JP7316020B2 - 表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法、及び表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板 - Google Patents
表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法、及び表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板 Download PDFInfo
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Description
[1]グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、炭酸ジルコニウム化合物(C)、ガラス転移点(Tg)が80~130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(D)、バナジウム化合物(E)、モリブデン酸化合物(F)、架橋剤(G)、及び水を含有し、pHが8.0~10.0で、かつ、各成分の含有量が以下の(1)~(7)を満足することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板用表面処理液。
(1)グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)の固形分質量(AS)、テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)、及び炭酸ジルコニウム化合物(C)中のZrO2換算質量(CZ)の合計質量(XS)の、アニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)に対する質量比(XS/DS)が0.05~0.35
(2)グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)の固形分質量(AS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(AS/XS)が0.20~0.40
(3)テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(BS/XS)が0.010~0.30
(4)炭酸ジルコニウム化合物(C)中のZrO2換算質量(CZ)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(CZ/XS)が0.45~0.70
(5)バナジウム化合物(E)中のV換算質量(EV)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(EV/(XS+DS))が0.0010~0.015
(6)モリブデン酸化合物(F)中のMo換算質量(FM)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(FM/(XS+DS))が0.0010~0.015
(7)架橋剤(G)の固形分質量(GS)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(GS/(XS+DS))が0.010~0.085
(8)珪酸ナトリウム(H)の固形分質量(HS)の、前記合計質量(XS)と珪酸ナトリウム(H)の固形分質量(HS)との合計質量(XS+HS)に対する質量比(HS/(XS+HS))が0.050未満(0.000を含む)
(9)ワックス(I)の固形分質量(IS)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(IS/(XS+DS))が0.002~0.10
その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を大気中で乾燥する第2工程と、
その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を加熱炉で加熱乾燥して、付着量が50~2,000mg/m2の表面処理皮膜を形成する第3工程と、
を有し、
前記第3工程の加熱開始時における前記亜鉛系めっき鋼板の温度をX、前記第3工程における前記亜鉛系めっき鋼板の最高到達温度をYとしたとき、Yが60~150℃であり、前記第3工程における加熱時間をz秒としたとき、(Y-X)/zが1~100℃/sであることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
前記表面処理皮膜のFT-IRによる反射スペクトルにおいて、1733cm-1の吸光度(I1733)の1712cm-1の吸光度(I1712)に対する比(I1733/I1712)が0.88以上1.10以下であり、
前記表面処理皮膜はZr含有相とZr非含有相から構成され、前記Zr含有相の体積分率が5~40%である
ことを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
