JPH08197693A - アモルファスポリオレフィン系積層延伸フィルム及びその製造方法 - Google Patents

アモルファスポリオレフィン系積層延伸フィルム及びその製造方法

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JPH08197693A
JPH08197693A JP7011874A JP1187495A JPH08197693A JP H08197693 A JPH08197693 A JP H08197693A JP 7011874 A JP7011874 A JP 7011874A JP 1187495 A JP1187495 A JP 1187495A JP H08197693 A JPH08197693 A JP H08197693A
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JP
Japan
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stretched film
laminated
film
laminated stretched
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Application number
JP7011874A
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English (en)
Inventor
Akihiko Sakai
昭彦 坂井
Kazuhisa Miyashita
和久 宮下
Masashi Hasegawa
雅士 長谷川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度な防湿性及び高度な酸素バリア性を兼ね
備え、更に、易引裂性、透明性、剛性、外観等の物性バ
ランスに優れたアモルファスポリオレフィン系積層延伸
フィルム及びその製造方法を提供することを目的とす
る。 【構成】 ガラス転移温度が70〜145℃のアモルフ
ァスポリオレフィンよりなるA層とエチレンー酢酸ビニ
ル共重合体けん化物よりなるB層とを含み、A層が少な
くとも一方の外層を形成する積層延伸フィルムにおい
て、A層とB層との厚さ比が95:5〜50:50であ
り、少なくとも一方向に2倍以上に延伸配向されたこと
を特徴とする積層延伸フィルム、また、前記A層とB層
とを厚さ比が95:5〜50:50となるよう共押出し
た積層未延伸フィルムを、少なくとも一方向に2倍以上
に延伸することを特徴とする積層延伸フィルムの製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高度な防湿性及び高度
な酸素バリア性を兼ね備え、更に、易引裂性、透明性、
剛性、外観等に優れ、水分及び酸素による内容物の変質
を嫌う食品、医薬品等の包装用フィルムに適するアモル
ファスポリオレフィン系積層延伸フイルム及びその製造
方法に関する。本発明でいう易引裂性とは、フィルムを
引裂いた際に、フィルムが伸びて変形することなく、わ
ずかな力で引裂くことができることをいう。
【0002】
【従来の技術】従来より、プラスチックフィルムは、様
々な包装用途に使用されている。そして、これらプラス
チックフィルムは、樹脂の違いによりそれぞれ特有の性
質を有しており、用途に応じて使用されている。近年で
は、包装用途においてもより高度な特性を有したフィル
ムが要求されている。例えば、食品及び医薬品等の品質
保持や内容物の長期間の保存等のために、より高度の酸
素バリア性及び高度の防湿性を有したフィルムが望まれ
ている。また、包装用に使用されるフィルムは、引裂し
て開封する場合が多いので、易引裂性も望まれている。
【0003】そこで、防湿性に優れた樹脂として環状ポ
リオレフィンが知れており、これら未延伸及び延伸フィ
ルムについても提案されている(特開平2ー28963
7号公報、特開平5ー262898号公報、特開平6ー
80792号公報等参照)。しかしながら、これら環状
ポリオレフィンよりなる未延伸及び延伸フィルムは、防
