とは反対側に他の層を有していてもよい。
図1は、本発明の多層フィルムの一例を示す断面図である。多層フィルム10は、第1の層12と、第1の層12に隣接する第2の層14とを有する。
(第1の層)
第1の層は、本発明の多層フィルムに、易カット性、直進カット性、防湿性、寸法安定性および透明性を付与する層である。
第1の層は、環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む。第1の層は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
環状オレフィン系樹脂は、主鎖またはペンダント基に脂環式構造を有するオレフィン系樹脂である。
環状オレフィン系樹脂としては、ノルボルネン系単量体に由来する構成単位を有する重合体、ノルボルネン系単量体以外の環状オレフィンに由来する構成単位を有する重合体、環状共役ジエンに由来する構成単位を有する重合体等が挙げられる。環状オレフィン系樹脂としては、入手のしやすさの点から、ノルボルネン系単量体に由来する構成単位を有する重合体が好ましい。
ノルボルネン系単量体は、ノルボルネン骨格を有する単量体である。
ノルボルネン系単量体としては、ジシクロペンタジエン、ノルボルネン、テトラシクロドデセン等が挙げられる。
ノルボルネン系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもい。
ノルボルネン系単量体に由来する構成単位を有する重合体は、本発明の効果を損なわない範囲において、ノルボルネン系単量体以外の他の単量体単位を有していてもよい。
他の単量体としては、非環状オレフィン(エチレン、プロピレン、1−ブテン等)、ノルボルネン系単量体以外の環状オレフィン(シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン等)、非共役ジエン(1,4−ヘキサジエン等)等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂の市販品としては、日本ゼオン社製のゼオノア(登録商標)、ポリプラスチックス社製のTOPAS(登録商標)、三井化学社製のアペル(登録商標)等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもい。
エチレン系樹脂としては、ポリエチレン(極低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等)、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。エチレン系樹脂としては、多層フィルムの耐熱性、製膜性に優れる点から、線状低密度ポリエチレンが好ましい。
エチレン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもい。
環状オレフィン系樹脂にエチレン系樹脂を加えることによって、環状オレフィン系樹脂単独の場合に比べ、多層フィルムの易カット性、直進カット性が向上する。なお、環状オレフィン系樹脂にエチレン系樹脂を加えすぎると、多層フィルムの易カット性、直進カット性は低下する。
したがって、環状オレフィン系樹脂の割合は、第1の層の100質量%のうち、50〜90質量%であり、50〜75質量%が好ましく、55〜65質量%がより好ましい。エチレン系樹脂の割合は、第1の層の100質量%のうち、10〜50質量%であり、25〜50質量%が好ましく、35〜45質量%がより好ましい。
環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂の割合が前記範囲内であれば、環状オレフィン系樹脂単独の場合に比べ、多層フィルムの易カット性、直進カット性が向上する。また、環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂の割合が前記範囲内であれば、プロピレン系樹脂を多く含む第2の層との層間密着性に優れる。
第1の層の厚さは、第2の層の厚さ以上である。第1の層の厚さが第2の層の厚さ以上であれば、多層フィルムの易カット性、直進カット性に優れる。また、多層フィルムの層間接着性にも優れる。
第1の層の厚さは、10〜60μmが好ましく、10〜20μmがより好ましい。第1の層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、多層フィルムの易カット性、直進カット性、防湿性および寸法安定性にさらに優れる。第1の層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、多層フィルムの易カット性、直進カット性にさらに優れる。
