JP2021021052A - 樹脂組成物及び易引裂性フィルム、包装材 - Google Patents

樹脂組成物及び易引裂性フィルム、包装材 Download PDF

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Abstract

【課題】 MD方向、TD方向の易引裂性に優れ、石油資源の節約を可能とし、二酸化炭素の排出量削減を可能とする、環境に優しい樹脂組成物、それを用いた易引裂性多層フィルム及び包装袋を提供する。【解決手段】 バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)と、環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物、又はポリオレフィン系樹脂(a)と環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物からなる樹脂層(I)と、ポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)及びポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)を有する、少なくとも3層以上の多層構成を有するフィルムであって、該ポリオレフィン系樹脂(a)、該ポリオレフィン系樹脂(c)、又は該ポリオレフィン系樹脂(d)のうち、少なくとも1以上が、少なくとも一部分をバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)で構成されていることを特徴とする易引裂性フィルム。【選択図】 なし

Description

本発明は、直線易カット性を有する樹脂組成物及びそれを用いた易引裂性フィルム、包装材に関する。
近年、ゴミの最終処分問題、リサイクル法等により、飲食物、調味料、薬品等に用いる容器は、プラスチックボトルから、かさばらず樹脂の使用量が少ないスタンディングパウチ、スパウトパウチなどの包装袋に変わってきている。かかる包装袋には、ポリエチレンを用いた樹脂フィルムが用いられている。
また、これら従来のポリエチレンとしては、主に、化石燃料を原料として製造される石油系ポリエチレン樹脂が用いられている。
しかしこれらの包装袋は、ヒートシール層樹脂を頑丈にするあまり、易引裂性を失うものであった。このような欠点を改善するため、環状オレフィン系樹脂を用いることによりカット性を付与しようとする試みがなされている。例えば、特定のポリエチレンからなる外層、環状オレフィン系樹脂60〜90重量%と、特定の直鎖状低密度ポリエチレン10〜40重量%とからなる中間層及び密度が特定のポリエチレンからなる内層が、順に積層されてなることを特徴とする易引裂性多層フィルム(特許文献1)が提案されているが、化石燃料由来のポリエチレン樹脂を使用している。
特開2012−885号公報
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、MD方向、TD方向の易引裂性に優れ、石油資源の節約を可能とし、二酸化炭素の排出量削減を可能とする、環境に優しい樹脂組成物、それを用いた易引裂性多層フィルム及び包装袋を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)と、環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物が提供される。
第2の発明によれば、前記環状オレフィン系樹脂(b)の前記樹脂組成物中の濃度が10〜80重量%であることを特徴とする第1の発明に記載の樹脂組成物が提供される。
第3の発明によれば、前記環状オレフィン系樹脂(b)は、エチレン・環状オレフィン共重合体であり、ガラス転移温度が60℃以上であることを特徴とする第1または2の発明に記載の樹脂組成物が提供される。
第4の発明によれば、 さらに、バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)以外の他のポリオレフィン系樹脂(a2)を含有することを特徴とする、第1〜3のいずれかの発明に記載の樹脂組成物が提供される。
第5の発明によれば、 該バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)の190℃、2.16kgにおけるMFR(a1)と、該他のポリオレフィン系樹脂(a2)の190℃、2.16kgにおけるMFR(a2)の比の関係が、MFR(a2)/MFR(a1)≦30であることを特徴とする、第1〜4のいずれかの発明に記載の樹脂組成物が提供される。
第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明に記載の樹脂組成物からなる樹脂層(I)を少なくとも1層以上有することを特徴とする易引裂性フィルムが提供される。
第7の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)及びポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)をさらに含み、少なくとも3層以上の多層構成を有することを特徴とする第6の発明に記載の易引裂性フィルムが提供される。
第8の発明によれば、ポリオレフィン系樹脂(a)と環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物からなる樹脂層(I)と、ポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)及びポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)を有する、少なくとも3層以上の多層構成を有するフィルムであって、該ポリオレフィン系樹脂(a)、該ポリオレフィン系樹脂(c)、又は該ポリオレフィン系樹脂(d)のうち、少なくとも1以上が、少なくとも一部分をバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)で構成されていることを特徴とする易引裂性フィルムが提供される。
第9の発明によれば、前記樹脂層(II)を外層とし、前記樹脂層(III)を内層とし、樹脂層(II)/樹脂層(I)/樹脂層(III)の順に積層させた3層構成を有することを特徴とする第7又は8に記載の易引裂性フィルムが提供される。
第10の発明によれば、前記ポリオレフィン系樹脂(c)及びポリオレフィン系樹脂(d)がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする第7〜9のいずれかの発明に記載の易引裂性フィルムが提供される。
第11の発明によれば、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、フィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)において、それぞれ30N/mm以下であることを特徴とする第6〜10のいずれかに記載の易引裂性フィルムが提供される。
第12の発明によれば、基材層(IV)をさらに積層させたことを特徴とする第6〜11のいずれかに記載の易引裂性フィルムが提供される。
第13の発明によれば、第6〜12のいずれかの発明に記載の易引裂性フィルムを用いてなることを特徴とする包装材が提供される。
本発明によれば、MD方向、TD方向の易引裂性に優れ、石油資源の節約を可能とし、二酸化炭素の排出量削減を可能とする、環境に優しい樹脂組成物及び、易引裂性フィルム、それを用いた包装材が提供される。
以下、本発明の樹脂組成物およびそれを用いた易引裂性フィルム、包装材について、項目ごとに詳細に説明する。
1.樹脂組成物