湿性、易引裂性、透明性、剛性においては優れているも
のの、高度な酸素バリア性においては不十分なものであ
った。
【0004】一方、エチレンー酢酸ビニル共重合体けん
化物よりなる延伸フィルムは、酸素バリア性に優れてい
ることが知られているが、このフィルムは水分を吸湿し
てしまう性質があり、その結果、実質的に酸素バリア性
が低下するという欠点がり、また、剛性においても不十
分なものであった。この課題を解決するために、結晶性
ポリオレフィン(ポリプロピレン、高密度ポリエチレン
等)とエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物との積層
延伸フィルムが提案されている(例えば、特公平3ー7
8255号公報等参照)。
【0005】しかしながら、この積層延伸フィルムにお
いても剛性は不十分であり、また、より高度な防湿性お
よび酸素バリア性が要求される包装用途においては、ま
だ不十分なものであった。そのため、これら特性をすべ
てバランスよく兼ね備えたフィルムが望まれていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実状に
鑑みなされたものであり、高度な防湿性及び高度な酸素
バリア性を兼ね備え、更に、易引裂性、透明性、剛性、
外観等に優れたアモルファスポリオレフィン系積層延伸
フィルム及びその製造方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の請求項1に記載の発明においては、ガラス
転移温度が70〜145℃のアモルファスポリオレフィ
ンよりなるA層とエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化
物よりなるB層とを含み、A層が少なくとも一方の外層
を形成する積層延伸フィルムにおいて、A層とB層との
厚さ比が95:5〜50:50であり、少なくとも一方
向に2倍以上に延伸配向されたことを特徴とする積層延
伸フィルムに関するものである。
【0008】また、本発明の請求項4に記載の発明にお
いては、ガラス転移温度が70〜145℃のアモルファ
スポリオレフィンよりなるA層とエチレンー酢酸ビニル
共重合体けん化物よりなるB層とを含み、A層が少なく
とも一方の外層となり、A層とB層との厚さ比が95:
5〜50:50となるように共押出した積層未延伸フィ
ルムを、少なくとも一方向に2倍以上に延伸するという
手段を講ずるものである。
【0009】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
係る積層延伸フィルムの主要な原料は、アモルファスポ
リオレフィンとエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物
とである。本発明におけるA層を形成するアモルファス
ポリオレフィンは、ガラス転移温度が70〜145℃で
あることが必要である。ガラス転移温度は、JIS K
ー7121に準拠し、DSC測定装置を使用して、昇温
速度10℃/分で測定した値である。
【0010】ガラス転移温度が145℃を越える場合
は、延伸時に高い延伸温度が必要となり、エチレンー酢
酸ビニル共重合体けん化物の結晶化度が大きくなるため
に、積層フィルムとして均一な延伸が困難となり良好な
延伸フィルムが得られない。一方、ガラス転移温度が7
0℃未満の場合は、耐熱性が不十分なために、積層フィ
ルムは変形したり、皺等の外観不良が発生してしまうの
で好ましくない。上記範囲のうち、好ましいガラス転移
温度は、70〜120℃、特に好ましくは80〜100
℃である。
【0011】本発明におけるアモルファスポリオレフィ
ンとは、その構造及び性質より好ましくは環状オレフィ
ン構造を有し、非晶質と言える樹脂である。具体的なア
モルファスポリオレフィンの例としては、例えば、次の
ようなものが挙げられる。
【0012】(1)シクロペンタジエンないしその誘導
体とノルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物
と、ビニル基を有する化合物との共重合体又はその水素
