JP2018062710A - 亜鉛系めっき鋼板用表面処理液、表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法、及び表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents

亜鉛系めっき鋼板用表面処理液、表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法、及び表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】表面処理皮膜にクロム化合物を含まず、耐熱変色性、耐熱割れ性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗装密着性のいずれにも優れる表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を製造するための表面処理液を提供する。
【解決手段】本発明の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液は、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、珪酸ナトリウム(C)、炭酸ジルコニウム化合物(D)、ガラス転移点(Tg)が80℃〜130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(E)、バナジウム化合物(F)、モリブデン酸化合物(G)、及び水が添加され、pHが8.0〜10.0で、かつ、各成分の添加量が所定の関係を満足することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、亜鉛系めっき鋼板用表面処理液、表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法、及び表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板に関する。
従来、耐食性(耐白錆性、耐赤錆性)を向上させる目的で、亜鉛系めっき鋼板の表面に、クロム酸、重クロム酸またはその塩類を主要成分とした処理液によるクロメート処理を施した鋼板が広く用いられてきた。しかしながら、最近の地球環境問題から、クロメート処理によらない無公害な表面処理鋼板、所謂クロムフリー処理鋼板を採用することへの要請が高まっている。
このような表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板(以下、「表面処理鋼板」とも称する。)は、自動車、家電製品、OA機器、建築部材等に使用される。これらの用途で使用する場合、表面処理鋼板を溶接して使用するケースも多く、溶接の種類としては、燃焼ガスから発生する熱を利用したガス溶接、電気の放電現象を利用したアーク溶接、電気の抵抗熱を利用したスポット溶接やシーム溶接が挙げられる。上述した何れの溶接方法においても、被溶接部は鋼の融点を超える温度である約2,000℃に晒され、溶接部近傍においてもめっき層の融点以上の温度域である約500℃を超える箇所が存在する。溶接によって表面処理鋼板の表面温度が500℃を超えるとめっき層が溶融し、めっき層の熱膨張によってめっき層表面の形状変化が生じる。それに伴い、めっき層上の表面処理皮膜も形状変化し、特にめっき層よりも熱膨張率の低い無機成分主体の皮膜の場合は、めっきの熱膨張とその後の冷却収縮による形状変化に追随できなくなり、溶接後に亀甲状の亀裂(以降、「クラック」と称する。)が生じる問題があった。特に、皮膜の付着量が大きい程クラックが顕著に発生する。
また、有機樹脂を含む有機・無機複合皮膜の場合は、溶接による加熱によって有機樹脂が熱分解し、フェノール樹脂など有機樹脂の種類によっては、皮膜表面が黄変することがあった。加えて、無機成分由来のクラックも生じるため、有機・無機複合皮膜の場合は、溶接後の表面処理鋼板の外観が著しく劣るという問題があった。
よって、上記のような現象を抑制した、耐熱変色性及び耐熱割れ性に優れた表面処理鋼板が求められている。さらに、表面処理鋼板が種々の用途で用いられることを考慮すると、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗装密着性に優れることも求められる。
特許文献1には、特定の骨格を含有するフェノール樹脂と、カチオン性ウレタン樹脂と、シランカップリング剤と、有機チタン化合物と、バナジル化合物とを特定の割合で含む表面処理液を使用して表面処理皮膜を形成し、亜鉛系めっき鋼板に、優れた耐食性、耐溶剤性、及び塗料密着性を付与する技術が開示されている。また、特許文献2には、モリブデン酸化合物をさらに含み、特許文献3には、モリブデン酸化合物とフッ素化合物をさらに含む表面処理液を用いる技術が開示されている。
また、特許文献4〜6には、シランカップリング剤を含まず、チタン化合物と、ニッケル化合物と、アルミニウム化合物と、フッ素化合物を含む表面処理皮膜を有する亜鉛系めっき鋼板は、500℃以上の温度で加熱しても、黄色や茶褐色への変色が起きず、耐食性や耐黒変性も優れることを開示する。
特開2010−236074号公報 特開2011−179057号公報 特開2012−067369号公報 特開2008−285738号公報 特開2008−208410号公報 特開2008−208408号公報
しかしながら、特許文献1〜3の技術は、シランカップリング剤が皮膜中に多く含まれるため、500℃を超える加熱の際には、シランカップリング剤中の有機官能基が熱分解することに起因したクラックが生じやすい。さらに、フェノール樹脂、有機チタン化合物、及びフッ素化合物を含むと、加熱時間が長くなるに従い加熱後の黄変色も顕著となる。特許文献1〜3では、表面処理鋼板を30秒で500℃に加熱し、30秒保持した後の耐熱変色性を評価しているが、後述する本実施例のように、保持時間を5分とした、より厳しい条件で評価する耐熱変色性及び耐熱割れ性に関しては、十分ではない。特許文献4〜6の技術は、耐水しみ性、耐汗性、塗料密着性などについては考慮されておらず十分ではなかった。
このように、上記の全ての特性をバランス良く満足することが可能な表面処理鋼板は未だ得られていない。
本発明は、上記課題に鑑み、表面処理皮膜にクロム化合物を含まず、耐熱変色性、耐熱割れ性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗装密着性のいずれにも優れる表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板と、当該良好な特性を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を製造するための表面処理液及び製造方法とを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、珪酸ナトリウム(C)、炭酸ジルコニウム化合物(D)、ガラス転移点(Tg)が80℃〜130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(E)、バナジウム化合物(F)、モリブデン酸化合物(G)、及び水が添加され、pHが8.0〜10.0で、かつ、各成分の添加量が所定の関係を満足する表面処理液を用いて、亜鉛系めっき鋼板に表面処理皮膜を形成することによって、上記課題を解決できることを見出した。特に、より厳しい条件で評価する耐熱変色性及び耐熱割れ性を向上させるには、表面処理液に珪酸ナトリウム(C)を添加することが有効であり、その添加量は、上記成分(A)〜(D)の合計質量(XS)に対して5質量%以上とすることが重要であることを見出した。
本発明は、このような知見に基づきなされたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
[1]グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、珪酸ナトリウム(C)、炭酸ジルコニウム化合物(D)、ガラス転移点(Tg)が80℃〜130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(E)、バナジウム化合物(F)、モリブデン酸化合物(G)、及び水が添加され、pHが8.0〜10.0で、かつ、各成分の添加量が以下の(1)〜(6)を満足することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
(1)グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)の固形分質量(As)、テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)、珪酸ナトリウム(C)の固形分質量(CS)、及び炭酸ジルコニウム化合物(D)中のZrO2換算質量(DZ)の合計質量(XS)の、アニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)に対する質量比(XS/ES)が0.05〜0.38
(2)テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(BS/XS)が0.010〜0.30
(3)珪酸ナトリウム(C)の固形分質量(CS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(CS/XS)が0.05〜0.50
