JP7268317B2 - 包装用の低吸着性ヒートシールフィルム - Google Patents
包装用の低吸着性ヒートシールフィルム Download PDFInfo
- Publication number
- JP7268317B2 JP7268317B2 JP2018178245A JP2018178245A JP7268317B2 JP 7268317 B2 JP7268317 B2 JP 7268317B2 JP 2018178245 A JP2018178245 A JP 2018178245A JP 2018178245 A JP2018178245 A JP 2018178245A JP 7268317 B2 JP7268317 B2 JP 7268317B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- low
- layer
- adsorptive
- seal film
- cyclic olefin
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Wrappers (AREA)
- Information Retrieval, Db Structures And Fs Structures Therefor (AREA)
Description
ポリオレフイン系樹脂層自身が香気成分を吸着してしまうことは防止できておらず、ポリオレフイン系樹脂層の厚みに比例して香気成分が吸着されてしまうものであった。
そして、少なくとも片面表面が、環状オレフィン系樹脂と低密度ポリエチレンとを混合して含有する層であることによって、優れたヒートシール性を発揮するものである。
そして、本発明は、以下の点を特徴とする。
1.カプロン酸エチルおよび/または酢酸イソアミルの吸着および透過を抑えるための、包装用の低吸着性ヒートシールフィルムであって、
該ヒートシールフィルムの、少なくとも片面表面は、環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上、60質量%以下含有する層であることを特徴とする、
低吸着性ヒートシールフィルム。
2.前記ヒートシールフィルムの、少なくとも片面表面は、環状オレフィン系樹脂と低密度ポリエチレンとを、混合されて含有する層であることを特徴とする、上記1に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
3.前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン系樹脂であることを特徴とする、上記1または2に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
4.前記環状オレフィン系樹脂が、ノルボルネン系モノマーと、アルケンモノマーとの共重合体であることを特徴とする、上記1または2に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
5.さらに、直鎖状低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする、上記1~4の何れかに記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
6.前記低吸着性ヒートシールフィルムが、環状オレフィン系樹脂層と、ポリエチレン層とを有し、
該環状オレフィン系樹脂層は、前記環状オレフィン系樹脂を含有し、
該ポリエチレン層は、前記環状オレフィン系樹脂を含有せず、前記直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする、
上記5に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
7.前記低吸着性ヒートシールフィルムの片面の最表面が、前記ポリエチレン層であることを特徴とする、上記6に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
8.前記ポリエチレン層は、前記低密度ポリエチレンからなる層と、前記直鎖状低密度ポリエチレンからなる層とを有し、
前記低吸着性ヒートシールフィルムの片面の最表面が、該低密度ポリエチレンからなる層であることを特徴とする、
上記6または7に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
9.前記環状オレフィン系樹脂層は、
全樹脂成分中に、前記環状オレフィン系樹脂が、80質量%以上、97質量%以下であり、前記低密度ポリエチレンが、3質量%以上、20質量%以下である層と、
全樹脂成分中に、前記環状オレフィン系樹脂が、15質量%以上、60質量%以下であり、前記低密度ポリエチレンが、3質量%以上、10質量%以下であり、前記直鎖状低密度ポリエチレンが、30質量%以上、80質量%以下であり、積層体の最表面に積層されている層と
を有することを特徴とする、
上記6~8の何れかに記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
10.前記環状オレフィン系樹脂層の厚さが、前記低吸着性ヒートシールフィルムの全厚さの、20%以上、50%以下であることを特徴とする、上記6~9の何れかに記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