本発明の樹脂組成物は、バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)と、環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物である。
(1)バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)
本願発明のバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)とは、植物や植物残渣、食品残渣等のバイオマス由来のエチレンやプロピレン等を含むモノマーの重合体であるバイオマスポリオレフィンである。例えば植物由来ポリエチレンやバイオマス由来のポリプロピレン等が挙げられる。
バイオマス由来のエチレンには、後述の製造方法により得られたものを用いることが好ましい。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。なお、ポリオレフィンの原料モノマーは、バイオマス由来のエチレンを100質量%含むものでなくてもよい。
バイオマスポリオレフィンの原料であるモノマーは、化石燃料由来のエチレンのモノマーおよび/または化石燃料由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよいし、バイオマス由来のα−オレフィンのモノマーをさらに含んでもよい。
上記のα−オレフィンは、炭素数は特に限定されないが、通常、炭素数3〜20のものを用いることができ、ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであることが好ましい。ブチレン、ヘキセン、またはオクテンであれば、バイオマス由来の原料であるエチレンの重合により製造することが可能となるからである。また、このようなα−オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
バイオマスポリオレフィンとしては、ポリエチレンや、エチレンとα−オレフィンの共重合体を単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
バイオマスポリオレフィンは、異なるバイオマス度のバイオマスポリオレフィンを2種以上含むものであってもよく、樹脂組成物全体として、バイオマス度が、下記範囲内であることが好ましい。
本発明においては、バイオマスポリオレフィン系樹脂を含むことで、従来の化石燃料由来のポリエチレン系樹脂の量を削減し環境負荷を減らすことができる。
「バイオマス度」(バイオマスポリオレフィン中のバイオマス由来の炭素濃度)は、放射性炭素(C14)測定によるバイオマス由来の炭素の含有量を測定した値である。大気中の二酸化炭素には、C14が一定割合(105.5pMC)で含まれているため、大気中の二酸化炭素を取り入れて成長する植物、例えばトウモロコシ中のC14含有量も105.5pMC程度であることが知られている。また、化石燃料中にはC14が殆ど含まれていないことも知られている。したがって、ポリオレフィン中の全炭素原子中に含まれるC14の割合を測定することにより、バイオマス由来の炭素の割合を算出することができる。ポリオレフィン中のC14の含有量をPC14とした場合の、バイオマス由来の炭素の含有量Pbioは、以下のようにして求めることができる。
Pbio(%)=PC14/105.5×100
本発明においては、理論上、ポリオレフィンの原料として、全てバイオマス由来のエチレンを用いれば、バイオマス度は100%であり、バイオマス由来のポリオレフィンのバイオマス度は100%となる。また、化石燃料由来の原料のみで製造された化石燃料由来のポリオレフィン中のバイオマス由来の炭素濃度は0%であり、化石燃料由来のポリオレフィンのバイオマス度は0%となる。
本発明において、樹脂組成物中のバイオマス度は、好ましくは5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上であり、さらに好ましくは20%以上である。なお、樹脂組成物層中のバイオマス度は100%である必要はない。ポリオレフィン樹脂層中のバイオマス度が5%以上であれば、従来に比べて化石燃料由来のポリオレフィンの量を削減し環境負荷を減らすことができる。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.860g/cm以上0.945g/cm以下、より好ましくは0.870g/cm以上0.930g/cm以下、特に好ましくは0.91g/cm以上0.93g/cm以下、さらに好ましくは0.912g/cm以上0.928g/cm以下の密度を有するとよい。バイオマスポリオレフィンの密度は、JIS K6760−1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112−1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。バイオマスポリオレフィンの密度が高ければ、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の剛性を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。また、バイオマスポリオレフィンの密度が低いと、バイオマスポリオレフィンを含むポリオレフィン樹脂層の透明性や機械的強度を高めることができ、包装製品の内層として好適に用いることができる。
バイオマスポリオレフィンは、好ましくは0.1g/10分以上10g/10分以下、より好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、さらに好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210−1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。バイオマスポリオレフィンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、バイオマスポリオレフィンのMFRが10g/10分以下であれば、バイオマスポリオレフィンを含む樹脂組成物層の機械的強度を高めることができる。
本発明において、好適に使用されるバイオマスポリオレフィンとしては、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SBC818、密度:0.918g/cm、MFR:8.1g/10分、バイオマス度95%)、Braskem社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:SPB681、密度:0.922g/cm、MFR:3.8g/10分、バイオマス度95%)ブラスケム社製のバイオマス由来の低密度ポリエチレン(商品名:STN7006、密度:0.923g/cm3、MFR:0.6g/10分、バイオマス度95%)、等が挙げられる。
(バイオマス由来のエチレンの製造方法)
本発明において、バイオマスポリオレフィンの原料となるバイオマス由来のエチレンの製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法により得ることができる。以下、バイオマス由来のエチレンの製造方法の一例を説明する。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。 バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