本発明で使用する亜鉛系めっき鋼板は、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、亜鉛-アルミニウム合金めっき鋼板、亜鉛-鉄合金めっき鋼板、亜鉛-マグネシウムめっき鋼板、亜鉛-アルミニウム-マグネシウム合金めっき鋼板等を用いることができる。
本発明の亜鉛系めっき鋼板用表面処理液(以下、単に「表面処理液」という。)は、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、炭酸ジルコニウム化合物(C)、ガラス転移点(Tg)が80~130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(D)、バナジウム化合物(E)、モリブデン酸化合物(F)、架橋剤(G)、及び水を含有し、さらに必要に応じて、珪酸ナトリウム(H)、ワックス(I)を含有してもよい。
本発明の表面処理液は、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)を含有する。該シランカップリング剤(A)は、グリシジル基、および加水分解性基として炭素数が1~5、好ましくは1~3である低級アルコキシ基がSi元素に直接結合したものであれば、特に限定されず、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランなどが挙げられ、なかでも、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)同士の縮合点や、後述するテトラアルコキシシラン(B)、炭酸ジルコニウム化合物(C)との縮合点をより多く生成しやすく、それによって成膜後に高いバリア性が得られるという観点から、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
成分(A)を単独で使用すると耐熱割れ性に劣るため、本発明の表面処理液は、テトラアルコキシシラン(B)を含有する。成分(B)がない場合、500℃以上の加熱雰囲気では、成分(A)の有機官能基が熱酸化分解するため、大きなクラック発生の要因となる。それに対し、成分(B)を適量添加すると、成分(A)の添加量を耐熱割れ性が許容される程度に抑えつつ、緻密でバリア性の高い皮膜が得られる。成分(A)と成分(B)から得られる皮膜は緻密であるため、加熱時のクラックも微細化することができ、目視で確認されるようなクラックは生じず、優れた耐熱割れ性が得られる。
本発明の表面処理液は、炭酸ジルコニウム化合物(C)を含有する。成分(A)、(B)と、炭酸ジルコニウム化合物(C)を併用することにより、バリア性が高く緻密な、耐熱割れ性、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、曲げ加工部耐食性、耐水しみ性、耐汗性、耐黒変性、スタック耐黒変性に優れた皮膜が得られる。バリア性が高くなるのは、炭酸ジルコニウム化合物(C)は、シラノール基との縮合点となる水酸基を有するためである。さらに、炭酸ジルコニウム化合物(C)は、乾燥させると酸化ジルコニウムと水酸化ジルコニウムを生成するため、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、曲げ加工部耐食性、耐水しみ性、耐汗性、耐黒変性、スタック耐黒変性の高い皮膜が得られる。また、耐熱割れ性が高くなるのは、500℃以上の加熱雰囲気に晒されても、酸化ジルコニウムの体積収縮率が低いこと、さらに、めっき層の熱膨張より酸化ジルコニウム皮膜に目視では確認されないマイクロクラックを生じ、このマイクロクラックが応力を分散させることにより目視で確認されるようなクラックは生じず、優れた耐熱割れ性を得るものと考えられる。炭酸ジルコニウム化合物(C)としては、例えば、炭酸ジルコニウム化合物のナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウムなどの塩が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なかでも、炭酸ジルコニウムアンモニウムが造膜性、耐水しみ性などの点から好ましい。
本発明の表面処理液は、無機成分由来のクラックを抑制するために、ガラス転移点(Tg)が80~130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(D)を含有する。これにより、耐熱変色性、耐熱割れ性、耐黒変性、スタック耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性に優れた皮膜を得ることができる。ポリウレタン樹脂は高分子量であり、かつ、ウレタン結合が高い分子間凝集力を有するため、緻密でバリア性が高く、それ自体でも基材との密着性を有すが、成分(A)~(C)と併用することで、さらにバリア性を高めることができる。そのため、上記のような優れた性能を有する皮膜を得ることができる。