(4)炭酸ジルコニウム化合物(D)中のZrO2換算質量(DZ)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(DZ/XS)が0.05〜0.60
(5)バナジウム化合物(F)中のV換算質量(FV)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(FV/(XS+ES))が0.0010〜0.015
(6)モリブデン酸化合物(G)中のMo換算質量(GM)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(GM/(XS+ES))が0.0010〜0.015
[2]さらにワックス(H)が添加され、その添加量が以下の(7)を満足する、上記[1]に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
(7)ワックス(H)の固形分質量(HS)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(HS/(XS+ES))が0.002〜0.10
[3]亜鉛系めっき鋼板の表面に、上記[1]又は[2]に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を塗布する第1工程と、
その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を乾燥して、付着量が50〜2,000mg/m2の表面処理皮膜を形成する第2工程と、
を有することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[4]前記第1工程時の前記亜鉛系めっき鋼板の温度及び前記表面処理液の温度をそれぞれTS及びTLとし、TS−TLをΔTとしたとき、TSが15〜55℃であり、TLが10〜40℃であり、ΔTが5〜40℃であり、
前記第2工程は、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を大気中で乾燥する、時間t秒の予備乾燥工程と、その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を乾燥炉で加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含み、ΔT/tが1〜60℃/sである、上記[3]に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
[5]亜鉛系めっき鋼板と、
該亜鉛系めっき鋼板の表面に、上記[1]又は[2]に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を塗布し、乾燥して得た、付着量が50〜2,000mg/m2の表面処理皮膜と、
を有することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
[6]前記表面処理皮膜が、Zrを含む相と含まない相から構成され、前記Zrを含む相の体積分率が5〜40%である、上記[5]に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
[7]前記亜鉛系めっき鋼板が、基板である鋼板の少なくとも一方の表面に、質量%で、Al:3.0〜6.0%、Mg:0.2〜1.0%、Ni:0.01〜0.10%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる溶融Zn−Al系合金めっき層を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板である、上記[5]又は[6]に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板は、表面処理皮膜にクロム化合物を含まず、耐熱変色性、耐熱割れ性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗装密着性のいずれにも優れる。また、本発明の表面処理液及び製造方法は、上記のような良好な特性を有する表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板を製造することができる。
質量比(CS/XS)と、耐熱変色性、耐熱割れ性、耐黒変性、及び耐水しみ性の評価との関係を示す図である。
<亜鉛系めっき鋼板>
本発明で使用する亜鉛系めっき鋼板は、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛−鉄合金めっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金めっき鋼板等を用いることができる。
さらに好ましくは、基板である鋼板の少なくとも一方の表面に、質量%で、Al:3.0〜6.0%、Mg:0.2〜1.0%、Ni:0.01〜0.10%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる溶融Zn−Al系合金めっき層を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板を用いることができる。この鋼板を使用した場合、その他のめっき鋼板を用いた場合に対し耐赤錆性が優れるという利点がある。このため、屋外等、より厳しい腐食環境で使用する際に有利となる。この溶融Zn−Al系合金めっき鋼板は、溶融Zn−Al系合金めっき層にZn−Al−Mg系三元共晶を含有することが、より好ましい。このZn−Al−Mg系三元共晶は、めっき層表面における面積率で1〜50%含有することが好ましい。
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板は、亜鉛系めっき鋼板と、該亜鉛系めっき鋼板の表面に、以下に説明する表面処理液を塗布し、乾燥して得た、片面当たりの付着量が50〜2,000mg/m2の表面処理皮膜(以下、単に「皮膜」ともいう。)と、を有し、耐熱変色性、耐熱割れ性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗装密着性のいずれにも優れる。
<亜鉛系めっき鋼板用表面処理液>
本発明の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液(以下、単に「表面処理液」という。)は、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、珪酸ナトリウム(C)、炭酸ジルコニウム化合物(D)、ガラス転移点(Tg)が80℃〜130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(E)、バナジウム化合物(F)、モリブデン酸化合物(G)、及び水が添加され、さらに必要に応じて、ワックス(H)が添加されてもよい。
<グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)>
本発明の表面処理液には、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)が添加される。該シランカップリング剤(A)は、グリシジル基、および加水分解性基として炭素数が1〜5、好ましくは1〜3である低級アルコキシ基がSi元素に直接結合したものであれば、特に限定されず、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられ、なかでも、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)同士の縮合点や、後述するテトラアルコキシシラン(B)、珪酸ナトリウム(C)、炭酸ジルコニウム化合物(D)との縮合点をより多く生成しやすく、それによって成膜後に高いバリア性が得られるという観点から、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)は、その化合物中のSi元素にアルコキシ基が直接結合しており、そのアルコキシ基は、水溶液中で水と反応することによりシラノール基を形成する。このシラノール基は、亜鉛系めっき鋼板の表面と反応したり、後述する成分(B)〜(D)との間で複合的に縮合反応したりする。
<テトラアルコキシシラン(B)>
成分(A)を単独で使用すると耐熱割れ性に劣るため、本発明の表面処理液には、テトラアルコキシシラン(B)が添加される。成分(B)がない場合、500℃以上の加熱雰囲気では、成分(A)の有機官能基が熱酸化分解するため、大きなクラック発生の要因となる。それに対し、成分(B)を適量添加すると、成分(A)の添加量を耐熱割れ性が許容される程度に抑えつつ、緻密でバリア性の高い皮膜が得られる。成分(A)と成分(B)から得られる皮膜は緻密であるため、加熱時のクラックも緻密化することができ、目視で確認されるようなクラックは生じず、優れた耐熱割れ性が得られる。