原料がバイオマス由来のエタノールの場合、得られたエチレンには、エタノール発酵工程で混入した不純物であるケトン、アルデヒド、およびエステル等のカルボニル化合物ならびにその分解物である炭酸ガスや、酵素の分解物・夾雑物であるアミンおよびアミノ酸等の含窒素化合物ならびにその分解物であるアンモニア等が極微量含まれる。エチレンの用途によっては、これら極微量の不純物が問題となるおそれがあるので、精製により除去しても良い。精製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により行うことができる。好適な精製操作としては、例えば、吸着精製法をあげることができる。用いる吸着剤は特に限定されず、従来公知の吸着剤を用いることができる。例えば、高表面積の材料が好ましく、吸着剤の種類としては、バイオマス由来のエタノールの脱水反応により得られるエチレン中の不純物の種類・量に応じて選択される。
なお、エチレン中の不純物の精製方法として苛性水処理を併用してもよい。苛性水処理をする場合は、吸着精製前に行うことが望ましい。その場合、苛性処理後、吸着精製前に水分除去処理を施す必要がある。
(バイオマスポリオレフィンの製造方法)
本発明において、バイオマス由来のエチレンを含むモノマーの重合方法は、特に限定されず、従来公知のオレフィンの重合方法により行うことができる。重合温度や重合圧力は、重合方法や重合装置に応じて、適宜調節するのがよい。重合装置についても特に限定されず、従来公知のオレフィン重合装置を用いることができる。
これらバイオマスポリオレフィンの製造方法の詳細については、国際公開公報2009/070858等に記載されている。
バイオマスポリオレフィン(a1)の樹脂組成物中の含有量は、樹脂組成物全体に対する濃度として、5〜90重量%であることが好ましく、より好ましくは10〜70重量%である。少なすぎると石油資源の節約の達成度合いが低く、多すぎると、十分な易引裂性が得られない。バイオマスポリオレフィン(a1)と後述するその他のポリエチレン系樹脂(a2)と合計して、樹脂組成物全体に対して、20〜90重量%含まれていることが好ましく、より好ましくは30〜80重量%、更には50〜80重量%である。
多すぎると、十分な易引裂性が得られないことがあり、好ましくない。一方、少なすぎると、剛性が高くなりすぎ、例えばインフレーション成形性および製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。
(2)環状オレフィン系樹脂(b)
本発明の樹脂組成物に含む環状オレフィン系樹脂(b)としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体(以下、「COP」ともいう。)、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα−オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体(以下、「COC」ともいう。)等が挙げられる。また、COP及びCOCの水素添加物も用いることができる。
COCとしては、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1等のα−オレフィンなどの直鎖状モノマーとテトラシクロドデセン、ノルボルネンなどの環状モノマーとから得られた環状オレフィン共重合体が挙げられる。さらに具体的には上記直鎖状モノマーと炭素数が3〜20のモノシクロアルケンやビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)及びこの誘導体、トリシクロ[4.3.0.12,5]−3−デセン及びその誘導体、テトラシクロ[4.4.0.1.2,5.17,10]−3−ドデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ペンタデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]−3−ヘキサデセン及びこの誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン及びこの誘導体、ヘキサシクロ[6.6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]−4−ヘプタデセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン等およびこの誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]−4−エイコセン及びこの誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]−5−ヘンエイコセン及びこの誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.111,18.113,16.03,8.012,17]−5−ドコセン及びこの誘導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.03,8.012,21.014,19]−5−ペンタコセン及びこの誘導体等の環状オレフィンとの共重合体からなる環状オレフィン共重合体などが挙げられる。直鎖状モノマー及び環状モノマーは、それぞれ単独でも、2種類以上を併用することもできる。また、このような環状オレフィン共重合体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、環状オレフィン系樹脂(b2)に、前記COPとCOCを併用することもできる。その場合は、COPとCOCのそれぞれの異なった性能を付与することができる。
本発明においては、ポリエチレンに対する分散性がより良くなることから、環状オレフィン系樹脂(b)はCOCであることが好ましい。また、COCとしては、直鎖状モノマーがエチレンである、エチレン・環状オレフィン共重合体であることが好ましい。さらには、環状モノマーは、ノルボルネン等であることが好ましい。
また、本発明においては、環状オレフィン系樹脂(b)がエチレン・環状オレフィン共重合体である場合は、エチレン/環状オレフィンの含有割合が重量比で15〜40/85〜60のものであることが好ましい。より好ましくは30〜40/70〜60のものである。エチレンが15重量%未満であると、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。一方、エチレンが40重量%以上であると、十分な易引裂性、剛性が得られないことがあるため好ましくない。含有比率がこの範囲にあれば、フィルムの剛性、引き裂き性、加工安定性、衝撃強度がより向上するため好ましい。
さらにまた、エチレン・環状オレフィン共重合体は、ISO11357−1、−2、−3に準拠した条件において、示差走査熱量測定(DSC)によって測定したガラス転移温度Tgが60℃以上であることが好ましい。より好ましくは70℃以上のものであり、さらに好ましくは100℃以上である。一方、上限値は180℃以下、好ましくは150℃以下である。
環状オレフィンの含有量が上記範囲を下回ると、ガラス転移点が前記範囲を下回るようになり、例えば、芳香成分のバリアー性が低下するようになる、十分な剛性が得られず、高速包装機械適正に劣る等の恐れがある。一方、環状オレフィンの含有量が上記範囲を上回ると、ガラス転移点が高くなりすぎ、共重合体の溶融成形性や他のオレフィン系樹脂との接着性が低下する恐れがあり好ましくない。なお、本発明において、環状オレフィンのガラス転移温度は、ISO11357−1、−2、−3に準拠し昇温速度10℃/分において測定された値である。
また、環状オレフィン系樹脂(b)の重量平均分子量は、5,000〜500,000が好ましく、より好ましくは7,000〜300,000である。