添加物。ここで、ビニル基を有する化合物とは、αーオ
レフィン、1,3ー共役ジエン、スチレン及びスチレン
誘導体から選ばれた不飽和単量体である。αーオレフィ
ンの具体例としては、エチレン、プロピレン、ブチレン
等が、1,3ー共役ジエンの具体例としては、ブタジエ
ン、イソプレン、ペンタジエン等が、スチレン誘導体の
具体例としては、oーメチルスチレン、mーメチルスチ
レン、pーメチルスチレン、αーメチルスチレン、oー
クロルスチレン、mークロルスチレン、pークロルスチ
レン、oーエチルスチレン、mーエチルスチレン、pー
エチルスチレン、pーメトキシスチレン、pークロロエ
チルスチレン、pーメチルーαーメチルスチレン等が挙
げられる。なお、これらは2種類以上の混合物としても
使用することができる。
【0013】(2)ジシクロペンタジエンないしその誘
導体とエチレンとの付加反応物と、上記ビニル基を有す
る化合物との共重合体又はその水素添加物。 (3)極性基を有する又は有しないテトラシクロー3ー
ドデセンないしその誘導体の単独重合体、極性基を有す
る又は有しないビシクロヘプトー2ーエンないしその誘
導体の単独重合体又はこれらの共重合体、又はこれらの
水素添加物。
【0014】(4)極性基を有するテトラシクロー3ー
ドデセンないしその誘導体又は極性基を有するビシクロ
ヘプトー2ーエンないしその誘導体と、他の環状オレフ
ィンとの開環重合体又は水素添加物。例えば、(1)お
よび(2)のアモルファスポリオレフィンは、下記式1
の一般式で表されるアモルファス樹脂である。
【0015】
【化1】
【0016】(但し、式1中nは1以上の正の整数、m
は1以上の正の整数、Rは水素原子、炭化水素基又はC
64R1基を表し、R1は水素原子、炭化水素基、アルコ
キシ基、ハロゲン化炭化水素基又はハロゲン原子を表
す。炭化水素基は、メチル基、エチル基等が挙げられ
る。また、Xはシクロペンタジエンないしその誘導体と
ノルボルナジエンないしその誘導体との付加反応物もし
くはその水素添加物、又はジシクロペンタジエンないし
その誘導体とエチレンとの付加反応物を表す。)
【0017】ここで、シクロペンタジエンないしその誘
導体とノルボルナジエンないしその誘導体との付加反応
物の水素添加物、又はジシクロペンタジエンないしその
誘導体とエチレンとの付加反応物は、下記式2の一般式
で表されるものである。
【0018】
【化2】
【0019】(但し、式2中nは0または1、mは0ま
たは正の整数、qは0または1、R1〜R18ならびにRa
およびRbは、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原
子、及び炭化水素基よりなる群から選ばれる原子又は基
を表し、R15〜R18は、互いに結合して単環または多環
を形成していてもよく、かつ該単環または多環が二重結
合を有していてもよく、また、R15とR16とで、または
R17とR18とでアルキリデン基を形成していてもよ
い。)
【0020】これら式2の具体的な例としては、ビシク
ロ[2,2,1]ヘプトー2ーエン、テトラシクロ
[4,4,0,12,5,17,10]ー3ードデセン、ヘキ
サシクロ[6,6,1,13,6,110,13,02,7,0
9,14]ー4ーヘプタデセン、オクタシクロ[8,8,
0,12,9,14,7,111,18,113,16,03,8
12,17]ー5ードコセン、ペンタシクロ[6,6,
1,13,6,02,7,09,14]ー4ーヘキサデセン、ヘプ
タシクロ[8,8,0,12,9,14,7,111,18
3,8,012,17]ー5ーエイコセン、ペンタシクロ
[6,5,1,13,6,02,7,09,13]ー4ーペンタデ
セン、ペンタシクロ[6,5,1,13,6,02,7]ー
4,10ーペンタデカジエン、トリシクロ[4,3,
0,12,5]ー3ーデセン、トリシクロ[4,4,0,
2,5]ー3ーウンデセン、ペンタシクロ[7,4,
0,12,5,1 9,12,08,13]ー3ーペンタデセン、ヘ
プタシクロ[8,7,0,13,6,110, 17,112,15
2,7,011,16]ー4ーエイコセン、ペンタシクロ
[8,4,0,12,5,19,12,08,13]ー3ーヘキサ