テトラアルコキシシラン(B)は、Si元素に直接結合する加水分解性基として4個の低級アルコキシ基を有するものであり、一般式Si(OR)4(式中、Rは同一の又は異なる炭素数1〜5のアルキル基を示す)で示されるものであれば、特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシランなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。なかでも、テトラアルコキシシラン(B)同士や、成分(A)、後述する成分(C)、(D)との縮合点をより多く生成しやすく、それによって成膜後に高いバリア性が得られるという観点から、テトラエトキシシランおよびテトラメトキシシランが好ましい。
テトラアルコキシシラン(B)は、その化合物中のSi元素にアルコキシ基が直接結合しており、そのアルコキシ基は、水溶液中で水と反応することによりシラノール基を形成する。このシラノール基は、亜鉛系めっき鋼板の表面と反応したり、成分(A)や、後述する成分(C)〜(D)との間で複合的に縮合反応したりする。
テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)の、合計質量(XS)に対する質量比(BS/XS)は0.010〜0.30とする必要があり、好ましくは0.04〜0.24、より好ましくは0.07〜0.17である。質量比が0.010未満の場合は、耐熱割れ性が低下する。質量比が0.30超えの場合は、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性が低下する。
成分(A)及び成分(B)は、各々単体で使用してよいもが、成分(A)と成分(B)を縮合反応させて低縮合物としてから、表面処理液に添加するのが好ましく、成膜後により高いバリア性が得られる。この低縮合物は、(A)および(B)のシラノール基同士の縮合反応により形成されるポリシロキサン結合を主骨格とするものであり、Si元素に結合する末端の基の全てがアルコキシ基であるものでもよく、Si元素に直接結合する基の一部がアルコキシ基であるものでもよい。
成分(A)と成分(B)の縮合反応により得られる低縮合物は、縮合度が2〜30が好適であり、2〜10がより好適である。縮合度が30以下であれば、水溶液中において白色沈殿を生じることなく、成分(A)及び成分(B)を安定に使用することができる。この低縮合物は、成分(A)と、成分(B)と、後述するキレート剤とを、反応温度1〜70℃で10分間〜20時間程度反応させ、オートクレーブ処理を行うことにより得ることができる。キレート剤は、例えば、リンゴ酸、酢酸、酒石酸等のヒドロキシカルボン酸;モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、クエン酸、アジピン酸等のジカルボン酸またはトリカルボン酸等のポリカルボン酸;およびグリシン等のアミノカルボン酸等などが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
この低縮合物の縮合状態は、JIS−K7252−4に記載されているゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)、NMR、およびFT−IRを用いて測定することができる。
この低縮合物の安定化に作用するキレート剤は、成分(A)のアルコキシ基と、成分(B)のアルコキシ基が、水とキレート剤によって加水分解反応する際に作用する。キレート剤による安定化作用は、その理由は定かでないが、加水分解反応によって生じる(A)及び(B)に由来のシラノール基にキレート剤が適度に配位することによって得られるものと考えられる。すなわち、シラノール基へのキレート剤の適度な配位作用が、(A)及び(B)の過度の縮合を抑制するため、貯蔵安定性に優れる表面処理液を得ることができる。さらには、長期に亘る表面処理液の保管後も安定した皮膜の品質が得られる。
キレート剤は、貯蔵安定性に加え、耐食性を確保する上でも有効である。その理由は定かでないが、キレート剤は、後述するバナジウム化合物(F)とも配位すると考えられ、皮膜が腐食環境に晒されると、バナジウム化合物(F)に配位したキレート剤はバナジウム化合物(F)とともに溶出し、それによって皮膜内で配位子を失った(A)及び(B)の縮合が進むことによって、より皮膜のバリア性が高まり、耐食性に寄与するものと考えられる。
<珪酸ナトリウム(C)>
本発明の表面処理液には、優れた耐熱割れ性に作用する珪酸ナトリウム(C)が添加される。珪酸ナトリウム(C)に含まれるナトリウムは、熱によってSiO4連結網から分断されたSiO4四面体の酸素原子へ結合する。そのため、SiO4連結網の再結合が防止される。この作用によって、成分(C)は珪酸ガラスに流動性を与え、1,700℃以上にある珪酸ガラスの軟化温度を500℃〜700℃に低下させる。本発明では、この作用を利用し、成分(A)と、成分(B)と、後述の成分(D)とを含む硬質で熱膨張率の小さい皮膜が500℃以上に加熱された際に、その皮膜に流動性を与えることによって、優れた耐熱割れ性を得るものと考える。
珪酸ナトリウム(C)は、水溶性が高い成分であるものの、亜鉛に対するエッチング性がある。このため、本発明の表面処理液がめっき層と接触する際に溶出する亜鉛イオンとゲル化し、難溶性の珪酸金属塩として固定化され、皮膜の密着性を向上させる。さらに、珪酸ナトリウム(C)は、成分(A)、成分(B)、後述する成分(D)を含むバリア性の高い皮膜のネットワーク中に取り込まれる。一方、腐食環境下では、上述のように皮膜中の珪酸ナトリウム(C)が適度に溶出し、亜鉛めっきの表面をアルカリ側へpH操作する。この作用が亜鉛のアノード反応の遅延、抑制にも寄与する。
本発明で用いる珪酸ナトリウム(C)は、SiO2とNa2Oを含み、そのモル比は、SiO2/Na2Oが4〜1のものであれば特に限定されない。例えば、2号珪酸ナトリウム、3号珪酸ナトリウムなどが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。より好ましいモル比は、SiO2/Na2Oが4〜2である。SiO2/Na2Oが4を超える場合、耐熱割れ性に対する効果が十分に得られない。SiO2/Na2Oが1を下回る場合は、耐熱割れ性に対する効果は飽和するが、珪酸ナトリウム(C)の皮膜中への固定化が困難となるため、耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性が劣る。
珪酸ナトリウム(C)の添加量は、耐熱割れ性と諸性能を両立する観点から、成分(A)〜(D)の合計質量(XS)に対する質量比が極めて重要である。そして、珪酸ナトリウム(C)の固形分質量(CS)の、合計質量(XS)に対する質量比(CS/XS)は0.05〜0.50とする必要があり、好ましくは0.1〜0.4、より好ましくは0.15〜0.34である。質量比が0.05未満の場合は、優れた耐熱変色性及び耐熱割れ性が得られない。さらに、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性も低下する。質量比が0.50超えの場合には、耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性、塗料密着性が劣る。さらに、表面処理液中にNaイオンが多く存在することになるため、貯蔵安定性が低下する。
<炭酸ジルコニウム化合物(D)>
本発明の表面処理液には、炭酸ジルコニウム化合物(D)が添加される。成分(A)、(B)、(C)と、炭酸ジルコニウム化合物(D)を併用することにより、バリア性が高く緻密な、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐水しみ性、耐汗性に優れた皮膜が得られる。バリア性が高くなるのは、炭酸ジルコニウム化合物(D)は、シラノール基との縮合点となる水酸基を有するためである。さらに、炭酸ジルコニウム化合物(D)は、乾燥させると耐水しみ性、耐汗性の高い酸化ジルコニウムと水酸化ジルコニウムを生成するため、耐水しみ性、耐汗性の高い皮膜が得られる。炭酸ジルコニウム化合物(D)としては、例えば、炭酸ジルコニウム化合物のナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの塩が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、炭酸ジルコニウムアンモニウムが造膜性、耐水しみ性などの点から好ましい。
炭酸ジルコニウム化合物(D)中のZrO2換算質量(DZ)の、合計質量(XS)に対する質量比(DZ/XS)は0.05〜0.60とする必要があり、好ましくは0.1〜0.47、より好ましくは0.15〜0.33である。質量比が0.05未満の場合には、炭酸ジルコニウム化合物(D)由来の耐水しみ性、バリア性が不足し、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐水しみ性、耐汗性が低下する。一方、質量比が0.60超えの場合には、表面処理液の貯蔵安定性が低下する。
以上で記述した成分(A)〜(D)を含む皮膜は、通常時は硬質でバリア性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性に優れ、500℃を超える加熱時においては、珪酸ナトリウム(C)の軟質化作用によって、耐熱変色性、耐熱割れ性に優れる。
<アニオン性ポリウレタン樹脂(E)>