本発明の表面処理液は、バナジウム化合物(E)を含有する。バナジウム化合物(E)は、皮膜中では均一に分散して存在するが、腐食環境下においては適度に溶出し、同じく腐食環境下で溶出する亜鉛イオンと結合し緻密な不働態膜を形成することによって、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、及び曲げ加工部耐食性を高める。バナジウム化合物(E)としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム、メタバナジン酸ナトリウム、バナジウムアセチルアセトネートが挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。
本発明の表面処理液は、優れた耐黒変性及びスタック耐黒変性を得るために、モリブデン酸化合物(F)を含有する。モリブデン酸化合物としては、モリブデン酸、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸マグネシウム、モリブデン酸亜鉛などが挙げられ、本発明では、これらのうちから選んだ1種以上を使用することが好ましい。
本発明の表面処理液は、優れた曲げ加工部耐食性を得るために、カルボキシル基に反応する架橋剤(G)を含有する。皮膜中にはアニオン性ポリウレタン樹脂が持つカルボキシル基があり、架橋剤(G)はそれと架橋反応することで、皮膜の有機成分が改質される。すなわち、バリア性と可撓性が高い皮膜が形成され、曲げ加工を行っても表面処理皮膜のクラックが抑制されることによって、曲げ加工部の耐食性が向上する。架橋剤(G)としては、1分子中にカルボキシル基と反応できる官能基を2個以上有する化合物が好ましい。カルボキシル基と反応できる官能基としては、例えば、エポキシ基、カルボジイミド基、オキサゾリン基が挙げられる。架橋剤(G)としては、例えば、エポキシ樹脂、カルボジイミド樹脂、オキサゾリン基含有ポリマーが挙げられ、これらのうちから選んだ1種以上を使用することが好ましい。
本発明の表面処理液は、優れた耐熱割れ性を向上させるため、一部の炭酸ジルコニウム(C)に代えて珪酸ナトリウム(H)を含有してもよい。珪酸ナトリウム(H)の含有量を増やすことで、炭酸ジルコニウム(C)を減らすことができる。珪酸ナトリウム(H)に含まれるナトリウムは、熱によってSiO4連結網から分断されたSiO4四面体の酸素原子へ結合する。そのため、SiO4連結網の再結合が防止される。この作用によって、成分(H)は珪酸ガラスに流動性を与え、1,700℃以上にある珪酸ガラスの軟化温度を500℃~700℃に低下させる。本発明では、この作用を利用し、成分(A)~(C)を含む硬質で熱膨張率の小さい皮膜が500℃以上に加熱された際に、その皮膜に流動性を与えることによって、優れた耐熱割れ性を得るものと考える。
本発明の表面処理液は、潤滑性を向上させるためにワックス(I)を含有してもよい。ワックス(I)としては、液に相溶するものであれば特に制限はなく、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンワックス、モンタンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナバワックス、ラノリン系ワックス、シリコン系ワックス、フッ素系ワックスなどが挙げられ、これらの1種以上を好適に使用することができる。また、前記ポリオレフィンワックスとしては、例えばポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどが挙げられ、これら1種以上を使用することができる。
本発明の表面処理液は、上述した成分を脱イオン水、蒸留水等の水中で混合することにより得られる。表面処理液の固形分割合は適宜選択すればよいが10~20質量%が好ましい。また、表面処理液のpHは、8.0~10.0に調製する必要があり、好ましくは8.5~9.5である。pHが8.0未満または10.0超えの場合には、表面処理液の貯蔵安定性が低下する。さらに、pHが10.0超えの場合には、亜鉛系めっき層のエッチングが過多となり、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、及び曲げ加工部耐食性が低下する。pHを調整する場合は、アンモニアまたはその塩、及び、前述したキレート剤の何れか1種以上を適宜使用すればよい。
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法は、亜鉛系めっき鋼板の表面に、上記の表面処理液を塗布する第1工程と、その後、塗布された前記表面処理液を大気中で乾燥する第2工程と、その後、塗布された前記表面処理液を加熱炉で加熱乾燥して、付着量が50~2,000mg/m2の表面処理皮膜を形成する第3工程と、を有する。以下に、その皮膜の形成条件・方法について詳述する。
加熱乾燥後の表面処理皮膜の付着量は、片面あたり50~2,000mg/m2であり、好ましくは500~1,500mg/m2である。付着量が50mg/m2未満ではバリア性が不足するため、平板部耐食性、アルカリ脱脂後耐食性、曲げ加工部耐食性、耐黒変性、耐水しみ性、耐汗性が得られない。一方、付着量が2,000mg/m2を超えると、皮膜が厚いため、耐熱変色性、耐熱割れ性が劣る。