11.全厚さが、20μm以上、150μm以下であることを特徴とする、上記1~10の何れかに記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
12.前記低吸着性ヒートシールフィルムを構成する層が、押出しまたは共押出しによって形成された層であることを特徴とする、上記1~11の何れかに記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
13.上記1~12の何れかに記載の低吸着性ヒートシールフィルムからなることを特徴とする、低吸着性シーラントフィルム。
14.少なくとも、基材層と低吸着性シーラント層とを有する低吸着性積層体であって、
該低吸着性シーラント層は、該低吸着性積層体の片面の表面層であって、上記13に記載の低吸着性シーラントフィルムからなり、積層体の最外層となる最表面層が、該前記環状オレフィン系樹脂層であることを特徴とする、低吸着性積層体。
15.さらに、バリア層を、前記基材層と前記低吸着性シーラント層との間に有し、
該バリア層は、金属箔、金属蒸着膜、酸化金属蒸着膜なる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、
上記14に記載の、低吸着性積層体。
16.さらに、印刷層を、前記基材層の、前記低吸着性シーラント層とは反対側の面上に有することを特徴とする、上記14または15に記載の、低吸着性積層体。
17.前記基材層が、紙材からなる層を有することを特徴とする、上記14~16の何れかに記載の、低吸着性積層体。
18.さらに、保護層を、前記紙材の、前記低吸着性シーラント層とは反対の面上に有することを特徴とする、上記17に記載の、低吸着性積層体。
19.上記14~18の何れかに記載の低吸着性積層体からなることを特徴とする、低吸着性包装材料。
20.上記19に記載の低吸着性包装材料を用いて、前記低吸着性シーラント層が接内容物層になるように作製されたことを特徴とする、低吸着性包装袋。
21.上記17または18に記載の低吸着性積層体からなる低吸着性包装材料を用いて、前記低吸着性シーラント層が接内容物層になるように製函されたことを特徴とする、低吸着性液体用紙容器。
本発明の包装用の低吸着性ヒートシールフィルムは、カプロン酸エチルおよび/または酢酸イソアミルの吸着および透過を抑えるための、環状オレフィン系樹脂を含有し、ヒートシール性を有する樹脂フィルムである。
本発明の包装用の低吸着性ヒートシールフィルムは、1層構成であっても、2層以上の多層構成であってもよく、2層以上の多層構成であることが好ましい。
多層構成の場合には、各層の組成は同一であっても異なっていてもよく、環状オレフィン系樹脂を含有しない層を有していてもよく、環状オレフィン系樹脂の含有量が異なる2つ以上の層が含まれていてもよい。
該ポリエチレン層の片面を、積層体作製時の接着面として用いることで、積層体のラミネート強度を向上することができる。
そして、他方の片面の表面層は、環状オレフィン系樹脂が含有された層であることが好ましい。
該表面層を包装体における接内容物層として用いることで、香気成分の吸着と透過が抑えられる。
該表面層は、香気成分の低吸着性と低透過性とヒートシール性を発揮する為に、環状オレフィン系樹脂とポリエチレンを混合して含有することもできる。該ポリエチレンは、低密度ポリエチレン及び/または直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。
これらの内、アンチブロッキング剤、滑剤等に関しては、低吸着性ヒートシールフィルムが多層構成の場合には、低吸着性樹脂フィルムの最表面の層にのみ添加することで、効率よく添加することができる。
低吸着性ヒートシールフィルムの全厚さは、20μm以上、150μm以下が好ましい。上記範囲よりも薄いと保香性が不十分になる虞があり、上記範囲よりも厚くても、保香性はあまり変化せず、低吸着性積層体を作製した場合の剛性のバランス等を採り難くなり易い。
本発明において、低吸着性ヒートシールフィルム及び低吸着性ヒートシールフィルム中の各層の製膜、積層方法は特に限定されず、公知または慣用の製膜方法、積層方法を適用することができる。
低吸着性ヒートシールフィルムを構成する各層を、場合により接着層を介して、他の層上に押出しまたは共押出してエクストルージョンコート法により積層することや、複数の層を押出しまたは共押出してインフレーション法によって製膜したり、キャスト法により形成することもできる。
または、予め製膜された各層のフィルムを、接着剤の、エクストルージョンコート法、ドライラミネート法、ノンソルベントラミネート法等により、接着層を介してラミネートしてもよい。
本発明においては、香気成分としては、特に、カプロン酸エチルおよび/または酢酸イソアミルを保香対象とする。
カプロン酸エチルと酢酸イソアミルは、焼酎や日本酒に多く含有されている香気成分である。
環状オレフィン系樹脂は、香気成分の低透過性に優れ、且つ香気成分の低吸着性に優れた樹脂成分であり、本発明の低吸着性ヒートシールフィルムは、環状オレフィン系樹脂を含有することによって、香気成分であるカプロン酸エチルおよび/または酢酸イソアミルに低吸着性と低透過性に優れ、保香性を発揮する。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンが、環状オレフィン同士で重合、あるいは環状オレフィンがアルケンモノマー等と共重合して得られた、環状構造を有する樹脂である。ここで、環状オレフィンとアルケンモノマーのそれぞれは、単独種であっても、複数種の混合物であってもよい。