本発明の表面処理液には、500℃以上に加熱した際の無機成分由来のクラックを抑制するために、ガラス転移点(Tg)が80℃〜130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(E)が添加される。これにより、耐熱変色性、耐熱割れ性、平板部耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗料密着性に優れた皮膜を得ることができる。ポリウレタン樹脂は高分子量であり、かつ、ウレタン結合が高い分子間凝集力を有するため、緻密でバリア性が高く、それ自体でも基材との密着性を有すが、成分(A)〜(D)と併用することで、腐食成分の遮断性をさらに高めることができる。また、ウレタン結合が有する高い凝集性によって、珪酸ナトリウム(C)の適度な溶出も制御することが可能となる。そのため、上記のような優れた性能を有す皮膜を得ることができる。
ウレタン樹脂の性質を左右する基本骨格であるポリオールの種類としては、ポリエーテル系ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールが挙げられる。ポリエステル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオールは極性基を有するため、分子間の相互作用によって強靭な皮膜が得られる。ポリカーボネート系ポリオールは高価ではあるが、機械的強度に優れる。ポリエーテル系ポリオールは極性基を有していないため、機械的強度には多少劣るが、耐加水分解性など化学的には安定である。本発明で使用する成分(E)のポリオールについては特に制限はないが、本発明の目的とするアルカリ脱脂後耐食性、耐水しみ性などの観点より、ポリエーテル系ポリオールを使用することが好ましい。
成分(E)の重量平均分子量は、JIS−K7252−4に記載されているゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場合、10,000〜500,000程度であることが好ましく、50,000〜300,000程度であることがより好ましい。重量平均分子量を大きくするとウレタン樹脂のTgや機械物性を高めることができるため、皮膜のバリア性が向上し、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性などをより高めることができる。
アニオン性ポリウレタン樹脂(E)は、ポリエーテルポリオール(特にジオール)とポリイソシアネート(特にジイソシアネート)を原料として、一般的な合成方法により得られるものである。必要に応じて、さらに、ポリアミン(特にジアミン)、ヒドロキシル基を2個以上(特に好ましくは2個)有するカルボン酸、及び、前記カルボン酸の反応性誘導体を、原料として追加してもよい。限定的に解釈されるものではないが、より具体的な合成は、例えば、ポリエーテルジオールとジイソシアネートから両端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを製造し、これにヒドロキシル基を2個有するカルボン酸又はその反応性誘導体を溶媒中で反応させて両端にイソシアナト基を有する誘導体とし、ついでカウンターカチオンとしてトリエタノールアミンなどを加えてから、水に加えてエマルジョンとすることにより、アニオン性ポリウレタン樹脂を得ることができる。この後、必要に応じて、さらにジアミンを加えて鎖延長を行ってもよい。
成分(E)を製造する際に用いるポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式及び芳香族ポリイソシアネートがあり、いずれも使用可能である。具体的には、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。これらの中で、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ポリイソシアネートを用いる場合は、耐溶剤性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性等だけではなく、耐熱変色性に優れた皮膜が得られるので好ましい。
成分(E)を製造する際に用いるポリエーテルポリオール類としては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリスリトール等の前記低分子ポリオールの他、ビスフェノールA、エチレンジアミン等のアミン化合物等へのエチレンオキサイド及び/又はプロピレンオキサイド付加物、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。
成分(E)を製造する際に用いる、ヒドロキシル基を2個以上、好ましくは2個有するカルボン酸もしくはその反応性誘導体は、成分(E)に酸性基を導入するため、および成分(E)を水分散性にするために用いる。上記カルボン酸としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘキサン酸などのジメチロールアルカン酸などが挙げられる。また、反応性誘導体としては、酸無水物などが挙げられる。このように成分(E)を自己水分散性にし、乳化剤を使用しないか極力使用しないようにすることにより、耐水しみ性に優れた皮膜が得られる。
成分(E)を製造する際にポリアミンや水等が用いられる。このポリアミンや水等は、調整したプレポリマーの鎖を伸長するために使用される。用いるポリアミンとしては、例えばヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、テトラメチレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ピペラジン、1,1’−ビシクロヘキサン−4,4’−ジアミン、ジフェニルメタンジアミン、エチルトリレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどが挙げられ、これらを単独で又は数種を組み合わせて使用することができる。
成分(E)の合成時の樹脂の安定性、さらには造膜時の周囲環境が低温乾燥下にある場合の造膜性を高めるために、合成に際して造膜助剤を配合することが好ましい。造膜助剤としては、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、ブチルカルビトール、テキサノールなどが挙げられ、N−メチル−2−ピロリドンが好ましい。
成分(E)のガラス転移点(Tg)は80℃〜130℃とする必要があり、好ましくは85〜125℃であり、より好ましくは90〜120℃である。ガラス転移点は使用するポリオールの分子量などにより調整される。ガラス転移点(Tg)が80℃未満の場合、優れた平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性が得られない。皮膜になった際の成分(E)間や、成分(A)〜(D)との凝集性が不足し、皮膜のバリア性が低下するとともに、珪酸ナトリウム(C)の溶出が過剰となるからである。一方、ガラス転移点(Tg)が130℃超えの場合は、皮膜が過度に硬くなり、優れた耐熱割れ性が得られない。さらに、珪酸ナトリウム(C)の適度な溶出が得られないため、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性が低下する。なお、成分(E)のガラス転移点温度(Tg)は、動的粘弾性測定装置(RSAG2, TA Instrment)を用い、測定試料として、室温24時間乾燥後、80℃6時間乾燥、さらに120℃20分乾燥し作製したフィルムを用い、動的粘弾性を測定し、tanδの極大値から求めることができる。
成分(A)〜(D)の合計質量(XS)の、アニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)に対する質量比(XS/ES)は0.05〜0.38とする必要があり、好ましくは0.09〜0.32、より好ましくは0.14〜0.25である。質量比が0.05未満の場合には、優れたバリア性が得られず平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐溶剤性が低下する。一方、質量比が0.38超えの場合は、皮膜が500℃を超える加熱雰囲気に晒されると成分(A)に結合している有機官能基の熱分解に由来する皮膜割れが顕著となり、優れた耐熱変色性、耐熱割れ性が得られない。さらに、珪酸ナトリウム(C)の皮膜中への固定化が困難となるため、耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性、塗料密着性が劣る。
<バナジウム化合物(F)>
本発明の表面処理液には、バナジウム化合物(F)が添加される。バナジウム化合物(F)は、皮膜中では均一に分散して存在するが、腐食環境下においては適度に溶出し、同じく腐食環境下で溶出する亜鉛イオンと結合し緻密な不働態膜を形成することによって、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性を高める。バナジウム化合物(F)としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、バナジウムアセチルアセトネートが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