環状オレフィン系樹脂(b)として用いることができる市販品として、ノルボルネン系モノマーの開環重合体(COP)としては、例えば、日本ゼオン株式会社製「ゼオノア(ZEONOR)」等が挙げられ、ノルボルネン系共重合体(COC)としては、例えば、三井化学株式会社製「アペル」、ポリプラスチックス(Polyplastics)社製「トパス(TOPAS)」等が挙げられる。本発明においては、ノルボルネン系単量体の含有比率が、前述の範囲にあること、加工性等の理由から、TOPASのグレード8007が好ましい。尚、ノルボルネン系の場合の、ノルボルネン含量は好ましくは、30mol%以上70mol%以下、より好ましくは35mol%以上65mol%以下、さらに好ましくは36mol%以上60mol%以下、最も好ましくは36mol%以上40mol以下である。ノルボルネン含量が30mol%未満であると、直線易カット性が得られない可能性がある。また、70mol%を超えると、加工性が悪くなる可能性がある。
環状オレフィン系樹脂(b)の樹脂組成物中の含有量は、樹脂組成物全体に対する濃度として、10〜80重量%であることが好ましく、より好ましくは20〜70重量%である。また環状オレフィン系樹脂(b)の易引裂性多層フィルム中の含有量(濃度)は、易引裂性多層フィルム全体を基準として、10〜80重量%であることが好ましく、更に好ましくは20〜70重量%含まれることが好ましい。より好ましくは、20〜50重量%である。少なすぎると、十分な易引裂性が得られないことがあり、好ましくない。一方、多すぎると、剛性が高くなりすぎ、例えばインフレーション成形性および製袋適性を悪化させることがあるため好ましくない。
(3)その他のポリオレフィン系樹脂(a2)
本願発明の樹脂組成物には、上記バイオマスポリオレフィン系樹脂(a)や環状オレフィン系樹脂(b)以外の樹脂、例えば(a)以外のバイオマス由来(例えば植物由来)以外の原料、すなわち化石燃料由来の原料からなるポリエチレン系樹脂(a2)を含有することができる。例えば、ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂が挙げられるが、ポリエチレン系樹脂(a2)としては、エチレンの単独重合体又は、エチレンとα−オレフィンを共重合して得られる共重合体が挙げられ、例えば、触媒重合によって得られる直鎖状ポリエチレン、又は高圧ラジカル重合法によって得られる、多数の分岐構造を有する、高圧法ポリエチレン等を使用することができるが、好ましくは、直鎖状ポリエチレンを用いることが挙げられる。
直鎖状ポリエチレン(以下、「LLDPE」ともいう。)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であって、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであっても良いが、密度は0.870〜0.965g/cmの範囲から選ばれるが、本発明において好ましくは、0.900〜0.935g/cmであり、コスト的に有利なZiegler触媒によって重合されたものがあげられる。更に好ましくは0.905〜0.930g/cmである。
なお、本発明において、密度は、JIS K 6922−2に基づいて測定する値である。
また、LLDPEのメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪く、押出フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなり、さらにフィルムの透明性が低くなるといった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、押出加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K−7210により測定したメルトフローレート値である。
本発明において用いるLLDPEとしては、具体的には以下のようなものである。すなわち、エチレンと共重合するα−オレフィンは、0.1〜15モル%、好ましくは0.5〜10モル%、特に好ましくは0.5〜5モル%の量で共重合しているものであり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
樹脂組成物中におけるその他のポリエチレン系樹脂(a2)の含有量は、樹脂組成物全体に対して、好ましくは5〜80重量%、更に好ましくは10〜75重量%である。
市販されているバイオマスポリオレフィン系樹脂の種類は少なく、易引裂性やフィルムの他の基本特性を達成するために最適な、密度やMFRを有するバイオマスポリオレフィン系樹脂を得ることは、現実上難しいことから、その他の、従来より存する、比較的多様の密度とMFRの組み合わせを有する、化石燃料由来のポリエチレン系樹脂と混合することにより、本願発明の目的である、易引裂性フィルムをコスト的にも安定して得ることができる。
バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)とその他のポリオレフィン系樹脂(a2)の関係としては、バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)の190℃、2.16kgにおけるMFR(a1)と、その他のポリオレフィン系樹脂(a2)の190℃、2.16kgにおけるMFR(a2)の比、MFR(a2)/MFR(a1)が30以下であることが好ましい。この範囲であると樹脂分散性に優れる。。
樹脂組成物については、上記樹脂成分の他に防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で、好ましくは1質量%以上20質量%以下、好ましくは1質量%以上10質量%以下の範囲で添加することができる。
2.易引裂性フィルム
本発明の易引裂き性フィルムは、前記樹脂組成物からなる樹脂層(I)を少なくとも1層以上有することを特徴とする、単層フィルムまたは多層フィルムである。
好ましくは、ポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)及びポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)をさらに含み、少なくとも3層以上の多層構成を有する易引裂性フィルムであることを特徴とする。
より好ましくは、前記樹脂層(II)を外層とし、前記樹脂層(III)を内層とし、樹脂層(II)/樹脂層(I)/樹脂層(III)の順に積層させた3層構成を有することを特徴とする易引裂性フィルムであることを特徴とする。
以下、各層について詳述する。
(1)第I層
本発明のフィルムにおける第I層は、上記樹脂組成物からなることを特徴とし、単層でフィルムを構成するか、多層フィルムのうちの少なくとも1層、好ましくは中間層を構成する。
第I層は、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは10μm以上60μm以下の厚さを有するものである。ポリオレフィン樹脂層の厚さが上記範囲程度であれば、易引裂機能を十分に果たすことができる。
(2)第II層又は第III層
本発明のフィルムにおける第II層はポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)であり、第III層は、ポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)である。
該ポリオレフィン系樹脂(c)又は(d)としては、一種又は二種以上の樹脂から構成されても良い。ポリエチレン系樹脂又はポリプロピレン系樹脂が挙げられるが、環状オレフィン系樹脂との界面強度の観点から、ポリエチレン系樹脂が好ましい。