亜鉛系めっき鋼板に表面処理液を塗布する前に、必要に応じて、亜鉛系めっき鋼板表面の油分や汚れを除去することを目的とした前処理を亜鉛系めっき鋼板に施してもよい。亜鉛系めっき鋼板は、防錆目的で防錆油が塗られている場合が多く、また、防錆油で塗油されていない場合でも、作業中に付着した油分や汚れ等がある。上記の前処理を施すことにより、亜鉛系めっき層の表面が清浄化され、均一に濡れやすくなる。亜鉛系めっき鋼板表面に油分や汚れ等がなく、表面処理液が均一に濡れる場合は、前処理工程は特に必要はない。なお、前処理の方法は特に限定されず、例えば湯洗、有機溶剤洗浄、アルカリ脱脂洗浄等の方法が挙げられる。
表面処理液を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布する方法としては、処理される亜鉛系めっき鋼板の形状等によって適宜最適な方法を選択すればよく、ロールコート法、バーコート法、浸漬法、スプレー塗布法等が挙げられる。また、塗布後にエアーナイフ法やロール絞り法により塗布量の調整、外観の均一化、膜厚の均一化を行うことも可能である。
温度差ΔTとの関係で、予備乾燥工程の時間t(秒)を決定することが好ましい。具体的には、ΔT/tを1~60℃/sとすることが好ましい。これにより、鋼板表面に形成された表面処理液膜中の水分を徐々に気化させることができる。すなわち、鋼板表面に形成された表面処理液膜中において、水分が気化する前にSiがZrと共に水分と縮合反応を開始し、所望の表面処理皮膜を得ることができる。ΔT/tが1℃/s以上であれば、上記の縮合反応が過剰となることがなく、後述の体積分率となる2相分離皮膜を得ることができ、また60℃/s以下であれば、上記の縮合反応が不十分となることがなく、皮膜の骨格となる樹脂成分からなる相(後述のZr非含有相)を所定量確保できる。
加熱炉としては、熱風炉、高周波誘導加熱炉、及び赤外線炉などを用いることができる。本発明では、第3工程の加熱開始時における亜鉛系めっき鋼板の温度をX、第3工程における亜鉛系めっき鋼板の最高到達温度(Peak Metal Temperature:PMT)をYとしたとき、Yが60~150℃であり、第3工程における加熱時間をz秒としたとき、(Y-X)/zが1~100℃/sであることが重要である。すなわち、PMTを所定の温度域とし、XとYとの温度差ΔWとの関係で、加熱時間z(秒)を決定することが重要である。これにより、皮膜の骨格となる樹脂成分の一部を改質させることができる。すなわち、加熱乾燥工程において、皮膜の骨格となる樹脂成分と架橋剤が反応し、軟質な相が形成される。本発明では、加工時に皮膜中のZrを含む無機成分からなる相を起点とした割れが、Zrを含まない樹脂相に進展するが、該樹脂相中に架橋剤との架橋領域を均一に分散させることによって、その割れ進展を抑制することができる。このため、曲げ加工部耐食性が劣化することを抑制することができる。
本発明の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板は、上記の製造方法で製造された表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板である。
本発明では、表面処理皮膜のフーリエ変換赤外分光法(FT-IR)による反射スペクトルにおいて、1733cm-1の吸光度(I1733)の1712cm-1の吸光度(I1712)に対する比(I1733/I1712)が0.88以上1.10以下である。前記1733cm-1および1712cm-1の吸収が何に由来するかを完全に同定するのは難しいが、それぞれ、エステル結合とカルボキシル基の増減に大きく依存していると考えることができる。本発明で添加した架橋剤(G)により架橋反応が適正に生じると、カルボキシル基が減少し、かわりに架橋反応により生じるエステル結合が増加すると考えられる。このことから、両者の比を測定することで架橋反応が適正に生じているかどうかを判定することができる。
表面処理皮膜中のZrは、Zrを含む無機系物質から構成される相を形成させる上で重要な元素である。前記亜鉛系めっき鋼板表面に成膜された表面処理皮膜は、加熱乾燥時に、Zrと共にSiが縮合反応を起こすことにより、Zr含有相とZr非含有相に分離する。
以下に示す各種亜鉛系めっき鋼板を供試板として使用した。なお、亜鉛系めっき層は鋼板の両面に形成され、表1中の付着量は片面当たりの亜鉛系めっき層の付着量を意味する。また、以下の方法で求めたZn-Al-Mg系三元共晶の表面面積率も表1に示す。めっき層の表面の無作為な部位を観察倍率100倍でSEM観察する。次いで、同視野でEDSによりMgのマッピングを行う。その分析結果を画像解析して、白黒の2階調化する。この2階調化した画像よりZn-Al-Mg系三元共晶の面積割合を計算する。同様の評価を任意の8視野で実施し、最後に全視野の面積割合を算術平均し、得られた平均値をZn-Al-Mg系三元共晶の表面面積率とする。
上述の供試板の表面を、日本パーカライジング(株)製パルクリーンN364Sを用いて処理し、表面の油分や汚れを取り除いた。次に、水道水で水洗して供試板の表面が水で100%濡れることを確認した後、さらに純水(脱イオン水)を流しかけ、100℃雰囲気のオーブンで水分を乾燥した。
表2-1及び表3-1に示す(A)~(I)の各成分を、表2-1及び表3-1に示す質量比にて水中で混合し、固形分が15質量%の表面処理液を得た。
A1:3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