バナジウム化合物(F)中のV換算質量(FV)の、成分(A)〜(D)の合計質量(XS)と成分(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(FV/(XS+ES))は0.0010〜0.015とする必要があり、好ましくは0.0016〜0.011であり、より好ましくは0.002〜0.007である。質量比が0.0010未満の場合には、亜鉛イオンとの不働態膜形成効果が不足するため、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性が低下する。一方、質量比が0.015超えの場合には、良好な耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性、塗料密着性が得られない。さらに、500℃を超える加熱時にバナジウムの酸化変色が現れるため、耐熱変色性、耐熱割れ性も低下する。
<モリブデン酸化合物(G)>
本発明の表面処理液には、優れた耐黒変性を得るために、モリブデン酸化合物(G)が添加される。モリブデン酸化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸亜鉛などが挙げられ、本発明では、これらのうちから選んだ1種以上を使用することが好ましい。
亜鉛系めっき層の黒変現象は、亜鉛系めっき層が高温高湿潤雰囲気に晒された際に、酸素欠乏型の酸化亜鉛が生成するためと考えられている。モリブデンは様々な価数を持つ第二遷移金属であり、空気中では酸素と結合してMoO2やMoO3で存在する。本発明では、MoO4 2-等のモリブデン酸塩を使用する。このモリブデン酸塩は、皮膜に均一に添加された後、高温高湿雰囲気下においてMoO3等のモリブデン酸化物に還元されると考えられる。この作用によって、亜鉛めっき層表面の亜鉛には適度に酸素が供給されるため、酸素欠乏型の酸化亜鉛の生成が抑制されると考えられる。一方で、モリブデン酸塩を過度に添加すると、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性の低下を引き起こす。
モリブデン酸化合物(G)中のMo換算質量(GM)の、成分(A)〜(D)の合計質量(XS)と成分(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(GM/(XS+ES))は0.0010〜0.015とする必要があり、好ましくは0.002〜0.012であり、より好ましくは0.004〜0.009である。質量比が0.0010未満の場合には、優れた耐黒変性が得られない。質量比が0.015超えの場合には、良好な平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性が得られない。
<ワックス(H)>
本発明の表面処理液には、潤滑性を向上させるためにワックス(H)が添加されてもよい。ワックス(H)としては、液に相溶するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ラノリン系ワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックスなどが挙げられ、これらの1種以上を好適に使用することができる。また、前記ポリオレフィンワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられ、これら1種以上を使用することができる。
ワックス(H)の固形分質量(HS)の合計質量(XS+ES)に対する質量比(HS/(XS+ES))は0.002〜0.10とすることが好ましく、0.01〜0.08がより好ましい。質量比が0.002以上の場合、十分な潤滑性向上効果が得られる。一方、質量比が0.10以下の場合、潤滑性が高まりすぎてコイル製造時の巻き取り工程におけるコイル潰れを生じるという懸念がない。さらに、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性や塗料密着性が低下する懸念もない。
<pH:8.0〜10.0>
本発明の表面処理液は、上述した成分を脱イオン水、蒸留水等の水中で混合することにより得られる。表面処理液の固形分割合は適宜選択すればよいが10〜20%が好ましい。また、表面処理液のpHは、8.0〜10.0に調製する必要があり、好ましくは8.5〜9.5である。pHが8.0未満の場合には、表面処理液の貯蔵安定性が低下する。一方、pHが10.0超えの場合には、亜鉛系めっき層のエッチングが過多となり、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性が低下する。pHを調整する場合は、アンモニアまたはその塩、及び、前述したキレート剤の何れか1種以上を適宜使用すればよい。
さらに、表面処理液には、必要に応じてアルコール、ケトン、セロソルブ、アミン系の水溶性溶剤、消泡剤、防菌防カビ剤、着色剤、均一塗工のための濡れ性向上剤、樹脂、界面活性剤等の添加剤を添加してもよい。ただし、これら添加剤は本発明で得られる品質を損なわない程度に添加することが重要であり、添加量は多くても表面処理液の全固形分に対して5質量%未満とすることが好ましい。
<表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法>
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、上述の表面処理液を塗布する工程と、その後、塗布された前記表面処理液を乾燥して、付着量が50〜2,000mg/m2の表面処理皮膜を形成する工程と、を有する。以下に、その皮膜の形成条件・方法について詳述する。
加熱乾燥後の表面処理皮膜の付着量は、片面あたり50〜2,000mg/m2であり、好ましくは500〜1,500mg/m2である。付着量が50mg/m2未満ではバリア性が不足するため、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性が得られない。一方、付着量が2,000mg/m2を超えると、皮膜が厚いため、耐熱変色性、耐熱割れ性が劣る。
亜鉛系めっき鋼板に表面処理液を塗布する前に、必要に応じて、亜鉛系めっき鋼板表面の油分や汚れを除去することを目的とした前処理を亜鉛系めっき鋼板に施してもよい。亜鉛系めっき鋼板は、防錆目的で防錆油が塗られている場合が多く、また、防錆油で塗油されていない場合でも、作業中に付着した油分や汚れ等がある。上記の前処理を施すことにより、亜鉛系めっき層の表面が清浄化され、均一に濡れやすくなる。亜鉛系めっき鋼板表面に油分や汚れ等がなく、表面処理液が均一に濡れる場合は、前処理工程は特に必要はない。なお、前処理の方法は特に限定されず、例えば湯洗、有機溶剤洗浄、アルカリ脱脂洗浄等の方法が挙げられる。
表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布する方法としては、処理される亜鉛系めっき鋼板の形状等によって適宜最適な方法を選択すればよく、ロールコート法、バーコート法、浸漬法、スプレー塗布法等が挙げられる。また、塗布後にエアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
表面処理液を塗布後、亜鉛系めっき鋼板の加熱乾燥を行う手段としては、ドライヤーの他、熱風炉、高周波誘導加熱炉、及び赤外線炉などの乾燥炉を用いることができる。
ここで、表面処理液を塗布する際の、亜鉛系めっき鋼板の温度及び表面処理液の温度をそれぞれTS及びTLとし、TS−TLをΔTとしたとき、TSは15〜55℃とし、TLは10〜40℃とし、ΔTは5〜40℃とすることが好ましい。また、塗布された表面処理液の乾燥に関しては、時間t秒の大気中での予備乾燥工程と、その後の乾燥炉での加熱乾燥工程と、の2段階の乾燥とし、その際、ΔT/tを1〜60℃/sとすることが好ましい。
Lは室温近辺、すなわち10〜40℃がよい。TLが10℃未満の場合、表面処理液の流動性が低下し、40℃超えの場合、表面処理液の貯蔵安定性が低下する。TSは、後述のZrを含む相が所望の体積分率となる2相分離皮膜を得るためのΔTを確保するために、15〜55℃とすることが好ましい。
ここで、本実施形態では、第1に、TS及びTLの温度差ΔTを所定温度以上設けることが重要であり、第2に、その温度差ΔTとの関係で、予備乾燥工程の時間t(秒)を決定することが重要である。これにより、鋼板表面に形成された表面処理液膜中の水分を徐々に気化させることができる。すなわち、鋼板表面に形成された表面処理液膜中において、水分が気化する前にSiがZrと共に水分と縮合反応を開始し、所望の表面処理皮膜を得ることができる。ΔTが5℃未満の場合、表面処理液膜中の水分が気化しないため、後述のZrを含む相が所望の体積分率となる2相分離皮膜を得ることできず、また40℃超えの場合、上記の縮合反応を開始する前に、表面処理液膜中の水分が気化し始めるため、皮膜の骨格となる樹脂成分からなる相(後述のZrを含まない相)を所定量確保できない。そして、ΔT/tが1℃/s未満の場合、上記の縮合反応が過剰となり、後述の体積分率となる2相分離皮膜を得ることできず、また60℃/s超えの場合、上記の縮合反応が不十分となり、皮膜の骨格となる樹脂成分からなる相(後述のZrを含まない相)を所定量確保できない。
その後の加熱乾燥工程については定法のとおりとすることができ、特に限定されないが、最高到達板温(Peak Metal Temperature:PMT)は60〜200℃が好ましく、80〜180℃がより好ましい。PMTが200℃以下であれば、皮膜のクラックや皮膜成分の熱分解は生じ難く、本発明が求める諸性能は低下しない。一方、PMTが60℃以上であれば、表面処理皮膜の成分間の結合が十分に得られ、本発明が求める諸性能が低下しない。加熱時間は、使用される亜鉛系めっき鋼板の組成、製造ラインの工程および構成等によって適宜最適な条件が選択され、生産性等の観点からは、0.1〜60秒が好ましく、1〜30秒が特に好ましい。
