JP5677143B2 - 積層フィルムおよび包装袋 - Google Patents
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Description
特許文献2には、シクロオレフィンコポリマー(COC)に無水マレイン酸等の重合性不飽和カルボン酸で変性したポリプロピレンからなるヒートシール用樹脂組成物をアルミニウム箔に被覆したヒートシール層が設けられているイージーピール性の蓋材が記載されている。
特許文献2の場合、無水マレイン酸変性ポリプロピレンのブレンドではヒートシール強度が向上しないため、包装袋のシーラントとしては使用できないという問題がある。
また、本発明は、上述の積層フィルムからなり、前記シーラント層をヒートシールしてなるヒートシール部を有することを特徴とする包装袋を提供する。
本形態例の積層フィルムは、基材とシーラント層、必要に応じて他の中間層を積層したものである。すなわち、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント層と基材、必要に応じて他の中間層、接着剤層やアンカー剤層などの複数の層を有する。そして、シーラント層は、シクロオレフィンポリマー(A)と、ポリエチレン系樹脂(B)と、無水マレイン酸変性ポリエチレン(C)を含有する樹脂組成物からなる。
ここで、シーラント層とは、ヒートシールに用いられる層であり、包装材料としては内容品に接する最内層に配置されるものである。
基材または他の中間層とシーラント層との積層は、接着剤層又はアンカー剤層を介しても良いし、基材に直接積層されていても良い。前記中間層としては、補強層、ガスバリア層、遮光層、印刷層など、適宜、一層または複数層を選択することができる。
ポリエチレン系樹脂(B)としては、ポリエチレン(PE)、エチレンと炭素数が4個のα−オレフィン(1−ブテン等)を共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン(C4−LLDPE)、エチレンと炭素数が6個のα−オレフィン(1−ヘキセン等)を共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン(C6−LLDPE)、エチレンと炭素数が8個のα−オレフィン(1−オクテン等)を共重合させた直鎖状低密度ポリエチレン(C8−LLDPE)、エチレン―酢酸ビニル共重合体(EVA)などが挙げられる。
ポリエチレン系樹脂(B)は、エチレンの単独重合体(ポリエチレン)またはエチレンとエチレン以外の非環状オレフィン(例えばα−オレフィン)との共重合体が好ましい。
ポリエチレン系樹脂(B)は、該樹脂自身の融点や組成物中の配合量を適宜選択することが好ましい。PPのような比較的高融点のポリオレフィン系樹脂に比べると、メタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(m−LLDPE。メタロセン触媒により重合したLLDPE)等のポリエチレン(PE)、あるいは、C4−LLDPE、C6−LLDPE、C8−LLDPE等のエチレン−α−オレフィン共重合体は、シーラント層の融点を適度なものとすることができるので、好ましい。
シーラント層は、シクロオレフィンポリマー(A)を85〜95質量%、ポリエチレン系樹脂(B)を2.5〜7.5質量%、無水マレイン酸変性ポリエチレン(C)を2.5〜7.5質量%の範囲内で含有することが好ましい。
前記アンカー剤層を構成するアンカー剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系、アルキルチタネート(有機チタン化合物)系等、一般的に押出ラミネート法に使用されるアンカー剤が使用でき、積層フィルムの用途に合わせて選択可能である。
前記接着剤層を構成する接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエーテル系等、一般的にドライラミネート法に使用される接着剤を使用でき、積層フィルムの用途に合わせて選択可能である。
補強層は積層フィルムの強度特性を補完する役割であって、補強層を構成する樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、2軸延伸ポリエチレンテレフタレート(O−PET)、2軸延伸ナイロン(O−Ny)、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)等を挙げることができる。補強層の厚みは、通常5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。
ガスバリア層の厚みは、金属箔またはガスバリア性樹脂層による場合は通常5〜50μmであり、好ましくは10〜30μmである。ガスバリア層として金属蒸着層または無機酸化物蒸着層を用いる場合には、これより薄くすることができる。
本形態例の積層フィルムにおいて、シーラント層の厚さは、包装材料の用途にも依存し、特に限定されるものではないが、通常は5〜150μm程度であり、好ましくは15〜80μmである。
本形態例の包装袋は、上述の積層フィルムを前記シーラント層によりヒートシールしてなるものであり、低分子量成分の非吸着性およびバリア性にも優れているから、飲食物や化粧品、薬剤等の包装袋として好適に利用できる。包装袋の形態は、三方袋、四方袋、合掌貼り袋、ガゼット袋、自立袋等の包装袋(パウチ)のほか、例えばバッグインボックス用の内袋やドラム缶内装袋などの大型の袋等、特に限定なく適用可能である。