A2:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
B1:テトラメトキシシラン
B2:テトラエトキシシラン
C1:炭酸ジルコニウムカリウム(ZrO2:20.0質量%)
C2:炭酸ジルコニウムアンモニウム(ZrO2:20.0質量%)
製造方法1(アニオン性ポリウレタン樹脂D1)
ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールから得られた数平均分子量1560のポリエーテルポリオール100質量部、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール5質量部、4,4-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート100質量部、2,2-ジメチロールプロピオン酸20質量部、および、N-メチル-2-ピロリドン120質量部を反応器内に加えて、不揮発分に対する遊離のイソシアナト基含有量が5%であるウレタンプレポリマーを得た。次に、テトラメチレンジアミン16質量部及びトリエチルアミン10質量部を脱イオン水500質量部に加えてホモミキサーで攪拌しながら、上記ウレタンプレポリマーを加えて乳化分散した。最後に、脱イオン水を加えて固形分25質量%の水分散性ポリウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(D1)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、85℃であった。
反応器内に2,2-ジメチロールプロピオン酸20質量部に替えて、1,4-ブタンジオール-2-スルホン酸20質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(D2)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、85℃であった。
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、1、6-ヘキサンジオールとアジピン酸から得られた数平均分子量2220のポリエステルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(D3)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、70℃であった。
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレンとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールから得られた数平均分子量1560のポリエーテルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(D4)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、105℃であった。
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、1、6-ヘキサンジオールとアジピン酸から得られた数平均分子量1320のポリエステルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(D5)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、120℃であった。
反応器内にポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとから得られた数平均分子量5000のポリエーテルポリオール100質量部に替えて、1、6-ヘキサンジオールとアジピン酸から得られた数平均分子量1000のポリエステルポリオール100質量部を使用した以外は、製造方法1と同様にして固形分25質量%の水分散性ウレタン樹脂を得た。なお、得られたポリウレタン樹脂(D6)のガラス転移点(Tg)を、動的粘弾性測定装置を用いて測定したところ、140℃であった。
E1:メタバナジン酸アンモニウム(V:43.5質量%)
E2:メタバナジルアセチルアセトネート(V:19.2質量%)
F1:モリブデン酸アンモニウム(Mo:54.4質量%)
F2:モリブデン酸ナトリウム(Mo:43.8質量%)
G1:エポキシ樹脂(固形分:100質量%、ナガセケムテックス株式会社製 デナコール(登録商標)EX-313)
G2:カルボジイミド樹脂(固形分:40質量%、日清紡ケミカル株式会社製 カルボジライト(登録商標)SV-02)
G3:オキサゾリン基含有ポリマー(固形分:40質量%、日本触媒株式会社製 エポクロス(登録商標)K-2020)
H1:3号珪酸ナトリウム(固形分:38.5質量%)
H2:2号珪酸ナトリウム(固形分:40.6質量%)
I1:ポリエチレンワックス(固形分:40.0質量%、三井化学株式会社製、ケミパール(登録商標)W900)
I2:マイクロクリスタリンワックス(固形分:46.0質量%、サンノプコ株式会社製 ノプコ(登録商標)1245-M-SN)