ポリエチレン系樹脂としては、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたホモポリエチレンもしくはエチレン・α−オレフィン共重合体、もしくは有機過酸化物を反応開始剤として重合される高圧法低密度ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸3成分系共重合体等の中から選択される1種類もしくは2種類以上の混合物であってもよいが、環状オレフィン系樹脂との界面強度の観点から直鎖状ポリエチレン系樹脂が好ましい。また、該ポリエチレン系樹脂の密度も、一般的なポリエチレンの密度範囲である0.855g/cm〜0.970g/cmであればいずれであってもよい。
本発明の易引裂性フィルムの第II層又は第III層で好ましく用いるエチレン・α−オレフィン共重合体は、メタロセン触媒、Ziegler触媒、Phillips触媒等により重合されたもののいずれであってもよいが、密度は0.870〜0.930g/cmの範囲が好ましく、より好ましくは、0.880〜0.920g/cmであり、さらに好ましくは、0.890〜0.910g/cmである。
なお、本発明において、密度は、JIS K6922−2に基づいて測定する値である。また、エチレン・α−オレフィン共重合体として密度及び含有量の条件を満たす複数種の樹脂を用いる場合には、密度の値は、それら複数種の樹脂の重量割合に基づいて算出される平均値とする。
また、エチレン・α−オレフィン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、190℃において0.1〜30g/10分であることが好ましい。より好ましくは0.5〜4.0g/10分である。MFRが0.1g/10分未満の場合は、溶融流れ性が悪くなり、フィルム加工が困難になる、モーター負荷が大きくなる、といった問題が生じる恐れがあり好ましくない。一方、30g/10分を超える場合は、溶融粘度が低すぎて、フィルム加工時の製膜安定性が低下する恐れがあり好ましくない。
なお、本発明において、メルトフローレート(MFR)は、JIS−K−7210により測定したメルトフローレート値である。
本発明において好ましく用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体は、具体的には以下のようなものである。すなわち、エチレンと共重合するα−オレフィンは、0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%、特に好ましくは0.3〜4モル%の量で共重合しているものであり、α−オレフィンの種類としては、通常は炭素数3〜8のα−オレフィンであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1、4−メチルペンテン−1を挙げることができる。
また、ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等の他のα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられ、いずれでも用いることができる。上記重合体の1種類もしくは2種類以上のブレンド物であってもよいが、直鎖状ポリエチレン系樹脂と環状オレフィン系樹脂との界面強度の観点から、メタロセン触媒から得られた直鎖状のエチレン・プロピレン・ランダムブロック共重合体を主成分とすることが好ましく、例えば日本ポリプロ株式会社製のウィンテック(登録商標)シリーズ等が挙げられる。ここで、「主成分」とはエチレン・プロピレン・ランダムブロック共重合体が50重量%以上含まれることを意味している。
ポリオレフィン系樹脂(c)又は(d)のメルトインデックスについては、ポリエチレン系樹脂の場合は190℃において、またポリプロピレン系樹脂において230℃において、0.05〜20g/10minが好ましく、より好ましくは0.1〜10g/minであり、さらに好ましくは、0.1〜3.5/minである。
第II層又は第III層には、前記ポリオレフィン系樹脂(c)又は(d)を樹脂主成分として含む限りにおいて、その他の樹脂成分を含有していてもよい。
第I層、第II層及び第III層には、防曇剤、帯電防止剤、熱安定剤、造核剤、酸化防止剤、滑剤、アンチブロッキング剤、離型剤、紫外線吸収剤、着色剤等の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
(3)層構成
本発明の第I層〜第III層は、前述したように、特定の第II層/特定の第I層/特定の第III層との構成からなると好ましい。好ましくは第II層を外層とし、第III層を内層とし、第I層を中間層とすることが好ましい。
第I層〜第III層全体の厚さとしては、30〜150μmのものが好ましい。多層フィルムの厚さが30μm以上であれば、優れた二次成形性が得られる。
また、本発明の第I層〜第III層のうちの第I層の厚さは、易引裂性多層フィルム全体を基準として、20〜70%であることが好ましい。より好ましくは20〜50%である。すなわち、第II層/第I層/第III層が1:0.5:1の厚さ〜1:4:1程度の厚さをとることができる。第I層が薄すぎると、十分な易引裂性が得られないので好ましくない。一方、厚すぎると、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性および製袋適性を悪化させるため好ましくない。第I層がこの範囲であれば、易引裂性に優れる上に、コスト的に有利であり、耐熱性を有する易引裂性多層フィルムの透明性、引裂性、耐ピンホール性が向上するため、好ましい。
本発明の易引裂性多層フィルムは、前記第I層〜第III層が前記順序で積層されており、本発明の目的を損なわない限りにおいて、層間の接着層など、当業者に公知であるその他の層を有していてもよい。
本発明の第I層〜第III層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、第I層に用いるバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)及び環状オレフィン系樹脂(b)、更に好ましくは他のポリエチレン系樹脂(a2)と、第II層に用いるポリオレフィン系樹脂(c)及び、第III層に用いるポリオレフィン系樹脂(d)とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で第II層/第I層/第III層の順で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。
(4)易引裂性
本発明の易引裂性フィルム、特に樹脂層(II)/樹脂層(I)/樹脂層(III)で構成される三層フィルムは、JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、フィルムの流れ方向(縦方向、MD)及び横方向(TD)において、それぞれ30N/mm以下であることが好ましい。より好ましくは、1〜20N/mm以下である。特に、横方向がこの範囲を満たすことが好ましい。
3.包装材
本発明の易引裂性フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、医療器具、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、包装容器等が挙げられる。特に、加熱加圧滅菌処理をした後、冷蔵・冷凍流通する食品包装袋、包装容器に好適である。
前記包装袋は、本発明の易引裂性フィルムの第III層を内層、すなわちヒートシール層として、第III層同士を重ねてヒートシールすることにより形成した包装袋が挙げられる。2枚の当該易引裂性フィルムを所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填した後、ヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。また、1枚の当該易引裂性フィルムを用いて、ピロー包装の形態でも用いることができる。さらに、第III層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