<表面処理皮膜の形態>
かようにして亜鉛系めっき鋼板表面に成膜された表面処理皮膜は、加熱乾燥時に、Zrと共にSiが縮合反応を起こすことにより、Zrを含む相とZrを含まない相に分離する。ここで、「Zrを含まない相」とは、構成元素全体に対するZrの含有量が3質量%未満の相をいう。
Zrを含む相は、主としてSi、Zr、Vの酸化物等の無機系物質から構成される相である。Zrを含まない相は、表面処理皮膜を形成する基本骨格をなし、C、Oを主体とし、さらにSiを含む樹脂成分からなる相である。Zrを含む相にはSiが濃縮されるため、Zrを含む相のSi濃度は、Zrを含まない相のSi濃度より高い。
表面処理皮膜中のSiは、Si同士の結合性、Zrを含む相とZrを含まない相との結合性、および皮膜とめっき層表面との結合性を増強し、耐食性を向上させることができる。
表面処理皮膜中のZrは、Zrを含む無機系物質から構成される相を形成させる上で重要な元素である。Zrを含む相を表面処理皮膜中に分布させることにより、Zrを含む相とZrを含まない相との結合性を増強し、バリア性が高く緻密な皮膜とすることができる。この効果を得るためには、表面処理皮膜全体に対して、Zrを含む相の体積分率が5〜40%であることが好ましく、5〜30%がより好ましい。Zrを含む相の体積分率が5%未満では、Vの溶出が不十分となるため、さらなる耐食性の向上が認められない。Zrを含む相の体積分率が40%超では、有機成分による皮膜のバリア性が下がるため、さらなる耐食性の向上が認められない。
なお、Zrを含む相におけるZrとSiの濃度の割合は、Zr/(Si+Zr)(質量比として)としたとき、0.20以上0.60以下とするのが好適である。
表面処理皮膜中のVは、Zrを含む相に共存させることにより、腐食環境下で適度に溶出し、めっき表面から溶出する亜鉛イオンと結合して緻密な不動態膜を形成するため耐食性を向上させることができる。この効果を得るために、Zrを含む相におけるVの含有量は、V/(Si+Zr)(質量比として)としたとき、0.003〜0.1が好適である。
Zrを含む相の体積分率は、皮膜の表面または断面を電子顕微鏡で観察することにより評価できる。皮膜表面の観察には、走査電子顕微鏡(SEM)を用いることができる。近年のSEMでは、メーカーや機種によりさまざまなタイプの二次電子検出器や反射電子検出器があり、観察条件により異なる情報が得られることが報告されている。従って、皮膜表面の観察には、都度使用される装置に応じて適切な観察条件を用いればよい。ただし、加速電圧については、大きく異なる場合には、情報深さが変わり評価が異なる可能性があるため、0.5kVから3kVの範囲で評価することが好ましい。皮膜断面の観察には、集束イオンビーム(FIB)で加工した皮膜の断面をSEMで観察するか、もしくはFIBで薄片状にまで加工した試料を、透過電子顕微鏡(TEM)または走査透過電子顕微鏡(STEM)で観察する方法が適している。Zrを含む相と、Zrを含まない相は、電子顕微鏡像においてコントラスト差より、明瞭に判別できる。特に、皮膜表面からSEM観察により評価する場合、0.5kVから3kV程度の低い加速電圧で、一般的な二次電子検出器であるEverhart−Thornley型検出器を用いた二次電子像観察を行うと、無機系物質から構成される相(Zrを含む相)が明るく、樹脂成分からなる相(Zrを含まない相)が暗く観察される。
従って、コントラスト差が明瞭に表れる観察条件を設定し、観察された電子顕微鏡像を二値化して、Zrを含む相の面積率を算出し、体積分率とみなすことができる。二値化の手法は様々あり、閾値の選び方によって得られる数値が変わり得るため、元の画像から判別される明部と暗部の区別から大きく逸脱しない様に閾値を決定することが肝要である。例えば、加速電圧1〜2kVでEverhart−Thornley型検出器を用いて二次電子像を取得した場合、得られた画像に対して、最大エントロピー法により画像を2値化する方法が有効である。このとき、観察倍率としては、1〜3万倍程度が好ましい。またこのとき、観察場所によりばらつきがあることが考えられるため、ひとつの試料につき、少なくとも5視野以上の画像を取得し、その平均を評価値とすることが好ましい。また、観察像については、ノイズを除去するため平滑化処理を施すことで、より正しい評価を行うことができる。ただし、平滑化処理は強過ぎると像の解像度が劣化し、評価値にも影響を与えるため、最大でもオペレータサイズを10nm相当程度までとすることが好ましい。また、上記顕微鏡観察において、判別される領域それぞれが、Zrを含む相か含まない相のどちらかを判別するためには、上記TEMまたはSTEMによる断面観察において、エネルギー分散分光法(EDS)による元素分析が利用できる。それぞれの相における元素分析により、それぞれの相においてZrを含むか含まないかを判断することができる。
以下、実施例および比較例により本発明の効果を説明するが、本実施例はあくまで本発明を説明する一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。
[実施例1]
(1)供試板
以下に示す各種亜鉛系めっき鋼板を供試板として使用した。なお、亜鉛系めっき層は鋼板の両面に形成され、表1中の付着量は片面当たりの亜鉛系めっき層の付着量を意味する。また、以下の方法で求めたZn−Al−Mg系三元共晶の表面面積率も表1に示す。めっき層の表面の無作為な部位を観察倍率100倍でSEM観察する。次いで、同視野でEDSによりMgのマッピングを行う。その分析結果を画像解析して、白黒の2階調化する。この2階調化した画像よりZn−Al−Mg系三元共晶の面積割合を計算する。同様の評価を任意の8視野で実施し、最後に全視野の面積割合を算術平均し、得られた平均値をZn−Al−Mg系三元共晶の表面面積率とする。
Figure 2018062710
(2)前処理(洗浄)
上述の供試板の表面を、日本パーカライジング(株)製パルクリーンN364Sを用いて処理し、表面の油分や汚れを取り除いた。次に、水道水で水洗して供試板の表面が水で100%濡れることを確認した後、さらに純水(脱イオン水)を流しかけ、100℃雰囲気のオーブンで水分を乾燥した。
(3)表面処理液の調製
表2−1,2−3に示す(A)〜(H)の各成分を、表2−1,2−3に示す質量比にて水中で混合し、固形分が15質量%の表面処理液を得た。
以下に、表2−1,2−3で使用された化合物について説明する。
<グリシジル基を有すシランカップリング剤(A)>
A1:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
A2:3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
<テトラアルコキシシラン(B)>
B1:テトラメトキシシラン
B2:テトラエトキシシラン
<珪酸ナトリウム(C)>
C1:3号珪酸ナトリウム(固形分:38.5質量%)
C2:2号珪酸ナトリウム(固形分:40.6質量%)
C3:コロイダルシリカ 日産化学(株)製 スノーテックスXS(固形分:20.0質量%)(比較例)
<炭酸ジルコニウム化合物(D)>
D1:炭酸ジルコニウムカリウム(ZrO2:20.0質量%)
D2:炭酸ジルコニウムアンモニウム(ZrO2:20.0質量%)
<アニオン性ポリウレタン樹脂(E)>
製造方法1(アニオン性ポリウレタン樹脂E1)
ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール5質量部、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸20質量部、および、N−メチル−2−ピロリドン120質量部を反応器内に加えて、不揮発分に対する遊離のイソシアナト基含有量が5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、テトラメチレンジアミン16質量部及びトリエチルアミン10質量部を脱イオン水500質量部に加えてホモミキサーで攪拌しながら、上記ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散した。最後に、脱イオン水を加えて固形分25質量%の水分散性ポリウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(E1)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、40℃であった。
製造方法2(アニオン性ポリウレタン樹脂E2)
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールから得られた数平均分子量1900のポリエーテルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(E2)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、85℃であった。
製造方法3(アニオン性ポリウレタン樹脂E3)