表2-2及び表3-2の「鋼板」欄に示した前処理後の各種供試板に、表2-1及び表3-1の各種表面処理液をバーコーターで塗布し、その後、水洗することなく、そのままオーブンに入れて塗布された表面処理液を加熱乾燥して、表2-2及び表3-2に示す付着量(片面あたり)を有する表面処理皮膜を片面に形成した。なお、付着量は、配合した炭酸ジルコニウム化合物(C)のZrを蛍光X線分析装置により定量し、Zr付着量から皮膜付着量へ換算して求めた。
FT-IRで高感度反射法を用いて、皮膜のスペクトルを測定した。測定の際には、リファレンス試料として、測定する試料と同じ亜鉛系めっき鋼板で、表面処理皮膜を成膜していない試料を用いた。得られたFT-IRスペクトルより、1733cm-1の吸光度(I1733)の1712cm-1の吸光度(I1712)に対する比(I1733/I1712)を算出した。一部の水準における吸光度比を、代表して表3-2に示した。
皮膜断面をSTEM-EDSで解析した。解析に供した試料は、FIBによる薄片加工で作製した。皮膜部分のEDSスペクトラルマップを取得し、そこから皮膜中の各領域での定量計算を実施し、Zr含有相の面積率を求めて体積分率とした。また、前記定量計算に基づいて、Si/(Si+Zr+V+Mo)、V/(Si+Zr+V+Mo)、及びMo/(Si+Zr+V+Mo)の値を算出した。一部の水準におけるZr含有相の面積率を、代表して表3-2に示した。
皮膜表面をSEMで観察した。観察時の加速電圧を0.5kVとし、Everhart-Thornley型検出器を用いて二次電子像を取得した。観察倍率は2万倍(観察領域として約6μm×4μm)とし、1024×700ピクセル、グレースケール256階調のデジタル画像として取得した。観察像のコントラストから、架橋領域を抽出した。Zr非含有相における架橋領域の密度(10μm2当たり)と面積率を測定した。一部の水準における測定値を、代表して表3-2に示した。
製造した各水準の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板から採取したサンプルに対して、以下の(8-1)~(8-12)の評価を行った。また、各水準の表面処理液に対して、以下の(8-13)の評価を行った。これらの結果を、表2-2に示す。(8-5)加工部耐食性及び(8-9)耐溶剤性の評価結果は、表3-2にも示した。評価基準△及び×は性能不足のため好ましくない。
各サンプルを赤外線イメージ炉にて30秒で板温:500℃に加熱し、5分間保持した後、室温まで自然放冷した時の表面外観を目視観察した。その評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :変色なし
○ :極僅かに黄色味あり
○-:僅かに黄色味あり
○=:極僅かに褐色味あり
○≡:僅かに褐色味あり
△ :褐色に変色
× :茶褐色に変色
各サンプルを赤外線イメージ炉にて30秒で板温:500℃に加熱し、5分間保持した後、室温まで自然放冷した時の表面外観を目視観察した。目視でクラックを確認できない場合、光学顕微鏡を用いて1000倍で観察した。その評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :クラックなし
○ :僅かに目視で確認されないクラックあり
○-:目視で確認されるクラックはないが目視確認されないクラックあり
○=:極僅かにクラックあり
○≡:僅かにクラックあり
△ :全面に幅の細いクラックあり
× :全面に幅の細いクラックに加え、広いクラックあり
各サンプルに対して、平板の状態で、JIS-Z-2371-2000に準拠する塩水噴霧試験(SST)を実施した。240時間後の白錆発生面積率で平板部耐食性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :白錆面積率5%未満
○ :白錆面積率5%以上10%未満
○-:白錆面積率10%以上25%未満
△ :白錆面積率25%以上50%未満
× :白錆面積率50%以上100%以下
アルカリ脱脂剤FC-E6406(日本パーカライジング(株)製)を20g/Lの濃度で純水に溶解し、60℃に加温した。このアルカリ溶液に各サンプルを2分間浸漬し、取り出して水洗して乾燥した。各サンプルについて塩水噴霧試験(JIS-Z-2371-2000)を行い、120時間経過後の白錆発生面積率で評価した。評価基準は上記(8-3)に示したとおりである。
各サンプルに対して、3Rで90°に曲げた状態で、JIS-Z-2371-2000に準拠する塩水噴霧試験(SST)を実施した。144時間後の頭頂部の白錆発生面積率で曲げ加工部の耐食性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :曲げ加工部の白錆発生面積率5%未満
○ :曲げ加工部の白錆発生面積率5%以上、10%未満
○-:曲げ加工部の白錆発生面積率10%以上、25%未満
△ :曲げ加工部の白錆発生面積率25%以上、50%未満
× :曲げ加工部の白錆発生面積率50%以上
各サンプルを温度:80℃、相対湿度:98%の雰囲気に制御された恒温恒湿機に24時間静置した際の明度(L値)の変化(ΔL=試験後のL値-試験前のL値)で算出した。評価基準は以下のとおりである。L値は、日本電色工業(株)製のSR2000を使用し、SCIモード(正反射光込み)で測定した。