また、前記包装容器としては、本発明の易引裂性フィルムを二次成形することにより得られる深絞り成形品(上部に開口部がある底材)が挙げられ、代表的なものとしてブリスターパックの底材が挙げられる。この底材を密封する蓋材は、底材とヒートシールできるものであれば特に材質は問わないが、蓋材と底材を同時に引き裂いて開封できることから、本発明の易引裂性フィルムを蓋材として用いることが好ましい。
上記の二次成形方法としては、例えば、真空成形法、圧空成形法、真空圧空成形法等が挙げられる。これらの中でも、フィルムあるいはシートを包装機上にてインラインで成形し、内容物を充填できるため真空成形が好ましい。
本発明の易引裂性フィルムを用いた包装材には、初期の引き裂き強度を弱め、開封性を向上するため、シール部にVノッチ、Iノッチ、ミシン目、微多孔などの任意の引き裂き開始部を形成すると好ましい。
(4)多層フィルムの製造方法
多層フィルム全体の厚さとしては、20マイクロメートルから200マイクロメートルのものが好ましい。本発明のフィルムは、その厚さが比較的厚膜であっても、易引裂性に優れる。
また、本発明の環状ポリオレフィン系樹脂(b)及びバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)、更に任意に他のポリオレフィン系樹脂(a2)の混合樹脂を樹脂主成分とする樹脂組成物からなる樹脂層(I)について、多層基材フィルムとした際の樹脂層(I)の厚さは、多層フィルム全体を基準として、20〜70%であることが好ましい。樹脂層(I)が20%より薄いと、十分な易引裂性が得られにくいので好ましくない。一方、70%より厚いと、剛性が高くなりすぎ、インフレーション成形性を悪化させるため好ましくない。樹脂層(I)の厚みがこの範囲であれば、易引裂性に優れる上に、コスト的に有利であるため、好ましい。
本発明に用いる多層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、多層フィルムの成形において外層に用いる樹脂組成物と、中間層に用いる環状オレフィン系樹脂(b)及びバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)、更に任意に他のポリオレフィン系樹脂(a2)の混合樹脂からなる樹脂組成物と、内層に用いる樹脂組成物とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーション法によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。
この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。
さらに、本発明で用いる環状ポリオレフィン系樹脂(b)と、バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)又は任意成分である他のポリエチレン系樹脂(a2)は、高温状態において粘度差が大きく、適当な相分離構造が形成されない可能性がある。したがって、比較的低温で溶融押出を行うことが出来るインフレーション法が望ましい。
4.基材層を有する易引裂性フィルム
本発明の易引裂性フィルムの他の態様としては、前記第II層/第I層/第III層から構成されるフィルムに、基材層(IV)をさらに積層させた多層の易引裂性フィルムが挙げられる。
該基材層(IV)としては、各種の多層フィルムを構成する基材層、例えば、紙基材や他樹脂基材が挙げられるが、好ましくはバリア性を有する、極性を有する樹脂を主成分とする層が挙げられる。ここで、極性を有する樹脂とは、樹脂の分子構造中に極性基や高極性の結合を有する樹脂を意味する。より具体的には、極性基として水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エステル基、イソシアネート基、グリシジル基等の官能基を持つ樹脂、高極性の結合としてエステル結合、アミド結合、ウレタン結合、ウレア結合、エーテル結合等の結合を持つ樹脂を意味する。
バリア性の基材層(IV)は下記に記載する少なくとも一種以上の極性を有する樹脂から構成されていれば良く、例えば、ポリアミド系樹脂やエチレン・ビニルアルコール共重合体系樹脂を主成分とする単層構成であっても良く、また、ポリアミド系樹脂/エチレン・ビニルアルコール共重合体系樹脂/ポリアミド系樹脂のような多層構成であっても良い。
なお、基材層(IV)には、本発明の効果を損なわない範囲で、核剤、滑材、熱劣化防止剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料、離型剤などの添加剤を添加することが出来る。
(4−1)極性を有する樹脂(e)
本発明に用いることができる極性を有する樹脂(e)としては、極性基を有するオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種である。
(4−1−1)極性基を有するオレフィン系樹脂
本発明の基材層(IV)に用いることができる極性基を有するオレフィン系樹脂としては、不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂のほか、シラン変性ポリオレフィン等が挙げられる。また、ポリエチレン系樹脂としては、メタロセン触媒等の金属触媒により重合されたエチレンと極性基含有モノマーとの共重合体や有機過酸化物を反応開始剤として重合されるエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン・メチルアクリレート共重合体(EMA)、エチレン・エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン・アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸3成分系共重合体等が挙げられる。該オレフィン系樹脂の190℃におけるメルトインデックス(以下、MIとも記載する)は、高温成形下での製膜安定性の観点から20g/10min以下が好ましい。MIが20g/10minを上回ると溶融張力の低下により製膜安定性が悪化する。
本発明においては、日本ポリエチレン株式会社製「レクスパール」等が挙げられる。
(4−1−2)ポリアミド系樹脂
本発明の基材層(IV)に用いることのできるポリアミド系樹脂としては、3員環以上のラクタム、重合可能なω−アミノ酸、または、二塩基酸とジアミン等の縮重合によって得られるポリアミドを使用できる。具体的には、ε―カプロラクタム、アミノカプロン酸、エナントラクタム、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、9−アミノノナン酸、α―ピロリドン、α―ピペリドン等の重合体、ヘキサメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン等のジアミンと、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二塩基酸、グルタール酸等のジカルボン酸と重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体であり、例えば、ポリアミド4、ポリアミド6、ポリアミド7、ポリアミド8、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド69、ポリアミド610、ポリアミド611、ポリアミド612、ポリアミド6T、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド6/6T、ポリアミド6I/6T、MXD6等が挙げられ、2種以上のポリアミドを用いることもできる。ポリアミドの末端は、モノカルボン酸またはモノアミンで封止されていてもよい。例えば、炭素数2〜22のモノカルボン酸またはモノアミンで末端が封止されたポリアミドが挙げられる。本発明においては、加工時の成形安定性と耐熱性バランスの観点から、ポリアミド6/66(以下、PA6/66とも記載する)又はポリアミド6(以下、PA6とも記載する)が好適であり、例えばDSMジャパンエンジニアリングプラスチックス株式会社製「ノバミッド(Novamid)」「アクロン(Akulon)」、BASF社製「ウルトラミッド(Ultramid)」、宇部興産株式会社製「宇部ナイロン(UBE NYLON)」等が挙げられる。