(第2の層)
第2の層は、ヒートシール層として機能する層である。
第2の層は、プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む。第2の層は、本発明の効果を損なわない範囲において、他の樹脂、添加剤等の他の成分を含んでいてもよい。
プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体等)が挙げられる。
プロピレン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもい。
エチレン系樹脂としては、第1の層に含まれるエチレン系樹脂と同様なものが挙げられる。エチレン系樹脂としては、多層フィルムの耐熱性、製膜性に優れる点から、線状低密度ポリエチレンが好ましい。
エチレン系樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもい。
プロピレン系樹脂の割合は、第2の層の100質量%のうち、50〜90質量%であり、70〜90質量%が好ましく、75〜85質量%がより好ましい。プロピレン系樹脂の割合が前記範囲の下限値以上であれば、多層フィルムの包装材のシール部の耐熱性に優れる。プロピレン系樹脂の割合が前記範囲の上限値以下であれば、多層フィルムの層間密着性に優れる。
エチレン系樹脂の割合は、第2の層の100質量%のうち、10〜50質量%であり、10〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。エチレン系樹脂の割合が前記範囲の下限値以上であれば、多層フィルムの層間密着性に優れる。エチレン系樹脂の割合が前記範囲の上限値以下であれば、多層フィルムの包装材のシール部の耐熱性に優れる。
第2の層の厚さは、第1の層の厚さ以下である。第2の層の厚さが第1の層の厚さ以下であれば、多層フィルムの易カット性、直進カット性に優れる。また、多層フィルムの層間接着性にも優れる。
第2の層の厚さは、5〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。第2の層の厚さが前記範囲の下限値以上であれば、多層フィルムのヒートシール性、包装材のシール部の耐熱性に優れる。第2の層の厚さが前記範囲の上限値以下であれば、多層フィルムの易カット性、直進カット性にさらに優れる。
(他の層)
他の層としては、第2の層と同種または異種のヒートシール層、アルミニウム箔層、印刷層、樹脂層(ポリエステル、ポリアミド、オレフィン系樹脂等)、接着剤層、等が挙げられる。
(多層フィルムの厚さ)
多層フィルムの厚さは、15〜100μmであり、15〜45μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。多層フィルムの厚さが前記下限値以上であれば、多層フィルムの機械的強度、防湿性、耐熱性に優れる。多層フィルムの厚さが前記上限値以下であれば、多層フィルムの易カット性、直進カット性に優れる。
(多層フィルムの製造方法)
多層フィルムの製造方法としては、共押出法(インフレーション法、キャスト法(Tダイ法)等)、押出ラミネーション法、サンドラミネーション法、ドライラミネーション法等が挙げられる。多層フィルムの層構成に応じてこれらの方法を単独で、または組み合わせて多層フィルムを製造すればよい。
(作用効果)
以上説明した本発明の多層フィルムにあっては、環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂を特定の割合で含む第1の層と、第1の層に隣接し、プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂を特定の割合で含む第2の層とを有し、第1の層の厚さが第2の層の厚さ以上であり、多層フィルムの厚さが100μm以下であるため、易カット性、直進カット性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびヒートシール性に優れる。
また、本発明の多層フィルムにあっては、オレフィン系樹脂を主成分とするため、他の層としてアルミニウム箔等の遮光性の層を設けない場合は、透明性にも優れる。また、環状オレフィン系樹脂は高価な材料であるが、安価なエチレン系樹脂と併用することによって価格をセロハン並みに抑えることも可能である。
(他の形態)
なお、本発明の多層フィルムは、図示例の多層フィルム10に限定されない。例えば、本発明の多層フィルムは、本発明の効果を損なわない範囲において、第1の層と第2の層と間、または、第1の層の第2の層とは反対側に上述した他の層を有していてもよい。他の層を有する多層フィルムの例としては、例えば、第1の層、第2の層、ヒートシール層、アルミニウム箔層、接着剤層、印刷層、印刷層を形成する際の基材となる樹脂層をこの順に有するもの等が挙げられる。
<包装材>
本発明の包装材は、本発明の多層フィルムを用いたものである。
包装材としては、袋体、容器、蓋体等が挙げられる。袋体は、真空パックとして用いてもよい。
(袋体)
袋体としては、2枚の多層フィルムを重ねて周縁の四辺をヒートシールしてシール部を形成したもの;1枚の多層フィルムの平行な周縁の二辺を重ねてヒートシールして筒状にし、該筒の上下の開口の周縁をさらにヒートシールしてシール部を形成したもの等が挙げられる。
袋体としては、シール部における初期の引き裂き強度を弱め、袋体をさらに開封しやすくするために、シール部にVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔等の引き裂き開始部を形成したものが好ましい。
袋体は、袋体の上部の内面に、横方向に沿って取り付けられた一対の嵌合具を有し、嵌合具よりも上部側に、横方向に沿って切断補助線が形成され、その端部に引き裂き開始部が形成されたものであってもよい。この袋体においては、引き裂き開始部から切断補助線に沿って袋体の上部を切断して除去することで、袋体の上部に開口部を形成して開封することができる。袋体に形成した開口部は、一対の嵌合具を着脱することで繰り返し開閉できる。
(内容物)
包装材に収容する内容物としては、医薬品、食料品、化粧品、洗剤、トイレタリー、粉末飲料、調味料等が挙げられる。
(作用効果)
以上説明した本発明の包装材は、本発明の多層フィルムを用いたものであるため、易開封性、層間密着性、防湿性、寸法安定性およびシール部の耐熱性に優れる。
また、本発明の包装材にあっては、多層フィルムに他の層としてアルミニウム箔等の遮光性の層を設けない場合は、内容物の視認性にも優れる。また、環状オレフィン系樹脂は高価な材料であるが、安価なエチレン系樹脂と併用することによって価格をセロハンを用いた包装材並みに抑えることも可能である。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例によって限定されない。
<原料>
実施例および比較例において用いた各原料は下記のとおりである。
(環状オレフィン系樹脂)
COC:環状オレフィン共重合体(ポリプラスチックス社製、TOPAS(登録商標)8007−600、ガラス転移温度:78℃)。
(エチレン系樹脂)
LLDPE:線状低密度ポリエチレン(ダウケミカル社製、ダウレックス(登録商標)2047G)。
(プロピレン系樹脂)
PP:ポリプロピレン(日本ポリプロ社製、ノバテック(登録商標)PP FB3B)。
<多層フィルムの製造>
(実施例1)
COCの60質量部およびLLDPEの40質量部をタンブラーミキサを用いて混合し、第1の層を形成するための材料(i)を得た。
PPの80質量部およびLLDPEの20質量部をタンブラーミキサを用いて混合し、第2の層を形成するための材料(ii)を得た。
キャスト法(Tダイ法)によって、材料(i)および材料(ii)を共押出し、材料(i)からなる厚さ20μmの第1の層および材料(ii)からなる厚さ15μmの第2の層の2層からなる厚さ35μmの多層フィルムを得た。
(実施例2〜4、比較例1〜4)
第1の層を形成するための材料(i)の組成、第2の層を形成するための材料(ii)の組成、第1の層の厚さ、第2の層の厚さを表1および表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして多層フィルムを得た。
<評価>
各多層フィルムの層間密着性、ヒートシール性、透明性、易カット性、直進カット性を以下のように評価した。結果を表1および表2に示す。
(層間密着性)
多層フィルムを、縦方向と横方向に手でカットし、カット部をマイクロスコープで観察し、下記基準にて評価した。
〇(良) :第1の層と第2の層との界面において剥離が見られない。
×(不良):第1の層と第2の層との界面において剥離が見られる。
(ヒートシール性)
加熱プレス機を用い、温度:150℃、圧力:50MPa、時間:3分の条件にて、第2の層を面合せにして重ねられた2枚の多層フィルムを接着し、シール部と未接着部とを形成した。未接着部における2枚の多層フィルムの各々を引張試験機のチャックで挟み、速度100mm/分でシール部の剥離試験を行い、下記基準にて評価した。