デセン、ヘプタシクロ[8,8,0,14,7,111,18
13,16,03,8,012,17]ー5ーヘンエイコセン、イ
ナシクロ[10,9,1,14,7,113,20,115,18
2,10,03,8,012,21,014, 19]ー5ーペンタコセ
ン、ノナシクロ[10,10,1,15,8,114,21,1
16 ,19,02,11,04,9,013,22,015,20]ー5ーヘキ
サコセン等、及びこれらの骨格に次のような置換基を有
した誘導体が挙げられる。置換基として、塩素基、臭素
基、フッ素基、メチル基、エチル基、プロピル基、フェ
ニル基、ナフチル基、ブチル基、シクロヘキシル基、エ
チリデン基、プロピリデン基、ベンジル基等が挙げられ
る。
【0021】次に、(3)のアモルファスポリオレフィ
ンの一つの例としては、例えば、下記式3の一般式で表
されるアモルファス重合体が挙げられる。
【0022】
【化3】
【0023】(但し、式3中nは0又は1以上の正の整
数、mは0又は1以上の正の整数、また環状5員環単位
には、ハロゲン原子又は炭化水素基等の置換基を有して
いる。)
【0024】極性基を有する又は有しないテトラシクロ
[4,4,0,12,5,17,10]ー3ードデセンないし
誘導体及び極性基を有する又は有しないビシクロ[2、
2、1]ヘプトー2ーエンないし誘導体としては、下記
式4の一般式で表されるものである。
【0025】
【化4】
【0026】(但し、式4中mは0又は1、Raはそれ
ぞれ水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基を表し、R
1〜R4はそれぞれカルボキシル基、アセトキシ基、シア
ノ基、ハロゲン原子、水素原子、炭化水素基等の置換基
を表す。炭化水素基とは、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、フェニル基、ナフチル基、ブチル基、シクロヘキ
シル基、エチリデン基、プロピリデン基、ベンジル基等
が挙げられる。)
【0027】(4)のアモルファスポリオレフィンと
は、前記式4と他の環状オレフィンとの開環重合体又は
その水素添加物である。ここで、他の環状オレフィンの
具体例としては、シクロペンテン、シクロオクテン、
1,5ーシクロオクテンタジエン、1,5,9ーシクル
ドデカトリエン等のシクロオレフィン、ビシクロヘプト
ー2ーエン、トリシクロー3ーデセン、トリシクロー9
ーウンデセン、テトラシクロー3ードデセン、ペンタシ
クロー4ーペンタデセン、ペンタシクロー4ーヘキサデ
セン等のポリシクロアルケンが挙げられる。
【0028】本発明におけるアモルファスポリオレフィ
ンは、1種又は2種以上の混合物を使用してもよい。本
発明におけるアモルファスポリオレフィンよりなるA層
には、上記アモルファスポリオレフィンの他に、その性
質を大きく変えない範囲で少量の脂肪族ポリオレフィン
を含有させてもよい。脂肪族ポリオレフィンの具体例と
しては、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン、エチレンー酢酸ビニル共重合
体、エチレンープロピレン共重合体、エチレンーブテン
共重合体、ポリプロピレン等のエチレン、プロピレン等
の単独重合体または共重合体が挙げられる。混合量はア
モルファスポリオレフィンに対して、10重量%以下が
好ましい。
【0029】本発明におけるB層を形成するエチレンー
酢酸ビニル共重合体けん化物としては、公知のものが使
用できる。好ましくは、エチレン含有量が20〜70モ
ル%であり、酢酸ビニルのけん化度が95モル%以上の
もの、特に、エチレン含有量が25〜50モル%であ
り、酢酸ビニル成分のけん化度が98モル%以上のもの
が好ましい。
【0030】エチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物
は、エチレンと酢酸ビニルとの二元共重合体のけん化物
に限られず、エチレン、酢酸ビニルとともに共重合し得
るモノマー成分を共重合させた三元以上のエチレンー酢
酸ビニル共重合体のけん化物であってもよい。共重合し