表1に示す組成により、各実施例および比較例のシーラント材を製造した。シーラント材の製造は、各材料を溶融混練後、押出成形により、所定の厚さのフィルム状に成形する方法により実施した。
「COP」・・・シクロオレフィンポリマー(日本ゼオン株式会社製、商品名ZEONOR(登録商標)1020R)
「PO(1)」・・・メタロセン触媒LLDPE(ρ=0.937、Tm=126℃、MFR=4.0)
「PO(2)」・・・オクテン−1共重合LLDPE(ρ=0.923、Tm=121℃、MFR=2.0)
「PO(3)」・・・メタロセン触媒LLDPE(ρ=0.90、Tm=111℃、MFR=6.0)
「MAH−PE(1)」・・・無水マレイン酸変性LLDPE(ρ=0.90、Tm=119℃、MFR=1.0)
「MAH−PE(2)」・・・無水マレイン酸変性LLDPE(ρ=0.90、Tm=111℃、MFR=6.0)
厚み30μmのシーラント材をPETフィルムおよびAl箔とドライラミネートにより貼り合わせ、PET12μm/Al箔9μm/シーラント材30μmの層構成を有する積層フィルムを得た。
上記積層フィルムからパウチを作製し、下記に説明する評価を行った。ただし(2)の引張特性は、シーラント材から作製した試験片を評価した。
JIS Z 1526に準じて、パウチのヒートシール部のシール強度を引張速度300mm/分、幅15mmにて測定した。ヒートシール条件は、140℃、160℃、180℃、200℃、220℃のうちのいずれかの温度において、圧力0.2MPaで1秒間加熱および加圧するものである。
シーラント材の引張強度及び引張伸度は、JIS K 7127「プラスチック−引張特性の試験方法」に規定された測定方法に準じて測定した。試験片の幅は15mm、引張速度は300mm/minとした。
有効成分として酢酸α−トコフェロール(ビタミンEアセテート)を含む市販の化粧水2.5mlをパウチに入れ、パウチの開口部を圧力0.2MPa、時間1秒、温度180℃でヒートシールして密封した。密封したパウチを40℃で1ヶ月ないし3ヶ月保管した後に開封し、化粧水中の酢酸α−トコフェロールの残存量を高速液体クロマトグラフィ法で定量し、前記残存量をもとに有効成分の残存率を算出した。
三方シール(液体小袋充填機)により50mm×80mmの寸法で、ヒートシール条件を、縦シール部:温度220℃,圧力0.1MPa,シール幅10mm、横シール部:温度190〜220℃,圧力0.09MPa,シール幅10mm、製袋ショット数:30ショット/分とし、各パウチに内容物(水)を2.5cc充填しながらパウチを作製した。パウチを水平で平坦な載置台の上に平置きにし、さらにパウチの上にパウチ寸法より大きい押圧板を乗せ、押圧板を載置台に向けて荷重80kgf(784N)で1分間押圧し、パウチに均等な圧力を印加した後、パウチのシール部の状態(最小幅)を確認した。横シール温度を、190℃、200℃、210℃、220℃の4通りとし、それぞれにつき20個のサンプルを作製して試験に供した。
シール部に異常が認められないものを「○」(良)、シール幅が後退する(内側からの圧力によりシール部が狭くなる)箇所が認められたもの(内容物の漏れがないもの)を「△」(可)、シール部に剥がれ(内容物の漏れ)が認められたものを「×」(不可)と評価した。
シクロオレフィンポリマーにポリエチレン系樹脂または無水マレイン酸変性ポリエチレンの一方のみをブレンドした場合、180℃ないし200℃程度でのヒートシール強度が比較的低い結果となった。
また、実施例1,2は、シクロオレフィンポリマーのみ(比較例1)や、シクロオレフィンポリマーとポリエチレン系樹脂の2種ブレンド(比較例2〜4)に比べて引張伸度(表3)も大きく向上した。
比較例4として、実施例2に使用した無水マレイン酸変性LLDPEと密度、融点、MFRが同じメタロセン触媒LLDPEを使用したが、低温でのヒートシール強度が得られなかった。
実施例2によるパウチは、静耐圧試験(表4,5)においても、ブレンドしない場合(比較例1)に比べて、シール部の異常が少ないことを確認できた。これにより、ヒートシール時に制御のばらつき等のためにシール温度が200℃以下となることがあっても、耐衝撃性が劣化しにくい製品が得られるので、歩留まりを向上することができる。
なお、無水マレイン酸変性ポリエチレンの代わりに、無水マレイン酸変性ポリプロピレンを使用した場合は、この効果が確認できなかった。
Claims (2)
- 基材と、積層フィルムの一方の最表面となるシーラント層とを含む複数の層を有する積層フィルムにおいて、
前記シーラント層は、シクロオレフィンポリマーと、ポリエチレン系樹脂と、無水マレイン酸変性ポリエチレンを含有する樹脂組成物からなり、
前記シーラント層は、シクロオレフィンポリマーを85〜95質量%、ポリエチレンまたはエチレン−α−オレフィン共重合体を2.5〜7.5質量%、無水マレイン酸変性ポリエチレンを2.5〜7.5質量%の範囲内で含有することを特徴とする積層フィルム。 - 請求項1に記載の積層フィルムからなり、前記シーラント層をヒートシールしてなるヒートシール部を有することを特徴とする包装袋。
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