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールから得られた数平均分子量1400のポリエーテルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(E3)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、115℃であった。
製造方法4(アニオン性ポリウレタン樹脂E4)
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸から得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(E4)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、140℃であった。
<バナジウム化合物(F)>
F1:メタバナジン酸アンモニウム(V:43.5質量%)
F2:メタバナジルアセチルアセトネート(V:19.2質量%)
<モリブデン酸化合物(G)>
G1:モリブデン酸アンモニウム(Mo:54.4質量%)
G2:モリブデン酸ナトリウム(Mo:43.8質量%)
<ワックス(H)>
H1:ポリエチレンワックス(固形分:40.0質量%、三井化学株式会社製、ケミパール(登録商標)W900)
H2:マイクロクリスタリンワックス(固形分:46.0質量%、サンノプコ株式会社製 ノプコ(登録商標)1245−M−SN)
(4)処理方法
表2−2,2−4の「鋼板」欄に示した前処理後の各種供試板に、表2−1,2−3の各種表面処理液をバーコーターで塗布し、その後、水洗することなく、そのままオーブンに入れて、表2−2,2−4の「PMT」欄に示す最高到達板温(PMT:Peak Metal Temperature)で乾燥させ、表2−2,2−4に示す付着量(片面あたり)を有する表面処理皮膜を片面に形成した。なお、付着量は、配合した炭酸ジルコニウム化合物(D)のZrを蛍光X線分析装置により定量し、Zr付着量から皮膜付着量へ換算して求めた。
(5)評価試験の方法
得られた表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板(以下、単に「サンプル」という。)に対して、以下の(5−1)〜(5−11)の評価を行った結果を、表2−2,2−4に併せて示す。
(5−1)耐熱変色性
各サンプルを赤外線イメージ炉にて30秒で板温:500℃に加熱し、5分間保持した後、室温まで自然放冷した時の表面外観を目視観察した。その評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :変色なし
○ :極僅かに褐色味あり
○−:僅かに褐色味あり
△ :褐色に変色
× :茶褐色に変色
(5−2)耐熱割れ性
各サンプルを赤外線イメージ炉にて30秒で板温:500℃に加熱し、5分間保持した後、室温まで自然放冷した時の表面外観を目視観察した。その評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :クラックなし
○ :極僅かにクラックあり
○−:僅かにクラックあり
△ :全面に幅の細いクラックあり
× :全面に幅の細いクラックに加え、広いクラックあり
(5−3)平板部耐食性
各サンプルに対して、平板の状態で、JIS−Z−2371−2000に準拠する塩水噴霧試験(SST)を実施した。240時間後の白錆発生面積率で平板部耐食性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上10%未満
○−:白錆面積率10%以上25%未満
△ :白錆面積率25%以上50%未満
× :白錆面積率50%以上100%以下
(5−4)アルカリ脱脂後の耐食性
アルカリ脱脂剤FC-E6406(日本パーカライジング(株)製)を20g/Lの濃度で純水に溶解し、60℃に加温した。このアルカリ溶液に各サンプルを2分間浸漬し、取り出して水洗して乾燥した。各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS−Z−2371−2000)を行い、120時間経過後の白錆発生面積率で評価した。評価基準は上記(5−3)に示したとおりである。
(5−5)耐黒変性
各サンプルを温度:80℃、相対湿度:98%の雰囲気に制御された恒温恒湿機に24時間静置した際の明度(L値)の変化(ΔL=試験後のL値−試験前のL値)で算出した。評価基準は以下のとおりである。L値は、日本電色工業(株)製のSR2000を使用し、SCIモード(正反射光込み)で測定した。
(評価基準)
◎ :−6<△L、かつ、ムラが無い均一な外観
○ :−10<△L≦−6、かつ、ムラが無い均一な外観
○−:−14<△L≦−10、かつ、ムラが無い均一な外観
△ :−14<△L≦−10、かつ、微細な黒点あり
× :△L≦−14、または、外観ムラあり
(5−6)耐水しみ性
各サンプルについて、平板の状態で、サンプル表面に脱イオン水を100μL滴下し、炉内温度100℃の熱風オーブンに10分間投入し、オーブンから取り出した後の水滴滴下跡を目視観察して、耐水しみ性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :水滴境界が見る角度によらず確認されない。
○ :水滴境界が見る角度によって若干確認される。
○−:水滴境界が見る角度によらず若干確認される。
△ :水滴境界が見る角度によらずはっきり確認される。
× :水滴境界が滴下範囲を超えてはっきり確認される。
(5−7)耐溶剤性
各サンプルの表面にエタノールを染み込ませたガーゼを4.90N(500gf)の荷重をかけて押し付け、その荷重のまま10回往復するように擦った。その擦った痕を目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :痕跡なし
○ :上から見ると痕跡が見ないが、斜めから見ると明らかに見える。
○−:上から見て僅かに痕跡が見える。
△ :上から見て痕跡が明らかに見える。
× :皮膜が剥離している。
(5−8)耐汗性
各サンプルの表面に、JIS−B7001-1995に準ずる人工汗を10μL滴下し、シリコン製のゴム栓を滴下部に押し付けて、一定面積の人工汗で汚染された部位を作製した。この試験片を温度:40℃、相対湿度:80%の雰囲気に制御された恒温恒湿機に4時間静置した後に、汚染部位の外観変化を評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
◎ :変色なし
○ :極僅かに変色あり
○−:僅かに変色あり
△ :やや黒変
× :明らかに黒変
(5−9)塗装密着性
メラミンアルキッド系塗料であるデリコン(登録商標)#700(大日本塗料(株)製)を各サンプルに塗装し、130℃で30分間焼付け、膜厚:30μmの塗膜を形成した。その後、沸騰水に2時間浸漬し、直ちに、碁盤目(10×10個、1mm間隔)の鋼素地まで達するカットを入れた。さらにエリクセン押し出し機にてカット部が外(表)側となる様に5mm押し出し加工を施し、接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積を測定した。評価の基準は以下のとおりである。なお、エリクセン押し出し条件は、JISZ−2247-2006に準拠し、ポンチ径:20mm、ダイス径:27mm、絞り幅:27mmとした。
(評価基準)
◎ :剥離なし
○ :剥離面積3%未満
○−:剥離面積3%以上、10%未満
△ :剥離面積10%以上、30%未満
× :剥離面積30%以上
(5−10)潤滑性
各サンプルより直径:100mmの円板状の試験片を切り出し、ポンチ径:50mm、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ力:1トンの条件でカップ状に成型した。成型品の絞り加工を受けた面(カップの側面外側)の外観を目視によって調べ、傷つき程度および黒化程度を評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
◎ :全面に渡って殆ど変化なく、外観が均一
○ :傷つきおよび黒化が少し発生し、外観が明らかに不均一
○−:局部的に傷つきおよび黒化が発生し、外観が明らかに不均一
△ :コーナー部を中心に傷つきおよび黒化が激しく発生
× :成型できずに割れた
(5−11)貯蔵安定性
表2に示した各表面処理液を40℃の恒温槽に30日間保管した。取り出して、各表面処理液の外観を目視によって調べ、評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
◎ :変化なし
○ :極微量の沈殿が見られる
○−:微量の沈殿がみられる
△ :微量の沈殿が見られ、やや粘度が高くなった
× :多量の沈殿が見られる、もしくはゲル化した
Figure 2018062710
Figure 2018062710
Figure 2018062710
Figure 2018062710
表2−1〜2−4に示すように、本発明例は、耐熱変色性、耐熱割れ性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐溶剤性、耐汗性、塗装密着性のいずれにも優れる。これに対し、いずれかの要件が本発明の適正範囲を逸脱した比較例は、上記いずれかの特性を十分に得ることができない。また、比較例25では、表面処理液のpHが低いため、表面処理液を調製できずに、供試板の評価ができなかった。