(評価基準)
◎ :-6<△L、かつ、ムラが無い均一な外観
○ :-10<△L≦-6、かつ、ムラが無い均一な外観
○-:-14<△L≦-10、かつ、ムラが無い均一な外観
△ :-14<△L≦-10、かつ、微細な黒点あり
× :△L≦-14、または、外観ムラあり
同一皮膜のサンプル2枚で対象面を重ね合わせ、トルク強度20kgfで締め付けたものを、温度:50℃、相対湿度:98%の雰囲気に制御された恒温恒湿機に4週間静置した後、その表面外観を目視観察した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :変色がなく、かつ、ムラが無い均一な外観
○ :極僅かに黒色に変色、かつ、ムラが無い均一な外観
○-:僅かに黒色に変色、かつ、ムラが無い均一な外観
○=:極僅かに黒色に変色、かつ、微細な黒点あり
○≡:僅かに黒色に変色、かつ、微細な黒点あり
△ :黒色に変色、かつ、微細な黒点あり
× :黒色に変色、かつ、外観ムラあり
各サンプルについて、平板の状態で、サンプル表面に脱イオン水を100μL滴下し、炉内温度100℃の熱風オーブンに10分間投入し、オーブンから取り出した後の水滴滴下跡を目視観察して、耐水しみ性を評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :水滴境界が見る角度によらず確認されない。
○ :水滴境界が見る角度によって若干確認される。
○-:水滴境界が見る角度によらず若干確認される。
△ :水滴境界が見る角度によらずはっきり確認される。
× :水滴境界が滴下範囲を超えてはっきり確認される。
各サンプルの表面にエタノールを染み込ませたガーゼを4.90N(500gf)の荷重をかけて押し付け、その荷重のまま10回往復するように擦った。その擦った痕を目視にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
(評価基準)
◎ :痕跡なし
○ :上から見ると痕跡が見ないが、斜めから見ると明らかに見える。
○-:上から見て僅かに痕跡が見える。
△ :上から見て痕跡が明らかに見える。
× :皮膜が剥離している。
各サンプルの表面に、JIS-B7001-1995に準ずる人工汗を10μL滴下し、シリコン製のゴム栓を滴下部に押し付けて、一定面積の人工汗で汚染された部位を作製した。この試験片を温度:40℃、相対湿度:80%の雰囲気に制御された恒温恒湿機に4時間静置した後に、汚染部位の外観変化を評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
◎ :変色なし
○ :極僅かに変色あり
○-:僅かに変色あり
△ :やや黒変
× :明らかに黒変
メラミンアルキッド系塗料であるデリコン(登録商標)#700(大日本塗料(株)製)を各サンプルに塗装し、130℃で30分間焼付け、膜厚:30μmの塗膜を形成した。その後、沸騰水に2時間浸漬し、直ちに、碁盤目(10×10個、1mm間隔)の鋼素地まで達するカットを入れた。さらにエリクセン押し出し機にてカット部が外(表)側となる様に5mm押し出し加工を施し、接着テープによる貼着・剥離を行い、塗膜の剥離面積を測定した。評価の基準は以下のとおりである。なお、エリクセン押し出し条件は、JISZ-2247-2006に準拠し、ポンチ径:20mm、ダイス径:27mm、絞り幅:27mmとした。
(評価基準)
◎ :剥離なし
○ :剥離面積3%未満
○-:剥離面積3%以上、10%未満
△ :剥離面積10%以上、30%未満
× :剥離面積30%以上
各サンプルより直径:100mmの円板状の試験片を切り出し、ポンチ径:50mm、ダイス径:51.91mm、しわ押さえ力:1トンの条件でカップ状に成型した。成型品の絞り加工を受けた面(カップの側面外側)の外観を目視によって調べ、傷つき程度および黒化程度を評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
◎ :全面に渡って殆ど変化なく、外観が均一
○ :傷つきおよび黒化が少し発生し、外観が明らかに不均一
○-:局部的に傷つきおよび黒化が発生し、外観が明らかに不均一
△ :コーナー部を中心に傷つきおよび黒化が激しく発生
× :成型できずに割れた
表2に示した各表面処理液を40℃の恒温槽に30日間保管した。取り出して、各表面処理液の外観を目視によって調べ、評価した。評価基準は次のとおりである。
(評価基準)
◎ :変化なし
○ :極微量の沈殿が見られる
○-:微量の沈殿がみられる
△ :微量の沈殿が見られ、やや粘度が高くなった
× :多量の沈殿が見られる、もしくはゲル化した
Claims (5)
- 亜鉛系めっき鋼板の表面に、グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)、テトラアルコキシシラン(B)、炭酸ジルコニウム化合物(C)、ガラス転移点(Tg)が80~130℃であるアニオン性ポリウレタン樹脂(D)、バナジウム化合物(E)、モリブデン酸化合物(F)、架橋剤(G)、及び水を含有し、pHが8.0~10.0で、かつ、各成分の含有量が以下の(1)~(7)を満足することを特徴とする亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を塗布する第1工程と、
その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を大気中で乾燥する第2工程と、
その後、塗布された前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液を加熱炉で加熱乾燥して、付着量が50~2,000mg/m 2 の表面処理皮膜を形成する第3工程と、
を有し、
前記第3工程の加熱開始時における前記亜鉛系めっき鋼板の温度をX、前記第3工程における前記亜鉛系めっき鋼板の最高到達温度をYとしたとき、Yが60~150℃であり、前記第3工程における加熱時間をz秒としたとき、(Y-X)/zが1~100℃/sであることを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
(1)グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)の固形分質量(AS)、テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)、及び炭酸ジルコニウム化合物(C)中のZrO2換算質量(CZ)の合計質量(XS)の、アニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)に対する質量比(XS/DS)が0.05~0.35
(2)グリシジル基を有するシランカップリング剤(A)の固形分質量(AS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(AS/XS)が0.20~0.40
(3)テトラアルコキシシラン(B)の固形分質量(BS)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(BS/XS)が0.010~0.30
(4)炭酸ジルコニウム化合物(C)中のZrO2換算質量(CZ)の、前記合計質量(XS)に対する質量比(CZ/XS)が0.45~0.70
(5)バナジウム化合物(E)中のV換算質量(EV)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(EV/(XS+DS))が0.0010~0.015
(6)モリブデン酸化合物(F)中のMo換算質量(FM)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(FM/(XS+DS))が0.0010~0.015
(7)架橋剤(G)の固形分質量(GS)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(GS/(XS+DS))が0.010~0.085 - 前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液は、さらに珪酸ナトリウム(H)を含有し、その含有量が以下の(8)を満足する、請求項1に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
(8)珪酸ナトリウム(H)の固形分質量(HS)の、前記合計質量(XS)と珪酸ナトリウム(H)の固形分質量(HS)との合計質量(XS+HS)に対する質量比(HS/(XS+HS))が0.050未満(0.000を含む) - 前記亜鉛系めっき鋼板用表面処理液は、さらにワックス(I)を含有し、その含有量が以下の(9)を満足する、請求項1又は2に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法。
(9)ワックス(I)の固形分質量(IS)の、前記合計質量(XS)とアニオン性ポリウレタン樹脂(D)の固形分質量(DS)との合計質量(XS+DS)に対する質量比(IS/(XS+DS))が0.002~0.10 - 請求項1~3のいずれか一項に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板の製造方法で製造された表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板であって、
前記表面処理皮膜のFT-IRによる反射スペクトルにおいて、1733cm-1の吸光度(I1733)の1712cm-1の吸光度(I1712)に対する比(I1733/I1712)が0.88以上1.10以下であり、
前記表面処理皮膜はZr含有相とZr非含有相から構成され、前記Zr含有相の体積分率が5~40%である
ことを特徴とする表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。 - 前記亜鉛系めっき鋼板が、基板である鋼板の少なくとも一方の表面に、質量%で、Al:3.0~6.0%、Mg:0.2~1.0%、Ni:0.01~0.10%を含有し、残部がZnおよび不可避的不純物からなる成分組成を有する溶融Zn-Al系合金めっき層を有する溶融Zn-Al系合金めっき鋼板である、請求項4に記載の表面処理皮膜付き亜鉛系めっき鋼板。
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