ノルボルネン系モノマーは、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(ノルボルネン)骨格を有する化合物である。
具体的には、例えば、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン及びその誘導体、トリシクロ[4.3.0.12.5]-3-デセン及びその誘導体、トリシクロ[4.4.0.12.5]-3-ウンデセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12.5.17.10]-3-ドデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]-4-ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12.5.19.12.08.13]-3-ペンタデセン及びその誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13.6.02.7.09.13]-4,10-ペンタデカジエン及びその誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12.5.19.12.08.13]-3-ヘキサデセン及びその誘導体等が挙げられるが、これらに限定されない。これらのノルボルネン系モノマーはは、置換基として、エステル基、カルボキシル基、及びカルボン酸無水物基等の極性基を有していてもよい。これらの化合物は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
ノルボルネン系モノマーとしては、これらの中でも、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-
2-エン(ノルボルネン)が好ましい。
アルケンモノマーとしては、これらの中でも、エチレンが好ましい。
環状オレフィン系樹脂はのガラス転移温度(Tg)は、特に制限は無いが、60℃以上、170℃以下が、包装材料用の原料樹脂として扱い易く、好ましい。
本発明の低吸着性ヒートシールフィルムにおいて、環状オレフィン系樹脂層は、香気成分の低透過性と低吸着性に優れた層である。
環状オレフィン系樹脂層は1層からなる単層構成であっても、2層以上の多層構成であってもよく、2層以上の多層構成であることが好ましい。
上記のような層構成にすることによって、低吸着性および低透過性と、ヒートシール性のバランスに優れることができる。
本発明の低吸着性ヒートシールフィルムは、必要に応じて、ポリエチレン層を含むことができる。
ポリエチレン層は、環状オレフィン系樹脂を含有せず、ポリエチレンを含有する層である。ここで、ポリエチレンは、直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンであることが好ましい。
ポリエチレン層は、低吸着性ヒートシールフィルム中に、組成の異なる2層以上が存在してもよく、例えば、低密度ポリエチレンからなる層と、直鎖状低密度ポリエチレンからなる層とが積層されていることが好ましい。
本発明の低吸着性シーラントフィルムは、本発明の低吸着性ヒートシールフィルムから作製されたシーラントフィルムであり、必要に応じて、本発明の低吸着性ヒートシールフィルムに種々の機能を有する層を積層して作製することもできる。
<低吸着性積層体>
本発明の低吸着性積層体は、基材層と低吸着性シーラント層とを有する積層体であり、低吸着性シーラント層は低吸着性積層体の片面の表面層である。
また、必要に応じて、印刷層を、基材層の、低吸着性シーラント層とは反対側の面上に有することもできる。
本発明の低吸着性積層体の基材層には、低吸着性積層体の用途に応じて任意のフィルムまたはシートを使用することができる。例えば、液体内容物を密封包装するパウチや箱型容器に適用する場合は、引っ張り強度、屈曲強度、衝撃強度等の機械的強度に優れるとともに、印刷適性に優れることが好ましい。
基材層には、例えば、二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム等の二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を好適に使用できるほか、紙材等も使用することができる。これらは単独で使用してもよく、また、複数を組み合わせて使用してもよい。
例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスまたは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いたる酸化処理等の前処理を任意に施して、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層等を形成して設けることができる。
或いは、表面に、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、蒸着アンカーコート剤層等の各種コート剤層を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
印刷層の印刷内容には特に制限は無い。例えば、文字、単色ベタ、明暗色彩模様、凹凸模様、凹凸による回折光沢を呈するものが挙げられる。
また、印刷機器による印刷によって形成されたものであってもよく、筆記具によって描かれたものであってもよく、または、絵柄や文字を有するフィルムまたはシートを積層したものであってもよい。