図1は、表2−1〜2−4のうち、発明例No.1〜49及び比較例No.16,17,18,20を抜き出して、横軸を質量比(CS/XS)とし、縦軸を、耐熱変色性、耐熱割れ性、耐黒変性、及び耐水しみ性の評価としたものである。この図1からも明らかなように、本発明において特に着目した、より厳しい条件で評価した耐熱変色性及び耐熱割れ性は、質量比(CS/XS)と相関があり、質量比(CS/XS)が0.05以上である場合に、顕著に向上することがわかった。
[実施例2]
上述の実施例1と同様の(1)供試板、(2)前処理(洗浄)、(3)表面処理液の調製をした。
(4)処理方法
表3の「鋼板」欄に示した前処理後の供試板に、表2のNo.34の表面処理液をバーコーターで塗布し、その後、水洗することなく、そのままオーブンに入れて、付着量(片面あたり)600mg/m2を有する表面処理皮膜を片面に形成した。このとき、表面処理液を塗布する際の、供試板の温度及び表面処理液の温度をそれぞれTS及びTLとし、TS−TLをΔTとして、表3に示した。また、塗布された表面処理液の乾燥に関しては、供試板をオーブンに入れるまでの予備乾燥の時間t(秒)と、その後のオーブンでの加熱乾燥における最高到達板温PMTを、表3に示した。なお、付着量は、配合した炭酸ジルコニウム化合物(D)のZrを蛍光X線分析装置により定量し、Zr付着量から皮膜付着量へ換算して求めた。
(5)評価試験の方法
得られた表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板(以下、単に「サンプル」という。)に対して、上述の実施例1と同様の(5−1)〜(5−11)の評価に加え、(5−12)、(5−13)を行った結果を、表3に示す。評価基準△及び×は性能不足のため好ましくない。
(5−12)高度な平板部耐食性
各サンプルに対して、平板の状態で、JIS−Z−2371−2000に準拠する塩水噴霧試験(SST)を実施した。480時間後の白錆発生面積率で平板部耐食性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上10%未満
○−:白錆面積率10%以上25%未満
△ :白錆面積率25%以上50%未満
× :白錆面積率50%以上100%以下
(5−13)皮膜相分析
各サンプルの表面処理皮膜表面のSEM観察を実施した。加速電圧を1kVとし、Everhart−Thornley型検出器を用い、二次電子像を観察した。観察倍率は2万倍(観察領域として約6μm×4μm)とし、1024×700ピクセル、グレースケール256階調のデジタル画像として取得した。観察像は、Zrを含む無機系物質から構成される相が明るく、Zrを含まない樹脂成分からなる相が暗く観察されることから、以下の手順で、Zrを含む相の存在割合として、明るく観察された領域の面積率を求め、体積分率をみなした。
(A):取得されたSEM画像に対し、ノイズを除去するためオペレータサイズ1ピクセルのガウシアンフィルターで平滑化処理を施す。
(B):(A)の画像より、最大エントロピー法による画像の2値化を行う。
(C):2値化された画像の明るい領域の割合を求める。
Figure 2018062710
表3に示すように、本発明例の中でも、塗布の際の温度条件と加熱乾燥前の予備乾燥条件を所定範囲に制御して、Zrを含む相の体積分率を5〜40%の範囲とした発明例では、高度な平板部耐食性にも優れていた。
本発明の表面処理液を用いて製造された表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板は、アーク溶接に供する部材に使用する場合に好適であることはもちろん、家電製品用鋼板、建材用鋼板、自動車用鋼板など種々の用途に用いることができる。

Claims (7)

  1. グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、珪酸ナトリウム(C)、炭酸ジルコニウム化合物(D)、ガラス転移点(Tg)が80℃〜130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(E)、バナジウム化合物(F)、モリブデン酸化合物(G)、及び水が添加され、pHが8.0〜10.0で、かつ、各成分の添加量が以下の(1)〜(6)を満足することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
    (1)グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)の固形分質量(As)、テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)、珪酸ナトリウム(C)の固形分質量(CS)、及び炭酸ジルコニウム化合物(D)中のZrO2換算質量(DZ)の合計質量(XS)の、アニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)に対する質量比(XS/ES)が0.05〜0.38
    (2)テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(BS/XS)が0.010〜0.30
    (3)珪酸ナトリウム(C)の固形分質量(CS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(CS/XS)が0.05〜0.50
    (4)炭酸ジルコニウム化合物(D)中のZrO2換算質量(DZ)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(DZ/XS)が0.05〜0.60
    (5)バナジウム化合物(F)中のV換算質量(FV)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(FV/(XS+ES))が0.0010〜0.015
    (6)モリブデン酸化合物(G)中のMo換算質量(GM)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(GM/(XS+ES))が0.0010〜0.015
  2. さらにワックス(H)が添加され、その添加量が以下の(7)を満足する、請求項1に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
    (7)ワックス(H)の固形分質量(HS)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(E)の固形分質量(ES)との合計質量(XS+ES)に対する質量比(HS/(XS+ES))が0.002〜0.10
  3. 亜鉛系めっき鋼板の表面に、請求項1又は2に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を塗布する第1工程と、
    その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を乾燥して、付着量が50〜2,000mg/m2の表面処理皮膜を形成する第2工程と、
    を有することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  4. 前記第1工程時の前記亜鉛系めっき鋼板の温度及び前記表面処理液の温度をそれぞれTS及びTLとし、TS−TLをΔTとしたとき、TSが15〜55℃であり、TLが10〜40℃であり、ΔTが5〜40℃であり、
    前記第2工程は、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を大気中で乾燥する、時間t秒の予備乾燥工程と、その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を乾燥炉で加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含み、ΔT/tが1〜60℃/sである、請求項3に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
  5. 亜鉛系めっき鋼板と、
    該亜鉛系めっき鋼板の表面に、請求項1又は2に記載の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を塗布し、乾燥して得た、付着量が50〜2,000mg/m2の表面処理皮膜と、
    を有することを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
  6. 前記表面処理皮膜が、Zrを含む相と含まない相から構成され、前記Zrを含む相の体積分率が5〜40%である、請求項5に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
  7. 前記亜鉛系めっき鋼板が、基板である鋼板の少なくとも一方の表面に、質量%で、Al:3.0〜6.0%、Mg:0.2〜1.0%、Ni:0.01〜0.10%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる溶融Zn−Al系合金めっき層を有する溶融Zn−Al系合金めっき鋼板である、請求項5又は6に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
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