得るモノマー成分としては、プロピレン、イソブチレン
等のαーオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、マレ
イン酸等の不飽和酸およびこれらのエステルまたは塩等
が挙げられる。これらの共重合モノマーは、エチレン及
び酢酸ビニルの合計量に対して、5モル%以下が好まし
い。
【0031】本発明の積層延伸フィルムは、ガラス転移
温度が70〜145℃のアモルファスポリオレフィンよ
りなるA層とエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物よ
りなるB層からなり、A層が少なくとも一方の外層を形
成する積層延伸フィルムである。具体的な層構成として
は、A層/B層、A層/B層/A層等であり、3層以上
の積層延伸フィルムの場合には、A層は一方又は両方の
外層を形成することが必要である。積層延伸フィルムの
使用時に、A層を高湿側にすることによりB層の水分吸
湿を防止でき、積層延伸フィルムとしての良好な酸素バ
リア性を維持することができる。一方、3層以上の積層
延伸フィルムにおいて、A層が外層を形成しない場合
は、B層が水分を吸湿するために積層延伸フィルムとし
ては、酸素バリア性が低下するので好ましくない。好ま
しくは、A層が両外層を形成する積層延伸フィルムであ
る。
【0032】本発明の積層延伸フィルムは、少なくとも
一方向に2倍以上に延伸配向されたフィルムである。延
伸倍率が一方向に2倍未満の場合及び縦横両方向ともに
2倍未満の場合は、積層延伸フィルムの酸素バリア性及
び易引裂性が不十分であり好ましくない。好ましくは、
積層延伸フィルムの用途に応じて、例えば、一方向のみ
に易引裂性が良好なフィルムを得たい場合には、一方向
のみに2.5〜4倍に延伸配向すればよい。また、例え
ば、袋等を作製するのに好都合な縦横の方向性のないフ
ィルム、即ち、縦横両方向に易引裂性が良好なフィルム
を得たい場合には、縦横両方向に2.5〜4倍に延伸す
ると物性バランスが良く好ましい。
【0033】本発明の積層延伸フィルムのA層とB層と
の厚さ比は、95:5〜50:50であることが必要で
ある。A層とB層との厚さ比とは、積層延伸フィルムが
3層以上からなる場合に、A層全体の厚さの和とB層全
体の厚さの和との比である。上記厚さ比が95を越える
場合は、積層延伸フィルムの酸素バリア性が低下し、一
方、50未満である場合には、積層延伸フィルムの防湿
性及び易引裂性が低下するので好ましくない。
【0034】本発明の積層延伸フィルムは、A層とB層
とを含むフィルムであるが、A層とB層との接着性をよ
り向上させる目的で両層の間に、接着層を介することが
できる。接着層を形成する樹脂としては、従来より公知
のポリオレフィン系樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、
及びこれら混合物等が挙げられる。ポリオレフィン系樹
脂の具体例としては、高密度ポリエチレン、低密度ポリ
エチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンー酢酸
ビニル共重合体、エチレンープロピレン共重合体、エチ
レンーブテン共重合体、ポリプロピレン等が挙げられ
る。また、変性ポリオレフィン系樹脂とは、前記ポリオ
レフィン系樹脂または環状ポリオレフィン系樹脂を不飽
和カルボン酸類でグラフトした樹脂である。不飽和カル
ボン酸類の具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、アクリル
酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
【0035】本発明の積層延伸フィルムの全体の厚さ
は、各種包装用途に応じて適宜選択して使用することが
できる。しかしながら、全体の厚さが薄い場合には、積
層延伸フィルムの剛性が劣り、一方、厚い場合には易引
裂性が劣るので、包装用途に適した厚さを選択するのが
望ましい。通常、10〜100μm、特に、15〜80
μmが好ましい。
【0036】本発明の積層延伸フィルムが接着層を介す