印刷層の厚みは、印刷内容や低吸着性積層体の用途に応じて、当業者が適宜に決定することができるが、好ましくは5~500μm、より好ましくは10~300μmである。
印刷層の表面には、密着性を向上する為に、必要に応じて、各種の表面処理を施すこともできる。
本発明の低吸着性積層体中で、バリア層は、基材層と低吸着性シーラント層との間に積層されている層であり、ガスバリア性と保香性を奏する層である。
本発明において、バリア層は、金属箔、金属蒸着膜、酸化金属蒸着膜なる群から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
上記のようなバリア層を含むことによって、積層体のガスバリア性を向上させることができ、内容物の酸化や香味成分の散逸を防ぐ効果が高まり、内容物の風味を維持する効果を高めることができる。
本発明の低吸着性積層体中の低吸着性シーラント層は、低吸着性積層体の片面の表面層であり、本発明の低吸着性シーラントフィルムからなる層であり、積層体の最外層となる最表面は、環状オレフィン系樹脂を含む層である。
低吸着性シーラント層は、カプロン酸エチルおよび/または酢酸イソアミルの低吸着性および低透過性と、ヒートシール性を有している。
本発明における低吸着性シーラント層の全てが低吸着性シーラントフィルムのみから形成される場合には、上記の低吸着性シーラントフィルムの層構成が、そのまま低吸着性シーラント層の構成に適用される。
低吸着性シーラント層が2層以上の多層構成の場合には、本発明の低吸着性シーラントフィルムから形成された層以外の、溶融(共)押出コーティングされて積層された層や、接着剤を介して積層されたフィルムからなる層を含んでいてもよい。
また、低吸着性シーラント層の他方の基材層側の表面層は、優れたラミネート強度を得る為に、ポリエチレン層であることが好ましい。
さらにまた、低吸着性シーラント層は、本発明の低吸着性積層体中に、接着剤層を介して積層されていることが好ましい。
本発明では、接着剤層によって、各層間を接着することができる。
接着剤層は、一般的な公知の、ドライラミネート用接着剤、EC(エクストルージョンコート)用接着剤、ノンソルベントラミネート用接着剤、任意のアンカーコート剤等を用いて形成することができる。
接着剤は、熱硬化型、紫外線硬化型、電子線硬化型等であってよく、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの形態でもよく、また、その性状は、フィルム/シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよい。
本発明の低吸着性包装材料は、本発明の低吸着性積層体を用いて作製された包装材料である。
<低吸着性包装袋>
本発明の低吸着性包装袋は、本発明の低吸着性包装材料を用いて、低吸着性シーラント層が接内容物層になるように作製された包装袋である。
上記において、ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
本発明の低吸着性液体用紙容器は、基材層に紙材を有する本発明の低吸着性包装材料を用いて、低吸着性シーラント層が接内容物層になるように製函された、液体用紙容器である。
COC1:ポリプラスチックス(株)社製環状オレフィン系樹脂、TOPAS(R)8007F-600、ノルボルネン由来繰り返し単位の含有量65質量%、ガラス転移温度78℃。
LLDPE1:宇部丸善ポリエチレン(株)社製LLDPE、ユメリット(R)0520F、MFR2g/10分、密度0.904g/cm3。
LLDPE2:(株)プライムポリマー社製LLDPE、ウルトゼックス(R)1520L、MFR2.3g/10分、密度0.914g/cm3)。
LLDPEフィルム3:三井化学東セロ(株)社製LLDPEフィルム、TUX-MCS。厚さ40μm。
LDPE1:サンテックM6525。
LDPE2:日本ポリエチレン(株)社製LDPE、ノバテック(R)LC522、MFR4.0g/10分、密度0.923g/cm3。
PETフィルム1:東洋紡(株)社製2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、E-5100;厚さ12μm。
アルミニウム箔1:日本製箔(株)社製A1N30H-O。厚さ7μm。
接着剤1:ロックペイント(株)社製ロックボンドJ/アドロック。配合質量比RU77T/H-7=10/1。
アンチブロッキング剤マスターバッチ:住友化学(株)社製、EMB-21。MFR4g/10分、合成ゼオライト含有。合成ゼオライト/LLDPEの質量比は、10/90。
(樹脂組成物1の調製)
下記原料を混合、混練して、樹脂組成物1を得た。
COC1 95質量部
LDPE1 5質量部
下記原料を混合、混練して、樹脂組成物2を得た。
環状オレフィン系樹脂/直鎖状低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの質量比は、40/45+9/5=40/54/5。
COC1 40質量部
LDPE1 5質量部
LLDPE1 45質量部
アンチブロッキング剤マスターバッチ 10質量部
下記原料を混合、混練して、樹脂組成物3を得た。
環状オレフィン系樹脂/直鎖状低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの質量比は、15/50+27/5=15/77/5。
COC1 15質量部
LDPE1 5質量部
LLDPE1 50質量部
アンチブロッキング剤マスターバッチ 30質量部