〇(良) :シール部で2枚の多層フィルムが剥離せずに多層フィルムが切れた。
×(不良):シール部で2枚の多層フィルムが剥離した。
(透明性)
多層フィルムの全光線透過率を、JIS K 7361:1997(ISO 13468−1:1996)に記載された方法によって測定し、下記基準にて評価した。
〇(良) :全光線透過率が80%以上である。
×(不良):全光線透過率が80%未満である。
(易カット性)
ヒートシール性の評価と同様に2枚の多層フィルムを接着し、シール部の周縁にノッチを形成した。ノッチに沿って手切りを行い、下記基準にて評価した。
○(良) :抵抗なくスムーズに切れる。
×(不良):抵抗があり切れにくい。
(直進カット性)
易カット性の評価を行った多層フィルムについて、下記基準にて評価した。
○(良) :直線状に切れる。
×(不良):切り口が湾曲する。
Figure 2017136790
Figure 2017136790
実施例1〜4は、第1の層における環状オレフィン系樹脂の割合が50〜90質量%であり、エチレン系樹脂の割合が10〜50質量%であり、第2の層におけるプロピレン系樹脂の割合が50〜90質量%であり、エチレン系樹脂の割合が、10〜50質量%であり、第1の層の厚さが第2の層の厚さ以上であり、多層フィルムの厚さが15〜100μmであるため、層間密着性、ヒートシール性、透明性、易カット性、直進カット性が良好であった。
比較例1は、第1の層における環状オレフィン系樹脂の割合が50質量%未満であり、エチレン系樹脂の割合が50質量%超であるため、層間密着性、易カット性、直進カット性がよくなかった。
比較例2は、第2の層におけるプロピレン系樹脂の割合が50質量%未満であり、エチレン系樹脂の割合が50質量%超であるため、易カット性、直進カット性がよくなかった。
比較例3は、第1の層の厚さが第2の層の厚さ未満であるため、層間密着性、易カット性、直進カット性がよくなかった。
比較例4は、第1の層における環状オレフィン系樹脂の割合が50質量%未満であり、エチレン系樹脂の割合が50質量%超であり、第2の層におけるプロピレン系樹脂の割合が50質量%未満であり、エチレン系樹脂の割合が50質量%超であり、第1の層の厚さが第2の層の厚さ未満であるため、易カット性、直進カット性がよくなかった。なお、第1の層および第2の層ともにLLDPEを多く含むため、層間密着性は良好であった。
本発明の多層フィルムは、医薬品、食料品、化粧品、洗剤、トイレタリー、粉末飲料、調味料等を収容する袋体等の包装材の材料として有用である。
10 多層フィルム
12 第1の層
14 第2の層

Claims (4)

  1. 環状オレフィン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第1の層と、
    プロピレン系樹脂およびエチレン系樹脂を含む第2の層と
    を有する多層フィルムであり、
    前記第1の層の100質量%のうち、前記環状オレフィン系樹脂の割合が50〜90質量%であり、
    前記第1の層の100質量%のうち、前記エチレン系樹脂の割合が、10〜50質量%であり、
    前記第2の層の100質量%のうち、前記プロピレン系樹脂の割合が、50〜90質量%であり、
    前記第2の層の100質量%のうち、前記エチレン系樹脂の割合が、10〜50質量%であり、
    前記第1の層の厚さが、前記第2の層の厚さ以上であり、
    前記多層フィルムの厚さが、15〜100μmである、多層フィルム。
  2. 前記第1の層に含まれるエチレン系樹脂が、線状低密度ポリエチレンである、請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 前記第2の層に含まれるエチレン系樹脂が、線状低密度ポリエチレンである、請求項1または2に記載の多層フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層フィルムを用いた、包装材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018069734A (ja) * 2016-10-21 2018-05-10 日本ポリエチレン株式会社 ポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材
JP2018069735A (ja) * 2016-10-21 2018-05-10 日本ポリエチレン株式会社 ポリアミド系共押出易引裂多層フィルム及び包装材

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