る場合は、この接着層の厚さはA層とB層との接着性が
向上する程度の厚さがあればよく、好ましくは積層延伸
フィルム全体の厚さの30%以下である。本発明に係る
積層延伸フィルムは、従来公知の方法により製造するこ
とができる。例えば、延伸フィルム同士を接着剤を介し
て接着するドライラミネート法、またフィルムに積層す
る樹脂を溶融押出して積層する押出ラミネート法なども
応用しうるが、好ましくは共押出法が採用される。
【0037】共押出法では、まず、アモルファスポリオ
レフィンとエチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物とを
原料として用いて、実質的に無定形で配向していない積
層未延伸フィルムを共押出して製造し、次に、上記の積
層未延伸フィルムを、フィルムの流れ方向(縦方向)及
び/又はこれと直角な方向(横方向)に各々2倍以上の
延伸倍率で延伸する。延伸方法としては、バッチ式、テ
ンター式、インフレーション式、ロール延伸式、圧延延
伸式等の従来公知の延伸方法が採用できる。
【0038】積層未延伸フィルムを延伸する際は、70
〜160℃の延伸温度で行う。延伸温度が70℃未満で
あるとアモルファスポリオレフィンよりなるA層が延伸
困難であるため、良好な積層延伸フィルムが得られず、
一方、160℃を越えると得られた積層延伸フィルムの
酸素バリア性の良好なフィルムが得られないので好まし
くない。好ましくは、100〜150℃である。
【0039】上記方法により延伸された積層延伸フィル
ムは、引き続き熱固定を施す。この際、熱固定温度は、
B層を形成するエチレンー酢酸ビニルけん化物の融点か
らー50℃までの間で適宜選択することができる。
【0040】本発明における積層延伸フィルムは、本発
明の目的を考慮すると次のような物性、すなわち温度2
5℃、相対湿度70%の条件下における酸素透過率が2
0cc/m2・24h以下で、かつ、温度40℃、相対湿
度90%の条件下における透湿度が15g/m2・24
h以下であると高度な酸素バリア性及び高度な防湿性を
有するものである。好ましくは、温度25℃、相対湿度
70%の条件下における酸素透過率が10cc/m2・2
4h以下で、かつ、温度40℃、相対湿度90%の条件
下における透湿度が10g/m2・24h以下である。
【0041】本発明の積層延伸フィルムは単独で又は他
のフィルムと積層して、各種の包装用途に使用できる。
また、単独又は他のフィルムとの積層フィルムともシー
ラント層を張り合わせて袋状製品の用途に活用すること
もできる。これら袋状製品はそれ単独で、またはこれを
内袋としてファイバードラム、紙管などの外箱と組み合
わせて使用することもできる。
【0042】
【実施例】以下、本発明の内容および効果を実施例によ
り更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えな
い限り以下の例に限定されるものではない。なお、以下
の例において、得られた積層延伸フィルムの評価は次の
方法によって行ったものであり、また、積層延伸フィル
ムの層構成および評価結果を表1に示した。
【0043】〈酸素透過率(cc/m2・24h)〉モダ
ンコントロール社製のOXYーTRAN100型酸素透
過率測定装置を使用し、温度25℃、相対湿度70%の
条件下で測定した。 〈透湿度(g/m2・24h)〉JIS Zー0208
に準拠し、温度40℃、相対湿度90%の条件下でひょ
う量し、算出した。
【0044】〈易引裂性〉下記に示した実施例及び比較
例により得られた積層延伸フィルムより、100mm×1
00mmに切断した試料フィルムを作製した。この試料フ
ィルムにノッチを入れて延伸方向とそれに直角な方向と
を、それぞれ手で引裂いた。その結果、試料フィルムが
両方向に伸びずに裂けた場合を○で表し、試料フィルム
が一方向のみに伸びずに裂けた場合を△で表し、試料フ
ィルムが両方向ともに伸びながら裂けた場合を×で表し
て、評価した。
【0045】〈引裂強さ(N)〉JIS Zー7128
のA法(トラウザー引裂法)に準拠し、引っ張り試験器
を使用して、200mm/分の速度で延伸方向とそれに直
角な方向とにそれぞれ引裂き、平均引裂荷重を測定し