下記原料を混合、混練して、従組成物4を得た。
環状オレフィン系樹脂/直鎖状低密度ポリエチレン/低密度ポリエチレンの質量比は、65/20+9/5=65/29/5。
COC1 65質量部
LDPE1 5質量部
LLDPE1 20質量部
アンチブロッキング剤マスターバッチ 10質量部
[実施例1]
作製する低吸着性ヒートシールフィルムの層構成は、下記の通り。なお、「/」はその左右の層が積層一体化されていることを示す。
ポリエチレン層1、2を構成する樹脂としてLDPE2、ポリエチレン層3を構成する樹脂としてLLDPE2、環状オレフィン系樹脂層1を構成する樹脂としてCOC1、環状オレフィン系樹脂層2を構成する樹脂として上記で得た樹脂組成物1を選択し、インフレーション法を用いた5層共押出製膜法により、低吸着性ヒートシールフィルム1(厚さ40μm)を作製し、各種評価を実施した。
ポリエチレン層1(7.5μm)/ポリエチレン層2(7.5μm)/ポリエチレン層3(10μm)/環状オレフィン系樹脂層1(7.5μm)/環状オレフィン系樹脂層2(7.5μm)
環状オレフィン系樹脂層1の厚みと環状オレフィン系樹脂層2の樹脂組成物の種類と厚みを、表1の記載に従って変更した以外は、実施例1と同様に操作して、低吸着性ヒートシールフィルム2~5を作製した。
[実施例5]
作製する低吸着性包装材料の層構成は、下記の通り。
基材として、PETフィルム1とアルミニウム箔1とを接着剤1を用いて貼り合せたものを用意し、アルミニウム箔面と上記実施例1で得た低吸着性ヒートシールフィルム1のポリエチレン層側の面とを対向させて、接着剤1を介して貼り合わせて、低吸着性包装材料を得た。そして、各種評価を実施した。詳細は表3に示す。
PETフィルム1(12μm)/接着剤1(3g/m2)/アルミ箔1(7μm)/接着剤1(3g/m2)/低吸着性ヒートシールフィルム1(40μm)
低吸着性ヒートシールフィルム1を、表2の記載に従って、実施例2~4と比較例1で得た低吸着性ヒートシールフィルム2~5、またはLLDPEフィルム3に変更した以外は、実施例5と同様に操作して、包装材料を得て、同様に評価した。
[共押出インフレーション製膜性]
製膜されたフィルム中の、層間剥離、切れ、厚みムラ、フィッシュアイの発生有無を目視により検出し、問題が無ければ良好とした。
先ず、試験に用いる日本酒と焼酎の香気成分であるカプロン酸エチルと酢酸イソアミルの含有率をヘッドスペースガスクロマトグラフィー(HS-GS)を用いて測定した。
次に、得られた包装材料を用いて10cm×10cmのパウチを作製し、該パウチ内に日本酒または焼酎を充填して25℃、1週間保存したのちに、該パウチ内の日本酒または焼酎に含有されるカプロン酸エチルと酢酸イソアミルの含有率を、同様に測定して、各香気成分の保存前に対する残存率を算出した。
実施例1~4と比較例1の低吸着性ヒートシールフィルムは、良好な製膜性を示した。
そして、実施例1~4の低吸着性ヒートシールフィルムをシーラントフィルムとして用いて作製された実施例5~8の包装材料は、高い香気成分の残存率と優れたシール強度を示したが、汎用のLLDPEフィルムをシーラントフィルムとして用いて作製された比較例2の包装材料は、優れたシール強度を示したものの、劣った香気成分の残存率を示し、比較例1の樹脂フィルムをシーラントフィルムとして用いて作製された比較例3の包装材料は、高い香気成分の残存率を示したものの、劣ったシール強度を示した。
2 ポリエチレン層
2a ポリエチレン層(LDPE)
2b ポリエチレン層(LLDPE)
3 環状オレフィン系樹脂含有層
3a 環状オレフィン系樹脂含有層(高環状オレフィン系樹脂含有率)
3b 環状オレフィン系樹脂含有層(環状オレフィン系樹脂+低密度ポリエチレン)
4 低吸着性積層体
5 基材層
6 接着剤層
7 バリア層
8 低吸着性シーラント層
Claims (21)
- カプロン酸エチルおよび酢酸イソアミルの吸着および透過を抑えるための、包装用の低吸着性ヒートシールフィルムであって、
該ヒートシールフィルムの、少なくとも片面表面は、環状オレフィン系樹脂を、15質量%以上、60質量%以下含有する層であり、
上記の低吸着性ヒートシールフィルムを用いて10cm×10cmのパウチを作製し、パウチ内に日本酒または焼酎を充填して25℃、1週間保存したのちのパウチ内の日本酒または焼酎に含有されるカプロン酸エチルと酢酸イソアミルの含有率を、ヘッドスペースガスクロマトグラフィーにより測定したときのカプロン酸エチルの含有率が71.0%以上であり、酢酸イソアミルの含有率が89.9%以上であることを特徴とする、
低吸着性ヒートシールフィルム。 - 前記ヒートシールフィルムの、少なくとも片面表面は、環状オレフィン系樹脂と低密度ポリエチレンとを、混合されて含有する層であることを特徴とする、請求項1に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 前記環状オレフィン系樹脂が、ポリノルボルネン系樹脂であることを特徴とする、請求項1または2に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 前記環状オレフィン系樹脂が、ノルボルネン系モノマーと、アルケンモノマーとの共重合体であることを特徴とする、請求項1または2に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- さらに、直鎖状低密度ポリエチレンを含むことを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 前記低吸着性ヒートシールフィルムが、環状オレフィン系樹脂層と、ポリエチレン層とを有し、