上記、ポリアミドの粘度数はISO307、ISO1157、ISO1628に従って測定された値で、好ましくは150〜300cm/gであり、より好ましくは170〜260cm3/gである。粘度数が150cm/gより低いと機械強度が低下し易く、粘度数が300cm/gより高いと成形性が低下するため好ましくない。
(4−1−3)エチレン・ビニルアルコール共重合体系樹脂
本発明の基材層(IV)に用いることができるエチレン・ビニルアルコール共重合体系樹脂(以下、EVOHとも記載する)はエチレン含有率20〜50mol%であること好ましく、より好ましくは30〜40mol%である。エチレン含有率が20mol%未満になると成形加工性が悪化する可能性があり、エチレン含有率が50mol%を超えると充分なガスバリア性が得られないため好ましくない。さらに、210℃、21.168Nで測定されるメルトインデックス(MI)が1〜30g/10minであることが好ましく、より好ましくは2〜10g/10minである。MIが1g/10min未満であると押出特性が悪化するため好ましくない。一方、MIが30g/10minを超えると成形加工性が悪化するため好ましくない。
該EVOHは、エチレン・酢酸ビニル共重合体をケン化することによって得られ、該エチレン−酢酸ビニル共重合体は、公知の任意の重合法、例えば、溶液重合、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製造され、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化も公知の方法で行い得る。酢酸ビニル成分のケン化度は、通常、50mol%以上であることが好ましく、より好ましくは90mol%以上である。ケン化度が低すぎると、ガスバリア性等が低下する傾向があるため好ましくない。
本発明では、本発明の効果を阻害しない範囲で共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合していてもよく、かかる単量体としては、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等のオレフィン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいは炭素数1〜18のモノまたはジアルキルエステル類、アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のアクリルアミド類、メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩等のメタクリルアミド類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のN−ビニルアミド類、アクリルニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類、炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテル等のビニルエーテル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル類、トリメトキシビニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。上記記載の範囲内であればエチレン含有率や共重合モノマー組成の異なる2種以上のEVOHを混合して用いても良い。
本発明に用いることができるEVOHとしては、例えば、日本合成化学工業株式会社製「ソアノール(Soarnol)」や株式会社クラレ製「エバール(EVAL)」等が挙げられる。
(4−1−4)ポリエステル系樹脂
本発明の基材層(IV)に使用できるポリエステル系樹脂は、ジカルボン酸成分とグリコール成分を共重合して得られる樹脂である。共重合できるジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。また、共重合できるグリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、シクロヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等が挙げられ、株式会社ベルポリエステルプロダクツ製「ベルペット」やポリプラスチックス株式会社製「ジュラネックス」等が挙げられる。
第IV層を更に設ける場合には、第II層/第I層/第III層からなる第II層側に積層又は第III層側いずれでもよいが、好ましくは外層に相当する第II層側である。
(III)/(I)/(II)/(IV)の順に積層した4層構成、又は第IV層を中心とした、(III)/(I)/(II)/(IV)/(II)/(I)/(III)の構成
など、層の積層数に特段制限はない。
バリア性易引裂共押出多層フィルムの厚みとしては、20〜200μmのものが好ましい。多層フィルムの厚さが20μm以上であれば、優れた二次成形性が得られる。また、多層フィルムの厚さが30〜200μmの範囲では、最表面に露出する層同士をヒートシールすることにより、包装材として使用できる。
基材層(IV)を有する本発明の易引裂性フィルムは、共押出法により、基材層(IV)と(II)(I)(III)を直接共押出積層することにより製造してもよいし、基材層(IV)の上に、(II)/(I)/(III)フィルムを積層してもよい。
例えば、基材層(IV)に用いるポリアミド系樹脂と、樹脂層(II)(I)(III)に用いるバイオマスポリオレフィン樹脂、ポリオレフィン系樹脂及び環状オレフィン系樹脂とを、それぞれ別の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層順の位置関係になるよう積層した後、空冷インフレーションや水冷インフレーション、Tダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形にする共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。
上記製造方法で製造された易引裂性共押出多層フィルムは、易引裂性を付与するための一般的な延伸工程などの2次加工を必要とせず、共押出法により製膜加工のみで易引裂性を発現することが特徴である。
以下に、本発明の実施例および比較例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において用いた、物性の評価方法、フィルムの成形方法、使用した樹脂は下記のとおりである。
1.物性評価方法
1)エレメンドルフ引裂強度(MD・TD方向)
JIS K7128−2に準拠し、以下の装置を用いてフィルムのMD,TDについてのエレメンドルフ引裂強度を測定した。なお、MDはフィルム流れ方向(MD:Macine Direction)であり、TDは垂直方向(TD:Transverse Direction)の値である。
装置:株式会社東洋精機製作所製エルメンドルフ引き裂き試験機
試験片:JIS K7128−2を参考に半径一定試験片を用意した
測定環境:温度23℃、湿度50%
2.フィルムの成形方法
以下の成形装置、成形条件によりインフレーションフィルムを成形した。
<単層フィルム(実施例1、実施例2、比較例1)>
装置:単層インフレーション成形機
ダイス径:φ75mm
ダイリップクリアランス:3.0mm
引取速度:15m/min
押出量:20kg/hr
ブロー比:2.0
加工温度:190℃
フィルム厚み:50μm
<単層フィルム(比較例2)>
装置:単層Tダイ成形機
ダイス幅:300mm
ダイリップクリアランス:1.0mm
引取速度:12m/min
押出量:10kg/hr
加工温度:240℃
フィルム厚み:50μm
<多層フィルム(実施例3、実施例4)>
装置:3種3層インフレーション成形機
ダイス径:φ105mm
ダイリップクリアランス:2.5mm
引取速度:14m/min
押出量:25kg/hr
ブロー比:2.0
加工温度:195℃
層比(外/中間/外)=1/1/1
フィルム全体の厚み:50μm
<多層フィルム(実施例5)>
装置:3種3層Tダイ成形機
ダイス幅:550mm
ダイリップクリアランス:1.0mm
引取速度:19m/min
押出量:25kg/hr
加工温度:230℃
層比:1/1/1
フィルム厚み:50μm
3.使用原料
<樹脂組成物、層構成に使用した樹脂>
・バイオマスポリオレフィン樹脂(a1):バイオPE
ブラスケム社製、グレード名SLL118、MFR=1.0g/10分、密度=0.916g/cm
・環状オレフィン系樹脂(b):8007F
COC:ポリプラスチックス(株)製、商品名TOPAS8007F−500、MFR(190℃、2.16kg)=2.0cm/10分、密度=1,010kg/m、ガラス転移温度Tg=78℃(測定方法:示差走査熱量測定(DSC)、ISO11357−1、−2、−3に準拠、昇温速度=10℃/分)
・他のポリオレフィン系樹脂(a2)
LLDPE(化石燃料由来ポリエチレン):UF421
日本ポリエチレン(株)製、商品名ノバテックLL、グレード名UF421、MFR=0.9g/10分、密度=0.926g/cm
メタロセン系LLDPE(化石燃料由来):NC566A
日本ポリエチレン(株)製、商品名ハーモレックス NC566A、MFR3.8g/10分、密度0.918g/cm
(実施例1〜5、比較例1〜2)
下記表1記載の樹脂を用いて、前記した成膜条件で厚み50μmの単層又は多層インフレーションフィルムを得た。フィルム構成とその評価結果を表1に示す。
Figure 2021021052
(評価)
バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)と環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物を有する、実施例1〜5のフィルムにおいては、MD方向及びTD方向における引裂強度が小さく、易引裂性を発揮することが確認された。該フィルムにおいては、バイオマスポリオレフィン系樹脂を含有することで、石油資源の節約を可能とし、二酸化炭素の排出量削減を可能とする、環境に優しいという利点がある。
一方で、環状オレフィン系樹脂(b)を含まない比較例1,2においては、十分な易引裂性を発揮することができないフィルムであった。
本発明によれば、縦方向及び横方向の引裂性に優れるとともに、その樹脂材料のひとつとして、植物由来のポリエチレン系樹脂を使用していることにより、石油資源の節約を可能とし、二酸化炭素の排出量削減を可能とする、環境に優しい樹脂組成物、及びこれを用いたフィルム、包装材が提供される。
したがって、本発明の易引裂性多層フィルム及びこれを用いた包装材は、食品、薬品、医療器具、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、包装容器等、特に昨今の、石油資源の節約や再生可能資源の利用を奨励する用途分野において好適に用いることができるため、産業上大いに有用である。

Claims (13)

  1. バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)と、環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物。
  2. 前記環状オレフィン系樹脂(b)の前記樹脂組成物中の濃度が10〜80重量%であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記環状オレフィン系樹脂(b)は、エチレン・環状オレフィン共重合体であり、ガラス転移温度が60℃以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. さらに、バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)以外の他のポリオレフィン系樹脂(a2)を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 該バイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)の190℃、2.16kgにおけるMFR(a1)と、該他のポリオレフィン系樹脂(a2)の190℃、2.16kgにおけるMFR(a2)の比の関係が、MFR(a2)/MFR(a1)≦30であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物からなる樹脂層(I)を少なくとも1層以上有することを特徴とする易引裂性フィルム。
  7. ポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)及びポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)をさらに含み、少なくとも3層以上の多層構成を有することを特徴とする請求項6に記載の易引裂性フィルム。
  8. ポリオレフィン系樹脂(a)と環状オレフィン系樹脂(b)を少なくとも含有する樹脂組成物からなる樹脂層(I)と、ポリオレフィン系樹脂(c)からなる樹脂層(II)及びポリオレフィン系樹脂(d)からなる樹脂層(III)を有する、少なくとも3層以上の多層構成を有するフィルムであって、該ポリオレフィン系樹脂(a)、該ポリオレフィン系樹脂(c)、又は該ポリオレフィン系樹脂(d)のうち、少なくとも1以上が、少なくとも一部分をバイオマスポリオレフィン系樹脂(a1)で構成されていることを特徴とする易引裂性フィルム。
  9. 前記樹脂層(II)を外層とし、前記樹脂層(III)を内層とし、樹脂層(II)/樹脂層(I)/樹脂層(III)の順に積層させた3層構成を有することを特徴とする請求項7または8に記載の易引裂性フィルム。
  10. 前記ポリオレフィン系樹脂(c)及びポリオレフィン系樹脂(d)がポリエチレン系樹脂であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の易引裂性フィルム。
  11. JIS K7128−2に準拠して測定したエルメンドルフ引裂強度が、フィルムの流れ方向(MD)及びその垂直方向(TD)において、それぞれ30N/mm以下であることを特徴とする請求項6〜10のいずれかに記載の易引裂性フィルム。
  12. 基材層(IV)をさらに積層させたことを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の易引裂性フィルム。
  13. 請求項6〜12のいずれかに記載の易引裂性フィルムを用いてなることを特徴とする包装材。
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