た。
【0046】実施例1 ガラス転移温度80℃のアモルファスポリオレフィン
(三井石油化学工業(株)製、アペルAPL6509)
と、エチレンー酢酸ビニル共重合体けん化物((株)ク
ラレ製、エバールEPF101B、エチレン含有量32
モル%、けん化度99モル%)とを、65mmφ押出機2
台を使用して別々に溶融させ、フィードブロック式Tダ
イ内で積層させて2層構造の積層フィルムとして共押出
して、30℃のキャストロールに密着急冷し、層構成が
A層/B層の2層、全体の厚さが180μm(A層が約
162μm、B層が約18μm)の積層未延伸フィルム
(A層とB層との厚さ比は90:10)を得た。
【0047】得られた積層未延伸フィルムを130℃の
条件下で(株)岩本製作所製の卓上二軸延伸機により縦
横両方向に3倍延伸した後、160℃で20秒間フィル
ムをワクで挟んで熱固定を行い、厚さ約20μmの積層
延伸フィルムを得た。得られた積層延伸フィルムについ
て、前記の方法によって酸素透過率、引裂強さを測定
し、透湿度を算出し、易引裂性を評価した。その結果
を、フィルムの層構成等と共に、表1に示した。
【0048】実施例2 実施例1において、アモルファスポリオレフィンをガラ
ス転移温度140℃のアモルファスポリオレフィン(三
井石油化学工業(株)製、アペルAPL6015)に代
えたほかは、同例と同様な方法で層構成がA層/B層/
A層の3層、全体の厚さが90μm(A層が約27μm
/B層が約36μm/A層が約27μm)の積層未延伸
フィルム(A層とB層との厚さ比は60:40)を得
た。
【0049】得られた積層未延伸フィルムを150℃の
条件下で、一方向に3倍延伸したほかは同例におけると
同様な方法で、厚さ約30μmの積層延伸フィルムを得
た。得られた積層延伸フィルムについて、その結果を表
1に示した。
【0050】実施例3 実施例1において、アモルファスポリオレフィンをガラ
ス転移温度105℃のアモルファスポリオレフィン(三
井石油化学工業(株)製、アペルAPL6011)に代
えて、A層とB層との間に変性ポリオレフィン(三菱化
学(株)製、ノバテックAP196P)よりなる接着層
としてのC層を介したほかは、同例と同様な方法で層構
成がA層/C層/B層/C層/A層の5層、全体の厚さ
が270μm(A層が約90μm/C層が約22.5μ
m/B層が約45μm/C層が22.5μm/A層が約
90μm)の積層未延伸フィルム(A層とB層との厚さ
比は80:20)を得た。得られた積層未延伸フイルム
を同例におけると同様な方法で、厚さ約30μmの積層
延伸フィルムを得た。得られた積層延伸フィルムについ
て、その結果を表1に示した。
【0051】比較例1 実施例1におけると同様な方法で、層構成がA層/B層
の2層、全体の厚さが20μm(A層が約18μm/B
層が約2μm)の積層未延伸フィルム(A層とB層との
厚さ比は90:10)を得た。得られた積層未延伸フィ
ルムについて、その結果を表1に示した。
【0052】比較例2 実施例1におけると同様な方法で、層構成がA層/B層
の2層、全体の厚さが45μm(A層が約40.5μm
/B層が約4.5μm)の積層未延伸フィルム(A層と
B層との厚さ比は90:10)を得た。得られた積層未
延伸フィルムを、縦横両方向に1.5倍延伸したほかは
同例におけると同様な方法で、厚さ約20μmの積層延
伸フィルムを得た。得られた積層延伸フィルムについ
て、その結果を表1に示した。
【0053】比較例3 実施例2におけると同様な方法で、層構成がA層/B層
/A層の3層、全体の厚さが90μm(A層が約18μ
m/B層が約54μm/A層が約18μm)の積層未延
伸フィルム(A層とB層との厚さ比は40:60)を得
た。得られた積層未延伸フィルムを同例におけると同様
な方法で、厚さ約30μmの積層延伸フィルムを得た。
得られた積層延伸フィルムについて、その結果を表1に
示した。
【0054】比較例4 実施例3におけると同様な方法で、層構成がB層/C層
/A層/C層/B層の5層、全体の厚さが270μm
(B層が約22.5μm/C層が約22.5μm/B層
が約180μm/C層が22.5μm/A層が約22.
5μm)の積層未延伸フィルム(A層とB層との厚さ比
は80:20)を得た。得られた積層未延伸フィルムを
同例におけると同様な方法で、厚さが約30μmの積層
延伸フィルムを得た。得られた積層延伸フィルムについ
て、その結果を表1に示した。
【0055】比較例5 実施例1におけると同様な方法で、層構成がA層の厚さ
が約270μmの単層フィルムを得た。得られた単層フ
ィルムを100℃の条件下で延伸したほかは同例におけ
ると同様に、厚さ約30μmの延伸フィルムを得た。得
られた延伸フィルムについて、その結果を表1に示し
た。
【0056】
【表1】
【0057】表1より、次のことが分かる。 (1)本発明における積層延伸フィルムは、透湿度、酸
素透過率および易引裂性ともに良好なフィルムである。 (2)延伸倍率が本発明の範囲外である比較例1および
比較例2の積層フィルムは、酸素透過率、透湿度、及び
易引裂性においても劣る。
【0058】(3)厚み比が範囲外である比較例3の積
層延伸フィルムは、酸素透過率においては優れているも
のの、透湿度においては実施例2の積層延伸フィルムに
比較して半分の透湿度である。 (4)アモルファスポリオレフィンよりなるA層が、一
方の外層を形成しない比較例4の積層延伸フィルムは、
易引裂性においては優れているが、酸素透過率及び透湿
度は劣る。
【0059】
【発明の効果】本発明に係る積層延伸フィルムは、優れ
た高度な防湿性及び優れた高度な酸素バリヤ性を兼ね備
え、易引裂性、透明性、剛性、外観等の物性バランスの
よい特別に有利な効果を奏し、食品および医薬品等の包
装用フイルムに好適であり、その産業上の利用価値は極
めて大である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B32B 27/32 E // B29K 23:00 B29L 9:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス転移温度が70〜145℃のアモ
    ルファスポリオレフィンよりなるA層とエチレンー酢酸
    ビニル共重合体けん化物よりなるB層とを含み、A層が
    少なくとも一方の外層を形成する積層延伸フィルムにお
    いて、A層とB層との厚さ比が95:5〜50:50で
    あり、少なくとも一方向に2倍以上に延伸配向されたこ
    とを特徴とする積層延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 層構成がA層とB層、又は順にA層・B
    層・A層からなることを特徴とする請求項1に記載の積
    層延伸フィルム。
  3. 【請求項3】 アモルファスポリオレフィンが環状オレ
    フィン系樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請
    求項2に記載の積層延伸フィルム。
  4. 【請求項4】 ガラス転移温度が70〜145℃のアモ
    ルファスポリオレフィンよりなるA層とエチレンー酢酸
    ビニル共重合体けん化物よりなるB層とを含み、A層が
    少なくとも一方の外層となり、A層とB層との厚さ比が
    95:5〜50:50となるように共押出した積層未延
    伸フィルムを、少なくとも一方向に2倍以上に延伸する
    ことを特徴とする積層延伸フィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 延伸温度が70〜160℃であり、縦横
    両方向にそれぞれ2倍以上に延伸することを特徴とする
    請求項4に記載の積層延伸フィルムの製造方法。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010234805A (ja) * 2009-03-09 2010-10-21 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 多層構造体
JP2010274595A (ja) * 2009-05-29 2010-12-09 C I Kasei Co Ltd 多層フィルム及び多層フィルムの製造方法
JP2017052250A (ja) * 2015-09-11 2017-03-16 日本ポリエチレン株式会社 直線易引裂性多層フィルム及び包装材
CN112638648A (zh) * 2018-09-03 2021-04-09 日本聚乙烯株式会社 阻隔性易撕裂共挤出多层薄膜和包装材料
US11865818B2 (en) 2016-06-03 2024-01-09 Borealis Ag Multilayer structure

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