該環状オレフィン系樹脂層は、前記環状オレフィン系樹脂を含有し、
該ポリエチレン層は、前記環状オレフィン系樹脂を含有せず、前記直鎖状低密度ポリエチレンおよび/または低密度ポリエチレンを含有することを特徴とする、
請求項5に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。 - 前記低吸着性ヒートシールフィルムの片面の最表面が、前記ポリエチレン層であることを特徴とする、請求項6に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 前記ポリエチレン層は、前記低密度ポリエチレンからなる層と、前記直鎖状低密度ポリエチレンからなる層とを有し、
前記低吸着性ヒートシールフィルムの片面の最表面が、該低密度ポリエチレンからなる層であることを特徴とする、
請求項6または7に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。 - 前記環状オレフィン系樹脂層は、
全樹脂成分中に、前記環状オレフィン系樹脂が、80質量%以上、97質量%以下であり、前記低密度ポリエチレンが、3質量%以上、20質量%以下である層と、
全樹脂成分中に、前記環状オレフィン系樹脂が、15質量%以上、60質量%以下であり、前記低密度ポリエチレンが、3質量%以上、10質量%以下であり、前記直鎖状低密度ポリエチレンが、30質量%以上、80質量%以下であり、積層体の最表面に積層されている層と
を有することを特徴とする、
請求項6~8の何れか1項に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。 - 前記環状オレフィン系樹脂層の厚さが、前記低吸着性ヒートシールフィルムの全厚さの、20%以上、50%以下であることを特徴とする、請求項6~9の何れか1項に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 全厚さが、20μm以上、150μm以下であることを特徴とする、請求項1~10の何れか1項に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 前記低吸着性ヒートシールフィルムを構成する層が、押出しまたは共押出しによって形成された層であることを特徴とする、請求項1~11の何れか1項に記載の、低吸着性ヒートシールフィルム。
- 請求項1~12の何れか1項に記載の低吸着性ヒートシールフィルムからなることを特徴とする、低吸着性シーラントフィルム。
- 少なくとも、基材層と低吸着性シーラント層とを有する低吸着性積層体であって、
該低吸着性シーラント層は、該低吸着性積層体の片面の表面層であって、請求項13に記載の低吸着性シーラントフィルムからなり、積層体の最外層となる最表面層が、該前記環状オレフィン系樹脂層であることを特徴とする、低吸着性積層体。 - さらに、バリア層を、前記基材層と前記低吸着性シーラント層との間に有し、
該バリア層は、金属箔、金属蒸着膜、酸化金属蒸着膜なる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、
請求項14に記載の、低吸着性積層体。 - さらに、印刷層を、前記基材層の、前記低吸着性シーラント層とは反対側の面上に有することを特徴とする、請求項14または15に記載の、低吸着性積層体。
- 前記基材層が、紙材からなる層を有することを特徴とする、請求項14~16の何れか1項に記載の、低吸着性積層体。
- さらに、保護層を、前記紙材の、前記低吸着性シーラント層とは反対の面上に有することを特徴とする、請求項17に記載の、低吸着性積層体。
- 請求項14~18の何れか1項に記載の低吸着性積層体からなることを特徴とする、低吸着性包装材料。
- 請求項19に記載の低吸着性包装材料を用いて、前記低吸着性シーラント層が接内容物層になるように作製されたことを特徴とする、低吸着性包装袋。
- 請求項17または18に記載の低吸着性積層体からなる低吸着性包装材料を用いて、前記低吸着性シーラント層が接内容物層になるように製函されたことを特徴とする、低吸着性液体用紙容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018178245A JP7268317B2 (ja) | 2018-09-25 | 2018-09-25 | 包装用の低吸着性ヒートシールフィルム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018178245A JP7268317B2 (ja) | 2018-09-25 | 2018-09-25 | 包装用の低吸着性ヒートシールフィルム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020050354A JP2020050354A (ja) | 2020-04-02 |
JP7268317B2 true JP7268317B2 (ja) | 2023-05-08 |
Family
ID=69995597
