JP6610108B2 - 直線易引裂性多層フィルム及び包装材 - Google Patents
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Description
食品包装袋に用いられる包装用積層体は、バリア性やヒートシール性などの包装袋として必要な特性付与の観点から、包装袋外面に位置するポリアミド、ポリエステル等の基材層に対し、高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂からなるポリオレフィン系樹脂層を積層したものが用いられてきた。
上記のような積層体からなる包装袋に易開封性を付与する方法として、基材層に延伸加工を施した易カットポリアミドフィルムや易カットポリエステルフィルムを用いたり、基材層とポリオレフィン系樹脂層との間に一軸延伸高密度ポリエチレンフィルムを積層させたりすることにより、開封方向に対して直線易引裂性を付与することが一般的である。しかし、これらの延伸基材フィルムは非常に高価であるため、コスト面が問題となり、汎用性が低いのが現状である。
このような欠点に対して、ポリエチレン系樹脂と環状ポリオレフィン系樹脂からなる易カットシーラントフィルムを基材の片側に積層させることにより、包装袋の開封方向に対する直線易カット性を付与する試みがされている(特許文献1)。該発明では、延伸により形成された易カットポリエステルフィルムに対して易カットシーラントフィルムを積層させた場合は、比較的良好な直線易引裂性を発現しているが、易カットポリエステルフィルムのような易カット基材は高価でありコスト面で問題があるだけでなく、易カット基材を用いているためにラミネート工程でのみ積層可能である。一方、汎用ポリエステルフィルムと易カットシーラントフィルムを積層させた場合においては、十分な直線易引裂性が得られていない。また、いずれも基材の片側に易カットシーラントフィルムを積層させており、非対称な積層体であるために、包装袋として開封する際に、前後の引裂き断面のずれ(泣き別れ)が生じる可能性が考えられる。
従って、低コストで直線易引裂性に優れるだけでなく、開封時の引裂き断面のずれが少ない包装袋が望まれていた。
前記基材層(II)の一方の外側に前記樹脂層(I)が存在し、前記基材層(II)の他方の外側に前記樹脂層(III)が存在してなることを特徴とする直線易引裂性多層フィルムが提供される。
前記基材層(II)の一方の外側に前記樹脂層(I)が存在し、前記基材層(II)の他方の外側に前記樹脂層(III)が存在してなることにより、特定方向の引裂強度が小さく易引裂性に優れるだけでなく、引裂き時の直線性にも優れ、さらに剛性にも優れる。
本発明は、少なくとも3層以上からなる多層フィルムであって、ポリエチレン系樹脂(a)20〜80重量%と環状オレフィン系樹脂(b)20〜80重量%からなる樹脂層(I)と、ポリオレフィン系樹脂以外の素材からなる基材層(II)と、ポリエチレン系樹脂(c)20〜80重量%と環状オレフィン系樹脂(d)20〜80重量%からなる樹脂層(III)を少なくとも有してなることを特徴とし、更に前記基材層(II)の一方の外側に前記樹脂層(I)が存在し、前記基材層(II)の他方の外側に前記樹脂層(III)が存在してなることを特徴とする直線易引裂性多層フィルムであることを特徴とする。
また、本発明の包装材は、前記直線易引裂性多層フィルムを用いてなることを特徴とする。
(1)樹脂層(I)
本発明の樹脂層(I)は、ポリエチレン系樹脂(a)20〜80重量%と環状オレフィン系樹脂(b)20〜80重量%からなることを特徴とする。より好ましくは、ポリエチレン系樹脂(a)40〜70重量%と環状オレフィン系樹脂(b)30〜60重量%からなることが望ましい。環状オレフィン系樹脂が少なすぎると、十分な易引裂性が得られない可能性があり好ましくない。
ポリエチレン系樹脂(a)は190℃におけるメルトインデックス(MI)が0.1〜30g/10分の直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。MIが0.1g/10分未満の場合は、溶融時の流動性が悪く、押出し時のモーター負荷が大きくなるため、加工性が悪くなる。一方、MIが30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、押出加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。また高圧ラジカル法より得られる低密度ポリエチレンであると、環状オレフィンとの界面強度が低く、直線易引裂性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトインデックス(MI)は、JIS K 7210により測定したメルトインデックス値である。また、本願明細書において、以下、MIはMFRとも言う。
本発明の直線易引裂性多層フィルムの樹脂層(I)で用いる環状オレフィン系樹脂(b)としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
COCとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなどの直鎖状モノマーとテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどの環状モノマーとから得られた環状オレフィン共重合体が挙げられる。さらに具体的には上記直鎖状モノマーと炭素数が3〜20のモノシクロアルケンやビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)及びこの誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−3−ドデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン及びこの誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン等およびこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン及びこの誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン及びこの誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン及びこの誘導体等の環状オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィン共重合体などが挙げられる。直鎖状モノマー及び環状モノマーは、それぞれ、単独でも、2種類以上を併用することもできる。また、このような環状オレフィン共重合体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、環状オレフィン系樹脂(b)に、前記COPとCOCを併用することもできる。その場合は、COPとCOCのそれぞれの異なった性能を付与することができる。
本発明においては、ポリエチレンに対する分散性の理由により、環状オレフィン系樹脂
(b)はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。さらには、環状モノマーは、ノルボルネン等であることが好ましい。
また、本発明においては、エチレン・環状オレフィン共重合体は、エチレン/環状オレ
フィンの含有割合が重量比で15〜40/85〜60のものであることが好ましい。より
好ましくは30〜40/70〜60のものである。エチレンが15重量%未満であると、
剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適正を悪化させるため好ましく
ない。一方、エチレンが40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないた
め好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、引裂性、加工安定性、衝撃強度が向上するため好ましい。
さらにまた、エチレン・環状オレフィン共重合体はガラス転移温度が60〜150℃であることが好ましい。より好ましくは、70℃〜120℃である。ガラス転移温度が150℃を超えると、ポリエチレンとの粘度差が大きくなり過ぎて、分散性が悪くなり、加工安定性が悪くなるだけでなく、十分な易引裂性が得られない可能性があり、好ましくない。一方、ガラス転移温度が60℃未満であると、十分な剛性が得られず、易引裂性の低下が懸念される。さらに、ガラス転移温度以上の温度下に晒された際に、十分な易引裂性が得られない可能性がある。
また、環状オレフィン系樹脂(b)の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
環状オレフィン系樹脂(b)として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、ポリプラスチック社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード8007が好ましい。
本発明の直線易引裂性多層フィルムの基材層(II)を構成する層は、ポリオレフィン系樹脂以外の素材からなることを特徴とする。必要に応じて一種、もしくは二種以上の素材の積層体からなっても良い。基材層(II)を構成する材料としては、例えばポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合系樹脂、セロハン、アルミ、紙などが例示できる。
例えば、基材層(II)にポリアミド系樹脂を用いると、耐ピンホール性や熱成形性に優れる。ポリアミド系樹脂としてはナイロン系樹脂が挙げられ、例えば、6ナイロン、66ナイロン、69ナイロン、6−66ナイロン、12ナイロン、MXDナイロン等の縮合単位の重合体またはこれらの混合物が適用できる。好ましくは、6ナイロンや6−66ナイロンである。
また、例えば、酸素バリアの付与を目的としてエチレン-ビニルアルコール共重合系樹脂を用いることもできる。エチレン-ビニルアルコール共重合系樹脂におけるエチレン含有率は特に限定されるものではないが、製膜安定性の観点から27〜47mol%であることが好ましく、さらには32〜44mol%であることが好ましい。
その他、基材層(II)においては、必要性能に応じて本発明の効果を妨げない範囲でポリオレフィン系樹脂以外の素材から選択可能である。
本発明の樹脂層(III)は、ポリエチレン系樹脂(c)20〜80重量%と環状オレフィン系樹脂(d)20〜重量80%からなることを特徴とする。樹脂層(III)を構成するポリエチレン系樹脂(c)と環状オレフィン系樹脂(d)においては、樹脂層(I)を構成する同樹脂について上述した範囲内であれば、同じ樹脂を用いてもよいし、異なる樹脂を用いてもよい。
本発明の直線易引裂性多層フィルムは、前述したように、特定の樹脂層(I)と特定の基材層(II)と特定の樹脂層(III)を有することを特徴とし、更に層(II)の一方の外側に層(I)が存在し、層(II)の他方の外側に層(III)が、それぞれ存在するように積層した構成からなるものである。
すなわち、層(II)と層(I)、層(II)と層(III)は、それぞれ互いに隣接していてもよいし、後述するように、間に他の樹脂層を介していてもよい。
例えば、樹脂層(I)に用いるポリエチレン系樹脂及び環状オレフィン樹脂と、基材層(II)に用いるエチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂と、樹脂層(III)に用いるポリエチレン系樹脂及び環状オレフィン樹脂とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で(I)、(II)、(III)の順の位置関係になるよう積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形にする共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。さらに、本発明で用いるポリエチレン系樹脂(a)(c)と環状オレフィン系樹脂(b)(d)は、高温状態において粘度差が大きいため、適当な相分離構造が形成されない可能性がある。したがって、比較的低温で溶融押出を行うことができるインフレーション法が好ましい。
本発明の直線易引裂性多層フィルムの製造方法として、共押出法を選択する場合は、樹脂層(I)と基材層(II)および基材層(II)と樹脂層(III)の間に必要に応じて接着樹脂を配置することが出来る。接着樹脂としては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、その他、エチレン−酢酸ビニル共重合体もしくはエチレン系エラストマーに、アクリル酸等の一塩基性不飽和脂肪酸やマレイン酸等の二塩基性脂肪酸の無水物を化学結合させた変性ポリオレフィン系樹脂が例示できる。特に限定は無いが、樹脂層(I)と基材層(II)および基材層(II)と樹脂層(III)の間で十分な接着強度が得られるものを用いることが好ましい。
接着層を設ける場合は、層間の接着強度の観点から、接着層の厚みは2μm以上が好ましい。2μm以上であれば、層間の界面強度を向上させることが出来る。また特に限定は無いが、30μm以下が好ましい。30μm以上になると、透明性の悪化や、易引裂性の低下につながる。
本発明の直線易引裂性多層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、医療器具、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、包装容器等が挙げられる。
前記包装袋は、本発明の直線易引裂性多層フィルムの樹脂層(I)または樹脂層(III)をヒートシール層として、樹脂層(I)または樹脂層(III)同士を重ねてヒートシールすることにより形成した包装袋が挙げられる。2枚の当該直線易引裂性多層フィルムを所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填した後、ヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。また、1枚の当該直線易引裂性多層フィルムを用いて、ピロー包装の形態でも用いることができる。さらに、樹脂層(I)または樹脂層(III)とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA等のフィルムを用いることができる。
発明の直線易引裂性多層フィルムを用いた包装材には、初期の引裂強度を弱め、開封性を向上するため、シール部にVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔などの任意の引き裂き開始部を形成すると好ましい。
また、前記包装容器としては、本発明の直線易引裂性多層フィルムを二次成形することにより得られる深絞り成形品(上部に開口部がある底材)が挙げられ、代表的なものとして食品トレーの底材が挙げられる。この底材を密封する蓋材は、底材とヒートシールできるものであれば特に材質は問わないが、蓋材と底材を同時に引き裂いて開封できることから、本発明の直線易引裂性多層フィルムを蓋材として用いることが好ましい。
上記の二次成形方法としては、例えば、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等が
挙げられる。これらの中でも、フィルムあるいはシートを包装機上にてインラインで成形
し、内容物を充填できるため真空成形が好ましい。
1.物性評価方法
<エルメンドルフ引裂強度>
JIS K7128−2を参考にし、以下の装置を用いてエルメンドルフ引裂強度を評価した。なお、TDは流れ方向に対して垂直方向(TD:Transverse Direction)の値である。
装置:デジタルエルメンドルフ引裂試験機 型式SA(株式会社東洋精機製作所製)
測定環境:温度23℃、湿度50%
<直線引裂性の評価>
図1に示す通りに試料片を万能試験機に設置し、スリットの試料下部における切り口(END)とノッチ末端までの距離(END距離)(図2)を測定することでTD方向への直線カット性の評価を行った。
装置:株式会社オリエンテック製テンシロン万能試験機
試験片:MD方向50mm、TD方向300mmの寸法に切り出した試料に横方向に100mmのノッチを入れたもの。
引張速度:200mm/min
チャック間距離:65mm
測定環境:温度23℃、湿度50%
以下の成形装置、成形条件によりインフレーションフィルムを成形した。
成形機:5種5層インフレーション成形機(株式会社プラコー製)
ダイス径:φ150mm
ダイリップギャップ:3mm
BUR:1.8
引取速度:8m/min
厚み:50μm
[ポリエチレン系樹脂(a), (c)]
・LLDPE―1:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLL、グレード名UF320、融点=123℃、MFR=0.9g/10分、密度=0.922g/cm3
・LLDPE―2:日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLL、グレード名UF421、融点=124℃、MFR=0.9g/10分、密度=0.926g/cm3
[環状オレフィン系樹脂(b), (d)]
・COC:ポリプラスチックス(株)製、商品名TOPAS8007F−500、MVR(190℃、2.16kg)=2.0cm3/10min、密度=1,010kg/m3、ガラス転移温度Tg=78℃
[基材層(II)]
・EVOH:日本合成化学工業(株)製、商品名ソアノールET3803RB、MFR(210℃, 2,160gf)=4.0g/10min、密度=1.17g/cm3、エチレンコンテント38mol%
[接着層(A)]
・Tie:三菱化学(株)製、商品名モディックM533、MFR=2.5g/10分、密度=0.900g/cm3
<実施例と比較例>
上記記載の樹脂を用いて、表1に記載の配合で厚み50μmのインフレーションフィルムを得た。評価結果を下記表1に示す。
表1から明らかなように、比較例1は基材層EVOHを中心として両側に直鎖状低密度ポリエチレン(以下LLDPE)を積層させた多層フィルムであるが、TDの引裂強度は小さく、易引裂性には優れているが、TD引裂時END距離が小さいために直線引裂性は不十分である。また、比較例2は、基材層EVOHを中心として片側にLLDPE、もう一方の側にLLDPEとCOCからなる樹脂層を積層させた多層フィルムであり、TDの引裂強度は大きく、易引裂性が不十分であるだけでなく、TD引裂時END距離が小さいために直線引裂性も不十分である。一方、実施例1に置いては、基材層EVOHを中心として、両側にLLDPEとCOCからなる樹脂層を積層させた多層フィルムであり、TDの引裂強度は小さく、易引裂性に優れるだけでなく、TD引裂時END距離も大きく直線引裂性にも優れる。
Claims (8)
- 少なくとも3層以上からなる多層フィルムであって、ポリエチレン系樹脂(a)40〜80重量%と環状オレフィン系樹脂(b)20〜60重量%からなる樹脂層(I)と、ポリオレフィン系樹脂以外の素材からなる基材層(II)と、ポリエチレン系樹脂(c)40〜80重量%と環状オレフィン系樹脂(d)20〜60重量%からなる樹脂層(III)を少なくとも有してなり、
前記基材層(II)の一方の外側に前記樹脂層(I)が存在し、前記基材層(II)の他方の外側に前記樹脂層(III)が存在してなることを特徴とする直線易引裂性多層フィルム。 - 前記樹脂層(I)と前記基材層(II)の層間、または前記基材層(II)と前記樹脂層(III)の層間の少なくともどちらか一方に、接着層(A)を有することを特徴とする請求項1記載の直線易引裂性多層フィルム。
- 前記樹脂層(I)と前記基材層(II)の層間、または前記基材層(II)と前記樹脂層(III)の層間の少なくともどちらか一方に、ポリオレフィン系樹脂層(B)を有することを特徴とする請求項1又は2記載の直線易引裂性多層フィルム。
- 前記樹脂層(I)及び前記樹脂層(III)の少なくともどちらか一方において、前記基材層(II)が積層されている側とは反対側にポリオレフィン系樹脂層(C)が積層されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の直線易引裂性多層フィルム。
- 前記ポリエチレン系樹脂(a)及び前記ポリエチレン系樹脂(c)は、190℃におけるメルトインデックス(MI)が0.1〜30g/10分の直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載の直線易引裂性多層フィルム。
- 前記環状オレフィン系樹脂(b)及び前記環状オレフィン系樹脂(d)のガラス転移温度が60〜150℃であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載の直線易引裂性多層フィルム。
- 前記ポリオレフィン系樹脂層(B)及び前記ポリオレフィン系樹脂層(C)の少なくともどちらか一方が、ポリエチレン系樹脂またはポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする請求項3〜6のいずれかの項に記載の直線易引裂性多層フィルム。
- 請求項1〜7のいずれかの項に記載の直線易引裂性多層フィルムからなる包装材。
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