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018178245A Active JP7268317B2 (ja) | 2018-09-25 | 2018-09-25 | 包装用の低吸着性ヒートシールフィルム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7268317B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012086856A (ja) | 2010-10-18 | 2012-05-10 | Toppan Printing Co Ltd | 液体用紙容器 |
JP2017013485A (ja) | 2015-06-30 | 2017-01-19 | 大日本印刷株式会社 | 低吸着性共押出多層シーラントフィルム |
-
2018
- 2018-09-25 JP JP2018178245A patent/JP7268317B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012086856A (ja) | 2010-10-18 | 2012-05-10 | Toppan Printing Co Ltd | 液体用紙容器 |
JP2017013485A (ja) | 2015-06-30 | 2017-01-19 | 大日本印刷株式会社 | 低吸着性共押出多層シーラントフィルム |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020050354A (ja) | 2020-04-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6627604B2 (ja) | 低吸着性共押出多層シーラントフィルム | |
JP6326797B2 (ja) | 低吸着性スタンディングパウチ | |
JP6427870B2 (ja) | 低吸着性シーラントフィルム並びにそれを用いた積層体及び包装袋 | |
JP6241113B2 (ja) | 包装材料 | |
JP6031829B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP6086138B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP6160340B2 (ja) | 包装材料 | |
JP5589613B2 (ja) | 積層フィルム | |
JP6241112B2 (ja) | シーラントフィルム | |
JP5810641B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP6958030B2 (ja) | 低臭気積層体と該積層体からなる包装材料、及び該積層体の製造方法 | |
JP2012111182A (ja) | 低吸着性シーラントフィルム並びにそれを用いた積層体及び包装袋 | |
JP5699325B2 (ja) | 低吸着性スタンディングパウチ | |
JP5677143B2 (ja) | 積層フィルムおよび包装袋 | |
JP5751031B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP5910778B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP7268317B2 (ja) | 包装用の低吸着性ヒートシールフィルム | |
JP7302153B2 (ja) | 包装用の低吸着性樹脂フィルム | |
JP6992358B2 (ja) | 低臭気積層体と該積層体からなる包装材料、及び該積層体の製造方法 | |
JP5810640B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP7238310B2 (ja) | ポリエチレン成形品との接着性に優れた包装用の低吸着性樹脂フィルム | |
JP6086137B2 (ja) | 包装材料及びそれよりなる紙容器 | |
JP7238309B2 (ja) | 罫線加工性に優れた包装用の低吸着性積層体 | |
JP6743932B2 (ja) | シーラントフィルム、並びにそれを用いた包装材及び包装袋 | |
JP2004299393A (ja) | 多層積層樹脂フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20210727 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220607 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20220614 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20220803 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221101 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20221222 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230322 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230404 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7268317 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |